(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154375
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】内視鏡画像に情報をオーバーレイする装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20241023BHJP
A61B 18/12 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B18/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024042148
(22)【出願日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】63/460,050
(32)【優先日】2023-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/436,596
(32)【優先日】2024-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516389190
【氏名又は名称】アクラレント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Acclarent, Inc.
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ウリエル・ホッド
(72)【発明者】
【氏名】イタマル・ブスタン
(72)【発明者】
【氏名】アリソン・ディー・ライト
(72)【発明者】
【氏名】シュムエル・アウアーバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ジェットミア・パルシ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK06
4C160KK20
(57)【要約】
【課題】医療処置ナビゲーションシステムを提供すること。
【解決手段】医療処置ナビゲーションシステムは、処理回路を含む。処理回路は、電子記憶装置から医療処置器具に関連付けられたデータを取得するように構成され、電子記憶装置は、医療処置器具内に収容され、処理回路は、少なくとも1つの術前患者画像を取得することと、1つ以上の追跡デバイスを使用して、医療処置器具及び撮像器具のリアルタイム位置を追跡することと、撮像器具から、少なくとも1つの患者画像を取得することと、医療処置器具に関連付けられたデータに基づいて、医療処置器具の少なくとも1つの特徴を決定することと、医療処置器具及び撮像器具のリアルタイム位置並びに少なくとも1つの特徴に基づいて、少なくとも1つの術前患者画像の局所ビューを識別することと、少なくとも1つの術前患者画像の局所ビューを少なくとも1つの患者画像の上に重ね合わせてディスプレイデバイス上に表示するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療処置ナビゲーションシステムであって、前記システムは、処理回路を備え、前記処理回路は、
(a)電子記憶装置から、医療処置器具に関連付けられたデータを取得することであって、前記電子記憶装置は、前記医療処置器具内に収容されている、ことと、
(b)少なくとも1つの術前患者画像を取得することと、
(c)1つ以上の追跡デバイスを使用して、前記医療処置器具及び撮像器具のリアルタイム位置を追跡することと、
(d)前記撮像器具から、少なくとも1つの患者画像を取得することと、
(e)前記医療処置器具に関連付けられた前記データに基づいて、前記医療処置器具の少なくとも1つの特徴を決定することと、
(f)前記医療処置器具及び前記撮像器具の前記リアルタイム位置と前記少なくとも1つの特徴とに基づいて、前記少なくとも1つの術前患者画像の局所ビューを識別することと、
(g)前記少なくとも1つの術前患者画像の局所ビューを前記少なくとも1つの患者画像の上に重ね合わせてディスプレイデバイス上に表示することと、を行うように構成されている、医療処置ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記電子記憶装置は、EEPROM装置を含む、請求項1に記載の医療処置ナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記処理回路は、
(a)患者の解剖学的構造に対する前記医療処置器具の挿入深さを決定し、
(b)前記ディスプレイデバイス上に、前記決定された挿入深さの視覚表現を表示するように更に構成されている、請求項1に記載の医療処置ナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記処理回路は、
(a)前記器具の曲げ角度を決定し、
(b)前記ディスプレイデバイス上に、前記決定された曲げ角度の視覚表現を表示するように更に構成されている、請求項1に記載の医療処置ナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記処理回路は、
(a)ユーザ入力を介して、少なくとも1つのユーザ基準を受信し、
(b)前記ディスプレイデバイス上に、前記少なくとも1つのユーザ基準の視覚表現を表示するように更に構成されている、請求項1に記載の医療処置ナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記処理回路は、前記ディスプレイデバイス上に、前記医療処置器具の一部分を表示するように更に構成され、前記医療処置器具の前記一部分は、前記撮像器具の視野内にある、請求項1に記載の医療処置ナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記処理回路は、
(a)前記撮像器具の視野から隠れている前記医療処置器具の部分を決定し、
(b)前記撮像器具の視野から隠れている前記医療処置器具の前記部分に関連付けられた仮想器具投影を生成して表示するように更に構成されている、請求項1に記載の医療処置ナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記1つ以上の追跡デバイスは、光学追跡デバイスを含む、請求項1に記載の医療処置ナビゲーションシステム。
【請求項9】
前記1つ以上の追跡デバイスは、電磁追跡デバイスを含む、請求項1に記載の医療処置ナビゲーションシステム。
【請求項10】
前記医療処置器具及び前記撮像器具は、単一の器具内に一緒に収容されている、請求項1に記載の医療処置ナビゲーションシステム。
【請求項11】
システムであって、
(a)第1の位置センサアセンブリを有する医療処置器具と、
(b)第2の位置センサアセンブリを有する撮像器具と、
(c)プロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
(i)前記第1の位置センサアセンブリからの信号に基づいて前記医療処置器具のリアルタイム位置を決定することと、
(ii)前記第2の位置センサアセンブリからの信号に基づいて、前記撮像器具のリアルタイム位置を決定することと、
(iii)前記撮像器具からのリアルタイム画像を表示することであって、前記リアルタイム画像は視野を提供する、ことと、
(iv)前記医療処置器具の一部分が前記視野内で覆い隠されていることを決定することと、
(v)前記医療処置器具の前記覆い隠された一部分に対応する術前画像領域を選択することと、
(vi)前記選択された術前画像領域を、前記撮像器具からの前記リアルタイム画像上に、前記医療器具の前記一部分が覆い隠されている前記視野の領域に対応する位置でオーバーレイすることと、を行うように構成されている、システム。
【請求項12】
前記医療処置器具は、拡張カテーテル、アブレーション器具、キュレット、マイクロデブリーダ又は他のシェーバ、プローブ、洗浄器具、及び吸引器具からなる群から選択されたものである、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記撮像器具が内視鏡を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記撮像器具は作業チャネルを有し、前記医療処置器具は前記作業チャネル内に配置されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記医療器具の前記一部分が覆い隠されている前記視野の領域に対応する位置に、前記医療処置器具の前記覆い隠されている一部分の仮想表現をレンダリングするように更に構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記オーバーレイされた術前画像領域内に前記仮想表現をレンダリングするように更に構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサが、
(i)透明度レベルを示すユーザ選択を受信し、
(ii)前記ユーザ選択に基づいて前記オーバーレイに透明度レベルを適用するように更に構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記撮像器具からの前記リアルタイム画像上に二次オーバーレイを提供するように更に構成され、前記二次オーバーレイは、前記医療処置器具の術前特性を表す、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記撮像器具からの前記リアルタイム画像上に二次オーバーレイを提供するように更に構成され、前記二次オーバーレイは、前記医療処置器具のリアルタイム動作特性を表す、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
医療処置ナビゲーションシステムであって、前記システムは、処理回路を備え、前記処理回路は、
(a)電子記憶装置から、医療処置器具に関連付けられた術前データを取得し、
(b)少なくとも1つの術前患者画像を取得し、
(c)1つ以上の追跡デバイスを使用して、前記医療処置器具及び撮像器具のリアルタイム位置を追跡し、
(d)前記撮像器具から、少なくとも1つのリアルタイム患者画像を取得し、
(e)前記医療処置器具に関連付けられた前記術前データに基づいて、前記医療処置器具の少なくとも1つの特徴を決定し、
(f)前記医療処置器具の前記位置、前記撮像器具の前記位置、及び前記医療処置器具の前記少なくとも1つの特徴に基づいて、前記少なくとも1つの術前患者画像の局所ビューを識別し、
(g)前記局所ビューに基づいて、前記器具の遠位部分が患者の解剖学的構造によって覆い隠されるかどうかを判定し、
(h)前記器具の前記遠位部分が前記患者の前記解剖学的構造によって覆い隠されると判定したことに応答して、前記少なくとも1つの術前患者画像の前記局所ビューを前記少なくとも1つのリアルタイム患者画像の上に重ね合わせてディスプレイデバイス上に表示するように構成されている、医療処置ナビゲーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2023年4月18日に出願された、「Apparatus and Method for Posterior Nasal Nerve Ablation」と題する米国仮特許出願第63/460,050号について優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
画像誘導手術(image-guided surgery、IGS)は、コンピュータを使用して、患者の身体内に挿入された器具の場所の、術前に得られた画像(例えば、CTスキャン又はMRIスキャン、3Dマップなど)のセットに対するリアルタイムの相関を得ることで、コンピュータシステムが器具の現在の場所を術前に得られた画像に重ねる技術である。IGS処置で使用できる電磁IGSナビゲーションシステムの例は、Biosense-Webster,Inc.(Irvine,California)によるCARTO(登録商標)3 Systemである。いくつかのIGS手技では、術野のデジタルトモグラフィスキャン(例えば、CT又はMRI、3Dマップなど)を外科手術の前に得る。次に、特別にプログラムされたコンピュータを使用して、デジタルトモグラフィスキャンデータをデジタルマップに変換する。外科手術中、センサ(例えば、電磁場を放出し、かつ/又は外部で生成された電磁場に応答する電磁コイル)を有する特別な器具を使用して処置を実行し、同時に、センサがコンピュータに各医療処置器具の現在位置を示すデータを送る。コンピュータは、センサから受信したデータを、術前トモグラフィスキャンから作成されたデジタルマップと相関付ける。トモグラフィスキャン画像は、スキャン画像内に示される解剖学的構造に対する各医療処置器具のリアルタイム位置を示す指標(例えば、十字線又は照明ドットなど)と共にビデオモニタ上に表示される。したがって、外科医が器具自体を体内のその現在の場所において直接視覚化することができない場合であっても、外科医は、ビデオモニタを見ることによって各センサ搭載器具の正確な位置を知ることができる。
【0003】
一部の症例においては、患者の解剖学的通路の拡張が望ましい場合がある。これには、副鼻腔の口の拡張(例えば、副鼻腔炎を治療するため)、喉頭の拡張、耳管の拡張、耳、鼻、又は喉内の他の通路の拡張などが含まれ得る。解剖学的通路を拡張する1つの方法としては、ガイドワイヤ及びカテーテルを用いて解剖学的通路内に膨張可能なバルーンを配置し、続いてバルーンを、流体(例えば、生理食塩水)を用いて膨張させて解剖学的通路を拡張することが挙げられる。例えば、拡張可能なバルーンを副鼻腔の口の中に位置付け、次に膨張させることによって、粘膜の切開又は任意の骨の除去を必要とせずに、口に隣接する骨を再構築することにより口を拡張することができる。その後、拡張した口によって、罹患した副鼻腔からの排液及びその副鼻腔の通気を改善することができる。
【0004】
また、患者の耳、鼻、又は咽喉内の組織を切除することが望ましい場合もある。例えば、そのようなアブレーションは、組織を再構築するために(例えば、鼻甲介のサイズを低減するために)、除神経を提供するために(例えば、後鼻神経を無能にするために)、及び/又は他の目的のために望ましくあり得る。アブレーションを達成するために、1つ以上の針電極又は他の種類の組織接触電極を伴うエンドエフェクタが、単極又は双極RFエネルギーを用いて起動されてもよい。そのようなアブレーション処置は、拡張処置と併せて、又は拡張処置とは別個に実施されてもよい。
【0005】
単独の操作者のみによって行われる処置などにおいて、解剖学的通路内に拡張カテーテル、アブレーション器具、又は他のENT器具を容易に制御して配置できることが望ましい場合がある。これまでに解剖学的通路内にENT器具を配置するためのいくつかのシステム及び方法が作成され、使用されているが、本発明者らに先行して、添付の特許請求の範囲に記載される本発明を作成又は使用した者はいないと考える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
以下の図面及び詳細な説明は、単に例示的であることを意図しており、本発明者らによって企図される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【
図1】例示的な医療処置椅子に着座した患者に使用される例示的な手術ナビゲーションシステムの概略図を示す。
【
図2A】器具の作業要素シャフトが器具のシャフトアセンブリの開放遠位端に対して近位に後退させられるように、スライダが近位位置にある、器具の例の正面斜視図を示す。
【
図2B】作業要素シャフトがシャフトアセンブリの開放遠位端に対して遠位に延在するように、スライダが遠位位置にある、
図2Aの器具の正面斜視図を示す。
【
図4】内視鏡によって捕捉された画像のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)図を示す。
【
図6】医療処置ナビゲーション表示上に補足情報をオーバーレイするためのプロセスのフロー図を示す。
【
図7】術前画像及び手術画像の配置のGUIビューを示す。
【
図8】医療処置ナビゲーション表示上に補足情報をオーバーレイするためのプロセスのフロー図を示す。
【
図9】半透明オーバーレイを有する内視鏡によって捕捉された画像のGUIビューを示す。
【
図10】非透明オーバーレイを有する内視鏡によって捕捉された画像のGUIビューを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、例示として本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである以下の説明から当業者に明らかになるであろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものとしてみなされるべきである。
【0008】
本開示を明確にするために、本明細書において、「近位」及び「遠位」という用語は、遠位医療処置用エンドエフェクタを有する医療処置器具を握持する外科医又は他の操作者に対して定義される。「近位」という用語は、外科医のより近くに配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、医療処置器具の医療処置用エンドエフェクタのより近くにかつ外科医からより遠くに配置された要素の位置を指す。更に、図面を参照して「上側」、「下側」、「垂直」、「水平」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は、例示的な記述目的にのみ使用され、限定する又は絶対的であることを意図するものではないことが理解されよう。その点において、本明細書に開示されるものなどの医療処置器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な向き及び位置で使用してもよいことが理解されよう。
【0009】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲の「約」及び「およそ」という用語は、構成要素の部分又は集合が、本明細書で記載されているその本来の目的のために機能することを可能とするような好適な寸法の許容範囲を示すものである。
【0010】
I.例示的な画像誘導手術ナビゲーションシステム
患者(patient、P)の頭部(head、H)内で医療手技を実施するとき、特に器具が患者(P)の頭部(H)内の器具の作業要素の内視鏡視野を得ることが困難又は不可能である場所にある場合に、患者(P)の頭部(H)内の器具の位置に関する情報を有することが望ましい場合がある。
図1は、画像誘導を使用してENT処置を実行することを可能にする例示的なIGSナビゲーションシステム(50)を示す。本明細書に記載されている構成要素及び動作性を有することに加えて、又はそれに代えて、IGSナビゲーションシステム(50)は、米国特許第7,720,521号、発明の名称「Methods and Devices for Performing Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2010年5月18日発行)(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)、及び米国特許出願公開第2014/0364725号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2014年12月11日公開)(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)の教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能であり得る。
【0011】
本実施例のIGSナビゲーションシステム(50)は、磁場発生器アセンブリ(60)を含み、磁場発生器アセンブリ(60)は、馬蹄形フレーム(62)に組み込まれた磁場発生器(64)のセットを備える。磁場発生器(64)は、患者(P)の頭部(H)の周りに異なる周波数の交流磁場を生成するように動作可能である。以下に説明される器具のうちのいずれかなどの器具が、患者(P)の頭部(H)の中に挿入されてもよい。そのような器具は、独立型デバイスであってもよく、又はエンドエフェクタ上に位置付けられてもよい。本実施例では、フレーム(62)が椅子(70)に装着され、フレーム(62)が患者(P)の頭部(H)に隣接して位置するように患者(P)は椅子(70)に着座する。単に一例として、椅子(70)及び/又は磁場発生器アセンブリ(60)は、米国特許第10,561,370号、発明の名称「Apparatus to Secure Field Generating Device to Chair」(2020年2月18日発行)(開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)の教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能であり得る。
【0012】
本実施例のIGSナビゲーションシステム(50)は、更に、プロセッサ(52)を備え、プロセッサ(52)は、IGSナビゲーションシステム(50)の磁場発生器(64)及び他の要素を制御する。例えば、プロセッサ(52)は、磁界発生器(64)を駆動して交流電磁界を生成し、器具からの信号を処理して患者(P)の頭部(H)内における器具内のナビゲーションセンサの場所を判定するように動作可能である。プロセッサ(52)は、1つ又は2つ以上のメモリと通信する処理ユニット(例えば、組み合わせ論理回路又は他の類似の回路を使用してソフトウェア命令を評価及び実行するように配置された一組の電子回路)を備える。本実施例のプロセッサ(52)は、キーパッド及び/又はマウス若しくはトラックボールなどのポインティングデバイスを含む動作制御部(54)を備えるコンソール(58)内に装着されている。医師は、医療処置を実行しながら、動作制御部(54)を使用して、プロセッサ(52)と相互作用する。
【0013】
図1に図示はしないが、器具は、磁場発生器(64)によって発生された交流磁場内における配置に応答するナビゲーションセンサを含んでもよい。結合ユニット(図示せず)は器具の近位端に固定され得、コンソール(58)と器具との間のデータ及び他の信号の有線又は無線通信を提供するように構成され得る。いくつかの変形形態では、器具のナビゲーションセンサは、器具の遠位端又はその近傍に少なくとも1つのコイルを備えてもよい。磁場発生器(64)によって生成された交流電磁場の中にこのようなコイルが位置付けされると、交流磁場がコイルの中に電流を生成し得、この電流は、器具内の導電路に沿って、及び結合ユニットを介して更にプロセッサ(52)に通信され得る。この信号により、IGSナビゲーションシステム(50)が、3次元空間内(すなわち、患者(P)の頭部(H)内)の器具の遠位端の場所を判定することが可能となり得る。これを実現するために、プロセッサ(52)は、器具の遠位端の場所の座標を、器具内のコイルの位置関連信号から計算するアルゴリズムを実行する。
【0014】
プロセッサ(52)は、プロセッサ(52)のメモリに記憶されたソフトウェアを使用して、IGSナビゲーションシステム(50)を較正し、動作させる。このような動作は、磁場発生器(64)を駆動することと、器具からのデータを処理することと、動作制御部(54)からのデータを処理することと、ディスプレイスクリーン(56)を駆動することと、を含む。プロセッサ(52)は、患者の頭部(H)のビデオカメラ画像、患者の頭部(H)のCTスキャン画像、及び/又は患者の鼻腔内及び患者の鼻腔に隣接する解剖学的構造のコンピュータ生成三次元モデルに対する器具の遠位端の位置を示すディスプレイスクリーン(56)を介して、リアルタイムでビデオを提供するように更に動作可能である。ディスプレイスクリーン(56)は、医療処置中にこのような画像を同時に及び/又は互いに重ね合わせて表示することができる。そのようなディスプレイ画像は、また、患者の頭部(H)に挿入された器具のグラフィカル表現を含むことができ、それにより、操作者がリアルタイムでその実際の場所にある器具の仮想レンダリングを見ることができるようになる。単に一例として、ディスプレイスクリーン(56)は、米国特許第10,463,242号、発明の名称「Guidewire Navigation for Sinuplasty」(2019年11月5日発行)(開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている)の教示の少なくとも一部に従って画像を提供し得る。操作者が内視鏡も使用している場合には、内視鏡画像もディスプレイスクリーン(56)に提供することができる。
【0015】
ディスプレイスクリーン(56)を介して提供される画像は、操作者が患者の頭部(H)内で器具を操縦し、かつ別様に操作する際の誘導を支援し得る。また、以下に記載するように、医療処置器具の他の構成要素及び他の種類の医療処置器具は、上記のナビゲーションセンサのようなナビゲーションセンサを組み込んでもよいことを理解されたい。
【0016】
II.操縦可能なガイド及び作業要素を有するENT器具の例
図2A~
図2Bは、作業要素(101)(
図2B)を解剖学的通路内に案内するために使用され得る器具(100)の一例を示す。
図2Bに示されるように、作業要素(101)は、シャフト(102)と、エンドエフェクタ(104)と、を含む。いくつかの変形例では、作業要素(101)は、拡張カテーテルを含んでもよい。これに関して、エンドエフェクタ(104)は、1つ以上のバルーン又は他の拡張器を有してもよく、器具(100)を使用して、作業要素(101)のエンドエフェクタ(104)を解剖学的通路(例えば、副鼻腔口、喉頭、耳管など)内に誘導し、それによって解剖学的通路を拡張することができる。加えて、又は代替的に、作業要素(101)は、1つ以上のRF電極を有するRFエネルギー送達カテーテルを含んでもよく、器具(100)を使用して、作業要素(101)のエンドエフェクタ(104)を解剖学的通路内に誘導し、解剖学的通路内又はその付近の組織にRFエネルギーを送達してもよい。あるいは、作業要素(101)は、任意の他の好適なタイプのENT治療デバイスを含んでもよい。更に、作業要素(101)は、エンドエフェクタ(104)のリアルタイム位置を示す信号を提供するために、上述のようにIGSナビゲーションシステム(50)と協働する1つ以上のナビゲーションセンサを含んでもよい。
【0017】
本例の器具(100)は、ハンドルアセンブリ(106)とシャフトアセンブリ(108)とを備える。いくつかの変形例では、ハンドルアセンブリ(106)及び/又はシャフトアセンブリ(108)は、器具(100)の対応する部分のリアルタイム位置を示す信号を提供するために、上述のようなIGSナビゲーションシステム(50)と協働する1つ以上のナビゲーションセンサ(例えば、後述のようなナビゲーションセンサアセンブリ(110))を含む。器具(100)は、エンドエフェクタ(104)のバルーン(図示せず)に膨張流体を選択的に供給するように動作可能であり得る膨張流体源(図示せず)と連結されてもよい。加えて、又は代替的に、器具(100)は、RF発生器(図示せず)と結合され得、RF発生器は、エンドエフェクタ(104)の電極(図示せず)を介して、及び/又はシャフトアセンブリ(108)の遠位端(120)にある電極(121、123)(
図3)を介して組織に送達するためのRF電気医療処置エネルギーを生成し、それによって、組織を切除するか、電気穿孔するか、又は組織に抵抗加熱を適用するように動作可能であり得る。器具(100)はまた、作業要素(101)、ハンドルアセンブリ(106)、及び/又はシャフトアセンブリ(108)のナビゲーションセンサ(例えば、ナビゲーションセンサアセンブリ(110)(
図3))からの位置指示信号をIGSナビゲーションシステム(50)に通信するために、IGSナビゲーションシステム(50)と連結されてもよい。
【0018】
この例のハンドルアセンブリ(106)は、本体(112)及びスライダ(114)を含む。各スライダ(114)は、本体(112)に対して長手方向に並進するように動作可能である。スライダ(114)は、作業要素(101)と連結され、したがって、作業デバイス(101)を近位後退位置(
図2A)と遠位伸長位置(
図2B)との間で長手方向に並進させるように動作可能である。
【0019】
本例のシャフトアセンブリ(108)は、剛性部分(116)、剛性部分(116)の遠位にある可撓性部分(118)、及び開放遠位端(120)を含む。プルワイヤ(図示せず)は、可撓性部分(118)と結合され、かつハンドルアセンブリ(106)の偏向制御ノブ(122)と結合されている。偏向制御ノブ(122)は、本体(112)に対して回転可能であり、プルワイヤを近位に選択的に後退させる。プルワイヤが近位に後退すると、可撓性部分(118)が曲がり、それにより、遠位端(120)を剛性部分(116)の長手方向軸から横方向に離れて偏向させる。したがって、偏向制御ノブ(122)、プルワイヤ、及び可撓性部分(118)が協働して、シャフトアセンブリ(108)に操縦性を付与する。単に一例として、シャフトアセンブリ(108)のこのような操縦性は、米国特許出願公開第2021/0361912号、発明の名称「Shaft Deflection Control Assembly for ENT Guide Instrument」(2021年11月25日公開)(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、及び/又は米国特許第11,376,401号、発明の名称「Deflectable Guide for Medical Instrument」(2022年6月15日発行)(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)教示の少なくとも一部に従って提供することができる。他の変形例では、偏向制御ノブ(122)の代わりに、可撓性部分(118)の操縦を駆動するためのいくつかの他の種類のユーザ入力機構を提供してもよい。いくつかの代替の変形例では、偏向制御ノブ(122)は省略され、可撓性部分(118)は、可鍛性である。なお他の変形例では、シャフトアセンブリ(108)の全長は、剛性である。
【0020】
シャフトアセンブリ(108)はまた、剛性部分(116)の長手方向軸を中心として、ハンドルアセンブリ(106)に対して回転可能である。このような回転は、ハンドルアセンブリ(106)の本体(112)と回転可能に結合された回転制御ノブ(124)を介して駆動され得る。代替的に、シャフトアセンブリ(108)は、いくつかの他の形態のユーザ入力を介して回転されてもよいか、又は、ハンドルアセンブリ(106)に対して回転不可能であってもよい。
【0021】
作業管腔は、シャフトアセンブリ(108)の開放近位端から開放遠位端(120)までずっと長手方向に延在し、シャフトアセンブリ(108)が開放近位端で作業要素(101)を受容し得るように、かつシャフトアセンブリ(108)が開放遠位端(120)を通して作業要素(101)を外へ案内し得るように、作業要素(101)を摺動可能に受容するように構成される。
【0022】
図3に示すように、シャフトアセンブリ(108)の遠位領域は、ナビゲーションセンサアセンブリ(110)を更に含む。ナビゲーションセンサアセンブリ(110)は、磁場発生器(64)によって生成される交流磁場内での位置決めに応答する1つ以上のコイル(例えば、単軸センサ、二軸センサ、3軸センサ、6軸センサなど)を含む。いくつかの変型例では、これらの1つ以上のコイルは、フレックス回路内のトレースとして形成される。磁場発生器(64)によって生成された交流電磁場の中にナビゲーションセンサアセンブリ(110)が位置付けされると、交流磁場がコイルの中に電流を生成し得、この電流は、器具(100)内の導電路に沿って、及び結合ユニットを介して更にプロセッサ(52)に通信され得る。これらの信号により、IGSナビゲーションシステム(50)は、3次元空間内(すなわち、患者(P)の頭部(H)内など)の遠位端(120)の場所を判定することができる。これを達成するために、プロセッサ(52)は、磁場発生器(64)によって生成された交流磁場に応答してナビゲーションセンサアセンブリ(110)によって生成された位置指示信号から遠位端(120)の位置座標を計算するアルゴリズムを実行する。
【0023】
図3にも示すように、シャフトアセンブリ(108)の遠位領域は、ナビゲーションセンサアセンブリ(110)の直下のシャフトアセンブリ(108)内に配置された視覚化及び灌注アセンブリ(108)を更に含む。視覚化及び灌注アセンブリ(108)は、シャフトアセンブリ(108)の遠位端(120)の遠位にある標的組織部位において、視覚化及び灌注を提供するように動作可能である。この例の視覚化及び灌注アセンブリ(108)は、プレート部材(160)、カメラ(161)、一対の照明要素(162、163)、及び一対の流体導管(164、165)を含む。カメラ(161)は、カメラであって、シャフトアセンブリ(108)内に適合し、それと同時に、依然として、作業チャネル(149)がシャフトアセンブリ(108)に沿って延在するための空間を許容し、それによって、追加の器具類、吸引、流体など、及び/又は作業要素(104)が、カメラ(161)に隣接する開放遠位端(120)を通過することを許容するように好適にサイズ決定されている、カメラの形態であってもよい。カメラ(161)を含む器具(100)の変形例は、ある種の内視鏡として機能し得ることを理解されたい。
【0024】
照明要素(162、163)は、カメラ(161)の視野を照明するように構成され、かつ動作可能である。導管(164、165)は、この例ではカメラ(161)の横方向に位置している。導管(164、165)の一方又は両方は、液体(例えば、生理食塩水など)源及び/又は吸引源と流体連通してもよい。導管(164、165)のうちの少なくとも一方が液体の供給源と連通している変形例では、このような導管(164、165)は、このような液体をカメラ(161)の遠位端に送達するために使用されてもよい。カメラ(161)の遠位端を液体で洗い流すことによって、導管(164、165)は、カメラ(161)の遠位端がデブリに近づかないようにし、それにより、カメラ(161)を介して適切な視覚化を維持するために使用され得る。
【0025】
この例のプレート部材(160)は、プレート(166)、及び一対の横方向に延在するタブ(167、168)を含む。プレート(166)は、カメラ(161)の上方に位置付けられ、したがって、作業チャネル(149)に沿って前進する作業要素(104)及び/又は他の器具によってカメラ(161)が引っ掛かり、場合によっては損傷を受けることを避けるように機能し得る。タブ(167、168)は、導管(164、165)のそれぞれの遠位端の場所に対応するように位置付けられている。タブ(167)は、タブ(167)の近位面と導管(164)の遠位端との間に間隙(図示せず)を残すように更に位置付けられてもよく、同様の間隙が、タブ(168)の近位面と導管(165)の遠位端との間に残されてもよい。これらの間隙は、液体が導管(164、165)の遠位端から逃げることを可能にするようにサイズ決定され、導管(164、165)の遠位端を介して吸引が適用されることを可能にしてもよい。しかしながら、タブ(167、168)の存在は、導管(164、165)の遠位端を介して排出された液体をカメラ(161)の遠位端に向かって迂回させるのを支援し、それによってカメラ(161)からデブリを洗い流すのを支援してもよい。
【0026】
III.画像への器具データのオーバーレイの例
図4は、患者(P)内でカメラ(161)によって捕捉された例示的な画像(400)を示しており、画像(400)において、器具(410)がカメラ(161)の視野内で患者に挿入されている。単に一例として、器具(410)は、拡張カテーテル、アブレーション器具、キュレット、マイクロデブリーダ若しくは他のシェーバ、プローブ、洗浄器具、吸引器具、及び/又は任意の他の好適な種類の器具を含んでもよい。いくつかの変形例では、画像(400)は、器具(410)に加えて、又はその代わりに、シャフトアセンブリ(108)の遠位端(120)から突出する作業要素(101)の一部分を含んでもよい。したがって、器具(410)は、いくつかの状況では省略されてもよい。この例では画像(400)はカメラ(161)によって捕捉されるが、本明細書の教示は、画像(400)が何らかの他の種類の内視鏡又は撮像デバイスによって捕捉される状況に容易に適用され得る。したがって、本明細書の教示は器具(100)が使用される状況に適用され得るが、本明細書の教示は器具(100)が使用されない状況にも適用され得ることを理解されたい。
【0027】
画像(400)は、カメラ(161)の視野内の解剖学的構造及び器具(410)を明確に示すが、カメラ(161)を介して捕捉された画像(400)内に追加情報を提供することが望ましい場合がある。例えば、そのような追加情報は、器具(100)内に配置される作業要素(101)の種類、器具(100)と共に患者に挿入される他の器具(410)の種類、長さ、曲げ角度、直径などの、作業要素(101)又は器具(410)の構造的特徴、挿入深さ、作動状態などの作業要素(101)又は器具(410)の動作特性、及び/又は他の情報を含んでもよい。追加情報がカメラ(161)からの画像(400)上の1つ以上のオーバーレイの形態で提供されることにより、操作者は、処置中にカメラ(161)からの画像(400)を観察しながら、追加情報を観察するために画像(400)から目を離す必要なく、追加情報を容易に観察することができる。
【0028】
図5は、ナビゲーションシステム(50)の使用中にディスプレイスクリーン(56)を介して提供され得るユーザインターフェース(500)の一例を示す。この例では、ユーザインターフェースは、術前画像(510、520、530、540)のアレイを含む。術前画像(510、520、530、540)は、CTスキャン、MRIスキャンなどの患者(P)の様々な種類の術前画像を含むか、又はそれに基づくことができる。術前画像(510)は、矢状面に沿った患者(P)の頭部(H)の2次元断面画像を含む。術前画像(520)は、冠状面に沿った患者(P)の頭部(H)の2次元断面画像を含む。術前画像(530)は、横断面に沿った患者(P)の頭部(H)の2次元断面画像を含む。術前画像(530)は、冠状面に沿った断面を有する、患者(P)の頭部(H)の3次元画像を含む。ユーザインターフェース(500)はまた、各術前画像(510、520、530、540)内に十字線(501)を含む。各十字線(501)は、シャフトアセンブリ(108)の遠位端(120)のリアルタイム位置を示す。プロセッサ(52)は、ナビゲーションセンサアセンブリ(110)からの位置指示信号に基づいて、各術前画像(510、520、530、540)内のどこに十字線(501)を配置するかを決定する。操作者が患者(P)内で遠位端(120)を移動させると、それに応じて十字線(501)の位置がユーザインターフェース(500)上で移動する。加えて、術前画像(510、520、530、540)の断面もまた、遠位端(120)が患者(P)内で移動するにつれて、ユーザインターフェース(500)内で移動し得る。
【0029】
上述したように、カメラ(161)によって捕捉された画像(400)に作業要素(101)又は器具(410)に関する追加情報を含めて、操作者が画像(400)から目を離す必要なく追加情報を観察できるようにすることが有益であり得る。ユーザインターフェース(500)から目を離す必要なく、操作者が追加情報を観察できるように、ユーザインターフェース(500)内に(例えば、オーバーレイとして)そのような追加情報を含めることも有益であり得る。加えて、画像(400)をユーザインターフェース(500)に統合することが有益であり得る。したがって、ディスプレイスクリーン(56)のいくつかの変形例は、画像(400)、術前画像(510、520、530、540)、及び1つ以上のオーバーレイなどの組み合わせをレンダリングして、作業要素(101)又は器具(410)に関する追加情報を提供してもよい。
【0030】
図6は、プロセッサ(52)が画像(400)、術前画像(510、520、530、540)、及び1つ以上のオーバーレイなどの組み合わせを提供して、作業要素(101)又は器具(410)に関する追加情報を提供し得る方法(600)の一例を示す。示されるように、プロセッサ(52)は、最初に、器具データを取得し得る(601)。この文脈において、「器具」は、作業要素(101)及び/又は器具(410)を含んでもよい。場合によっては、器具データは、作業要素(101)及び/又は器具(410)自体から自動的に取得されてもよい(601)。例えば、作業要素(101)及び/又は器具(410)は、内部記憶装置(例えば、EEPROM等)、バーコード、又は器具データが自動的に取得され得る(601)何らかの他の特徴を含んでもよい。これに加えて、又はこれに代えて、操作者は、例えば操作制御部(54)などを介して、器具データをプロセッサ(52)に入力してもよい。あるいは、器具データは、任意の他の適切な方法で取得されてもよい(601)。
【0031】
器具データが取得されると(601)、プロセッサ(52)は、例えば、器具タイプ、1つ以上の種類の器具使用事例(例えば、作業要素(101)及び/又は器具(410)が使用されるように構成される処置の種類)、作業要素(101)又は器具(410)の構造特性(例えば、長さ、曲げ角度、直径等の作業要素(101)又は器具(410)の構造特性)、及び/又は作業要素(101)又は器具(410)に関連付けられた他の術前情報等の器具使用に関する種々の要因を判定又は識別し得る(602)。
【0032】
器具(100、410)が患者(P)に挿入されると、プロセッサ(52)は、1つ以上の位置センサから位置情報を取得して(603)、患者(P)内の作業要素(101)又は器具(410)のリアルタイム位置を決定することができる。上述のように、器具(100)は、そのような位置情報を生成するために使用され得るナビゲーションセンサアセンブリ(110)を含む。作業要素(101)又は器具(410)は、患者(P)内の作業要素(101)又は器具(410)のリアルタイム位置を示す信号を生成するために、同様の種類の位置センサを含んでもよいことを理解されたい。
【0033】
患者(P)内の作業要素(101)又は器具(410)のリアルタイム位置を示す、取得された(603)位置情報に基づいて、プロセッサ(52)は、器具(100)に対する(又は何らかの他の種類の内視鏡若しくは他の画像捕捉器具に対する)器具の場所を判定してもよい(604)。上述したように、プロセッサ(52)は、ナビゲーションセンサアセンブリ(110)からの信号に基づいて、患者(P)内の器具(100)の位置を既に「知っている」場合がある。したがって、プロセッサ(52)は、患者(P)内の作業要素(101)又は器具(410)のリアルタイム位置を、患者(P)内の器具(100)のリアルタイム位置と相関させることができる。
【0034】
プロセッサ(52)が器具情報(例えば、タイプ、構成、使用事例など)を決定し(602)、器具(100)に対する(又は何らかの他の種類の内視鏡若しくは他の画像捕捉器具に対する)器具の位置を決定する(604)と、プロセッサ(52)は、オーバーレイを生成してもよい(605)。このオーバーレイは、作業要素(101)又は器具(410)のグラフィック表現、テキスト情報、数値情報、他のグラフィック情報(例えば、矢印など)を含んでもよい。上述したように、オーバーレイは、内視鏡画像(400)上、1つ以上の術前画像(510、520、530、540)上、及び/又はディスプレイスクリーン(56)上の他の場所に配置されてもよい。2つ以上のオーバーレイが生成され得る(605)ことも理解されたい。例えば、作業要素(101)又は器具(410)のグラフィック表現、及び1つ以上の他のグラフィック表現(例えば、挿入方向を示す矢印など)が、ディスプレイスクリーン(56)上の内視鏡画像(400)及び/又は1つ以上の術前画像(510、520、530、540)上にオーバーレイされてもよい。一方、英数字データ(例えば、器具のタイプ、挿入深さなどを表す)は、画像(400、520、530、540)とは別個にディスプレイスクリーン(56)上にオーバーレイされてもよい。加えて、又は代替的に、英数字データ(例えば、器具のタイプ、挿入深さなどを表す)は、ディスプレイスクリーン(56)上の内視鏡画像(400)及び/又は1つ以上の術前画像(510、520、530、540)上にオーバーレイされてもよい。
【0035】
図7は、
図5(500)に示されるインターフェースの更新バージョンを表す更新されたユーザインターフェース(700)の例を示し、ここで、術前画像(530)は、
図4に示される画像(400)と同様の内視鏡ビュー(730)で置き換えられる。内視鏡ビュー(730)は、患者(P)の解剖学的構造に隣接して患者(P)内に挿入された器具(例えば、器具(410)と同様の)の実際の画像(732)を含む。しかしながら、
図4の基本画像とは異なり、
図7の内視鏡ビュー(730)はまた、内視鏡ビュー(730)内の器具の実際の画像(732)の上にオーバーレイ(734)を含む。この例では、オーバーレイ(734)は、患者(P)内への器具の挿入深さを示す印を含む。オーバーレイ(734)は、様々な他の好適な形態をとってもよく、患者(P)内の標的位置までの器具の距離、患者(P)内の器具の移動方向、及び/又は本明細書の教示を考慮すれば当業者には明らかとなるような他の種類の情報などの様々な他の種類の情報を提供してもよい。この例では、追加情報は内視鏡ビュー(730)内のオーバーレイ(734)の形態で示されているが、少なくともいくつかの追加情報は、
図7に示される術前画像のいずれか内のオーバーレイ(734)の形態で、及び/又は内視鏡ビュー(730)及び術前画像とは別個のユーザインターフェース(700)の側部領域(750)に提供されてもよい。
【0036】
いくつかの変形例では、器具自体の構成は、器具の使用中に変化してもよい。例えば、器具は、遠位区分が医療処置中に変化する曲げ角度を有し得るように、操縦可能な遠位区分を有してもよい。同様に、器具は、医療処置中に回転する回転可能なシャフト又は他の特徴を有してもよい。医療処置における器具の使用中に器具自体の構成が変化する状況では、オーバーレイ(734)は、それらの変化をリアルタイムで視覚的に示し得る。例えば、オーバーレイ(734)は、英数字表現、グラフィカル表現、又は何らかの他の視覚的表示を用いて、リアルタイムで変化する曲げ角度(又は回転角度など)を示すことができる。
【0037】
したがって、本明細書に開示されるように、いくつかの実装形態では、患者体内に位置する体積内の手術部位における医療処置のための分析システム又は方法は、以下の非限定的ステップを伴ってもよい。第1に、医療処置タイプが(例えば、術前データ又はユーザ入力に基づいて)選択又は決定され得る。処置が開始されると、システムは、手術部位の画像(例えば、
図4に示されるような内視鏡画像)を使用して、
図4に示される器具(410)などの、その中に存在する少なくとも1つの器具を検出し得る。次いで、システムは、検出された器具の近傍の器官又は患者組織の少なくとも一部分を(例えば、手術部位の捕捉された画像、術前データ、ナビゲーション追跡データ等の画像分析を介して)検出し得る。
【0038】
更なる実装形態では、システムは、検出された器具、内視鏡、検出された組織、及びそれらの互いに対する位置が判定されるように、(例えば、手術部位の捕捉された画像、術前データ、ナビゲーション追跡データ等の画像分析を介して)患者内の検出された解剖学的構造に対する検出された器具の位置を判定してもよい。内視鏡及び/又は組織に対する器具の位置は、医療処置ステップを定義する1つ以上の医療処置パラメータを生成するために使用されてもよい。いくつかの実装形態では、医療処置ステップは、医療処置計画に関連付けられた既知のステップであってもよい。代替的な実装形態では、システムは、例えば、取得された(601)器具データなど、システムに知られている要因と、決定された(602)機器タイプ、使用事例、及び構成と、内視鏡に対する決定された(604)器具位置と、に基づいてステップを識別又は決定することができる。など。
【0039】
医療処置ステップが識別されると、システムは、いくつかの実装形態では、検出された医療処置ステップ(例えば、EEPROMデバイス等の記憶プラットフォーム上のデバイス内に収容される情報に基づいて識別されるステップ)に対応する概念的医療処置ステップを(例えば、データベースから)選択してもよい。次いで、システムは、本明細書で論じられるように、識別又は判定された1つ以上の要因を、選択された概念的医療処置ステップを定義する1つ以上の要因と比較してもよい。この比較に基づいて、システムは、もしあれば、これらのパラメータ間にどのような差異が存在するかを決定することができる。何らかの差異が検出された場合、システムは、様々なアクションを取ることができる。例えば、差異が無視できると判定する(したがって、医療処置計画を進める)こと、差異の通知をユーザに提供すること、差異を引き起こす特定の要因を示す通知をユーザに提供すること、ユーザフィードバックを要求すること、1つ以上の要因とより密接に一致し得る履歴医療処置情報についてデータベースを検索することと、検出された医療処置ステップの品質に関連する情報を提供することなどである。など。
【0040】
したがって、いくつかの実装形態では、システムは、検出された医療処置ステップの要因を、以前に行われたステップ又は概念的ステップの要因と比較してもよい。医療処置履歴情報は、医療処置ナビゲーションシステムにおいて発生した情報であってもよく、他の医療処置ナビゲーションシステムにおいて発生した医療処置履歴情報であってもよいことを理解されたい。別の言い方をすれば、いくつかの実装形態では、システムは、他のユーザ及び/又は他の医療処置ナビゲーションシステムによって行われる医療処置を含む共有又はグローバルデータベースにアクセスしてもよい。
【0041】
システムが最も正確な医療処置ステップを決定すると、システムは、検出された器具の現在位置を示し、器具の最適位置を示す画像(例えば、内視鏡によって捕捉された画像)上にオーバーレイを(例えば、ディスプレイスクリーン又はウェアラブルデバイス上に)表示してもよい。更なる実装形態では、システムはまた、(例えば、オーバーレイ(734)によって
図7に示されるように)器具の判定された深さ、器具の曲げ角度、及び/又はユーザ定義使用パラメータを表示してもよい。更なる実装形態では、システムは、器具の現在位置及び/又は最も正確な次の医療処置ステップ(例えば、概念的又は履歴的)に基づいて、オーバーレイ画像を自動的に(例えば、リアルタイムで)更新/修正してもよい。
【0042】
IV.CT画像ビューを内視鏡画像ビューと組み合わせる例
本明細書で説明されるように、医療処置ナビゲーション中にユーザ(例えば、外科医)に補足情報を提供することは、訓練目的及び/又は患者転帰の改善に有益であり得る。これは、鼻腔内で処置を行うとき、及び/又は低侵襲手術を行うときに特に当てはまり得る。なぜなら、医療処置中に、使用されている器具類のごく一部のみが(例えば、内視鏡を介して)見える可能性があるからである。しかしながら、例えば、器具が内視鏡の近傍(例えば、視野)にないか、又はそうでなければ解剖学的構造及び/又は流体(例えば、血液)によって覆い隠されているときであっても、高精度な「仮想」又は投影画像を示す等、更なる改良が可能であり得る。例えば、
図4に示すように、器具(410)の遠位部分(414)は、患者(P)の鼻腔内の中鼻甲介(MT)によって覆い隠され、その結果、操作者は、従来の内視鏡画像(400)において遠位部分(414)を視覚化することができない。しかしながら、器具(410)の近位部分(412)は、内視鏡画像(400)で見ることができる。
図4の遠位部分(414)の破線描画は、遠位部分(414)が中鼻甲介(MT)によって覆い隠されており、従来の内視鏡画像(400)では遠位部分(414)の表現さえも見えないことを示すことのみを意図している。近位部分(412)のみが、従来の内視鏡画像(400)において可視である。
【0043】
したがって、周囲の解剖学的構造に対する遠位部分(414)の位置を操作者に視覚的に効果的に示すために、内視鏡画像(400)の修正版を提供することが望ましい場合がある。遠位部分(414)のそのような位置情報が、ユーザインターフェース(500)に示されるものなどの画像(510、520、530、540)のセットを介して、又はユーザインターフェース(700)に示されるものなどの画像のセットを介して伝達され得る限りにおいて、単一画像内の周囲の解剖学的構造に対する遠位部分(414)の位置を操作者に視覚的に示すことが更に望ましい場合がある。そのために、内視鏡画像(400)(内視鏡(例えば、器具(100))の視野内で見える器具(410)の一部分を示す)を、術前画像及び術前画像内のリアルタイム位置指標(別様に覆い隠された器具(410)の遠位部分(414)を示す)と効果的に組み合わせることが望ましい場合がある。このような単一の合成画像は、上述のユーザインターフェース(500、700)に示されるような画像のセットを介して伝達され得るものよりも、遠位部分(414)のリアルタイム位置をより効果的に伝達し得る。
【0044】
以下は、内視鏡の視野内で見える同じ器具の一部分を同時に表示しながら、血液、解剖学的構造などによって覆い隠される器具の一部分のリアルタイム位置を効果的に伝達するために、単一の合成画像がどのように生成され得るかの例を説明する。以下で説明する合成画像は、
図5~
図7に関連して上述したオーバーレイと同様の1つ以上のオーバーレイ特徴を含むこともできることを理解されたい。したがって、
図5~
図7に関連して上述したオーバーレイ及び以下で説明する合成画像は、互いに排他的ではないことを理解されたい。本明細書の教示を考慮すると、
図5~
図7に関連して上述したオーバーレイが以下で説明する合成画像に一体化され得る様々な好適な方式が、当業者には明らかになるであろう。
【0045】
上述したように、画像(400)に示されるような内視鏡ビューは、内視鏡又は
図2~
図3の器具(100)のような他の視認器具によって捕捉され得る。また上述したように、器具(100)は、患者(P)内の遠位端(120)のリアルタイム位置を示す信号を生成するナビゲーションセンサアセンブリ(110)を含む。任意の他の種類の内視鏡又は他の視認器具は、ナビゲーションセンサアセンブリ(110)のような1つ以上の位置センサを同様に含んでもよい。ナビゲーションセンサアセンブリ(110)からのデータは、3次元空間内の遠位端(120)のリアルタイム位置、カメラ(161)によって提供される視野角、シャフトアセンブリ(108)のロール角などを示し得る。
【0046】
位置センサ(例えば、ナビゲーションセンサアセンブリ(110))を有する内視鏡(例えば、器具(100))に加えて、内視鏡と共に使用される器具(例えば、作業要素(101)又は器具(410))も位置センサを有してもよい。したがって、そのような位置センサは、3次元空間における器具のリアルタイム位置を決定するために使用され得る。いくつかの状況では、器具は、3次元空間における器具のリアルタイム位置を外挿するために内視鏡の位置センサからのデータと組み合わせて使用され得る、長さ、幅、高さ、幾何学形状、角度、直径等の既知の特性を有する。例えば、内視鏡の位置センサが、3次元空間における内視鏡のリアルタイム位置を決定するために使用され、器具の1つ以上の特徴が、内視鏡に対する器具の位置を(例えば、光学的に、電磁的に等)決定するために使用される場合、3次元空間における器具のリアルタイム位置が決定され得る。加えて、器具の特定の構造的特性が予め決定され、3次元空間における器具のリアルタイム位置を決定する際に利用されてもよい。
【0047】
図8は、プロセッサ(52)が器具データを取得し得る(801)方法(800)の一例を示す。この文脈において、「器具」は、作業要素(101)及び/又は器具(410)を含んでもよい。場合によっては、器具データは、作業要素(101)及び/又は器具(410)自体から自動的に取得されてもよい(601)。例えば、作業要素(101)及び/又は器具(410)は、内部記憶装置(例えば、EEPROM等)、バーコード、又は器具データが自動的に取得され得る(801)何らかの他の特徴を含んでもよい。これに加えて、又はこれに代えて、操作者は、例えば操作制御部(54)などを介して、器具データをプロセッサ(52)に入力してもよい。あるいは、器具データは、任意の他の適切な方法で取得されてもよい(801)。
【0048】
器具データが取得されると(801)、プロセッサ(52)は、例えば、器具タイプ、1つ以上の種類の器具使用事例(例えば、作業要素(101)及び/又は器具(410)が使用されるように構成される処置の種類)、作業要素(101)又は器具(410)の構造特性(例えば、長さ、曲げ角度、直径等の作業要素(101)又は器具(410)の構造特性)、及び/又は作業要素(101)又は器具(410)に関連付けられた他の術前情報等の器具使用に関する種々の要因を判定又は識別し得る(802)。
【0049】
器具(100、410)が患者(P)に挿入されると、プロセッサ(52)は、1つ以上の位置センサから位置情報を取得して(803)、患者(P)内の作業要素(101)又は器具(410)のリアルタイム位置を決定することができる。上述のように、器具(100)は、そのような位置情報を生成するために使用され得るナビゲーションセンサアセンブリ(110)を含む。作業要素(101)又は器具(410)は、患者(P)内の作業要素(101)又は器具(410)のリアルタイム位置を示す信号を生成するために、同様の種類の位置センサを含んでもよいことを理解されたい。
【0050】
患者(P)内の作業要素(101)又は器具(410)のリアルタイム位置を示す、取得された(803)位置情報に基づいて、プロセッサ(52)は、器具(100)に対する(又は何らかの他の種類の内視鏡若しくは他の画像捕捉器具に対する)器具の場所を判定してもよい(804)。上述したように、プロセッサ(52)は、ナビゲーションセンサアセンブリ(110)からの信号に基づいて、患者(P)内の器具(100)の位置を既に「知っている」場合がある。したがって、プロセッサ(52)は、患者(P)内の作業要素(101)又は器具(410)のリアルタイム位置を、患者(P)内の器具(100)のリアルタイム位置と相関させることができる。
【0051】
プロセッサ(52)は更に、作業要素(101)又は器具(410)の遠位端のリアルタイム位置に関連付けられた、器具(100)のリアルタイム位置(これはカメラ(161)の視野の位置に対応する)に基づく、1つ以上の術前画像を識別してもよい(805)。換言すれば、患者(P)のリアルタイム位置がプロセッサ(52)に登録され、それによって患者(P)が術前画像に登録され、器具(100)及び作業要素(101)又は器具(410)のいずれかのリアルタイム位置がプロセッサ(52)によって追跡されている状態で、プロセッサ(52)は、どの術前画像が、器具(100)及び作業要素(101)又は器具(410)のいずれかが現在位置している患者(P)内の解剖学的位置を示すかを決定することができる。更に、本明細書で説明するように、プロセッサ(52)は、各デバイスの他のデバイスに対する位置を決定することができる。したがって、既知の器具類と組み合わせて高精度追跡システムを利用することによって、プロセッサ(52)は、患者(P)の体内の器具(例えば、器具(100)及び作業要素(101)又は器具(410)のいずれか)のリアルタイム位置を決定することができる。次いで、位置情報に基づいて、プロセッサ(52)は、器具の位置、したがってカメラ(161)からの内視鏡ビューを、1つ以上の術前画像に対して相関させることができる。
【0052】
適切な術前画像が識別されると、プロセッサ(52)は、作業要素(101)又は器具(410)の一部が患者(P)の解剖学的構造によって覆い隠される可能性があるかどうかを判定することができる(806)。この判定(806)は様々な方法で達成することができる。例えば、一部の変形例では、プロセッサ(52)及び/又は操作者は、もしあれば、作業要素(101)又は器具(410)のどの部分が覆い隠されているか、及び/又はカメラ(161)からの内視鏡ビューの外側にあるかを決定するために、カメラ(161)からの内視鏡ビューに依存してもよい。高精度追跡を使用して、既知の要因を組み合わせて、プロセッサ(52)は、作業要素(101)又は器具(410)の覆い隠された又は他の場合において見えない部分の位置の投影及び/又は重ね合わせビューを、術前画像(例えば、CT画像)を参照して構築してもよい。
【0053】
プロセッサ(52)が器具情報(例えば、タイプ、構成、使用事例など)を決定し(802)、内視鏡に対する器具の位置を決定すると(804)、器具のグラフィカル表現(例えば、その位置、サイズ、方向、形状など)を、内視鏡ビュー上に術前画像データとオーバーレイする(805)ことができる。換言すれば、挿入された器具の一部が(例えば、解剖学的構造によって、又は血液などによって)覆い隠されている内視鏡ビューの領域において、プロセッサ(52)は、術前画像の対応する部分を、術前画像における挿入された器具の覆い隠された部分のグラフィック表現とオーバーレイしてもよい(805)。したがって、プロセッサ(52)は、内視鏡ビュー、術前画像の一部、及び挿入された器具(例えば、作業要素(101)又は器具(410))の覆い隠された部分のグラフィック表現の組み合わせによって形成される合成画像を提供することができる。挿入された器具の覆い隠されていない部分は、合成画像内の内視鏡ビューの対応する部分内に依然として示され得る。これらのビューを単一の合成画像内に提供することによって、ディスプレイスクリーン(56)が操作者に提供し得る視覚的混乱は、他の場合においていくつかの別個の画像を同時に提示することによって提供され得る視覚的混乱よりも少ない。
【0054】
いくつかの変形例では、操作者は、プロセッサ(52)が術前画像の対応する部分をオーバーレイすべき内視鏡ビュー内の領域を(例えば、操作制御部(54)を介して)手動で指定してもよい。そのような手動指定は、挿入された器具の一部が覆い隠されていない状況においても提供され得る。例えば、初期内視鏡画像は、内視鏡画像上にオーバーレイされるいかなる術前画像も伴わずに、鼻腔内の中鼻甲介(MT)及び周囲の解剖学的構造のビューを提供し得る。ユーザは、中鼻甲介(MT)の一部等の内視鏡画像内の領域を選択してもよい。プロセッサ(52)は、次いで、患者の解剖学的構造のその領域の対応する術前画像を内視鏡画像のその部分上にオーバーレイし得る。
【0055】
いくつかの場合(例えば、対応する術前画像が視線に沿って患者の解剖学的構造内のより深い平面にある場合)において、オーバーレイされた術前画像は、操作者が中鼻甲介(MT)又は他の解剖学的構造を効果的に「透視」することを可能にし得る。リアルタイム内視鏡ビューと術前画像との組み合わせによって形成される合成画像内の解剖学的構造を効果的に「透視」するこの能力は、合成画像が図の方法(800)を介して形成されるか、及び/又は「透視」する領域の操作者による手動選択を介して形成されるかに関係なく提供され得る。この「透視」能力は、器具類又は他の解剖学的構造が、内視鏡ビューにおいて血液、他の流体、デブリなどによって覆い隠されている状況においても提供され得る。同様に、この「透視」能力は、器具類又は他の解剖学的構造が内視鏡(例えば、器具(100)又はカメラを有する別の器具)の視野外に別様にある状況においても提供され得る。
【0056】
図9は、上記の教示に従って形成され得る合成画像(900)の一例を示す。複合画像(900)は、器具(910)が器具(100)と組み合わせて(又は何らかの他の内視鏡若しくは他のカメラ装備器具と組み合わせて)使用される医療処置中に、ディスプレイスクリーン(56)上にレンダリングされ得る。この例の合成画像(900)は、内視鏡ビュー(902)、半透明オーバーレイ(904)、及び仮想投影(914)を含む。内視鏡ビュー(902)は、器具(100)のカメラ(161)によって、何らかの他の種類の内視鏡によって、又はカメラを有する何らかの他の種類の器具によって捕捉された画像を含んでもよい。
図9に見られるように、器具(910)の近位部分(912)は、内視鏡ビュー(902)内で見ることができる。器具(910)は、本明細書で言及される様々な種類の器具のうちのいずれか、又は作業要素(101)などを含み得る。
【0057】
器具(910)の遠位部分は、上述したように、遠位部分(414)が
図4の中鼻甲介(MT)によって覆い隠されるのと同様に、内視鏡ビュー(902)において解剖学的構造によって覆い隠される。しかしながら、プロセッサ(52)は、患者(P)内の内視鏡に対する器具(910)のリアルタイム位置、器具(910)のどの部分が内視鏡ビュー(902)内で覆い隠されているか、どの術前画像領域が器具(910)の遮られた部分を遮る解剖学的構造に関連付けられているか、及びどこでその術前画像領域がリアルタイム内視鏡ビュー(902)に対応するかを決定することができる。したがって、プロセッサ(52)は、半透明オーバーレイ(904)の形態でその術前画像領域を選択して位置決めすることができる。示されるように、本例では、半透明オーバーレイ(904)は、概して、器具(910)の遠位部分が覆い隠される内視鏡ビュー(902)内の領域に限定される。したがって、半透明オーバーレイ(904)は、器具(910)の遠位部分が覆い隠される内視鏡ビュー(902)内の領域を実質的に越えて延在しない。オーバーレイ(904)が半透明であるので、操作者は、内視鏡ビュー(902)と、合成画像(900)のオーバーレイ(904)領域内の術前画像ビューとを同時に観察することができる。
【0058】
プロセッサ(52)はまた、患者(P)内の器具(910)のリアルタイム位置を追跡するように構成されているので、プロセッサ(52)は、仮想投影(914)を生成して、別様に覆い隠された器具(910)の遠位部分がどこに位置するかを視覚的に示すように動作可能である。この例では、仮想投影(914)は、対応する術前画像領域によって形成された半透明オーバーレイ(904)内にのみ提供される。半透明オーバーレイ(904)が器具(910)の覆い隠された部分の全体にわたって広がらないいくつかの変形例では、仮想投影(914)は、半透明オーバーレイ(904)が延在しない内視鏡ビュー(902)の一部分に重なってもよい。換言すれば、半透明オーバーレイ(904)が内視鏡ビュー(902)のその領域内に延在しない場合であっても、仮想投影(914)は依然として、器具(910)の覆い隠された部分が内視鏡ビュー(902)内のどこに位置するかを視覚的に示すために使用され得る。更に、プロセッサ(52)は、半透明オーバーレイ(904)が内視鏡ビュー(902)上に提供されるべき範囲を操作者が(例えば、操作制御部(54)を介して)選択することを可能にするように構成されてもよい。場合によっては、操作者は、器具(910)の遠位部分が覆い隠されている内視鏡ビュー(902)の領域の全て又は一部から半透明オーバーレイ(904)を省略することを望む場合があり、操作者は、内視鏡ビュー(902)内の仮想投影(914)に単に依存して、器具(910)の覆い隠された部分の一部又は全てが解剖学的構造に対してどこに位置するかを決定することができる。
【0059】
図10は、上記の教示に従って形成され得る合成画像(1000)の別の例を示す。複合画像(1000)は、器具(1010)が器具(100)と組み合わせて(又は何らかの他の内視鏡若しくは他のカメラ装備器具と組み合わせて)使用される医療処置中に、ディスプレイスクリーン(56)上にレンダリングされ得る。この例の合成画像(1000)は、内視鏡ビュー(1002)、不透明なオーバーレイ(1004)、及び仮想投影(1014)を含む。内視鏡ビュー(1002)は、器具(100)のカメラ(161)によって、何らかの他の種類の内視鏡によって、又はカメラを有する何らかの他の種類の器具によって捕捉された画像を含んでもよい。
図10に見られるように、器具(1010)の近位部分(1012)は、内視鏡ビュー(1002)内で見ることができる。器具(1010)は、本明細書で言及される様々な種類の器具のうちのいずれか、又は作業要素(101)などを含み得る。
【0060】
器具(1010)の遠位部分は、上述したように、遠位部分(414)が
図4の中鼻甲介(MT)によって覆い隠されるのと同様に、内視鏡ビュー(1002)において解剖学的構造によって覆い隠される。しかしながら、プロセッサ(52)は、患者(P)内の内視鏡に対する器具(1010)のリアルタイム位置、器具(1010)のどの部分が内視鏡ビュー(1002)内で覆い隠されているか、どの術前画像領域が器具(1010)の遮られた部分を遮る解剖学的構造に関連付けられているか、及びどこでその術前画像領域がリアルタイム内視鏡ビュー(1002)に対応するかを決定することができる。したがって、プロセッサ(52)は、その術前画像領域を不透明なオーバーレイ(1004)の形態で選択して位置決めすることができる。示されるように、本例では、不透明なオーバーレイ(1004)は、概して、器具(1010)の遠位部分が覆い隠される内視鏡ビュー(1002)内の領域に限定される。したがって、不透明なオーバーレイ(1004)は、器具(1010)の遠位部分が覆い隠される内視鏡ビュー(1002)内の領域を実質的に越えて延在しない。オーバーレイ(1004)が不透明であるので、操作者は、合成画像(1000)のオーバーレイ(1004)領域内の術前画像ビューのみを見ることができる。
【0061】
プロセッサ(52)はまた、患者(P)内の器具(1010)のリアルタイム位置を追跡するように構成されているので、プロセッサ(52)は、仮想投影(1014)を生成して、別様に覆い隠された器具(1010)の遠位部分がどこに位置するかを視覚的に示すように動作可能である。この例では、仮想投影(1014)は、対応する術前画像領域によって形成された不透明なオーバーレイ(1004)内にのみ提供される。半透明オーバーレイ(1004)が器具(1010)の覆い隠された部分の全体にわたって広がらないいくつかの変形例では、仮想投影(1014)は、不透明なオーバーレイ(1004)が延在しない内視鏡ビュー(1002)の一部分に重なってもよい。換言すれば、仮想投影(1014)は、不透明なオーバーレイ(1004)が内視鏡ビュー(1002)のその領域内に延在しない場合であっても、器具(1010)の覆い隠された部分が内視鏡ビュー(1002)内のどこに位置するかを視覚的に示すために依然として使用され得る。更に、プロセッサ(52)は、不透明なオーバーレイ(1004)が内視鏡ビュー(1002)上に提供されるべき範囲を操作者が(例えば、操作制御部(54)を介して)選択することを可能にするように構成されてもよい。場合によっては、操作者は、器具(1010)の遠位部分が覆い隠されている内視鏡ビュー(1002)の領域の全て又は一部から不透明なオーバーレイ(1004)を省略することを望む場合があり、操作者は、内視鏡ビュー(1002)内の仮想投影(1014)に単に依存して、器具(1010)の覆い隠された部分の一部又は全てが解剖学的構造に対してどこに位置するかを決定することができる。
【0062】
上述のように、合成画像(900)は、術前画像領域の半透明オーバーレイ(904)を提供し、合成画像(1000)は、術前画像領域の不透明なオーバーレイ(1004)を提供する。いくつかの変形例は、操作者が、内視鏡ビュー(902、1002)上の術前画像オーバーレイ(904、1004)の透明度を選択することを可能にし得る。例えば、プロセッサ(52)のいくつかの変形例は、操作者が、グラフィカルユーザインターフェース又は他のものにおいて、スライダ、ノブ、又は他の制御機構の操作を通して等、操作制御部(54)を介して透明度を選択することを可能にし得る。
【0063】
また、操作者が患者内で器具(910、1010)を移動させると、オーバーレイ(904、1004)及び仮想投影(914、1014)の位置が対応してリアルタイムで移動して、隣接する解剖学的構造に対する器具(910、1010)の移動の視覚的追跡を容易にすることができることも理解されたい。
【0064】
更に別の変形例として、合成画像(900、1000)は、オーバーレイ(904、1004)及び仮想投影(914、1014)を含むことに加えて、上述のオーバーレイ(734)などの1つ以上の追加オーバーレイを含むことができる。2つ以上の器具(910、1010)が患者内に同時に配置され、プロセッサ(52)が患者内の2つ以上の器具(910、1010)のリアルタイム位置を追跡するように構成される状況では、そのような各器具は、同じ単一の合成画像(900、1000)内にそれ自体の対応するオーバーレイ(904、1004)及び仮想投影(914、1014)を有し得る。
【0065】
V.組み合わせの実施例
以下の実施例は、本明細書の教示が組み合わされ得るか又は適用され得る、様々な非網羅的な方式に関する。以下の実施例は、本出願又は本出願のその後の出願において任意の時点で提示され得るいかなる特許請求の範囲も限定することを意図するものではないことを、理解されたい。一切の権利放棄が、意図されていない。以下の実施例は、単に例解目的で提供されているに過ぎない。本明細書の様々な教示は、その他の多くの方式で構成及び適用され得ることが、企図される。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略し得ることもまた、企図される。したがって、以下に言及される態様又は特徴のいずれも、本発明者ら又は本発明者らの権利相続人によって後にそのように明示的に示されていない限り、重要であるとみなされるべきではない。本出願又は本出願に関連する後続の出願において提示される特許請求の範囲が、以下に言及されるもの以外の追加の特徴を含む場合、それらの追加の特徴は、特許性に関するいかなる理由のためにも追加されているものとみなされるべきではない。
【実施例0066】
医療処置ナビゲーションシステムであって、システムは、処理回路を備え、処理回路は、
(a)電子記憶装置から、医療処置器具に関連付けられたデータを取得することであって、電子記憶装置は、医療処置器具内に収容されている、ことと、(b)少なくとも1つの術前患者画像を取得することと、(c)1つ以上の追跡デバイスを使用して、医療処置器具及び撮像器具のリアルタイム位置を追跡することと、(d)撮像器具から、少なくとも1つの患者画像を取得することと、(e)医療処置器具に関連付けられたデータに基づいて、医療処置器具の少なくとも1つの特徴を決定することと、(f)医療処置器具及び撮像器具のリアルタイム位置と、少なくとも1つの特徴とに基づいて、少なくとも1つの術前患者画像の局所ビューを識別することと、(g)少なくとも1つの術前患者画像の局所ビューを少なくとも1つの患者画像に重ね合わせてディスプレイ装置に表示することと、を行うように構成されている、医療処置ナビゲーションシステム。