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特開2024-154388サーバ装置、プログラム、方法、および、ゲームシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154388
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】サーバ装置、プログラム、方法、および、ゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20241023BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20241023BHJP
   A63F 13/35 20140101ALI20241023BHJP
   A63F 13/798 20140101ALI20241023BHJP
   G06Q 30/0207 20230101ALI20241023BHJP
【FI】
G06Q50/04
G09B19/00 H
A63F13/35
A63F13/798
G06Q30/0207 324
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063658
(22)【出願日】2024-04-10
(31)【優先権主張番号】P 2023067562
(32)【優先日】2023-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業「新規結晶の大規模探索に基づく革新的機能材料の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(72)【発明者】
【氏名】桂 ゆかり
【テーマコード(参考)】
5L030
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB07
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】 ゲームを通じて材料設計および取引を行うサーバ装置、プログラム、方法、および、ゲームシステムを提供すること。
【解決手段】 本発明のプレイヤがゲームをプレイすることによって材料設計を行い、材料設計の評価、プレイヤへの報酬、および、材料設計の利用を希望するカスタマとの取引の管理を行うサーバ装置は、プレイヤが設計した材料設計を取得する取得部と、材料設計を評価し、カスタマ用評価結果、および、プレイヤ用評価結果を作成する評価部と、カスタマ用評価結果をカスタマに提供し、取引を行う取引部と、プレイヤ用評価結果をプレイヤに提供し、報酬をプレイヤに提供する報酬部とを備える。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤがゲームをプレイすることによって材料設計を行い、前記材料設計の評価、前記プレイヤへの報酬、および、前記材料設計の利用を希望するカスタマとの取引の管理を行うサーバ装置であって、
前記プレイヤが設計した前記材料設計を取得する取得部と、
前記材料設計を評価し、カスタマ用評価結果、および、プレイヤ用評価結果を作成する評価部と、
前記カスタマ用評価結果を前記カスタマに提供し、取引を行う取引部と、
前記プレイヤ用評価結果を前記プレイヤに提供し、報酬を前記プレイヤに提供する報酬部と
を備えるサーバ装置。
【請求項2】
前記評価部は、前記材料設計を第一原理計算によって評価する、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記評価部は、前記材料設計を、価格、安定性、新規性、および、環境安全性からなる群から少なくとも1つ選択される指標に基づいて評価する、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記評価部は、前記材料設計にランク付け、および/または、ポイント付与をする、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記カスタマ用評価結果は、前記材料設計のランク付け情報を含む、請求項4に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記プレイヤ用評価結果は、前記材料設計のランク付け情報、および、ポイント情報を含む、請求項4に記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記取引部は、
前記カスタマから取引リクエストを受けとると、前記取引リクエストを前記プレイヤに通知し、
前記プレイヤから承認通知を受け取ると、前記カスタマと前記プレイヤとの間で前記材料設計の取引を開始する、請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項8】
前記取引リクエストは、前記材料設計に対する報酬条件を含む、請求項7に記載のサーバ装置。
【請求項9】
プレイヤがゲームをプレイすることによって材料設計を行い、前記材料設計の評価、前記プレイヤへの報酬、および、前記材料設計の利用を希望するカスタマとの取引の管理を行う、プログラムであって、
前記プレイヤが設計した前記材料設計を取得する機能と、
前記材料設計を評価し、カスタマ用評価結果、および、プレイヤ用評価結果を作成する機能と、
前記カスタマ用評価結果を前記カスタマに提供し、取引を行う機能と、
前記プレイヤ用評価結果を前記プレイヤに提供し、報酬を前記プレイヤに提供する機能と
をコンピュータに実現させる、プログラム。
【請求項10】
取引を行う機能に続いて、
前記カスタマから取引リクエストがあると、前記取引リクエストを前記プレイヤに送信する機能と、
前記プレイヤが前記取引リクエストに対して承認すると、取引成功を前記カスタマに送信し、前記カスタマからの報酬条件を含む報酬を前記プレイヤに提供する機能と
をコンピュータに実現させる、請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
プレイヤがゲームをプレイすることによって材料設計を行い、前記材料設計の評価、前記プレイヤへの報酬、および、前記材料設計の利用を希望するカスタマとの取引の管理を行う方法であって、
前記プレイヤが設計した前記材料設計を取得することと、
前記材料設計を評価し、カスタマ用評価結果、および、プレイヤ用評価結果を作成することと、
前記カスタマ用評価結果を前記カスタマに提供し、取引を行うことと、
前記プレイヤ用評価結果を前記プレイヤに提供し、報酬を前記プレイヤに提供することと
を包含する、方法。
【請求項12】
サーバ装置と、プレイヤ端末と、カスタマ端末とを備えるゲームシステムであって、
前記サーバ装置は、請求項1~8のいずれかに記載のサーバ装置であり、
前記プレイヤ端末は、前記サーバ装置と通信を行い、前記プレイヤがゲームをプレイすることにより前記材料設計を行い、
前記カスタマ端末は、前記サーバ装置と通信を行い、前記材料設計の利用を希望する前記カスタマが取引を行う、ゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置、プログラム、方法、および、ゲームシステムに関し、詳細には、材料設計をし、取引を行うサーバ装置、プログラム、方法、および、ゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
優れた性能を有する新たな材料の開発は幅広い分野で求められており、例えば電気産業分野に限っても自動車モーター用強力耐熱磁石、変圧部品用軟磁性体、低温度差発電用電熱材料等枚挙にいとまがない。このような材料開発の要求に対処するには、もはや従来のような既存材料をベースにした組成・プロセスのチューニング、PDCAサイクルなどトライアンドエラー方式による模索だけでは十分ではないことは明白である。
【0003】
近年このような状況を打破するため、強力なマシンパワーに裏打ちされた大規模計算による手法が注目され成果が得られはじめているものの、材料設計技術者が自ら計算のベースとなる材料構造を自力で組み立てて、モデリングした材料設計に対し容易に計算実験を行う状況には至っていない。また、新規材料開発手法としてAI技術を活用して第一原理計算と機械学習を組み合わせて新規の物質を探索するアプローチも近年進められている(例えば、非特許文献1を参照)。しかしながらこのような方法を実際にシステムに導入し、幅広い人材に供するには強い動機付けと多額の資金が必要となる。
【0004】
オンラインパズルゲームによってゲームプレイヤがタンパク質の折り畳みを行い、ハイスコアのデータを立体構造解析に適用する試みも始まっている(例えば、非特許文献2を参照)。非特許文献2によれば、解析対象が特定されており汎用性に課題があり、かつ、解析結果から報酬を得る手段が策定されていないため特に設計者が設計意欲を維持するには不十分である懸念がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】出村雅彦,「AIを活用した材料開発における我が国の取り組み~NIMSを例として」,第70回白石記念講座,2018年11月26日,一般社団法 人日本鉄鋼協会,ISSN:1344-0942
【非特許文献2】Foldit,https://www.fold.it/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上より、本発明の課題は、ゲームを通じて材料設計および取引を行うサーバ装置、プログラム、方法、および、ゲームシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるサーバ装置は、プレイヤがゲームをプレイすることによって材料設計を行い、前記材料設計の評価、前記プレイヤへの報酬、および、前記材料設計の利用を希望するカスタマとの取引の管理を行い、前記プレイヤが設計した前記材料設計を取得する取得部と、前記材料設計を評価し、カスタマ用評価結果、および、プレイヤ用評価結果を作成する評価部と、前記カスタマ用評価結果を前記カスタマに提供し、取引を行う取引部と、前記プレイヤ用評価結果を前記プレイヤに提供し、報酬を前記プレイヤに提供する報酬部とを備え、これにより上記課題を解決する。
前記評価部は、前記材料設計を第一原理計算によって評価してもよい。
前記評価部は、前記材料設計を、価格、安定性、新規性、および、環境安全性からなる群から少なくとも1つ選択される指標に基づいて評価してもよい。
前記評価部は、前記材料設計にランク付け、および/または、ポイント付与をしてもよい。
前記カスタマ用評価結果は、前記材料設計のランク付け情報を含んでもよい。
前記プレイヤ用評価結果は、前記材料設計のランク付け情報、および、ポイント情報を含んでもよい。
前記取引部は、前記カスタマから取引リクエストを受けとると、前記取引リクエストを前記プレイヤに通知し、前記プレイヤから承認通知を受け取ると、前記カスタマと前記プレイヤとの間で前記材料設計の取引を開始してもよい。
前記取引リクエストは、前記材料設計に対する報酬条件を含んでもよい。
本発明によるプログラムは、プレイヤがゲームをプレイすることによって材料設計を行い、前記材料設計の評価、前記プレイヤへの報酬、および、前記材料設計の利用を希望するカスタマとの取引の管理を行い、前記プレイヤが設計した前記材料設計を取得する機能と、前記材料設計を評価し、カスタマ用評価結果、および、プレイヤ用評価結果を作成する機能と、前記カスタマ用評価結果を前記カスタマに提供し、取引を行う機能と、前記プレイヤ用評価結果を前記プレイヤに提供し、報酬を前記プレイヤに提供する機能とをコンピュータに実現させ、これにより上記課題を解決する。
取引を行う機能に続いて、前記カスタマから取引リクエストがあると、前記取引リクエストを前記プレイヤに送信する機能と、前記プレイヤが前記取引リクエストに対して承認すると、取引成功を前記カスタマに送信し、前記カスタマからの報酬条件を含む報酬を前記プレイヤに提供する機能とをコンピュータに実現させてもよい。
本発明のプレイヤがゲームをプレイすることによって材料設計を行い、前記材料設計の評価、前記プレイヤへの報酬、および、前記材料設計の利用を希望するカスタマとの取引の管理を行う方法は、前記プレイヤが設計した前記材料設計を取得することと、前記材料設計を評価し、カスタマ用評価結果、および、プレイヤ用評価結果を作成することと、前記カスタマ用評価結果を前記カスタマに提供し、取引を行うことと、前記プレイヤ用評価結果を前記プレイヤに提供し、報酬を前記プレイヤに提供することとを包含し、これにより上記課題を解決する。
本発明のゲームシステムは、サーバ装置と、プレイヤ端末と、カスタマ端末とを備え、前記サーバ装置は、上記サーバ装置であり、前記プレイヤ端末は、前記サーバ装置と通信を行い、前記プレイヤがゲームをプレイすることにより前記材料設計を行い、前記カスタマ端末は、前記サーバ装置と通信を行い、前記材料設計の利用を希望する前記カスタマが取引を行い、これにより上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プレイヤがゲームをプレイすることによって行った材料設計の評価、プレイヤへの報酬、および、材料設計の利用を希望するカスタマとの取引の管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のゲームシステムを示す模式図
図2】本発明のサーバ装置の構成を示す機能ブロック図
図3】評価部の機能構成例を示す機能ブロック図
図4】取引部の機能構成例を示す機能ブロック図
図5】報酬部の機能構成例を示す機能ブロック図
図6】記憶部が記憶するプログラムおよびデータの例を示す図
図7】本発明のプレイヤ端末の構成を示す機能ブロック図
図8】本発明のカスタマ端末の構成を示す機能ブロック図
図9】サーバ装置における処理の一例を示すフローチャート
図10】サーバ装置における処理のさらなる一例を示すフローチャート
図11】プレイヤ端末に表示される例示的な材料設計を示すインターフェース
図12】カスタマ端末に表示される例示的なカスタマ用評価結果を示すインターフェース
図13】プレイヤ端末に表示される例示的なプレイヤ用評価結果を示すインターフェース
図14】プレイヤ端末に表示される例示的な別のプレイヤ用評価結果を示すインターフェース
図15】カスタマ端末に表示される例示的な取引リクエストを示すインターフェース
図16】プレイヤ端末に表示される例示的な取引リクエストを示すインターフェース
図17】カスタマ端末に表示される例示的な取引成立後を示すインターフェース
図18】プレイヤ端末に表示される例示的な報酬を示すインターフェース
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
【0011】
(実施の形態1)
実施の形態1では、サーバ装置、および、それを用いたゲームシステムの構成を説明する。
図1は、本発明のゲームシステムを示す模式図である。
【0012】
ゲームシステム100は、サーバ装置110と、プレイヤ端末120と、カスタマ端末130とを備え、ネットワークNWを介して通信可能に接続される。ネットワークNWは、広域情報通信網(WAN)、構内情報通信網(LAN)等である。
【0013】
プレイヤ端末120は、プレイヤがゲームをプレイすることによって材料設計を行い、この材料設計に関する情報をサーバ装置110に送信する。材料設計は、無機材料、有機材料、金属材料、および、これらの複合材料の設計に関する情報であってよく、固体、液体、気体の状態を問わない。一例として、磁性材料、超電導、電池電極などの無機固体、製薬などの有機固体、液晶、二次電池などの有機液体が挙げられる。
【0014】
プレイヤ端末120は、後述するカスタマからの取引リクエストを、サーバ装置110を介して受信し、取引リクエストを承認すると、サーバ装置110を介して、カスタマと材料設計の取引を開始する。
【0015】
カスタマ端末130は、プレイヤが設計した材料設計に関するランク付け情報等を閲覧し、材料設計の利用を希望する場合に取引リクエストをサーバ装置110に送信する。取引リクエストが承認されると、サーバ装置110を介して、プレイヤと材料設計の取引を開始する。
【0016】
サーバ装置110は、プレイヤがゲームをプレイすることによって材料設計を行い、材料設計の評価、プレイヤへの報酬、および、材料設計の利用を希望するカスタマとの取引の管理を行う。詳細には、サーバ装置110は、プレイヤ端末120からの材料設計を受信し、その材料設計を評価し、プレイヤへの報酬を行うとともに、カスタマ端末130へ評価結果を送信する。サーバ装置110は、カスタマ端末130から取引リクエストを受信し、プレイヤが取引リクエストを承認すると、カスタマとの取引の管理を行う。
【0017】
図2は、本発明のサーバ装置の構成を示す機能ブロック図である。
【0018】
サーバ装置110は、少なくとも、取得部220と、評価部230と、取引部240と、報酬部250とを備える。図2には、サーバ装置110は、さらに、通信部210および記憶部260を備えるが、取得部220が通信部210や記憶部260の機能を備えていてもよい。
【0019】
通信部210は、プレイヤ端末120およびカスタマ端末130と、ネットワークNWを介した通信を行うための制御を行い、その機能は、各種プロセッサ、通信用ASCI等のハードウェア、あるいは、プログラムにより実現される。
【0020】
取得部220は、プレイヤ端末120から送信されたプレイヤがゲームをプレイすることによって設計した材料設計を、通信部210を介して、取得する。取得部220は、取得した材料設計を記憶部260へ送り、格納する。プレイヤが設計した材料設計は、データIDが付与され、プレイヤIDと紐づけられて格納されてよい。
【0021】
評価部230は、記憶部260に格納した材料設計を呼び出し、評価し、カスタマ用評価結果、および、プレイヤ用評価結果を作成する。評価部230は、材料設計にランク付け情報、および/または、ポイント付与してもよい。カスタマ用評価結果は、取引意欲を引き出すため、好ましくは、材料設計のランク付け情報を含む。プレイヤ用評価結果は、材料設計の設計意欲を引き出すため、好ましくは、材料設計のランク付け情報およびポイント情報を含む。
【0022】
評価部230は、材料設計を第一原理計算によって評価してもよい。評価部230は、材料設計を、価格、安全性、新規性、および、環境安全性からなる群から少なくとも1つ選択される指標に基づいて評価してもよい。これらの評価をすべて行ってもよいし、一部行ってもよい。これらの評価結果は、データIDおよびプレイヤIDと紐づけられて、記憶部260に格納されてよい。
【0023】
取引部240は、カスタマ用評価結果をカスタマに提供し、取引を行う。詳細には、取引部240は、評価部230が作成したカスタマ用評価結果を記憶部260から読み出し、通信部210を介して、カスタマ端末130に送信する。取引とは、カスタマとプレイヤとの間で材料設計に係る取引であり、例えば、カスタマが材料設計を購入してもよいし、プレイヤにポイントを付与してもよいし、カスタマと材料設計について共同研究契約を締結してもよい。
【0024】
報酬部250は、プレイヤ用評価結果をプレイヤに提供し、報酬を提供する。詳細には、報酬部250は、評価部230が作成したプレイヤ用評価結果を記憶部260から読み出し、通信部210を介して、プレイヤ端末120に送信する。このようにしてプレイヤがゲームをプレイすることによって行った材料設計の評価、プレイヤへの報酬、および、材料設計の利用を希望するカスタマとの取引の管理を行うことができる。
【0025】
各機能について詳細に説明する。
図3は、評価部の機能構成例を示す機能ブロック図である。
【0026】
評価部230は、データ前処理部231と、第一原理計算部232と、物性計算部233と、ポイント付与部234と、評価結果作成部235とを備える。
【0027】
データ前処理部231は、記憶部260から材料設計を読み出し、第一原理計算用データセットを作成する。第一原理計算用データセットは、データIDおよびプレイヤIDと紐づけられて、第一原理計算部232に送られる。例えば、無機材料に関する材料設計は、構成元素、原子座標、格子定数、空間群等のデータを有し、これらに基づいて第一原理計算用入力ファイルが作成される。
【0028】
第一原理計算部232は、作成された第一原理計算用データセットを用い、第一原理計算を実施する。計算結果は、データIDおよびプレイヤIDのタグ付けがされ、ポイント付与部234に送られる。例えば、計算結果は、電子密度、バンド分散、状態密度、フェルミ面等の電子状態に関する情報、全エネルギー、凝集エネルギー、吸着エネルギー、エネルギー障壁等エネルギーに関する情報、格子定数、体積弾性率等の格子定数に関する物理量、誘電分極、磁化、応力テンソル、仕事関数等の物理量に関する情報を含んでよい。
【0029】
第一原理計算手法の例としては特に制限はないが、材料設計が無機材料の場合には、VASP、Quantum Espresso、WIEN2k、RSDFT、有機材料の場合には、Gaussianなどを採用できる。
【0030】
なお、第一原理計算部232は、第一原理計算に先立って、材料データベースとの比較、あるいは、半経験的計算手法を実施し、組成に重複がない、高い特性が期待できる等の材料設計を優先的に第一原理計算するようにしてもよい。これにより、時間やコストの削減が可能である。
【0031】
物性計算部233は、必要に応じて第一原理計算部232の結果を用いて、新規性、安定性、価格、環境安全性、性能からなる群から少なくとも1つ選択される指標に基づいて、材料設計を評価する。
【0032】
例えば、新規性は、結晶構造の既存化合物との類似性をクリスタルグラフなどの構造記述子を用いることで評価できる。安定性はエネルギーの計算値から評価できる。価格や環境安全性は、各元素の時価や環境毒性、地中埋蔵量などのデータに、各元素の組成比を乗算して積算することで評価できる。性能は、目的とする材料の物性またはその指標となる物性を、第一原理計算と理論モデル式を組み合わせることで評価できる。
【0033】
詳細には、物性計算部233が材料設計を新規性に基づいて評価する場合、物性計算部233は、クリスタルグラフ法などの結晶構造記述子を用いて設計された結晶構造の特徴をベクトル化した後、そのベクトルを既知のデータ(例えば、過去に他のユーザが計算したすべての結晶構造のベクトル)と比較して、最も似ていた結晶構造との距離を計算することで評価できる。ベクトルの比較の結果、距離が十分に小さければ最も似ていた結晶構造と特定でき、設計された結晶構造と、最も似ていた結晶構造との距離が十分に離れていれば、新規性が高いと評価でき、距離が0であれば、新規性が無と評価できる。
【0034】
物性計算部233が材料設計を価格に基づいて評価する場合、物性計算部233は、各元素の価格表から価格を算出することができる。例えば、物性計算部233が材料設計を安定性に基づいて評価する場合、物性計算部233は、安定性を構造安定化後の生成エンタルピーの正(静的不安定)、負(静的安定)およびフォノン振動数の実(動的安定)、虚(動的不安定)によって評価できる。
【0035】
例えば、物性計算部233が材料設計を、環境安全性として毒性に基づいて評価する場合、物性計算部233は、医薬品における元素不純物のリスクアセスメントによるクラス分類(https://www.ema.europa.eu/en/documents/scientific-guideline/international-conference-harmonisation-technical-requirements-registration-pharmaceuticals-human-use-ich-q3d-elemental-impurities-step-5-revision-1_en.pdf)を基準とすることができる。この分類は直接人間が摂取する医薬品の安全許容限度を設定したものであるが、リスクが高い順にクラス1(As,Cd,Hg,Pd)、クラス2A(Co,Mo,Se,V)、クラス2B(Ag,Au,Ir,Os,Pd,Pt,Rh,Ru,Tl)、クラス3(Ba,Cr,Cu,Li,Ni,Sb,Sn)に分類されており、設計に使用した元素の安全許容限度と含有率との積を指標とすることによって評価できる。設計に使用された各元素について、クラスごとに設定された毒性スコア(例えばクラス1:10点、クラス2A:5点、クラス2B:3点、クラス3:1点、その他:0点)を加え、毒性スコアの和が小さければ(例えば、0~2点)、環境安全性が高いと評価できる。このような計算結果は、データIDおよびプレイヤIDのタグ付けがされ、ポイント付与部234に送られる。
【0036】
ポイント付与部234は、第一原理計算部232および物性計算部233から送られた計算結果にポイントを付与する。ポイント付与部234は、例えば、全プレイヤの計算結果を各項目に並べ、項目ごとに上位からポイントを付与するようにしてもよい。ポイントが付与された計算結果は、データIDおよびプレイヤIDのタグ付けがされ、評価結果作成部235に送られる。
【0037】
評価結果作成部235は、計算結果を項目ごとにポイント順に並べランク付けしたり、全項目の合計ポイント順に並べランク付けしたりする。評価結果作成部235は、項目ごとのポイント、全項目の合計ポイント、および、ランク付け情報を含むプレイヤ用評価結果を作成する。評価結果作成部235は、項目ごとのランク付け、または、全項目のランク付け情報を含むカスタマ用評価結果を作成する。カスタマ用評価結果およびプレイヤ用評価結果は、それぞれ、データIDおよびプレイヤIDと紐づけされ、記憶部260に格納される。
【0038】
カスタマ用評価結果は、取引開始前には非公開である情報を含んでよい。例えば、取引開始前の非公開情報として、無機材料に関する材料設計の場合、構成元素、結晶パラメータ等の詳細情報である。評価結果作成部235は、後述する取引部240の取引成立の通知によって、非公開情報を公開情報に書き換えることができる。
【0039】
図4は、取引部の機能構成例を示す機能ブロック図である。
図5は、報酬部の機能構成例を示す機能ブロック図である。
【0040】
取引部240は、カスタマから取引リクエストを受け取ると、取引リクエストをプレイヤに通知し、プレイヤから承認通知を受け取ると、カスタマとプレイヤとの間で材料設計の取引を開始する。
【0041】
詳細には、取引部240は、記憶部260に格納されたカスタマ用評価結果を読み出し、カスタマに送付するカスタマ用評価結果送信部241と、カスタマからの取引リクエストを受信する取引リクエスト受信部242と、プレイヤからの取引リクエストの承認通知を受け取ると、カスタマに材料設計の取引の成功を通知し、プレイヤからの取引リクエストの否認通知を受け取ると、カスタマに材料設計の取引の失敗を通知する取引通知送信部243とを備える。取引通知送信部243は、取引成功を通知するとともに、評価部230の評価結果作成部235は、カスタマ用評価結果のうち非表示とされた材料設計を公開し、記憶部260に格納する。
【0042】
カスタマ用評価結果送信部241は、カスタマからの要求によって、あるいは、登録されたカスタマに自動的に、通信部210によりカスタマ端末130に送信されてよい。
【0043】
一方、報酬部250は、記憶部260に格納されたプレイヤ用評価結果を読み出し、プレイヤに送付するプレイヤ用評価結果送信部251と、取引リクエスト受信部242がカスタマからの取引リクエストを受け取ると、その取引リクエストをプレイヤに送信する取引リクエスト送信部252と、プレイヤから取引リクエストの承認通知または否認通知を受け取る通知受信部253と、少なくともプレイヤ用評価結果に基づいてプレイヤへの報酬を算出し、提供する報酬算出部254とを備える。例えば、報酬算出部254は、プレイヤ用評価結果の合計ポイントをプレイヤに提供する。
【0044】
取引リクエスト送信部252は、取引部240の取引通知送信部243がカスタマに取引の成立を送信すると同時に、プレイヤに材料設計の取引の成立を送信するようにしてもよい。カスタマからの取引リクエストが材料設計に対する報酬条件を含む場合、取引成立後、報酬算出部254は、合計ポイントに加えて、報酬条件に記載の報酬をプレイヤに提供してもよい。
【0045】
記憶部260は、サーバ装置110の通信部210、取得部220、評価部230、取引部240および報酬部250を機能させるプログラム、および、各種データを記憶する。また、記憶部260は、サーバ装置110の作業領域として用いられ、各種プログラムにしたがって実行した演算結果を一時的に記憶する。このような機能は、例えば、RAMやROMなどのICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD-ROMやDVDなどの光学ディスク、オンラインストレージなどによって実現される。
【0046】
図6は、記憶部が記憶するプログラムおよびデータの例を示す図である。
【0047】
記憶部260は、サーバプログラム261、ゲーム情報262、プレイヤ情報263、評価情報264、および、カスタマ情報265を含む。
【0048】
サーバプログラム261には、上述のサーバ装置110の通信部210、取得部220、評価部230、取引部240および報酬部250を機能させるプログラムが格納されてよい。
【0049】
ゲーム情報262は、プレイヤがゲームをプレイするに必要な各種初期設定データを含む。図6では、このような初期設定データとして、元素種、結晶格子サイズ、原子座標等の材料初期情報、および、ゲームを通して解決したい課題(目的)をプレイヤが選択可能な初期課題情報が示される。課題は、例えば、市場の要求する課題であってもよく、例えば、熱電特性、保持力、耐熱性、電気伝導性等の向上などが挙げられる。材料初期情報、初期課題情報以外にもゲームのストーリ情報、材料設計のAIサポート(合成器具や手順の提案、合成失敗の予測等)、結晶構造シミュレータが記憶されてもよい。
【0050】
プレイヤ情報263は、各プレイヤを識別するプレイヤIDリスト、各プレイヤが設計した材料設計のそれぞれを識別するデータIDリストを含む。材料設計データは、プレイヤIDとデータIDと紐づけられている。
【0051】
評価情報264は、評価部230で評価した、第一原理計算結果、物性計算結果の評価データ、プレイヤ用評価結果、および、カスタマ用評価結果を含む。これらのデータは、プレイヤIDとデータIDと紐づけられている。評価情報264は、さらに、プレイヤIDとデータIDと紐づけられた、ポイント付与情報、および、ランク付け情報を含んでもよい。
【0052】
カスタマ情報265は、カスタマ用評価結果の送付を希望する各カスタマを識別するカスタマIDリストを含むが、各プレイヤとの取引内容を含む情報を記録してもよい。
【0053】
図7は、本発明のプレイヤ端末の構成を示す機能ブロック図である。
【0054】
プレイヤ端末120は、情報処理装置であり、例えば、スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ、携帯ゲーム機、据置ゲーム機、ウェアラブル端末、双方向通信可能なテレビ等であってよい。プレイヤ端末は、入出力機能、情報処理機能、ネットワーク通信機能、通話機能、カメラ機能等を備える多機能デバイスであってよい。
【0055】
プレイヤ端末120は、上述したネットワークNWを介して、ユーザがゲームをプレイするために用いられる。プレイヤ端末120は、通信部121と、入力部122と、出力部123と、処理部124と、取引部125と、記憶部126とを備える。
【0056】
通信部121は、サーバ装置110と、ネットワークNWを介した通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサまたは通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0057】
入力部122は、プレイヤからの入力を受け付けるインターフェースであり、プレイヤの入力を処理部124に送る。入力部122は、例えば、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネル、マイク、コントローラであってよい。
【0058】
出力部123は、ディスプレイ等の表示装置、スピーカ等のオーディオ出力装置であり、入力部122の入力を表示したり、出力したり、あるいは、サーバ装置110から受信したプレイヤ用評価結果、取引リクエスト等を表示したり、出力したりする。
【0059】
処理部124は、プレイヤ端末120において実行される情報処理を実行する。処理部124は、CPUおよびメモリを有し、記憶部126に記憶されたゲーム情報等のプログラムを実行する。処理部124は、プレイヤが設計する材料、サーバ装置110から受信する材料に関する情報をプレイヤに提示する処理等を実行する。
【0060】
取引部125は、プレイヤ用評価結果に基づく報酬を受信したり、カスタマからの取引リクエストを受信したり、取引リクエストに対して承認通知または否認通知を送信したりする。
【0061】
記憶部126は、プレイヤ端末120の通信部121、入力部122、出力部123、処理部124および取引部125を機能させるプログラム、および、各種データを記憶する。また、記憶部126は、プレイヤ端末120の作業領域として用いられ、各種プログラムにしたがって実行した演算結果を一時的に記憶する。このような機能は、例えば、RAMやROMなどのICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD-ROMやDVDなどの光学ディスク、オンラインストレージなどによって実現される。
【0062】
記憶部126は、プレイヤID、プレイヤの個別情報を含むプレイヤ情報、プレイヤが設計した材料設計を含む材料設計情報、プレイヤ用評価結果に関する評価情報を含む。材料設計情報および評価情報は、すべて、プレイヤIDおよびデータIDと紐づけられている。
【0063】
図8は、本発明のカスタマ端末の構成を示す機能ブロック図である。
【0064】
カスタマ端末130は、情報処理装置であり、例えば、スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、デスクトップ型コンピュータ、携帯ゲーム機、据置ゲーム機、ウェアラブル端末、双方向通信可能なテレビ等であってよい。プレイヤ端末は、入出力機能、情報処理機能、ネットワーク通信機能、通話機能、カメラ機能等を備える多機能デバイスであってよい。
【0065】
カスタマ端末130は、上述したネットワークNWを介して、カスタマが材料設計をプレイヤと取引するために用いられる。カスタマ端末130は、通信部131と、入力部132と、出力部133と、取引部134と、記憶部135とを備える。
【0066】
通信部131は、サーバ装置110と、ネットワークNWを介した通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサまたは通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0067】
入力部132は、カスタマからの入力を受け付けるインターフェースであり、カスタマの入力を取引部134に送る。入力部132は、例えば、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネル、マイク、コントローラであってよい。
【0068】
出力部133は、ディスプレイ等の表示装置、スピーカ等のオーディオ出力装置であり、入力部132の入力を表示したり、出力したり、あるいは、サーバ装置110から受信したカスタマ用評価結果、取引リクエスト等を表示したり、出力したりする。
【0069】
取引部134は、カスタマ用評価結果を受信したり、取引を希望する取引リクエストを送信したり、取引リクエストに対して承認通知または否認通知を受信したりする処理等を実行する。
【0070】
記憶部135は、カスタマ端末130の通信部131、入力部132、出力部133および取引部134を機能させるプログラム、および、各種データを記憶する。また、記憶部135は、カスタマ端末130の作業領域として用いられ、各種プログラムにしたがって実行した演算結果を一時的に記憶する。このような機能は、例えば、RAMやROMなどのICメモリ、SSDなどのフラッシュメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD-ROMやDVDなどの光学ディスク、オンラインストレージなどによって実現される。
【0071】
記憶部135は、カスタマID、カスタマの個別情報を含むカスタマ情報、カスタマ用評価結果に関する評価情報、プレイヤとの取引履歴に関する取引情報を含む。カスタマ用評価結果および取引履歴は、すべて、プレイヤIDおよびデータIDと紐づけられている。
【0072】
以降では、本発明のプレイヤがゲームをプレイすることによって材料設計を行い、材料設計の評価、プレイヤへの報酬、および、材料設計の利用を希望するカスタマとの取引の管理を行う方法について説明する。
【0073】
図9は、サーバ装置における処理の一例を示すフローチャートである。
図10は、サーバ装置における処理のさらなる一例を示すフローチャートである。
図11は、プレイヤ端末に表示される例示的な材料設計を示すインターフェースである。
図12は、カスタマ端末に表示される例示的なカスタマ用評価結果を示すインターフェースである。
図13は、プレイヤ端末に表示される例示的なプレイヤ用評価結果を示すインターフェースである。
図14は、プレイヤ端末に表示される例示的な別のプレイヤ用評価結果を示すインターフェースである。
図15は、カスタマ端末に表示される例示的な取引リクエストを示すインターフェースである。
図16は、プレイヤ端末に表示される例示的な取引リクエストを示すインターフェースである。
図17は、カスタマ端末に表示される例示的な取引成立後を示すインターフェースである。
図18は、プレイヤ端末に表示される例示的な報酬を示すインターフェースである。
【0074】
まず、プレイヤが設計した材料設計を取得する(ステップS910)。
【0075】
図11には、プレイヤが、プレイヤ端末120を用いて材料設計をしているインターフェースが示される。例えば、プレイヤ端末120には、初期材料情報が表示されており、プレイヤは、周期表を表示し、原子置換をしようとしている。このようにしてプレイヤが設計した材料設計は、プレイヤ端末120の記憶部126に格納されるとともに、通信部121によりネットワークNWを介して、サーバ装置110に送信される。サーバ装置110の取得部220は、通信部210を介して、材料設計を取得し、記憶部260に格納する。このとき、記憶部260に格納された材料設計は、プレイヤIDおよびデータIDと紐づけられる。
【0076】
次いで、材料設計を評価し、カスタマ用評価結果、および、プレイヤ用評価結果を作成する(ステップS920)。
【0077】
評価部230は記憶部260に格納した材料設計を呼び出し、第一原理計算部232および物性計算部233は上述の計算を行い、評価結果作成部235がカスタマ用評価結果、および、プレイヤ用評価結果を作成する。作成されたカスタマ用評価結果、および、プレイヤ用評価結果は、記憶部260に送られ、評価情報264として格納される。カスタマ用評価結果、および、プレイヤ用評価結果は、プレイヤIDおよびデータIDと紐づけられる。
【0078】
次いで、カスタマ用評価結果をカスタマに提供し、取引を行う(ステップS930)。
【0079】
図12には、カスタマ端末130にカスタマ用評価結果のうちランク付けを示すインターフェースが示される。図12によれば、材料設計のランク付けが材料設計ごとに付与されたデータIDで表示されおり、ランク付け1位は、データID:012345に紐づけられた材料設計であることが分かる。なお、ランク付けは、プレイヤが材料設計をするたびに、適宜アップデートされるようになっていてよい。
【0080】
なお、図12のインターフェースにおいて、カスタマが第一原理計算タブを選択すれば、データID:012345の材料設計の第一原理計算の結果が表示され、カスタマが指標評価を選択すれば、データID:012345の材料設計の指標評価が表示される。ただし、取引成立前のすべての結果は、優、良、可などの相対的な表示となり、具体的な結果は表示されない。
【0081】
カスタマ用評価結果は、カスタマの要求によって、あるいは、登録されたカスタマに自動的に、通信部210によりネットワークNWを介してカスタマ端末130に送信されてよい。
【0082】
次いで、プレイヤ用評価結果をプレイヤに提供し、プレイヤへ報酬を提供する(ステップS940)。
【0083】
図13には、プレイヤ用評価結果のうちランク付けを示すプレイヤ端末120のインターフェースが示される。図13によれば、プレイヤ(物質一郎)の材料設計は、ランク付け1位であり、合計ポイント120点を獲得していることが分かる。図14には、プレイヤ用評価結果のうち指標評価を示すプレイヤ端末120のインターフェースが示される。図14によれば、プレイヤの材料設計は、新規性を有し、材料安定性に優れるが、高価格であることが分かる。例えば、プレイヤは、評価結果を参照し、価格が安価となるよう、さらに材料設計を行うこともできる。なお、図14のインターフェースにおいて、プレイヤが第一原理計算タブを選択すれば、第一原理計算の結果が表示される。
【0084】
プレイヤ用評価結果は、プレイヤの要求によって、あるいは、自動的に、通信部210によりネットワークNWを介してプレイヤ端末120に送信されてよい。
【0085】
このようにステップS910~S940により、プレイヤがプレイすることによる材料設計の評価、プレイヤへの報酬、および、材料設計の利用を希望するカスタマとの取引の管理を行うことができるが、より詳細には、ステップS930に続いて、カスタマから取引リクエストがあると(図10のステップS1010のYes)、取引リクエストをプレイヤに送信する(図10のステップS1020)。サーバ装置110の取引部240の取引リクエスト受信部242が、ネットワークNWを介して、カスタマ端末130からの取引リクエストを受信すると、報酬部250の取引リクエスト送信部252は、プレイヤ端末120に取引リクエストを送信する。
【0086】
取引リクエストを受信したプレイヤが取引リクエストに対して承認すると(図10のステップS1030のYes)、取引成功をカスタマに送信し(図10のステップS1040a)、カスタマからの報酬条件を含む報酬をプレイヤに提供する(図10のステップS940a)。
【0087】
具体的には、プレイヤ端末120の取引部125は、取引リクエストをサーバ装置110の報酬部250から受け取り、プレイヤの取引リクエストの承認をサーバ装置110の報酬部250の通知受信部253に通知する。通知受信部253が取引リクエストの承認通知をプレイヤ端末120から受け取ると、取引部240の取引通知送信部243がカスタマ端末130に材料設計の取引の成功を通知するとともに、評価部230の評価結果作成部235は、カスタマ用評価結果のうち非表示とされた材料設計を公開し、記憶部260に格納する。報酬部250の報酬算出部254は、ゲームのプレイによる報酬(すなわち、プレイヤ用評価結果のポイント)と報酬条件とを算出し、プレイヤ端末120の取引部125を通じてプレイヤに提供する。
【0088】
一方、取引リクエストを受信したプレイヤが取引リクエストに対して否認すると(図10のステップS1030のNo)、取引失敗をカスタマに送信し(図10のステップS1040b)、カスタマからの報酬条件を含まない報酬をプレイヤに提供する(図10のステップS940b)。当然ながら、そもそもカスタマからの取引リクエストがない場合(図10のステップS1010のNo)、カスタマからの報酬条件を含まない報酬をプレイヤに提供する(図10のステップS940b)。
【0089】
具体的には、通知受信部253が、プレイヤ端末120の取引部125から取引リクエストの否認通知を受け取ると、取引部240の取引通知送信部243がカスタマ端末130に材料設計の取引失敗を通知する。同時に、報酬部250の報酬算出部254は、ゲームのプレイによる報酬(すなわち、プレイヤ用評価結果のポイント)のみを算出し、プレイヤ端末120の取引部125を通じてプレイヤに提供する。
【0090】
図15には、取引リクエストを送信したカスタマ端末130のインターフェースが示される。図15によれば、カスタマが、データID:012345の材料設計に関心を示し、取引を希望するメッセージを作成し、取引リクエストの送信を要求したことが分かる。図15において、カスタマは、例えば、取引条件タブを選択し、取引条件としてプレイヤへの報酬(例えば、ボーナスポイント、現金等)を設定してよい。なお、カスタマが取引リクエストを送信すると、カスタマ用評価のランク付けのデータID:012345の材料設計は取引中と表示され、他のカスタマがアクセスできないようにしてもよい。
【0091】
図16には、取引リクエストを受信し、取引承認をしたプレイヤ端末120のインターフェースが示される。図16によれば、プレイヤは、プレイヤが設計したデータID:012345の材料設計にカスタマが関心を示し、取引を希望する取引リクエストを受信し、取引承認を要求したことが分かる。図16において、プレイヤは、例えば、取引希望者一覧から閲覧したい取引希望者を選択し、取引条件を確認できる。プレイヤが取引条件に合意し、取引を希望する場合には、取引承認を通知し、取引を希望しない場合には、取引否認を通知できる。取引否認が通知されると、カスタマ用評価のランク付けのデータID:012345の材料設計の取引中が解除され、他のカスタマがアクセスできる。
【0092】
図17には、取引成功が通知され、カスタマがデータID:012345の材料設計の詳細情報を閲覧しているカスタマ端末130のインターフェースが示される。図18には、プレイヤが受け取った報酬を示すプレイヤ端末120のインターフェースが示される。図18によれば、プレイヤは、カスタマとの取引を承認したため、ゲームのランク付けポイント150ポイントに加え、カスタマとの取引成立による100000ポイント(ボーナスポイント)を受け取ったことが分かる。
【0093】
このようにして、プレイヤがプレイすることによる材料設計の評価、プレイヤへの報酬、および、材料設計の利用を希望するカスタマとの取引の管理を行うことができる。なお、取引が成立すると、カスタマ用評価のランク付けのデータID:012345の材料設計を取引不可としてもよいし、複数のカスタマとの取引が可能であれば、取引状況を表示するようにしてもよい。
【0094】
プレイヤがゲームをプレイすることによって材料設計を行い、材料設計の評価、プレイヤへの報酬、および、材料設計の利用を希望するカスタマとの取引の管理を行う、プログラムについて説明する。
【0095】
サーバ装置は、プログラムを実行し、プレイヤが設計した材料設計を取得する機能(図9のステップS910)と、材料設計を評価し、カスタマ用評価結果、および、プレイヤ用評価結果を作成する機能(図9のステップS920)と、カスタマ用評価結果をカスタマに提供し、取引を行う機能(図9のステップS930)と、プレイヤ用評価結果をプレイヤに提供し、報酬をプレイヤに提供する機能(図9のステップS940)とをコンピュータに実現させる。
【0096】
より詳細には、取引を行う機能に続いて、サーバ装置は、カスタマから取引リクエストがあると、取引リクエストをプレイヤに送信する機能(ステップS1010のYesおよびステップS1020)、および、取引リクエストを受信したプレイヤが取引リクエストに対して承認すると、取引成功をカスタマに送信し、カスタマからの報酬条件を含む報酬をプレイヤに提供する機能(ステップS1030のYes、ステップS1040aおよびステップS940a)をコンピュータに実現させる。あるいは、サーバ装置は、取引リクエストを受信したプレイヤが取引リクエストに対して否認すると、取引失敗をカスタマに送信する機能(ステップS1030のNoおよびステップS1040b)、および、カスタマからの報酬条件を含まない報酬をプレイヤに提供する機能(ステップS940b)をコンピュータに実現させる。
【0097】
当然ながら、サーバ装置は、カスタマからの取引リクエストがない場合、カスタマからの報酬条件を含まない報酬をプレイヤに提供する機能(ステップS1010のNoおよびステップS940b)をコンピュータに実現させる。ここでも、ステップS910~S940およびステップS1010~S1040は、上述したとおりであるため、説明を省略する。
【0098】
上述のアプリケーションプログラムは、サーバプログラム261(図2)に格納されてよいが、コンピュータ読み取り可能なリムーバブルディスク等の記録媒体に格納され頒布される、または、インターネットなどのネットワーク回線や通信制御部を通じて頒布され、コンピュータにインストールされてもよい。なお、この記録媒体は、物理的な形態をもたない搬送波のような一時的な媒体ではない。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明のサーバ装置、プログラム、方法、および、ゲームシステムを用いれば、ゲームをプレイすることによってプレイヤの材料設計の意欲を促進するとともに、カスタマの材料設計の利用が促進されるため、新規材料開発に有利である。
【符号の説明】
【0100】
100 ゲームシステム
110 サーバ装置
120 プレイヤ端末
130 カスタマ端末
210 通信部
220 取得部
230 評価部
240 取引部
250 報酬部
260 記憶部
231 データ前処理部
232 第一原理計算部
233 物性計算部
234 ポイント付与部
235 評価結果作成部
241 カスタマ用評価結果送信部
242 取引リクエスト送信部
243 取引通知送信部
251 プレイヤ用評価結果送信部
252 取引リクエスト送信部
253 通知受信部
254 報酬算出部
261 サーバプログラム
262 ゲーム情報
263 プレイヤ情報
264 評価情報
265 カスタマ情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18