(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154389
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】水性ジェル状外用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/27 20060101AFI20241023BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20241023BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241023BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
A61K8/27
A61K8/81
A61Q19/00
A61Q1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024064155
(22)【出願日】2024-04-11
(31)【優先権主張番号】P 2023067861
(32)【優先日】2023-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118382
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 央子
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(72)【発明者】
【氏名】チン ブンチュン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB212
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC582
4C083AC682
4C083AC712
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD212
4C083AD262
4C083AD332
4C083AD352
4C083AD532
4C083AD632
4C083AD642
4C083BB21
4C083BB26
4C083CC02
4C083DD27
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE12
4C083FF04
(57)【要約】
【課題】カラミンを含有する、安定な水性ジェル状外用組成物を提供する。
【解決手段】(A)カラミンと、(B)アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムを含むモノマーの重合により得られるポリマーを含む水性ジェル状外用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カラミンと、(B)アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムを含むモノマーの重合により得られるポリマーを含む、水性ジェル状外用組成物。
【請求項2】
さらに、(C)両親媒性の保湿成分を含む、請求項1に記載の水性ジェル状外用組成物。
【請求項3】
(C)成分が、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ホスホコリン構造を有するポリマー、及び/又はポリオキシアルキレングリセリルエーテルである、請求項2に記載の水性ジェル状外用組成物。
【請求項4】
さらに、(D)平均粒径4~7μmである非金属粉体を含む、請求項1~3の何れかに記載の水性ジェル状外用組成物。
【請求項5】
(D)成分が、無水ケイ酸、及びシロキサン結合を有する重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の粉体である、請求項4に記載の水性ジェル状外用組成物。
【請求項6】
(A)成分の濃度が、組成物の全量に対して0.0001~10質量%である、請求項1又は2に記載の水性ジェル状外用組成物。
【請求項7】
(B)成分の濃度が、組成物の全量に対して0.01~3質量%である、請求項1又は2に記載の水性ジェル状外用組成物。
【請求項8】
(C)成分の濃度が、組成物の全量に対して0.1~30質量%である、請求項2又は3に記載の水性ジェル状外用組成物。
【請求項9】
(D)成分の濃度が、組成物の全量に対して0.1~5質量%である、請求項4に記載の水性ジェル状外用組成物。
【請求項10】
油性成分の濃度が、組成物の全量に対して1質量%以下である、請求項1又は2に記載の水性ジェル状外用組成物。
【請求項11】
(A)カラミンを含む水性外用組成物に、(B)アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムを含むモノマーの重合により得られるポリマーを含有させる、この組成物をジェル状にする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラミンを含有する水性ジェル状外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カラミンは酸化亜鉛に微量の酸化鉄が含まれる成分であり、抗炎症作用があることから、日焼け、虫刺され、かぶれ、あせも、軽度の熱傷、軽度の痒みなどの改善を目的に、化粧品、医薬部外品、医薬品の成分として広く使用されている。
ここで、水性のジェル状外用組成物は、ベタベタせず使用感が良いため、特に面積が広い体部に塗布する製剤の剤型として消費者に好まれる。しかし、カラミン含有外用組成物は、カラミンと液相が分離した二層式の化粧水か、固形油分で増粘させたクリーム剤しか実用化が困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、カラミンを含有する、安定な水性ジェル状外用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記課題を解決するために研究を重ね、以下の知見を得た。
(1) ジェル状外用組成物は、通常、水溶性高分子の配合により調製されているが、金属粉体であるカラミンは、水溶性高分子による増粘機構を壊してしまうため、カラミンを含む外用組成物を水溶性高分子によりジェル状にすることは難しい。
(2) (A)カラミンを含む外用組成物に、(B)アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムを含むモノマーの重合により得られるポリマーを配合することにより、安定なジェル状の水性組成物になり、使用感にも優れることを見出した。
【0005】
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の〔1〕、〔2〕を提供する。
〔1〕 (A)カラミンと、(B)アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムを含むモノマーの重合により得られるポリマーを含む水性ジェル状外用組成物。
〔2〕 (A)カラミンを含む水性外用組成物に、(B)アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムを含むモノマーの重合により得られるポリマーを含有させる、この組成物をジェル状にする方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の外用組成物は、(A)カラミンに加えて、水溶性高分子の中でも特に(B)アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムを含むモノマーの重合により得られるポリマーを含むため、水性ジェル状の外用組成物となっている。水性ジェル状の外用組成物は、プルプルした触感やサラッとした塗り心地が消費者に好まれるため、カラミンを含む外用組成物であって、実用性のある、安定な水性ジェル状組成物を初めて提供した点で、本発明の意義は大きい。
【0007】
また、金属化合物の粉体であるカラミンを含む外用組成物は、一般に、塗布時や塗布後の肌のきしみ感が強く(摩擦が大きく)、特に、油分が少ない又は油分を含まない水性組成物では、塗布時に水分の蒸発とともにきしみ感が非常に強くなるという難点がある。滑らかに塗り広げることができない外用組成物は、消費者に好まれない。この点、本発明の水性ジェル状外用組成物は、アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムを含むモノマーの重合により得られるポリマーを含むため、塗布時や塗布後の肌のきしみ感が抑えられている。
【0008】
また、本発明の外用組成物に、さらに、平均粒径が約4~7μmである非金属粒子や、両親媒性の保湿成分を配合すると、きしみ感が一層低減する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物は、(A)カラミンと、(B)アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムを含むモノマーの重合により得られるポリマーを含む、水性ジェル状外用組成物である。
【0010】
(A)成分
カラミンは、全量に対して95~99.9質量%の酸化亜鉛粉末と、全量に対して0.1~5質量%の酸化鉄(III)(Fe2O3)粉末を含む混合物である。通常は、酸化亜鉛粉末と酸化鉄(III)粉末からなるが、不可避の量の不純物が含まれていてもよい。また、外用組成物の調製時に、酸化亜鉛粉末及び酸化鉄(III)粉末とそれ以外の粉体との混合物として配合する場合も、酸化亜鉛粉末及び酸化鉄(III)粉末の全量に対して、酸化亜鉛を95~99.9質量%、酸化鉄(III)を0.1~5質量%含む混合物を配合するのであれば、得られる外用組成物はカラミンを含む組成物である。
【0011】
本発明において、カラミンは、疎水化処理されていないものである。即ち、粉末表面に疎水性膜を備えない。疎水化処理は、例えば、ジメチルシロキサンやメチル水素シロキサンのようなシリコーン化合物、デキストリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸(炭素数7~22の脂肪酸)、高級アルコール(炭素数7~22のアルコール)、脂肪酸エステル、脂肪酸の金属塩(亜鉛塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩など)、アミノ酸、アルキルスルフォニルエーテル、パーフルオロアルキル基を有するフッ素化合物などで処理することにより行われる。
【0012】
(A)成分の濃度は、組成物の全量に対して、0.0001質量%以上、0.001質量%以上、0.01質量%以上、又は0.1質量%以上とすることができ、また、10質量%以下、8質量%以下、5質量%以下、又は3質量%以下とすることができる。この範囲であれば、カラミンの薬理活性が十分に得られると共に、本発明の効果が十分に得られる水性ジェル状組成物となる。この濃度は、複数の(A)成分を含む場合は、その合計濃度である。
【0013】
(B)成分
アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムを含むモノマーの重合により得られるポリマーは、換言すれば、アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムに由来する構造単位を有するポリマーである。
アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムを含むモノマーの重合により得られるポリマーは、これらのアクリロイルジメチルタウリン塩モノマーの単独重合体でもよく、他の1種又は2種以上のモノマーとの共重合体でもよい。
【0014】
共重合するモノマーとしては、メタクリル酸、メタクリル酸塩(メタクリル酸アンモニウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウムなど)、メタクリル酸エステル(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリルなど)、アクリル酸、アクリル酸塩(アクリル酸アンモニウム、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウムなど)、アクリル酸エステル(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸アルキルなど)のようなアクリル酸系モノマー;N,N’-ジメチルアクリルアミド、N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミドのようなアクリルアミド系モノマー;ビニルピロリドン;酢酸ビニル;クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸などのビニルモノマーが挙げられる。
【0015】
中でも、アクリロイルジメチルタウリンナトリウム又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムの単独重合体(ポリアクリロイルジメチルタウリンナトリウム、ポリアクリロイルジメチルタウリンアンモニウム)、アクリロイルジメチルタウリンナトリウムとアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムの共重合体、アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムとアクリル酸系モノマーとアクリルアミド系モノマーとの共重合体(アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムとメタクリル酸とメタクリル酸アンモニウムとジメチルアクリルアミドとの共重合体など)、アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムとアクリル酸系モノマーとの共重合体(アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムとアクリル酸ナトリウムとの共重合体など)、アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムとビニルピロリドンとの共重合体が好ましく、ポリアクリロイルジメチルタウリンナトリウム、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸/メタクリル酸アンモニウム/ジメチルアクリルアミド)コポリマー、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマーがより好ましく、ポリアクリロイルジメチルタウリンナトリウムが特に好ましい。
(B)成分は、1種又は2種以上を使用できる。
【0016】
(B)成分であるポリマーの1質量%水溶液の20℃における粘度は、12~65Pa・sが好ましく、12~40Pa・sがより好ましく、17~32Pa・sがさらにより好ましい。この粘度は、DIN EN ISO 2555に規定される方法で測定した値である。この粘度の測定値は幅のある値となるが、幅のある粘度が上記範囲内に収まる。
【0017】
(B)成分の濃度は、組成物の全量に対して、0.01質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、又は0.8質量%以上とすることができる。この範囲であれば、本発明の効果が十分に得られる水性ジェル状組成物となる。また、(B)成分の濃度は、組成物の全量に対して、3質量%以下、2.5質量%以下、2質量%以下、又は1.5質量%以下とすることができる。この範囲であれば、きしみ感が改善され、また、(B)成分の配合によるベタツキが抑えられたジェルを形成できる。この濃度は、複数の(B)成分を含む場合は、その合計濃度である。
【0018】
(A)成分に対する(B)成分の含有量の比率は、(A)成分の1質量部に対して、0.001質量部以上、0.1質量部以上、1質量部以上、又は5質量部以上とすることができる。この範囲であれば、本発明の効果が十分に得られる水性ジェル状組成物となる。また、(A)成分に対する(B)成分の含有量の比率は、(A)成分の1質量部に対して、30000質量部以下、3000質量部以下、100質量部以下、又は10質量部以下とすることができる。この範囲であれば、きしみ感が改善され、また、(B)成分の配合によるベタツキが抑えられたジェルを形成できる。この比率は、複数の(A)成分や(B)成分を含む場合は、その合計含有量の比率である。
【0019】
(C)成分
本発明の水性ジェル状組成物は、さらに、両親媒性の保湿成分を含むことができ、これにより、きしみ感が一層低減する。
両親媒性の保湿成分としては、ポリエチレングリコール(特に、数平均分子量180~220のもの)、ポリプロピレングリコール(特に、数平均分子量180~220のもの)のようなポリアルキレングリコール;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテルのようなポリオキシアルキレンアルキルエーテル;2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリン・メタクリル酸ブチル共重合体のようなホスホリルコリン誘導体(特に、ホスホコリン構造を有するポリマー);ポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルのようなポリオキシアルキレングリセリルエーテルなどが挙げられる。
中でも本発明の効果を顕著に奏する点で、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、トリプロピレングリコール、PEG-200、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル(17E.O.)(17P.O.)が特に好ましい。
【0020】
(C)成分の濃度は、組成物の全量に対して、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、又は1.5質量%以上とすることができる。この範囲であれば、きしみ感の低減効果が十分に得られる。また、(C)成分の濃度は、組成物の全量に対して、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、又は10質量%以下とすることができる。この範囲であれば、(C)成分の配合によるベタツキが抑えられる。この濃度は、複数の(C)成分を含む場合は、その合計濃度である。
【0021】
(A)成分に対する(C)成分の含有量の比率は、(A)成分の1質量部に対して、0.001質量部以上、0.05質量部以上、0.1質量部以上、又は0.5質量部以上とすることができる。この範囲であれば、きしみ感の低減効果が十分に得られる。また、(A)成分に対する(C)成分の含有量の比率は、(A)成分の1質量部に対して、3000質量部以下、100質量部以下、10質量部以下、又は1質量部以下とすることができる。この範囲であれば、(C)成分の配合によるベタツキが抑えられる。この比率は、複数の(A)成分や(C)成分を含む場合は、その合計含有量の比率である。
【0022】
(B)成分に対する(C)成分の含有量の比率は、(B)成分の1質量部に対して、0.01質量部以上、0.1質量部以上、1質量部以上、又は5質量部以上とすることができる。この範囲であれば、きしみ感の低減効果が十分に得られる。また、(B)成分に対する(C)成分の含有量の比率は、(B)成分の1質量部に対して、2000質量部以下、1000質量部以下、100質量部以下、又は10質量部以下とすることができる。この範囲であれば、(C)成分の配合によるベタツキが抑えられる。この比率は、複数の(B)成分や(C)成分を含む場合は、その合計含有量の比率である。
【0023】
(D)成分
本発明のジェル状水性組成物は、さらに、平均粒径4~7μmの非金属粉体を含むことができ、これにより、きしみ感が一層低減する。粉体の平均粒径は、4.5μm以上、又は5μm以上とすることができ、また、6.5μm以下、又は6μm以下とすることができる。
平均粒径4~7μmの非金属粉体としては、無水ケイ酸;メチルシロキサン網状重合体、架橋型シリコン/網状型シリコーンブロック共重合体、メチルポリシロキサン(ジメチコン)、ジデカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジビニルジメチルポリシロキサン、メチルシロキサン/ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン/トリメチルシロキサン共重合体のようなシロキサン結合を有する重合体などの粉体が挙げられる。中でも、無水ケイ酸又はメチルシロキサン網状重合体の粉体が好ましい。
【0024】
(D)成分の濃度は、組成物の全量に対して、0.1質量%以上、0.2質量%以上、0.5質量%以上、又は1質量%以上とすることができる。この範囲であれば、きしみ感の低減効果が十分に得られる。また、(D)成分の濃度は、組成物の全量に対して、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、又は2質量%以下とすることができる。この範囲であれば、きしみ感が抑えられ、また乾燥感が生じない。この濃度は、複数の(D)成分を含む場合は、その合計濃度である。
【0025】
(A)成分に対する(D)成分の含有量の比率は、(A)成分の1質量部に対して、0.01質量部以上、0.1質量部以上、0.5質量部以上、又は1質量部以上とすることができる。この範囲であれば、きしみ感の低減効果が十分に得られる。また、(A)成分に対する(D)成分の含有量の比率は、(A)成分の1質量部に対して、500質量部以下、100質量部以下、50質量部以下、又は10質量部以下とすることができる。この範囲であれば、きしみ感が抑えられ、また乾燥感が生じない。この比率は、複数の(A)成分や(D)成分を含む場合は、その合計含有量の比率である。
【0026】
(B)成分に対する(D)成分の含有量の比率は、(B)成分の1質量部に対して、0.01質量部以上、0.05質量部以上、0.1質量部以上、又は0.8質量部以上とすることができる。この範囲であれば、きしみ感の低減効果が十分に得られる。また、(B)成分に対する(D)成分の含有量の比率は、(B)成分の1質量部に対して、100質量部以下、50質量部以下、25質量部以下、又は10質量部以下とすることができる。この範囲であれば、きしみ感が抑えられ、また乾燥感が生じない。この比率は、複数の(B)成分や(D)成分を含む場合は、その合計含有量の比率である。
【0027】
その他の成分
本発明の外用組成物には、(A)~(D)の成分の他に、医薬品や化粧品に使用される基剤、添加剤、カラミン以外の生理活性又は薬理活性成分を配合することができる。
下記列挙した成分の中には、上記(A)~(D)の成分に該当するものもあるが、これらの成分が下記の機能も有することを意味する。
【0028】
添加剤としては、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、pH調整剤、安定化剤、キレート剤、紫外線吸収剤又は紫外線散乱剤、刺激軽減剤、防腐剤又は保存剤、着色剤、香料などが挙げられる。
添加剤は、1種又は2種以上を使用できる。
また、添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0029】
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、p-ヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体(アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸モノリン酸エステル、アスコルビン酸ジリン酸エステル、アスコルビン酸トリリン酸エステル、アスコルビン酸硫酸エステルなど)、トコフェロール、トコフェロール誘導体(酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウムなど)、エリソルビン酸、L-システイン塩酸、リコピン、グルタチオン、没食子酸プロピル、タンニン酸、エピガロカテキン、アントシアニン、ヒドロキシチロソール、ノルジヒドログアイアレチン酸、カフェイン酸、酵素(カタラーゼ、スーパーオキシドディスムターゼ、グルタチオンパーオキシダーゼ、エラスターゼなど)などが挙げられる。
【0030】
界面活性剤としては、POE-2-デシルテトラデシルアルコール、ポリオキシエチレンオレイルエーテルやポリオキシエチレンセチルエーテルなどのPOE-アルキルエーテル;モノステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;モノイソステアリン酸POE(20)ソルビタン、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン、モノヤシ油脂肪酸POE(20)ソルビタン、ラウリン酸POE(80)ソルビタンなどのPOE-ソルビタン脂肪酸エステル;モノステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリルなどのグリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンステアリン酸グリセリル、ポリオキシエチレントリオレイン酸グリセリルなどのPOE-グリセリン脂肪酸エステル;POE-ジヒドロコレステロールエステル、POE-硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO-40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO-50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO-60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80など)のPOE-硬化ヒマシ油;POE-ヒマシ油(POE(3)ヒマシ油、POE(20)ヒマシ油など)などのPOEヒマシ油;POE-硬化ヒマシ油イソステアレートなどのPOE-硬化ヒマシ油脂肪酸エステル;POE-アルキルアリールエーテル;クミルアルコール、バチルアルコール、セラキルアルコールなどのグリセリンアルキルエーテル;POE-モノステアリルグリセリルエーテルなどのPOE-グリセリンアルキルエーテル;ステアリン酸ポリオキシルなどのPOE脂肪酸エステル;POE(20)フィトステロール、POE(30)フィトステロール、POE(25)フィトスタノール、POE(30)コレスタノールなどのPOEステロール・水素添加ステロール類;ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖イソステアリン酸エステル、ショ糖リノール酸エステル、ショ糖リノレン酸エステルなどのショ糖脂肪酸エステル;ジオレイン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;アルキルポリグリコシド、モノステアリン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ポリリシノレイン酸ヘキサグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;アルキル変性シリコーン、乳化型シリコーンエラストマーなどの非イオン界面活性剤が挙げられる。
また、高級アルキル硫酸エステル塩(ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウムなど);アルキルエーテル硫酸エステル塩(POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウムなど);N-アシルサルコシン酸(ラウロイルサルコシンナトリウムなど);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンタウリンナトリウムなど);リン酸エステル及びその塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸、セチルリン酸カリウム、リン酸セチルなど);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウムなど);アルキルベンゼンスルホン酸塩(リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなど);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウムなど);N-アシルグルタミン酸塩(ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ミリストイルグルタミン酸ナトリウムなど);N-アシルアラニン塩(ラウロイルメチルアラニンナトリウム、ココイルアラニントリエタノールアミン塩など);硫酸化油(ロート油など);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウムなどのアニオン性界面活性剤も挙げられる。
また、アルキレンオキサイドが付加していてもよい、直鎖又は分岐鎖の長鎖アルキル基を有するモノ又はジ長鎖アルキル第3級又は第4級アンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤も挙げられる。
また、カルボベタイン、スルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン、及びアミドベタインなどの両性界面活性剤も挙げられる。
また、レシチン、水素添加レシチン、サポニン、サーファクチンナトリウム、胆汁酸などの天然由来の界面活性剤も挙げられる。
なお、本発明の外用組成物は、HLB10以上の非イオン性界面活性剤、及び/又はアニオン性界面活性剤を含まないことができる。
【0031】
増粘剤としては、ジェランガム、プルラン、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、クインスシード、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、デキストランのような多糖類;ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩(ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸マグネシウム、ヒアルロン酸カルシウムなど)、アセチルヒアルロン酸、アセチルヒアルロン酸塩(アセチルヒアルロン酸ナトリウム、アセチルヒアルロン酸カリウム、アセチルヒアルロン酸マグネシウム、アセチルヒアルロン酸カルシウム)、コンドロイチン硫酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、デルマタン硫酸、デルマタン硫酸ナトリウム、ヘパラン硫酸、ヘパリン、ヘパリン類似物質、ケラタン硫酸I及びIIのようなムコ多糖類;ゼラチン、コラーゲン、カゼインのようなタンパク質;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びカルボキシエチルセルロースのようなセルロース系増粘剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、架橋型ポリアクリル酸(カルボキシビニルポリマー)、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリエチレングリコールのような合成有機高分子化合物;ベントナイトのような無機化合物などが挙げられる。
中でも、多糖類が好ましく、キサンタンガムがより好ましい。
【0032】
本発明の外用組成物が増粘剤を含む場合のその濃度は、組成物の全量に対して、0.05質量%以上、0.1質量%以上、又は0.2質量%以上とすることができる。また、2質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下、又は0.3質量%以下とすることができる。この範囲であれば、本発明の効果が十分に得られる水性ジェル状組成物となる。
【0033】
pH調整剤としては、無機酸(塩酸、及び硫酸など)、有機酸(乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、及びコハク酸ナトリウムなど)、無機塩基(水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウムなど)、並びに有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、及びトリイソプロパノールアミンなど)などが挙げられる。
【0034】
キレート剤としては、EDTA・2ナトリウム塩、EDTA・カルシウム・2ナトリウム塩などが挙げられる。
【0035】
本発明の外用組成物がキレート剤を含む場合のその濃度は、組成物の全量に対して、0.0001質量%以上、0.0005質量%以上、0.001質量%以上、又は0.003質量%以上とすることができる。この範囲であれば、本発明の効果が十分に得られる水性ジェル状組成物となる。また、キレート剤の濃度は、組成物の全量に対して、0.08質量%以下、又は0.05質量%以下とすることができる。この範囲であれば、カラミンの分散性が保たれる。
【0036】
刺激低減剤としては、甘草エキス、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0037】
紫外線吸収剤又は紫外線散乱剤としては、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ジベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、パラアミノ安息香酸及びその誘導体、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、ジヒドロキシベンゾフェノン、酸化チタンなどが挙げられる。
【0038】
防腐剤又は保存剤としては、安息香酸エステル及び安息香酸塩(安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジルなど)、フェノキシエタノール、BHTなどが挙げられる。
【0039】
着色料としては、法定色素ハンドブック(日本化粧品工業連合会編(2004))に記載された色素などが挙げられる。
【0040】
香料としては、ティーツリー油、ラベンダー油、ローズマリー油、クラリセージ油、タイム油、ベルガモット油、ユーカリ油等のハーブ系精油、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油などの柑橘系精油のような各種精油、調合香料などが挙げられる。
【0041】
カラミン以外の生理活性又は薬理活性成分としては、例えば、抗炎症剤、抗菌成分、抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤、保湿成分、美白成分、ビタミン類、テルペノイド、ペプチド又はその誘導体、血行促進成分、細胞賦活化成分、老化防止成分、角質軟化成分、収斂成分、アミノ酸、タンパク質、植物エキス、海藻エキスなどが挙げられる。
カラミン以外の生理活性又は薬理活性成分は、1種又は2種以上を使用できる。
また、カラミン以外の生理活性又は薬理活性成分は、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
【0042】
抗炎症剤は、非ステロイド性、ステロイド性の何れも使用できる。
非ステロイド性の抗炎症剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸、アセトアミノフェン、イプシロン-アミノカプロン酸、ベルベリン、アズレン、ブロメライン、亜鉛;甘草抽出物、セージエキス、ローズマリーエキスのような植物抽出物;リゾチーム、セラペプターゼ、セミアルカリプロティナーゼのような酵素系抗炎症剤;
塩としては、グリチルリチン酸ジカリウム塩、グリチルリチン酸モノアンモニウム塩、、ベルベリン硫酸塩、ベルベリン塩酸塩、ベルベリンタンニン酸塩、アズレンスルホン酸ナトリウム塩、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛などが挙げられる。誘導体としてはグリチルリチン酸ステアリル、グリチルレチン酸ステアリルなどが挙げられる。
【0043】
抗菌成分としては、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウムなどの第四級アンモニウム塩、サリチル酸、安息香酸、アモロルフィン、クロルヘキシジン、アクリノール、エタノール、クレゾール、グルコン酸及びその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノグリシン等、及びそれらの塩などが挙げられる。
【0044】
抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤としては、クロタミトン、イクタモール、モクタール、チモールなどが挙げられる。
【0045】
保湿成分としては、グリセリン、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジグリセリン、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオールのような多価アルコール(特に、分子量180未満の多価アルコール)、トレハロース、キシリトール、ソルビトール、イノシトールのような糖アルコール、ケラチン、キチン、キトサンのような高分子化合物、セラミド、コレステロール、リン脂質のような脂質、カミツレエキス、ハマメリスエキス、チャエキス、アロエエキス、ドクダミエキス、モモ葉エキスのような植物抽出エキスなどが挙げられる。
【0046】
ビタミン類としては、トコフェロール、酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウム、ユビキノン誘導体及びその塩、リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステル、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル、ニコチン酸β-ブトキシエチル、ニコチン酸1-(4-メチルフェニル)エチル、アスコルビゲン-A、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジパルミチン酸L-アスコルビル、メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、フィロキノン、ファルノキノン、γ-オリザノール、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩、塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’-リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミン、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン、葉酸、プテロイルグルタミン酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D-パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチン、ビオシチン、カルニチン、フェルラ酸、α-リポ酸、ヘスペリジン、γ-オリザノール、オロチン酸、ルチン、エリオシトリンなどが挙げられる。
中でも、シアノコバラミンが好ましい。
本発明の外用組成物がシアノコバラミンを含む場合の濃度は、組成物の全量に対して、0.00001質量%以上、0.0001質量%以上、0.0002質量%以上、又は0.001質量%以上とすることができ、また、0.1質量%以下、0.01質量%以下、0.005質量%以下、又は0.003質量%以下とすることができる。この範囲であれば、本発明の効果が十分に得られる。
【0047】
美白成分としては、ハイドロキノン及びその誘導体(アルブチンなど)、コウジ酸、エラグ酸、フィチン酸、ルシノール、アスコルビン酸及びその誘導体(アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、テトライソパルミチン酸アスコルビル(テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル)、2-O-エチルアスコルビン酸、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシドなど)、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、トラネキサム酸およびその誘導体、カモミラET、遊離リノール酸、アデノシン1リン酸2ナトリウム塩、ナイアシンアミドなどが挙げられる。
【0048】
テルペノイドとしては、メントール、アネトール、オイゲノール、カンフル、ゲラニオール、シネオール、ボルネオール、リモネン、リュウノウなどが挙げられる。これらは、d体、l体又はdl体のいずれでもよい。
テルペノイドは精油の形態で含有されていてもよい。このような精油としては、例えば、ハッカ油、クールミント油、スペアミント油、ペパーミント油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油等が挙げられる。
【0049】
ペプチド又はその誘導体としては、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、ゼラチン、エラスチン、エラスチン分解ペプチド、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、加水分解シルクなどが挙げられる。
【0050】
血行促進成分としては、植物由来成分が好ましく例示される。例えば、オタネニンジン、アシタバ、アルニカ、イチョウ、エンメイソウ、オランダカシ、ゲンチアナ、ゴボウ、コメ、サンザシ、シイタケ、セイヨウサンザシ、セイヨウネズ、センキュウ、センブリ、タイム、チョウジ、チンピ、トウキ、トウニン、トウヒ、ニンジン、ニンニク、ブッチャーブルーム、ブドウ、ボタン、マロニエ、メリッサ、ユズ、ヨクイニン、ローズマリー、ローズヒップ、モモ、アンズ、クルミ、トウモロコシなどに由来する成分(これらの植物の抽出物など)や、グルコシルヘスペリジンなどが挙げられる。
【0051】
細胞賦活成分としては、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、ε-アミノカプロン酸のようなアミノ酸類、レチノール、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類、ビオチンのようなビタミン類、グリコール酸、乳酸のようなα-ヒドロキシ酸類、タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号、胎盤抽出液、ヒノキチオール、セファランチン、キウイ種子抽出物などが挙げられる。
【0052】
老化防止成分としては、加水分解大豆タンパク、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N-メチル-L-セリン、メバロノラクトンなどが挙げられる。
【0053】
角質軟化成分としては、サリチル酸、サリチル酸誘導体、グリコール酸、フルーツ酸、フィチン酸、イオウ、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、グリセリン、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、炭酸プロピレン、ヘキシルドデカノール、アラントイン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエタノールアミン、ジイソプロピルアジペート、エチルラウリレート、ラノリン、脂肪酸ジアルキロールアミド、尿素、イオウ、レゾルシン、グリコール酸、フィチン酸、乳酸、乳酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
【0054】
収斂成分としては、パラフェノールスルホン酸亜鉛、及びエタノールなどが挙げられる。
【0055】
植物エキスとしては、ソウハクヒ、ユキノシタ、シソ、米糠、酒粕、白芥子、シャクヤク、ムラサキシキブ、ハス種子、ハトムギ種子、パンダヌス・アマリリフォリウス(Pandanus amaryllifolius Roxb.)、アルカンジェリシア・フラバ(Arcangelicia flava Merrilli)、カミツレ、サンゴ草、イネの葉、アンズ果実、カタメンキリンサイ、バラの花、ゲンチアナ、ニンジン、オタネニンジン、紅参、ヘチマ、モモ、桃仁、キウイ、ヒマワリ、ジュアゼイロ(Zizyphus joazeiro)、パウダルコ、萱草(デイリリー)、ハイビスカスの花、ハゴロモグサ、チェリモヤ、マンゴー、紅富貴、シラン、山椒果皮又は種皮、ベニバナ花、カサブランカ、グアバ葉、ドクダミ、晩白柚、アロエ、イチジク花、リンゴ、ホワイトアスパラガス、マテ茶、サクラ葉、イランイラン葉(ylang ylang leaves)、アーティチョーク葉、ニーム葉、グレープフルーツ果実、レモン果実などの植物の抽出物が挙げられる。
【0056】
海藻エキスとしては、クロレラ・ブルガリス、クロレラ・ピレノイドサ、クロレラ・エリプソイデイア、アオノリ、アオサ、アナアオサのような緑藻類;コンブ(ガゴメコンブ、マコンブ、リシリコンブ、ホソメコンブ、ミツイシコンブなど)、ジャイアントケルプ、ワカメ又はアオワカメ、モズク、ヒロメ、ヒジキ、ヒバマタ、ウミウチワ、ウスバウミウチワ、キレバノウミウチワ、アカバウミウチワ、コナウミウチワ、オキナウチワ、ウスユキウチワ、エツキウミウチワのような褐藻類;ヒジリメン、マクサ又はテングサ、ヒラクサ、オニクサ、オバクサ、カタオバクサ、ヤタベグサ、ユイキリ、シマテングサ、トサカノリ、トゲキリンサイ、アマクサキリンサイ、キリンサイ、ビャクシンキリンサイ、ツノマタ、オオバツノマタ、トチャカ又はヤハズツノマタ、エゾツノマタ、トゲツノマタ、ヒラコトジ、コトジツノマタ、イボツノマタ、マルバツノマタ、スギノリ、シキンノリ、カイノリ、ヤレウスバノリ、カギウスバノリ、スジウスバノリ、ハイウスバノリ、アカモミジノリのような紅藻類などが挙げられる。
【0057】
基剤
基剤としては、油性基剤、水性基剤が挙げられる。
油性基剤としては、ワセリン(白色ワセリン、黄色ワセリン)、ゲル化炭化水素(プラスチベースなど)、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワレン、スクワラン、α-オレフィンオリゴマー、パラフィン、流動パラフィン、及び軽質流動パラフィンのような炭化水素;セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールのような高級アルコール;コレステロール、フィトステロール、及びヒドロキシステアリン酸フィトステリルのようなステロール類;シアバター、カルナウバロウ、カカオ脂、及びキャンデリラロウのような植物脂;アボカド油、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、月見草油、ホホバ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、茶実油、コメヌカ油、米胚芽油、小麦胚芽油、落花生油、ヒマワリ油、アーモンド油、トウモロコシ油、ヤシ油、オレンジ油、セージ油、パーム油、ミンク油、メドウフォーム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローズヒップ油のような植物油;ラノリン、オレンジラフィー油、スクワラン、馬油、鯨ロウ、及びミツロウのような動物油脂;硬化油;メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、及びシリコーンレジンのようなシリコーン油;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、及びトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルのようなエステル類などが挙げられる。
【0058】
また、水性基剤としては、水の他に、エタノール、イソプロパノールのような低級アルコール;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、イソプレングリコールのような多価アルコール(特に、分子量180未満の多価アルコール);セルロース誘導体(エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、カチオン化グアガムのような天然高分子誘導体;ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体のような合成高分子;カラギーナン、アルギン酸、セルロース、グアーガム、クインスシード、デキストラン、ジェランガムのような天然高分子;デキストリン、マルトデキストリンのような多糖類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテルなどが挙げられる。これらは極性溶媒である。
基剤は、1種又は2種以上を使用できる。
また、基剤は、本発明の効果を損なわない範囲で使用できる。
【0059】
本発明の外用組成物は、水性組成物であり、水を含めばよい。水の濃度は、組成物の全量に対して、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、又は75質量%以上とすることができる。また、95質量%以下、90質量%以下、88質量%以下、又は85質量%以下とすることができる。この範囲であれば、水性ジェル状組成物となり、本発明の効果が十分に得られる。
【0060】
本発明の外用組成物における(A)成分に対する水の含有量の比率は、他の成分の種類や量、剤型等に応じて適宜設定できるが、(A)成分の1質量部に対して、10質量部以上、100質量部以上、又は120質量部以上で、9000質量部以下、1000質量部以下、又は500質量部以下とすることができる。この範囲であれば、水性ジェル状組成物となり、本発明の効果が十分に得られる。
【0061】
本発明の外用組成物が水以外の水性基剤(極性溶媒)を含む場合、その濃度は、組成物の全量に対して、3質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、又は15質量%以上とすることができる。また、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、又は15質量%以下とすることができる。この範囲であれば、水性ジェル状組成物となり、本発明の効果が十分に得られる。
【0062】
本発明の外用組成物は、油性成分の含有量が少ないことが好ましい。油性成分の濃度は、組成物の全量に対して、1質量%以下、0.9質量%以下、0.8質量%以下、0.7質量%以下、0.6質量%以下、0.5質量%以下、0.4質量%以下、0.3質量%以下、0.2質量%以下、又は0.1質量%以下とすることができる。油性成分を実質的に含まない、特に含まないことがより好ましい。この範囲であれば、塗付した皮膚にテカリを与えない又は与え難い水性ジェル状組成物となる。
【0063】
本発明において、「油性成分」は、有機概念図におけるIOB値が0.6以下の化合物をいう。
油性物質としては、固形極性油では、シアバター、カルナウバロウ、カカオ脂、キャンデリラロウ、ラノリン、ミツロウ、鯨ロウ、硬化油、水添パーム油、水添ホホバ油のような油脂類;セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコールのような高級アルコール;コレステロール、フィトステロール、ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル-2-オクチルドデシル)のようなステロール類などが挙げられる。
固形非極性油では、ワセリン、ゲル化炭化水素(プラスチベースなど)、オゾケライト(オゾケライトを精製したセレシンワックスを含む)、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、ポリエチレン末、ポリブテンのような炭化水素などが挙げられる。
液状極性油では、液状モノエステル油(ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソオクチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、オクタン酸セチル(2-エチルヘキサン酸セチル)、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリルなど)、液状ジエステル油(ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸グリセリル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリルなど)、液状トリエステル油(アボガド油、マカデミアナッツ油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、ホホバ油、ナタネ油、ヒマシ油、綿実油、大豆油、米ヌカ油、米胚芽油、小麦胚芽油、落花生油、ヒマワリ油、アーモンド油、ヤシ油、オレンジ油、パーム油、メドウフォーム油、セージ油、ミンク油、ローズマリー油、ローズヒップ油、オレンジラフィー油、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリルなど)、液状テトラエステル油(テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリチルなど)などの液状エステル油;ジカプリリルエーテル;ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルのようなグリコールエーテルなどの液状エーテル油;オクチルドデカノール、オレイルアルコールなどの液状高級アルコールなどが挙げられる。
液状非極性油では、α-オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、形質流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、スクワランのような炭化水素;メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、シリコーンレジンのようなシリコーン油などが挙げられる。
なお、本発明の外用組成物は、シリコーン油を含まないことができ、中でも含まないことが好ましい。
【0064】
水性ジェル状組成物
本発明において、水性ジェル状組成物は、水を含み、粘度10~100Pa・sである組成物をいう。粘度は、10Pa・s以上、中でも20Pa・s以上、中でも35Pa・s以上が好ましく、100Pa・s以下、中でも80Pa・s以下、中でも60Pa・s以下が好ましい。
粘度(25℃)は、第17改正日本薬局方の一般試験法に記載の粘度測定法に準拠し、単一円筒形回転粘度計(ブルックフィールド型粘度計)にて測定した粘度をいう。具体的には、TV-10M(東機産業社製)を使用して測定される値をいい、ローターや回転速度等の条件の選定は、本機の取扱説明書に準拠し、25℃における粘度を測定する。より具体的には、M4ローターを用い、回転速度6rpm、測定時間60秒間の条件下において、25℃における粘度を測定する。
【0065】
pH
本発明の外用組成物のpHは、6以上、6.5以上、又は7以上とすることができ、また、8.5以下、8以下、又は7.5以下とすることができる。この範囲であれば、本発明の効果が十分に得られる。
【0066】
本発明の外用組成物は、化粧品組成物、医薬組成物、又は医薬部外品組成物とすることができる。
本発明の外用組成物は、皮膚外用組成物であり得る。皮膚は、体部の皮膚、顔面の皮膚、頭皮を含む。
本発明の外用組成物は、例えば、ノズル付き容器、ポンプ付き容器、ジャー容器、チューブ容器、中栓に穴の開いたタイプの容器、ヒンジキャップ付き容器、スポンジヘッド容器、ロールオン容器などに収容することができる。本願発明の効果をより顕著に奏する点で、ジャー容器が好ましい。
【0067】
本発明は、(A)カラミンを含む水性外用組成物に、(B)アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムを含むモノマーの重合により得られるポリマーを含有させることにより、この外用組成物をゲル状にする方法を包含する。
【0068】
また、本発明は、(A)カラミンを含む水性外用組成物に、(B)アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムを含むモノマーの重合により得られるポリマーを含有させることにより、この外用組成物をゲル状にし、かつきしみ感を低減する方法を包含する。
【0069】
カラミンを配合した水性組成物をゲル化するにあたり、本発明者は、種々の高分子化合物の配合を試みたが、多糖類や本発明の(B)成分以外の合成高分子化合物を配合すると、きしみ感が改善されないだけでなく、指で製剤を掬おうとすると、手付きが悪く、指から滑って適量を掬うことが難しいことを見出している。指先から製剤が滑ってしまったり、指先に製剤が付いて来ず適量が掬えない製剤は、ジャー容器などに収容する製品において使用性が悪い。
この点に関して、本発明は、(A)カラミンを含む水性外用組成物に、(B)アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムを含むモノマーの重合により得られるポリマーを含有させることにより、この外用組成物をゲル状にし、かつ手付きを向上させる方法を包含する。得られる外用組成物は、プルプルないしはツルリとした水性ジェル状であるにも拘らず、掬い易いものとなる。
【0070】
また、外用組成物に高分子化合物を配合すると一般にベタツキが生じやすいが、本発明は、(A)カラミンを含む水性外用組成物に、(B)アクリロイルジメチルタウリンナトリウム及び/又はアクリロイルジメチルタウリンアンモニウムを含むモノマーの重合により得られるポリマー、並びに(C)両親媒性の保湿成分及び/又は平均粒径4~7μmの非金属粉体を含有させることにより、この外用組成物をゲル状にし、かつベタツキを低減する方法を包含する。
【0071】
上記の本発明の各方法において、きしみ感、手付き、ベタツキは、実施例の項目に記載した方法で評価する。(A)成分と(B)成分を含有する外用組成物の成分の種類・濃度・含有比、性状、特性などは、本発明の外用組成物について説明したのと同じである。
【実施例0072】
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(1)外用組成物の調製
表1~3に組成を示す外用組成物(製剤)を、各成分を混合することにより調製した。
カラミン及びその他の粉体を水に分散させた後、(B)成分以外の成分を加えて攪拌、溶解させた。得られた液体を60~80℃に加温し、(B)成分を加えて攪拌した。(B)成分が十分に分散した後、室温付近まで冷却して、表1~3に組成を示す外用組成物(製剤)を得た。
【表1】
【0073】
【0074】
【0075】
(2)物性評価
ゲル安定性
製剤を調製し、25℃で24時間静置した時点と、さらに25℃で1週間静置した時点で、製剤の粘度を測定した。1週間の静置による粘度の低下率が15%未満の場合を◎、15%以上20%未満の場合を○、20%以上の場合を×と評価した。
【0076】
きしみ感
被験者が感じる摩擦感についてビジュアルアナログスケール法(VAS法)を用いて評価した。すなわち、10cmの直線において、直線の左端、すなわち0cmの点を「素肌と同等の摩擦感」とし、直線の右端、すなわち10cmの点を「非常に強い摩擦感」とし、各試験サンプル塗布後の指先において自覚する摩擦感に相当する直線上の一点を被験者に示してもらい、0cmの点からの距離(cm)を測定して、摩擦感の点数とした。
各評点について、以下の基準に従い、×~◎◎◎と評価した。
7<評点≦10→×
5<評点≦7 →△
4<評点≦5 →○
3<評点≦4 →◎
2<評点≦3 →◎◎
0≦評点≦2 →◎◎◎
【0077】
手付き
手つきは、製剤を指で適量掬い取ることができるかどうかを表す。ジャー容器から人差し指で掬うときに、1回でサクランボ大の製剤が取れた場合を○、取れなかった場合を×と評価した。
【0078】
べたつき
べたつきは、手の甲に製剤を0.1g塗布する際に、製剤を90秒間人差し指で塗りこみ、指先で感じる粘着性の感覚を表す。
被験者が感じるべたつきについてビジュアルアナログスケール法(VAS法)を用いて評価した。すなわち、10cmの直線において、直線の左端、すなわち0cmの点を「べたつきがない」とし、直線の右端、すなわち10cmの点を「非常にべたつきがある」とし、各試験サンプル塗布後の指先において自覚するべたつきに相当する直線上の一点を被験者に示してもらい、0cmの点からの距離(cm)を測定して、べたつき感の点数とした。
各評点について、以下の基準に従い、×~◎と評価した。
6<評点≦10→×
4<評点≦6→△
2<評点≦4 →〇
0≦評点≦2 →◎
【0079】
テカリ
テカリは、手の甲に製剤を0.1g塗布する際に、製剤を90秒間人差し指で塗りこんだ時に、目視にて認められる光の反射を表す。
被験者が感じるテカリについてビジュアルアナログスケール法(VAS法)を用いて評価した。すなわち、10cmの直線において、直線の左端、すなわち0cmの点を「素肌と同等のテカリ感」とし、直線の右端、すなわち10cmの点を「非常にテカリ感がある」とし、各試験サンプル塗布後の皮膚に対して目視において自覚するテカリ感に相当する直線上の一点を被験者に示してもらい、0cmの点からの距離(cm)を測定して、テカリ感の点数とした。
各評点を、以下の基準に従い×~○と評価した。
5<評点≦10→×
3<評点≦5 →△
0≦評点≦3 →〇
【0080】
粘度
製剤の粘度(25℃)は、第17改正日本薬局方の一般試験法に記載の粘度測定法に準拠し、単一円筒形回転粘度計(ブルックフィールド型粘度計)にて測定した。具体的には、TV-10M(東機産業社製)を使用して測定される値をいい、ローターや回転速度等の条件の選定は、本機の取扱説明書に準拠し、25℃における粘度を測定した。より具体的には、M4ローターを用い、回転速度6rpm、測定時間60秒間の条件下において、25℃における粘度を測定した。
【0081】
表1に示す通り、カラミンを含まない参考例の製剤は、非常に安定なジェルとなり、滑らかな感触を与え、製剤を指で掬うことができた。
また、カラミンと、ポリアクリロイルジメチルタウリンナトリウム、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸/ジメチルアクリルアミド)コポリマー、及び(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマーをそれぞれ含む実施例1~3の製剤も、非常に安定なジェルとなり、滑らかな感触を与え、製剤を指で掬うことができた。
一方、比較例1の製剤は、本発明の(B)成分に代えて、(B)成分と同様に耐塩性を有する高分子化合物である(アクリル酸/メタクリル酸アルキル)共重合体を含むが、流動状になり、ジェル状組成物を調製することができなかった。また、ジェル状にならなかったため、指で掬うことができなかった。なお、ジェル状にならなかったため、きしみ感の評価は行っていない。
また、比較例2の製剤は、本発明の(B)成分に代えて、(B)成分と同様に耐塩性を有する高分子化合物であるローカストビーンガムを含むが、安定なゲル状組成物ではあるものの、きしみ感が強く、また指で掬うことができなかった。
カラミンに加えて、本発明の(B)成分を配合することにより安定な水性ゲル状組成物となり、きしみ感がなくなり、手付きが良くなることが分かる。
【0082】
表2に示す通り、平均粒径4~7μmの、無水ケイ酸又はメチルシロキサン網状重合体の粉末を配合することにより(実施例4、5)、きしみ感が一層低減した。
【0083】
表3に示す通り、両親媒性の保湿成分であるトリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル(17E.O.)(17P.O.)、(2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリン/メタクリル酸ブチル)コポリマーを配合した場合は(実施例6~10)、きしみ感が非常に少なくなった。
トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール200、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル(17E.O.)、(2-メタクリロイルオキシエチルホスホコリン/メタクリル酸ブチル)コポリマーを配合した場合は(実施例6~9)、同様に両親媒性の保湿成分であるポリエチレングリコール400や(実施例10)、両親媒性ではないが一般的に保湿成分として知られるソルビトール発酵多糖液(実施例11)を配合した場合に比べて、ベタツキが小さかった。
また、油性成分であるN-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル-2-オクチルドデシル)を1.5質量%含む実施例12の製剤はややテカリ感があったが、これを含まない実施例4~11の製剤ではほとんどテカリ感はなかった。
【0084】
製剤例
本発明の外用組成物の製剤処方例を、表4-1、表4-2、表5、表6に示す。
【表4-1】
【表4-2】
【表5】
【表6】
本発明の外用組成物は、カラミンを含む水性外用組成物であり、安定なゲル状の組成物である。また、金属酸化物特有のきしみ感が抑えられている。使用感が良い安定なカラミン含有製剤を初めて提供した点で、本発明の意義は大きい。