(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154437
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】横転装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 7/00 20060101AFI20241024BHJP
B65G 7/08 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B23Q7/00 D
B65G7/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068167
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000215109
【氏名又は名称】津田駒工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591231867
【氏名又は名称】共和電機工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】太田 嘉直
【テーマコード(参考)】
3C033
【Fターム(参考)】
3C033EE01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ワークの横転装置において、相対角度を維持したままでの両支持板の回動をより簡単且つ確実に実現し、ワークの横転をよりスムーズに行うことが可能な構成を提供する。
【解決手段】本発明は、支持軸に回動可能に支持される第1支持板及び第2支持板と、駆動部及び可動部を備えると共に第1支持板に載置されたワークに対し第2支持板が当接した状態となるように第2支持板をワーク側である第1方向へ傾動させる直動アクチュエータを含む傾転機構と、両支持板を第1方向とは反対の第2方向へ回動させる横転機構とを備えた横転装置において、横転装置が、支持軸に回動可能に設けられる回動部を有し、直動アクチュエータは、駆動部が回動部及び第2支持板の一方に支持されると共に、可動部が他方に連結されるように設けられており、横転機構による両支持板の回動に伴って回動部が第2方向へ回動するように構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の支持部を含む基台と、
両前記支持部間に架設される支持軸と、
側縁部において前記支持軸に回動可能に支持されると共に前記支持軸を挟んだ両側で上面が水平を成すように設けられる第1支持板及び第2支持板と、
駆動部及び駆動部に対し進退可能な可動部を備えると共に、前記第1支持板に載置されたワークに対し前記第2支持板が当接した状態となるように前記第2支持板をワーク側である第1方向へ傾動させる直動アクチュエータを含む傾転機構と、
両前記支持板を前記第1方向とは反対の第2方向へ回動させる横転機構とを備えた横転装置において、
前記支持軸に回動可能に設けられる回動部を有し、
前記直動アクチュエータは、前記駆動部が前記回動部及び前記第2支持板の一方に支持されると共に、前記可動部が他方に連結されるように設けられており、
前記横転機構による両前記支持板の回動に伴って前記回動部が前記第2方向へ回動するように構成されている
ことを特徴とする横転装置。
【請求項2】
前記第1支持板は、ワークに当接する部分である第1主体部分と、前記支持軸に支持される第1支持部分と、前記第1支持部分から前記第1主体部分とは反対側に延在する第1延在部分であって前記回動部である第1延在部分とを有し、
前記第2支持板は、ワークに当接する部分である第2主体部分と、前記支持軸に支持される第2支持部分と、前記第2支持部分から前記第2主体部分とは反対側に延在する第2延在部分であって前記直動アクチュエータが連結される第2延在部分とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の横転装置。
【請求項3】
前記傾転機構は、前記横転機構による両前記支持板の回動時に、前記第1延在部分及び前記第2延在部分に対して当接する角度維持部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の横転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の支持部を含む基台と、両支持部間に架設される支持軸と、側縁部において支持軸に回動可能に支持されると共に支持軸を挟んだ両側で上面が水平を成すように設けられる第1支持板及び第2支持板と、駆動部及び駆動部に対し進退可能な可動部を備えると共に第1支持板に載置されたワークに対し第2支持板が当接した状態となるように第2支持板をワーク側である第1方向へ傾動させる直動アクチュエータを含む傾転機構と、両支持板を第1方向とは反対の第2方向へ回動させる横転機構とを備えた横転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
横転装置は、例えば工作機械にワークを自動的に搬入する装置において、加工後にワークの加工面を別の面に入れ替えるために、ワークを横転させる装置として用いられている。その横転装置は、ワークが載置されることでワークの底面と当接する第1支持板とワークの側面に当接した状態とされる第2支持板との2つの支持板を備え、第2支持板が当接するワークの側面が底面となるようにワークを横転させるように構成されている。
【0003】
そして、そのような横転装置としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。その特許文献1の横転装置(以下、「従来装置」と言う。)は、基台(架台)に設けられた支持軸(軸受)を含み、その支持軸に回動可能に支持されると共に支持軸を挟んだ両側で上面が水平を成すように設けられた第1支持板(右フレーム)及び第2支持板(左フレーム)を備えている。その上で、従来装置は、第2支持板をワークの側面に当接させた当接状態で、その当接状態を維持しつつ両支持板を支持軸周りに回動させるための構成として、一対の油圧シリンダを備えている。なお、従来装置においては、各油圧シリンダは、駆動部としてのシリンダが基台に対し回動可能に支持されると共に、可動部としてのロッドが対応する支持板の底面に対し回動可能に連結されるかたちで設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、その従来装置においては、両支持板の回動は、第1支持板側の油圧シリンダのロッドを徐々に進出させつつ、第2支持板側の油圧シリンダのロッドを徐々に後退させることで行われるようになっている。なお、横転装置において、前記のような横転時に前記当接状態を維持するためには、両支持板の回動の際に、両支持板の相対角度が維持されている必要がある。それに対し、回動中に両支持板の相対角度(前記当接状態)が変化してしまうと、前記当接状態が維持されなくなるため、横転後においてワークの位置が所定の位置からズレる虞がある。
【0006】
しかし、前記のような従来装置の構成の場合において、その両支持板の相対角度が維持されるようにするためには、第1支持板側の油圧シリンダにおけるロッドの進出と第2支持板側の油圧シリンダにおけるロッドの後退とが完全に同期した状態で行われなければならない。そのため、従来装置では、その同期状態を制御するための制御構成が複雑なものと成らざるを得ない。しかも、そのような完全に同期した状態で油圧シリンダのロッドを進退動作させるためには、そのロッドの進退速度を遅くしなければならず、ワークの横転をスムーズに行わせることができない。
【0007】
そこで、本発明は、ワークの横転装置に関し、横転後のワークの位置ズレを防止するために相対角度を維持しつつ両支持板を回動させることがより簡単な構成で実現されると共に、その相対角度の維持をより確実なものとしてワークの横転がよりスムーズに行える様にする構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明は、前述のような横転装置を前提とし、支持軸に回動可能に設けられる回動部を有し、直動アクチュエータは、駆動部が前記回動部及び第2支持板の一方に支持されると共に、可動部が他方に連結されるように設けられており、横転機構による両支持板の回動に伴って回動部が前記第2方向へ回動するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、そのような本発明による横転装置において、第1支持板が、ワークに当接する部分である第1主体部分と、支持軸に支持される第1支持部分と、第1支持部分から第1主体部分とは反対側に延在する第1延在部分であって前記回動部である第1延在部分とを有し、第2支持板が、ワークに当接する部分である第2主体部分と、支持軸に支持される第2支持部分と、第2支持部分から第2主体部分とは反対側に延在する第2延在部分であって直動アクチュエータが連結される第2延在部分とを有するように構成されても良い。さらに、傾転機構が、横転機構による両支持板の回動時に、第1延在部分及び第2延在部分に対して当接する角度維持部を有するように構成されても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明の横転装置は、支持軸に回動可能に設けられる回動部を有すると共に、第2支持板を水平状態から前記当接状態とするための傾転機構における直動アクチュエータが、駆動部が回動部及び第2支持板の一方に支持されると共に、可動部がその他方に連結されるように設けられている。その上で、横転装置は、横転機構による両支持板の回動に伴って回動部が回動するように構成されている。その構成によれば、ワークの横転時における両支持板の回動に伴い、回動部もそれに応じて回動する結果として、その回動部に支持された直動アクチュエータも両支持板と共に回動する。
【0011】
それにより、横転時において、傾転機構における直動アクチュエータの駆動部に対する可動部の進退状態を変化させなくても(直動アクチュエータの動作を制御しなくても)、両支持板の相対角度を維持したままでの回動を実現することができる。したがって、本発明の横転装置によれば、横転時において前記当接状態を維持すべく両支持板の相対角度を維持することが、直動アクチュエータの精密な制御を伴うこと無く実現することができ、従来装置のような複雑な制御構成が不要となる。
【0012】
また、その構成においては、両支持板の相対角度が直動アクチュエータの前記進退状態によって変化するものであることから、その直動アクチュエータの前記進退状態を変化させないことで、両支持板の相対角度は固定された状態となる。したがって、横転時において、前記のように直動アクチュエータの前記進退状態を変化させること無く両支持板を回動させれば、その回動中における両支持板の相対角度は確実に維持された状態となる。このように、本発明の横転装置によれば、横転時における両支持板の相対角度の維持を容易に且つ確実に実現することができるため、両支持板の回動(ワークの横転)をよりスムーズに行うことができると共に、横転後のワークの位置ズレも防止することができる。
【0013】
また、本発明による横転装置において、第1支持板及び第2支持板を、ワークに当接する主体部分、支持軸に支持される支持部分、及び支持部分から主体部分とは反対側に延在する延在部分で構成されるものとし、第1支持板の延在部分(第1延在部分)が前記した回動部として機能し、第2支持板の延在部分(第2延在部分)に直動アクチュエータが連結されるようにすることで、横転時における両支持板の相対角度の維持を単一の直動アクチュエータのみで実現することができるものとなる。したがって、その構成によれば、その横転装置を、構成的に簡単で、コストの面において有利なものとすることができる。
【0014】
さらに、第1支持板及び第2支持板を前記のように主体部分、支持部分、及び延在部分を有するように構成する場合において、両支持板の回動時に第1延在部分及び第2延在部分に対して当接する角度維持部を有するように傾転機構を構成することで、第2支持板がワークに当接する際の両支持板の相対角度が、両延在部分と角度維持部との当接によって確定されるものとなる。すなわち、そのような角度維持部を用いることにより、直動アクチュエータ自身が支持板を位置決めできる機能を有していなくても、両支持板の相対角度を確定することが可能となる。それにより、傾転機構における直動アクチュエータとして比較的安価な流体圧シリンダを用いることが可能となり、横転装置のコスト面においてより有利なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る一実施形態における横転装置の底面図である。
【
図2】本発明に係る一実施形態における横転装置の側面図である。
【
図3】本発明に係る一実施形態における横転装置の上面図である。
【
図4】本発明に係る一実施形態における横転装置の動作図である。
【
図5】本発明に係る一実施形態における横転装置の動作図である。
【
図6】本発明に係る一実施形態における横転装置の動作図である。
【
図7】本発明に係る一実施形態における横転装置の動作図である。
【
図8】本発明に係る別の実施形態における横転装置の動作図である。
【
図9】本発明に係る別の実施形態における横転装置の動作図である。
【
図10】本発明に係る別の実施形態における横転装置の動作図である。
【
図11】本発明に係る別の実施形態における横転装置の動作図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下では、
図1~
図7に基づき、本発明が適用された横転装置の一実施形態(実施例)について説明する。なお、本実施例は、横転機構による両支持板の回動時において、単一の直動アクチュエータで両支持板の相対角度を維持するように構成された例である。
【0017】
横転装置1は、基台2及び基台2に対し支持される支持軸3を備えている。また、基台2は、板状に形成された部分を主体とし、その板厚方向に見て矩形状を成すように構成されている。さらに、基台2は、前記板厚方向に貫通する貫通孔2aを有している。なお、その貫通孔2aは、前記板厚方向に見て、四角形状を成す孔として形成されている。また、その貫通孔2aは、側縁が基台2の短辺方向及び長辺方向と平行を成すように形成されている。
【0018】
また、基台2の前記板厚方向における両端面のうちの下面となる端面には、その四隅に角柱状の脚部2bが取り付けられている。そして、基台2は、その脚部2b上に支持されるかたちで設置される。したがって、その基台2の下方には、その脚部2bによる空間が形成されている。また、基台2は、そのように設置された状態において、前記端面が水平を成すように設けられる。なお、以下の説明では、便宜上、基台2の前記端面における短辺方向を横転装置1における「幅方向」と言い換えると共に、長辺方向を横転装置1における「前後方向」と言い換えることとする。
【0019】
また、基台2は、支持軸3を支持するための一対の支持部5、5を有している。なお、各支持部5は、概観的に角柱形状を成す部材で構成されている。そして、各支持部5は、その長手方向を前記前後方向と一致させる向きで、前記幅方向における貫通孔2aの側縁に沿うようなかたちで基台2に設けられている。但し、各支持部5は、平面視において、その一部が基台2の貫通孔2aの存在範囲内に位置する(貫通孔2a内に突出する)ように設けられている。
【0020】
その上で、支持軸3は、その軸線が前記幅方向と平行を成すと共に、一対の支持部5、5間に架設されるかたちで設けられている。また、その支持軸3が架設される位置は、前記前後方向に関し、貫通孔2aの略中央となっている。
【0021】
また、横転装置1は、支持軸3に回動可能に支持される第1支持板10及び第2支持板20を備えている。なお、両支持板10、20は、概ね同じような構成要素から成っており、いずれもワークWに当接する板状の主体部分(第1主体部分12、第2主体部分22)、及び主体部分を支持軸3に支持された状態とするための中空円筒状の支持部分(第1支持部分14、第2支持部分24)を有している。さらに、両支持板10、20は、支持部分に連続する板状の延在部分(第1延在部分16、第2延在部分26)を有している。
【0022】
その両支持板10、20において、主体部分12、22は、板厚方向に見てその端面が矩形状を成すように形成されている。但し、主体部分12、22は、その矩形状を成す端面の長辺の寸法が基台2の貫通孔2aの前記幅方向における大きさよりも若干小さく、短辺の寸法が貫通孔2aの前記前後方向における大きさの半分よりも若干小さい大きさであるように形成されている。
【0023】
また、支持部分14、24は、その軸線が主体部分12、22の前記長辺と平行を成すと共に、主体部分12、22における前記長辺側の両側縁の一方に連続するかたちで設けられている。但し、その支持部分14、24は、平面視においてその軸線の位置が主体部分12、22における前記一方の側縁の位置と一致すると共に、上下方向においてその上端の位置が主体部分12、22の上面の位置と一致するように設けられている。それにより、支持部分14、24の外周面は、その上端において主体部分12、22の上面に連続するようになっている。その上で、支持部分14、24と主体部分12、22とは、一体的に形成されている。
【0024】
なお、主体部分12、22の板厚は、支持部分14、24の肉厚と略同じとなっている。したがって、その構成においては、主体部分12、22は、上下方向において全体として支持部分14、24の中心よりも上方に位置している。
【0025】
また、その各支持部分14、24について、第2支持板20における第2支持部分24は、その軸線方向における寸法が、第2主体部分22の前記長辺の寸法に対し1/3程度の大きさとなっている。その上で、第2支持部分24は、第2主体部分22の前記長辺の中央に対し、間隔を空けて対称的に2つ(一対)設けられている。なお、その2つの第2支持部分24、24の間隔は、その間に後述する連結プレート50が配置可能であると共に、その連結プレート50が両第2支持部分24、24に近接して配置された状態となるような大きさとなっている。
【0026】
同様に、第1支持部分14も、第1主体部分12の前記長辺の中央に対し、間隔を空けて対称的に2つ(一対)設けられている。但し、その2つの第1支持部分14、14の間隔は、その間に両第2支持部分24、24が配置可能であると共に、隣り合う第1支持部分14と第2支持部分24とが近接した状態となるような大きさとなっている。その上で、その第1支持部分14のその軸線方向における大きさは、第1主体部分12の前記長辺の方向において、第1主体部分12の前記短辺と第1支持部分14との間に間隔が存在するような大きさとなっている。そして、その間隔は、支持軸3を支持する支持部5の貫通孔2a内への突出長さと略一致する大きさとなっている。
【0027】
また、延在部分16、26は、その端面が主体部分12、22の端面と平行を成すと共に、支持部分14、24から主体部分12、22とは反対側に延在するように設けられている。なお、第2支持板20においては、第2延在部分26が、一方の第2支持部分24から延在するように設けられている。また、第1支持板10においては、第1延在部分16が、両第1支持部分14、14から延在するように設けられている。その上で、第1延在部分16は、その第1支持部分14から延在する両部分が第1支持部分14の前記長辺の方向に延びる部分によって接続された構成となっている。
【0028】
また、その各延在部分16、26は、その下面において支持部分14、24の下端に連続する(上下方向においてその下面の位置が支持部分14、24の下端の位置と一致する)ようになっている。さらに、各延在部分16、26は、その板厚が主体部分12、22の板厚(支持部分14、24の肉厚)と略同じであるように形成されており、上下方向において全体として支持部分14、24の中心よりも下方に位置するように設けられている。その上で、延在部分16、26は、支持部分14、24と一体的に形成されている。
【0029】
そして、第1支持板10と第2支持板20とは、第1支持板10における2つの第1支持部分14、14の間に第2支持板20における両第2支持部分24、24が位置する配置で、各支持部分14、24に支持軸3が挿通された状態とすることで、基台2の貫通孔2a内において支持軸3(基台2)に支持された状態となる。そして、そのように支持された状態においては、両支持板10、20は、その側縁部(主体部分12、22に連続する支持部分14、24)において支持軸3に回動可能に支持されていることとなる。因みに、両支持板10、20の各支持部分14、24と支持軸3との間にはブッシュが介在されている。
【0030】
さらに、そのように両支持板10、20が支持軸3に支持された状態では、第2支持板20の第2支持部分24の両側には第1支持板10の第1支持部分14が近接して存在しており、また、その第1支持部分14の両側には支持部5が近接して存在するかたちとなる。したがって、両支持板10、20は、各支持部分及び一対の支持部5、5によって、前記幅方向の位置が規制された状態となっている。
【0031】
なお、一対の支持部5、5は、前記のように平面視においてその一部が基台2の貫通孔2a内に突出するように設けられており、貫通孔2a内に突出する部分(突出部分)を有している。それにより、両支持板10、20は、前記幅方向に関し、その主体部分12、22における両側縁部が両支持部5、5の突出部分と重複した状態となっている。その上で、両支持部5、5には、その突出部分における各支持板10、20(主体部分12、22)と重複する位置に、対応する支持板10、20を支承する支承部材5a、5bが設けられている。
【0032】
そして、本実施例では、その支承部材5a、5bは、ボルト等のネジ部材で成っており、両支持部5、5の突出部分に螺挿されるかたちで設けられている。したがって、前記のように支持軸3に対し回動可能に支持される両支持板10、20は、その主体部分12、22の下面において、支承部材5a、5bに承けられた状態となる。その上で、支承部材5a、5bは、その螺挿量に応じて支持部5、5(突出部分)から突出した状態となるが、その突出量は、支承部材5a、5bで主体部分12、22が承けられた状態で、その主体部分12、22が水平を成した状態となるような量となっている。
【0033】
以上の構成により、両支持板10、20は、支持軸3を挟んで支持軸3の両側に位置するように設けられると共に、その主体部分12、22の下面が支承部材5a、5bに承けられた基礎状態において、主体部分12、22(その上面)が水平を成すように設けられた状態となる。
【0034】
また、横転装置1は、第1支持板10に載置されたワークWの側面に第2支持板20が当接した状態となるように、第2支持板20をワークW側である第1方向へ傾動させる傾転機構30を備えている。また、その傾転機構30は、直動アクチュエータとして圧縮空気により駆動されるエアシリンダ32を備えている。なお、エアシリンダ32は、駆動部としてのシリンダ34と、シリンダ34に対し進退可能な可動部としてのロッド36とで構成される一般的なものである。そして、エアシリンダ32は、そのシリンダ34において、第1支持板10に支持されている。
【0035】
そのエアシリンダ32(シリンダ34)の支持について、第1支持板10における第1延在部分16の下面には、シリンダ34を支持するための取付部16aが取り付けられている。また、その取付部16aは、一対の支持片を有し、その支持片間でエアシリンダ32を支持するように構成されている。そして、その取付部16aは、支持されるエアシリンダ32の軸線が平面視において前記前後方向と平行を成す状態となるような向きで取り付けられている。また、取付部16aは、前記幅方向に関し、第2支持板20の第2延在部分26と重複するような位置に設けられている。
【0036】
その上で、エアシリンダ32は、第2支持板20の第2延在部分26側へ向けてロッド36が進出するような向きで、そのシリンダ34が取付部16aに取り付けられるかたちで支持されている。なお、その取付部16aに対するシリンダ34の取り付けは、各支持片に挿通された支持ピンがシリンダ34に形成された孔に遊嵌されるかたちで行われている。それにより、エアシリンダ32は、その支持ピン周りに回動可能な状態となっている。
【0037】
また、そのエアシリンダ32において、ロッド36は、第2支持板20の第2延在部分26に対して連結されている。そのロッド36の連結について、ロッド36は、その先端に、その連結のための連結具を有している。一方で、第2延在部分26の下面には、その連結具においてロッド36が連結される取付部26aが取り付けられている。また、その取付部26aは、前記幅方向に対向する一対の連結ブロックであって、前記のような向きで第2延在部分26側へ延びるロッド36の連結具をその間に配置できるように設けられた一対の連結ブロックを有している。そして、ロッド36は、その取付部26aの連結ブロック間に架設された連結ピンが連結具に挿通されるかたちで、取付部26aに対し回動可能に連結されている。
【0038】
以上のようなかたちで、エアシリンダ32は、そのシリンダ34(駆動部)において第1支持板10に支持されると共に、ロッド36(可動部)において取付部26aを介して第2支持板20の第2延在部分26に対し連結されている。但し、両支持板10、20の前記基礎状態においては、
図2に示すように、エアシリンダ32は、そのシリンダ34に対してロッド36が進出した状態となっている。
【0039】
また、横転装置1は、両支持板10、20を前記第1方向とは反対の第2方向へ回動させる横転機構40を備えている。また、その横転機構40は、傾転機構30のエアシリンダ32と同様の構成(シリンダ44、ロッド46)のエアシリンダ42を備えている。そして、エアシリンダ42は、シリンダ44において、基台2に支持されている。
【0040】
そのエアシリンダ42(シリンダ44)の支持について、基台2の下面(第1支持板10の第1主体部分12に対して支持軸3とは反対側に位置する部分)には、第1支持板10側の取付部16aと同様の構成の取付部2cが取り付けられている。そして、その取付部2cは、支持されるエアシリンダ42の軸線が平面視において前記前後方向と平行を成す状態となるような向きで取り付けられている。また、取付部2cは、前記幅方向に関し、基台2の略中央の位置に設けられている。
【0041】
その上で、エアシリンダ42は、傾転機構30におけるエアシリンダ32のロッド36と対向させるような向きで、そのシリンダ44が取付部2cに取り付けられるかたちで支持されている。なお、取付部2cに対するシリンダ44の取り付けは、取付部2cにおける一対の支持片のそれぞれに挿通された支持ピンがシリンダ44に形成された孔に遊嵌されるかたちで行われている。それにより、エアシリンダ42は、その支持ピン周りに回動可能な状態となっている。
【0042】
また、そのエアシリンダ42において、ロッド46は、第2支持板20における一対の支持部分24、24間において支持軸3に回動可能に支持された板状の連結プレート50に対し連結されている。その連結プレート50は、その主体的な部分である主体部分51が板厚方向に見て略矩形状を成すように形成されている。但し、主体部分51は、1つの角部が矩形状に切り欠かれた形状となっている。
【0043】
また、連結プレート50は、その主体部分51を支持軸3に支持された状態とするための中空円筒状の支持部分52を有している。その支持部分52は、主体部分51において、前記した切欠きが形成された角部に対し主体部分51の端面の長辺方向において隣り合う角部に位置するかたちで、主体部分51と一体的に形成されている。但し、その支持部分52は、その軸線が主体部分51の板厚方向と平行を成すと共に、板厚方向に見てその軸心が主体部分51の角の位置と略一致するような位置に設けられている。
【0044】
なお、支持部分52の軸線方向の寸法は、第2支持板20における一対の支持部分24、24の間隔より若干小さい大きさとなっている。そして、連結プレート50は、前記幅方向に関し、第2支持板20における両第2支持部分24、24の間で、支持部分52に支持軸3が挿通された状態とされることで、支持軸3に対し回動可能に支持された状態となっている。因みに、連結プレート50の支持部分52と支持軸3との間には、ブッシュが介在されている。
【0045】
さらに、連結プレート50は、エアシリンダ42のロッド46が連結される連結部分53を有している。その連結部分53は、前記した切欠きが形成された角部に対し主体部分51の端面の短辺方向において隣り合う角部において、主体部分51からその短辺方向に突出するように形成されている。そして、その連結部分53には、板厚方向に貫通する貫通孔が形成されている。
【0046】
また、エアシリンダ42におけるロッド46は、その先端に、連結プレート50との連結のための連結具を有している。その連結具は、その先端が二叉状に形成されており、その二叉部分の間に連結プレート50の連結部分53を配置できるようになっている。そして、ロッド46は、連結具の二叉部分の間に架設された連結ピンが連結部分53の貫通孔に挿通されるかたちで、連結プレート50に対し回動可能に連結されている。
【0047】
以上のようなかたちで、エアシリンダ42は、そのシリンダ44(駆動部)において基台2に支持されると共に、支持軸3に支持された連結プレート50に対しロッド46(可動部)において連結されている。そして、両支持板10、20の前記基礎状態においては、
図2に示すように、エアシリンダ42は、そのシリンダ44に対してロッド46が後退した状態となっている。また、その状態では、連結プレート50は、主体部分51の端面の長辺方向が鉛直方向と平行を成す(短辺方向が水平方向と平行を成す)状態となっている。
【0048】
そして、以上のような構成によれば、両支持板10、20は、エアシリンダ32のロッド36が後退するのに伴い、前記基礎状態(両主体部分12、22が水平を成した状態)から両主体部分12、22が角度を成す状態に変更される。但し、エアシリンダ32(シリンダ34)が支持される第1支持板10は、ワークWが載置される支持板である。したがって、第1支持板10にワークWが載置された状態では、第2支持板20が傾動することとなる。そして、エアシリンダ32がロッド36において第2支持板20の第2延在部分26に連結されていることから、その第2支持板20の傾動に伴い、エアシリンダ32も傾動する。
【0049】
なお、エアシリンダ32のシリンダ34は、前記前後方向に関し、その後端部が基台2の貫通孔2aの存在範囲外に位置するような大きさとなっている。そこで、基台2には、そのエアシリンダ32(シリンダ34)の傾動を許容するための切欠き2dが、貫通孔2aに連続するようなかたちで形成されている。
【0050】
また、前記した第2支持板20の傾動は、
図4に示すような横転装置の初期状態、すなわち、エアシリンダ42のロッド46が進出した状態で行われる。そして、連結プレート50には、前記初期状態において第1支持板10の第1延在部分16の下面に当接する当接部材54と、前記傾動に伴って第2支持板20における第2延在部分26の下面に当接する当接部材56とが取り付けられている。なお、両当接部材54、56は、ボルト等のネジ部材で成っている。
【0051】
具体的には、連結プレート50の主体部分51には、板厚方向と平行な側面のうちの前記切欠きが形成された角部と連結部分53とに跨がる側面において、L字状のプレート部材55が取り付けられている。また、そのプレート部材55は、屈曲部よりも一端側の部分において主体部分51の側面に取り付けられると共に、他端側の部分の端面が主体部分51の板厚方向と平行を成すように設けられている。そして、当接部材54が、そのプレート部材55の他端側の部分に対し螺挿されるかたちで設けられている。なお、当接部材54は、プレート部材55から突出した状態で設けられると共に、その突出量がプレート部材55に対する螺挿量で調整できるようになっている。
【0052】
また、主体部分51の板厚方向における一方の端面には、L字状のブラケット57が取り付けられている。そして、そのブラケット57は、屈曲部よりも一端側の部分において主体部分51における一方の端面に取り付けられると共に、他端側の部分の端面が主体部分51の板厚方向と平行を成すように設けられている。また、そのブラケット57は、主体部分51の端面の短辺方向において、主体部分51から連結部分53側に突出するように設けられている。
【0053】
そして、当接部材56は、そのブラケット57における主体部分51から突出する部分において、前記した他端側の部分に対し螺挿されるかたちで設けられている。また、当接部材56は、ブラケット57から突出した状態で設けられると共に、その突出量がブラケット57に対する螺挿量で調整できるようになっている。その上で、その当接部材56は、前記のように傾動した第2支持板20(第2主体部分22)が第1支持板10(第1主体部分12)に対し90°を成す位置で第2支持板20の第2延在部分26に当接した状態となるように設けられている。
【0054】
そして、そのように当接部材54、56が設けられていることにより、前記のようにエアシリンダ32のロッド36が後退して第2支持板20が傾動されると、両支持板10、20の延在部分16、26が両当接部材54、56に対し当接した状態となる。なお、本実施例では、前記傾動の際に後退するエアシリンダ32のロッド36が後退限に達する前に、第2支持板20の第2延在部分26が当接部材56に当接するようになっている。したがって、その両延在部分16、26が両当接部材54、56に当接した状態では、エアシリンダ32においてロッド36を後退させるためにロッド36に作用する作動流体(圧縮空気)の圧力が、両延在部分16、26を介して両当接部材54、56によって受けられた状態となる。
【0055】
それにより、その両支持板10、20と両当接部材54、56との当接状態が維持され、両主体部分12、22の相対角度も90°で維持された状態となる。このように、本実施例では、両支持板10、20に当接する両当接部材54、56、及び両当接部材54、56が取り付けられる連結プレート50の組み合わせが、両主体部分12、22の相対角度を維持する角度維持部として機能するようになっている。したがって、本実施例は、傾転機構30がそのような角度維持部を有するように構成された例となっている。
【0056】
以上のように構成された本実施例の横転装置1による作用(ワークWの横転動作)を、
図4~
図7を用いて説明する。なお、本実施例では、第1支持板10に載置されるワークWは、
図4等に示すように、直方体状を成しているものとする。
【0057】
先ず、横転装置1においては、両支持板10、20の前記基礎状態であって
図2に示す状態において、作業者等により、第1支持板10における第1主体部分12上にワークWが載置される。なお、そのワークWの載置は、平面視において、ワークWの1つの端面の位置が、第1支持板10の第1主体部分12における支持部分14が連続する側の側縁と略一致するように行われる。
【0058】
そして、その状態から、横転機構40において、
図4に示す前記初期状態となるように、すなわち、横転機構40におけるエアシリンダ42がロッド46を進出させた状態となるように、エアシリンダ42が駆動される。それにより、ロッド46に連結された連結プレート50(角度維持部)が支持軸3周りに回動される。なお、そのロッド46の進出(角度維持部の回動)は、当接部材54が第1支持板10の第1延在部分16の下面に当接した状態となることで停止される。
【0059】
次いで、傾転機構30において、ロッド36を進出させた状態となっているエアシリンダ32がロッド36を後退させる方向に駆動される。それにより、前述のように、第2支持板20がワークW側である第1方向へ傾転され、
図5に示すような第2支持板20の第2延在部分26が角度維持部の当接部材56に当接した状態となる。また、その状態では、前述のように、ロッド36に作用する作動流体の圧力が両当接部材54、56で受けられることで、両支持板10、20の相対角度(90°)が維持された状態となる。そして、その状態では、第2支持板20は、第2主体部分22がワークWの側面に当接すると共に、その状態で維持された状態となる。
【0060】
その上で、
図6に示す横転機構40におけるエアシリンダ42がロッド46を後退させた状態となるように、エアシリンダ42が駆動される。それにより、角度維持部(連結プレート50)が前記第1方向とは反対の第2方向へ回動され、それに伴い、両支持板10、20が前述のようにその相対角度が維持されたままの状態(両延在部分16、26が角度維持部の両当接部材54、56に当接したままの状態)で第2方向へ回動される。なお、そのロッド46の後退(両支持板10、20の回動)は、第2支持板20の第2主体部分22が基台2(一対の支持部5、5)に設けられた支承部材5bに承けられた状態となることで停止される。その結果として、ワークWの側面に当接した状態の第2支持板20(第2主体部分22)が水平を成した状態となり、ワークWの側面が底面となった状態、すなわち、ワークWが90°横転された状態となる。
【0061】
最後に、
図7に示す傾転機構30におけるエアシリンダ32のロッド36が再度進出した状態となるように、エアシリンダ32が駆動される。それにより、第1支持板10が前記第1方向へ回動され、第1主体部分12において支承部材5aに承けられた状態(第1主体部分12が水平を成した状態)となる。その結果として、両支持板10、20が前記基礎状態(両主体部分12、22が水平を成した状態)に戻った状態とされ、横転装置1によるワークWの横転動作が完了する。このように、本実施例では、傾転機構30のエアシリンダ32におけるロッド36が連結されると共に横転機構40による両支持板10、20の回動に伴って前記第2方向へ回動される第1支持板10の第1延在部分16が、本発明で言う回動部として機能するようになっている。
【0062】
以上のように、その横転装置1では、横転機構40による両支持板10、20の回動(以下、「横転」と言う。)に伴って回動部(第1延在部分16)が回動する結果として、その回動部において支持された直動アクチュエータ(エアシリンダ32)も両支持板10、20と共に回動する。それにより、前記横転時において、傾転機構30のエアシリンダ32におけるロッド36の進退状態を変化させなくても(エアシリンダ32の動作を制御しなくても)、両支持板10、20(両主体部分12、22)の相対角度を維持したままでの回動を実現することができる。したがって、その横転装置1によれば、前記横転時において両支持板10、20のワークWに対する当接状態を維持すべく両支持板10、20の相対角度を維持することが、エアシリンダ32の制御を伴うこと無く実現することができ、従来装置のような複雑な制御構成が不要となる。
【0063】
また、その構成においては、両支持板10、20の相対角度がエアシリンダ32におけるロッド36の進退状態によって変化するものであることから、前記進退状態を変化させないことで、両支持板10、20の相対角度は固定された状態となる。したがって、前記横転時において、前記のようにエアシリンダ32におけるロッド36の前記進退状態を変化させること無く両支持板10、20を回動させれば、その回動中における両支持板10、20の相対角度は確実に維持された状態となる。このように、その横転装置1によれば、前記横転時における両支持板10、20の相対角度の維持を容易に且つ確実に実現することができるため、両支持板10、20の回動(ワークWの横転)をよりスムーズに行うことができると共に、横転後のワークWの位置ズレも防止することができる。
【0064】
また、その横転装置1においては、両支持板10、20が、ワークWに当接する主体部分12、22と、支持軸3に支持される支持部分14、24と、支持部分14、24から主体部分12、22とは反対側に延在する延在部分16、26とで構成されている。その上で、第1支持板10の第1延在部分16が前記した回動部として機能(エアシリンダ32のシリンダ34を支持)し、第2支持板20の第2延在部分26にエアシリンダ32のロッド36が連結されるようになっている。その構成によれば、前記横転時における両支持板10、20の相対角度の維持を単一の直動アクチュエータのみで実現することができる。したがって、その横転装置1は、構成的に簡単で、コストの面において有利なものとなっている。
【0065】
さらに、その横転装置1においては、前記横転時に両支持板10、20の両延在部分16、26に当接する前記角度維持部を傾転機構30が有しており、両支持板10、20がワークWに当接した状態での相対角度が、両支持板10、20の両延在部分16、26と前記角度維持部における当接部材54、56との当接によって確定されるようになっている。すなわち、その横転装置1では、直動アクチュエータ自身が両支持板を位置決めできる機能を有していなくても、両支持板の相対角度を確定することが可能となっている。したがって、その横転装置1は、傾転機構30における直動アクチュエータとして比較的安価なエアシリンダを用いることができており、横転装置のコスト面においてより有利なものとなっている。
【0066】
以上では、本発明が適用された横転装置の一実施形態(以下、「前記実施例」と言う。)について説明した。しかし、本発明は、前記実施例において説明した構成に限定されるものではなく、以下のような別の実施形態(変形例)での実施も可能である。
【0067】
(1)横転機構について、前記実施例では、横転機構40は、エアシリンダ42を備え、そのエアシリンダ42が両支持板10、20の相対角度を維持する角度維持部における連結プレート50を前記第2方向へ回動させることで、両支持板10、20の前記横転を実現するものとなっている。しかし、本発明の横転装置において、横転機構は、両支持板10、20が所望の角度(前記実施例では90°)を成した(維持された)状態で当接する別部材を駆動手段で回動させるように構成されたものには限られず、両支持板10、20を駆動手段で直接的に回動させるように構成されたものであっても良い。
【0068】
例えば、横転機構が駆動手段としてエアシリンダを備える場合において、そのエアシリンダを、シリンダにおいて基台2に対し回動可能に支持されるように設けると共に、ロッドが第1支持板10における第1主体部分12の下面に対し回動可能に連結されるような構成としても良い。その構成の場合、両支持板10、20が所望の角度に維持された状態において、エアシリンダのロッドを進出させ、ロッドが第1支持板10(第1主体部分12)を押すことによって、両支持板10、20が前記第2方向へ回動されることとなる。また、基台2に対し同様に設けられたエアシリンダを、ロッドにおいて第1支持板10における第1延在部分16に連結し、ロッドが後退されることで、第1支持板10(第1延在部分16)をシリンダ側に引き寄せるかたちで両支持板10、20を前記第2方向へ回動させるようにしても良い。
【0069】
なお、以上のように横転機構における駆動手段としてエアシリンダを用いる場合において、そのエアシリンダの向きは、前記実施例や前記例のようにシリンダにおいて基台に支持されると共にロッドが角度維持部や第1支持板に連結される向きに限られず、ロッドの先端部において基台に連結され、シリンダの後端において角度維持部や第1支持板に支持されるような向きとすることも可能である。
【0070】
また、横転機構は、駆動手段として前記実施例のエアシリンダ42のような直動アクチュエータを用いたものに限らず、モータを駆動手段として用いたものであっても良い。具体的には、第1支持板を、前記幅方向に関し、その第1支持部分が第1主体部分の範囲外まで延在するように構成されたものとする。その上で、その第1支持部分における延在部分の外周にギアを取り付け、そのギアを別のギアを介してモータで回転駆動することで、第1支持板を回動させて両支持板を前記第2方向へ回動させるようにすれば良い。
【0071】
(2)傾転機構における直動アクチュエータについて、その直動アクチュエータは、前記実施例のような圧縮空気により駆動されるエアシリンダ32には限られず、油圧シリンダや電動シリンダのような、他の一般的な直動アクチュエータであっても良い。
【0072】
(3)両支持板を所望の角度に維持するための構成について、前記実施例では、傾転機構30が角度維持部を有するように構成されている。そして、その角度維持部は、連結プレート50及び2つの当接部材54、56から成っており、連結プレート50に取り付けられた両当接部材54、56に両支持板10、20が当接することで、両支持板10、20が所望の角度に維持されるようになっている。しかし、本発明において、横転装置がそのような角度維持部を備える場合であっても、その角度維持部は、前記実施例のような構成には限られない。
【0073】
例えば、前記のように連結プレートが設けられる場合において、角度維持部は、前記実施例のような当接部材を備えていなくても良い。その場合において、両支持板がその延在部分において下面から突出する当接部分(ボルト等)を備え、その当接部分が連結プレートに当接することで両支持板の角度が維持されるようにしても良い。また、両支持板がそのような当接部分を備えず、両支持板(延在部分)が直接的に連結プレートに当接するようにしても良い。
【0074】
また、角度維持部は、前記実施例のような両支持板10、20とは別部材である連結プレートを用いて構成されたものにも限られない。例えば、両支持板を、その延在部分の下面から板厚方向に突出する突出部分が設けられたものとする。また、その突出部分は、両支持板が所望の角度を成した状態となったときに両突出部分同士が当接した状態(突出部分で角度を維持した状態)となるように形成されているものとする。そして、その構成によれば、その両突出部分が互いに当接した状態となることで、両支持板が所望の角度に維持された状態となる。したがって、その構成の場合には、その両支持板に設けられた突出部分が、角度維持部として機能することとなる。
【0075】
また、以上の例は、いずれも機械的に当接することで両支持板を所望の角度に維持する角度維持部を備えているが、本発明においては、横転装置は、角度維持部を備えていなくても良い。具体的には、傾転機構における直動アクチュエータとして、前述の電動シリンダ等のような、ロッドの進出量を制御可能なものを採用する。そして、支持板の角度に応じた量だけロッドが進出した状態でその進出状態を固定するように直動アクチュエータを制御することで、(角度維持部を用いなくても)両支持板を所望の角度で維持された状態とすることが可能となる。
【0076】
(4)傾転機構について、前記実施例では、第2支持板20を前記第1方向へ傾転させるための傾転機構30におけるエアシリンダ32(直動アクチュエータ)は、シリンダ32(駆動部)が第1支持板10の第1延在部分16に支持され、ロッド36(可動部)が第2支持板20の第2延在部分26に連結されるかたちで設けられている。しかし、本発明において、傾転機構は、直動アクチュエータがそのように設けられたものには限られない。
【0077】
例えば、第1支持板において、第2支持板の第2主体部分の下方に位置する第1延在部分を、上下方向に関し、その前記前後方向に延びる部分と第2支持板の第2主体部分との間に直動アクチュエータを配置可能となるような空間が存在するように形成されたものとする。その上で、傾転機構を、直動アクチュエータが駆動部において第1延在部分の上面に対し回動可能に支持されると共に、可動部において第2支持板の第2主体部分の下面に対し回動可能に連結されるように構成しても良い。そして、その構成の場合には、直動アクチュエータの可動部を進出させることにより、可動部が第2支持板(第2主体部分)を押して、第2支持板が前記第1方向へ傾転されることとなる。なお、この例では、第1支持板の第1延在部分が、本発明で言う回動部に相当することとなる。
【0078】
或いは、第2支持板において、第1支持板の第1主体部分の下方に位置する第2延在部分を、上下方向に関し、その前記前後方向に延びる部分と第1支持板の第1主体部分との間に直動アクチュエータを配置可能となるような空間が存在するように形成されたものとする。その上で、傾転機構を、直動アクチュエータが駆動部において第1主体部分の下面に対し回動可能に支持されると共に、可動部において第2延在部分の上面に対し回動可能に連結されるように構成しても良い。そして、その構成の場合には、直動アクチュエータの可動部を進出させることにより、可動部が第2支持板(第2延在部分)を押して、第2支持板が前記第1方向へ傾転されることとなる。なお、この例では、第1支持板の第1主体部分が、本発明で言う回動部に相当することとなる。
【0079】
さらに、傾転機構における直動アクチュエータは、前記実施例や前記例のように駆動部が第1支持板(回動部)に支持されると共に可動部が第2支持板に連結されるのには限られず、回動部において可動部が連結され、第2支持板において駆動部が支持されるようにすることも可能である。
【0080】
(5)横転装置について、前記実施例の横転装置1は、単一の直動アクチュエータ(エアシリンダ32)で両支持板10、20を所望の角度で維持するように構成されている。しかし、本発明の横転装置は、両支持板の角度の維持を2つの直動アクチュエータで行うように構成されても良い。
【0081】
具体的には、
図8に示すように、その横転装置101においては、支持軸103に回動可能に支持される第1支持板110及び第2支持板120は、前記実施例の支持板10、20のような延在部分16、26を備えず、ワークWに当接する板状の主体部分(第1主体部分112、第2主体部分122)と、主体部分を支持軸103に支持された状態とするための中空円筒状の支持部分(第1支持部分114、第2支持部分124)とで構成されたものとなっている。また、その横転装置101は、前記実施例の連結プレート50と概ね同じような形状を成す支持ブラケット150を有している。そして、その支持ブラケット150は、支持軸103に対し回動可能に支持されている。
【0082】
その上で、その横転装置101における傾転機構130は、第1支持板110に連結される第1エアシリンダ131と、第2支持板120に連結される第2エアシリンダ132とを備えている。なお、両エアシリンダ131、132は、前記幅方向の位置を異ならせる配置で、シリンダ133、134において前記した支持ブラケット150に対し回動可能に支持されている。
【0083】
そして、第1エアシリンダ131は、ロッド135において第1支持板110における第1主体部分112の下面に対し回動可能に連結されている。また、第2エアシリンダ132は、ロッド136において第2支持板120における第2主体部分122の下面に対し回動可能に連結されている。なお、第1エアシリンダ131は、両支持板110、120(主体部分112、122の上面)が水平を成すように設けられた基礎状態において、
図8に示すように、シリンダ133に対してロッド135が進出した状態となっている。一方で、第2エアシリンダ132は、前記基礎状態において、シリンダ134に対してロッド136が後退した状態となっている。
【0084】
また、横転装置101において、横転機構140は、前記実施例の横転機構40と同様に、駆動手段としてエアシリンダ142を備えている。そして、横転機構140は、そのエアシリンダ142が、シリンダ144において基台102の下面に対し回動可能に支持されると共に、ロッド146において前記した支持ブラケット150に対し回動可能に連結されるように構成されている。なお、そのエアシリンダ142は、前記基礎状態において、シリンダ144に対してロッド146が進出した状態となっている。
【0085】
以上のように構成された横転装置101による作用(ワークWの横転動作)について、
図8~
図11を用いて説明する。
【0086】
先ず、
図8に示す両支持板110、120の前記基礎状態において、前記実施例と同様に、第1支持板110の第1主体部分112上にワークWが載置される。その上で、傾転機構130における第2エアシリンダ132がロッド136を進出させる方向に駆動され、それにより、第2支持板120が前記第1方向へ傾転される。そして、
図9に示すように、ロッド136が進出した状態となることで、第2支持板120の第2主体部分122がワークWの側面に当接した状態となる。
【0087】
次いで、横転機構140におけるエアシリンダ142が、ロッド146を後退させる方向へ駆動される。それにより、支持ブラケット150が前記第2方向へ回動され、それに伴い、その支持ブラケット150に支持されている両エアシリンダ131、132も、前記第2方向へ回動される。但し、その回動時においては、両エアシリンダ131、132は、ロッド135、136の進退状態が変化しないようにされる。したがって、その両エアシリンダ131、132の回動に伴い、両支持板110、120が、その相対角度を維持されたままの状態(両主体部分112、122がワークWに当接したままの状態)で、前記第2方向へ回動する。
【0088】
そして、そのエアシリンダ142の後退駆動に伴う両支持板110、120の回動は、ワークWの側面に当接する第2支持板120(第2主体部分122)が水平を成した状態となるまで行われる。その結果として、
図10に示すように、ワークWの側面が底面となった状態、すなわち、ワークWが90°横転された状態となる。
【0089】
最後に、傾転機構130における第1エアシリンダ131が、ロッド135を後退させる方向に駆動され、それに伴い、第1支持板110が前記第1方向へ回動される。そして、第1エアシリンダ131が
図11に示すようにロッド135を後退させた状態となることで、第1主体部分112が水平を成した状態となる。その結果として、両支持板110、120が前記基礎状態に戻った状態とされ、横転装置101によるワークWの横転動作が完了する。因みに、その後は、傾転機構130の各エアシリンダ131、132及び横転機構140のエアシリンダ142が駆動され、
図8に示すような状態に戻される。
【0090】
なお、その横転装置101では、傾転機構130における第2エアシリンダ132が、本発明で言う直動アクチュエータに相当する。また、横転装置101では、その第2エアシリンダ132のシリンダ134(駆動部)を支持する支持ブラケット150が、本発明で言う回動部に相当する。
【0091】
(6)横転装置について、前記実施例では、直方体状のワークWを対象とし、横転装置1は、そのワークWを横転させるように構成された装置として説明されている。しかし、本発明の横転装置は、そのような直方体状の(底面と側面とが直角を成す)ワークを横転させるように構成されたものに限らず、第1支持板状に載置された状態においてその底面と第2支持板が当接する側面とが鈍角又は鋭角を成すような形状のワークを横転させる装置としても適用可能である。そして、その場合には、第2支持板の傾転後の角度(第1支持板の上面に対して第2支持板の上面が成す角度)が、そのワークの(底面に対し鈍角又は鋭角を成す)側面に第2支持板が当接した状態となる角度となるように、その横転装置を構成するものとすれば良い。
【0092】
また、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 横転装置
2 基台
2a 貫通孔
2b 脚部
2c 取付部
2d 切欠き
3 支持軸
5 支持部
5a 支承部材
5b 支承部材
10 第1支持板
12 第1主体部分
14 第1支持部分
16 第1延在部分
16a 取付部
20 第2支持板
22 第2主体部分
24 第2支持部分
26 第2延在部分
26a 取付部
30 傾転機構
32 エアシリンダ
34 シリンダ
36 ロッド
40 横転機構
42 エアシリンダ
44 シリンダ
46 ロッド
50 連結プレート
51 主体部分
52 支持部分
53 連結部分
54 当接部材
55 プレート部材
56 当接部材
57 ブラケット
101 横転装置
102 基台
103 支持軸
110 第1支持板
112 第1主体部分
114 第1支持部分
120 第2支持板
122 第2主体部分
124 第2支持部分
130 傾転機構
131 第1エアシリンダ
132 第2エアシリンダ
133 シリンダ
134 シリンダ
135 ロッド
136 ロッド
140 横転機構
142 エアシリンダ
144 シリンダ
146 ロッド
150 支持ブラケット
W ワーク