(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154448
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】切断具
(51)【国際特許分類】
B26B 13/28 20060101AFI20241024BHJP
B26B 11/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B26B13/28 Z
B26B11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068249
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】397044902
【氏名又は名称】ニッケン刃物株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊田 祐士
【テーマコード(参考)】
3C061
3C065
【Fターム(参考)】
3C061AA02
3C061AA41
3C061EE13
3C065AA06
3C065BA01
3C065CB16
3C065FA04
3C065GA03
(57)【要約】
【課題】ナイフとして使用したときに柄部が握りやすくなるように構成された切断具を提供する。
【解決手段】切断具100は、第1部材10および第2部材20を備える。第2部材20は、第2刃部21、小指のみまたは薬指のみを挿入可能な大きさの貫通穴22aを有する第2柄部22、および第2刃部21と第2柄部22との間の第2中間部23を有する。第2部材20が第1部材10から取り外されたとき、少なくとも第2部材20は、ナイフとして使用可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断具であって、
第1刃部、貫通穴を有する第1柄部、前記第1刃部と第1柄部との間の第1中間部、および前記第1中間部に設けられた軸部を含む第1部材と、
第2刃部、小指のみまたは薬指のみを挿入可能な大きさの貫通穴を有する第2柄部、および前記第2刃部と前記第2柄部との間に設けられており、前記軸部を挿入する貫通穴を有する第2中間部を含む第2部材と、
を備え、
前記軸部によって前記第1部材と前記第2部材とが回転可能に結合されているとき、前記切断具は、鋏として使用可能であり、
前記第2部材が前記第1部材から取り外されたとき、少なくとも前記第2部材は、ナイフとして使用可能である、
切断具。
【請求項2】
前記第1柄部の貫通穴は、親指のみを挿入可能な大きさである、
請求項1に記載の切断具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1対の切断部材が軸部材によって回転可能に結合されているときには鋏として使用可能であり、軸部材を取り外して1対の切断部材を分離すると、一方の切断部材がナイフとして使用可能である、切断具が知られている。
【0003】
特許文献1は、一方の結合突起が他方の結合孔に挿入または離脱されて、組付けまたは分解が自在な回転軸と、前記回転軸を中心として、一方に手によって操作される操作部を有し、他方に相手側の本体部より厚みの厚い本体部からなる片側の鋏身と、前記回転軸を中心として、一方に手によって操作される操作部を有し、他方に相手側の本体部より厚みの薄い刃部で、相手側の前記本体部の刃幅より広く、かつ、前記操作部の握部中心線の長手方向と前記本体部の峰部の長手方向が略直線状としてなる他の片側の鋏身とを具備することを特徴とする料理用鋏を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の料理用鋏では、握孔内に、人差指、中指、薬指および小指が挿入される。そのため、握孔および握柄は、必然的に大きくなる。握孔および握柄が大きいと、鋏身を包丁として使用する場合、握柄を握りにくくなる。
【0006】
本発明は、ナイフとして使用したときに柄部が握りやすくなるように構成された切断具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下に掲げる態様の発明を提供する。
(項1)
切断具であって、
第1刃部、貫通穴を有する第1柄部、前記第1刃部と第1柄部との間の第1中間部、および前記第1中間部に設けられた軸部を含む第1部材と、
第2刃部、小指のみまたは薬指のみを挿入可能な大きさの貫通穴を有する第2柄部、および前記第2刃部と前記第2柄部との間に設けられており、前記軸部を挿入する貫通穴を有する第2中間部を含む第2部材と、
を備え、
前記軸部によって前記第1部材と前記第2部材とが回転可能に結合されているとき、前記切断具は、鋏として使用可能であり、
前記第2部材が前記第1部材から取り外されたとき、少なくとも前記第2部材は、ナイフとして使用可能である、
切断具。
【0008】
(項2)
前記第1柄部の貫通穴は、親指のみを挿入可能な大きさである、
項1に記載の切断具。
【発明の効果】
【0009】
第2柄部の貫通穴は、小指のみまたは薬指のみを挿入可能な程度の大きさでしかない。よって、第2柄部を小型化できる。これにより、第2部材をナイフとして使用する際に、使用者が第2柄部を握りやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1部材および第2部材が完全に閉じた状態の切断具の平面図である。
【
図2】第1部材および第2部材が完全に閉じた状態の切断具の側面図である。
【
図3】第1部材および第2部材が最も開いた状態の切断具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<1.切断具の構造>
図1から
図6を参照して、本発明の切断具100について説明する。説明の便宜上、
図1の右側を切断具100の先端、
図1の左側を切断具100の後端として説明する。
【0012】
図1から
図3に示すように、切断具100は、第1部材10と、第2部材20と、を備える。
【0013】
図1から
図3に示すように、第1部材10および第2部材20が結合されているとき、切断具100は、鋏として使用可能である。
【0014】
図6に示すように、第2部材20が第1部材10から分離されると、第2部材20は、ナイフとして使用可能である。なお、「ナイフ」とは、「把手が付属した、手に持って使用する刃物」を意味する。ナイフは、例えば、食材を切断または切削するためのキッチンナイフ(すなわち、包丁)である。
【0015】
図4に示すように、第1部材10は、第1刃部11、第1柄部12、第1刃部11と第1柄部12との間の第1中間部13、および軸部14を備える。
【0016】
第1刃部11は、前後方向に延びる長手状である。第1刃部11は、切断対象物を切断する刃を有する。第1刃部11の刃は、切断具100を鋏として使用するときに、後述する第2刃部21の刃と協働して切断対象物を切断する。
【0017】
第1中間部13は、第1刃部11と一体形成されている。第1中間部13は、第1刃部11に対して90度に近い角度で、第1刃部11と交差している。
【0018】
第1柄部12は、柄部本体121と、指環部122と、を備える。柄部本体121は、第1刃部11と略同じ方向に延びている。柄部本体121は、第1中間部13と一体形成されている。第1刃部11、第1中間部13および柄部本体121は、例えば金属材料製またはセラミックス製である。指環部122は、柄部本体121とは別部材から成り、柄部本体121に結合されている。指環部122は、例えばプラスチック製である。指環部122は、指を入れるための貫通穴122aを有する。貫通穴122aは、好ましくは親指のみを挿入可能な大きさである。一例として、柄部本体121の延在方向に沿った貫通穴122aの長さは27mmであり、その長さに直交する方向に沿った貫通穴122aの長さは20mmである。
【0019】
軸部14は、第1中間部13に、例えばリベット結合などによって、取り外し不能に結合されている。
図4および
図5に示すように、軸部14は、円柱形の回転軸部141と、回転軸部141上に設けられたストッパ142と、を備える。ストッパ142は、平面視で略長方形である。ストッパ142の長手方向は、第1中間部13の延在方向と略平行である。ストッパ142の短辺の長さは、回転軸部141の直径よりも小さく、ストッパ142の長辺の長さは、回転軸部141の直径よりも大きい。
【0020】
図6に示すように、第2部材20は、第2刃部21、第2柄部22、および第2刃部21と第2柄部22との間の第2中間部23を備える。第2部材20は、略直線状であり、ナイフ形状を有する。第2刃部21および第2中間部23は、例えば、金属材料製またはセラミックス製である。
【0021】
第2刃部21は、第1刃部11と同じ方向に延びる長手状である。第2刃部21は、切断対象物を切断する刃を有する。既に述べたように、第2刃部21の刃は、切断具100を鋏として使用するときに、第1刃部11の刃との間に切断対象物を挟んで、その切断対象物を切断する。また、第2刃部21の刃は、第2部材20をナイフとして使用するときに、切断対象物を切断する。
【0022】
第2中間部23は、第2刃部21と一体形成されている。第2中間部23は、第2刃部21と略同じ方向に延びている。第2中間部23は、軸部14を挿入するための貫通穴23aを有する。貫通穴23aは、平面視で、長手方向の中央に凹部を有する略長方形である。凹部は、回転軸部141の外面の曲率と略同じ曲率を有する湾曲面から成る。貫通穴23aの長手方向は、第2中間部23の延在方向と略平行である。貫通穴23aの短辺の長さは、ストッパ142の短辺の長さよりもわずかに大きく、ストッパ142の長辺の長さよりも小さい。貫通穴23aの長辺の長さは、ストッパ142の長辺の長さよりもわずかに大きい。
【0023】
第2柄部22は、第2中間部23と略同じ方向に延びている。第2柄部22は、例えばプラスチック製であり、第2中間部23に結合されている。第2柄部22は、小指のみまたは薬指のみを挿入可能な大きさの貫通穴22aを有する。貫通穴22aは、第2柄部22の後端近傍に設けられている。貫通穴22aは、例えば、真円である。貫通穴22aの直径は、例えば、15mmである。
【0024】
軸部14が貫通穴23a内に挿入されたとき、回転軸部141は貫通穴23aの凹部に嵌まり、ストッパ142は第2中間部23から突出する。切断具100を鋏として使用しているとき、第1部材10および第2部材20は、回転軸部141の外面が貫通穴23aの凹部の内面に接触しながら回転する。
【0025】
図1に示すように、ストッパ142の長手軸が貫通穴23aの長手軸と平行でない状態では、ストッパ142が貫通穴23aを通過できないため、第1部材10および第2部材20は互いに分離できない。
図3に示すように、第1部材10および第2部材20を最大に開くと、ストッパ142の長手軸が貫通穴23aの長手軸に対して平行になる。その結果、ストッパ142が貫通穴23aを通過可能になり、第1部材10および第2部材20は互いに分離可能になる。したがって、第1部材10および第2部材20を完全に閉じた状態から最大に開く直前まで、第1部材10および第2部材20は互いに分離できず、一方、第1部材10および第2部材20を最大に開くと、第2部材20が第1部材10から取り外し可能になり、ナイフとして使用できるようになる。
【0026】
<2.効果>
軸部14によって第1部材10と第2部材20とが結合されているとき、貫通穴122aに親指を入れ、貫通穴22aに薬指または小指を入れることで、切断具100を鋏として使用できる。また、第2部材20を第1部材10から取り外すと、第2部材20はナイフとして使用できる。このように切断具100は、鋏としてもナイフとしても使用可能である。
【0027】
第2柄部22の貫通穴22aが小指のみまたは薬指のみを挿入可能な大きさであることにより、第2柄部22を小型化できる。第2柄部22を小さくできることにより、第2部材20をナイフとして使用する際に、第2柄部22を握りやすくなる。
【0028】
第1柄部12の指環部122が親指のみを挿入可能な大きさの貫通穴122aを有することにより、第1柄部12を小型化できる。
【0029】
<3.変形例>
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。以下に、本発明の変形例を説明する。以下で説明する変形例は、単独で、または、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせて、上記実施形態に適用できる。
【0030】
(3-1)第1部材10が第2部材20から分離されたとき、第1部材10もナイフとして使用可能であってもよい。
【0031】
(3-2)指環部122は柄部本体121と別部材から成るのではなく、柄部本体121と一体形成されていてもよく、柄部本体121と同じ材質から作製されていてもよい。
【0032】
(3-3)第2柄部22は、第2中間部23に一体形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0033】
100 切断具
10 第1部材
11 第1刃部
12 第1柄部
122a 貫通穴
13 第1中間部
14 軸部
20 第2部材
21 第2刃部
22 第2柄部
22a 貫通穴
23 第2中間部
23a 貫通穴