(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154453
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】非接触給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/10 20160101AFI20241024BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20241024BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20241024BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20241024BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20241024BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241024BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20241024BHJP
【FI】
H02J50/10
B65G1/00 501D
B65G1/00 501C
B60L53/12
B60M7/00 X
B60L5/00 B
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068259
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴沼 満
(72)【発明者】
【氏名】大林 和良
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英介
(72)【発明者】
【氏名】山田 英俊
(72)【発明者】
【氏名】山口 宜久
(72)【発明者】
【氏名】金▲崎▼ 正樹
【テーマコード(参考)】
3F022
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022EE02
3F022FF21
3F022JJ11
3F022JJ12
3F022MM15
5G503AA01
5G503BA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5G503GB08
5H105BA09
5H105BB07
5H105CC04
5H105CC19
5H105DD10
5H105EE14
5H125AA11
5H125AA13
5H125AC04
5H125AC12
5H125AC25
5H125FF15
(57)【要約】
【課題】複数のモータシステムにおける異常の有無を精度良く診断する。
【解決手段】非接触給電システム1、1a~1iは、受電装置310を有し、第1作業場WA1および第2作業場WA2における作業対象物を、第1作業場から第2作業場まで搬送する移動体30、31a~31d、32a~32d、33~35と、第1作業場と第2作業場との間の移動体の移動経路内のうち、少なくとも移動体の停止が予定される停止予定位置Ar11、Ar13、Ar22~Ar25、Ar27、Ar32、Ar201、Ar41、Ar202、Ar51、Ar52、Ar61~Ar64、Ta1~Tg1、Ta2、Tc2、Te2、Tg2、Th3、Tj3、Tl3、Ar23aにおいて移動体が停止又は移動中の状態で、受電装置に対して非接触で給電可能な送電装置21~25と、を備える。受電装置は、少なくとも移動体の側面側に設けられた受電コイル311を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触給電システム(1、1a~1i)であって、
受電装置(310)を有し、第1作業場(WA1)および第2作業場(WA2)における作業対象物を、前記第1作業場から前記第2作業場まで搬送する移動体(30、31a~31d、32a~32d、33~35)と、
前記第1作業場と前記第2作業場との間の前記移動体の移動経路内のうち、少なくとも前記移動体の停止が予定される停止予定位置(Ar11、Ar13、Ar22~Ar25、Ar27、Ar32、Ar201、Ar41、Ar202、Ar51、Ar52、Ar61~Ar64、Ta1~Tg1、Ta2、Tc2、Te2、Tg2、Th3、Tj3、Tl3、Ar23aにおいて前記移動体が停止した状態と、前記移動体が前記移動経路を移動中の状態とのうちの少なくとも一方の状態で、前記受電装置に対して非接触で給電可能な送電装置(21~25)と、
を備え、
前記受電装置は、少なくとも前記移動体の側面側に設けられた受電コイル(311)を有する、非接触給電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触給電システムにおいて、
前記移動体の筐体は、鉛直方向に見て長手方向と短手方向とを有する輪郭形状を有し、
前記受電装置は、前記筐体の側面のうち、前記長手方向の側面に取り付けられている、非接触給電システム。
【請求項3】
請求項1に記載の非接触給電システムにおいて、
前記移動体において進行方向に対する姿勢が予め定められており、
前記受電コイルは、前記受電コイルの中心軸が前記進行方向と直交する方向となるように設けられている、非接触給電システム。
【請求項4】
請求項1に記載の非接触給電システムにおいて、
前記受電装置は、前記移動体の筐体の側面から外側に突出可能に配置され、
前記移動体は、前記受電装置に接続され、前記受電装置を前記移動体の前記筐体の側面から突出させ、また、突出した前記受電装置を前記移動体の前記筐体の側面に収めるように前記受電装置を移動させる受電側アーム部を、さらに有する、非接触給電システム。
【請求項5】
請求項1に記載の非接触給電システムにおいて、
前記送電装置は、前記移動経路内に設置されている固定物に配置されている、非接触給電システム。
【請求項6】
請求項5に記載の非接触給電システムにおいて、
前記固定物は、前記作業対象物を収納する1以上の収納棚を含む、非接触給電システム。
【請求項7】
請求項6に記載の非接触給電システムにおいて、
前記送電装置は、少なくとも送電コイルを含む送電部を有し、
前記固定物は、1台の前記移動体が通過可能であり、且つ、複数台の前記移動体のすれ違いが不可能な程度の幅の通路を形成するように間隔を空けて配置された複数の前記収納棚を含み、
前記送電装置は、前記送電部が前記通路に面するように配置されている、非接触給電システム。
【請求項8】
請求項7に記載の非接触給電システムにおいて、
複数の前記送電装置を備え、
前記通路は、予め入口が設定されており、
前記複数の前記送電装置は、各前記送電部が前記通路のうちの前記入口に近い側に位置するように設置されている、非接触給電システム。
【請求項9】
請求項6に記載の非接触給電システムにおいて、
前記移動体は、前記収納棚に収納された前記作業対象物をピックアップ可能に構成され、
前記送電装置は、前記収納棚において前記作業対象物をピックアップ可能最低地上高さよりも低い部分に設置されている、非接触給電システム。
【請求項10】
請求項9に記載の非接触給電システムにおいて、
前記送電装置は、前記収納棚の最下部において、前記移動体が前記作業対象物をピックアップする側の前記収納棚の端部から500mm(ミリメートル)以内に少なくとも一部が位置するように設置されている、非接触給電システム。
【請求項11】
請求項6に記載の非接触給電システムにおいて、
前記移動体は、前記収納棚に収納された前記作業対象物をピックアップ可能に構成され、
前記送電装置は、前記移動体が前記収納棚に収納された前記作業対象物をピックアップする際に正対する位置に前記送電部が配置されるように配置されている、非接触給電システム。
【請求項12】
請求項1に記載の非接触給電システムにおいて、
前記送電装置は、
少なくとも送電コイルを含む送電部であって、前記給電装置の筐体から外側に突出可能に配置された送電部と、
前記送電部に接続され、前記送電部を前記給電装置の前記筐体から突出させ、また、突出した前記送電部を前記給電装置の前記筐体に収めるように前記送電部を移動させる送電側アーム部と、
を有する、非接触給電システム。
【請求項13】
請求項1に記載の非接触給電システムにおいて、
前記送電装置は、前記移動経路内のうちの前記移動体が通過する領域において、通過する前記移動体の前記受電装置に対して非接触で給電可能な位置に設置されている、非接触給電システム。
【請求項14】
請求項13に記載の非接触給電システムにおいて、
前記第2作業場は、2以上の副作業場を含み、
前記移動経路は、前記第1作業場から前記2以上の副作業場のそれぞれまでの複数の副移動経路を含み、
前記送電装置は、前記複数の副移動経路において共通する経路である共通経路内のうちの前記移動体が通過する領域において、通過する前記移動体の前記受電装置に対して非接触で給電可能な位置に設置されている、非接触給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非接触給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から工場や倉庫などにおいて、無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)や自律走行フォークリフト等の移動体を用いて、製品や部品等の作業対象物を搬送する搬送システムが提案されている。特許文献1のシステムでは、自律走行フォークリフトおよび自律走行AGV等の移動体を用いてトラックで搬送されてくる荷物をトラックバースから生産現場まで搬送する。また、特許文献1では、移動体に対して非接触給電(ワイヤレス給電)で充電を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、工場や倉庫における作業対象物の搬送の効率化について言及されているものの、非接触給電(ワイヤレス給電)に関しては、単に「ワイヤレス給電は電池の人手による充電操作を不要にできる」旨が記載されているに過ぎない。しかし、非接触給電を行うためには、移動体は、送電装置の近傍を走行する又は送電装置の近傍で停止する必要があり、このような移動体の動作は、搬送の効率化に対して影響を与える。このため、非接触給電のための移動体の動作を考慮した作業対象物の搬送の効率化を実現可能な技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施形態として、非接触給電システム(1、1a~1i)が提供される。この非接触給電システムは、受電装置(310)を有し、第1作業場(WA1)および第2作業場(WA2)における作業対象物を、前記第1作業場から前記第2作業場まで搬送する移動体(30、31a~31d、32a~32d、33~35)と、前記第1作業場と前記第2作業場との間の前記移動体の移動経路内のうち、少なくとも前記移動体の停止が予定される停止予定位置(Ar11、Ar13、Ar22~Ar25、Ar27、Ar32、Ar201、Ar41、Ar202、Ar51、Ar52、Ar61~Ar64、Ta1~Tg1、Ta2、Tc2、Te2、Tg2、Th3、Tj3、Tl3、Ar23aにおいて前記移動体が停止した状態と、前記移動体が前記移動経路を移動中の状態とのうちの少なくとも一方の状態で、前記受電装置に対して非接触で給電可能な送電装置(21~25)と、を備え、前記受電装置は、少なくとも前記移動体の側面側に設けられた受電コイル(311)を有する。
【0006】
上記形態の非接触システムによれば、第1作業場から第2作業場までの移動体の移動経路内のうち、少なくとも移動体の停止が予定される停止予定位置において移動体が停止した状態と、移動体が移動経路を移動中の状態とのうちの少なくとも一方の状態で、受電装置に対して非接触で給電可能な送電装置を備えるため、非接触給電のために移動経路から外れた位置に設けられた送電装置まで走行することを要しない。このため、作業対象物の搬送の効率化を実現できる。また、移動経路とは別に送電装置まで移動体を走行させるためのスペースを要しないので、作業領域の省スペース化を図ることができる。また、受電装置は、少なくとも移動体の側面側に設けられた受電コイルを有するので、送電装置を地中や床下に配置することを要しない。このため、システムを構築し易い。
【0007】
本開示は、種々の形態で実現することも可能である。例えば、車両位置推定方法、車両位置推定装置や車両位置推定方法を実現するためのコンピュータプログラム、かかるコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態としての非接触給電システムを適用した搬送システムの概略構成を示す側面図である。
【
図2】第1実施形態の搬送システムの概略構成を示す上面図である。
【
図3】移動体および第1送電装置の構成を模式的に示すブロック図である。
【
図4】第2実施形態の非接触給電システムを適用した搬送システムの概略構成を示す側面図である。
【
図5】第2実施形態の搬送システムの概略構成を示す上面図である。
【
図6】第2実施形態の移動体の構成を示すブロック図である。
【
図7】第2実施形態の移動体の外観形状を模式的に示す上面図である。
【
図8】第2実施形態の送電装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】第3実施形態の非接触給電システムを適用した搬送システムの概略構成を示す側面図である。
【
図10】第3実施形態の搬送システムの概略構成を示す上面図である。
【
図11】第4実施形態の非接触給電システムを適用した搬送システムの概略構成を示す側面図である。
【
図12】第4実施形態の搬送システムの概略構成を示す上面図である。
【
図13】第5実施形態の非接触給電システムを適用した搬送システムの概略構成を示す側面図である。
【
図14】第5実施形態の搬送システムの概略構成を示す上面図である。
【
図15】第6実施形態の非接触給電システムを適用した搬送システムの概略構成を示す側面図である。
【
図16】第7実施形態の非接触給電システムを適用した搬送システムの概略構成を示す側面図である。
【
図17】第8実施形態の非接触給電システムを適用した搬送システムの概略構成を示す上面図である。
【
図18】第9実施形態の非接触給電システムを適用した搬送システムの概略構成を示す上面図である。
【
図19】第10実施形態の非接触給電システムを適用した搬送システムの概略構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
A1.装置構成:
図1および
図2に示す非接触給電システム1は、作業対象物B1を、トラックバースAr2に停車中のトラックTRから搬出し、屋内領域Ar1の予め定められた検品位置Ar14まで搬送するための搬送システムに適用されている。検品位置Ar14に置かれた作業対象物B1は、作業員m1により検品される。トラックTR内は本開示における「第1作業場WA1」に相当する。また、検品位置Ar14は、本開示における「第2作業場WA2」に相当する。
【0010】
非接触給電システム1は、3台の移動体30と、3つの第1送電装置21と、1つの第2送電装置22と、1つの第3送電装置23とを備える。なお、
図1では、1台の移動体30と、1つの第3送電装置23とは、図示の便宜上省略されている。移動体30は、作業対象物B1を搬送可能なフォークリフト型の無人搬送車(AGV:Automated Guided Vehicle)として構成されている。
【0011】
図3に示すように、移動体30は、受電装置310と、受電回路321と、メインバッテリ334と、DC/DCコンバータ回路331と、インバータ回路332と、モータ333と、補機バッテリ335と、補機336と、運転制御部340と、読取部350と、通信部360とを備える。なお、
図3では、移動体30と第1送電装置21とを、移動体30の進行方向に見た外観構成を模式的に示している。
【0012】
受電装置310は、送電装置21~23から送電される電力を受け取る。受電装置310は、筐体に収容された受電コイル311と図示しない配線とを備える。受電コイル311は、受電回路321に接続されている。受電コイル311は、所定平面内で巻回された素線からなる平面コイルを有する。受電コイル311は、移動体30の進行方向に沿って配置されている。換言すると、受電コイル311は、受電コイル311の中心軸が移動体30の進行方向と直交するように設けられている。本実施形態では、受電装置310は、移動体30の筐体39の側面において横方向に突出して配置されている。なお、受電装置310を筐体39の内側に配置してもよい。
【0013】
受電回路321は、受電コイル311から出力される交流電圧を直流電圧に変換する整流回路を含む。受電回路321から出力される直流電力は、メインバッテリ334の充電や、インバータ回路332を介したモータ333の駆動に利用できる。また、かかる直流電力は、DC/DCコンバータ回路331を用いて降圧することで、補機バッテリ335の充電や、補機336の駆動に利用される。メインバッテリ334は、モータ333を駆動するための比較的高い直流電圧を出力する2次電池である。DC/DCコンバータ回路331は、降圧コンバータとして構成され、受電回路321から出力される電圧を補機バッテリ335や補機336において利用可能な電圧に調整する。インバータ回路332は、メインバッテリ334の直流電圧を3相交流電圧に変換してモータ333に供給する。モータ333は、3相交流モータであり、移動体30のタイヤ370の回転力を発生する。補機バッテリ335は、補機336を駆動するための直流電圧を出力する2次電池である。補機336は、例えば、後述の運転制御部340、読取部350、および通信部360が該当する。運転制御部340は、移動体30を全体制御する。読取部350は、屋内領域Ar1の所定位置、およびトラックTR内の所定位置に設けられたマーカを読み取り、読み取った情報を運転制御部340に伝える。マーカとしては、例えば、2次元マーカが該当する。かかるマーカを読み取って得られる情報に基づき、運転制御部340は、移動体30の動作を制御する。例えば、運転制御部340は、マーカを読み取った情報に基づき、移動体30の加速、減速、停止、右左折等を実行する。通信部360は、外部と無線通信可能に構成されている。
【0014】
送電装置21~23は、移動体30に対して非接触により送電する。第1送電装置21と第2送電装置22と第3送電装置23は、設置態様のみが異なり、機能的な構成は互いに同じである。第1送電装置21の設置態様は、床設置である。第2送電装置22の設置態様は、天井吊り下げ設置である。第3送電装置23の設置態様は、壁面設置である。送電装置21~23の構成について、
図3を用いて第1送電装置21を代表して説明し、第2送電装置22および第3送電装置23についての説明を省略する。
【0015】
図3に示すように、第1送電装置21は、送電部210と、送電回路221と、電源部222とを備える。送電部210は、筐体に収容された送電コイル211と図示しない配線とを備える。送電コイル211は、送電回路221に接続されている。本実施形態では、送電部210は、第1送電装置21の筐体29の側面において突出して配置されている。なお、送電部210を筐体29の内側に配置してもよい。送電コイル211は、送電コイル211の中心軸が移動体30の進行方向と直交するように設けられている。
【0016】
送電回路221は、電源部222から供給される直流電圧を高周波の交流電圧に変換して送電コイル211に印加する回路であり、インバータ回路、フィルタ回路、共振回路を含んでいる。本実施形態では、インバータ回路、フィルタ回路、共振回路については、周知のものなので、説明を省略する。電源部222は、直流電圧を送電回路221に供給する回路である。例えば、電源部222は、系統電源から力率改善回路(PFC)を介して供給される電力を受け、送電回路221へと電力を供給する。なお、電源部222において系統電源から受電し、電圧変換した50/60Hzの交流を各送電回路221へ配電し、各送電回路221でPFC及び交流直流変換する形態でもよい。PFCについては、図示を省略している。電源部222が出力する直流電圧は、完全な直流電圧でなくてもよく、ある程度の変動(リップル)を含んでいても良い。第1送電装置21の電源部222は、例えば、床下電力配線を介して系統電源に電気的に接続されている。他方、第2送電装置22の電源部222は、天井裏などに設けられた電力配線を介して系統電源に電気的に接続されている。
【0017】
図1および
図2に示すように、本実施形態では、送電装置21~23は、所定の位置Ar11、Ar12、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16に設置されている。これらの位置Ar11~Ar16は、第1作業場WA1と第2作業場WA2との間の移動体30の移動経路内に存在する。
【0018】
これらの位置Ar11~Ar16のうち、位置Ar11、Ar13、Ar15、Ar16は、移動体30の停止が予定されている位置(以下、「停止予定位置」と呼ぶ)に該当する。位置Ar11は、移動体30がトラックTRに乗り込む前にフォークの位置を調整するために停止が予定されている位置に該当する。位置Ar13は、作業対象物B1を積載した移動体30が、第2作業場WA2すなわち検品位置Ar14に作業対象物B1を降ろすために停止が予定されている位置に該当する。
図2に示す位置Ar15は、トラックTRに乗り込む順番を待つために予め設定されたスペースに相当する位置である。本実施形態では、この位置Ar15は、固定物である柱P1の近傍に設定されている。位置Ar16は、トラックTR内において、作業対象物B1の積み込みのために停止が予定されている位置に該当する。移動体30は、位置Ar11、Ar13、Ar15、Ar16に停止している間、送電装置21~23から給電を受けることができる。
【0019】
他方、残りの位置Ar12は、トラックTR内(第1作業場WA1内)から検品位置Ar14(第2作業場WA2)に向かう移動経路の途中であって移動体30が通過する領域において、通過する移動体30の受電装置310に対して非接触で給電可能な位置に該当する。移動体30は、移動経路を走行中に、位置Ar12を通過する際に、第1送電装置21から給電を受けることができる。
【0020】
なお、トラックTRがEV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車両)である構成においては、トラックTRのバッテリに充電する際に、配電経路を分岐して第1送電装置21の電源部222にも給電する構成としてもよい。また、トラックTRがハイブリッド車両(HEV)である構成においては、トラックTRにおいて発電を行って第1送電装置21の電源部222に給電する構成としてもよい。
【0021】
以上説明した第1実施形態の非接触給電システム1によれば、第1作業場WA1から第2作業場WA2までの移動体30の移動経路内のうち、少なくとも移動体30の停止が予定される停止予定位置において移動体30が停止した状態と、移動体30が移動経路を移動中の状態とで、受電装置310に対して非接触で給電可能な送電装置21~23を備えるため、非接触給電のために移動経路から外れた位置に設けられた送電装置まで移動体30が走行することを要しない。このため、作業対象物B1の搬送の効率化を実現できる。また、移動経路とは別に送電装置まで移動体30を走行させるためのスペースを要しないので、作業領域の省スペース化を図ることができる。また、受電装置310は、少なくとも移動体30の側面側に設けられた受電コイル311を有するので、送電装置21~23を地中や床下に配置することを要しない。このため、システムを構築し易い。
【0022】
また、受電コイル311は、受電コイル311の中心軸が進行方向と直交するように設けられているので、固定物(柱P1)の側面に設置された第3送電装置23において、中心軸が側面と直交する方向となるように設置されている送電コイル211を介した受電効率を向上できる。同様に、第1送電装置21および第2送電装置22においても、それらの中心軸が移動体30の進行方向と直交するようにも設けられているので、移動体30が停止または通過する際に、受電コイル311と送電コイル211とが対向でき、受電効率を向上できる。
【0023】
また、位置Ar12に設置された送電装置21は、移動経路内のうちの移動体30が通過する領域において、通過する移動体30の受電装置310に対して非接触で給電可能な位置に設置されているので、走行中の移動体30に給電することにより、移動体30を移動経路とは別の位置に配置して給電する構成や、移動体30を位置Ar12において停止して給電する構成に比べて、移動体30の使用効率を高め、作業対象物の搬送効率を向上できる。
【0024】
B.第2実施形態:
図4および
図5に示す非接触給電システム1aは、作業対象物B1を、検品場所である位置Ar21、Ar26から、移動可能な収納棚50の予め定められた保管場所である保管領域Ar200内の所定位置まで収納棚50に収納した状態で搬送するための搬送システムに適用されている。なお、
図4では、位置Ar26および位置Ar27における構成は省略されている。第2実施形態においては、位置Ar21、Ar22は本開示における第1作業場WA1に相当し、保管領域Ar200は本開示における第2作業場WA2に相当する。
【0025】
図4に示すように、位置Ar21において、作業員m4により検品された後の作業対象物B1は、位置Ar22に一時的に置かれた収納棚50に作業員m3によって収められる。収納棚50は、複数段の棚を有する。
図4および
図5に示すように、収納棚50の最下段の下は、移動体31a、31b、31cのいずれかが配置可能に構成されている。
図4および
図5の例では、位置Ar22の収納棚50の最下段の下には、移動体31aが配置されている。また、位置Ar24の収納棚50の最下段の下には、移動体31bが配置されている。また、位置Ar25の収納棚50の最下段の下には、移動体31cが配置されている。移動体31a~31cは、収納棚50を持ち上げて移動させることができる。なお、収納棚50は、移動体31a~31cにより持ち上げられていない状態においては、床面に接して自立可能に構成されている。また、この状態において、移動体31a~31cは、収納棚50の最下段の下の領域への出入りが可能となる。位置Ar22においてすべての棚に作業対象物B1が収められた収納棚50は、移動体31a~31cのいずれかによって、保管領域Ar200における所定位置に移動される。
【0026】
移動体31aの構成は、第1実施形態の移動体30と比べて、フォークを有していない点、収納棚50を昇降させるための機構を上部に有する点、鉛直方向に見た平面視形状が略長方形である点、自身の高さが、床面から収納棚50の最下段の棚の高さよりも低い点において異なり、他の構成は同じである。したがって、移動体31aにおいても、受電装置310は、移動体31aの筐体の側面において横方向に突出して配置されている。移動体31aにおける受電装置310が配置される側面は、長手方向の側面である。受電装置310の配置される側面を長手方向の側面とすることの効果について、
図7を用いて説明する。
【0027】
図7では、移動体31aと共に、移動体31aとは異なり受電装置310を短手方向の側面S2に配置した比較例の構成を一点鎖線にて示している。移動体31aのように、受電装置310を長手方向の側面S1に配置した場合、移動体31aの旋回半径r1は、比較例の移動体の旋回半径r2よりも小さくなる。このため、移動体31aが移動する際に、固定物等との干渉を抑制できる。なお、上述した収納棚50を昇降させるための機構としては、例えば、油圧やねじ等を利用したジャッキ装置などを用いることができる。
【0028】
移動体31bの構成は、
図6に示すように、受電側アーム部380を備える点と、受電装置310が移動体31bの筐体39の側面から横方向に突出し、また、受電装置310が移動体31bの筐体39の側面に収められるように構成されている点において、移動体31aと異なる。なお、
図6では、収納棚50を持ち上げるための機構は省略されている。受電側アーム部380は、一端が移動体31bの本体に固定され、他端は、受電装置310に接続されている。受電側アーム部380は、受電装置310を移動体31bの筐体39の側面から突出させ、また、突出した受電装置310を移動体31bの筐体39の側面に収めるように受電装置310を移動させる。
【0029】
移動体31cの構成は、
図5に示すように、受電装置310が配置される側面が短手方向の側面である点において移動体31aの構成と異なり、他の構成は同じである。
【0030】
図4および
図5に示すように、非接触給電システム1aは、複数の送電装置24を備える。
図4および
図5では、保管領域Ar200のうち、一部の位置Ar24、Ar25に設けられた送電装置24のみを示し、他の位置に設けられた送電装置24は省略されている。
【0031】
図8に示すように、送電装置24は、送電側アーム部234を備える点と、送電部210が送電装置24の筐体29の側面から横方向に突出し、また、送電部210が送電部210の筐体29の側面に収められるように構成されている点と、床面からより近い位置に送電部210が位置している点とにおいて、第1実施形態の第1送電装置21と異なる。送電側アーム部234は、一端が送電装置24の本体に固定され、他端は、送電部210に接続されている。送電側アーム部234は、送電部210を送電装置24の筐体29の側面から突出させ、また、突出した送電部210を送電装置24の筐体29の側面に収めるように送電部210を移動させる。
【0032】
図4および
図5に示すように、送電装置24は、位置Ar22、Ar23、Ar24、Ar25、Ar27にそれぞれ配置されている。上述のように、位置Ar22は、収納棚50に作業対象物B1が収められるため収納棚50が一時的に置かれる位置である。したがって、位置Ar22において移動体31aは停止し、送電装置24からの電力を受けることができる。移動体31aが収納棚50の最下段の下において、受電装置310を送電装置24に向けた状態においては、送電装置24と移動体31aとの間の距離は比較的大きい。しかし、
図5に示すように、送電装置24は、送電側アーム部234を伸ばして送電部210を移動体31aに近づける。これにより、送電部210と受電装置310との間の距離は、適切な大きさとなり、正常に非接触給電が行わることとなる。
【0033】
位置Ar23は、すべての棚に作業対象物B1が収められた状態(以下、「フル積載状態」と呼ぶ)の収納棚50を移動させる移動体31a~31cが、保管領域Ar200内の所定位置に移動する移動経路の途中に設けられている。このため、移動体31a~31cは、位置Ar23の近傍を通過する際に、送電装置24から受電できる。
【0034】
位置Ar24、Ar25は、保管領域Ar200において、収納棚50が保管される位置の近傍に位置する。したがって、収納棚50を降ろして所定位置に置くために停止する移動体31a~31cは、位置Ar24、Ar25に配置されている送電装置24から受電できる。位置Ar24では、移動体31bは、受電側アーム部380を伸ばして受電装置310を送電装置24に近づけている。このため、送電部210と受電装置310との間の距離が適切な大きさとなり、非接触給電が正常に実行される。他方、位置Ar25では、移動体31cの受電装置310が送電装置24に近い位置に存在するため、送電部210と受電装置310との間の距離は適切な大きさである。このため、送電装置24の送電側アーム部234は延びていない。
【0035】
位置Ar27は、位置Ar26において検品された作業対象物B1を収納棚50に積み込む作業を行うための場所であり、位置Ar22と同様に、収納棚50が一時的に置かれる。
図5の例では、位置Ar27に収納棚50は置かれていない。この状態においては、位置Ar27に移動体31a~31cは存在しない。このため、位置Ar27に配置された送電装置24では、送電部210は、筐体側面に収められている。このため、位置Ar27に空の収納棚50を背負った移動体31a~31cが到着する際に、収納棚50が送電装置24に干渉することを抑制できる。
【0036】
以上説明した第2実施形態の非接触給電システム1aは、第1実施形態の非接触給電システム1と同様な効果を奏する。加えて、移動体31aおよび移動体31bの受電装置310は、筐体39の側面のうち、長手方向の側面に取り付けられているので、短手方向の端部に取り付けられる構成に比べて、移動体31a、31b全体としての旋回半径を小さくでき、固定物等との干渉を抑制できる。
【0037】
また、移動体31bは、受電装置310に接続され、受電装置310を移動体31bの筐体39の側面から突出させ、また、突出した受電装置310を移動体31bの筐体39の側面に収めるように受電装置310を移動させる受電側アーム部380を備えるので、送電部210と受電装置310との距離を適切な大きさに調整でき、受電効率を向上できる。例えば、移動経路内における移動体31bの位置が何らかの原因で予定位置からずれても、送電部210と受電装置310の距離を適切な大きさの距離に調整できる。
【0038】
また、送電装置24は、送電部210に接続され、送電部210を送電装置24の筐体29から突出させ、また、突出した送電部210を送電装置の筐体29に収めるように送電部210を移動させる送電側アーム部234を備えるので、送電部210と受電装置310との距離を適切な大きさに調整できる。また、非接触給電を行っていない場合には送電部210を筐体29に収めることができるので、送電装置24が移動体31a~31c等の他の物と干渉することを抑制できる。
【0039】
C.第3実施形態:
図9および
図10に示す非接触給電システム1bは、用いられる移動体および送電装置の種類において、第2実施形態と異なる。具体的には、
図9および
図10に示すように、第3実施形態の非接触給電システム1bでは、移動体32a、移動体31d、移動体32b、移動体33が用いられる。
【0040】
移動体32aは、第1実施形態の移動体30と同様に、フォークリフト型のAGVとして構成されている。移動体32aは、受電装置310が筐体内に配置されている点において、
図3に示す移動体30と異なる。移動体32aは、位置Ar21に位置しており、作業対象物B1の積み下ろしのために停止している。このとき、
図10に示すように、第1実施形態において説明した第1送電装置21から移動体32a(受電装置310)へと非接触給電が行われる。
【0041】
移動体31dは、受電装置310が筐体39内に配置されている点において、第2実施形態の移動体31aと異なる。移動体31dは、位置Ar22に位置しており、図示しない作業員が作業対象物B1を収納棚50に収める作業を行っている間において、送電装置24から受電する。なお、
図9では、第1送電装置21および送電装置24は、図示の便宜上省略されている。
【0042】
移動体32bは、多段フォークを有するフォークリフト型のAGVとして構成されている。移動体32bは、多段のフォークf1を備える点と、受電装置310が移動体32bの本体部とは別体として構成されている点とにおいて、移動体32aと異なる。各フォークf1には、それぞれ2つずつ作業対象物B1が搭載される。
図9に示すように、移動体32bにおいて、受電装置310は、移動体32bの本体部390とは別体として構成されている。受電装置310は、本体部390の天井面から鉛直上方に延びる支柱38により支持されている。したがって、受電装置310は、本体部390の上方に位置している。なお、
図9では、本体部390内の構成として、受電回路321を模式的に示している。受電装置310を本体部390とは別体として構成されているため、本体部390において非接触給電のための機構を収容するスペースを省スペース化でき、本体部390を小型化できる。移動体32bは、位置Ar23を通過する際に、位置Ar23に配置された第1送電装置21から受電する。
【0043】
移動体33は、受電装置310が側面の前方端部に配置され、進行方向に突出している点において、移動体31aと異なる。このような構成とすることにより、受電装置310が突出しているため、送電装置21により近づけることができ、受電効率を向上できる。
【0044】
以上説明した第3実施形態の非接触給電システム1bは、第1実施形態の非接触給電システム1および第2実施形態の非接触給電システム1aと同様な効果を奏する。
【0045】
D.第4実施形態:
図11および
図12に示す非接触給電システム1cは、用いられる移動体および送電装置の種類と、搬送経路の途中において、作業対象物B1がパレットpa1に乗せられて搬送および収納される点において、第2実施形態と異なる。具体的には、
図11および
図12に示すように、第4実施形態の非接触給電システム1cでは、上述の移動体30に加えて、移動体32c、32dが用いられる。
【0046】
移動体32cは、受電装置310が移動体32bの本体部と一体に構成されている点において第3実施形態の移動体32bと同じである。移動体32cは、位置Ar31に位置しており、図示しない作業員が作業対象物B1を移動体32cから降ろしてパレットpa1に載置する作業を行っている間に、第1送電装置21から受電する。
【0047】
位置Ar32に位置する移動体30は、パレットpa1に乗せられた作業対象物B1をフォークに乗せるために停止している。このとき、移動体30は、第1送電装置21から受電する。なお、位置Ar32では、作業員m4がリモートコントローラにより移動体30を操作している。
【0048】
図12に示すように、保管領域Ar201には、複数の収納棚50が並んだ2つの棚列L1、L2が設けられている。2つの棚列L1、L2の間の通路C1の幅は比較的狭く、移動体32dが1台のみ通過できる程度の幅である。本実施形態では、通路C1は、一方通行であり、位置Ar32により近い側の端部が通路C1の入口EN1に設定されている。
図11および
図12に示すように、移動体32dは、入口EN1から通路C1に進入し、入口EN1から2つ目の収納棚50の最上段の棚にパレットpa1に載った状態の作業対象物B1を納めようとしている。
【0049】
移動体32dは、フォークリフト型のAGVとして構成されている。移動体32dは、比較的高い位置まで昇降可能なフォークを有する点と、受電装置310および受電回路321を2つ備えている点とにおいて、移動体30と異なり、他の構成は移動体30と同様である。なお、
図12では、受電装置310のみ2つ示している。この2つの受電装置310は、移動体32dの幅方向の両端側に設けられている。
【0050】
非接触給電システム1cは、送電装置として、上述した位置Ar31に配置された第1送電装置21と、位置Ar32に配置された第1送電装置21に加えて、棚列L1において最も入口EN1に近い収納棚50の壁面に配置された第3送電装置23と、2つの第5送電装置25とを備える。第3送電装置23は、上述した第1実施形態の第3送電装置23と同じである。
【0051】
第5送電装置25は、送電側アーム部234を備えておらず送電部210が筐体29から突出したり筐体29に収容されたりしない点において、送電装置24と異なり、他の構成は、送電装置24と同様である。
図12に示すように、2つの送電装置25は、棚列L1において入口EN1に最も近い収納棚50の最下段の下方と、棚列L2において入口EN1に最も近い収納棚50の最下段の下方とに配置され、互いに対面している。収納棚50の最下段の下方は、移動体32dが棚から作業対象物B1をピックアップできる最低地上高さよりも低い部分に該当する。本実施形態では、第5送電装置25は、収納棚50の最下部において、通路C1に面した側、換言すると、移動体32dが作業対象物B1をピックアップする側の端部から500mm(ミリメートル)以内に筐体29における送電部210側の面が位置するように配置されている。さらに、第5送電装置25は、2つの棚列L1、L2において入口EN1に最も近い収納棚50から作業対象物B1をピックアップする際に受電装置310が正対することとなる位置に送電部210が配置されるように配置されている。すなわち、2つの送電装置25は、いずれも送電部210が通路C1に面するように配置されている。移動体32dは、入口EN1から通路C1に入る際に、2つの送電装置25の間を通り、このとき、2つの送電装置25から受電する。このように2つの送電装置25から同時に受電することにより、給電量を増大させることができ、給電効率を向上できる。
【0052】
以上説明した第4実施形態の非接触給電システム1cによれば、第1実施形態の非接触給電システム1および第2実施形態の非接触給電システム1aと同様な効果を奏する。加えて、第3送電装置23は、収納棚50の壁面に配置されるので、収納棚50の脇のデッドスペースを有効利用できる。また、第3送電装置23を固定するための固定物を、収納棚50とは別に設ける構成に比べて、非接触給電システム1cの設置コストを抑えることができ、また、非接触給電システム1cの設置スペースの小スペース化を実現できる。
【0053】
また、2つの送電装置25は、送電部210が通路C1に面するように配置されているので、移動体32dが収納棚50から作業対象物B1を取り出す際または収納棚50に作業対象物B1を収めるために停止した際に、送電装置25から受電装置310への非接触給電を実行できる。このため、収納棚50からの作業対象物B1の取り出しまたは収納とは別に、非接触給電のために移動体32dを停止させる構成に比べて、移動体32dの使用効率を高め、作業対象物の搬送効率を向上できる。
【0054】
また、2つの送電装置25は、各送電部210が通路C1のうちの入口EN1に近い側に位置するように設置されているので、通路C1に入るタイミングで走行中の移動体32dに対して非接触給電を行うことができる。通路C1の入口EN1に近い側は、移動体32dが通る可能性が高い場所であるので、非接触給電を行う可能性を高めることができる。また、2つの送電装置25から同時に受電するので、給電量を増大させることができ、給電効率を向上できる。
【0055】
また、送電装置25は、収納棚50において作業対象物B1をピックアップ可能最低地上高さよりも低い部分に設置されているので、収納棚50において作業対象物B1の収納に用いられないデッドスペースを利用して送電装置25を設置でき、収納棚50の収納効率を高めることができると共に、非接触給電システム1cの設置スペースの省スペース化を実現できる。
【0056】
また、送電装置25は、収納棚50の最下部において、移動体32dが作業対象物B1をピックアップする側の収納棚50の端部から500mm以内に少なくとも一部が位置するので、かかる端部から500mm以内に送電装置25の一部すら位置しない構成に比べて、送電装置25と受電装置310との距離が過度に大きくなることを抑制できる。また、送電装置25の設置や、メンテナンス等による交換の作業を容易に行うことができる。
【0057】
また、送電装置25は、移動体32dが収納棚50に収納された作業対象物B1をピックアップする際に正対する位置に送電部210が配置されるように配置されているので、移動体32dが作業対象物B1をピックアップするために停止した際に送電装置25から受電装置310に非接触給電を行うことができる。このため、作業対象物B1をピックアップするために停止するのとは別に、非接触給電のために移動体32dを停止させる構成に比べて、移動体32dの使用効率を高め、作業対象物B1の搬送効率を向上できる。
【0058】
E.第5実施形態:
図13および
図14に示す第5実施形態の非接触給電システム1dは、パレットpa1を用いずに作業対象物B1を収納棚50に収納する点において、第4実施形態の非接触給電システム1cと異なる。
【0059】
図14に示すように、保管領域Ar202には、3つの棚列L11、L12、L13が設けられている。棚列L11と、棚列L12との間には、通路C2が設けられている。2つの棚列L11、L12において通路C2の入口EN2に最も近い位置の収納棚50の最下部には、第5送電装置25が配置されている。また、棚列L11の側壁には第3送電装置23が配置されている。位置Ar41は、入口EN2の手前の位置であり、通路C2に入ろうとする移動体の待機位置に相当する。位置Ar41には、第1送電装置21が設けられており、かかる第1送電装置21は、位置Ar41にて停止している移動体32cへと給電を行っている。
【0060】
以上説明した第5実施形態の非接触給電システム1dは、第4実施形態の非接触給電システム1cと同様な効果を奏する。
【0061】
F.第6実施形態:
図15に示す第6実施形態の非接触給電システム1eは、製造工程に適用される。具体的には、工場内において、作業員による作業が行われるワークスペースAr53の隣の位置Ar51に、かかる作業において用いられる部品等の作業対象物B1の検品場所が設定され、かかる位置Ar51に送電装置24が配置されている。作業対象物B1は、図示しない移動体により搬送されて位置Ar51に置かれる。このとき移動体は、送電装置24から受電する。位置Ar51において作業員m5により検品された部品(作業対象物B1)は、ワークスペースAr53における作業に用いられる。
【0062】
ワークスペースAr53での作業により得られる半製品(以下、「作業対象物B2」と呼ぶ)は、作業員m6によって移動体34に乗せられて産業用ロボット61の近傍まで搬送される。移動体34は、受電装置310が移動体の筐体内部に収められている点において、
図9に示す第3実施形態の移動体33と異なり、他の構成は移動体33と同じである。産業用ロボット61では、搬送された作業対象物B2を移動体34からピックアップし、作業対象物B2に対して所定の加工を行う。産業用ロボット61の載置台62には、送電装置24が配置されている。作業対象物B2をピックアップされる際、移動体34は載置台62の近傍で停止しており、送電装置24から受電する。
【0063】
以上説明した第6実施形態の非接触給電システム1eは、第1実施形態の非接触給電システム1と同様な効果を奏する。
【0064】
G.第7実施形態:
図16に示す第7実施形態の非接触給電システム1fは、第6実施形態の非接触給電システム1eと同様に、製造工程に適用される。具体的には、工場内において、作業員による作業が行われる場所の近傍の位置Ar61、Ar62、Ar63、および移動体34の停止が予定されている位置Ar64に、第3送電装置23が配置されている。位置Ar61は、作業員m7が検品等の作業を行う場所の近傍の位置に該当する。位置Ar62は、作業員m8が作業を行う場所の位置に該当する。同様に、位置Ar63は、作業員m9が作業を行う場所の位置に該当する。右端の産業用ロボット61は、受電コイル64と、受電コイル64を介して給電される電力を蓄える図示しないバッテリを備えている。産業用ロボット63による加工対象となる作業対象物は、移動体34によって搬送される。ここで、図示しない移動体(移動体34とは異なる移動体)は、受電装置310を備えると共に、送電部210と同様な構成を有する送電部を備えている。このような移動体が産業用ロボット63に作業対象物を供給するために、産業用ロボット63が配置されている位置Ar65の近傍において停止すると、送電部から産業用ロボット63の受電コイル64へと非接触給電が行われる。なお、作業員m8、m9および産業用ロボット63によって、それぞれの位置Ar62、Ar63、Ar65においてすべての工程が行われるいわゆる「セル生産方式」としてもよい。
【0065】
以上説明した第7実施形態の非接触給電システム1fは、第1実施形態の非接触給電システム1と同様な効果を奏する。
【0066】
H.第8実施形態:
図17に示す第8実施形態の非接触給電システム1gは、工程A~工程Gまでの合計7つの工程からなる2つの生産ラインFL1、FL2に適用されている。これら2つの生産ラインFL1、FL2は、直線状の生産ラインであり、互いに平行に設けられている。生産ラインFL1は、工程ごとの生産卓Ta1~Tg1を備えている。同様に、生産ラインFL2は、工程ごとの生産卓Ta2~Tg2を備えている。
【0067】
生産ラインFL1には、移動体35が各工程間において半製品を搬送する。このため、移動体35は、各生産卓Ta1~Tg1の前で停止する。各生産卓Ta1~Tg1において、移動体35の移動経路に面した位置には、送電装置21が設けられている。このため、移動体35は、各生産卓Ta1~Tg1において停止している間、つまり、各生産卓Ta1~Tg1において加工が行われている間、第1送電装置21から受電する。移動体35は、2つの受電装置310を備える点において、第6および第7実施形態の移動体34と異なる。2つの受電装置310は、移動体35の進行方向に向かって左右の端に近い位置に配置されている。2つの受電装置310は、メインバッテリ334およびモータ333に対して互いに並列接続されている。
【0068】
生産ラインFL2には、移動体34が各工程間において半製品を搬送する。このため、移動体35は、各生産卓Ta2~Tg2の前で停止する。移動体34は、第6および第7実施形態の移動体34と同じである。生産卓Ta2~Tg2のうち、4つの生産卓Ta2、Tc2、Te2、Tg2において、移動体34の移動経路に面した位置には、送電装置21が設けられている。これら4つの生産卓Ta2、Tc2、Te2、Tg2での加工時間は、他の生産卓における加工時間よりも長い。そこで、生産ラインFL2では、より長い時間給電可能な位置にのみ第1送電装置21が設けられている。なお、生産卓Tg2には、移動体34の移動経路に面した位置に加えて、隣の生産ラインFL1において移動体35の移動経路に面した位置にも第1送電装置21が配置されている。このため、移動体35は、生産卓Tg1での加工が行われている間に、生産卓Tg1に設けられた第1送電装置21と、生産卓Tg2に設けられた第1送電装置21の両方から受電できる。
【0069】
以上説明した第8実施形態の非接触給電システム1gは、第1実施形態の非接触給電システム1と同様な効果を奏する。
【0070】
I.第9実施形態:
図18に示す第8実施形態の非接触給電システム1hは、工程H~工程Mまでの合計6つの工程からなる生産ラインFL3に適用されている。生産ラインFL3は、Uターン状の生産ラインである。生産ラインFL3は、工程ごとの生産卓Th3~Tm3を備えている。
【0071】
生産ラインFL3には、移動体34が各工程において半製品を搬送する。このため、移動体34は、各生産卓Ta1~Tg1の前で停止する。移動体34は、第6および第7実施形態の移動体34と同じである。生産卓Th3~Tm3のうち、3つの生産卓Th3、Tj3、Tl3において、移動体34の移動経路に面した位置には、送電装置21が設けられている。これら3つの生産卓Th3、Tj3、Tl3での加工時間は、他の生産卓における加工時間よりも長い。そこで、生産ラインFL3では、より長い時間給電可能な位置にのみ第1送電装置21が設けられている。
【0072】
以上説明した第9実施形態の非接触給電システム1hは、第1実施形態の非接触給電システム1および第8実施形態の非接触給電システム1gと同様な効果を奏する。
【0073】
J.第10実施形態:
図19に示す第10実施形態の非接触給電システム1iは、送電装置24の設置位置において、第2実施形態の非接触給電システム1aと異なり、他の構成は、非接触給電システム1aと同じである。なお、
図19では、移動体は省略されている。
【0074】
第10実施形態では、位置Ar21、すなわち、検品場所から保管領域Ar200に配置された3つの収納棚50までの移動経路Rd10は、複数の副移動経路を含む。なお、3つの収納棚50を互いに弁別し易くするために、以下では、収納棚50a、50b、50cと呼ぶ。これら3つの収納棚50a、50b、50cは、本開示における「副作業場」に相当する。第1の副移動経路は、検査場所である位置Ar21から保管領域Ar200に至る経路Rd1と、経路Rd1と交わり経路Rd1と共にT字経路を形成する経路Rd2と、経路Rd2から延びて収納棚50aの隣を通る経路Rd3とからなる。第2の副移動経路は、経路Rd1と、経路Rd2と、経路Rd2から延びて収納棚50bの隣を通る経路Rd4とからなる。第3の副移動経路は、経路Rd1と、経路Rd2と、経路Rd2から延びて収納棚50cの隣を通る経路Rd5とからなる。上述の3つの経路Rd3、Rd4、Rd5は、互いに平行である。送電装置24は、これら3つの副移動経路において共通する経路のうち、移動体が通過する領域において、通過する移動体に対して非接触で給電可能な位置に配置されている。具体的には、本実施形態では、送電装置24は、経路Rd1において、経路Rd2と接続する部分に近い位置Ar23aに面して配置されている。このため、移動体は、位置Ar21から3つの収納棚50a~50cのいずれに向かう際にも、送電装置24から受電できる。
【0075】
以上説明した第10実施形態の非接触給電システム1iは、第1実施形態の非接触給電システム1および第2実施形態の非接触給電システム1aと同様な効果を奏する。
【0076】
K.他の実施形態:
(K1)各実施形態において、受電コイル311は、受電コイル311の中心軸が移動体の進行方向と直交するように設けられていたが、本開示はこれに限定されない。受電コイル311の中心軸が移動体の進行方向と斜めに交わる方向や、進行方向と平行な方向となるように設けられてもよい。
【0077】
(K2)第4実施形態および第5実施形態では、通路C1、C2は、一方通行であったが、両方向に通行可能であってもよい。かかる構成においては、通路C1、通路C2の両端部分が入口の役割を果たすので、両端部分のいずれにも第5送電装置25を配置してもよい。
【0078】
(K3)第4実施形態および第5実施形態では、第5送電装置25は、収納棚50の最下段の下方に配置されていたが、収納棚50において移動体32dの受電装置310に対して送電可能な任意の位置に配置されてもよい。また、第5送電装置25は、移動体32dが作業対象物B1をピックアップする側の端部から500mm(ミリメートル)以内に筐体29における送電部210側の面が位置するように配置されていたが、本開示はこれに限定されない。例えば、ピックアップする側の端部から500mm(ミリメートル)以内に、第5送電装置25の全体が配置されるようにしてもよい。すなわち一般には、ピックアップする側の端部から500mm(ミリメートル)以内に第5送電装置25の少なくとも一部が位置するように、第5送電装置25を配置してもよい。なお、ピックアップする側の端部から500mmに限らず手が届く任意の距離以内に、第5送電装置25の少なくとも一部が位置するように第5送電装置25を配置してもよい。
【0079】
(K4)移動体31bにおいて、受電装置310を移動体31bの筐体39の側面から突出させ、また、突出した受電装置310を移動体31bの筐体39の側面に収めるための機構として、受電側アーム部380に代えて、パンダグラフやバネを用いてもよい。
【0080】
本開示は、上述の各実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0081】
1,1a~1i…非接触給電システム、21~25…送電装置、30,31a~31d,32a~32d,33~35…移動体、Ar11,Ar13,Ar22~Ar25,Ar27,Ar32,Ar201,Ar41,Ar202,Ar51,Ar52,Ar61~Ar64,Ta1~Tg1,Ta2,Tc2,Te2,Tg2,Th3,Tj3,Tl3,Ar23a…位置(停止予定位置)、310…受電装置、311…受電コイル、WA1…第1作業場、WA2…第2作業場