(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154471
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】自動車用隔壁サイレンサーシステム
(51)【国際特許分類】
B60R 13/08 20060101AFI20241024BHJP
B62D 25/08 20060101ALI20241024BHJP
F16B 2/20 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B60R13/08
B62D25/08 H
B62D25/08 F
F16B2/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068279
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】509069892
【氏名又は名称】株式会社HOWA
(74)【代理人】
【識別番号】100117503
【弁理士】
【氏名又は名称】間瀬 ▲けい▼一郎
(72)【発明者】
【氏名】飯田 光俊
(72)【発明者】
【氏名】藤田 裕介
【テーマコード(参考)】
3D023
3D203
3J022
【Fターム(参考)】
3D023BA02
3D023BA03
3D023BB17
3D023BB21
3D023BB30
3D023BC01
3D023BD12
3D023BE03
3D023BE06
3D023BE36
3D203AA04
3D203AA05
3D203BB35
3D203BB38
3D203CB10
3D203CB24
3D203DA63
3J022DA11
3J022EA03
3J022EB03
3J022EB04
3J022EC02
3J022ED02
3J022FA01
3J022FA05
3J022FB03
3J022FB08
3J022FB12
3J022HA03
3J022HB02
3J022HB06
(57)【要約】
【課題】本発明は、以上のようなことに対処するため、自動車の原動機ルームと車室との間に配設してなる隔壁への組み付け構成に工夫を凝らし、当該隔壁に単一部品として適正に組み付け得るようにした自動車用隔壁サイレンサーシステムを提供する。
【解決手段】少なくとも1つのクリップ部材CLは、その横V字状クリップにて、カウルパネルの接合端部を、間隔をおいて、車室内側から挟持し、少なくとも1つのクリップ部材CLは、横U字状クリップにより、カウルサイレンサー部の折り曲げ部70aを、カウルパネル30aの接合端部Jを介し、非折り曲げ部70bからカウルパネル30a側へ折り曲げるように延出する折り曲げ部70bをカウルパネル30a側から挟持する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の原動機ルームと車室とを相互に区画するように前記原動機ルームと前記車室との境界に配設してなる隔壁に前記車室の内側から組み付けられる自動車用隔壁サイレンサーシステムにおいて、
少なくとも吸音性能を有する隔壁サイレンサーと、弾性材料からなる少なくとも1つのクリップ部材とを備えており、
前記隔壁は、
前記車室のフロントウインドシールドの下端部からその下側後方へ延出する上側パネル部と、当該上側パネル部の延出下端部と接合されて当該延出下端部とともに接合端部を形成するように後方に向けて延出する上端部を有し、当該上端部の前端部位から下方へ延出する下側パネル部との双方からなる金属製カウルパネルと、
前記下側パネル部と一体的に形成されて当該下側パネルの延出下端部から下方へ延出して前記車室のフロアパネルの前端部に連結してなる金属製ダッシュパネルとを備えており、
前記隔壁サイレンサーは、
折り曲げ部と、当該折り曲げ部から下方へ延出する非折り曲げ部とを、一体的に有するように形成してなるカウルサイレンサー部と、
当該カウルサイレンサー部の前記非折り曲げ部から下方へ延出するように前記カウルサイレンサー部と一体的に形成してなるダッシュサイレンサー部(BSb)とを備えており、
前記少なくとも1つのクリップ部材は、
腕片を有する支持手段と、前記腕片を第1腕片として、当該第1腕片及び当該第1腕片の延出端部からその下側にて前記第1腕片の延出方向とは逆方向へ延出してなる第2腕片の双方でもって、横V字状に形成してなる横V字状クリップとを備えており、
前記隔壁サイレンサーを前記隔壁に組み付けるとき、前記少なくとも1つのクリップ部材は、前記横V字状クリップにより、前記第1及び第2の腕片にて、前記カウルパネルの前記接合端部を前記車室内側から挟持するようになっており、
前記隔壁サイレンサーが、前記カウルサイレンサー部にて、前記車室内側から前記隔壁の前記カウルパネルに沿うように配置され、かつ、前記ダッシュサイレンサー部にて、前記車室内側から前記隔壁の前記ダッシュパネルに沿うように配置される状態におかれたとき、前記支持手段は、前記第1腕片上に、前記カウルサイレンサー部の前記非折り曲げ部から前記カウルパネルの前記接合端部を介し前記上側パネル部に向けて折り曲げるように延出される前記折り曲げ部を支持するようになっていることを特徴とする自動車用隔壁サイレンサーシステム。
【請求項2】
前記隔壁サイレンサーは、前記カウルサイレンサー部及び前記ダッシュサイレンサー部にて、吸音性能を有して前記隔壁に沿い前記車室内側から設けられる第1の層と、当該第1の層を介し前記隔壁に対向するように前記第1の層に沿い積層してなる遮音性能及び吸音性能の少なくとも一方の性能を有する第2の層とでもって、形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用隔壁サイレンサーシステム。
【請求項3】
前記隔壁サイレンサーは、前記カウルサイレンサー部及び前記ダッシュサイレンサー部にて、前記第1の層と前記第2の層との間に積層してなる非通気層を有することを特徴とする請求項2に記載の自動車用隔壁サイレンサーシステム。
【請求項4】
自動車の原動機ルームと車室とを相互に区画するように前記原動機ルームと前記車室との境界に配設してなる隔壁に前記車室の内部から組み付けられる自動車用隔壁サイレンサーシステムにおいて、
少なくとも吸音性能を有する隔壁サイレンサーと、弾性を有する合成樹脂からなる少なくとも1つのクリップ部材とを備えており、
前記隔壁は、
前記車室のフロントウインドシールドの下端部からその下側後方へ延出する上側パネル部と当該上側パネル部の延出下端部と接合されて当該延出下端部とともに接合端部を形成するように後方に向けて延出する上端部を有し、当該上端部の前端部位から下方へ延出する下側パネル部との双方からなる金属製カウルパネルと、
前記下側パネル部と一体的に形成されて当該下側パネルの延出下端部から下方へ延出して前記車室のフロアパネルの前端部に連結してなる金属製ダッシュパネルとを備えており、
前記隔壁サイレンサーは、折り曲げ部と当該折り曲げ部から延出する非折り曲げ部とを一体的に有するように形成してなるカウルサイレンサー部でもって、カウルサイレンサーとして形成されており、
前記少なくとも1つのクリップ部材は、
腕片を有する支持手段と、前記腕片を第1腕片として、当該第1腕片及び当該第1腕片の延出端部からその下側にて前記第1腕片の延出方向とは逆方向へ延出してなる第2腕片の双方でもって、横V字状に形成してなる横V字状クリップとを備えており、
前記隔壁サイレンサーを前記隔壁に組み付けるとき、前記少なくとも1つのクリップ部材は、前記横V字状クリップにより、前記第1及び第2の腕片にて、前記カウルパネルの前記接合端部を前記車室内側から挟持するようになっており、
カウルサイレンサーが、前記車室内側から前記隔壁の前記カウルパネルに沿うように配置される状態におかれたとき、前記支持手段は、前記第1腕片上に、前記カウルサイレンサーの前記非折り曲げ部から前記カウルパネルの前記接合端部を介し前記上側パネル部に向けて折り曲げるように延出される前記折り曲げ部を支持するようになっていることを特徴とする自動車用隔壁サイレンサーシステム。
【請求項5】
前記支持手段は、前記第1腕片に加えて、連結片及び当該連結片の上側端部から延出する第3腕片を備えており、
前記第1腕片は、前記連結片の下側端部から前記第3腕片に対向して並行に延出しており、
前記支持手段は、前記第3及び第1の腕片と前記連結片とでもって横U字状に形成してなる横U字状クリップであることを特徴とする請求項1または4に記載の自動車用隔壁サイレンサーシステム。
【請求項6】
前記横V字状クリップは、前記第1腕片から前記第2腕片側へ突出する突出体を備えており、
当該突出体は、前記第1及び第2の腕片の間にて当該第1及び第2の腕片の境界部から当該第2腕片に対向するように当該第2腕片に並行して延出する並行部材と、前記第1腕片の前記連結片側部位から前記並行部材の延出端部に向けて前記第1腕片に対し傾斜状に延出形成してなる案内部材とを具備するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の自動車用隔壁サイレンサーシステム。
【請求項7】
前記カウルサイレンサーは、吸音性能を有して前記隔壁に沿い前記車室内側から設けられる第1の層と、当該第1の層を介し前記隔壁に対向するように前記第1の層に沿い積層してなる遮音性能及び吸音性能の少なくとも一方の性能を有する第2の層とでもって、形成されていることを特徴とする請求項4に記載の自動車用隔壁サイレンサーシステム。
【請求項8】
前記カウルサイレンサーは、前記第1の層と前記第2の層との間に積層してなる非通気層を有することを特徴とする請求項7に記載の自動車用隔壁サイレンサーシステム。
【請求項9】
前記隔壁サイレンサーの前記カウルサイレンサー部は、前記折り曲げ部の中間部位に形成してなる少なくとも1つの貫通孔部を備えており、
前記少なくとも1つのクリップ部材において、
前記横U字状クリップは、前記第3腕片にて、腕片本体と、当該腕片本体の長手方向中間部位から前記第1腕片側へ突出する突出体とを有しており、
前記突出体を第1突出体として、前記横V字状クリップは、前記第1腕片にて、腕片本体と、当該腕片本体の長手方向中間部位から前記第2腕片側へ突出する第2突出体とを有しており、
前記少なくとも1つのクリップ部材は、前記横U字状クリップの前記第1突出体にて、前記第3腕片の弾力のもとに、前記カウルサイレンサー部の前記少なくとも1つの貫通孔部内に係合するようになっているとともに、前記横V字状クリップの前記第1腕片の前記第2突出体と前記第2腕片との間に前記カウルパネルの前記接合端部を挟持するようになっていることを特徴とする請求項5に記載の自動用隔壁サイレンサーシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのクリップ部材において、
前記横U字状クリップの前記第3腕片の前記腕片本体は、その延出端部にて、前記第1腕片から離れる方向へ傾斜状に延出してなり、
前記第3腕片の前記第1突出体は、前記第3腕片の前記腕片本体の長手方向中間部位から前記第1腕片側へ突出する突出本体と、当該突出本体の前記連結片側面から前記連結片側へ突出する爪とを有しており、
前記横V字状クリップの前記第2腕片は、腕片本体と、当該腕片本体の延出端部から前記第1腕片側へ突出する爪とを有しており、
前記少なくとも1つのクリップ部材において、前記横U字状クリップの前記第3腕片は、その前記第1突出体にて、前記第3腕片の弾力のもとに、前記カウルサイレンサー部の前記少なくとも1つの貫通孔部内に係合するとき、前記第3腕片は、前記第1突出体の前記爪にて、前記貫通孔部の前記連結片側内面部に係合するようになっているとともに、前記横V字状クリップが前記第1腕片の前記第2突出体と前記第2腕片との間に前記カウルパネルの前記接合端部を挟持するとき、当該横V字状クリップは、前記第2突出体と前記第2腕片との間に当該第2腕片の前記爪を介し挟持するようになっていることを特徴とする請求項5に記載の自動車用隔壁サイレンサーシステム。
【請求項11】
前記カウルサイレンサーは、前記折り曲げ部の中間部位に形成してなる少なくとも1つの貫通孔部を備えており、
前記少なくとも1つのクリップ部材において、
前記支持手段は、前記第1腕片に加えて、連結片及び当該連結片の上側端部から延出する第3腕片を備えており、
前記第1腕片は、前記連結片の下側端部から前記第3腕片に対向して並行に延出しており、
前記支持手段は、前記第3及び第1の腕片と前記連結片とでもって横U字状に形成してなる横U字状クリップ)であり、
当該横U字状クリップは、前記第3腕片にて、腕片本体と、当該腕片本体の長手方向中間部位から前記第2腕片側へ突出する突出体とを有しており、
当該突出体を第1突出体として、前記横V字状クリップは、前記第1腕片にて、腕片本体と、当該腕片本体の長手方向中間部位から前記第2腕片側へ突出する第2突出体とを有しており、
前記少なくとも1つのクリップ部材は、前記横U字状クリップの前記第1突出体にて、前記第3腕片の弾力のもとに、前記カウルサイレンサー部の前記少なくとも1つの貫通孔部内に係合するようになっているとともに、前記横V字状クリップの前記第1腕片の前記第2突出体と前記第2腕片との間に前記カウルパネルの前記接合端部を挟持するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の自動用隔壁サイレンサーシステム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのクリップ部材において、
前記支持手段は、前記第1腕片に加えて、連結片及び当該連結片の上側端部から延出する第3腕片を備えており、
前記第1腕片は、前記連結片の下側端部から前記第3腕片に対向して並行に延出しており、
前記支持手段は、前記第3及び第1の腕片と前記連結片とでもって横U字状に形成してなる横U字状クリップであり、
当該横U字状クリップの前記第3腕片の前記腕片本体は、その延出端部にて、前記第1腕片から離れる方向へ傾斜状に延出してなり、
前記第3腕片の前記第1突出体は、前記第3腕片の前記腕片本体の長手方向中間部位から前記第1腕片側へ突出する突出本体と、当該突出本体の前記連結片側面から前記連結片側へ突出する爪とを有しており、
前記横V字状クリップの前記第1腕片は、腕片本体と、当該腕片本体の延出端部から前記第2腕片側へ突出する爪とを有しており、
前記少なくとも1つのクリップ部材において、
前記横U字状クリップの前記第3腕片は、その前記第1突出体にて、前記第3腕片の弾力のもとに、前記カウルサイレンサーの前記少なくとも1つの貫通孔部内に係合するとき、前記第1突出体の前記爪にて、前記貫通孔部の前記連結片側内面部に係合するようになっているとともに、前記横V字状クリップの前記第1腕片の前記第2突出体と前記第2腕片との間に前記カウルパネルの前記接合端部を挟持するとき、前記第2突出体と前記第2腕片との間に当該第2腕片の前記爪を介し挟持するようになっていることを特徴とする請求項4に記載の自動車用隔壁サイレンサーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の原動機ルームと車室とを区画する隔壁に組み付けられて原動機ルームから車室内への騒音を防音するに適した自動車用隔壁サイレンサーシステムに関する
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動車用隔壁サイレンサーシステムにおいては、例えば、下記特許文献1に記載されたカウルサイレンサーをダッシュパネルのカウルに組み付ける構成が提案されている。
【0003】
当該カウルサイレンサーは、車両前部のインパネの下側にて、カウルに装着されている。当該カウルは、ダッシュパネルと共に、エンジンルームと車室とを区画する隔壁材であって、フロントウインドシールドの下部に配置されるカウルアッパと、当該カウルアッパの下部に配置されるカウルインナとにより形成されている。ここで、カウルアッパは、その後端部にて、カウルインナの上端部に接合されて、当該カウルインナの上端部と共に接合フランジを形成している。
【0004】
カウルサイレンサーは、アッパパーツと、ロアパーツとを備えている。アッパパーツはカウルアッパを覆うように配置されている。一方、ロアパーツは、カウルインナの少なくとも一部を覆うように配置されており、当該ロアパーツは、その上端部にて、アッパパーツの後端部に接合されて、当該アッパパーツの後端部と共にフランジ挟持部を形成している。
【0005】
このように構成してなるカウルサイレンサーは、そのアッパパーツとロアパーツとの間からフランジ挟持部内にカウルの接合フランジを挿入しつつ、アッパパーツをカウルのカウルアッパに沿い載置するとともに、ロアパーツをダッシュパネルの上端部に沿い当接するようにして、カウルに組み付けられている。また、当該組み付けに際しては、カウルサイレンサーをカウルに対し位置決めするように、インパネが、そのインパネ組付け部のスリット状の挿入穴内に、カウルの接合フランジに形成してなるインパネ組付片を挿入することでカウルに組み付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述のように構成してなるカウルサイレンサーは、上述したごとく、アッパパーツ及びロアパーツの2部品に分割して形成されている。これでは、部品点数が増大するとともに、当該カウルサイレンサーの自動車に対する組み付け作業が増大するという不具合を招くのは勿論のこと、この種のサイレンサーを単一のサイレンサーとして提供してほしいという近年の要請に応えることが困難である。
【0008】
これに対しては、2部品を事前に接着して単一の部品とすることも考えられる。しかしながら、2部品を接着するにあたり、接着剤や接着作業が余分に必要となるという不具合が生じる。以上述べたことは、カウルパネル及びダッシュパネルの双方に沿うように形成されたダッシュサイレンサーを、カウルパネル及びダッシュパネルに沿い配設するにあたっても、同様に該当する。
【0009】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、自動車の原動機ルームと車室との間に配設してなる隔壁への組み付け構成に工夫を凝らし、当該隔壁に単一部品として適正に組み付け得るようにした自動車用隔壁サイレンサーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の解決にあたり、本発明に係る自動車用隔壁サイレンサーシステムは、請求項1の記載によれば、
自動車の原動機ルーム(10)と車室(20)とを相互に区画するように前記原動機ルームと車室との境界に配設してなる隔壁(30)に車室の内側から組み付けられるものである。
【0011】
当該自動車用隔壁サイレンサーシステムにおいて、
少なくとも吸音性能を有する隔壁サイレンサー(BS)と、弾性材料からなる少なくとも1つのクリップ部材(CL)とが、備えられている。
【0012】
隔壁は、
車室のフロントウインドシールド(WS)の下端部からその下側後方へ延出する上側パネル部(31)と、当該上側パネル部の延出下端部と接合されて当該延出下端部とともに接合端部(J)を形成するように後方に向けて延出する上端部(32a)を有し、当該上端部の前端部位から下方へ延出する下側パネル部(32)との双方からなる金属製カウルパネル(30a)と、
上記下側パネル部と一体的に形成されて当該下側パネルの延出下端部(32b)から下方へ延出して車室のフロアパネル(FP)の前端部に連結してなる金属製ダッシュパネル(30b)とを備えており、
隔壁サイレンサーは、
折り曲げ部(70a)と、当該折り曲げ部から下方へ延出する非折り曲げ部(70b)とを、一体的に有するように形成してなるカウルサイレンサー部(BSa)と、
当該カウルサイレンサー部の上記非折り曲げ部から下方へ延出するように上記カウルサイレンサー部と一体的に形成してなるダッシュサイレンサー部(BSb)とを備えている。
【0013】
少なくとも1つのクリップ部材は、
腕片(82)を有する支持手段(80a)と、腕片を第1腕片として、当該第1腕片及び当該第1腕片の延出端部からその下側にて第1腕片の延出方向とは逆方向へ延出してなる第2腕片(84)の双方でもって、横V字状に形成してなる横V字状クリップ(80b)とを備えており、
隔壁サイレンサーを隔壁に組み付けるとき、少なくとも1つのクリップ部材は、横V字状クリップにより、第1及び第2の腕片にて、カウルパネルの上記接合端部を車室内側から挟持するようになっており、
隔壁サイレンサーが、カウルサイレンサー部にて、車室内側から隔壁のカウルパネルに沿うように配置され、かつ、ダッシュサイレンサー部にて、車室内側から隔壁のダッシュパネルに沿うように配置される状態におかれたとき、支持手段は、第1腕片上に、カウルサイレンサー部の上記非折り曲げ部からカウルパネルの上記接合端部を介し上記上側パネル部に向けて折り曲げるように延出される上記折り曲げ部を支持するようになっていることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、隔壁サイレンサーは、上述のような構成を有するカウルサイレンサー部及びダッシュサイレンサー部でもって、一体的に形成されている。ここで、カウルサイレンサー部は、上述のような構成を有する折り曲げ部及び非折り曲げ部でもって、一体的に形成されている。
【0015】
また、少なくとも1つのクリップ部材は、上述のような構成を有する横V字状クリップを備えている。
【0016】
しかして、上述のように形成してある隔壁サイレンサーを、原動機ルームと車室を区画する隔壁に組み付けるにあたっては、少なくとも1つのクリップ部材の横V字状クリップにより、その弾力のもと、第1及び第2の腕片にて、隔壁のカウルパネルの接合端部を車室内側から挟持する。
【0017】
然る後、隔壁サイレンサーを、カウルサイレンサー部にて、車室内側から横V字状クリップを介し隔壁のカウルパネルに沿うように配置し、かつ、ダッシュサイレンサー部にて、車室内側から隔壁のダッシュパネルに沿うように配置する。このような状態において、支持手段により、第1腕片上に、カウルサイレンサー部の非折り曲げ部からカウルパネルの接合端部を介しカウルパネルの上側パネル部に向けて折り曲げるように延出される折り曲げ部を支持する。
【0018】
これにより、隔壁サイレンサーは、カウルサイレンサー部の折り曲げ部にて、少なくとも1つのクリップ部材により、カウルパネルの接合端部を介し、容易にかつ確実に隔壁に組み付けられ得る。当該組み付け状態においては、隔壁サイレンサーは、そのカウルサイレンサー部にて、少なくとも1つのクリップ部材のクリップ形状、即ち、横V字状クリップのクリップ形状でもって、カウルパネルに対する組み付け位置及び組み付け角度を正確に設定され得る。
【0019】
ここで、当該隔壁サイレンサーは、上述のごとく、カウルサイレンサー部及びダッシュサイレンサー部を一体的に有するように形成されている。このことは、隔壁サイレンサーを単一の部品として構成することができることを意味する。
【0020】
また、当該隔壁サイレンサーにおいては、上述のごとく、カウルサイレンサー部が、折り曲げ部及び非折り曲げ部からなる単一の部品として構成されている。従って、カウルサイレンサー部を、カウルパネルの接合端部を基準に、上下両側パネル部に対応する上下両側カウルサイレンサー部として分割して、2部品構成とした場合に生じがちな部品点数の増加、カウルパネルに対する組み付け作業の増加並びにこれら部品点数の増加及び組み付け作業の増加に起因するコストの増加を未然に防止することができる。
【0021】
また、インストルメントパネルを組み付けるにあたっては、当該組み付けが、上述のように隔壁サイレンサーのカウルサイレンサー部のカウルパネルに対する組み付けが完了した後に行われることとなる。
【0022】
換言すれば、カウルサイレンサー部のカウルパネルに対する組み付けが適正に完了していることを確認した上で、インストルメントパネルの組み付けが行われる。従って、例えば、カウルサイレンサー部を、少なくとも1つのクリップ部材に依存することなく、インストルメントパネルによりカウルパネルに向けその接合端部を基準に強引に押し付けるように折り曲げて、当該カウルパネルに組み付ける場合に生じがちなカウルサイレンサー部の組み付け位置、組み付け姿勢及び曲げ剛性を不安定にしたり、インストルメントパネルの組み付けに支障をきたしたりすることがない。
【0023】
上述のような隔壁サイレンサーの隔壁に対する組み付け後、当該自動車の走行状態において、各種ノイズが、隔壁のカウルパネル及びダッシュパネルの双方を介し隔壁サイレンサーに入射すると、当該各種ノイズは、隔壁サイレンサーによりその吸音性能でもって吸音される。なお、上述した各種ノイズとは、原動機収容ルーム内に収容してなる原動機からその作動に伴い生ずる原動機ノイズ、当該自動車の走行路面から左右前輪を介し生ずるロードノイズや、当該自動車の走行中に生ずる扉等の風切り音(風切りノイズ)をいう。
【0024】
以上によれば、上述のような隔壁サイレンサーの少なくとも1つのクリップ部材による隔壁に対する組み付けのもと、カウルパネル及びダッシュパネルを透過する上記各種ノイズを、良好に吸音し得る。
【0025】
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載の自動車用隔壁サイレンサーシステムにおいて、
隔壁サイレンサーは、カウルサイレンサー部及ダッシュサイレンサー部にて、吸音性能を有して隔壁に沿い車室内側から設けられる第1の層(40)と、当該第1の層を介し隔壁に対向するように第1の層に沿い積層してなる遮音性能及び吸音性能の少なくとも一方の性能を有する第2の層(60)とでもって、形成されていることを特徴とする。
【0026】
このような構成によれば、隔壁サイレンサーのカウルサイレンサー部及びダッシュサイレンサー部の第1の層は吸音性能を有し、かつ、第2の層は遮音性能及び吸音性能の少なくとも一方の性能を有する。これにより、請求項1に記載の発明の作用効果がより一層確実に達成され得る。
【0027】
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項2に記載の自動車用隔壁サイレンサーシステムにおいて、
隔壁サイレンサーは、カウルサイレンサー部及び前記ダッシュサイレンサー部にて、前記第1の層と前記第2の層との間に積層してなる非通気層(90)を有することを特徴とする。
【0028】
このような構成によれば、請求項1に記載の発明にいう第1及び第2の層の間に非通気層を積層した構成が当該請求項1に記載の発明とは異なる。ここで、非通気層は、その非通気性に基づき、遮音性能を発揮することから、隔壁サイレンサーは、第1の層の上記各種ノイズに対する吸音性能及び第2の層の上記各種ノイズに対する遮音性能及び吸音性能の少なくとも一方の性能に加えて、非通気層の上記各種ノイズに対する遮音性能をも発揮する。
【0029】
従って、当該隔壁サイレンサーは、そのカウルサイレンサー部及びダッシュサイレンサー部の双方でもって、上記各種ノイズを、より一層、良好に、吸音及び遮音し得る。
【0030】
以上によれば、上述のような隔壁サイレンサーの少なくとも1つのクリップ部材による隔壁に対する組み付けのもと、カウルパネル及びダッシュパネルを透過する上記各種ノイズが、良好に吸遮音され得る。その他の作用効果は、請求項2に記載の発明と同様である。
【0031】
また、本発明は、請求項4の記載によれば、自動車用隔壁サイレンサーシステムにおいて、
自動車の原動機ルーム(10)と車室(20)とを相互に区画するように原動機ルームと車室との境界に配設してなる隔壁(30)に車室の内部から組み付けられるものである。
【0032】
当該自動車用隔壁サイレンサーシステムにおいて、
少なくとも吸音性能を有する隔壁サイレンサー(BS)と、弾性を有する合成樹脂からなる少なくとも1つのクリップ部材(CL)とが備えられている。
【0033】
隔壁は、
車室のフロントウインドシールド(WS)の下端部からその下側後方へ延出する上側パネル部(31)と当該上側パネル部の延出下端部と接合されて当該延出下端部とともに接合端部(J)を形成するように後方に向けて延出する上端部(32a)を有し、当該上端部の前端部位から下方へ延出する下側パネル部(32)との双方からなる金属製カウルパネル(30a)と、
上記下側パネル部と一体的に形成されて当該下側パネルの延出下端部から下方へ延出して車室のフロアパネル(FP)の前端部に連結してなる金属製ダッシュパネル(30b)とを備えている。
【0034】
隔壁サイレンサーは、折り曲げ部(70a)と当該折り曲げ部から延出する非折り曲げ部(70b)とを一体的に有するように形成してなるカウルサイレンサー部(BSa)でもって、カウルサイレンサーとして形成されている。
【0035】
少なくとも1つのクリップ部材は、
腕片(82)を有する支持手段(80a)と、腕片を第1腕片として、当該第1腕片及び当該第1腕片の延出端部からその下側にて第1腕片の延出方向とは逆方向へ延出してなる第2腕片(84)の双方でもって、横V字状に形成してなる横V字状クリップ(80b)とを備えている。
【0036】
カウルサイレンサーをカウルパネルに組み付けるとき、少なくとも1つのクリップ部材は、横V字状クリップにより、第1及び第2の腕片にて、カウルパネルの上記接合端部を車室内側から挟むようになっており、
カウルサイレンサーが、車室内側から隔壁のカウルパネルに沿うように配置される状態におかれたとき、支持手段は、第1腕片上に、カウルサイレンサーの上記非折り曲げ部からカウルパネルの上記接合端部を介し上記上側パネル部に向けて折り曲げるように延出される上記折り曲げ部を支持することを特徴とする。
【0037】
このような構成によれば、隔壁サイレンサーは、請求項1に記載の発明とは異なり、折り曲げ部と当該折り曲げ部から延出する非折り曲げ部からなるカウルサイレンサー部でもって、カウルサイレンサーとして形成されている。
【0038】
従って、隔壁サイレンサーを、カウルサイレンサーとして、原動機ルームと車室を区画する隔壁に組み付けるにあたっては、少なくとも1つのクリップ部材の横V字状クリップにより、その弾力のもと、第1及び第2の腕片にて、隔壁のカウルパネルの接合端部を車室内側から挟持する。
【0039】
然る後、カウルサイレンサーを、車室内側から隔壁のカウルパネルに沿うように配置する。このような状態において、支持手段により、第1腕片上に、カウルサイレンサーの非折り曲げ部からカウルパネルの接合端部を介しカウルパネルの上側パネル部に向けて折り曲げるように延出される折り曲げ部を支持する。
【0040】
これにより、カウルサイレンサーは、その折り曲げ部にて、少なくとも1つのクリップ部材により、カウルパネルの接合端部を介し、容易にかつ確実に隔壁に組み付けられ得る。当該組み付け状態においては、カウルサイレンサーは、少なくとも1つのクリップ部材のクリップ形状、即ち、横V字状クリップのクリップ形状でもって、カウルパネルに対する組み付け位置及び組み付け角度を正確に設定され得る。
【0041】
また、インストルメントパネルを組み付けるにあたっては、当該組み付けが、上述のようにカウルサイレンサーのカウルパネルに対する組み付けが完了した後に行われることとなる。
【0042】
換言すれば、カウルサイレンサーのカウルパネルに対する組み付けが適正に完了していることを確認した上で、インストルメントパネルの組み付けが行われる。従って、例えば、カウルサイレンサーを、少なくとも1つのクリップ部材に依存することなく、インストルメントパネルによりカウルパネルに向けその接合端部を基準に強引に押し付けるように折り曲げて、当該カウルパネルに組み付ける場合に生じがちなカウルサイレンサーの組み付け位置、組み付け姿勢及び曲げ剛性を不安定にしたり、インストルメントパネルの組み付けに支障をきたしたりすることがない。
【0043】
上述のようなカウルサイレンサーの隔壁に対する組み付け後、当該自動車の走行状態において、上記各種ノイズが、隔壁のカウルパネルを介しカウルサイレンサーに入射すると、当該エンジンノイズは、カウルサイレンサーによりその吸音性能でもって吸音される。
【0044】
以上によれば、上述のようなカウルサイレンサーの少なくとも1つのクリップ部材による隔壁のカウルパネルに対する組み付けのもと、カウルパネルを透過する上記各種ノイズを、良好に吸音し得る。
【0045】
また、本発明は、請求項5の記載によれば、請求項1または4に記載の自動車用隔壁サイレンサーシステムにおいて、
支持手段は、前記第1腕片に加えて、連結片(83)及び当該連結片の上側端部から延出する第3腕片(81)を備えており、
前記第1腕片は、前記連結片の下側端部から前記第3腕片に対向して並行に延出しており、
前記支持手段は、前記第3及び第1の腕片と前記連結片とでもって横U字状に形成してなる横U字状クリップ(80a)であることを特徴とする。
【0046】
このような構成によれば、隔壁サイレンサーを隔壁に組み付けるにあたっては、請求項1または4の発明と同様に、横V字状クリップによりカウルパネルの接合端部を車室内側から挟持した上で、当該隔壁サイレンサーが、カウルサイレンサー部にて、車室内側から横V字状クリップを介しカウルパネルに沿うように配置される状態におかれたとき、支持手段により、その横U字状クリップでもって、第3及び第1の腕片にて、非折り曲げ部からカウルパネルの接合端部を介し上側パネル部に向けて折り曲げるように延出する折り曲げ部をカウルパネル側から挟持することにより支持し得る。
【0047】
これにより、請求項1又は4に記載の発明の作用効果がより一層具体的に達成され得る。
【0048】
また、本発明は、請求項6の記載によれば、請求項5に記載の自動車用隔壁サイレンサーシステムにおいて、
横V字状クリップは、第1腕片から第2腕片側へ突出する突出体(82b)を備えており、
当該突出体は、第1及び第2の腕片(82、84)の間にて当該第1及び第2の腕片の境界部から当該第2腕片に対向するように当該第2腕片に並行して延出する並行部材(82d)と、第1腕片の上記連結片側部位から並行部材の延出端部に向けて第1腕片に対し傾斜状に延出形成してなる案内部材(82e)とを具備するようにしたことを特徴とする。
【0049】
このような構成によれば、横V字状クリップの第1及び第2の腕片の間にカウルパネルの接合端部を挿入する際には、突出体の案内部材は、その傾斜状構成でもって、カウルパネルの接合端部を第1及び第2の腕片の間に向けて案内するので、当該案内が容易になされ得る。これにより、カウルパネルの接合端部が横V字状クリップの第1及び第2の腕片の間に容易に挿入され得る。その結果、請求項5に記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0050】
また、本発明は、請求項7の記載によれば、請求項4に記載の自動車用隔壁サイレンサーシステムにおいて、
カウルサイレンサーは、吸音性能を有して隔壁に沿い車室内側から設けられる第1の層(40)と、当該第1の層を介し隔壁に対向するように第1の層に沿い積層してなる遮音性能及び吸音性能の少なくとも一方の性能を有する第2の層(60)とでもって、形成されていることを特徴とする。
【0051】
このような構成によれば、このような構成によればカウルサイレンサーの第1の層は吸音性能を有し、かつ、第2の層は遮音性能及び吸音性能の少なくとも一方の性能を有する。これにより、請求項4に記載の発明の作用効果がより一層確実に達成され得る。
【0052】
また、本発明は、請求項8の記載によれば、請求項7に記載の自動車用隔壁サイレンサーシステムにおいて、
カウルサイレンサーは、第1の層と前記第2の層との間に積層してなる非通気層(90)を有することを特徴とする。
【0053】
このような構成によれば、請求項8に記載の発明にいう第1及び第2の層の間に非通気層を積層した構成が請求項7に記載の発明とは異なる。ここで、非通気層は、その非通気性に基づき、遮音性能を発揮することから、隔壁サイレンサーは、第1の層の上記各種ノイズに対する吸音性能及び第2の層の上記各種ノイズに対する遮音性能及び吸音性能の少なくとも一方の性能に加えて、非通気層の上記各種ノイズに対する遮音性能をも発揮する。
【0054】
従って、当該カウルサイレンサーは、上記各種ノイズを、より一層、良好に、吸音及び遮音し得る。
【0055】
以上によれば、上述のようなカウルサイレンサーの少なくとも1つのクリップ部材による隔壁に対する組み付けのもと、カウルパネルを透過する上記各種ノイズが、良好に吸遮音され得る。その他の作用効果は、請求項7に記載の発明と同様である。
【0056】
また、本発明は、請求項9の記載によれば、請求項5に記載の自動用隔壁サイレンサーシステムにおいて、
隔壁サイレンサーのカウルサイレンサー部は、上記折り曲げ部の中間部位に形成してなる少なくとも1つの貫通孔部(71)を備えている。
【0057】
少なくとも1つのクリップ部材において、
横U字状クリップは、第3腕片(81)にて、腕片本体(81a)と、当該腕片本体の長手方向中間部位から第1腕片(82)側へ突出する突出体(81b)とを有している。
【0058】
また、上記突出体を第1突出体として、横V字状クリップは、第1腕片にて、腕片本体(82a)と、当該腕片本体の長手方向中間部位から第2腕片側へ突出する第2突出体(82b)とを有している。
【0059】
しかして、少なくとも1つのクリップ部材は、横U字状クリップの第1突出体にて、第3腕片の弾力のもとに、カウルサイレンサー部の少なくとも1つの貫通孔部内に係合するようになっているとともに、横V字状クリップの第1腕片の第2突出体と第2腕片との間にカウルパネルの上記接合端部を挟持するようになっている。
【0060】
このような構成によれば、隔壁サイレンサーを隔壁に組み付ける際には、少なくとも1つのクリップ部材は、横U字状クリップの第1突出体にて、第3腕片の弾力のもとに、カウルサイレンサー部の少なくとも1つの貫通孔部内に係合するとともに、横V字状クリップの第1腕片の第2突出体と第2腕片との間にカウルパネルの接合端部を挟持する。
【0061】
これにより、請求項5に記載の発明の作用効果がより一層確実に達成され得る。
【0062】
また、本発明は、請求項10の記載によれば、請求項5に記載の自動車用隔壁サイレンサーシステムにおいて、
少なくとも1つのクリップ部材において、
横U字状クリップの第3腕片の上記腕片本体は、その延出端部にて、第1腕片から離れる方向へ傾斜状に延出してなる。
【0063】
第3腕片の第1突出体は、第3腕片の上記腕片本体の長手方向中間部位から第1腕片側へ突出する突出本体(A)と、当該突出本体の上記連結片側面から連結片側へ突出する爪(B)とを有している。
【0064】
横V字状クリップの第3腕片は、腕片本体(84a)と、当該腕片本体の延出端部から第2腕片側へ突出する爪(84b)とを有している。
【0065】
少なくとも1つのクリップ部材において、横U字状クリップの第3腕片は、その上記第1突出体にて、第3腕片の弾力のもとに、カウルサイレンサー部の少なくとも1つの貫通孔部内に係合するとき、第3腕片は、第1突出体の上記爪にて、上記貫通孔部の上連結片側内面部に係合するようになっているとともに、横V字状クリップが第1腕片の第2突出体と第2腕片との間にカウルパネルの上記接合端部を挟持するとき、当該横V字状クリップは、第2突出体と第2腕片との間に当該第2腕片の上記爪を介し挟持するようになっていることを特徴とする。
【0066】
このような構成によれば、少なくとも1つのクリップ部材においては、上述したごとく、横U字状クリップ腕片は、その上記第1突出体にて、第3腕片の弾力のもとに、カウルサイレンサー部の少なくとも1つの貫通孔部内に内に係合するとき、第3腕片は、第1突出体の上記爪にて、上記貫通孔部の上連結片側内面部に係合するようになっているとともに、横V字状クリップが第1腕片の第2突出体と第2腕片との間にカウルパネルの上記接合端部を挟持するとき、当該横V字状クリップは、第2突出体と第2腕片との間に当該第2腕片の上記爪を介し挟持するようになっている。
【0067】
従って、隔壁サイレンサーを、カウルサイレンサー部にて、少なくとも1つのクリップ部材により、カウルパネルに組み付けるにあたり、少なくとも1つのクリップ部材において、横U字状クリップの第3腕片は、その第1突出体にて、第3腕片の弾力のもとに、カウルサイレンサー部の少なくとも1つの貫通孔部内に係合するとき、第3腕片は、第1突出体の爪にて、貫通孔部の連結片側内面部に係合する。これにより、横U字状クリップは、カウルサイレンサー部の折り曲げ部をしっかりと挟持し得る。
【0068】
さらに、横V字状クリップが第1腕片の第2突出体と第2腕片との間にカウルパネルの接合端部を挟持するとき、当該横V字状クリップは、第2突出体と第2腕片との間に当該第2腕片の爪を介し挟持する。これにより、横V字状クリップは、カウルパネルの接合端部をしっかりと挟持し得る。
【0069】
以上によれば、少なくとも1つのクリップ部材は、上述したカウルサイレンサー部の折り曲げ部に対する横U字状クリップによる挟持と相俟って、横V字状クリップにより、カウルサイレンサー部の折り曲げ部をカウルパネルの接合端部にしっかりと支持し得る。その結果、請求項5に記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0070】
また、本発明は、請求項11の記載によれば、請求項1に記載の自動用隔壁サイレンサーシステムにおいて、
カウルサイレンサーは、上記折り曲げ部の中間部位に形成してなる少なくとも1つの貫通孔部(71)を備えている。
【0071】
少なくとも1つのクリップ部材において、
支持手段は、第1腕片に加えて、連結片(83)及び当該連結片の上側端部から延出する第3腕片(81)を備えており、
第1腕片は、連結片の下側端部から第3腕片に対向して並行に延出しており、
支持手段は、第3及び第1の腕片と連結片とでもって横U字状に形成してなる横U字状クリップ(80a)であり、
当該横U字状クリップは、第3腕片にて、腕片本体(81a)と、当該腕片本体の長手方向中間部位から第2腕片側へ突出する突出体(81b)とを有している。
【0072】
当該突出体を第1突出体として、横V字状クリップは、第1腕片にて、腕片本体(82a)と、当該腕片本体の長手方向中間部位から第2腕片側へ突出する第2突出体(82b)とを有している。
【0073】
少なくとも1つのクリップ部材は、横U字状クリップの第1突出体にて、第3腕片の弾力のもとに、カウルサイレンサー部の少なくとも1つの貫通孔部内に係合するようになっているとともに、横V字状クリップの第1腕片の第2突出体と第2腕片との間にカウルパネルの上記接合端部を挟持するようになっていることを特徴とする。
【0074】
このような構成によれば、少なくとも1つのクリップ部材は、上述したごとく、横U字状クリップの第1突出体にて、第3腕片の弾力のもとに、カウルサイレンサー部の少なくとも1つの貫通孔部内に係合するようになっているとともに、横V字状クリップの第1腕片の上記第2突出体と第2腕片との間にカウルパネルの上記接合端部を挟持するようになっている。
【0075】
従って、カウルサイレンサーを、少なくとも1つのクリップ部材により、カウルパネルに組み付けるにあたり、少なくとも1つのクリップ部材において、横U字状クリップの第3腕片は、その第1突出体にて、第3腕片の弾力のもとに、カウルサイレンサー部の少なくとも1つの貫通孔部内に係合するとき、第3腕片は、第1突出体の爪にて、貫通孔部の連結片側内面部に係合する。これにより、横U字状クリップは、カウルサイレンサーの折り曲げ部をしっかりと挟持し得る。
【0076】
さらに、横V字状クリップが第1腕片の第2突出体と第2腕片との間にカウルパネルの接合端部を挟持するとき、当該横V字状クリップは、第2突出体と第2腕片との間に当該第2腕片の爪を介し挟持する。これにより、横V字状クリップは、カウルパネルの接合端部をしっかりと挟持し得る。
【0077】
以上によれば、少なくとも1つのクリップ部材は、上述したカウルサイレンサーの折り曲げ部に対する横U字状クリップによる挟持と相俟って、横V字状クリップにより、カウルサイレンサー部の折り曲げ部をカウルパネルの接合端部にしっかりと支持し得る。その結果、請求項1に記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0078】
また、本発明は、請求項12の記載によれば、請求項4に記載の自動車用隔壁サイレンサーシステムにおいて、
少なくとも1つのクリップ部材において、
支持手段は、第1腕片に加えて、連結片(83)及び当該連結片の上側端部から延出する第3腕片(81)を備えており、
第1腕片は、連結片の下側端部から第3腕片に対向して並行に延出しており、
支持手段は、第3及び第1の腕片と連結片とでもって横U字状に形成してなる横U字状クリップ(80a)であり、
当該横U字状クリップの第3腕片の上記腕片本体は、その延出端部にて、第1腕片から離れる方向へ傾斜状に延出してなる。
【0079】
第3腕片の第1突出体は、第3腕片の上記腕片本体の長手方向中間部位から第1腕片側へ突出する突出本体(A)と、当該突出本体の上記連結片側面から前結片側へ突出する爪(B)とを有している。
【0080】
横V字状クリップの第1腕片は、腕片本体(84a)と、当該腕片本体の延出端部から第2腕片側へ突出する爪(84b)とを有している。
【0081】
少なくとも1つのクリップ部材において、横U字状クリップの第3腕片は、その第1突出体にて、第3腕片の弾力のもとに、カウルサイレンサーの少なくとも1つの貫通孔部内に係合するとき、第1突出体の爪にて、上記貫通孔部の上記連結片側内面部に係合するようになっているとともに、横V字状クリップの第1腕片の第2突出体と第2腕片との間にカウルパネルの上記接合端部を挟持するとき、第2突出体と第2腕片との間に当該第2腕片の爪を介し挟持するようになっていることを特徴とする。
【0082】
このような構成によれば、少なくとも1つのクリップ部材の各々においては、上述したごとく、横U字状クリップの第3腕片は、その第1突出体にて、第3腕片の弾力のもとに、カウルサイレンサーの少なくとも1つの貫通孔部内に係合するとき、第1突出体の爪にて、上記貫通孔部の前記連結片側内面部に係合するようになっているとともに、横V字状クリップの第1腕片の第2突出体と第2腕片との間にカウルパネルの上記接合端部を挟持するとき、第2突出体と第2腕片との間に当該第2腕片の爪を介し挟持するようになっている。
【0083】
従って、カウルサイレンサーを、少なくとも1つのクリップ部材により、カウルパネルに組み付けるにあたり、少なくとも1つのクリップ部材において、横U字状クリップの第3腕片は、その第1突出体にて、第3腕片の弾力のもとに、カウルサイレンサー部の少なくとも1つの貫通孔部内に係合するとき、第1腕片は、第1突出体の爪にて、貫通孔部の連結片側内面部に係合する。これにより、横U字状クリップは、カウルサイレンサーの折り曲げ部をしっかりと挟持し得る。
【0084】
さらに、横V字状クリップが第1腕片の第2突出体と第2腕片との間にカウルパネルの接合端部を挟持するとき、当該横V字状クリップは、第2突出体と第2腕片との間に当該第2腕片の爪を介し挟持する。これにより、横V字状クリップは、カウルパネルの接合端部をしっかりと挟持し得る。
【0085】
以上によれば、少なくとも1つのクリップ部材は、上述したカウルサイレンサー部の折り曲げ部に対する横U字状クリップによる挟持と相俟って、横V字状クリップにより、カウルサイレンサーの折り曲げ部をカウルパネルの接合端部にしっかりと支持し得る。その結果、請求項4に記載の発明の作用効果がより一層向上され得る。
【0086】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図1】本発明に係る自動車用隔壁サイレンサーシステムの第1実施形態を適用した自動車の部分破断による模式的概略側面図である。
【
図2】
図1にて示す隔壁パネルを当該自動車の車室内側からみた概略正面図である。
【
図3】
図1の自動車用隔壁サイレンサーシステムを自動車に適用してなる部分拡大破断図である。
【
図5】
図4の隔壁サイレンサーを示す部分破断正面図である。
【
図6】(a)は、
図3にて示すクリップ部材の斜視図であり、(b)は、
図3のクリップ部材の他の斜視図であり、(c)は、
図3のクリップ部材のその他の斜視図である。
【
図7】(a)は、
図3のクリップ部材の正面図であり、(b)は、
図3のクリップ部材の上面図であり、(c)は、
図3のクリップ部材の下面図である。
【
図8】(a)は、
図3のクリップ部材の左側面図であり、(b)は、
図3のクリップ部材の右側面図であり、(c)は、
図3のクリップ部材の背面図である。
【
図9】本発明に係る隔壁サイレンサーシステムの第2実施形態の要部を示す縦断面図である。
【
図10】本発明に係る隔壁サイレンサーシステムの第3実施形態の要部を示す縦断面図である。
【
図11】本発明に係る隔壁サイレンサーシステムの第4実施形態の要部を示す縦断面図である。
【
図12】本発明に係る隔壁サイレンサーシステムの第5実施形態の要部を示す部分破断正面図である。
【
図13】本発明に係る隔壁サイレンサーシステムの第6実施形態の要部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0088】
以下、本発明の各実施形態を、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、自動車に適用される本発明に係る自動車用隔壁サイレンサーの第1実施形態を示している。当該自動車は、
図1にて示すごとく、エンジンルーム10及び車室20を備えており、車室20は、当該自動車(エンジン自動車ともいう)において、エンジンを収容してなるエンジンルーム10に後続して設けられている。なお、
図1にて、図示左側及び図示右側は、当該自動車の前側及び後側に対応し、図示手前及び奥側は、当該自動車の左側及び右側を示す。
【0089】
エンジンEは、
図1にて示すごとく、エンジンルーム10内に配設されている。また、左右両側前席S(
図1では、左側前席Sのみを示す)は、車室20内にて、フロアシートFS(フロアカーペットFSともいう)を介しフロアパネルFP上に配設されている。なお、フロアシートFSは、フロアパネルFPに沿いその上面側から敷かれている。また、
図1において、符号FWは、当該自動車の前輪を示す。
【0090】
また、当該自動車は、
図1にて示すごとく、隔壁30を備えている。当該隔壁30は、
図1にて示すごとく、エンジンルーム10及び車室20を相互に区画するように、エンジンルーム10と車室20との境界に設けられている。当該隔壁30は、その上端部にて、車室20のフロントウインドシールドWS(
図1参照)の下端部に連結されており、この隔壁30の下端部は、車室20のフロアパネルFP(
図1参照)の前端部に連結されている。なお、当該隔壁30は、
図1にて示すごとく、縦断面湾曲形状を有するように形成されており、当該隔壁30は、
図2にて示すごとく、略長四角正面形状(車室20内からみた形状)を有するように形成されている。なお、当該隔壁30の左右方向幅(
図1にて図示左右方向幅)は、車室20の左右方向幅に対応する。
【0091】
ここで、当該隔壁30の構成につき詳細に説明すると、当該隔壁30は、
図1~
図3のいずれかにて示すごとく、カウルパネル30aと、ダッシュパネル30bとを備えている。カウルパネル30aは、
図1或いは
図3にて示すごとく、上下両側パネル部31、32を備えている。
【0092】
上側パネル部31は、フロントウインドシールドWSの下端部から下側後方に向けて、前側斜め下方に向け凸な縦断面湾曲状にて延出するように形成されている。一方、下側パネル部32は、その上端部32aにて、上側パネル部31の延出下端部31aにその下側から接合されて、当該上側パネル部31の延出下端部と共に、接合端部J(
図1或いは
図3参照)を斜め上方に向け車室20内側へ延出するように形成している。以下、本第1実施形態において、接合端部Jは、カウルパネル30aの接合端部Jともいう。
【0093】
また、下側パネル部32は、その上端部32aから下方に向けて延出されており、当該下側パネル部32は、その延出下端部32bにて、ダッシュパネル30bの上端部33に連結されている。
【0094】
ダッシュパネル30bは、その上端部33から前側斜め下方へ緩やかに凸な縦断面湾曲形状にて下方後側に向け延出されており、当該ダッシュパネル30bは、その延出下端部にて、フロアパネルFPの前端部に当接している。なお、ダッシュパネル30を形成するカウルパネル30a及びダッシュパネル30bは、共に、例えば、鉄板でもって、形成されている。
【0095】
また、当該自動車は、
図1及び
図3のいずれかにて示すごとく、隔壁サイレンサーBS及び3つのクリップ部材CL(
図1では左側クリップ部材CLのみを示す)を備えている。隔壁サイレンサーBSは、
図4にて示すごとく、一側多孔質層40、接着剤層50及び他側多孔質層60を備えている。
【0096】
一側及び他側の多孔質層40、60は、それぞれ、多孔質材料(例えば、フェルト)でもって層状に形成されており、他側多孔質層60は、接着剤層50を介し一側多孔質層40に対向するように、当該接着剤層50による接着のもとに、一側多孔質層40に積層されている。
【0097】
本第1実施形態において、接着剤層50は、適宜な接着剤でもって薄いフィルム状に形成されており、当該接着剤層50を形成する接着剤は、上述した他側多孔質層60の一側多孔質層40への接着後に硬化して、他側多孔質層60の一側多孔質層40との接着状態を良好に維持する。なお、接着剤層50は接着に寄与するのみ故、隔壁サイレンサーBSは、実質的に、一側及び他側の多孔質層40、60からなる2層積層構造体でもって形成されているものしてもよい。
【0098】
また、当該隔壁サイレンサーBSは、
図1及び
図3のいずれかにて示すごとく、車室20の内部から隔壁30に沿うように後述のごとく組み付けられており、当該隔壁サイレンサーBSは、
図1、
図4及び
図5のいずれかにて示すごとく、カウルセンサー部BSa及びダッシュサイレンサー部BSbでもって一体的に形成されている。なお、当該隔壁サイレンサーBSの左右方向幅は、隔壁30の左右方向幅にほぼ一致している。
【0099】
カウルサイレンサー部BSaは、3つのクリップ部材CLにより、車室20の内側からカウルパネル30aに組み付けられている(
図1及び
図3参照)。また、ダッシュサイレンサー部BSbは、カウルサイレンサー部BSaから下方へ一体的に延出するように形成されており、当該ダッシュサイレンサー部BSbは、
図1にて示すごとく、ダッシュパネル30bに沿うように、車室20の内側にて当該ダッシュパネル30bに沿い配設されている。なお、
図1或いは
図3にて、符号IPは、インストルメントパネルを示す。また、符号DFは、デフロスタを示すもので、当該デフロスタDFは、インストルメントパネルIPとは別部品として形成されている。
【0100】
次に、隔壁サイレンサーBSにおけるカウルサイレンサー部BSaのカウルパネル30aに対する組み付け構造を説明する。まず、当該説明に先立ち、3つのクリップ部材CLの構成につき、隔壁サイレンサーBS及びカウルサイレンサー部BSaの各構成との関係において、説明する。
【0101】
隔壁サイレンサーBSにおいては、
図4にて示すように、一側多孔質層40は、両多孔質層部40a、40bでもって一体的に形成され、接着剤層50は、両接着剤層部50a、50bでもって一体的に形成され、また、他側多孔質層60は、両多孔質層部60a、60bでもって一体的に形成されている。
【0102】
これに伴い、カウルサイレンサー部BSaは、他側多孔質層部60aを、接着剤層部50aによる接着のもと、一側多孔質層部40aに積層することにより形成されている。また、ダッシュサイレンサー部BSbは、他側多孔質層部60bを、接着剤層部50bによる接着のもと、一側多孔質層部60aに積層することにより形成されている。
【0103】
また、カウルサイレンサー部BSaは、
図4及び
図5のいずれかにて示すごとく、折り曲げ部70a及び非折り曲げ部70bでもって形成されている。折り曲げ部70aは、一側多孔質層部40a、接着剤層部50a及び他側多孔質層部60aのうちの折り曲げ部70aに対する各対応層状折り曲げ部位でもって形成されており、一方、非折り曲げ部70bは、一側多孔質層部40a、接着剤層部50a及び他側多孔質層部60aのうちの非折り曲げ部70bに対する各対応層状非折り曲げ部位でもって形成されている。
【0104】
折り曲げ部70aは、
図4或いは
図5にて示すごとく、3つの貫通孔部71を有しており、当該3つの貫通孔部71は、それぞれ、折り曲げ部70aの上記各対応層状折り曲げ部位に共通な貫通孔部として形成されている。
【0105】
3つのクリップ部材CLは、左側、中側及び右側のクリップ部材CLからなるもので、当該3つのクリップ部材CLは、共に、同一の構成を有するように形成されている。そこで、
図1或いは
図3にて示す左側クリップ部材CLを例にとりその構成について
図6~
図8を参照して説明する。
【0106】
当該左側クリップ部材CLは、
図6~
図8のいずれかにて示すごとく、両クリップ80a、80bを有するように、弾性を有する合成樹脂により一体的に形成されている。当該左側クリップ部材CLにおいては、両クリップ80a、80bのうち、クリップ80bは、その内部へのカウルパネル30aの接合端部Jの挿入により左側クリップ部材CLをカウルパネル30aに支持し、クリップ80aは、その内部へのカウルサイレンサー部BSaの折り曲げ部70aの挿入により、カウルサイレンサー部BSaを、
図1或いは
図3にて示すごとく、支持するように形成されている。以下、両クリップ80a、80bの各構成について詳細に説明する。
【0107】
クリップ80aは、
図6~
図8のいずれかにて示すごとく、両腕片81、82と、連結片83とを備えている。両腕片81、82において、腕片81は、腕片本体81a及び突出体81bを備えており、一方、腕片82は、腕片本体82a及び突出体82bを備えている。
【0108】
しかして、両腕片本体81a、82aは、連結片83と共にU字形状を形成するように、当該連結片83の両端部から延出されている。
【0109】
ここで、腕片本体81aは、その延出端部81cにて、腕片本体82aの延出端部82cから離れるように上方(
図7(a)にて図示上方)へ折れ曲がって傾斜状に延出している。これにより、カウルサイレンサー部BSaの折り曲げ部70aをクリップ80a内にその両腕片本体81a、82aの各延出端部81c、82cから連結部83に向けて挿入し易くなっている。
【0110】
また、突出体81bは、
図6(a)、(b)、
図7(a)及び
図8(c)のいずれかにて示すごとく、突出本体A及び爪Bを備えている。突出本体Aは、腕片本体81aの幅方向中央側部位からその裏面(腕片本体82a側の面)側へ突出するように形成されている。なお、当該突出本体Aは、腕片本体81aにおける延出端部81cを除く長手方向部位のうちの延出端部81c側半分部位から突出するように形成されている(
図7(a)参照)。
【0111】
当該突出本体Aは、
図7(a)にて示すごとく、その表面A1にて、腕片本体82aの裏面に対向している。ここで、当該表面A1は、
図6(a)、(b)、
図7(a)、
図8(c)のいずれかにて示すごとく、傾斜表面部A11及び平行表面部A12でもって形成されている。
【0112】
傾斜表面部A11は、腕片本体81aの延出端部81cの傾斜状裏面と同一の傾斜面上に位置するように形成されている。換言すれば、傾斜表面部A11は、その腕本体81aの裏面に対する傾斜角度において、延出端部81cの傾斜状裏面の腕本体81aの裏面に対する傾斜角度と一致している。これにより、カウルサイレンサー部BSaの折り曲げ部70aが両腕片本体81a、82aの間に挿入し易くなっている。
【0113】
また、平行表面部A12は、
図7(a)及び
図8(c)のいずれかにて示すごとく、腕片本体82aの裏面に平行となっている。これにより、傾斜状表面部A11を介して挿入されるカウルサイレンサー部BSaの折り曲げ部70aが両腕片本体81a、82aの間に平行に挿入されるようになっている。
【0114】
また、爪Bは、
図6(a)、
図7(a)及び
図8(c)のいずれかにて示すごとく、突出本体Aの内端面A2側にて当該突出本体Aの突出端部から連結片83に向け横断面直角三角形状にて延出するように形成されている。
【0115】
ここで、当該爪Bは、
図8(c)から分かるように、内端面A2上に底面を有し、腕本体81aの裏面に平行な面(内端面A2に直角な面)上に高さ面B1を有し、かつ、突出本体Aの突出端部側から高さ面B1の先端部に到る面を斜面B2とする長手状直角三角形体として形成されている。なお、突出本体Aは、内端面A2(連結片83側面)にて、腕本体81aの裏面に対し直角に形成されている。
【0116】
また、腕片82の突出体82bは、
図6(c)、
図7(a)、(c)及び
図8a)、(c)のいずれかにて示すごとく、腕片82と腕片84(後述する)との間にて当該腕片82から腕片84側へ突出するように形成されている。当該突出体82bは、腕片84に並行な並行部材82d及びカウルパネル31の接合端部Jを案内する3つの案内部材82eを備えている。並行部材82dは、
図7(a)にて示すごとく、両腕片82、84の境界部(例えば、腕本体82aの延出端部82c)から腕片84の腕片83側の面に沿い当該腕片84に並行して対向するように腕片83の延出方向とは逆方向に壁状に延出形成されている。
【0117】
3つの案内部材82eは、
図6(c)、
図7(a)、
図8(c)から分かるように、それぞれ、リブからなるもので、当該3つの案内部材82eは、並行部材82dと腕片82との間にて相互に間隔をおいて形成されており、当該3つの案内部材82eは、ともに、
図7(a)にて示すような三角形壁状に形成されている、ここで、当該3つの案内部材82eは、その各傾斜状外端部にて、腕片82の連結片83側の端部から並行部材82dの延出端部に向けて傾斜状に延出している。
【0118】
これにより、当該3つの案内部材82eは、その各傾斜状外端部にて、後述のようにカウルパネル31の接合端部Jを並行部材82dと腕片84との間に挿入する際にカウルパネル31の接合端部Jを左側クリップ部材CLのクリップ80bに向けて案内し易くする役割をも果たす。また、当該3つの案内部材82eは、それぞれ、リブとして、並行部材82dを、当該並行部材82dの腕本体81aの裏面に対する所定の鋭角傾斜角度に維持する役割を果たす。本第1実施形態において、上記所定の鋭角傾斜角度は、カウルサイレンサー部BSaをカウルパネル30aに対し
図1或いは
図3にて示す位置に支持し得る鋭角の角度に設定されている。なお、本第1実施形態において、クリップ80aは、U字形クリップ80aともいう。
【0119】
また、クリップ80bは、両腕片を有するように、上記合成樹脂により、クリップ80aと一体的に形成されている。当該クリップ80bの両腕片のうち、一方の腕片を、U字形クリップ80aの腕片82(以下、共通腕片82ともいう)とし、他方の腕片を腕片84として有する(
図6、
図7(a)、(c)、
図8(c)のいずれか参照)。
【0120】
腕片84は、腕片本体84a及び爪84bを備えており、腕片本体84aは、腕片本体82aと共にV字形状をなすように、腕片82の腕片本体82aの延出端部から並行部材82dに沿うように折れ曲がって延出している(
図6、
図7(a)、(c)、
図8(c)のいずれか参照)。
【0121】
また、爪84bは、腕片本体84aの延出端部から並行部材82dの表面側へ当該腕片本体84aの延出端部に対向するように爪状に突出形成されている。ここで、当該爪84aは、その表面Cにて、突出体82に対向するように形成されており、当該表面Cは、傾斜表面部C1及び平行表面部C2でもって形成されている。
【0122】
傾斜表面部C1は、腕本体84aの表面のうち当該腕本体84aの延出端部側部位から腕本体84aの表面に対し鋭角をなすように突出体82側へ延出するように形成されている。また、平行表面部C2は、腕片本体84aの裏面に平行な平面状に形成されている。
【0123】
これにより、カウルパネル30aの接合端部Jが両腕本体82a、84aの間において平行表面部C2にかけて挿入し易くなっている。また、爪84aは、腕本体84aの弾力のもと、傾斜表面部C1にて、カウルパネル30aの接合端部Jに面接触して当該接合端部Jを並行部材82dの端部に容易に押圧し得る。なお、本第1実施形態において、クリップ80bは、横V字形クリップ80bともいう。
【0124】
以上のように構成してなる本第1実施形態において、隔壁サイレンサーBSの隔壁30に対する組み付けは次のようにして行う。当該組み付けにあたり、インストルメントパネルIPを車室20の内部から取り外す。
【0125】
このような状態において、3つのクリップ部材CL、即ち、左側、中側及び右側の各クリップ部材CLが、カウルパネル30aの接合端部Jに対し当該接合端部Jの左右方向に所定の間隔(例えば、等間隔)をおいて組み付けられる。ここで、左側クリップ部材CLを例に挙げて接合端部Jに対する組み付け方を説明する。
【0126】
左側クリップ部材CLは、カウルパネル30aの接合端部Jの左側部に組み付けられるものであるが、当該左側クリップ部材CLにおいては、その横V字状クリップ80bが、
図3にて拡大して示すごとく、クリップ80aを上側に位置させながら、共有腕片82と腕片84との間にカウルパネル30aの接合端部Jの左側部を挿入させるように、当該接合端部Jの左側部に向けて押動する。
【0127】
ここで、突出体82bの3つの案内部材82eは、上述したごとく、その各傾斜状外端部に沿い、カウルパネル30aの接合端部Jを共有腕片82と腕片84との間に向けて案内するので、当該案内が容易になされ得る。
【0128】
これに伴い、カウルパネル30aの接合端部Jは、その左側部にて、横V字状クリップ80bの腕片84をその弾力に抗して共有腕片82の突出体82bから押し広げながら横V字状クリップ80b内に挿入される。このとき、当該接合端部Jは、その左側部にて、腕片84の爪84bの傾斜表面部C1に沿い横V字状クリップ80b内に案内されるので、当該接合端部Jをその左側部にて横V字状クリップ80b内に容易に挿入することができる。また、当該挿入後は、接合端部Jが、その左側部にて、腕片84の弾力のもと、当該腕片84の爪84bの先端爪と突出体82bの並行部材82dの先端部との間にしっかりと挟持(クリップ)され得る。
【0129】
これにより、左側クリップ部材CLは、その横V字状クリップ80bにて、カウルパネル30aの接合端部Jの左側部により当該接合端部Jの延出方向に沿うように支持され得る。なお、カウルパネル30aは鉄により形成されているので、上述したカウルパネル30aの接合端部Jに対するクリップ部材CLの組み付け状態は、しっかりと維持され得る。
【0130】
これにより、カウルパネル30aの接合端部Jの左側部に対する左側クリップ部材CLの組み付けが完了する。なお、残りの中側クリップ部材CL及び右側クリップ部材CLのカウルパネル30aの接合端部Jの中側部及び右側部に対する各組み付けを、左側クリップ部材CLの接合端部Jの左側部に対する組み付けと同様に行う。
【0131】
以上のようにして各クリップ部材CLのカウルパネル30aの接合端部Jに対する組み付けが完了すると、隔壁サイレンサーBSが、そのカウルサイレンサー部BSaにて、ダッシュサイレンサー部BSbの上側に位置するように、車室20内側から隔壁30に沿い保持される。
【0132】
このとき、当該隔壁サイレンサーBSのカウルサイレンサー部BSaにおいては、非折り曲げ部70bが左側、中側及び右側の各クリップ部材CLの横V字状クリップ80bの腕片84を介してカウルパネル30aの下側パネル部32に沿うように保持され、かつ、折り曲げ部70aが、その非折り曲げ部70bとの境界部位にて、左側、中側及び右側の各クリップ部材CLの各横U字状クリップ80aの腕片81と共有腕片82との間に挿入されるように折り曲げられる。
【0133】
ここで、当該折り曲げは、各横V字状クリップ80bのうちの接合端部Jの先端部に対する各対応部位を基準として行われる。なお、折り曲げ部70aの非折り曲げ部70bとの境界部位は、上述した折り曲げを容易に行い得る程度の厚さにて形成されている。
【0134】
しかして、カウルサイレンサー部30aが、その折り曲げ部70aにて、上述した折り曲げの過程において、横U字状クリップ80aごとに、その腕片81の弾力に抗して、当該腕片81と共有腕片82との間に挿入されると、各腕片81の突出体81bが、腕片81の弾力のもとに、折り曲げ部70aに形成してなる各貫通孔部71(
図5参照)内に嵌り込む。
【0135】
このとき、各突出体81bが、その爪Bにて、腕片81の弾力のもと、各対応の貫通孔部71の内周面のうちの折り曲げ部70aの先端部側の内周面部に係合する。これにより、左側、中側及び右側の各クリップ部材CLは、その横U字状クリップ80a内にて折り曲げ部70aの各対応部をしっかりと保持し得る。このことは、カウルパネル30aの接合端部Jに支持されている左側、中側及び右側のクリップ部材CLが、その各横U字状クリップ80aにより、カウルサイレンサー部BSaを
図3にて示す折り曲げ状態にてしっかりと保持し得ることを意味する。
【0136】
これにより、隔壁サイレンサーBSが、そのカウルサイレンサー部BSaにて、左側、中側及び右側のクリップ部材CLにより、カウルパネル30aに良好に組み付けられ得る。当該組み付け状態においては、隔壁サイレンサーBSは、そのカウルサイレンサー部BSaにて、左側、中側及び右側のクリップ部材CLのクリップ形状、即ち、横U字状クリップ80a及び横V字状クリップ80bからなるクリップ形状でもって、カウルパネル31に対する組み付け位置及び組み付け角度を正確に設定され得る、
然る後、インストルメントパネルIPが、カウルサイレンサー部BSaを車室20の内部から覆うように、フロントウインドシールドWSの下端部とデフロスタDFとの間に組み付けられる。なお、当該フロントウインドシールドWSは、隔壁30、当該自動車のルーフ及びフロアパネルFP等と共に、車室20を構成している。
【0137】
このようにして、各クリップ部材CLによる隔壁サイレンサーBSの隔壁30に対する組み付け及び、その後のインストルメントパネルIPのフロントウインドシールドWSの下端部とデフロスタDFとの間への組み付けがともに完了した後、当該自動車がエンジンEの作動のもと走行状態におかれるものとする。
【0138】
このように当該自動車が走行状態におかれると、エンジンEから生ずる騒音がエンジンノイズとして隔壁30のダッシュパネル30bのみならずカウルパネル30aにも入射する。また、当該自動車の走行路面から左右前輪FWを介し生ずる騒音がロードノイズとして隔壁30のダッシュパネル30bの下部領域に入射する。
【0139】
然るに、カウルパネル30a及びダッシュパネル30bの各形成材料が共に鉄であることから、当該カウルパネル30a及びダッシュパネル30bは、主として、遮音性能を発揮する。このため、上述のようにカウルパネル30aに入射するエンジンノイズは、当該カウルパネル30aによりその遮音性能のもとに遮音されつつ隔壁サイレンサーBSのカウルサイレンサー部BSa及びダッシュサイレンサー部BSbの双方に亘り入射する。また、上述のようにダッシュパネル30bの下部領域に入射するロードノイズは、当該ダッシュパネル30bによりその遮音性能のもとに遮音されつつダッシュサイレンサー部BSbの下部領域に入射する。
【0140】
ここで、隔壁サイレンサーBSにおいては、一側及び他側の多孔質層40、60は、共に、多孔質材料、例えば、フェルトでもって形成されていることから、当該一側及び他側の多孔質層40、60は、ともに、吸音層として吸音性能を発揮するものである。なお、接着剤層50は、吸音や遮音の性能を発揮しない。
【0141】
しかして、エンジンノイズが、上述のようにカウルサイレンサー部BSaに入射すると、当該エンジンノイズは、一側多孔質層40のうちのカウルサイレンサー部BSaに対する対応一側多孔質層部位により吸音された後、接着剤層50のうちのカウルサイレンサー部BSaに対する対応接着剤層部位を通り、他側多孔質層60のうちのカウルサイレンサー部BSaに対する対応他側多孔質層部位に入射して当該対応他側多孔質層部位により吸音される。
【0142】
これにより、カウルサイレンサー部BSaに入射して車室20の内部に入射しようとするエンジンノイズは、当該カウルサイレンサー部30aにより良好に吸音され得る。
【0143】
また、エンジンノイズが、上述のようにダッシュサイレンサー部BSbに入射すると、当該エンジンノイズは、一側多孔質層40のうちのダッシュサイレンサー部BSbに対する対応一側多孔質層部位により吸音された後、接着剤層50のうちのダッシュサイレンサー部BSbに対する対応接着剤層部位を通り、他側多孔質層60のうちのダッシュサイレンサー部BSbに対する対応他側多孔質層部位に入射して当該対応他側多孔質層部位により吸音される。
【0144】
これにより、ダッシュサイレンサー部BSbに入射して車室20の内部に入射しようとするエンジンノイズは、当該ダッシュサイレンサー部BSbにより良好に吸音され得る。
【0145】
また、ロードノイズが、上述のように、ダッシュサイレンサー部BSbの下部領域に入射すると、当該ロードノイズは、一側多孔質層40のうちのダッシュサイレンサー部BSbの下部領域に対する対応一側多孔質層下部領域により吸音された後、接着剤層50のうちのカウルサイレンサー部BSaに対する対応接着剤層部位を通り、他側多孔質層60のうちのカウルサイレンサー部BSaに対する対応他側多孔質層部位に入射して当該対応他側多孔質層部位により吸音される。
【0146】
これにより、カウルサイレンサー部BSaに入射して車室20の内部に入射しようとするエンジンノイズやロードノイズは、当該カウルサイレンサー部30aにより良好に吸音され得る。
【0147】
以上説明したように、隔壁サイレンサーBSは、カウルサイレンサー部BSa及びダッシュサイレンサー部BSbでもって一体的に形成されており、当該隔壁サイレンサーは、カウルサイレンサー部BSaにて、カウルパネル30aに対向し、かつ、ダッシュサイレンサー部BSbにて、ダッシュパネル部30bに対向するように、3つのクリップ部材CLにより隔壁30に組み付けられている。
【0148】
ここで、各クリップ部材CLが、上述したごとく、横U字状クリップ80a及び横V字状クリップ80bを、弾性を有する合成樹脂でもって一体的に形成されている。しかも、各クリップ部材CLにおいては、横U字状クリップ80aが、横V字状クリップ80bの上側に位置するように、かつ、横V字状クリップ80bとは逆向きになるように当該横V字状クリップ80bと一体的に形成されている。
【0149】
換言すれば、各クリップ部材CLは、横U字状クリップ80a内にカウルサイレンサー部BSaの折り曲げ部70aを挿入可能なように、かつ横V字状クリップ80b内にはカウルパネル30aの接合端部Jを挿入可能なように、横U字状クリップ80aと横V字状クリップ80bとの一体的構造体として形成されている。
【0150】
従って、このように特有の構成を有する各クリップ部材CLを活用することにより、隔壁サイレンサーBSは、カウルサイレンサー部BSaにて、上述のごとく、カウルパネル30aに対し容易にかつ確実に組み付けることができる。
【0151】
その結果、上述のような隔壁サイレンサーBSの各クリップ部材CLによる隔壁30に対する組み付けのもと、カウルパネル30aを透過するエンジンノイズを、カウルサイレンサーBSaにより、良好に吸音し、かつ、ダッシュパネル30bを透過するエンジンノイズを、ダッシュサイレンサー部BSbにより、良好に吸音し得る。
【0152】
ここで、当該隔壁サイレンサーBSは、上述のごとく、カウルサイレンサー部BSa及びダッシュサイレンサー部BSbを一体的に有するように形成されている。このため、隔壁サイレンサーBSを単一の部品として構成することができる。
【0153】
また、当該隔壁サイレンサーBSにおいては、上述のごとく、カウルサイレンサー部BSaが、折り曲げ部70a及び非折り曲げ部70bからなる単一の部品として構成されている。従って、カウルサイレンサー部BSaを、カウルパネル30aの接合端部Jを基準に、上下両側パネル部31、32に対応する上下両側カウルサイレンサー部として分割して、2部品構成とした場合に生じがちな部品点数の増加、カウルパネル30aに対する組み付け作業の増加並びにこれら部品点数の増加及び組み付け作業の増加に起因するコストの増加を未然に防止することができる。
【0154】
また、上述のように、インストルメントパネルIPの組み付けの前に、隔壁サイレンサーBSのカウルサイレンサー部BSaのカウルパネル30aに対する組み付けが完了するようにした。
【0155】
従って、例えば、カウルサイレンサー部BSaを、各クリップ部材CLに依存することなく、インストルメントパネルIPにより、カウルパネル30aに向けその接合端部Jを基準に強引に押し付けるようにして折り曲げて当該カウルパネル30aに組み付ける場合に生じがちなカウルサイレンサー部BSaの組み付け位置、組み付け姿勢及び曲げ剛性を不安定にしたり、インストルメントパネルIPのフロントウインドシールドWS及びデフロスタDFとの組み付けに支障をきたしたりすることなく、カウルサイレンサー部BSaのカウルパネル30aに対する組み付けが適正に完了していることを確認した上で、インストルメントパネルIPの組み付けが適正に行われる。
【0156】
また、ダッシュパネル30bの下部領域を透過するロードノイズは、ダッシュサイレンサー部BSbの下部領域により良好に吸音され得る。このことは、上述したエンジンノイズの吸音に併せてロードノイズの吸音をも、上述のように一体的構造からなる隔壁サイレンサーBSにより良好に吸音され得ることを意味する。
(第2実施形態)
図9は、本発明に係る隔壁サイレンサーの第2実施形態を示している。当該第2実施形態においては、隔壁サイレンサーが、上記第1実施形態にて述べた隔壁サイレンサーBSに代えて採用されている。なお、本第2実施形態にいう隔壁サイレンサーは、符号BS1により示すものとする。
【0157】
当該隔壁サイレンサーBS1は、上記第1実施形態にて説明した隔壁サイレンサーBSにおいて、接着剤層50に代えて非通気層90を採用してなるものである。非通気層90は、例えば、ナイロンからなるフィルムでもって形成されており、当該非通気層90は、上記第1実施形態にて説明した隔壁サイレンサーBSの一側多孔質層40と他側多孔質層60との間に接着剤層50に代えて積層されている。
【0158】
隔壁サイレンサーBS1は、
図9にて示すごとく、カウルサイレンサー部BScとダッシュサイレンサー部BSdとでもって、一体的に形成されている。ここで、非通気層90は、両非通気層部90a、90bでもって一体的に形成されている。これに伴い、カウルサイレンサー部BScは、上記第1実施形態にいうカウルサイレンサー部BSaにおいて一側多孔質層部40aと他側多孔質層部60aとの間に、接着剤層部50aに代えて、非通気層部90aを積層してなる3層積層構造体として形成されている。一方、ダッシュサイレンサー部BSdは、ダッシュサイレンサー部BSbにおいて一側多孔質層部40bと他側多孔質層部60bとの間に、接着剤層部50bに代えて、非通気層部90bを積層してなる3層積層構造体として形成されている。
【0159】
また、当該カウルサイレンサー部BScは、上述したカウルサイレンサー部BSaの折り曲げ部70a及び非折り曲げ部70bに対応する折り曲げ部100a及び非折り曲げ部100bでもって形成されている。折り曲げ部100aは、一側多孔質層部40a、非通気層部90a及び他側多孔質層部60aのうちの折り曲げ部100aに対する各対応層状折り曲げ部位でもって形成されており、一方、非折り曲げ部100bは、一側多孔質層部40a、非通気層部90a及び他側多孔質層部60aのうちの非折り曲げ部100bに対する各対応層状非折り曲げ部位でもって形成されている。
【0160】
折り曲げ部100aは、
図9にて示すごとく、上記第1実施形態にいう3つの貫通孔部71に対応する3つの貫通孔部101を有しており、当該3つの貫通孔部101は、それぞれ、折り曲げ部100aの上記各対応層状折り曲げ部位に共通な貫通孔部として形成されている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0161】
以上のように構成した本第2実施形態において、隔壁サイレンサーBS1は、隔壁30に対し次のようにしてなされている。本第2実施形態においては、3つのクリップ部材CLが、その各横V字状クリップ80bにて、上記第1実施形態と同様に、カウルパネル30aの接合端部Jに対し組み付けられた後、当該各クリップ部材CLの横U字状クリップ80aが、上述したカウルサイレンサー部BSaの折り曲げ部70aとの組み付けと同様にして、カウルサイレンサー部BScの折り曲げ部100aと組み付けられる。
【0162】
これにより、隔壁サイレンサーBS1が、そのカウルサイレンサー部BScにて、各クリップ部材CLにより、上記第1実施形態と同様に、カウルパネル30aに良好に組み付けられ得る。
【0163】
然る後、インストルメントパネルIPが、カウルサイレンサー部BScを車室20の内部から覆うように、上記第1実施形態と同様にフロントウインドシールドWSの下端部とデフロスタDFとの間に組み付けられる。
【0164】
このようにして組み付けを完了した後、当該自動車が上記第1実施形態と同様に走行状態におかれると、エンジンノイズが、上記第1実施形態と同様に、隔壁30を介しカウルサイレンサー部BSc及びダッシュサイレンサー部BSdの双方に亘り入射する。ロードノイズが、上記第1実施形態と同様に、隔壁30の下部領域を介しダッシュサイレンサー部BSdの下部領域に入射する。
【0165】
ここで、一側及び他側の多孔質層40、60の間に積層してなる非通気層90は、遮音性能を発揮する。
【0166】
従って、エンジンノイズが、上述のように、隔壁30を介しカウルサイレンサー部BSc及びダッシュサイレンサー部BSdの双方に亘り入射すると、当該エンジンノイズは、一側多孔質層40により上記第1実施形態と同様に吸音された後、非通気層90に入射する。
【0167】
ここで、非通気層90は、遮音性能を有するため、一側多孔質層40からのエンジンノイズは、当該非通気層90より、その遮音性能でもって、遮音された後、他側多孔質層60により、上記第1実施形態と同様に、吸音される。
【0168】
また、ロードノイズが、上述のように、ダッシュサイレンサー部BSdの下部領域に入射すると、当該ロードノイズは、エンジンノイズと同様に、吸音及び遮音される。
【0169】
以上説明したように、隔壁サイレンサーBS1は、カウルサイレンサー部BSc及びダッシュサイレンサー部BSdでもって一体的に形成されており、当該隔壁サイレンサーBS1は、カウルサイレンサー部BScにて、カウルパネル30aに対向し、かつ、ダッシュサイレンサー部BSdにて、ダッシュパネル部30bに対向するように、3つのクリップ部材CLにより隔壁30に組み付けられている。
【0170】
従って、本第2実施形態にいう隔壁サイレンサーBS1であっても、各クリップ部材CLによる隔壁30に対する組み付けのもと、カウルパネル30aを透過するエンジンノイズを、カウルサイレンサーBScにより、良好に吸遮音し、かつ、ダッシュパネル30bを透過するエンジンノイズを、ダッシュサイレンサー部BSdにより、良好に吸遮音し得る。その他の作用効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
図10は、本発明に係る隔壁サイレンサーの第3実施形態を示している。当該第3実施形態においては、隔壁サイレンサーが、上記第1実施形態にて述べたカウルサイレンサー部BSaからなるカウルサイレンサーとして構成されている。従って、本第3実施形態にいうカウルサイレンサーは、上記第1実施形態にて述べたカウルサイレンサー部BSaと同様の構成、即ち、折り曲げ部70a及び非折り曲げ部70bでもって形成されている。以下、本第3実施形態にいうカウルサイレンサーは、符号BSaでもって示す。その他の構成は、上記第1実施形態にいうダッシュサイレンサー部BSbに関する構成を除き、上記第1実施形態と同様である。
【0171】
以上のように構成してなる本第3実施形態において、カウルサイレンサーBSaをカウルパネル30aに組み付けるにあたっては、当該カウルサイレンサーBSaは、上記第1実施形態にて述べたカウルサイレンサー部BSaと同様に、3つのクリップ部材CLにより、カウルパネル30aに組み付けられる(
図3参照)。
【0172】
然る後、インストルメントパネルIPが、カウルサイレンサーBSaを車室20の内部から覆うように、上記第1実施形態と同様にフロントウインドシールドWSの下端部とデフロスタDFとの間に組み付けられる(
図3参照)。
【0173】
このようにして組み付けを完了した後、当該自動車が上記第1実施形態と同様に走行状態におかれると、エンジンノイズが、上記第1実施形態と同様にカウルパネル30aを介し、カウルサイレンサー部BSaに入射する。
【0174】
このように、エンジンノイズがカウルパネル30aを介しカウルサイレンサーBSaに入射すると、当該エンジンノイズは、カウルサイレンサーBSaにより、上記第1実施形態にいうカウルサイレンサー部BSaによる吸音と同様に、良好に吸音され得る。
【0175】
従って、本第3実施形態にいうカウルサイレンサーBSaは、上述した各クリップ部材CLによる隔壁30のカウルパネル30aに対する組み付けのもと、カウルパネル30aを透過するエンジンノイズを良好に吸音し得る。その他の作用効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第4実施形態)
図11は、本発明に係る隔壁サイレンサーの第4実施形態を示している。当該第4実施形態においては、隔壁サイレンサーが、上記第2実施形態にて述べたカウルサイレンサー部BScからなるカウルサイレンサーとして構成されている。従って、本第4実施形態にいうカウルサイレンサーは、上記第2実施形態にて述べたカウルサイレンサー部BScと同様の構成、即ち、折り曲げ部100a及び非折り曲げ部100bでもって形成されている。以下、本第4実施形態にいうカウルサイレンサーは、符号BScでもって示す。その他の構成は、上記第2実施形態にいうダッシュサイレンサー部BSdに関する構成を除き、上記第2実施形態と同様である。
【0176】
以上のように構成してなる本第4実施形態において、カウルサイレンサーBScをカウルパネル30aに組み付けるにあたっては、当該カウルサイレンサーBScは、上記第1実施形態にて述べたカウルサイレンサー部BScと同様に、3つのクリップ部材CLにより、カウルパネル30aに組み付けられる(
図3参照)。
【0177】
然る後、インストルメントパネルIPが、カウルサイレンサーBScを車室20の内部から覆うように、上記第1実施形態と同様にフロントウインドシールドWSの下端部とデフロスタDFとの間に組み付けられる(
図3参照)。
【0178】
このようにして組み付けを完了した後、当該自動車が上記第1実施形態と同様に走行状態におかれると、エンジンノイズが、上記第1実施形態と同様にカウルパネル30aを介し、カウルサイレンサー部BScに入射する。
【0179】
すると、当該エンジンノイズは、カウルサイレンサーBScにより、上記第2実施形態にいうカウルサイレンサー部BScによる吸遮音と同様に、良好に吸遮音され得る。
【0180】
このように、本第4実施形態にいうカウルサイレンサーBScは、上述した各クリップ部材CLによる隔壁30のカウルパネル30aに対する組み付けのもと、カウルパネル30aを透過するエンジンノイズを良好に吸遮音し得る。その他の作用効果は、上記第2実施形態と同様である。
(第5実施形態)
図12は、本発明に係る隔壁サイレンサーの第5実施形態の要部を示している。当該第5実施形態では、上記第1実施形態にて説明した隔壁サイレンサーBSの折り曲げ部70aにおいて、2つの切り欠き部72が付加的に設けられている。
【0181】
当該2つの切り欠き部72は、
図12にて示すごとく、3つの貫通孔部71のうち各両隣接貫通孔部71の間にて、折り曲げ部70aに形成されている。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0182】
このように構成してなる本第5実施形態においては、2つの切り欠き部71が、それぞれ、折り曲げ部70aの各両貫通孔部71の間に
図12にて示すごとく、切り欠き形成されている。従って、隔壁サイレンサーBSにおいて、折り曲げ部70aの非折り曲げ部70bに対する折り曲げがより一層容易になされ得る。このことは、横U字状クリップ80aに対する折り曲げ部80a内への係合がより一層容易になされ得ることを意味する。その他の作用効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第6実施形態)
図13は、本発明に係る隔壁サイレンサーの第6実施形態の要部を示している。当該第6実施形態では、上記第1実施形態にて説明した3つのクリップ部材CLの突出体81bにおいて、爪Bが、上記第1実施形態とは異なり、突出本体Aにその内端面A2側から
図13にて示すごとく半円筒状の凹部A21を形成することにより、当該凹部A21の下端部から
図13にて図示左側へ延出形成されている。これにより、爪Bの突出体81bに対する形成がより一層適正になされ得る。
【0183】
また、当該第6実施形態では、上記第1実施形態にて説明した3つのクリップ部材CLの各突出体82bの案内部材82eが、上記第1実施形態にて説明した各リブに代えて、単一の案内部材82fとして形成されている。当該案内部材82fは、上記第1実施形態にて説明した腕片82の連結片83側の部位から並行部材82dの延出端部に向けて傾斜状に案内壁として形成されている。これによっても、当該案内部材82fは、カウルパネル31の接合端部Jを並行部材82dと腕片84との間に挿入する際にカウルパネル31の接合端部Jを左側クリップ部材CLのクリップ80bに向けて案内し易くする役割をも果たす。本第6実施形態のその他の構成及び作用効果は、上記第1実施形態の構成及び作用効果と同様である。
【0184】
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)本発明の実施にあたり、上記各実施形態にて説明したクリップ部材CLの数は、3つに限ることなく、少なくとも1つであってもよく、必要に応じて、増減するように適宜変更してもよい。
(2)本発明の実施にあたり、上記第1実施形態にて説明したカウルサイレンサー部BSaの折り曲げ部70a、第2実施形態にて述べたカウルサイレンサー部BScの折り曲げ部100a、第3実施形態にて述べたカウルサイレンサーBSaの折り曲げ部70a或いは上記第4実施形態にて述べたカウルサイレンサーBScの折り曲げ部100aが、カウルパネル30aの上側パネル部31をその全体に亘り覆うことが可能な折り曲げ長さ(カウルパネル30aの接合端部Jの延出端部からの折り曲げ長さ)を確保し得るように形成することが望ましい。上側パネル部31に入射する全エンジンノイズを折り曲げ部70aにより吸音或いは折り曲げ部100aにより吸遮音し得るためである。
【0185】
この場合、各クリップ部材CLの横U字状クリップ80aの両腕片81、82のカウルパネル30aの接合端部Jの延出端部からの長さも、上述した折り曲げ部70a或いは100aの折り曲げ長さにあわせて長くすることが望ましい。
(3)本発明の実施にあたり、クリップ部材CLの形成材料は、合成樹脂に限ることなく、金属であってもよく、広くは、弾性材料であればよい。
(4)本発明の実施にあたり、上記第1実施形態にて説明した左側、中側及び右側のクリップ部材CLは、共に或いは少なくとも1つ、横U字状クリップ80aのうちの腕片81及び連結片83を廃止して実施してもよい。
【0186】
ここで、隔壁サイレンサーBSの折り曲げ部70aを、腕片81及び連結片83を廃止したクリップ部材CLを組み付けるにあたっては、左側、中側及び右側のクリップ部材CLの各V字状クリップ80aを上記実施形態にて説明したごとくカウルパネル31の接合端部Jに支持した後、腕片81及び連結片83を有するクリップ部材CLにあっては、その横U字状クリップ80aに対する折り曲げ部70aの対応部位を当該横U字状クリップ80aにより支持し、また、腕片81及び連結片83を廃止したクリップ部材CLにあっては、当該クリップ部材CLの腕片82に対する折り曲げ部70aの対応部位を当該腕片82上に溶着、接着やカシメ等の装着を施すことにより、折り曲げ部70aを当該クリップ部材CLにより支持するようにすればよい。なお、腕片81及び連結片83を廃止したクリップ部材CLに対する折り曲げ部70aの対応部位に位置する貫通孔部71は廃止すればよい。
(5)本発明の実施にあたり、上記第1実施形態にて説明した隔壁サイレンサーBSのカウルサイレンサー部BSaにおいて、折り曲げ部70aと非折り曲げ部70bとの境界部は、当該折り曲げ部70aと非折り曲げ部70bの双方の各厚さよりも薄く形成してもよい。これにより、非折り曲げ部70bに対する折り曲げ部70aの折り曲げが上記境界部を介しより一層容易になされ得る。
(6)本発明の実施にあたり、上記第1実施形態にて説明した隔壁サイレンサーBSのカウルサイレンサー部BSaにおいて、折り曲げ部70aと非折り曲げ部70bとの境界部に対しその左右方向に沿い少なくとも1つのスリットを形成するように実施してもよい。これにより、非折り曲げ部70bに対する折り曲げ部70aの折り曲げが上記少なくとも1つのスリットを有する上記境界部を介しより一層容易になされ得る。
(7)本発明の実施にあたり、上記第1実施形態にいう一側及び他側の多孔質層40、60の各形成材料は、フェルトに代えて、例えば、ウレタンであってもよい。また、当該他側多孔質層60に代えて、例えば、オレフィン或いはエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)からなる非通気層を採用してもよい。
(8)本発明の実施にあたり、上記第2実施形態にいう隔壁サイレンサーBS1において、非通気層90の形成材料は、ナイロンからなるフィルムに代えて、例えば、オレフィン或いはEPDMであってもよい。
(9)本発明の実施にあたり、上記第1実施形態にいうカウルパネル30aの接合端部Jは、当該第1実施形態とは異なり、水平方向或いは斜め下方に向け車室20内側へ延出するように形成してもよく、また、一般的には、当該接合端部Jの延出方向は、必要に応じて適宜変更してもよい。
(10)本発明の実施にあたり、上記第1実施形態にて説明したエンジン自動車に代えて、電気自動車に本発明を適用してもよい。当該電気自動車においては、上記第1実施形態にいう隔壁30が、モータと車室とを区画するように配設されている。また、上記モータは、エンジンルーム10と同様に形成してなるモータルーム(隔壁30の車室とは反対に位置する)内に収容されている。
【0187】
これによれば、上記モータがノイズ(モータノイズ)を発生しても、当該モータノイズは、隔壁30を介し、隔壁サイレンサーBSにより良好に吸音され得る。なお、エンジンルームやモータルームは、一般的に、原動機ルームと把握してもよい。
【符号の説明】
【0188】
10…エンジンルーム、20…車室、30…隔壁、30a…カウルパネル、
30b…ダッシュパネル、31…上側パネル部、32a…上端部、
32…下側パネル部、32b…延出下端部、40…一側多孔質層、
50…接着剤層、60…他側多孔質層、70a…折り曲げ部、
70b…非折り曲げ部、71…貫通孔部、80a…横U字状クリップ、
80b…横V字状クリップ、81、82、84…腕片、
81a、82a、84a…腕片本体、81b、82b…突出体、
83…連結片、84b…爪、90…非通気層、A…突出本体、B…爪、
BS、BS1…隔壁サイレンサー、BSa…カウルサイレンサー部、
BSb…ダッシュサイレンサー部、CL…クリップ部材、
FP…フロアパネル、J…接合端部、WS…フロントウインドシールド。