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特開2024-154474地図画像データ出力システム及び地図画像データの生成方法
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  • 特開-地図画像データ出力システム及び地図画像データの生成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154474
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】地図画像データ出力システム及び地図画像データの生成方法
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068283
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】523141747
【氏名又は名称】渡邉 学
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 学
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032HC27
(57)【要約】
【課題】伐採場所における伐採後の森林の様子を確認するための情報を得ることができる手段を提供する。
【解決手段】
地図画像データ出力システム1は、認証された森林の位置情報の入力を受け付ける入力部10と、前記位置情報に対応する位置における空中画像から、前記位置が含まれる領域内で、森林の伐採が行われた伐採領域を特定する伐採領域特定部102と、自動更新される空中画像を背景とした地図上に、前記位置をマーキングした地図画像データを作製する処理部30と、前記位置がマーキングされた前記地図画像データを出力する出力部40とを備える。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証された森林、または認証されていない森林の位置情報の入力を受け付ける入力部と、
空中画像に基づいて、前記空中画像に示された領域のうち、森林の伐採が行われた伐採領域を特定する伐採領域特定部と、
前記位置情報に対応する位置が、前記伐採領域に含まれている場合に、前記位置における、自動更新される空中画像を背景とした地図上に、前記位置をマーキングした地図画像データを生成する処理部と、
前記処理部によって生成された、前記位置がマーキングされた前記地図画像データを出力する出力部と、
を備える地図画像データ出力システム。
【請求項2】
前記処理部は、前記地図画像データに加えて、前記認証された森林の森林認証に関する情報、前記認証された森林から伐採された木材を用いた認証材を用いて作製された木製品及び/又は建築物の情報、森林伐採時期に関する情報、ドローンを用いて撮影した前記位置における空中画像に関する情報、前記位置における二酸化炭素固定量の見積もりに関する情報のうち、少なくとも1つの情報を付加データとして出力する、請求項1に記載の地図画像データ出力システム。
【請求項3】
さらに、人工衛星から所定の時間間隔で送られてくる衛星画像データを取得する取得部と、
前記伐採領域特定部は、前記衛星画像データに基づいて、前記空中画像に示された前記領域における地形の経時変化を検出し、前記領域において森林の伐採が行われた前記伐採領域を特定するように構成されている請求項1又は2に記載の地図画像データ出力システム。
【請求項4】
認証された森林または認証されていない森林の位置情報を収集することと、
前記位置情報に対応する位置における空中画像に基づいて、前記位置において森林の伐採が行われたかどうかを判定することと、
前記位置において森林の伐採が行われたと判定した場合に、コンピュータに、前記位置における、自動更新される空中画像を背景とした地図上に、前記位置をマーキングした地図画像データを生成させることと、
を備える地図画像データの生成方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伐採後の森林情報を表示した地図画像データを出力する地図画像データ出力システム及び地図画像データの生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
森林認証制度は、持続可能な森林経営ができているかを生物多様性、生産性などから第三者機関が評価・認証する制度である。森林管理のFM認証と、流通や加工のCoC認証がある。いずれも、独立した第三者機関(認証機関)が、森林経営の持続性や環境保全への配慮等に関する一定の基準に基づいて、森林又は経営組織などを認証する。認証された森林から産出される木材及び木材製品には、ラベルが貼り付けられるなどして、認証材として表示管理される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
消費者は、認証された森林から産出される木材を用いた認証材を選択して購入することができる。これにより、消費者は違法伐採等、不適切な場所で伐採された木材の使用を避けることができる。それと同時に、消費者は森林資源の保全に寄与するとともに、持続可能な森林経営を支援することができる。近年、環境保護に対する関心が高まっていることから、認証された森林から木材が切り出された後、森林が再生しているのかどうかについて知りたいと考える消費者が増加することが予想される。しかしながら、消費者が、伐採場所においてその後に植林が行われたのかどうかなどの、伐採後の森林の情報を得ることは困難である。
【0004】
本発明の目的は、消費者が、伐採場所における伐採後の森林の様子を確認するための情報を得ることができる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様に従えば、認証された森林、または認証されていない森林の位置情報の入力を受け付ける入力部と、
空中画像に基づいて、前記空中画像に示された領域のうち、森林の伐採が行われた伐採領域を特定する伐採領域特定部と、
前記位置情報に対応する位置が、前記伐採領域に含まれている場合に、前記位置における、自動更新される空中画像を背景とした地図上に、前記位置をマーキングした地図画像データを生成する処理部と、
前記処理部によって生成された、前記位置がマーキングされた前記地図画像データを出力する出力部と、
を備える地図画像データ出力システムが提供される。
【発明の効果】
【0006】
上記構成において、地図画像データに用いられる背景となる空中画像は自動的に更新されるため、ユーザは伐採された後の森林や、伐採後に植林された木の成長の様子を容易に画像で確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は地図画像データ出力システム1の概略図である。
図2図2は取得部101によって取得された衛星画像データの中から抽出された、ある森林の位置に対応する衛星画像データである。
図3図3図2と同じ領域の衛星画像データであって、図2の衛星画像データよりも後に撮影された衛星画像データである。
図4図4は伐採が行われたと特定された領域をマーキングした地図画像データである。
図5図5は伐採後の森林情報を表示した地図画像データの生成方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る、伐採後の森林情報を表示した地図画像データを出力する地図画像データ出力システム1について、図面を参照しつつ説明する。
【0009】
図1に示されるように、地図画像データ出力システム1は、入力部10と、メモリ20と、出力部40と、コンピュータを備えた処理部30と、森林変化検出部100とを備える。入力部10は、処理部30に対して情報を入力する機能を提供する。例えば、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力用ハードウェアであってもよく、無線又は有線で接続された外部機器や外部メモリからの入力を受け付けるように構成されていてもよい。メモリ20は、入力部10から入力された情報、及び/又は処理部30から出力される情報を保持する機能を提供する。出力部40は処理部30から出力される情報を出力する機能を提供する。例えば、ディスプレイ、プリンタなどの画像出力用のハードウェアであってもよく、HTMLデータ、画像データなどの電子データを出力するように構成されていてもよい。
【0010】
図1に示されるように、森林変化検出部100は、人工衛星から所定の時間間隔で送られてくる衛星画像データを取得する取得部101と、取得部101が取得した衛星画像データに基づいて、所望の領域における地形の経時変化を検出することにより、当該領域において木材の伐採が行われたかどうかを特定する伐採領域特定部102とを備える。
【0011】
一般に、認証された森林から産出される木材を用いた認証材が用いられている場合には、ユーザは認証書類などから、認証材のために伐採された森林(認証された森林)の位置情報を得ることができる。また、認証材でない木材については、例えば、現地調査や木材を販売している業者への聞き取りなどにより、当該木材を生産するために伐採された森林(認証されていない森林)の位置情報を得ることができる。なお、認証書類から位置情報を得る事が出来なかった場合にも、同様にして、伐採された森林の位置情報を得ることができる。ユーザは、入力部10に森林の位置情報を入力する。入力部10に入力された位置情報は、処理部30と森林変化検出部100に送られる。なお、入力部10に入力された位置情報をメモリ20に保持し、2回目以降は、メモリ20から読み出された位置情報を処理部30と森林変化検出部100に送ってもよい。これにより、以前に入力された位置情報を活用することができる。
【0012】
森林変化検出部100の伐採領域特定部102は、入力部10に入力された森林の位置情報に基づいて、取得部101によって取得された衛星画像データの中から、入力部10に入力された位置情報に対応する位置が含まれる領域が写った衛星画像データを抽出する。伐採領域特定部102は、抽出された画像データに基づいて、入力された位置情報に対応する位置が含まれる領域における、地形の時間変化を検出することにより、当該領域において、森林の伐採が行われたかどうかを判定する。さらに、本実施形態においては、伐採領域特定部102は、上述の抽出された衛星画像データに基づいて、伐採が行われた領域(伐採領域)だけではなく、伐採が行われた時期(伐採時期)を特定することができる。
【0013】
図2に、取得部101によって取得された衛星画像データの中から抽出された、ある森林の位置に対応する衛星画像データを示す。図2に示される衛星画像データにおいては、森林は白っぽい色で表示されている。なお、図2においては、後に伐採領域特定部102が、伐採が行われた領域であると特定した領域(伐採領域)を黒の実線によってマーキングしている。図3に、図2と同じ領域の衛星画像データであって、図2の衛星画像データよりも後に撮影された衛星画像データを示す。図2の衛星画像データと図3の衛星画像データとを比較すると、黒の実線でマーキングされた領域において、森林が伐採されたことによって黒っぽい色に変化していることが分かる。
【0014】
伐採領域特定部102が、入力部10に入力された位置情報に対応する位置において、森林の伐採が行われたと判断した場合には、伐採領域特定部102が特定した、伐採領域に関する情報が処理部30に送られる。
【0015】
なお、上記の説明では、伐採領域特定部102は、入力部10に入力された森林の位置情報に基づいて、取得部101によって取得された衛星画像データの中から、入力部10に入力された位置情報に対応する位置が含まれる領域が写った衛星画像データを抽出していた。しかしながら、伐採領域特定部102は、入力部10に入力された森林の位置情報に関わらず、例えば日本全土を対象範囲として、地形の経時変化を検出して木材の伐採が行われた領域(伐採領域)を特定することができる。この場合には、伐採領域特定部102が特定した、伐採領域に関する情報が処理部30に送られる。そして、処理部30は、入力部10に入力された森林の位置情報に基づいて、当該位置が、伐採領域特定部102が特定した伐採領域に含まれているかどうかを判断する。なお、この判断は必ずしも処理部30が行う必要はなく、例えば、ユーザが判断を行うこともできる。
【0016】
伐採領域特定部102が特定した伐採領域に、入力部10に入力された森林の位置が含まれている場合に、処理部30は、入力部10に入力された森林の位置情報に基づいて、当該位置を含む地図画像データを取得する。本明細書において、地図画像データは、定期的又は不定期に自動更新される空中画像を背景とした地図の画像データを意味する。例えば、Googleマップ(登録商標)により取得することができる。なお、空中画像とは、人工衛星、航空機、ドローンなどにより、上空から撮影した写真画像である。
【0017】
処理部30は、伐採領域特定部102から送られてきた伐採領域に関する情報に基づいて、取得した地図画像データに、伐採領域をマーキングした地図画像データを生成する。出力部40は、処理部30によって生成された、森林の伐採が行われた範囲をマーキングした地図画像データを出力する。
【0018】
図4に、Googleマップ(登録商標)により取得した地図画像データに、伐採が行われたと特定された伐採領域(図2、3参照)をマーキングした地図画像データを示す。Googleマップ(登録商標)により取得される地図画像データにおいて、背景となる空中画像の更新頻度は低い(半年~3年程度)ので、森林の伐採が行われた後に取得した地図画像データにおいて、伐採された森林が残っていることがある。しかしながら、地図画像データに用いられる背景となる空中画像はしばらくすると自動的に更新されるため、ユーザは伐採された後の森林や、伐採後に植林された木の成長の様子を画像で確認することができる。
【0019】
また、上記の説明において、処理部30は、伐採が行われた範囲をマーキングした地図画像データを出力していたが、これに加えて、以下に列挙する情報の少なくとも1つの情報を、付加データとして出力することができる。例えば、認証された森林の森林認証に関する情報、認証材を用いて作製された木製品及び建築物の情報を付加データとして出力することができる。また、上記の衛星画像データに基づいて特定された森林伐採時期に関する情報や、ドローンを用いて撮影した高解像度の空中画像の情報を付加データとすることができる。これにより、伐採後の森林の様子をより詳細に確認することができる。また、森林伐採場所における二酸化炭素固定量の見積もりに関するデータを付加データとすることができる。これにより、ユーザは伐採された後の森林や、伐採後に植林された木の成長の様子を画像で確認する際に、合わせて付加データも確認することができる。
【0020】
上記の説明において、森林変化検出部100の伐採領域特定部102は、取得部101によって取得された衛星画像データに基づいて森林の伐採が行われたかどうかを判定していた。しかしながら、森林の伐採が行われた領域の特定は、必ずしも衛星画像データに基づいていなくてもよい。例えば、衛星画像データで森林伐採場所を確認できなかった場合には、現地に行って伐採確認や伐採情報の収集を行い、そこで撮影した空中画像の画像データを取得部101に入力することによって、伐採領域特定部102が、森林の伐採が行われた領域を特定してもよい。この場合には、現地に行って伐採確認を行った時期や現地伐採情報に基づいて、森林伐採時期を特定することができる。
【0021】
本発明に係る、伐採後の森林情報を表示した地図画像データを出力する地図画像データ出力システム1について説明してきたが、本発明はこのような態様には限られず、以下のような伐採後の森林情報を表示した地図画像データの生成方法として実現することができる。以下、本発明に係る、伐採後の森林情報を表示した地図画像データの生成方法を図5を参照しつつ説明する。
【0022】
伐採が行われた森林の位置情報を収集する(S101)。上述のように、認証材を生産するために伐採が行われている場合には、ユーザは認証書類などから、認証材のために伐採された森林の位置情報を収集することができる。あるいは、現地調査や木材を販売している業者への聞き取りなどにより、当該木材を生産するために伐採された森林の位置情報を収集することができる。
【0023】
次に、収集された位置情報に対応する位置における空中画像に基づいて、当該位置において森林の伐採が行われたかどうかを判定する(S102)。空中画像として、例えば、人工衛星から所定の時間間隔で送られてくる衛星画像データに基づく画像を用いることができる。この場合には、衛星画像において時間が経つにつれて変化が見られる領域をコンピュータ(人工知能)により検出して、当該領域において森林の伐採が行われたかどうかをコンピュータが判定することができる。あるいは、収集された位置情報に対応する位置における空中画像(例えば、航空写真、ドローンによる空撮写真など)に基づいて、ユーザが当該位置において森林の伐採が行われたかどうかを判定することができる。
【0024】
次に、前記位置において森林の伐採が行われたと判定された場合(S102;YES)に、コンピュータに、前記位置における、自動更新される空中画像を背景とした地図上に、前記位置(森林の伐採が行われた位置)をマーキングした地図画像データを生成させる(S103)。
【0025】
上記方法において、コンピュータに対して、前記地図画像データに加えて、認証された森林の森林認証に関する情報、認証された森林から伐採された木材を用いた認証材を用いて作製された木製品及び/又は建築物の情報、森林伐採時期に関する情報、ドローンを用いて撮影した前記位置における空中画像に関する情報、前記位置における二酸化炭素固定量の見積もりに関する情報のうち、少なくとも1つの情報を付加データとして生成させることができる。
【0026】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、地図画像データ出力システム1の処理部30と森林変化検出部100とは、同じコンピュータであってもよく、有線又は無線のネットワークで接続された独立のコンピュータであってもよい。
【0027】
上記の説明において、森林の伐採が行われた範囲のマーキングは、森林の伐採が行われた範囲を実線で囲むことによって行われていた。しかしながら、本発明はそのような態様には限られず、適宜の方法によってマーキングを行うことができる。森林の伐採が行われた範囲の色を変えたり、森林の伐採が行われた範囲に旗印などのマーカーを付すことによってマーキングを行ってもよい。
【0028】
以上、発明の実施形態及びその変更形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることが当業者に明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが請求の範囲の記載からも明らかである。
【0029】
明細書、及び図面中において示した方法における各処理の実行順序は、特段に順序が明記されておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるので無い限り、任意の順序で実行しうる。便宜上、「まず、」「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するわけではない。
【符号の説明】
【0030】
1 地図画像データ出力システム
10 入力部
20 メモリ
30 処理部
40 出力部
100 森林変化検出部
図1
図2
図3
図4
図5