(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154481
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 9/02 20060101AFI20241024BHJP
B66B 11/08 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B66B9/02 Z
B66B11/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068294
(22)【出願日】2023-04-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】片山 知
(72)【発明者】
【氏名】大脇 裕之
(72)【発明者】
【氏名】能 愛莉
【テーマコード(参考)】
3F301
3F306
【Fターム(参考)】
3F301BA16
3F306BA07
(57)【要約】
【課題】 磁石とコイルとの間のギャップに異物が入り込むことを抑制することができるエレベータを提供する。
【解決手段】 かごと、かごを上下方向に移動させるリニアモータと、を備える、エレベータであって、リニアモータは、かごに接続される磁石と、磁石に上下方向の電磁力を付与するコイルと、を備え、コイルは、上下方向及び第1横方向に沿って配置され、磁石は、第1横方向と直交する第2横方向でコイルとギャップを介して対面するように配置され、リニアモータは、かごに接続され、且つ磁石の上方に配置されるカバーを備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごと、
前記かごを上下方向に移動させるリニアモータと、を備える、エレベータであって、
前記リニアモータは、前記かごに接続される磁石と、前記磁石に上下方向の電磁力を付与するコイルと、を備え、
前記コイルは、上下方向及び第1横方向に沿って配置され、
前記磁石は、第1横方向と直交する第2横方向で前記コイルとギャップを介して対面するように配置され、
前記リニアモータは、前記かごに接続され、且つ前記磁石の上方に配置されるカバーを備える、エレベータ。
【請求項2】
前記カバーは、上下方向視にて、前記磁石の上部の全体と重なる、請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記カバーの上面は、前記コイルに近付くにつれて高くなっている、請求項1又は2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記カバーは、非磁性体で形成されたカバー本体を備える、請求項1又は2に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記カバーは、前記磁石の上部を覆うカバー本体と、前記カバー本体の少なくとも上面側且つ前記コイルに近い側に配置されるカバー用磁石と、を備える、請求項1又は2に記載のエレベータ。
【請求項6】
前記リニアモータは、前記かごに接続され、且つ前記磁石の下方に配置される下カバーを備える、請求項1又は2に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、エレベータは、かごと、かごに接続される磁石と、磁石に上下方向の電磁力を付与するコイルと、を備えている。そして、コイルは、上下方向及び第1横方向に沿って配置され、磁石は、第1横方向と直交する第2横方向でコイルと所定のギャップを介して対面するように配置されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、特許文献1に係るエレベータにおいて、例えば、昇降路上部から落下、浮遊する鉄粉や塵埃等の異物が、かごの制止中あるいは移動中に前記ギャップに入り込み、磁石に鉄粉等が吸着したり、磁石及びコイル等を含む機器に塵埃等が付着したりすることがある。磁石に鉄粉等が吸着すると必要なモータの推力が出せなくなり、また、付着した塵埃等によって機器が破損するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、磁石とコイルとの間のギャップに異物が入り込むことを抑制することができるエレベータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
エレベータは、かごと、
前記かごを上下方向に移動させるリニアモータと、を備える、エレベータであって、
前記リニアモータは、前記かごに接続される磁石と、前記磁石に上下方向の電磁力を付与するコイルと、を備え、
前記コイルは、上下方向及び第1横方向に沿って配置され、
前記磁石は、第1横方向と直交する第2横方向で前記コイルとギャップを介して対面するように配置され、
前記リニアモータは、前記かごに接続され、且つ前記磁石の上方に配置されるカバーを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図5】同実施形態に係るエレベータ固定体の要部斜視図
【
図6】同実施形態に係るモータ可動体及びガイド体の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、エレベータにおける一実施形態について、
図1~
図8を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0009】
図1及び
図2に示すように、エレベータ1は、例えば、本実施形態のように、かご2と、かご2を上下方向D3に移動させるリニアモータ3と、かご2及びリニアモータ3に接続されるガイド機構4と、かご2及びリニアモータ3を制御する制御装置5と、を備えていてもよい。
【0010】
このように、エレベータ1は、リニアモータ駆動のエレベータ1であり、例えば、かご2に接続されるロープ等を備えていない。なお、特に限定されないが、エレベータ1においては、例えば、本実施形態のように、リニアモータ3及びガイド機構4は、かご2を横方向D2で挟むように、それぞれ一対備えられていてもよい。
【0011】
各図において、第1方向D1は、水平方向と平行な方向である第1横方向D1であり、第2方向D2は、水平方向と平行な方向であって、且つ、第1横方向D1と直交する第2横方向D2であり、第3方向D3は、第1横方向D1及び第2横方向D2と直交する鉛直方向であって、上下方向D3である。なお、例えば、かご2に対して人が乗り降りする方向は、第1横方向D1としてもよい。
【0012】
図1~
図4に示すように、リニアモータ3は、例えば、本実施形態のように、昇降路に固定されるモータ固定体6と、モータ固定体6に対して上下方向D3に可動なモータ可動体7と、を備えていてもよい。なお、特に限定されないが、リニアモータ3においては、例えば、本実施形態のように、モータ可動体7は、上下方向D3に離れて一対備えられていてもよい。
【0013】
ガイド機構4は、例えば、本実施形態のように、上下方向D3に延びて昇降路に固定されるガイドレール8,9と、ガイドレール8,9にガイドされ、かご2及びモータ可動体7に接続されるガイド体10と、を備えていてもよい。なお、特に限定されないが、モータ可動体7と同様に、ガイド機構4においては、例えば、本実施形態のように、ガイド体10,10は、上下方向D3に離れて一対備えられていてもよい。
【0014】
なお、エレベータ1は、昇降路に固定されるエレベータ固定体1aと、エレベータ固定体1aに対して上下方向D3に可動なエレベータ可動体1bと、を備えている。本実施形態においては、モータ固定体6及びガイドレール8,9は、エレベータ固定体1aを構成し、かご2、モータ可動体7及びガイド体10は、エレベータ可動体1bを構成している。
【0015】
図5及び
図6に示すように、モータ可動体7は、例えば、本実施形態のように、磁石11,12と、弾性変形しないように剛性を有し、磁石11,12を支持する磁石支持部13と、を備えていてもよい。モータ固定体6は、例えば、本実施形態のように、磁石11,12に上下方向D3の電磁力を付与するコイル14と、コイル14を支持するコイル支持部15と、を備えていてもよい。
【0016】
コイル14は、例えば、上下方向D3及び第1横方向D1に沿って配置されている。それに対して、磁石11,12は、上下方向D3及び第1横方向D1に沿って配置され、第2横方向D2でコイル14とギャップを介して対面するように配置されていてもよい。これにより、上下方向D3の電磁力を磁石11,12に付与することができる。磁石11,12とコイル14との間のギャップは、例えば20mm程度である。
【0017】
特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、コイル14は、第1横方向D1に延びるコイル片14aを複数備えており、複数のコイル片14aは、上下方向D3に沿って並列されている、という構成でもよい。これにより、コイル14は、上下方向D3及び第1横方向D1に沿って配置されている。
【0018】
また、特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、磁石11,12は、第1横方向D1に延びる磁石片11a,12aを複数備えており、複数の磁石片11a,12aは、上下方向D3に沿って並列されている、という構成でもよい。これにより、磁石11,12は、上下方向D3及び第1横方向D1に沿って配置されている。
【0019】
コイル支持部15は、例えば、コイル14の第1横方向D1のそれぞれの端部を支持していてもよい。なお、モータ固定体6は、例えば、コイル支持部15の内部にコイル14内の電流を制御するインバータ(図示していない)を備えていてもよい。そして、制御装置5(
図1)がインバータを介してコイル14内の電流の大きさ及び方向を制御することによって、コイル14が磁石11,12に付与する電磁力の大きさ及び方向が制御されてもよい。
【0020】
また、特に限定されないが、磁石11,12は、例えば、本実施形態のように、第2横方向D2に並べられる第1磁石11及び第2磁石12を備え、第1磁石11及び第2磁石12は、第2横方向D2でコイル14を挟むように、配置されることが好ましい。これにより、電磁力がコイル14に対して第2横方向D2の両側に付与されるため、コイル14から磁石11,12へ効率的に電磁力を付与することができる。
【0021】
ガイド体10は、例えば、本実施形態のように、ガイドレール8,9にガイドされる磁石ガイド16,17と、磁石ガイド16,17を固定するガイド本体部18と、を備えていてもよい。これにより、磁石11,12に対する磁石ガイド16,17の位置は、固定されている。したがって、磁石ガイド16,17がガイドレール8,9にガイドされることによって、磁石11,12とコイル14との距離が変化することを抑制することができる。
【0022】
特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、ガイドレール8,9は、第1横方向D1で離れる第1ガイドレール8と第2ガイドレール9とを備え、磁石ガイド16,17は、第1ガイドレール8にガイドされる第1磁石ガイド16と、第2ガイドレール9にガイドされる第2磁石ガイド17と、を備えていることが好ましい。
【0023】
これにより、第1ガイドレール8及び第1磁石ガイド16と、第2ガイドレール9及び第2磁石ガイド17とは、それぞれ第1横方向D1で離れているため、例えば、モータ可動体7が上下方向D3を軸にして揺動することを抑制することができる。なお、特に限定されないが、ガイド体10においては、例えば、本実施形態のように、第1磁石ガイド16は、上下方向D3に離れて一対備えられていてもよく、また、第2磁石ガイド17は、上下方向D3に離れて一対備えられていてもよい。
【0024】
そして、特に限定されないが、第1磁石ガイド16及び第2磁石ガイド17は、第2横方向D2において、かご2と磁石11,12との間に配置されていることが好ましい。また、特に限定されないが、第1磁石ガイド16及び第2磁石ガイド17は、第2横方向D2において、かご2とコイル14との間に配置されていることが好ましい。
【0025】
これにより、磁石ガイド16,17及びガイドレール8,9をかご2寄りに配置することができる。したがって、例えば、かご2側から磁石ガイド16,17を点検することができるため、磁石ガイド16,17を容易に点検することができる。
【0026】
また、例えば、かご2の両側のリニアモータ3,3間で動作のズレが生じた場合に、かご2の両側のモータ可動体7,7(即ち、磁石11,12,11,12)の上下方向D3の位置に差異が生じる。それに対して、磁石11,12が、磁石ガイド16,17よりも、第2横方向D2の外側に配置されているため、かご2の傾きを小さくすることができる。これにより、例えば、かご2内の人の乗り心地が悪くなることを抑制することができる。
【0027】
図5に示すように、エレベータ固定体1aは、例えば、本実施形態のように、モータ固定体6及びガイドレール8,9に対してそれぞれ固定されるレール固定部19を備えていてもよい。なお、特に限定されないが、レール固定部19は、例えば、ボルト及びナット等によって、モータ固定体6及びガイドレール8,9に対してそれぞれ固定されていてもよい。
【0028】
また、レール固定部19は、例えば、本実施形態のように、モータ固定体6及び第1ガイドレール8に対してそれぞれ固定される第1レール固定部19と、モータ固定体6及び第2ガイドレール9に対してそれぞれ固定される第2レール固定部19と、を備えていてもよい。そして、第1及び第2レール固定部19は、例えば、上下方向D3に並ぶように、それぞれ複数備えられていてもよい。
【0029】
また、例えば、ガイドレール8,9が、固定手段によって昇降路に固定され、モータ固定体6が、レール固定部19によってガイドレール8,9に固定されることによって、モータ固定体6は、昇降路に固定されていてもよい。これにより、ガイドレール8,9に対してコイル14を所望の位置に配置することができる。したがって、上下方向D3に亘って、ガイドレール8,9に対するコイル14の位置を一定にすることができる。
【0030】
ガイド本体部18は、例えば、本実施形態のように、第1横方向D1のそれぞれの端部に第1磁石ガイド16及び第2磁石ガイド17を固定するガイド固定部20,20を備えていてもよい。
【0031】
リニアモータ3は、
図6及び
図7に示すように、かご2に接続され、且つ磁石11,12の上方に配置される上カバー31,32を備える。上カバー31,32は、上下方向D3視にて、磁石11,12の少なくとも一部と重なるように、磁石11,12の上方に配置される。また、特に限定されないが、上カバー31,32は、例えば、本実施形態のように、第1磁石11の上方に配置される第1上カバー31及び第2磁石12の上方に配置される第2上カバー32を備える、という構成でもよい。磁石11,12の上方に上カバー31,32を配置することで、例えば、上方より落下する異物又はかご2の上昇時に向かってくる異物が、磁石11,12とコイル14との間のギャップ3Gに上方から入り込むことを抑制することができる。
【0032】
また、特に限定されないが、上カバー31,32は、上下方向D3視にて、磁石11,12の上部の全体と重なることが好ましい。これにより、ギャップ3Gに異物が入り込むことを効果的に抑制することができる。なお、上カバー31,32が、上下方向D3視にて、磁石11,12の上部の全体と重なるとは、上下方向D3視において、上カバー31,32の形状が、磁石11,12の形状と一致する場合のほか、上カバー31,32の形状が、磁石11,12の形状よりも大きい場合も含む。
【0033】
特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、上カバー31,32は、第1横方向D1に延びる板状の上カバー本体33を備えていてもよい。上カバー本体33の第1横方向D1における長さは、磁石11,12の第1横方向D1における長さ以上であることが好ましい。
【0034】
上カバー本体33の先端33aは、第2横方向D2において、磁石11,12と面一であってもよく、磁石11,12よりもコイル14に近くてもよい。特に限定されないが、上カバー本体33の先端33aとコイル14との間の距離L1は、ギャップ3G以下であることが好ましい。
【0035】
また、上カバー本体33の基端33bは、例えば、本実施形態のように、磁石支持部13の上面に固定される。特に限定されないが、上カバー本体33は、例えば、本実施形態のように、リブ34で下方から支持されることが好ましい。これにより、かご2の移動中に上カバー31,32が揺れ動いてコイル14に接触することを抑制することができる。リブ34は、上カバー本体33の下面と磁石支持部13の上面の間に設けられる。リブ34は、例えば、上下方向D3及び第2横方向D2に沿って配置される板状部材である。なお、リブ34は、第1横方向D1に沿って複数配置されてもよい。
【0036】
また、特に限定されないが、上カバー31,32の上面、すなわち上カバー本体33の上面33cは、コイル14に近付くにつれて高くなっていることが好ましい。上カバー本体33の上面33cが、コイル14側(先端33a側)で最も高くなっていることで、上カバー本体33上に落下した異物が上面33cに沿って基端33b側へ移動しやすいため、異物をコイル14から遠ざけることができる。また、上カバー本体33の上面33cが、コイル14に近付くにつれて高くなっていることで、上カバー本体33上に落下した鉄粉等の異物と磁石11,12の上面を一定距離以上離すことができるため、異物が磁石11,12に引き寄せられて上カバー本体33上に蓄積されることを抑制することができる。
【0037】
上カバー本体33は、非磁性体で形成されていることが好ましい。これにより、仮に上カバー本体33がコイル14に接触して削れた場合等であっても、削れて発生した異物が磁石11,12に吸着することを防止することができる。非磁性体は、例えば、樹脂、アルミニウム、非磁性のステンレス等である。また、特に限定されないが、上カバー本体33は、樹脂で形成されていることが特に好ましい。これにより、仮に上カバー本体33がコイル14に接触した場合等であっても、上カバー本体33の方が削れやすいため、コイル14が損傷することを抑制することができる。
【0038】
上カバー31,32は、例えば、本実施形態のように、上カバー本体33の少なくとも上面33c側且つコイル14に近い側に配置されるカバー用磁石35を備えることが好ましい。これにより、上カバー31,32とコイル14との間の隙間からギャップ3Gへ鉄粉等の異物が進入しようとすると、この異物がカバー用磁石35に吸着されるため、ギャップ3Gに異物が入り込むことをさらに抑制することができる。
【0039】
なお、カバー用磁石35は、上カバー本体33の先端33aから離れて配置されてもよい。これにより、仮に上カバー本体33の先端33aがコイル14に接触した場合等であっても、カバー用磁石35がコイル14に接触することを抑制することができる。
【0040】
特に限定されないが、カバー用磁石35は、例えば、本実施形態のように、板状もしくはシート状としてもよい。また、カバー用磁石35の磁束密度は、磁石11,12の磁束密度よりも小さいことが好ましい。
【0041】
また、リニアモータ3は、
図6及び
図8に示すように、かご2に接続され、且つ磁石11,12の下方に配置される下カバー36,37を備えることが好ましい。下カバー36,37は、上下方向D3視にて、磁石11,12の少なくとも一部と重なるように、磁石11,12の下方に配置される。また、特に限定されないが、下カバー36,37は、例えば、本実施形態のように、第1磁石11の下方に配置される第1下カバー36及び第2磁石12の下方に配置される第2下カバー37を備える、という構成でもよい。磁石11,12の下方に下カバー36,37を配置することで、例えば、かご2の下降時に向かってくる異物が、ギャップ3Gに下方から入り込むことを抑制することができる。
【0042】
また、特に限定されないが、下カバー36,37は、上下方向D3視にて、磁石11,12の下部の全体と重なることが好ましい。これにより、ギャップ3Gに異物が入り込むことを効果的に抑制することができる。
【0043】
特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、下カバー36,37は、第1横方向D1に延びる板状の下カバー本体38を備えていてもよい。下カバー本体38の第1横方向D1における長さは、磁石11,12の第1横方向D1における長さ以上であることが好ましい。
【0044】
下カバー36,37は、上カバー31,32を上下反転させたものと略同じ構成であるため、下カバー36,37についてのその他の詳細な説明は省略する。
【0045】
特に限定されないが、例えば、本実施形態のように、下カバー本体38の先端38aとコイル14との間の距離L2は、上カバー本体33の先端33aとコイル14との間の距離L1よりも大きいことが好ましい。これにより、仮にギャップ3Gに上方から入り込んだ異物をギャップ3Gの下方から排出し易い。
【0046】
[1]
以上より、エレベータ1は、本実施形態のように、かご2と、前記かご2を上下方向D3に移動させるリニアモータ3と、を備える、エレベータ1であって、前記リニアモータ3は、前記かご2に接続される磁石11,12と、前記磁石11,12に上下方向D3の電磁力を付与するコイル14と、を備え、前記コイル14は、上下方向D3及び第1横方向D1に沿って配置され、前記磁石11,12は、第1横方向D1と直交する第2横方向D2で前記コイル14とギャップ3Gを介して対面するように配置され、前記リニアモータ3は、前記かご2に接続され、且つ前記磁石11,12の上方に配置されるカバー(本実施形態では、上カバー)31,32を備える、という構成が好ましい。
【0047】
斯かる構成によれば、磁石11,12の上方に上カバー31,32が配置されるため、磁石11,12とコイル14との間のギャップ3Gに上方から異物が入り込むことを抑制することができる。
【0048】
[2]
また、上記[1]のエレベータ1においては、本実施形態のように、前記カバー(本実施形態では、上カバー)31,32は、上下方向D3視にて、前記磁石11,12の上部の全体と重なる、という構成が好ましい。
【0049】
斯かる構成によれば、磁石11,12とコイル14との間のギャップ3Gに異物が入り込むことを効果的に抑制することができる。
【0050】
[3]
また、上記[1]又は[2]のエレベータ1においては、本実施形態のように、前記カバーの上面(本実施形態では、上カバー本体33の上面)33cは、前記コイル14に近付くにつれて高くなっている、という構成が好ましい。
【0051】
斯かる構成によれば、上カバー本体33の上面33cが、コイル14側(先端33a側)で最も高くなっていることで、上カバー本体33上に落下した異物が上面33cに沿って基端33b側へ移動しやすいため、異物をコイル14から遠ざけることができる。その結果、磁石11,12とコイル14との間のギャップ3Gに異物が入り込むことをさらに抑制することができる。
【0052】
[4]
また、上記[1]~[3]の何れかのエレベータ1においては、本実施形態のように、前記カバー(本実施形態では、上カバー)31,32は、非磁性体で形成されたカバー本体(本実施形態では、上カバー本体)33を備える、という構成が好ましい。
【0053】
斯かる構成によれば、上カバー本体33が非磁性体で形成されているため、仮に上カバー本体33がコイル14に接触して削れた場合等であっても、削れて発生した異物が磁石11,12に吸着することを防止することができる。
【0054】
[5]
また、上記[1]~[4]の何れかのエレベータ1においては、本実施形態のように、前記カバー(本実施形態では、上カバー)31,32は、前記磁石11,12の上部を覆うカバー本体(本実施形態では、上カバー本体)33と、前記カバー本体(本実施形態では、上カバー本体)33の少なくとも上面33c側且つ前記コイル14に近い側に配置されるカバー用磁石35と、を備える、という構成が好ましい。
【0055】
斯かる構成によれば、上カバー本体33の上面33c側かつコイル14に近い側(先端33a側)にカバー用磁石35が配置されているため、上カバー31,32とコイル14との間の隙間からギャップ3Gへ鉄粉等の異物が進入しようとすると、この異物がカバー用磁石35に吸着され、ギャップ3Gに異物が入り込むことをさらに抑制することができる。
【0056】
[6]
また、上記[1]~[5]の何れかのエレベータ1においては、本実施形態のように、前記リニアモータ3は、前記かご2に接続され、且つ前記磁石11,12の下方に配置される下カバー36,37を備える、という構成が好ましい。
【0057】
斯かる構成によれば、磁石11,12の下方に下カバー36,37が配置されるため、ギャップ3Gに下方から異物が入り込むことを抑制することができる。
【0058】
なお、エレベータ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0059】
(A)上記実施形態に係るエレベータ1においては、上カバー31,32は、上下方向D3視にて、磁石11,12の上部の全体と重なる、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、上カバー31,32は、磁石11,12の上部の一部と重なる、という構成でもよい。例えば、上カバー31,32が、磁石11,12の上部のうち少なくともコイル14に近い側と重なることにより、ギャップ3Gに異物が入り込むことを抑制することができる。
【0060】
(B)上記実施形態に係るエレベータ1においては、上カバー本体33の上面33cは、コイル14に近付くにつれて高くなっている、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、上カバー本体33の上面33cは、水平である、という構成でもよい。
【0061】
(C)上記実施形態に係るエレベータ1においては、上カバー31,32は、非磁性体で形成された上カバー本体33を備える、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、上カバー31,32は、磁性体で形成された上カバー本体33を備える、という構成でもよい。このとき、上カバー本体33の形状及び配置は、磁石11,12及びコイル14に悪影響を及ぼさないように適宜設計される。
【0062】
(D)上記実施形態に係るエレベータ1においては、上カバー31,32は、磁石11,12の上部を覆う上カバー本体33と、上カバー本体33の少なくとも上面33c側且つコイル14に近い側に配置されるカバー用磁石35と、を備える、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。上カバー31,32は、磁石11,12の上部を覆う上カバー本体33と、上カバー本体33の上面33c側且つコイル14から遠い側に配置されるカバー用磁石35と、を備える、という構成でもよい。斯かる構成によれば、カバー用磁石35がコイル14の磁界に悪影響を与えにくくなる。
【0063】
また、カバー用磁石35は、上カバー本体33の上面33cの一部を覆うように配置されてもよく、上面33cの全体を覆うように配置されてもよい。カバー用磁石35を上カバー本体33の上面33cの一部を覆うように配置する場合、上面33cの一部を他の部分よりも凹ませるようにして、カバー用磁石35の上面と上カバー本体33の上面33cの他の部分とが面一となるようにしてもよい。
【0064】
(E)上記実施形態に係るエレベータ1においては、リニアモータ3は、かご2に接続され、且つ磁石11,12の下方に配置される下カバー36,37を備える、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。リニアモータ3は、下カバー36,37を備えていない、という構成でもよい。また、リニアモータ3が下カバー36,37を備える場合、下カバー本体38の先端38aとコイル14との間の距離L2は、上カバー本体33の先端33aとコイル14との間の距離L1と同じである、という構成でもよい。
【0065】
(F)上記実施形態に係るエレベータ1においては、第1上カバー31の上カバー本体33の先端33aとコイル14との間の距離と、第2上カバー32の上カバー本体33の先端33aとコイル14との間の距離は、等しい、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。第1上カバー31の上カバー本体33の先端33aとコイル14との間の距離と、第2上カバー32の上カバー本体33の先端33aとコイル14との間の距離は、異なる、という構成でもよい。
【0066】
また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、第1下カバー36の下カバー本体38の先端38aとコイル14との間の距離と、第2下カバー37の下カバー本体38の先端38aとコイル14との間の距離は、等しい、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。第1下カバー36の下カバー本体38の先端38aとコイル14との間の距離と、第2下カバー37の下カバー本体38の先端38aとコイル14との間の距離は、異なる、という構成でもよい。
【0067】
(G)上記実施形態に係るエレベータ1においては、リニアモータ3は、かご2に接続され、且つ磁石11,12の上方に配置される上カバー31,32を備える、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。リニアモータ3は、かご2に近い側の磁石12の上方に配置される上カバー32のみを備える、という構成でもよい。
【0068】
また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、リニアモータ3は、かご2に接続され、且つ磁石11,12の下方に配置される下カバー36,37を備える、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。リニアモータ3は、かご2に近い側の磁石12の下方に配置される下カバー37のみを備える、という構成でもよい。
【0069】
(H)上記実施形態に係るエレベータ1においては、リニアモータ3は、2つの磁石11,12を備える、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。リニアモータ3は、かご2に近い側の磁石12のみを備える、という構成でもよい。
【0070】
(I)上記実施形態に係るエレベータ1においては、上カバー本体33は、リブ34で下方から支持される、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、上カバー本体33は、リブ34で支持されることなく、かご2の移動中に揺れ動かないように十分な剛性を有していればよい。
【0071】
また、上記実施形態に係るエレベータ1においては、下カバー本体38は、リブ34で上方から支持される、という構成である。しかしながら、エレベータ1は、斯かる構成に限られない。例えば、下カバー本体38は、リブ34で支持されることなく、かご2の移動中に揺れ動かないように十分な剛性を有していればよい。
【符号の説明】
【0072】
1…エレベータ、1a…エレベータ固定体、1b…エレベータ可動体、2…かご、3…リニアモータ、3G…ギャップ、4…ガイド機構、5…制御装置、6…モータ固定体、7…モータ可動体、8…第1ガイドレール、8a…レール板、9…第2ガイドレール、9a…レール板、10…ガイド体、11…第1磁石、11a…磁石片、12…第2磁石、12a…磁石片、13…磁石支持部、14…コイル、14a…コイル片、15…コイル支持部、16…第1磁石ガイド、16a…第1ローラ、16b…第2ローラ、17…第2磁石ガイド、17a…第1ローラ、17b…第2ローラ、18…ガイド本体部、19…レール固定部、20…ガイド固定部、31…第1上カバー、32…第2上カバー、33…上カバー本体、33a…先端、33b…基端、33c…上面、34…リブ、35…カバー用磁石、36…第1下カバー、37…第2下カバー、38…下カバー本体、38a…先端、D1…第1横方向、D2…第2横方向、D3…上下方向
【手続補正書】
【提出日】2024-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごと、
前記かごを上下方向に移動させるリニアモータと、を備える、エレベータであって、
前記リニアモータは、前記かごに接続される磁石と、前記磁石に上下方向の電磁力を付与するコイルと、を備え、
前記コイルは、上下方向及び第1横方向に沿って配置され、
前記磁石は、第1横方向と直交する第2横方向で前記コイルとギャップを介して対面するように配置され、
前記リニアモータは、前記かごに接続され、且つ前記磁石の上方に配置されるカバーを備え、
前記カバーの上面は、前記コイルに近付くにつれて高くなっている、エレベータ。
【請求項2】
前記カバーは、上下方向視にて、前記磁石の上部の全体と重なる、請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記カバーは、非磁性体で形成されたカバー本体を備える、請求項1又は2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記カバーは、前記磁石の上部を覆うカバー本体と、前記カバー本体の少なくとも上面側且つ前記コイルに近い側に配置されるカバー用磁石と、を備える、請求項1又は2に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記リニアモータは、前記かごに接続され、且つ前記磁石の下方に配置される下カバーを備える、請求項1又は2に記載のエレベータ。
【請求項6】
かごと、
前記かごを上下方向に移動させるリニアモータと、を備える、エレベータであって、
前記リニアモータは、前記かごに接続される磁石と、前記磁石に上下方向の電磁力を付与するコイルと、を備え、
前記コイルは、上下方向及び第1横方向に沿って配置され、
前記磁石は、第1横方向と直交する第2横方向で前記コイルとギャップを介して対面するように配置され、
前記リニアモータは、前記かごに接続され、且つ前記磁石の上方に配置されるカバーを備え、
前記カバーは、前記磁石の上部を覆うカバー本体と、前記カバー本体の少なくとも上面側且つ前記コイルに近い側に配置されるカバー用磁石と、を備える、エレベータ。