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特開2024-154483クリップ取付対象部材、プロテクタ、及び、ワイヤハーネス
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  • 特開-クリップ取付対象部材、プロテクタ、及び、ワイヤハーネス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154483
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】クリップ取付対象部材、プロテクタ、及び、ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/00 20060101AFI20241024BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20241024BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F16B19/00 E
H02G3/04 062
H02G3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068296
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良典
【テーマコード(参考)】
3J036
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
3J036AA01
3J036BA01
3J036CA04
3J036EA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DE08
5G363BA02
5G363DA13
5G363DA16
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】確実にクリップの回動を規制することができるクリップ取付対象部材、プロテクタ、及び、ワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】プロテクタ本体20は、取付対象壁部21と、1対の回動規制リブ23A、23Bとを備える。取付対象壁部21は、クリップ部11が挿入されるクリップ挿入孔22が形成され、クリップ部11をクリップ挿入孔22に挿入した状態で、クリップ部11の支柱部111に設けられた係止爪113が係止される。1対の回動規制リブ23A、23Bは、取付対象壁部21において係止爪113が係止される側に立設され、クリップ挿入孔22に挿入されたクリップ部11の支柱部111に当接して当該クリップ部11の支柱部111周りの回動を規制する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリップ部が挿入されるクリップ挿入孔が形成され、前記クリップ部を前記クリップ挿入孔に挿入した状態で、前記クリップ部の支柱部に設けられた係止爪が係止される取付対象壁部と、
前記取付対象壁部において前記係止爪が係止される側に立設され、前記クリップ挿入孔に挿入された前記クリップ部の前記支柱部に当接して当該クリップ部の前記支柱部周りの回動を規制する回動規制リブと、を備えることを特徴とするクリップ取付対象部材。
【請求項2】
前記回動規制リブは、前記クリップ挿入孔を挟んで両側に1対設けられ、
前記1対の回動規制リブは、前記クリップ挿入孔に挿入された前記クリップ部の前記支柱部を両側から挟み込んだ状態で前記クリップ部の回動を規制する請求項1に記載のクリップ取付対象部材。
【請求項3】
前記回動規制リブは、前記取付対象壁部から挿入方向に沿って突出し且つ前記挿入方向に交差する幅方向に沿って延在し前記支柱部に当接する当接壁、前記当接壁の前記幅方向の一方側に連結される第1補強壁、及び、前記当接壁の前記幅方向の他方側に連結される第2補強壁、を有する請求項1又は2に記載のクリップ取付対象部材。
【請求項4】
所定の機能を有する機能部、及び、取付対象に係止されるクリップ部を有する取付クリップと、
前記取付クリップが取り付けられ、配索材に外装されるプロテクタ本体と、を備え、
前記プロテクタ本体は、
クリップ部が挿入されるクリップ挿入孔が形成され、前記クリップ部を前記クリップ挿入孔に挿入した状態で、前記クリップ部の支柱部に設けられた係止爪が係止される取付対象壁部と、
前記取付対象壁部において前記係止爪が係止される側に立設され、前記クリップ挿入孔に挿入された前記クリップ部の前記支柱部に当接して当該クリップ部の前記支柱部周りの回動を規制する回動規制リブと、を有することを特徴とするプロテクタ。
【請求項5】
導電性を有する配索材と、
前記配索材を結束するバンド部、及び、取付対象に係止されるクリップ部を有するバンドクリップと、
前記バンドクリップが取り付けられ、前記配索材に外装されるプロテクタ本体と、を備え、
前記プロテクタ本体は、
クリップ部が挿入されるクリップ挿入孔が形成され、前記クリップ部を前記クリップ挿入孔に挿入した状態で、前記クリップ部の支柱部に設けられた係止爪が係止される取付対象壁部と、
前記取付対象壁部において前記係止爪が係止される側に立設され、前記クリップ挿入孔に挿入された前記クリップ部の前記支柱部に当接して当該クリップ部の前記支柱部周りの回動を規制する回動規制リブと、を有することを特徴とするワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップ取付対象部材、プロテクタ、及び、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クリップ取付対象部材として、例えば、特許文献1には、取付部材のクリップ係止孔を挿通可能なステム部と、該ステム部の挿通先端部から当該ステム部の外側に拡開した係止羽根部とを備えるクリップが、クリップ係止孔を挿通して取付部材に対して着脱自在に取り付けられるクリップの取付構造が記載されている。クリップの取付構造は、取付部材のクリップ係止孔の周縁部に設けられ、係止羽根部と係合する一対のクリップ係止部と、該クリップ係止部からクリップ係止孔の周方向に間隔を置いて設けられ、クリップを離脱方向に案内する一対のスロープ部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-255610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載のクリップの取付構造は、一対のクリップ係止部をクリップの係止羽根部に係合させることでクリップの回動を規制しているが、係止羽根部が弾性変形可能に形成された部材であるため、クリップが回動するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、確実にクリップの回動を規制することができるクリップ取付対象部材、プロテクタ、及び、ワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るクリップ取付対象部材は、クリップ部が挿入されるクリップ挿入孔が形成され、前記クリップ部を前記クリップ挿入孔に挿入した状態で、前記クリップ部の支柱部に設けられた係止爪が係止される取付対象壁部と、前記取付対象壁部において前記係止爪が係止される側に立設され、前記クリップ挿入孔に挿入された前記クリップ部の前記支柱部に当接して当該クリップ部の前記支柱部周りの回動を規制する回動規制リブと、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るプロテクタは、所定の機能を有する機能部、及び、取付対象に係止されるクリップ部を有する取付クリップと、前記取付クリップが取り付けられ、配索材に外装されるプロテクタ本体と、を備え、前記プロテクタ本体は、クリップ部が挿入されるクリップ挿入孔が形成され、前記クリップ部を前記クリップ挿入孔に挿入した状態で、前記クリップ部の支柱部に設けられた係止爪が係止される取付対象壁部と、前記取付対象壁部において前記係止爪が係止される側に立設され、前記クリップ挿入孔に挿入された前記クリップ部の前記支柱部に当接して当該クリップ部の前記支柱部周りの回動を規制する回動規制リブと、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るワイヤハーネスは、導電性を有する配索材と、前記配索材を結束するバンド部、及び、取付対象に係止されるクリップ部を有するバンドクリップと、前記バンドクリップが取り付けられ、前記配索材に外装されるプロテクタ本体と、を備え、前記プロテクタ本体は、クリップ部が挿入されるクリップ挿入孔が形成され、前記クリップ部を前記クリップ挿入孔に挿入した状態で、前記クリップ部の支柱部に設けられた係止爪が係止される取付対象壁部と、前記取付対象壁部において前記係止爪が係止される側に立設され、前記クリップ挿入孔に挿入された前記クリップ部の前記支柱部に当接して当該クリップ部の前記支柱部周りの回動を規制する回動規制リブと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るクリップ取付対象部材、プロテクタ、及び、ワイヤハーネスは、回動規制リブが支柱部に当接してクリップの回動を規制するので、例えば、係止爪に当接してクリップ部の回動を規制する場合と比較して、確実にクリップ部の回動を規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るプロテクタの構成例を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るバンドクリップの構成例を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態に係るプロテクタ本体の構成例を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係るプロテクタ本体の構成例を示す斜視図である。
図5図5は、実施形態に係るワイヤハーネスの構成例を示す斜視図である。
図6図6は、実施形態の第1変形例に係るプロテクタの構成例を示す正面図である。
図7図7は、実施形態の第2変形例に係るプロテクタの構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0012】
以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「幅方向X」といい、第2方向を「当接方向Y」といい、第3方向を「挿入方向Z」という。幅方向Xと当接方向Yと挿入方向Zとは、相互に交差し、典型的には直交する。幅方向Xは、例えば、後述する回動規制リブ23A、23Bの当接壁231が延在する方向である。当接方向Yは、回動規制リブ23A、23Bとクリップ部11の支柱部111とが当接する方向、回動規制リブ23Aと回動規制リブ23Bとが対向する方向である。挿入方向Zは、クリップ部11をクリップ挿入孔22に挿入する方向、当接壁231が立設する方向である。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向を表すものとする。
【0013】
図面を参照しながら実施形態に係るプロテクタPについて説明する。プロテクタPは、内部に配索材が挿通、配索され当該配索材に外装されるものである。プロテクタPは、内部に配索された配索材を保護すると共に当該配索材の配索経路を規制する。ここで、配索材は、例えば、電線、電線束等によって構成される。電線は、複数の導電性を有する金属素線からなる導体部(芯線)の外側を、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものである。電線束は、当該電線を束ねたものである。プロテクタPは、図1に示すように、バンドクリップ10と、クリップ取付対象部材としてのプロテクタ本体20とを備える。
【0014】
バンドクリップ10は、結束した配索材を取付対象としてのプロテクタ本体20に係止するものである。バンドクリップ10は、絶縁性の樹脂材料等によって形成され、図2に示すように、クリップ部11と、バンド固定部12と、機能部としてのバンド部13(図5参照)とを含んで構成される。なお、図2では、バンド部13の図示を省略している。
【0015】
クリップ部11は、プロテクタ本体20に係止される部分である。クリップ部11は、支柱部111と、台座112と、1対の係止爪113とを含んで構成される。
【0016】
支柱部111は、台座112及び1対の係止爪113を支持するものである。支柱部111は、柱状に形成され、挿入方向Zに沿って延在する。支柱部111は、1対の当接部111a、111aが2組形成されている。1対の当接部111a、111aは、挿入方向Z及び幅方向Xに沿って平面状に形成され、一方の当接部111aと他方の当接部111aとが、幅方向Xに沿って並んで設けられている。一方の当接部111aと他方の当接部111aとの間には、凹部が設けられ、軽量化が図られている。2組の1対の当接部111a、111aは、支柱部111において、片方の1対の当接部111a、111aが当接方向Yの一方側に設けられ、別の片方の1対の当接部111a、111aが当接方向Yの他方側に設けられている。1対の当接部111a、111aは、クリップ部11がプロテクタ本体20に係止された状態で、後述の回動規制リブ23A、23Bに当接する。
【0017】
台座112は、クリップ部11がプロテクタ本体20に係止された状態で、挿入方向Zの一方側からプロテクタ本体20を支持するものである。台座112は、弾性変形可能な部材であり、例えば、挿入方向Zから視て楕円形状に形成され、且つ、挿入方向Zに沿ってクリップ部11側に窪んだ皿形状に形成されている。台座112は、支柱部111が当該台座112の中央に位置しており、当該支柱部111の周りに延在するように形成されている。
【0018】
1対の係止爪113、113は、プロテクタ本体20に係止されるものであり、弾性変形可能に構成されている。1対の係止爪113、113は、例えば、一端が支柱部111の挿入方向Zの端部に片持ち状に固定され、他端が自由端として構成され、一端側から他端側に向けて幅方向Xに沿って広がるように形成されている。1対の係止爪113、113は、プロテクタ本体20のクリップ挿入孔22に挿通されることで当該クリップ挿入孔22の径の大きさに合わせて幅方向Xに圧縮され、圧縮後、クリップ挿入孔22から抜け出ることで元の形状に戻る。このとき、1対の係止爪113、113は、台座112との間でプロテクタ本体20を挟んだ状態でプロテクタ本体20の係止面211に係止される。
【0019】
バンド固定部12は、バンド部13(図5参照)を固定するものである。バンド固定部12は、台座112を介して支柱部111に連結されている。バンド固定部12は、バンド部13を挿通可能な挿通孔と、当該挿通孔に挿通されたバンド部13を係止する係止部とを含んで構成される。
【0020】
バンド部13は、配索材を結束するものである。バンド部13は、帯状に形成され、一端がバンド固定部12に固定され、他端が自由端として形成される。バンド部13は、配索材の周囲を囲った状態で自由端がバンド固定部12の挿通孔に挿通され、係止部により係止されることで配索材を結束する。
【0021】
プロテクタ本体20は、内部に配索された配索材を保護すると共に当該配索材の配索経路を規制するものである。プロテクタ本体20は、絶縁性の樹脂材料等によって形成され、図3に示すように、取付対象壁部21と、クリップ挿入孔22と、1対の回動規制リブ23A、23Bとを備える。
【0022】
取付対象壁部21は、バンドクリップ10が取り付けられる対象の壁部である。取付対象壁部21は、板平板状に形成され、図3に示すように、クリップ部11が挿入されるクリップ挿入孔22が形成されている。取付対象壁部21は、係止面211を有し、クリップ部11をクリップ挿入孔22に挿入した状態で、クリップ部11の支柱部111に設けられた係止爪113が係止面211に係止される。
【0023】
クリップ挿入孔22は、取付対象壁部21に形成された貫通孔である。クリップ挿入孔22は、図3図4に示すように、角部が丸みを帯びた矩形状に形成され、挿入方向Zに沿って貫通している。クリップ挿入孔22の当接方向Yの両側には、1対の回動規制リブ23A、23Bが設けられる。
【0024】
1対の回動規制リブ23A、23Bは、バンドクリップ10の回動を規制するものである。1対の回動規制リブ23A、23Bは、取付対象壁部21において係止爪113が係止される側、すなわち係止面211に立設され、クリップ挿入孔22に挿入されたクリップ部11の支柱部111に当接して当該クリップ部11の支柱部111周りの回動を規制する。ここで、支柱部111周りの回動とは、支柱部111の軸線(挿入方向Zに沿う軸線)周りの回動である。
【0025】
回動規制リブ23Aは、当接壁231と、第1補強壁232と、第2補強壁233とを含んで構成される。
【0026】
回動規制リブ23Aの当接壁231は、クリップ部11の支柱部111に当接するものである。当接壁231は、矩形の板状に形成され、クリップ挿入孔22の近傍において、取付対象壁部21から立設している。当接壁231は、例えば、取付対象壁部21の係止面211から挿入方向Zに沿って突出し、且つ、幅方向Xに沿って延在する。当接壁231は、クリップ挿入孔22の幅方向Xに沿う直線部の長さE(図4参照)と同等の長さで、幅方向Xに沿って延在している。当接壁231は、平面状に形成された当接面231aを有する。当接面231aは、クリップ部11の支柱部111側に形成され、クリップ挿入孔22に挿入されたクリップ部11の支柱部111における1対の当接部111a、111aに当接して当該クリップ部11の支柱部111周りの回動を規制する。
【0027】
回動規制リブ23Aの第1補強壁232は、当接壁231を補強するものである。第1補強壁232は、取付対象壁部21から立設され、当接壁231の幅方向Xの一方側に連結される。第1補強壁232は、矩形の板状に形成され、一端が当接壁231の幅方向Xの一方側に連結され、他端がクリップ挿入孔22とは反対側に延在する。典型的には、第1補強壁232は、一端が当接壁231の幅方向Xの一方側に連結され、他端が当接方向Yに沿ってクリップ挿入孔22とは反対側に延在し、当接壁231との連結部が直角の角部として形成される。第1補強壁232は、当接壁231の一方側を支持することで当接壁231を補強する。
【0028】
回動規制リブ23Aの第2補強壁233は、当接壁231を補強するものである。第2補強壁233は、取付対象壁部21から立設され、当接壁231の幅方向Xの他方側に連結される。第2補強壁233は、矩形の板状に形成され、一端が当接壁231の幅方向Xの他方側に連結され、他端がクリップ挿入孔22とは反対側に延在する。典型的には、第2補強壁233は、一端が当接壁231の幅方向Xの他方側に連結され、他端が当接方向Yに沿ってクリップ挿入孔22とは反対側に延在し、当接壁231との連結部が直角の角部として形成される。第2補強壁233は、当接壁231の他方側を支持することで当接壁231を補強する。
【0029】
次に、回動規制リブ23Bについて説明する。回動規制リブ23Bは、クリップ挿入孔22を挟んで上述の回動規制リブ23Aとは反対側に設けられ、回動規制リブ23Aと同等に構成される。すなわち、回動規制リブ23Bは、図3に示すように、当接壁231と、第1補強壁232と、第2補強壁233とを含んで構成される。
【0030】
回動規制リブ23Bの当接壁231は、クリップ部11の支柱部111に当接するものである。当接壁231は、矩形の板状に形成され、クリップ挿入孔22の近傍において、取付対象壁部21から立設している。当接壁231は、例えば、取付対象壁部21の係止面211から挿入方向Zに沿って突出し、且つ、幅方向Xに沿って延在する。当接壁231は、クリップ挿入孔22の幅方向Xに沿う直線部の長さE(図4参照)と同等の長さで、幅方向Xに沿って延在している。当接壁231は、平面状に形成された当接面231aを有する。当接面231aは、クリップ部11の支柱部111側に形成され、クリップ挿入孔22に挿入されたクリップ部11の支柱部111における1対の当接部111a、111aに当接して当該クリップ部11の支柱部111周りの回動を規制する。
【0031】
回動規制リブ23Bの第1補強壁232は、当接壁231を補強するものである。第1補強壁232は、取付対象壁部21から立設され、当接壁231の幅方向Xの一方側に連結される。第1補強壁232は、矩形の板状に形成され、一端が当接壁231の幅方向Xの一方側に連結され、他端がクリップ挿入孔22とは反対側に延在する。典型的には、第1補強壁232は、一端が当接壁231の幅方向Xの一方側に連結され、他端が当接方向Yに沿ってクリップ挿入孔22とは反対側に延在し、当接壁231との連結部が直角の角部として形成される。第1補強壁232は、当接壁231の一方側を支持することで当接壁231を補強する。
【0032】
回動規制リブ23Bの第2補強壁233は、当接壁231を補強するものである。第2補強壁233は、取付対象壁部21から立設され、当接壁231の幅方向Xの他方側に連結される。第2補強壁233は、矩形の板状に形成され、一端が当接壁231の幅方向Xの他方側に連結され、他端がクリップ挿入孔22とは反対側に延在する。典型的には、第2補強壁233は、一端が当接壁231の幅方向Xの他方側に連結され、他端が当接方向Yに沿ってクリップ挿入孔22とは反対側に延在し、当接壁231との連結部が直角の角部として形成される。第2補強壁233は、当接壁231の他方側を支持することで当接壁231を補強する。
【0033】
以上のように、実施形態に係るプロテクタ本体20は、取付対象壁部21と、1対の回動規制リブ23A、23Bとを備える。取付対象壁部21は、クリップ部11が挿入されるクリップ挿入孔22が形成され、クリップ部11をクリップ挿入孔22に挿入した状態で、クリップ部11の支柱部111に設けられた係止爪113が係止される。1対の回動規制リブ23A、23Bは、取付対象壁部21において係止爪113が係止される側に立設され、クリップ挿入孔22に挿入されたクリップ部11の支柱部111に当接して当該クリップ部11の支柱部111周りの回動を規制する。この構成により、プロテクタ本体20は、1対の回動規制リブ23A、23Bが支柱部111に当接してクリップの回動を規制するので、例えば、係止爪113に当接してクリップ部11の回動を規制する場合と比較して、確実にクリップ部11の回動を規制できる。
【0034】
プロテクタ本体20において、1対の回動規制リブ23A、23Bは、クリップ挿入孔22を挟んで両側に1対設けられる。1対の回動規制リブ23A、23Bは、クリップ挿入孔22に挿入されたクリップ部11の支柱部111を両側から挟み込んだ状態でクリップ部11の支柱部111周りの回動を規制する。この構成により、プロテクタ本体20は、支柱部111を両側から挟み込んだ状態でクリップ部11の回動を規制するので、より確実にクリップ部11の回動を規制できる。
【0035】
プロテクタ本体20において、1対の回動規制リブ23A、23Bは、取付対象壁部21から挿入方向Zに沿って突出し且つ挿入方向Zに交差する幅方向Xに沿って延在し支柱部111に当接する当接壁231、当接壁231の幅方向Xの一方側に連結される第1補強壁232、及び、当接壁231の幅方向Xの他方側に連結される第2補強壁233、を有する。この構成により、プロテクタ本体20は、第1補強壁232及び第2補強壁233により当接壁231を補強することができるので、当接壁231に強い力が作用した場合でも、確実にクリップ部11の回動を規制できる。
【0036】
プロテクタPは、所定の機能を有する機能部としてのバンド部13、及び、取付対象に係止されるクリップ部11を有するバンドクリップ10と、バンドクリップ10が取り付けられ、配索材Wに外装されるプロテクタ本体20とを備える。この構成により、プロテクタPは、確実にクリップ部11の回動を規制できる。
【0037】
次に、実施形態に係るワイヤハーネスWHについて説明する。なお、実施形態に係るプロテクタPと同じ構成には同一の符号を付しその詳細な説明は省略する。
【0038】
ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各機器間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の配索材Wを各機器に接続するようにしたものである。ワイヤハーネスWHは、配索材Wやプロテクタ、外装材、固定具等を含んで構成されるが、これに限定されない。この例では、ワイヤハーネスWHは、図5に示すように、導電性を有する配索材Wと、配索材Wを結束するバンド部13及び取付対象に係止されるクリップ部11を有するバンドクリップ10と、バンドクリップ10が取り付けられ、配索材Wに外装されるプロテクタ本体20Aとを備える例について説明する。ワイヤハーネスWHは、プロテクタ本体20Aが第3補強壁234と第4補強壁235とを有する点でプロテクタ本体20とは異なる。
【0039】
プロテクタ本体20Aは、絶縁性の樹脂材料等によって形成され、取付対象壁部21と、クリップ挿入孔22と、1対の回動規制リブ23A、23Bとを備える。
【0040】
回動規制リブ23Bは、当接壁231と、第1補強壁232と、第2補強壁233と、第3補強壁234と、第4補強壁235とを含んで構成される。
【0041】
第3補強壁234は、当接壁231を補強するものである。第3補強壁234は、取付対象壁部21から立設され、当接壁231の幅方向Xの一方側に連結される。第3補強壁234は、板状に形成され、一端が当接壁231の幅方向Xの一方側に連結され、他端がクリップ挿入孔22とは反対側に延在する。典型的には、第3補強壁234は、一端が当接壁231の幅方向Xの一方側に連結され、他端が幅方向Xに沿ってクリップ挿入孔22とは反対側に延在する。第3補強壁234は、第1補強壁232と共に、当接壁231の一方側を支持することで当接壁231をさらに補強する。
【0042】
第4補強壁235は、当接壁231を補強するものである。第4補強壁235は、取付対象壁部21から立設され、当接壁231の幅方向Xの他方側に連結される。第4補強壁235は、板状に形成され、一端が当接壁231の幅方向Xの他方側に連結され、他端がクリップ挿入孔22とは反対側に延在する。典型的には、第4補強壁235は、一端が当接壁231の幅方向Xの他方側に連結され、他端が幅方向Xに沿ってクリップ挿入孔22とは反対側に延在する。第4補強壁235は、第2補強壁233と共に、当接壁231の他方側を支持することで当接壁231をさらに補強する。このように、ワイヤハーネスWHの回動規制リブ23Bは、第1補強壁232及び第2補強壁233に加えてさらに、第3補強壁234及び第4補強壁235を有することで、当接壁231をさらに補強している。
【0043】
プロテクタPは、回動規制リブ23Aの第1補強壁232及び第2補強壁233は、当接壁231との連結部が直角の角部に限定されず、例えば、図6に示すように、鈍角の角部として形成されてもよい。また、回動規制リブ23Bの第3補強壁234及び第4補強壁235は、当接壁231との連結部が直角の角部に限定されず、例えば、図6に示すように、鈍角の角部として形成されてもよい。
【0044】
プロテクタPは、1対の回動規制リブ23A、23Bによりクリップ部11の回動を規制することに限定されず、例えば、図7に示すように、1つの回動規制リブ23によりクリップ部11の回動を規制してもよい。
【0045】
クリップ部11の支柱部111は、1対の当接部111a、111aが当接壁231に当接する例について説明したが、これに限定されず、例えば、図7に示すように、支柱部111の1つの面部が当接壁231に当接するように構成してもよい。
【0046】
クリップ取付対象部材は、プロテクタ本体20である例について説明したが、これに限定されず、例えば、車両に設けられた金属製や樹脂製のパネル部材等であってもよい。
【0047】
1対の回動規制リブ23A、23Bは、当接壁231が第1補強壁232及び第2補強壁233により補強される例について説明したが、これに限定されず、例えば、補強壁により補強されていなくてもよい。
【0048】
所定の機能を有する機能部として、配索材Wを結束するバンド部13を例に挙げて説明したが、これに限定されず、例えば、機能部は電子部品を固定する固定部等であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
11 クリップ部
22 クリップ挿入孔
113 係止爪
21 取付対象壁部
111 支柱部
23A、23B、23 回動規制リブ
20、20A プロテクタ本体(クリップ取付対象部材)
231 当接壁
232 第1補強壁
233 第2補強壁
10 バンドクリップ(取付クリップ)
P プロテクタ
W 配索材
WH ワイヤハーネス
13 バンド部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7