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特開2024-154501液体収容容器、及び液体収容容器の再利用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154501
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】液体収容容器、及び液体収容容器の再利用方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B41J2/175 173
B41J2/175 143
B41J2/175 169
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068324
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】内藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】白取 さやか
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 賢一
(72)【発明者】
【氏名】水野 義治
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056KC02
2C056KC14
(57)【要約】
【課題】品質を向上させることが可能な、液体収容容器、及び液体収容容器の再利用方法を提供する。
【解決手段】可撓性を有する液体収容体60と、液体収容体60を構成する第1部材60xの第1端部60A1に溶着された液体供給口部52と、を有し、第1端部60A1は、透明である。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する液体収容体と、
前記液体収容体を構成する第1部材の第1端部に溶着された液体供給口部と、
を有し、
前記第1端部は、透明である、液体収容容器。
【請求項2】
請求項1に記載の液体収容容器であって、
前記液体収容体は、前記第1部材と表裏関係にある第2部材を有し、
前記第2部材には、前記第1端部と対向する部分に、透明な第2端部を有する、液体収容容器。
【請求項3】
請求項1に記載の液体収容容器であって、
前記液体収容体は、前記液体供給口部が配置される側とは反対側に第3端部を有し、
前記第3端部は、透明である、液体収容容器。
【請求項4】
可撓性を有し、第1端部が透明である液体収容体と、
前記液体収容体の前記第1端部に溶着された液体供給口部と、
を有し、
前記液体収容体と前記液体供給口部とは、同じ材質である、液体収容容器の再利用方法。
【請求項5】
請求項4に記載の液体収容容器の再利用方法であって、
前記液体収容体から、前記第1端部を分離し、前記液体供給口部を切り離すステップを有する、液体収容容器の再利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容容器、及び液体収容容器の再利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体収容袋を、分離可能な第1部材と第2部材とを有するアダプターによって固定することにより、アダプターを再利用することができる液体収容体の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-153949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、液体収容袋に溶着される液体供給口を再利用したり、溶着効率を向上させたり、更に、溶着の品質安定化については何も考慮されていないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
液体収容容器は、可撓性を有する液体収容体と、前記液体収容体を構成する第1部材の第1端部に溶着された液体供給口部と、を有し、前記第1端部は、透明である。
【0006】
液体収容容器の再利用方法は、可撓性を有し、第1端部が透明である液体収容体と、前記液体収容体の前記第1端部に溶着された液体供給口部と、を有し、前記液体収容体と前記液体供給口部とは、同じ材質である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】液体噴射装置の構成を示す斜視図。
図2】装着部の構成を示す斜視図。
図3】接続機構の構成を示す斜視図。
図4】装着体の構成を示す斜視図。
図5】液体収容容器及び容器の構成を示す斜視図。
図6】液体収容容器の構成を示す分解斜視図。
図7】アダプターの構成を示す分解斜視図。
図8】液体収容容器の構成を示す平面図。
図9】液体収容容器の構成を示す平面図。
図10】液体収容容器の再利用方法を示す平面図。
図11】液体収容容器の再利用方法を示す平面図。
図12】液体収容容器の再利用方法を示す平面図。
図13】変形例の液体収容容器の構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の各図においては、互いに直交する3つの軸を、X軸、Y軸、及びZ軸として説明する。また、X軸に沿う方向を「X方向」、Y軸に沿う方向を「Y方向」、Z軸に沿う方向を「Z方向」とし、矢印の方向が+方向であり、+方向と反対の方向を-方向とする。なお、+Z方向を「上」又は「上方」又は「表側」、-Z方向を「下」又は「下方」又は「裏側」ということもあり、+Z方向及び-Z方向から見ることを平面視あるいは平面的ともいう。また、Z方向+側の面を「上面」又は「表面」、これと反対側となるZ方向-側の面を「下面」又は「裏面」として説明する。
【0009】
まず、図1を参照しながら、液体噴射装置11の構成を説明する。
【0010】
図1に示すように、液体噴射装置11は、例えば、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを噴射することによって印刷を行うインクジェットプリンターである。液体噴射装置11は、略直方体状の外装体12を備える。
【0011】
外装体12の前面部分には、底部側から上に向かって順に、容器13が着脱可能に装着される装着部14を覆う回動可能な前蓋15と、用紙を収容可能なカセット16が装着される装着口17とが配置されている。更に、装着口17の上側には、用紙が排出される排出トレイ18と、液体噴射装置11の操作を行うための操作パネル19と、が配置されている。
【0012】
本実施形態の装着部14は、複数の容器13が幅方向、即ち、X方向に並ぶ態様で装着可能である。容器13には、液体収容容器100が取り外し可能に載置される。
【0013】
次に、図2を参照しながら、装着部14の構成を説明する。
【0014】
図2に示すように、装着部14は、複数の容器13を収容可能な収容空間を形成する枠体24を有している。枠体24には、前蓋15側、即ち、-Y方向となる手前側から収容空間に連通する挿入口25が形成されている。
【0015】
容器13は、挿入口25を通じて収容空間に挿入され、+Y方向に向かって延びる移動経路に沿って移動することにより、装着部14に装着される。収容空間の奥側、即ち、+Y方向には、容器13に個別に対応するように、接続機構29が設けられている。
【0016】
液体噴射装置11は、容器13と共に装着部14に装着された液体収容容器100(図5参照)から液体噴射部(図示せず)に向けて液体を供給する供給流路30と、液体収容体60(図4参照)に収容された液体を供給流路30に送るように構成された供給機構31と、を備えている。
【0017】
供給流路30は、液体の色毎に設けられ、液体収容容器100が接続されるインク導入針32と、可撓性を有する供給チューブ33と、を含む。インク導入針32と供給チューブ33の間にはポンプ室(図示略)が設けられる。
【0018】
次に、図3を参照しながら、接続機構29の構成を説明する。
【0019】
図3に示すように、接続機構29は、X方向においてインク導入針32を挟む位置に、それぞれ第1接続機構29Fと第2接続機構29Sとを有する。
【0020】
第1接続機構29Fは、インク導入針32よりも鉛直下方に配置され、-Y方向に突出するアーム38を備える。アーム38の先端には係止部39が設けられる。アーム38は、基端側を中心に先端側が回動可能に構成されている。係止部39は、例えばアーム38から鉛直上方に突出するなどして、装着部14(図2参照)に装着されるときの容器13の移動経路上に配置される。係止部39は、容器13が装着部14に装着されたときに、容器13の裏面に設けられた係合溝78(図5参照)に嵌まり、容器13が装着部14から容易に外れることを規制する。
【0021】
第1接続機構29Fは、インク導入針32よりも鉛直上方に配置されて取出方向に突出する端子部40を備える。端子部40は、フラットケーブル等の電気回線41を介して制御装置42と接続されている。端子部40は、上端が下端よりも取出方向に突出して、斜め下を向くように配置することが好ましい。
【0022】
第2接続機構29Sは、インク導入針32よりも鉛直上方に配置され、取出方向に突出する誤挿入防止用のブロック44を備えることが好ましい。ブロック44は下方に向いて配置される凹凸形状を有する。この凹凸の形状は、接続機構29毎に異なる。
【0023】
接続機構29は、一対の位置決め突部45,46と、インク導入針32を囲むように配置される押出機構47と、インク導入針32の下方で取出方向に突出する液受部48と、を備える。一対の位置決め突部45,46は、それぞれ第1接続機構29Fと第2接続機構29Sとに含まれるようにインク導入針32を挟んでX方向に並ぶ。位置決め突部45,46は、例えば、互いに平行をなして取出方向に突出する棒状の突部とすることができる。位置決め突部45,46の取出方向への突出長さはインク導入針32の取出方向への突出長さより長くすることが好ましい。
【0024】
押出機構47は、インク導入針32の基端部分を囲む枠部材47aと、枠部材47aから取出方向に突出する押圧部47bと、押圧部47bを介して容器13を取出方向に付勢する付勢部47cと、を備える。付勢部47cは、例えば枠部材47aと押圧部47bの間に介装されたコイルばねとすることができる。
【0025】
次に、図4を参照しながら、装着体50の構成を説明する。
【0026】
図4に示すように、本実施形態では、略直方体状の外形をなす容器13と、容器13に載置される液体収容容器100により装着体50が構成される。液体収容容器100は、液体収容体60と、液体供給口部52と、を有する。
【0027】
液体収容体60は、沈降成分を有する液体を液体噴射装置11に供給するためのものである。液体収容体60は、可撓性を有している。液体収容体60の形状は、ピロータイプでもよいし、ガゼットタイプでもよい。本実施形態の液体収容体60は、長方形状のフィルムを2枚重ねて、その周縁部を互いに接合することによって形成されたピロータイプの袋である。
【0028】
液体収容体60を構成するフィルムは、可撓性とガスバリア性を有する素材で形成されている。例えば、フィルムの素材としてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリエチレンなどが挙げられる。また、これらの素材で構成されたフィルムを複数積層した積層構造を用いてフィルムが形成されてもよい。このような積層構造では、例えば、外層を耐衝撃性に優れたPET又はナイロンによって形成し、内層を耐インク性に優れたポリエチレンによって形成してもよい。さらに、アルミニウムなどを蒸着した層を有するフィルムを積層構造の1つの構成部材としてもよい。
【0029】
液体収容体60には、その内部に、液体を収容する液体収容部60cが設けられている。液体収容部60cには、液体として、沈降成分としての顔料が溶媒中に分散されたインクが収容されている。液体収容体60は、一端部60aと、一端部60aに対向する他端部60bとを有する。アダプター61は、液体収容体60の一端部60aに取り付けられている。アダプター61は、液体収容部60c内の液体を液体噴射装置11へ導出するための液体導出部52を備える。以降、液体導出部52のことを、液体供給口部52とも称する。
【0030】
装着体50は、装着部14(図2参照)に装着されるときに先に進む方を先端とし、先端の反対側の端を基端とすると、先端部分に接続構造51を備える。接続構造51は、X方向において液体供給口部52を挟む両側にそれぞれ第1接続構造51Fと第2接続構造51Sとを有する。
【0031】
第1接続構造51Fは、液体供給口部52よりも鉛直上方に配置される接続端子53を備える。接続端子53は、例えば回路基板の表面に設けられ、この回路基板は、液体収容体60に関する各種の情報、例えば、液体収容体60の種類や液体の収容量等を記憶する記憶部を含む。接続端子53は、上方及び装着方向に開口する態様で設けられた凹部53a内に、斜め上を向くように配置することが好ましい。
【0032】
第2接続構造51Sは、液体供給口部52よりも鉛直上方に配置された誤挿入防止用の識別部54を備えることが好ましい。識別部54は、対応する接続機構29のブロック44(図3参照)に嵌まり合う形状の凹凸を有する。
【0033】
接続構造51は、一対の位置決め穴55,56と、付勢部47c(図3参照)の付勢力を受ける付勢受部57と、液体供給口部52の下方に延びる挿入部58と、を備える。位置決め穴55,56は、それぞれ第1接続構造51Fと第2接続構造51Sとに含まれるように液体供給口部52を挟んでX方向に並ぶ。第1接続構造51Fに含まれる第1位置決め穴55は円形の穴とするのに対して、第2接続構造51Sに含まれる第2位置決め穴56はX方向に長い略楕円形状の長穴とすることが好ましい。
【0034】
次に、図5を参照しながら、液体収容容器100及び容器13の構成を説明する。
【0035】
図5に示すように、容器13の先端には、液体収容容器100のアダプター61に設けられた挿入部58と係合する切欠き65aが形成されている。さらに、切欠き65aのX方向の両側には、第1穴55aと第2穴56aが形成されており、アダプター61の先端には、第1穴55bと第2穴56bが形成されている。そして、液体収容容器100が容器13に載置されると、第1穴55a,55b同士と、第2穴56a,56b同士とがそれぞれY方向に並び、第1穴55a,55bにより第1位置決め穴55が構成され、第2穴56a,56bにより第2位置決め穴56が構成される。
【0036】
アダプター61は、取っ手部62を備えている。取っ手部62は、アダプター61とは別部材で構成され、アダプター61に対して移動可能である。具体的には、取っ手部62は、アダプター61に設けられた回動軸63を中心として回動することにより移動可能である。回動軸63は、X方向の両側に開口するように形成され、有底の半円筒状の部分がアダプター61の上面から突出している。
【0037】
取っ手部62は、ユーザーに把持される把持部62aを有している。把持部62aは、回動軸63に軸支される軸部62bよりも、Y方向においてアダプター61から離れた液体収容体60側に位置している。そして、取っ手部62は、把持部62aと回動軸63とが同じ高さもしくは把持部62aが回動軸63よりも低い位置に位置する第1姿勢と、把持部62aが回動軸63よりも高い位置に位置する第2姿勢との間で回動可能である。
【0038】
容器13は、先端部分に、液体収容容器100のアダプター61が係合可能な係合受部65を有する。アダプター61は、接続端子53、凹部53a、案内凹部53g、識別部54、第1穴55b及び第2穴56bを含む。容器13の係合受部65は、付勢受部57、第1穴55a及び第2穴56aを含む。アダプター61は、係合受部65に係合したときに、容器13の先端部に位置する。
【0039】
容器13は、底面を構成する底板67と、底板67のX方向の両端から鉛直上方に立設する側板68と、底板67の基端から鉛直上方に立設する前板69と、底板67の先端から鉛直上方に立設する先板70と、を備えている。
【0040】
容器13において、底板67、側板68、前板69及び先板70は、液体収容容器100を収納する収納空間を形成する本体部を構成する。容器13は、収納空間に対して液体収容容器100を出し入れするための開口13aを有する。本実施形態において、容器13の開口13aは、容器13が装着部14に装着されるときに進む方向(装着方向)と異なる向き(鉛直上方に向かう向き)に開いている。
【0041】
液体収容容器100のアダプター61には、案内方向に貫通して形成された略丸穴状の被案内部72が2つ設けられている。本実施形態では、2つの被案内部72がX方向に並ぶように形成されている。
【0042】
また、容器13の係合受部65には、底板67から案内方向に突出する略円柱形状の2つの案内部73が設けられている。本実施形態では、2つの案内部73がX方向に並ぶように形成されている。なお、案内方向とは、底板67もしくは開口13aと交差し、側板68に沿う方向である。
【0043】
容器13に設けられた案内部73は、アダプター61に設けられた被案内部72を案内方向に案内する。一方、アダプター61に設けられた被案内部72は、容器13に設けられた案内部73により案内方向に案内される。
【0044】
本実施形態では、案内部73が略半円柱状をなす凸形状であり、案内方向に沿う案内部73の側面は、先端側に位置する平面状の規制部73aと、規制部73aよりも基端側の曲面部73bとを有している。
【0045】
そして、被案内部72は、案内部73の形状に沿うように規制部72aと曲面部72bとを有する形状に形成されている。規制部72a,73aは、容器13に載置される液体収容容器100の逃げや回転を規制する。
【0046】
さらに、アダプター61の先端面には、少なくとも案内方向の角が面取りされた例えばドーム型の突起部75が形成されている。また、容器13の先板70には、突起部75と係合する係合穴76が形成されている。このようにすると、容器13に液体収容容器100が載置されたときに、容器13と液体収容容器100との係合が完了した、という感覚または感触(クリック感)をユーザーに与えることができる。本実施形態の突起部75と係合穴76は、アダプター61の液体供給口部52と容器13の切欠き65aを挟んでそれぞれX方向の両側に対をなして並ぶように形成されている。
【0047】
次に、図6を参照しながら、液体収容容器100の構成を説明する。
【0048】
図6に示すように、液体収容体60の製造にあたり、まず、スペーサー部材90が、連結部材85に設けられた係止部86と液体導出部材66に設けられた爪部59とが接続されることにより液体導出部材66に固定される。そして、液体導出管80(第1流路部81および第2流路部82)が、スペーサー部材90および液体導出部材66に接続される。スペーサー部材90および液体導出管80が接続された液体導出部材66は、スペーサー部材90側から、一端部60a側に予め開口部60dが設けられた液体収容体60の内部に、開口部60dを通じて挿入される。
【0049】
スペーサー部材90および液体導出管80が液体収容体60内に挿入されると、液体収容体60の開口部60dが、液体導出部材66の外周に設けられた溶着部66aに熱溶着されて接合される。溶着部66aは、液体導出部材66の中で最も外周が大きい部位である。開口部60dの内周の寸法は、液体導出部材66の溶着部66aの外周の寸法よりも等しいか大きい。また、液体導出部材66の溶着部66aの外周の寸法は、スペーサー部材90の最も大きな外周を有する背面部材94の外周の寸法よりも大きい。
【0050】
次に、図7を参照しながら、アダプター61の構成を説明する。
【0051】
図7に示すように、アダプター61は、Z方向に分割可能であり、蓋部材61aと底部材61bとを備えている。蓋部材61aと底部材61bとによって、液体収容体60の+Y方向側の端部を+Z方向側と-Z方向側とから挟み込むことにより、液体収容体60がアダプター61に固定される。
【0052】
蓋部材61aには、主に識別部54が形成されている。底部材61bには、主に、挿入部58や凹部53aが形成されている。本実施形態では、底部材61bには、第1突起61cと第2突起61dとが、+Z方向に向けて設けられている。第1突起61cと第2突起61dとは、X方向において挿入部58を挟む位置に設けられている。
【0053】
液体導出部材66のうち、液体収容体60から+Y方向に露出した部分に設けられた固定部66sには、液体供給口部52を挟む位置に、第1貫通孔66cと第2貫通孔66dとが設けられている。第1貫通孔66cには第1突起61cが挿入され、第2貫通孔66dには第2突起61dが挿入される。蓋部材61aと底部材61bとの間には、液体導出部材66の固定部66sとともに、液体収容体60の+Y方向側の端部の一部が挟み込まれる。
【0054】
次に、図8及び図9を参照しながら、液体収容容器100の構成を説明する。図8は、液体収容容器100を一方向側から見た平面図である。図9は、液体収容容器100を他方向側から見た平面図である。
【0055】
図8及び図9に示すように、液体収容容器100は、上記したように、液体収容体60と、液体供給口部52と、を有する。液体供給口部52の材質は、例えば、樹脂である。
【0056】
液体収容体60は、上記したように、2枚のフィルムが重ねられ、周縁部を互いに接合することによって袋状に形成されている。2枚のフィルムのうち、一方のフィルムである第1部材60xの第1端部60A1は、透明である(図8参照)。2枚のフィルムのうち、他方のフィルムである第2部材60yの第2端部60A2は、透明である(図9参照)。第2端部60A2は、第1端部60A1と対向する部分である。液体収容体60のうち、透明な第1端部60A1以外の部分60Bは、透明ではない、例えば、黒色となっている。
【0057】
液体供給口部52は、液体収容体60における第1端部60A1に溶着されている。また、液体供給口部52は、液体収容体60における第2端部60A2に溶着されている。第1端部60A1の長さL1、及び、第2端部60A2の長さL2は、例えば、10mmである。
【0058】
このように、液体収容体60の第1端部60A1及び第2端部60A2が透明であるので、液体供給口部52側の液体収容体60の溶着状態を確認することが可能となり、例えば、組み立て作業において、液体収容体60の表裏の溶着状態を確認しながら組み立てを行うことができる。よって、作業効率を向上させることができると共に、溶着した部分の品質の安定化に寄与することができる。
【0059】
なお、溶着状態の確認とは、例えば、2枚のフィルムを熱溶着した際に、2枚のフィルムの間に気泡が入り込むか否かを目視で確認する。また、フィルムと液体供給口部52との間に気泡が入り込むか否かを目視で確認する。気泡が入り込むことによって、封止された液体収容体60から外部にインクが漏れる場合があるため、熱溶着した際に、全数選別することが重要となる。
【0060】
次に、図10図12を参照しながら、液体収容容器100の再利用方法について説明する。
【0061】
まず、図10に示す工程では、使用済みの液体収容容器100を装着体50、即ち、液体噴射装置11から取り外す。液体収容容器100の液体収容体60は、上記したように、第1端部60A1及び第2端部60A2が透明になっている。
【0062】
次に、図11に示す工程(分離するステップ)では、液体収容体60から、液体供給口部52を含む、第1端部60A1及び第2端部60A2を分離する。分離する方法としては、例えば、はさみを用いて切り離す方法が挙げられる。これにより、液体供給口部52は、脱墨処理が不要な第1端部60A1及び第2端部60A2が一体となって分離される。
【0063】
図12に示す工程(溶着するステップ)では、上記工程で用いた液体供給口部52に、新しい液体収容体160を溶着して接合する。具体的には、液体供給口部52と、第1端部60A1及び第2端部60A2と、を分離する。その後、今まで用いた液体供給口部52に、新しい第2液体収容体としての液体収容体160を溶着して接合する。新しい液体収容体160は、透明である第1端部160A1及び第2端部160A2と、透明ではない部分160Bと、を有する。以上により、液体供給口部52が再利用された新たな液体収容容器101が完成する。
【0064】
このような方法によれば、同じ液体供給口部52を用いて、新たな液体収容体160を溶着するので、液体供給口部52を再利用することができ、例えば、プラスチック再利用率の向上に寄与することができる。更に、液体収容体60の透明な第1端部60A1及び第2端部60A2のみを分離することができるため、脱墨処理を不要としたり、脱墨処理を軽減したりすることができる。
【0065】
以上述べたように、本実施形態の液体収容容器100は、可撓性を有する液体収容体60と、液体収容体60を構成する第1部材60xの第1端部60A1に溶着された液体供給口部52と、を有し、第1端部60A1は、透明である。この構成によれば、液体収容体60の第1端部60A1が透明であるので、液体供給口部52側の液体収容体60の溶着状態を確認することが可能となり、例えば、組み立て作業において、溶着状態を確認しながら組み立てを行うことができる。よって、作業効率を向上させることができると共に、溶着した部分の品質の安定化に寄与することができる。
【0066】
また、本実施形態の液体収容容器100において、液体収容体60は、第1部材60xと表裏関係にある第2部材60yを有し、第2部材60yには、第1端部60A1と対向する部分に、透明な第2端部60A2を有することが好ましい。この構成によれば、第1端部60A1と対向する部分、即ち、第1端部60A1の裏面側に、透明な第2端部60A2を有するので、液体収容体60の表面側及び裏面側から、溶着状態を確認することができる。
【0067】
また、本実施形態の液体収容容器100の再利用方法は、液体収容体60から、第1端部60A1を分離するステップと、液体供給口部52に、液体収容体60とは別の第1端部160A1が透明な液体収容体160を溶着するステップと、を有する。この方法によれば、同じ液体供給口部52を用いて、新たな液体収容体160を溶着するので、液体供給口部52を再利用することができ、例えば、プラスチック再利用率の向上に寄与することができる。更に、液体収容体60の透明な第1端部60A1のみを分離することができるため、脱墨処理を不要としたり、脱墨処理を軽減したりすることができる。
【0068】
以下、上記した実施形態の変形例を説明する。
【0069】
上記した実施形態のように、液体収容体60において透明な部分が第1端部60A1だけに設けられていることに限定されず、図13に示すように構成されていてもよい。図13に示すように、変形例の液体収容容器102は、液体収容体60において、液体供給口部52が配置される側とは反対側に第3端部260A2を有する。第3端部260A2は、透明である。液体収容体60のうち、透明な第1端部260A1及び第3端部260A2以外の部分260Bは、透明ではない、例えば、黒色となっている。
【0070】
このような構成にすることにより、製造過程において、液体収容体60が繋がって形成されている、つまり、量産の場合、第1端部260A1と第3端部260A2とが繋がっている状態から、1つの液体収容体60として切断した場合、厳密な位置精度で切断しなくてもよい。
【0071】
このように、変形例の液体収容容器102において液体収容体60は、液体供給口部52が配置される側とは反対側に第3端部260A2を有し、第3端部260A2は、透明であることが好ましい。この構成によれば、第3端部260A2が透明であるので、第3端部260A2、即ち、液体供給口部52側とは反対側の端部の溶着状態を確認することができる。よって、組み立て作業において、溶着状態を確認しながら組み立てを行うことが可能となり、作業効率を向上させることができる。加えて、溶着した部分の品質の安定化に寄与することができる。
【0072】
上記した実施形態のように、液体供給口部52と液体収容体60とが別々の材質で構成されていることに限定されず、同じ材質で構成されていてもよい。同じ材質としては、樹脂やポリエチレンテレフタレート(PET)などが挙げられる。
【0073】
このように、変形例の液体収容容器100の再利用方法において、液体収容体60と液体供給口部52とは、同じ材質であることが好ましい。この方法によれば、液体収容体60と液体供給口部52とが同じ材質であるので、環境に考慮された、液体収容容器100のモノマテリアル化に寄与することができる。
【符号の説明】
【0074】
11…液体噴射装置、12…外装体、13…容器、13a…開口、14…装着部、15…前蓋、16…カセット、17…装着口、18…排出トレイ、19…操作パネル、24…枠体、25…挿入口、29…接続機構、29F…第1接続機構、29S…第2接続機構、30…供給流路、31…供給機構、32…インク導入針、33…供給チューブ、38…アーム、39…係止部、40…端子部、41…電気回線、42…制御装置、44…ブロック、45,46…位置決め突部、47…押出機構、47a…枠部材、47b…押圧部、47c…付勢部、48…液受部、50…装着体、51…接続構造、51F…第1接続構造、51S…第2接続構造、52…液体導出部、液体供給口部、53…接続端子、53a…凹部、53g…案内凹部、54…識別部、55…第1位置決め穴、55a,55b…第1穴、56…第2位置決め穴、56a,56b…第2穴、57…付勢受部、58…挿入部、59…爪部、60…液体収容体、60a…一端部、60A1…第1端部、60A2…第2端部、60b…他端部、60c…液体収容部、60d…開口部、60x…第1部材、60y…第2部材、61…アダプター、61a…蓋部材、61b…底部材、61c…第1突起、61d…第2突起、62…取っ手部、62a…把持部、62b…軸部、63…回動軸、65…係合受部、66…液体導出部材、66a…溶着部、66c…第1貫通孔、66d…第2貫通孔、66s…固定部、67…底板、68…側板、69…前板、70…先板、72…被案内部、72a…規制部、72b…曲面部、73…案内部、73a…規制部、73b…曲面部、75…突起部、76…係合穴、78…係合溝、80…液体導出管、81…第1流路部、82…第2流路部、85…連結部材、86…係止部、90…スペーサー部材、94…背面部材、100…液体収容容器、101…液体収容容器、102…液体収容容器、160…液体収容体、160A1…第1端部、160A2…第2端部、260A2…第3端部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13