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特開2024-15451遠心力による荷重を受けた物体の歪み測定方法と装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015451
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】遠心力による荷重を受けた物体の歪み測定方法と装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/16 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
G01B11/16 H
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023213185
(22)【出願日】2023-12-18
(62)【分割の表示】P 2021568588の分割
【原出願日】2020-05-15
(31)【優先権主張番号】102019113154.5
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】511040469
【氏名又は名称】シェンク ロテック ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュベック アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ハートナーゲル マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ヒル コンスタンティン
(57)【要約】
【課題】遠心力による荷重を受ける物体の費用対効果が高く簡単な歪み測定を提供する。
【解決手段】遠心力による荷重を受けたロータ(2)の歪が測定される。ロータは、駆動装置に接続することが可能な回転試験リグ(1)の受入れ部に導入され、カメラ(4)及び短期照明ユニット(6)がトリガされ、ロータの表面の少なくとも一つの領域が撮像される。この最初の画像が開始状態として評価ユニット(8)へ送信される。ロータは加速され、少なくとも一つの回転速度において、カメラ及び短期照明ユニットが再びトリガされ、以前に撮像された表面領域の少なくとも一つのさらなる画像が撮像され、測定状態として評価ユニットへ送信される。評価ユニットは、デジタル画像相関を用いて、撮像された表面領域におけるロータの歪を計算し、カメラの画像センサの露出時間が短期照明ユニットから来る照明の持続期間から決定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心力による荷重を受けたロータ(2)の歪みを測定する方法であって、
駆動装置に接続可能なスピン試験装置(1)の受け部(3)に前記ロータ(2)を導入し、カメラ(4)及び短期照明ユニット(6)としての短期レーザをトリガして前記ロータ(2)の表面の少なくとも1つの領域を撮像し、開始状態としてのこの最初の画像を評価ユニット(8)へ送信し、
前記ロータ(2)を加速させ、少なくとも1つの回転速度において、前記カメラ(4)及び短期照明ユニット(6)としての前記短期レーザを再びトリガして前記表面の以前に撮像した前記領域の少なくとも1つのさらなる画像を撮像し、測定状態としてのこの画像を前記評価ユニット(8)へ送信し、
前記評価ユニット(8)がデジタル画像相関を用いて前記表面の撮像した前記領域における前記ロータ(2)の歪みを計算し、前記カメラ(4)のイメージセンサの露光時間は、前記短期レーザ(6)から来る照明の持続時間から決定される、方法。
【請求項2】
前記カメラ(4)のシャッタは、回転している前記ロータ(2)が撮像される前に、開位置にされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基準センサ(9)によって前記ロータの前記表面又は前記ロータの受け部に付された基準マークが検出されたとき、前記カメラ(4)及び/又は前記短期照明ユニット(6)をトリガする工程が開始される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
基準センサ(9)によって前記ロータ(2)の前記表面又は前記ロータの受け部に付された基準マークが検出されたとき、前記カメラ(4)及び/又は前記短期照明ユニット(6)をトリガする工程が遅延を伴って開始される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記評価ユニット(8)は、前記測定状態で撮像された画像を、前記開始状態で撮像された画像と比較し、前記表面の撮像された前記領域における光学的に認識可能な表面パターンの変位に基づいて、前記ロータ(2)の歪を計算する、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記表面パターンは、前記ロータ(2)の自然状態の表面構造により生成されたものである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
複数の画像の撮像された前記領域におけるグラフィック要素は、前記画像を同期するために用いられる、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
遠心力による荷重を受けたロータ(2)の歪みを測定する装置であって、
前記ロータ(2)を受けるための受け部を有し駆動装置に回転可能に接続可能なスピン試験装置(1)と、
前記ロータ(2)からある距離だけ離れて配置され、前記ロータ(2)の表面の少なくとも1つの領域の画像を撮像可能なように前記ロータ(2)に対して配置されたカメラ(4)と、
前記ロータ(2)を照明するための短期照明ユニット(6)として設けられた短期レーザと、を備え、前記カメラ(4)のイメージセンサの露光時間は、前記短期レーザ(6)から来る照明の持続時間から決定可能である、装置。
【請求項9】
前記装置は、前記ロータ(2)に対して前記撮像カメラ(4)の位置を変化させることを可能にする位置決め手段を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、前記ロータからある距離に配置され、前記ロータの表面に付された基準マークを検出するためのセンサ(9)を備えている、請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記カメラ(4)は、チルトシフトアダプタ、又はチルトアダプタ及び/又はシフトアダプタ(10)を有する、請求項8~10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記カメラ(4)は、チルトシフトレンズ(10)を有する、請求項8~10のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記装置は、第2のカメラ(11)を備えている、請求項8~12のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピン試験リグにおいて遠心力による荷重を受けたロータの歪みを測定する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転体に作用する荷重を測定するため、ロータ等の物体を作動回転速度範囲又はそれ以上で作動させるスピン試験リグが使用されている。さらに、ロータは、例えば、回転速度の周期的な変化や温度の変動にさらされ得る。
【0003】
ロータの変化を測定又は決定するため、例えば、歪みゲージを使ってロータの伸張、すなわち歪みが測定される。しかし、ここでの欠点は、測定が個々の測定点に限られ、全面的な測定ができないことである。さらに、歪みゲージの使用には労力と時間が掛かり、ロータの測定には無線信号の送信も必要となる。さらに、その大きさのため、歪み計測は、微細構造には適していない。さらに、接着剤による接合のため、検査すべき構造の意図せぬ補強を生じてしまう。
【0004】
また、荷重のかかった物体を撮像し、デジタル画像相関を用いて荷重を決定することも知られている。例えば、EP1 510 809A1には、アンプル等の製品を試験する装置が開示されており、この装置では、回転するカメラタワーに取り付けられたカメラが試験片の画像を生成し、下流の評価システムに供給される。カメラは試験片と一緒に回転するか、又は、カメラが回転している間に試験片が完全に回転することができ、その結果、試験片の表面全体がカメラにアクセス可能となる。
【0005】
WO2010/089139A1は、カメラのレンズが少なくとも1つの光学的に検出可能なマーキングに向けられ、そのマーキングがマトリクスセンサ上に撮像される方法を記載している。画像データは、画像認識を行う画像処理装置によって供給され、画像フィールド内のマーキングの位置が決定され、少なくとも1つの目標値からのマーキングの位置の偏差が演算装置によって決定され、画像フィールド内のマーキングの位置に基づいて数値化される。
【0006】
DE60 2006 000 063T2は、タービンガスプラント用部品のその場監視が示されており、そこにはカメラと光源が装備され、回転する部品を光源が照明しながら、カメラが部品の画像を受信する。この方法の欠点は、変位の測定と形状検出のための2つの異なる複雑な測定システムを提供するための高額な費用である。
【0007】
WO2009/143848A2には、風力タービン用の回転翼が示されている。複数の光源及び光センサが回転翼上に配置され、回転翼の回転に伴う光源の位置の変化がセンサによって検出可能である。風力タービンのための回転翼は、WO2009/143849A2から知られており、その上には複数のマーカ及び光センサが配置されている。回転翼の回転に伴うマーカの位置の変化がセンサによって検出可能である。
【0008】
さらに、スペックル干渉法は、あらゆる部品の変位及び/又は変形の非接触で広範囲な検出を可能とする。2Dおよび3Dのスペックル干渉計が知られており、2又は3座標軸で変形を決定することができる。この目的のために、表面上の点の1又は複数の方向の変位の成分が、スペックル干渉計で測定され、対象物の座標系または多数の点の空間座標系に変換される。このように、EP0 731 335Aは、主に荷重下で発生する対象物の望ましくない変形を決定するためのこのような方法が示されており、この方法では、特殊なシアログラフィ法に従ってスペックル干渉計が使用される。しかしながら、この場合、対象物の形状は決定されない。この装置は、2つの独立したカメラと、2つのアームを持つマッハツェンダ干渉計を有する。
【0009】
DE10 2006 012 364A1は、ロータの少なくとも1つのロータ部品の位置状態を光学的に測定する方法を開示している。ここでは、ロータがその回転軸を中心に回転し、少なくとも1つのロータセグメントが光源で定常的またはパルス的に照明され、ビデオストロボスコープユニットのビデオカメラが照明されたセグメントに焦点合わせされる。ロータ部品の位置に応じて、トリガセンサによりトリガ信号が生成され、そのトリガ信号によりビデオストロボスコープユニットが位相的に正確に制御され、画像がカメラにより記録される。
【0010】
DE10 2013 110 632A1は、回転するロータの伸張を測定する方法に関し、距離センサがロータからある距離に配置され、ロータ表面と距離センサとの間の距離を非接触で検出する。
【0011】
DE10 2008 055 977A1は、回転する切削工具の変形を判定するための方法及び装置を記載しており、この装置では、工具の半径方向の伸張が判定される。この装置は、測定ビームを放射する送信機と、測定ビームの受信強度を測定する受信機とを備えており、測定ビームは回転工具の円周面に沿って接線方向に走行し、工具の回転中に受信機で測定ビームの相対的な影を測定することができる。複数の送信機及び複数の受信機の適切な配置により、複数の測定ビームは、回転工具の異なる領域に沿って走行することができる。
【0012】
DE195 28 376A1は、回転する工具の非接触測定のための方法を開示しており、この方法では、光電式の測定経路が使用され、測定経路内に移動した工具の表面線による光ビームの遮断を、関連するフォトダイオードによって測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1 510 809A1
【特許文献2】国際公開第2010/089139A1
【特許文献3】独国特許公報60 2006 000 063T2
【特許文献4】国際公開第2009/143848A2
【特許文献5】国際公開第2009/143849A2
【特許文献6】欧州特許出願公開第0 731 335A
【特許文献7】独国特許出願公開10 2006 012 364A1
【特許文献8】独国特許出願公開10 2013 110 632A1
【特許文献9】独国特許出願公開10 2008 055 977A1
【特許文献10】独国特許出願公開195 28 376A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、遠心力による荷重を受ける物体の費用対効果が高く簡単な歪み測定を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
その目的は、請求項1および請求項8の特徴によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項で特定されている。
【0016】
本発明の目的は、遠心力による荷重を受けたロータの歪みを測定する方法によって達成され、この方法は、駆動装置に接続可能なスピン試験装置の受け部にロータを導入し、カメラ及び短期照明ユニットとしての短期レーザをトリガ又は起動してロータの表面の少なくとも1つの領域を撮像し、開始状態としてのこの最初の画像を評価ユニットへ送信し、ロータを加速させ、少なくとも1つの回転速度において、カメラ及び短期照明ユニットとしての短期レーザを再びトリガ又は起動して表面の以前に撮像した領域の少なくとも1つのさらなる画像を撮像し、この画像を測定状態として評価ユニットに送信し、ロータを加速して、少なくとも1つの回転速度で回転させる方法を提供することにより達成される。カメラおよび短期照明装置としての短期レーザが再びトリガされ、表面の以前に撮像した領域の少なくとも1つのさらなる画像を撮像し、測定状態としてのこの画像を評価ユニットへ送信し、評価ユニットがデジタル画像相関を用いて表面の撮像した領域におけるロータの歪みを計算し、カメラのイメージセンサの露光時間は、短期レーザから来る照明の持続時間から決定されることを特徴とする。本発明による方法は、特にカメラと短期照明ユニットとの間の複雑な同期が必要ないため、小さな装置構造を持つ、ロータについての簡単かつ迅速な歪み測定を可能とする。ロータは、開始状態および測定状態において、短期照明ユニットによって提供される照明のみによって排他的に照明される。この照明は、有利には、短期照明ユニット(これは、短期レーザ、特に短パルスレーザ又は超短パルスレーザなどのパルスレーザである)からの光パルスである。短期照明ユニットを使用することにより、低い程度のモーションブラーが達成され、ロータの動きが多少凍結される。
【0017】
さらに、本発明による方法は、既知の歪みゲージのように個々の測定点に制限されないので、観察された測定面の全面的な歪み測定が可能となる。測定状態で異なる回転速度で記録された複数の画像、又は、ロータの異なる表面領域を描写する画像を互いに同期することができ、それにより実質的にロータ全表面を見ることができる。
【0018】
本発明の文脈では、ロータとは回転する物体である。
【0019】
好ましい実施形態では、モーションブラーを許容限界以下に維持するため、観察される最大周速度により最大許容露光時間が決定される。さらに、この許容限界は、記録の所望の画像解像度によっても決定することができる。特に、より高い解像度は、より短い露光時間を要する。
【0020】
ロータまたはロータ受け部、特にロータ受け部アダプタの表面に付けられた基準マークが基準センサによって検出されると、カメラ及び/又は短期照明ユニットをトリガ又は起動する工程が開始されるようにすることができる。回転角度を参照することも、複数の記録画像の同期を可能にする。また、カメラ及び/又は短期照明ユニットのトリガが、参照マーカに対して遅れをもって行われると有利である。この場合、予め決定された角度オフセットを、ロータの既知の回転速度を用いて、カメラ及び/又は短期照明ユニットのトリガが行われるまでの遅延時間又は待ち時間に変換することができる。これは、ロータを異なる角度位置で記録することができることを意味する。
【0021】
一実施形態において、評価ユニットが、測定状態で撮像された画像を開始状態で撮像された画像と比較し、表面の撮像された領域における光学的に認識可能な表面パターンの変位に基づいて、ロータの歪みを計算するようにして、歪みを計算することができる。光学的に認識可能な表面パターンは、特に、それに基づいて変位を決定することができる基準点を形成する。一方で、表面パターンは、ロータの自然状態の表面構造によって形成され得る。これは、測定されるロータのランダムだが特定的な表面特徴を使用して、ロータに対する遠心力の影響、したがって、発生した自然のままのこれら表面特徴の任意の変位を判断することができることを意味する。これは、例えば、ロータの溝であり得る。しかしながら、表面パターンがロータ表面に付されたマーキングの一部である場合も有利である。この場合、表面パターンは、観察すべき歪みがすべての表面ポイントで見えるように細かく分解されていると有利である。
【0022】
さらに、複数の画像の撮像された領域にあるグラフィック要素を用いて、画像を同期させることができる。光学的に認識可能なグラフィック要素を用いることにより、オフセットして記録された画像部分をまとめて、歪みの変化を表現するためのさらなる画像記録との同期が可能である。グラフィック要素は、例えば、光線の形で適用することができ、その結果、オフセットされた画像記録(並進および回転の両方)を、特に光線状のマークを一致させることによって、互いに整列させることができる。しかしながら、グラフィック要素として、例えばカラーマーキングなどのランダムなパターンを適用することも可能であり、それによって複数の記録を互いに整列させることも可能である。
【0023】
さらに、本発明は、遠心力による荷重を受けたロータの歪みを測定する装置であって、ロータを受け入れるための受け部を有し駆動装置に回転可能に接続可能なスピン試験リグ又は装置と、ロータからある距離だけ離れて配置され、ロータの表面の少なくとも1つの領域の画像を撮像可能なようにロータに対して配置されたカメラと、ロータを照明するための短期照明ユニットとして設けられた短期レーザと、を備え、カメラのイメージセンサの露光時間は、短期レーザから来る照明の持続時間から決定可能である。好ましい実施形態では、上述の方法を実行するために装置が使用され、上述の実施形態および利点を装置にも適用することができる。先行技術では、高速度カメラに加えて、複雑な照明システムを使用して、遠心力による荷重を受けた物体の歪みが測定される。ここでは、高速度カメラのシャッタ開時間によってモーションブラーの回避が決定されており、これは非常に短い露光時間の場合においては解像度の制限にもつながる。さらに、高速度カメラと照明システムは、複雑な方法で同期させなければならない。本発明による装置の場合、カメラと短期照明装置のみが使用され、短期照明ユニットによって提供される光によってのみロータが照らされ、これによりロータの動きが凍結される。これは、低い度合のモーションブラーを結果として生じる。他の利点は、より高速なロータの周速度であっても、高い画像シャープネス又は鮮明度、かくして高い空間分解能が得られることである。さらに、低い機器要求により、装置は、既知のシステムに比べて大幅に費用対効果が高く経済的である。
【0024】
一実施形態では、装置は、カメラの位置をロータに対して変更可能な位置決め手段を備えている。例えば、位置決め手段を用いて、カメラとロータの間の距離を調整することができる。ここでは、カメラを支持し、スピン試験装置内に配置可能な高さ調整可能な三脚が有利であり得る。また、対応するカメラホルダを、スピン試験リグのハウジングに設けることもできる。カメラとロータの間の距離は、手動または自動で変更可能である。
【0025】
本発明による方法及び装置を用いることにより、遠心力と熱膨張による回転する物体の径方向の伸張の測定を簡単な装置で実行することができる。
【0026】
本発明は、図面に示されている本発明の実施形態を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は好ましいデバイスの例示的な構造を示す。
図2図2はイルミネーションの遅延トリガを示す。
図3図3はチルトアダプタを有するカメラを用いた実施形態を示す。
図4図4は2台のカメラを有する実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、好ましい装置の例示的な構造を示している。スピン試験装置又はスピン試験リグ1は、通常、複数の保護リングを備えたハウジングで構成されている。ハウジングの中央部には、測定対象のロータ2を接続可能なドライブ又は駆動装置が設けられている。この目的のために、スピン試験リグ1は、ロータ2を固定する対応するベアリングまたはアダプタ3を有している。図1では、スピン試験リグ1またはその構成要素は概略的にのみ示されている。取り付けられたロータ2の反対側には、カメラ4がロータからある距離だけ離れて、特に有利には、ロータの表面が記録可能なように配置されている。カメラ4は、例えば、スピン試験装置1のハウジング上のホルダ5に取り付けることができる。ホルダ5は、この場合、ロータ2に対するカメラ4の位置を変更する位置決め手段を有し、例えば、ロータ2とカメラ4との間の距離を変更させ、及び/又は、ロータ2に対してカメラ4を軸方向に変位させることが可能である。位置決め手段は、手動又は自動であることができ、特に電気式、空気圧式、油圧式である。電気的な位置決め手段の例は、制御された方法で距離を変更することができるリニアモータである。ハウジングに取り付けられ、対応する位置決め手段を有する三脚も、カメラ4の取り付けまたは保持5に有用である。カメラ4は、例えば、デジタルカメラとすることができる。
【0029】
また、ロータ2を照明するための短期照明ユニット6がハウジングに取り付けられている。短期照明ユニット6は、好ましくは、短期照明ユニット6に面するロータ2の表面が実質的に均一に照らされるように、ロータ2に対して相対的に配置される。さらに、短期照明ユニット6は、破線で示されるカメラ4のビーム経路に突出しない方が有利である。カメラ4および短期照明ユニット6は、例えば、カメラ4および短期照明ユニット6のトリガを制御することができる、対応する制御及び監視装置7に接続することができる。さらに、カメラ4および短期照明ユニット6は、評価ユニット8に接続されており、この評価ユニットは、例えば、コンピュータ、タブレット、または他の任意の処理ユニットとすることができる。制御及び監視装置7は、評価ユニット8によって制御及び監視することもできる。
【0030】
ロータからある距離だけ離れた場所に配置されたセンサ9を用いて、例えばロータ表面又はロータ受け部アダプタに印加された基準信号、例えば基準マークを、非接触で検出することができる。これは、例えば、磁気センサ又は静電容量センサであり、光学マークでもよい。
【0031】
遠心力による荷重を受けたロータ2の歪みを測定するため、ロータ2が受け部3に導入された後、カメラ4と短期照明ユニット6を起動してロータ2の表面の少なくとも1つの領域を写真撮影することにより、ロータ2の開始状態の少なくとも1つの記録が行われる。この最初の記録は、開始状態の画像として評価ユニット8に送信される。もちろん、ロータ2の表面の複数の領域を撮像することにより、複数のこのような基準記録を行うことも可能である。
【0032】
その後、ロータ2は、選択可能な回転速度まで加速され、この回転速度は、例えば、作動回転速度又はこれよりも高い回転速度に対応することができる。回転速度又は回転速度範囲に達すると、カメラ2による画像記録は、特に、短期照明ユニット6が再びトリガされ、ロータ2が照明され、カメラ4のイメージセンサが適切に露光されることにより達成される。カメラ4のシャッタは、特に制御及び監視装置7によって制御され、回転するロータ2が撮像される前に、すでに開位置にすることができる。短期照明ユニット6による照明のトリガは、この目的のために遅延させて行うことができる。スピン試験リグ1にはさらなる光源がないので、ロータ2は短期照明ユニット6によって排他的に照明される。これは、短期照明ユニット6によって提供される照明のみが、カメラ4のイメージセンサの露光に使用されることを意味し、カメラ4と短期照明ユニット6との間の複雑な同期は必要ない。短期照明は、特に、レーザからの光パルスである。
【0033】
ロータ2の動きが所望の空間分解能で多少凍結されているように見え、低い程度のモーションブラーが達成されるように、短期照明は有利に選択される。例えば、20,000rpmの最大回転速度で最大0.1ピクセルのモーションブラーが望まれる場合、照明の持続時間は15ナノ秒から25ナノ秒の範囲にすることができる。一方、モーションブラーが最大2ピクセルで、ロータ速度が15,000rpmであるべき場合、照明は30ナノ秒から40ナノ秒程度だけ継続し得る。10ナノ秒以下の照明持続時間は、高い周速度と0.1ピクセル以下の所望のモーションブラーのために有利であり得る。
【0034】
本発明の文脈では、100ナノ秒未満の照明を、短期照明と言及することができ、照明の持続時間は、ピクセルまたはサブピクセル範囲での所望のシャープネスと、ロータ2の周速度に依存する。つまり、所望の空間分解能は、あるシャープネスを必要とし、その結果、所望の周速度に対する最大の短期照明持続時間が得られる。周速度が高いほど、また、所望のシャープネスが高いほど、あるいは所望のモーションブラーが低いほど、短期照明ユニット6の照明持続時間は有利に短く構成される。
【0035】
カメラのシャッタは、画像が記録された後、例えば所定の遅延時間の後に閉じることができる。しかしながら、要求に応じて、シャッタをより長い時間だけ開位置に保持することもでき、フォトセンサは短期照明ユニット6から来る照明によってのみ露出される。これは、画像記録のトリガが短期照明ユニット6から生じることを意味する。
【0036】
表面の以前に撮像された領域の少なくとも1つのさらなる画像は、測定状態として評価ユニット8に送信される。もちろん、異なる回転速度で、あるいは同じ回転速度で、複数の写真を撮影することも可能である。そして、評価ユニット8は、デジタル画像の相関関係を用いて、表面の撮像された表面におけるロータ2の歪みを決定する。ここでは、開始状態の表面の画像が基準画像として使用され、測定状態の画像(すなわち、荷重が掛かった状態のロータ2の画像)が基準画像と比較される。ここで、ロータ2の自然のままの表面構造によって生成されたグラフィック要素、又は、ロータ表面に付されたマーキングの構成要素であるグラフィック要素を、複数の画像を互いに一致させるために使用することができる。実質的に完全なロータ表面の記録を、基準記録または開始状態として格納することが有益であるので、グラフィック要素を使用して、開始状態と測定状態を比較するだけでなく、開始状態と測定状態を互いに同期させることにより、記録を互いに一致させることができる。これにより、ロータ2の全面的な観察が可能となる。また、剛体の変位を排除することができる。
【0037】
また、ロータ2に対するカメラ4の位置を変えて、異なる位置又は角度からロータ2を撮像する場合にも、グラフィック要素は有利である。グラフィック要素を使用することにより、異なる画像を互いに一致させることができる。
【0038】
図2は、照明の遅延トリガを模式的に示している。ロータ2からある距離だけ離れて配置され、例えばロータ2の表面にある基準マークを非接触で検出する基準センサ9を使用することにより、短期照明ユニット6を定義された角度で制御することができる。基準マークは、1回転毎に1回検出される。予め決定可能な角度オフセットは、既知の回転速度を用いて、短期照明ユニット6がトリガされ、カメラ(図示せず)によって画像が記録されるまでの待ち時間に変換される。その結果、ロータ2を異なる角度位置でカメラにより撮像することができる。記録された画像は、ロータ表面にマーキングとして存在する記録されたグラフィック要素を用いて、互いに同期させることができる。
【0039】
図3は、チルトアダプタを有するカメラを備えた実施形態を示している。カメラ4は、チルトシフトアダプタ、又はチルトアダプタ及び/又はシフトアダプタ10を有するように提供することができる。代替的に、カメラ4がチルトシフトレンズ10を有することも可能である。アダプタまたはチルトシフトレンズは、図3に例として示されている。ロータ2の最適な照明は、短期照明ユニット6に面するロータ2の表面が実質的に均一に照明されるように、短期照明ユニット6がロータ2に対して相対的に配置されたときに達成される。ここで、短期照明ユニット6は、特に、短期照明ユニット6から来る光ビームが実質的に同時にロータ表面に当たるように、あるいは、短期照明ユニット6から来る光円錐が当該照明ユニットに面するロータ2の表面を完全に照明するように、ロータ2に対して相対的に配置される。図3から分かるように、カメラ4は、短期照明ユニット6がカメラ4のビームパス内にないように、ロータ2に対して斜めに整列させることができる。傾斜した焦点面を実現するため、チルトアダプタ10等を用いることができる。
【0040】
図4は、2台のカメラを用いた実施形態を示している。この実施形態でも、短期照明ユニット6は、ロータ2の均一な照明を実現するために、ロータ2に対して中央に配置されている。さらに、本実施形態は、第1のカメラ4と同様にロータ2に対して斜めに配置され、例えばチルトアダプタ10を有する第2のカメラ11を備えている。カメラ4,11は、同時に、または順次にトリガすることができる。トリガは、カメラ4,11のシャッタが開かれ、ロータ2が短期照明ユニット6によって短時間照明され、それによってカメラ4,11のイメージセンサが露光されるように行われることができる。両方のカメラ4,11の同時記録を達成するため、短期照明ユニット6がトリガされてロータ2を照明するときに、両方のカメラ4,11のシャッタが開かれる。このとき、光の通過時間が、両方のイメージセンサの露光が実質的に正確に同期することを確実にする。その後、両方のカメラ4,11のシャッタが再び閉じられる。シャッタの閉鎖は、非同期の方法で行うこともでき、画像センサの露光終了後、又は照明終了後に行われると有利である。第2のカメラ11を使用することにより、ロータ2の軸方向の動き、すなわちロータ2の下降または上昇を測定することができる3D測定が可能である。この軸方向の動きは、歪みの測定を偽るものであり、好ましい実施形態によって検出され、歪みの計算から除外することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 スピン試験リグ
2 ロータ
3 受け部
4 カメラ
5 ホルダ
6 短期照明ユニット
7 制御及び監視装置
8 評価ユニット
9 センサ
10 チルトシフトアダプタ、チルトシフトレンズ
11 カメラ
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠心力による荷重を受けたロータ(2)の歪みを測定する方法であって、
駆動装置に接続可能なスピン試験装置(1)の受け部(3)に前記ロータ(2)を導入し、カメラ(4)及び短期照明ユニット(6)としての短期レーザをトリガして前記ロータ(2)の表面の少なくとも1つの領域を撮像し、開始状態としてのこの最初の画像を評価ユニット(8)へ送信し、
前記ロータ(2)を加速させ、少なくとも1つの回転速度において、前記カメラ(4)及び短期照明ユニット(6)としての前記短期レーザを再びトリガして前記表面の以前に撮像した前記領域の少なくとも1つのさらなる画像を撮像し、測定状態としてのこの画像を前記評価ユニット(8)へ送信し、
前記評価ユニット(8)がデジタル画像相関を用いて前記表面の撮像した前記領域における前記ロータ(2)の歪みを計算し、前記カメラ(4)のイメージセンサの露光時間は、前記短期レーザ(6)から来る照明の持続時間から決定され
前記評価ユニット(8)は、前記測定状態で撮像された画像を、前記開始状態で撮像された画像と比較し、前記表面の撮像された前記領域における光学的に認識可能な表面パターンの変位に基づいて、前記ロータ(2)の歪を計算する、方法。
【請求項2】
前記カメラ(4)のシャッタは、回転している前記ロータ(2)が撮像される前に、開位置にされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基準センサ(9)によって前記ロータの前記表面又は前記ロータの受け部に付された基準マークが検出されたとき、前記カメラ(4)及び/又は前記短期照明ユニット(6)をトリガする工程が開始される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
基準センサ(9)によって前記ロータ(2)の前記表面又は前記ロータの受け部に付された基準マークが検出されたとき、前記カメラ(4)及び/又は前記短期照明ユニット(6)をトリガする工程が遅延を伴って開始される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記表面パターンは、前記ロータ(2)の自然状態の表面構造により生成されたものである、請求項に記載の方法。
【請求項6】
複数の画像の撮像された前記領域におけるグラフィック要素は、前記画像を同期するために用いられる、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
遠心力による荷重を受けたロータ(2)の歪みを測定する装置であって、
前記ロータ(2)を受けるための受け部を有し駆動装置に回転可能に接続可能なスピン試験装置(1)と、
前記ロータ(2)からある距離だけ離れて配置され、前記ロータ(2)の表面の少なくとも1つの領域の画像を撮像可能なように前記ロータ(2)に対して配置されたカメラ(4)と、
前記ロータ(2)を照明するための短期照明ユニット(6)として設けられた短期レーザと、を備え、前記カメラ(4)のイメージセンサの露光時間は、前記短期レーザ(6)から来る照明の持続時間から決定可能である、装置。
【請求項8】
前記装置は、前記ロータ(2)に対して前記撮像カメラ(4)の位置を変化させることを可能にする位置決め手段を有する、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、前記ロータからある距離に配置され、前記ロータの表面に付された基準マークを検出するためのセンサ(9)を備えている、請求項又はに記載の装置。
【請求項10】
前記カメラ(4)は、チルトシフトアダプタ、又はチルトアダプタ及び/又はシフトアダプタ(10)を有する、請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記カメラ(4)は、チルトシフトレンズ(10)を有する、請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、第2のカメラ(11)を備えている、請求項11のいずれかに記載の装置。