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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154515
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】レバー式コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/629 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H01R13/629
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068346
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 義紀
(72)【発明者】
【氏名】中山 勇樹
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FC05
5E021FC25
5E021FC40
5E021HB03
5E021HB04
5E021HB05
(57)【要約】
【課題】レバー保護位置でのレバー部材の保持力を維持し続けること。
【解決手段】レバー部材50は、モーメントアームにおける回転軸21から最も離れた位置の端部に配置された操作部52と、嵌合可能状態で且つ抜去可能状態のときの第1レバー位置から嵌合完了状態のときの第2レバー位置へと筐体20に対して一方に回動させることでコネクタ嵌合力を作用させ、第2レバー位置から第1レバー位置へと筐体に対して他方に回動させることでコネクタ抜去力を作用させる挿抜補助部53と、を有し、筐体は、レバー部材を第1レバー位置から第2レバー位置とは逆側に回動させた先のレバー保護位置で操作部を係止し、レバー部材のレバー保護位置の先への過回動を抑止するレバー保護部22を有し、操作部は、第1保持部52cを有し、レバー保護部は、レバー保護位置で第1保持部を係止して、レバー部材をレバー保護位置に止める第2保持部22bを有すること。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子金具と、
前記端子金具を収容する筐体と、
前記筐体との間の回転軸の軸周りに回動可能で、その回動に伴うコネクタ嵌合力又はコネクタ抜去力を相手方コネクタとの間で作用させるレバー部材と、
を備え、
前記レバー部材は、前記回転軸の軸周りに回動可能なアーム部と、前記アーム部に連接させ、かつ、前記回転軸を回転中心とする前記アーム部のモーメントアームにおける前記回転軸から最も離れた位置の端部に配置された力点としての操作部と、コネクタ間が嵌合可能状態で且つ抜去可能状態のときの第1レバー位置からコネクタ間が嵌合完了状態のときの第2レバー位置へと前記筐体に対して前記回転軸の軸周りで一方に回動させることで前記コネクタ嵌合力を前記相手方コネクタに作用させ、前記第2レバー位置から前記第1レバー位置へと前記筐体に対して前記回転軸の軸周りで他方に回動させることで前記コネクタ抜去力を前記相手方コネクタに作用させる挿抜補助部と、を有し、
前記筐体は、前記レバー部材を前記第1レバー位置から前記第2レバー位置とは逆側に回動させた先のレバー保護位置で前記操作部を係止し、前記レバー部材の前記レバー保護位置の先への過回動を抑止するレバー保護部を有し、
前記操作部は、第1保持部を有し、
前記レバー保護部は、前記レバー保護位置で前記第1保持部を係止して、前記レバー部材を前記レバー保護位置に止める第2保持部を有することを特徴としたレバー式コネクタ。
【請求項2】
前記レバー保護部は、前記操作部の操作主体を前面側で係止して、前記レバー部材の前記レバー保護位置の先への過回動を抑止する第1レバー係止壁と、前記第1レバー位置から前記レバー保護位置に向けて回動させた前記レバー部材における突起状の前記第1保持部からの押圧力で撓み、その撓みを背面側への前記第1保持部の乗り越えと共に解消させる可撓部と、を有し、
前記操作主体は、前記第1保持部が前記可撓部を乗り越えた際に前記第1レバー係止壁に当接させ、
前記可撓部は、前記レバー部材を前記第1レバー位置から前記レバー保護位置に向けて回動させた際に、当接した前記第1保持部から前記押圧力を受ける前記前面側の加圧壁と、前記加圧壁の裏側に位置する壁であり、背面側に乗り越えた前記第1保持部を係止して、前記レバー部材を前記レバー保護位置に止める前記第2保持部としての第2レバー係止壁と、を有することを特徴とした請求項1に記載のレバー式コネクタ。
【請求項3】
前記レバー保護部は、前記前面側の一方の壁面を前記第1レバー係止壁とする板状に形成され、
前記レバー保護部の外周縁には、前記背面側から部分的に凹ませて、前記レバー保護位置で前記第1保持部を入り込ませる溝部と、前記溝部の溝底を前記第2レバー係止壁とする前記可撓部と、を設けることを特徴とした請求項2に記載のレバー式コネクタ。
【請求項4】
前記操作部は、レバー操作に際して操作者の手指を引っ掛けることが可能な操作補助部を有し、
前記操作補助部は、前記操作主体から突出させ、
前記第1保持部は、前記操作補助部から突起状に突出させることを特徴とした請求項2又は3に記載のレバー式コネクタ。
【請求項5】
前記筐体は、一対の前記レバー保護部を有し、
前記第1保持部は、前記レバー保護部毎に設けることを特徴とした請求項1,2又は3に記載のレバー式コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー式コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、嵌合コネクタにおいては、2つのコネクタの内の何れか一方に、コネクタ間の嵌合力の増加に要する嵌合補助力又はコネクタ間の抜去力の増加に要する抜去補助力を発生させるための挿抜補助構造が設けられたものが存在する。例えば、下記の特許文献1及び2には、その挿抜補助構造付きのコネクタとして、挿抜補助構造としてのレバー部材(所謂LIFレバー)を備えるレバー式コネクタについて開示されている。
【0003】
ここで、レバー式コネクタにおいては、レバー部材の品質を保つべく、搬送中やメンテナンス作業中にレバー部材を所定位置に保持し、回動可能な状態でレバー部材に荷重が加えられないようにしておくことが望ましい。特許文献1のレバー式コネクタにおいては、相手方コネクタに取り付ける直前までレバー部材を嵌合完了位置で待機させることによって、このレバー部材を保護することができる。嵌合完了位置とは、レバー式コネクタと相手方コネクタとの間が嵌合完了状態のとき(つまり、レバー式コネクタと相手方コネクタとの間が通電可能な状態のとき)のハウジングに対するレバー部材の相対的な位置である。このレバー式コネクタにおいては、嵌合完了状態でレバー部材をハウジングに保持させる保持構造を利用して、相手方コネクタに取り付ける直前までレバー部材を待機位置(嵌合完了位置)に待機させることができる。また、特許文献2のレバー式コネクタにおいては、レバー部材を挿抜可能位置から嵌合完了位置とは逆側に回動させた先にレバー保護位置を設定し、このレバー保護位置でレバー部材を待機させることによって、このレバー部材を保護することができる。挿抜可能位置とは、レバー式コネクタと相手方コネクタとの間が嵌合可能状態のときで且つレバー式コネクタと相手方コネクタとの間が抜去可能状態のとき(つまり、レバー式コネクタと相手方コネクタを嵌合完了状態へと嵌合接続させ始めることが可能で、かつ、レバー式コネクタと相手方コネクタを分離させることが可能な状態であり、その相互間が通電不能な状態のとき)のハウジングに対するレバー部材の相対的な位置である。このレバー式コネクタには、そのレバー保護位置でレバー部材を保持する仮保持構造が設けられている。その仮保持構造は、レバー保護位置でレバー部材のアーム部にハウジングの係止突起を嵌め込むなどして、レバー部材をレバー保護位置に保持するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-099267号公報
【特許文献2】特開平11-317255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のレバー式コネクタにおいては、レバー部材の嵌合完了位置が待機位置になっており、その嵌合完了位置でのレバー部材の保持構造が待機位置でのレバー部材の仮保持構造を兼ねている。このため、このレバー式コネクタにおいては、その保持構造による保持力が高く、待機位置からのレバー部材の操作性に着目するならば、改善の余地がある。一方、特許文献2のレバー式コネクタにおいては、嵌合完了位置と挿抜可能位置との間におけるレバー部材の回動軌跡上から外れた場所にレバー部材のレバー保護位置(待機位置)を設定しており、仮保持構造による保持力を例えば特許文献1のものよりも低く設定できるので、待機位置からのレバー部材の操作性が改善される。しかしながら、このレバー式コネクタにおいては、ハウジングの係止突起が半球の膨出部の如き形状を採っており、その保持力を仮保持に要する最小限の大きさにするため、係止突起の径を小さくしている。このレバー式コネクタにおいては、挿抜可能位置とレバー保護位置との間でレバー部材の操作が繰り返される度に係止突起とアーム部との間に摩擦力が加わるが、レバー部材の機能上、係止突起よりもアーム部の剛性が高いので、その操作が繰り返される度に係止突起とアーム部との間の保持力が徐々に低下していく可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、レバー保護位置でのレバー部材の保持力を維持し続けることが可能なレバー式コネクタを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、端子金具と、前記端子金具を収容する筐体と、前記筐体との間の回転軸の軸周りに回動可能で、その回動に伴うコネクタ嵌合力又はコネクタ抜去力を相手方コネクタとの間で作用させるレバー部材と、を備え、前記レバー部材は、前記回転軸の軸周りに回動可能なアーム部と、前記アーム部に連接させ、かつ、前記回転軸を回転中心とする前記アーム部のモーメントアームにおける前記回転軸から最も離れた位置の端部に配置された力点としての操作部と、コネクタ間が嵌合可能状態で且つ抜去可能状態のときの第1レバー位置からコネクタ間が嵌合完了状態のときの第2レバー位置へと前記筐体に対して前記回転軸の軸周りで一方に回動させることで前記コネクタ嵌合力を前記相手方コネクタに作用させ、前記第2レバー位置から前記第1レバー位置へと前記筐体に対して前記回転軸の軸周りで他方に回動させることで前記コネクタ抜去力を前記相手方コネクタに作用させる挿抜補助部と、を有し、前記筐体は、前記レバー部材を前記第1レバー位置から前記第2レバー位置とは逆側に回動させた先のレバー保護位置で前記操作部を係止し、前記レバー部材の前記レバー保護位置の先への過回動を抑止するレバー保護部を有し、前記操作部は、第1保持部を有し、前記レバー保護部は、前記レバー保護位置で前記第1保持部を係止して、前記レバー部材を前記レバー保護位置に止める第2保持部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るレバー式コネクタにおいては、第1保持部をレバー部材の操作部に設け、この第1保持部をレバー保護部の第2保持部に係止させる。つまり、このレバー式コネクタにおいては、レバー部材におけるモーメントアームの力点に寄せた場所の仮保持構造(第1保持部、第2保持部)で、このレバー部材をレバー保護部に保持させる。このため、このレバー式コネクタは、例えば、モーメントアームの力点から離れた場所でレバー部材を筐体に保持させる場合と比較して、仮保持構造における保持力を下げることができる。よって、このレバー式コネクタにおいては、その場合と比較して、レバー部材を第1レバー位置とレバー保護位置との間で動かした際に仮保持構造(第1保持部、第2保持部)に掛かる力を軽減させることができる。従って、本発明に係るレバー式コネクタにおいては、その仮保持構造の耐久性を向上させることができるので、レバー保護位置でのレバー部材の保持力を維持し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態のレバー式コネクタと相手方コネクタを示すコネクタ嵌合接続前の斜視図である。
図2図2は、レバー保護位置のレバー式コネクタを示す斜視図である。
図3図3は、レバー保護位置のレバー式コネクタを背面側から見た部分拡大図である。
図4図4は、レバー式コネクタを主要部品毎に分けた分解斜視図である。
図5図5は、第1レバー位置のレバー式コネクタを側方から見た平面図である。
図6図6は、第2レバー位置のレバー式コネクタを側方から見た平面図である。
図7図7は、レバー保護位置のレバー式コネクタを側方から見た平面図である。
図8図8は、図3のX1-X1線断面図である。
図9図9は、図3のX2-X2線断面を示す部分拡大図である。
図10図10は、第1保持部が可撓部の加圧壁に当接した際のレバー式コネクタを側方から見た平面図である。
図11図11は、図10のX3-X3線断面を90度回転させて示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係るレバー式コネクタの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
[実施形態]
本発明に係るレバー式コネクタの実施形態の1つを図1から図11に基づいて説明する。
【0012】
図1から図11の符号1は、本実施形態のレバー式コネクタを示す。ここで例示するレバー式コネクタ1は、相手方コネクタ501に対して挿抜自在に構成されたものである(図1)。レバー式コネクタ1と相手方コネクタ501は、その相互間(以下、「コネクタ間」という。)が嵌合完了状態のときに互いを電気的に接続させ、コネクタ間が嵌合可能状態であり且つ抜去可能状態である挿抜可能状態のときに互いの電気的な接続を遮断させる。このレバー式コネクタ1と相手方コネクタ501においては、コネクタ間が挿抜可能状態のときに、後述するレバー部材を回動操作して、挿抜可能位置のコネクタ間にコネクタ嵌合力を発生させることによって、嵌合完了状態となる嵌合完了位置までコネクタ間を相対移動させながら嵌合接続させる。また、このレバー式コネクタ1と相手方コネクタ501においては、コネクタ間が嵌合完了状態のときに、レバー部材を回動操作して、嵌合完了位置のコネクタ間にコネクタ抜去力を発生させることによって、挿抜可能状態となる挿抜可能位置までコネクタ間を相対移動させる。レバー式コネクタ1と相手方コネクタ501は、その挿抜可能状態のときに互いを引き離して分離させることができる。
【0013】
このレバー式コネクタ1は、端子金具10と、この端子金具10を収容する筐体20と、を備える(図1図2及び図4)。
【0014】
端子金具10は、金属等の導電性材料で成形される。この端子金具10は、相手方コネクタ501の相手方端子金具(図示略)との間で嵌合接続されて、相手方端子金具に対して物理的且つ電気的に接続させる。端子金具10と相手方端子金具は、その内の一方が雌端子金具として成形され、その内の他方が雄端子金具として成形される。ここで例示する端子金具10は、相手方端子金具との端子嵌合部が軸状に形成された第1雄端子金具10Aと、端子嵌合部が片体状に形成された第2雄端子金具10Bと、に大別される(図1図2及び図4)。
【0015】
筐体20は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。ここで例示する筐体20は、端子嵌合部を飛び出させたまま端子金具10を収容するフレーム部材30と、相手方コネクタ501を嵌入させ且つ相手方コネクタ501を筒内にて挿抜可能位置と嵌合完了位置との間で筒軸方向に沿って相対移動させる筒状のフード部40aを有し、その筒軸方向に沿ってコネクタ間が挿抜可能状態のときの第1フード位置(図1及び図5)とコネクタ間が嵌合完了状態のときの第2フード位置(図6)との間でフレーム部材30に対して相対移動させるフード部材40と、を備える(図1から図7)。この筐体20においては、後述するレバー部材の回動操作(以下、「レバー操作」という。)に伴って、そのフレーム部材30とフード部材40との間の相対移動が行われる。
【0016】
このフード部材40においては、その筒状のフード部40aの中に相手方コネクタ501の相手方フレーム部材530(図1)を筒軸方向に沿って嵌入させる。よって、相手方フレーム部材530は、フード部40aの筒形状に合わせた外観形状に成形される。相手方端子金具は、この相手方フレーム部材530に収容されている。
【0017】
筐体20においては、そのフレーム部材30とフード部材40がフード部40aの筒軸方向(以下、「コネクタ挿抜方向」ともいう。)に沿って相対移動し得るよう組み付けられている。フード部材40は、そのフード部40aと同軸上に配置され、フレーム部材30を嵌入させ且つフレーム部材30を筒内にて第1フード位置と第2フード位置との間でコネクタ挿抜方向に沿って相対移動させる筒状のフレーム収容部40bを有する(図1から図7)。
【0018】
このフード部材40においては、その筒状のフレーム収容部40bの中にフレーム部材30のフレーム主体31を筒軸方向に沿って嵌入させる(図1から図8)。よって、フレーム主体31は、フレーム収容部40bの筒形状に合わせた外観形状に成形される。端子金具10は、その端子嵌合部をフレーム主体31に収容されている。
【0019】
ここ例示するフード部材40は、筒状に形成された筒体41と、この筒体41の内方に配置され、この筒体41の内部空間を筒軸方向の一端側と他端側とに区画する平板状のプレート42と、を有する(図1図2図4及び図8)。このフード部材40においては、筒体41におけるプレート42よりも一端側をフード部40aとし、筒体41におけるプレート42よりも他端側をフレーム収容部40bとする(図1図2図4及び図8)。つまり、プレート42は、フード部40aとフレーム収容部40bの境界に配置されている。
【0020】
プレート42には、端子金具10の端子嵌合部を挿通させる貫通孔(以下、「端子挿通孔」という。)42aが端子金具10毎に形成されている(図4)。このプレート42は、コネクタ間が挿抜可能位置にあり、フード部材40が第1フード位置のときに(図1及び図5)、端子挿通孔42aを介して端子金具10の端子嵌合部の先端をフード部40aに侵入させておく。そして、このプレート42は、後述するレバー操作に伴いフード部材40が第1フード位置から第2フード位置へとフレーム部材30に対して相対移動した際に(図6)、フード部40aにおける端子金具10の端子嵌合部の飛出し量を第1フード位置での初期飛出し量よりも増加させる。つまり、このプレート42の端子挿通孔42aは、第1フード位置で端子金具10の端子嵌合部の先端をフード部40aに侵入させ、かつ、第2フード位置でフード部40aにおける端子金具10の端子嵌合部の飛出し量を第1フード位置のときよりも増加させる。コネクタ間においては、第2フード位置のフード部40aの中で、その端子金具10の端子嵌合部を相手方フレーム部材530の中の相手方端子金具に嵌合接続させることができる。また、プレート42は、後述するレバー操作に伴いフード部材40が第2フード位置から第1フード位置へとフレーム部材30に対して相対移動した際に(図1及び図5)、フード部40aにおける端子金具10の端子嵌合部の飛出し量を初期飛出し量に戻す。
【0021】
フレーム部材30には、プレート42を第1フード位置で係止する可撓性を持たせたプレート係止体32が複数箇所に設けられる(図1図2図4及び図8)。このプレート係止体32は、プレート42を第1フード位置で係止して、フード部材40を第1フード位置に止める。
【0022】
プレート係止体32は、フード部材40が第1フード位置のときにプレート42の端部をその板厚方向で挟み込む第1プレート係止突起32a及び第2プレート係止突起32bを有する(図1図2図4及び図8)。フード部材40が第1フード位置のときには、第1プレート係止突起32aがフード部40aの筒内に配置され、かつ、第2プレート係止突起32bがフレーム収容部40bの筒内に配置される(図1及び図8)。
【0023】
更に、このプレート係止体32は、プレート42の端部に対向配置させた対向壁から第1プレート係止突起32a及び第2プレート係止突起32bを突出させ、その対向配置方向で撓み変形可能なプレート係止片部32cを有する(図1図2図4及び図8)。このプレート係止片部32cは、フレーム収容部40bの中でフレーム主体31からプレート42に向けて筒軸方向に突出させた片持ちの片部である。プレート係止体32は、このプレート係止片部32cによって可撓性を持たせている。
【0024】
ここで、プレート42の端部には、プレート係止体32を挿通させる貫通孔(以下、「係止孔」という。)42bがプレート係止体32毎に形成されている(図1図2図4及び図8)。プレート係止片部32cは、その係止孔42bの内周面に対向配置させた対向壁から第1プレート係止突起32aと第2プレート係止突起32bを突出させる。ここ例示するプレート係止片部32cは、平板の片体形状に形成され、対向壁としての平面から第1プレート係止突起32aと第2プレート係止突起32bを突出させている。
【0025】
このプレート係止体32は、後述するレバー操作に伴いフード部材40が第1フード位置(図1及び図5)から第2フード位置(図6)へとフレーム部材30に対して相対移動した際に、フード部40aにおけるプレート係止片部32cの飛出し量を第1フード位置での初期飛出し量よりも増加させる。このため、このプレート係止体32においては、フード部材40が第1フード位置から第2フード位置へとフレーム部材30に対して相対移動する際に、プレート係止片部32cを係止孔42bの内周面から引き離す方向へと撓ませて、第1プレート係止突起32aと第2プレート係止突起32bによるプレート42の端部の挟み込みを解除させる。例えば、ここでは、プレート係止体32によるプレート42の端部の係止状態を解除するためのプレート係止解除部(図示略)を相手方フレーム部材530に設けておき、フード部40aの中で相手方フレーム部材530が挿抜可能位置から嵌合完了位置へと相対移動する際に、そのプレート係止解除部で第1プレート係止突起32aを押し動かして、プレート係止片部32cを係止孔42bの内周面から引き離す方向へと撓ませる。
【0026】
また、このプレート係止体32は、後述するレバー操作に伴いフード部材40が第2フード位置(図6)から第1フード位置(図1及び図5)へとフレーム部材30に対して相対移動した際に、フード部40aにおけるプレート係止片部32cの飛出し量を初期飛出し量に戻す。このため、このプレート係止体32においては、フード部材40が第2フード位置から第1フード位置へとフレーム部材30に対して相対移動する際に、プレート係止片部32cを係止孔42bの内周面から引き離す方向へと撓ませて、第1プレート係止突起32aと第2プレート係止突起32bにプレート42の端部が引っ掛からないようにする。例えば、ここでは、フード部40aの中で相手方フレーム部材530が嵌合完了位置から挿抜可能位置へと相対移動する際に、その相手方フレーム部材530のプレート係止解除部で第2プレート係止突起32bを押し動かして、プレート係止片部32cを係止孔42bの内周面から引き離す方向へと撓ませる。
【0027】
ここでは、フレーム部材30のフレーム主体31の外観形状が方体状に形成されている(図4)。そして、フード部材40においては、筒体41が角筒状に形成され、プレート42が矩形の平板状に形成されている(図4)。このフード部材40においては、方体状の相手方フレーム部材530を角筒状のフード部40aの中に嵌入させ、方体状のフレーム主体31を角筒状のフレーム収容部40bの中に嵌入させる。
【0028】
また、ここで示すフレーム部材30においては、フレーム主体31の外周面側に寄せて4つのプレート係止体32が配置されている(図4)。この4つのプレート係止体32は、その内の2つがプレート係止片部32cの対向壁同士を向かい合わせにして配置され、かつ、その内の残りの2つがプレート係止片部32cの対向壁同士を向かい合わせにして配置される。ここでは、それぞれの対になるプレート係止片部32cの対向壁同士を後述するレバー部材50の回転軸21の軸方向で対向配置させる。
【0029】
レバー式コネクタ1は、このようなフレーム部材30及びフード部材40を備える筐体20との間の回転軸21の軸周りに回動可能で、その回動に伴うコネクタ嵌合力又はコネクタ抜去力を相手方コネクタ501との間で作用させるレバー部材50を備える(図1から図7)。ここで例示する筐体20においては、その回転軸21をフレーム部材30に設けている(図4)。フレーム部材30は、同軸上で互いに逆向きに突出させた2本の回転軸21をフレーム主体31に有している。この回転軸21は、フレーム主体31における互いに平行な2つの外壁面からそれぞれに突出させる。
【0030】
レバー部材50は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。このレバー部材50は、回転軸21の軸周りに回動可能なアーム部51と、このアーム部51に連接させた操作部52と、を有する(図1から図7)。その操作部52は、回転軸21を回転中心とするアーム部51のモーメントアームにおける回転軸21から最も離れた位置の端部に配置され、レバー操作に際して、そのモーメントアームの力点として作用する。
【0031】
ここで例示するレバー部材50は、回転軸21の軸方向に間隔を空けて対向配置された2本のアーム部51を有する(図1から図4)。アーム部51は、回転軸21を軸支する軸受としての貫通孔51aを一端に有する(図1図2及び図4)。このレバー部材50においては、2本のアーム部51の他端同士を操作部52で連結している(図1図2及び図4)。
【0032】
その操作部52は、2本のアーム部51の他端同士を連結させる操作主体52aと、この操作主体52aを突出させ、レバー操作に際して操作者の手指を引っ掛けることが可能な操作補助部52bと、を有する(図1から図7)。操作補助部52bは、2本のアーム部51の間で略中央に設け、例えば、複数の段差を付けるなどして、操作者の手指を引っ掛け易くする。
【0033】
また、レバー部材50は、コネクタ間が挿抜可能状態のときの第1レバー位置(図1及び図5)からコネクタ間が嵌合完了状態のときの第2レバー位置(図6)へと筐体20に対して回転軸21の軸周りで一方に回動させることでコネクタ嵌合力を相手方コネクタ501との間に作用させ、第2レバー位置(図6)から第1レバー位置(図1及び図5)へと筐体20に対して回転軸21の軸周りで他方に回動させることでコネクタ抜去力を相手方コネクタ501との間に作用させる挿抜補助部53を有する(図1図2及び図4から図7)。
【0034】
レバー式コネクタ1においては、レバー部材50が第1レバー位置のときに、フード部材40がフレーム部材30に対して第1フード位置に配置される(図1及び図5)。また、このレバー式コネクタ1においては、レバー部材50が第2レバー位置のときに、フード部材40がフレーム部材30に対して第2フード位置に配置される(図6)。
【0035】
挿抜補助部53は、アーム部51におけるモーメントアームの一端と他端との間に設けた貫通孔であり、アーム部51毎に設ける。この2つの挿抜補助部53は、回転軸21の軸方向に投影させた投影形状が同一形状で、アーム部51の他端側に向けて凸となる弧状の貫通孔である。貫通孔51a(回転軸21)は、この挿抜補助部53よりもアーム部51の一端側に配置される。
【0036】
この挿抜補助部53には、コネクタ嵌合力又はコネクタ抜去力をレバー部材50から受ける相手方コネクタ501のガイド軸511が挿入される(図1)。この挿抜補助部53は、そのガイド軸511をレバー操作に連動させて周方向の一端と他端との間で案内する。そのガイド軸511は、挿抜補助部53に案内されながら摺動し、この挿抜補助部53からコネクタ嵌合力又はコネクタ抜去力を受ける。このガイド軸511は、相手方フレーム部材530に設ける。ここで示すガイド軸511は、相手方フレーム部材530における互いに平行な2つの外壁面からそれぞれに突出させる。この2本のガイド軸511は、同軸上で互いに逆向きに突出させている。
【0037】
コネクタ間においては、挿抜可能状態のときにレバー部材50を第1レバー位置から第2レバー位置に向けて回転させることによって、その回転に伴い挿抜補助部53における弧状の外側の第1内壁面53aでガイド軸511を押し動かしながら当該第1内壁面53aに沿ってガイド軸511を挿抜補助部53の一端から他端へと案内する(図1図2及び図4から図7)。このコネクタ間においては、その挿抜補助部53の第1内壁面53aからガイド軸511に作用させた押圧力でコネクタ嵌合力が発生し、挿抜可能位置から嵌合完了位置へと相対移動する。
【0038】
また、このコネクタ間においては、嵌合完了状態のときにレバー部材50を第2レバー位置から第1レバー位置に向けて回転させることによって、その回転に伴い挿抜補助部53における弧状の内側の第2内壁面53bでガイド軸511を押し動かしながら当該第2内壁面53bに沿ってガイド軸511を挿抜補助部53の他端から一端へと案内する(図1図2及び図4から図7)。このコネクタ間においては、その挿抜補助部53の第2内壁面53bからガイド軸511に作用させた押圧力でコネクタ抜去力が発生し、嵌合完了位置から挿抜可能位置へと相対移動する。
【0039】
レバー式コネクタ1においては、レバー部材50を第1レバー位置から第2レバー位置とは逆側に回動させたその先で筐体20に仮保持させることによって、搬送中や相手方コネクタ501から取り外した状態でのレバー部材50の保護を図る。そこで、筐体20は、レバー部材50を第1レバー位置から第2レバー位置とは逆側に回動させた先のレバー保護位置で操作部52を係止し、このレバー部材50のレバー保護位置の先への過回動を抑止するレバー保護部22を有する(図1から図7及び図9)。
【0040】
レバー式コネクタ1においては、レバー部材50がレバー保護位置のときに、フード部材40がフレーム部材30に対して第1フード位置に配置される(図7)。
【0041】
レバー保護部22は、レバー部材50を第1レバー位置から第2レバー位置とは逆側に回動させた際に、操作部52の操作主体52aを前面側で係止して、レバー部材50のレバー保護位置の先への過回動を抑止する第1レバー係止壁22aを有する(図1図4から図7及び図9)。ここで示すレバー保護部22においては、便宜上、そのレバー部材50の回動に伴って操作部52の操作主体52aと向かい合う側を前面と称する。このレバー保護部22は、板状に形成され、その前面側の一方の壁面を操作主体52aに向かい合わせて第1レバー係止壁22aとする。よって、レバー保護部22は、その操作主体52aから第1レバー係止壁22aが受けた力で撓み変形させぬ板厚のものとして形成されている。
【0042】
筐体20は、一対のレバー保護部22を有している。筐体20においては、この一対のレバー保護部22が回転軸21の軸方向に間隔を空けて配置される。この一対のレバー保護部22は、フード部材40のフレーム収容部40bから突出させる。レバー部材50は、レバー保護位置にて、操作主体52aにおけるそれぞれのアーム部51側を各々のレバー保護部22の第1レバー係止壁22aに係止させ、それぞれのレバー保護部22の間に操作補助部52bを侵入させる(図3及び図9)。
【0043】
レバー式コネクタ1においては、そのレバー保護位置にレバー部材50を止めておくことによって、レバー保護部22によるレバー部材50の保護機能を維持させる。そこで、筐体20とレバー部材50との間には、レバー部材50をレバー保護位置で筐体20に保持する仮保持構造を設ける。この仮保持構造は、筐体20のレバー保護部22とレバー部材50の操作部52との間に設ける。
【0044】
操作部52は、第1保持部52cを有する(図1図3図4及び図9)。この第1保持部52cは、操作部52にて突起状に形成される。ここで示す第1保持部52cは、操作補助部52bから突起状に突出させる。そして、この第1保持部52cは、レバー保護部22毎に設ける。この例示の第1保持部52cは、操作補助部52bにおける回転軸21の軸方向のそれぞれの端面から互いに逆向きに突出させている。ここでは、半球形状の突起部として第1保持部52cが形成されている。
【0045】
また、レバー保護部22は、レバー保護位置で第1保持部52cを係止して、レバー部材50をレバー保護位置に止める第2保持部22bを有する(図1図3図4及び図9)。
【0046】
具体的に、このレバー保護部22は、第1レバー位置からレバー保護位置に向けて回動させたレバー部材50の第1保持部52cからの押圧力で撓み、その撓みを背面側への第1保持部52cの乗り越えと共に解消させる可撓部22cを有する(図1図3図4及び図9)。第1保持部52cは、レバー部材50を第1レバー位置からレバー保護位置に向けて回動させた際に、操作部52の操作主体52aが第1レバー係止壁22aに当接する前にレバー保護部22の前面側で可撓部22cに当接させる(図10及び図11)。このため、可撓部22cは、その際に、第1保持部52cが当接し、この当接した第1保持部52cから押圧力を受ける前面側の加圧壁22dを有する(図1図4及び図9から図11)。第1保持部52cは、レバー部材50をレバー保護位置に向けて更に回動させることによって、その押圧力を加圧壁22dに加えながら可撓部22cを撓ませて、レバー保護部22の背面側に移動させる。可撓部22cは、加圧壁22dの裏側に位置する壁であり、背面側に乗り越えた第1保持部52cを係止して、レバー部材50をレバー保護位置に止める第2保持部22bとしての第2レバー係止壁22bを有する。
【0047】
例えば、レバー保護部22の外周縁には、背面側から部分的に凹ませて、レバー保護位置で第1保持部52cを入り込ませる溝部22eと、この溝部22eの溝底を第2レバー係止壁22bとする可撓部22cと、を設けている(図1図4及び図9から図11)。その可撓部22cは、レバー保護部22よりも板厚の薄い片体形状に形成されている。
【0048】
このレバー式コネクタ1においては、第1保持部52cが可撓部22cを乗り越えた場所をレバー保護位置とする。このため、操作主体52aは、第1保持部52cが可撓部22cを乗り越えた際に第1レバー係止壁22aに当接させる。よって、レバー部材50においては、レバー保護位置にて、このレバー保護位置の先への過回動が操作部52の操作主体52aとレバー保護部22の第1レバー係止壁22aとで抑止され、かつ、このレバー保護位置から第1レバー位置に向けた回動が操作部52の第1保持部52cとレバー保護部22における第2保持部22bとしての第2レバー係止壁22bとで抑止される。従って、このレバー式コネクタ1においては、レバー部材50をレバー保護位置に止めておくことができ、かつ、レバー保護位置のレバー部材50に周辺部品がぶつかるなどして無用な力が加えられたとしても、このレバー部材50をレバー保護部22で守ることができる。
【0049】
ここで、このレバー式コネクタ1においては、第1保持部52cをレバー部材50の操作部52に設け、この第1保持部52cをレバー保護部22の第2保持部22b(第2レバー係止壁22b)に係止させる。つまり、このレバー式コネクタ1においては、レバー部材50におけるモーメントアームの力点に寄せた場所の仮保持構造(第1保持部52c、第2保持部22b)で、このレバー部材50をレバー保護部22に保持させる。このため、このレバー式コネクタ1は、例えば、モーメントアームの力点から離れた場所でレバー部材を筐体に保持させる場合と比較して、仮保持構造における保持力を下げることができる。よって、このレバー式コネクタ1においては、その場合と比較して、レバー部材50を第1レバー位置とレバー保護位置との間で動かした際に仮保持構造(第1保持部52c、第2保持部22b)に掛かる力を軽減させることができる。従って、このレバー式コネクタ1においては、その仮保持構造の耐久性を向上させることができるので、レバー保護位置でのレバー部材50の保持力を維持し続けることができる。
【0050】
また、このレバー式コネクタ1においては、レバー部材50における突起状の第1保持部52cをレバー保護部22の背面側へと移動させて、この第1保持部52cをレバー保護部22の背面側で第2保持部22b(第2レバー係止壁22b)に係止させるために、そのレバー保護部22に可撓性を持つ可撓部22cを設けている。そして、このレバー式コネクタ1においては、その突起状の第1保持部52cをレバー保護部22の前面側と背面側との間で行き来させる際に、この第1保持部52cから力を受けた可撓部22cが撓み変形する。このため、このレバー式コネクタ1においては、この点でも、レバー部材50を第1レバー位置とレバー保護位置との間で動かした際に仮保持構造(第1保持部52c、第2保持部22b)に掛かる力を軽減させ、この仮保持構造(第1保持部52c、第2保持部22b)の耐久性を向上させることができるので、レバー保護位置でのレバー部材50の保持力を維持し続けることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 レバー式コネクタ
10 端子金具
20 筐体
21 回転軸
22 レバー保護部
22a 第1レバー係止壁
22b 第2レバー係止壁(第2保持部)
22c 可撓部
22d 加圧壁
22e 溝部
30 フレーム部材
40 フード部材
40a フード部
50 レバー部材
51 アーム部
52 操作部
52a 操作主体
52b 操作補助部
52c 第1保持部
53 挿抜補助部
501 相手方コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11