(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154516
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】嵌合コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/631 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H01R13/631
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068347
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 義紀
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FC07
5E021FC25
5E021FC31
5E021HB03
5E021HB04
5E021HB05
(57)【要約】
【課題】プレートの相対移動機能を維持すること。
【解決手段】レバー部材40は、第1レバー位置から第2レバー位置に向けて回動させることでコネクタ嵌合力を雄フレーム部材20と雌コネクタ2との間に作用させ、コネクタ嵌合力で雄フレーム部材に近づけた雌コネクタからの入力でプレート係止体22を撓み変形させて、プレート係止体によるプレート32の係止状態を解除し、かつ、雌コネクタからの入力で第1フード位置のフード部材30を第2フード位置に向けて押し動かして相対移動させ、一方、第2レバー位置から第1レバー位置に向けて回動させることでコネクタ抜去力を雄フレーム部材と雌コネクタとの間に作用させ、コネクタ抜去力で雄フレーム部材から引き離された雌コネクタからの入力でプレート係止体を撓み変形させ、かつ、雌コネクタからの入力で第2フード位置のフード部材を第1フード位置に向けて相対移動させること。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバー部材の回動動作に伴いコネクタ間を挿抜可能位置と嵌合完了位置との間で相対移動させる雄コネクタと雌コネクタを備え、
前記雄コネクタは、雄端子金具と、雄端子接続部を飛び出させたまま前記雄端子金具を収容する雄フレーム部材と、筒内にて筒軸方向に前記雌コネクタを前記挿抜可能位置と前記嵌合完了位置との間で相対移動させる筒状のフード部を有し、かつ、筒内に収容された前記雄フレーム部材に対して前記挿抜可能位置での第1フード位置と前記嵌合完了位置での第2フード位置との間で筒軸方向に相対移動させる筒状のフレーム収容部を有し、かつ、前記フード部と前記フレーム収容部の境界に配置されたプレートを有する筒状のフード部材と、前記雄フレーム部材との間の回転軸の軸周りに回動可能で、その回動に伴うコネクタ嵌合力又はコネクタ抜去力を前記雌コネクタとの間で作用させるレバー部材と、を備え、
前記プレートは、前記第1フード位置で前記雄端子接続部の先端を前記フード部に侵入させ、かつ、前記第2フード位置で前記フード部における前記雄端子接続部の飛出し量を前記第1フード位置のときよりも増加させる端子挿通孔を有し、
前記雄フレーム部材には、前記プレートを前記第1フード位置で係止する可撓性を持たせたプレート係止体が複数箇所に設けられ、
前記プレート係止体は、前記フード部材が前記第1フード位置のときに前記プレートの端部をその板厚方向で挟み込む第1プレート係止突起及び第2プレート係止突起を有し、
前記レバー部材は、前記挿抜可能位置のときの第1レバー位置から前記嵌合完了位置のときの第2レバー位置に向けて前記雄フレーム部材に対して前記回転軸の軸周りで一方に回動させることで前記コネクタ嵌合力を前記雄フレーム部材と前記雌コネクタとの間に作用させ、前記コネクタ嵌合力で前記雄フレーム部材に近づけた前記雌コネクタからの入力で前記プレート係止体を撓み変形させて、前記プレート係止体による前記プレートの係止状態を解除し、かつ、前記雌コネクタからの入力で前記第1フード位置の前記フード部材を前記第2フード位置に向けて押し動かして相対移動させ、一方、前記第2レバー位置から前記第1レバー位置に向けて前記雄フレーム部材に対して前記回転軸の軸周りで他方に回動させることで前記コネクタ抜去力を前記雄フレーム部材と前記雌コネクタとの間に作用させ、前記コネクタ抜去力で前記雄フレーム部材から引き離された前記雌コネクタからの入力で前記プレート係止体を撓み変形させ、かつ、前記雌コネクタからの入力で前記第2フード位置の前記フード部材を前記第1フード位置に向けて相対移動させることを特徴とした嵌合コネクタ。
【請求項2】
前記雌コネクタは、前記嵌合完了位置で前記雄端子接続部が嵌合接続される雌端子接続部を有する雌端子金具と、前記雌端子金具を収容する雌フレーム部材と、を備え、
前記雌フレーム部材は、前記コネクタ嵌合力又は前記コネクタ抜去力を前記レバー部材から受けるガイド軸と、前記プレート係止体による前記プレートの端部の係止状態を解除するためのプレート係止解除部と、を有し、
前記フード部材が前記第1フード位置のときには、前記第1プレート係止突起が前記フード部の筒内に配置され、かつ、前記第2プレート係止突起が前記フレーム収容部の筒内に配置され、
前記プレート係止解除部は、前記レバー部材を前記第1レバー位置から前記第2レバー位置に向けて回動させた際に、前記ガイド軸を介して受けた前記コネクタ嵌合力で前記第1プレート係止突起の傾斜面を押動しながら前記プレート係止体を撓み変形させることによって、前記第1プレート係止突起を乗り越え、かつ、前記プレートを押動しながら前記プレートと一緒に前記第2プレート係止突起を乗り越えて、前記フード部材を前記第1フード位置から前記第2フード位置へと相対移動させることを特徴とした請求項1に記載の嵌合コネクタ。
【請求項3】
前記プレート係止解除部は、前記レバー部材を前記第2レバー位置から前記第1レバー位置に向けて第3レバー位置まで回動させ、更に、前記レバー部材を前記第3レバー位置から前記第1レバー位置に向けて第4レバー位置まで回動させた際に、前記ガイド軸を介して受けた前記コネクタ抜去力で前記第2プレート係止突起の傾斜面を押動しながら前記プレート係止体を撓み変形させることによって、前記第1プレート係止突起及び前記第2プレート係止突起を乗り越え、
前記雌フレーム部材は、外壁面から突出させ、前記フード部材における可撓性を持たせたフード係止体を係止するフード係止突出体を有し、
前記フード係止突出体は、前記フード係止体のフード係止突起を前記第2フード位置で係止して、前記嵌合完了位置から前記挿抜可能位置に向けた前記フード部材と前記雌フレーム部材との間の離間方向の動きを係止する係止面を有し、かつ、前記レバー部材を前記第2レバー位置から前記第4レバー位置まで回動させた際に、撓み変形した前記プレート係止体の前記第2プレート係止突起を前記プレートが乗り越えるまで前記係止面で前記フード係止突起を係止し続けることによって、前記フード部材を前記第2フード位置から前記第1フード位置に向けて相対移動させることを特徴とした請求項2に記載の嵌合コネクタ。
【請求項4】
前記フード係止突出体としての第1フード係止突出体には、前記係止面に連なる傾斜係止面を設け、
前記フード部材には、前記フード係止体としての第1フード係止体の他に、第2フード係止体を設け、
前記雄フレーム部材には、前記レバー部材を前記第2レバー位置から回動して前記第4レバー位置まで到達させたときに、前記フード部材の前記第2フード係止体を係止し、前記レバー部材を前記第4レバー位置から前記第1レバー位置まで回動させた際に、前記第2フード係止体を係止し続けて前記フード部材を前記第1フード位置に止める第2フード係止突出体を設け、
前記第1フード係止突出体の前記係止面は、前記レバー部材を前記第4レバー位置から前記第1レバー位置に向けて回動させた際に、前記フード係止突起に作用させた力で前記第1フード係止体を撓み変形させて、前記フード係止突起を前記傾斜係止面に乗り上げさせる傾斜面に形成され、
前記傾斜係止面は、前記嵌合完了位置の前記雄コネクタと前記雌コネクタとの間にその相互間を脱離させる引き離し力が加えられるまで前記フード係止突起を係止し、その相互間に前記引き離し力が加えられた際に、前記フード係止突起に作用させた力で前記第1フード係止体を更に撓み変形させて、前記フード係止突起に前記第1フード係止突出体を乗り越えさせる傾斜面に形成されることを特徴とした請求項3に記載の嵌合コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌合コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、嵌合コネクタにおいては、2つのコネクタの内の何れか一方に、コネクタ間の嵌合力の増加に要する嵌合補助力又はコネクタ間の抜去力の増加に要する抜去補助力を発生させるための挿抜補助構造が設けられたものが存在する。例えば、その挿抜補助構造付きの一方のコネクタとしては、挿抜補助構造としてのレバー部材(所謂LIFレバー)を備えるレバー式コネクタが知られている。この嵌合コネクタにおいては、レバー部材をレバー式コネクタと他方の相手方コネクタとの間(コネクタ間)が挿抜可能状態のときの第1レバー位置からコネクタ間が嵌合完了状態のときの第2レバー位置へと回動させることによって、レバー式コネクタと相手方コネクタとの間にコネクタ嵌合力を発生させ、その相互間を引き付けて嵌合接続させる。そして、この嵌合コネクタにおいては、レバー部材を第2レバー位置から第1レバー位置へと回動させることによって、レバー式コネクタと相手方コネクタとの間にコネクタ抜去力を発生させ、その相互間を引き離しながら嵌合完了状態を解除させる。レバー式コネクタと相手方コネクタとの間が挿抜可能状態のときには、レバー式コネクタと相手方コネクタが通電不能な状態になり、レバー式コネクタと相手方コネクタを嵌合完了状態へと嵌合接続させ始めることもできれば、レバー式コネクタと相手方コネクタを分離させることもできる。また、レバー式コネクタと相手方コネクタとの間が嵌合完了状態のときには、レバー式コネクタと相手方コネクタが通電可能な状態になる。
【0003】
レバー式コネクタは、相手方コネクタとの間で嵌合完了状態になっているときに、この相手方コネクタを嵌入させ、この相手方コネクタの相手方端子金具を筒内の端子金具に嵌合接続させる筒状のフード部を有している。このレバー式コネクタにおいては、相手方コネクタとの間で挿抜可能状態になっているときに、端子金具をフード部の筒内から退避させる。このレバー式コネクタは、相手方コネクタとの間で挿抜可能状態になっているときに、フード部の筒内への端子金具の飛出しを抑え、相手方コネクタとの間で嵌合完了状態になっているときに、フード部の筒内への端子金具の飛出し量を増加させるプレートを有している。このレバー式コネクタにおいては、端子金具を保持する端子保持部に対してプレートをレバー部材の動きに連動して相対移動させることによって、プレートの貫通孔からのフード部の筒内への端子金具の飛出し量を調整する。
【0004】
この種の嵌合コネクタについては、例えば、下記の特許文献1から5に開示されている。特許文献1から4に記載のレバー式コネクタにおいては、端子保持部とフード部とが一体になったハウジングに対してプレートを相対移動させる。一方、特許文献5に記載のレバー式コネクタにおいては、端子保持部に対してフード部とプレートとが一体になった部材を相対移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-091610号公報
【特許文献2】特開2019-212521号公報
【特許文献3】特開2020-149869号公報
【特許文献4】特開2021-157971号公報
【特許文献5】特開2019-096535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この従来の嵌合コネクタにおいては、レバー式コネクタと相手方コネクタとを分離させた単体状態のときに、そのレバー式コネクタの端子金具の先端を周辺部品等から保護する必要がある。ここでは、その端子保護機能をレバー式コネクタのプレートに担わせている。このため、この嵌合コネクタにおいては、レバー部材の回動動作が繰り返されたとしても、そのレバー部材の動きに連動してプレートを適切な位置に相対移動させる必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、プレートの相対移動機能を維持し得る嵌合コネクタを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、レバー部材の回動動作に伴いコネクタ間を挿抜可能位置と嵌合完了位置との間で相対移動させる雄コネクタと雌コネクタを備え、前記雄コネクタは、雄端子金具と、雄端子接続部を飛び出させたまま前記雄端子金具を収容する雄フレーム部材と、筒内にて筒軸方向に前記雌コネクタを前記挿抜可能位置と前記嵌合完了位置との間で相対移動させる筒状のフード部を有し、かつ、筒内に収容された前記雄フレーム部材に対して前記挿抜可能位置での第1フード位置と前記嵌合完了位置での第2フード位置との間で筒軸方向に相対移動させる筒状のフレーム収容部を有し、かつ、前記フード部と前記フレーム収容部の境界に配置されたプレートを有する筒状のフード部材と、前記雄フレーム部材との間の回転軸の軸周りに回動可能で、その回動に伴うコネクタ嵌合力又はコネクタ抜去力を前記雌コネクタとの間で作用させるレバー部材と、を備え、前記プレートは、前記第1フード位置で前記雄端子接続部の先端を前記フード部に侵入させ、かつ、前記第2フード位置で前記フード部における前記雄端子接続部の飛出し量を前記第1フード位置のときよりも増加させる端子挿通孔を有し、前記雄フレーム部材には、前記プレートを前記第1フード位置で係止する可撓性を持たせたプレート係止体が複数箇所に設けられ、前記プレート係止体は、前記フード部材が前記第1フード位置のときに前記プレートの端部をその板厚方向で挟み込む第1プレート係止突起及び第2プレート係止突起を有し、前記レバー部材は、前記挿抜可能位置のときの第1レバー位置から前記嵌合完了位置のときの第2レバー位置に向けて前記雄フレーム部材に対して前記回転軸の軸周りで一方に回動させることで前記コネクタ嵌合力を前記雄フレーム部材と前記雌コネクタとの間に作用させ、前記コネクタ嵌合力で前記雄フレーム部材に近づけた前記雌コネクタからの入力で前記プレート係止体を撓み変形させて、前記プレート係止体による前記プレートの係止状態を解除し、かつ、前記雌コネクタからの入力で前記第1フード位置の前記フード部材を前記第2フード位置に向けて押し動かして相対移動させ、一方、前記第2レバー位置から前記第1レバー位置に向けて前記雄フレーム部材に対して前記回転軸の軸周りで他方に回動させることで前記コネクタ抜去力を前記雄フレーム部材と前記雌コネクタとの間に作用させ、前記コネクタ抜去力で前記雄フレーム部材から引き離された前記雌コネクタからの入力で前記プレート係止体を撓み変形させ、かつ、前記雌コネクタからの入力で前記第2フード位置の前記フード部材を前記第1フード位置に向けて相対移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る嵌合コネクタにおいては、レバー部材を第1レバー位置から第2レバー位置まで回動させた際に、雌コネクタからの入力でプレート係止体を撓み変形させて、このプレート係止体によるプレートの係止状態を解除する。そして、この嵌合コネクタにおいては、その雌コネクタからの入力で第1フード位置のフード部材を第2フード位置に向けて相対移動させる。また、本発明に係る嵌合コネクタにおいては、レバー部材を第2レバー位置から第1レバー位置まで回動させた際に、雌コネクタからの入力でプレート係止体を撓み変形させ、かつ、雌コネクタからの入力で第2フード位置のフード部材を第1フード位置に向けて相対移動させる。このように、本発明に係る嵌合コネクタは、プレートの相対移動機能を維持するべく、雌コネクタからの入力を利用してフード部材を相対移動させる。従って、本発明に係る嵌合コネクタは、そのプレートによる雄端子金具の保護機能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態の挿抜可能位置(第1レバー位置)の嵌合コネクタを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態の挿抜可能位置(第1レバー位置)の嵌合コネクタを雌コネクタ側から見た平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態の嵌合完了位置(第2レバー位置)の嵌合コネクタを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態の嵌合完了位置(第2レバー位置)の嵌合コネクタを雌コネクタ側から見た平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態の嵌合コネクタを示すコネクタ嵌合接続前の斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態の嵌合コネクタを別角度から見たコネクタ嵌合接続前の斜視図である。
【
図8】
図8は、雄コネクタを主要部品毎に分けた分解斜視図である。
【
図9】
図9は、雌コネクタを主要部品毎に分けた分解斜視図である。
【
図12】
図12は、実施形態の第3レバー位置の嵌合コネクタを示す斜視図である。
【
図13】
図13は、実施形態の第3レバー位置の嵌合コネクタを雌コネクタ側から見た平面図である。
【
図14】
図14は、実施形態の第4レバー位置の嵌合コネクタを示す斜視図である。
【
図15】
図15は、実施形態の第4レバー位置の嵌合コネクタを雌コネクタ側から見た平面図である。
【
図19】
図19は、実施形態の第5レバー位置の嵌合コネクタを示す斜視図である。
【
図20】
図20は、実施形態の第5レバー位置の嵌合コネクタを雌コネクタ側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る嵌合コネクタの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
[実施形態]
本発明に係る嵌合コネクタの実施形態の1つを
図1から
図22に基づいて説明する。
【0013】
図1から
図7の符号1,2は、各々、本実施形態の嵌合コネクタを構成する雄コネクタと雌コネクタを示す。この雄コネクタ1と雌コネクタ2は、その内の一方がレバー式コネクタであり、後述するレバー部材の回動動作に伴いその相互間(以下、「コネクタ間」という。)を挿抜可能位置(
図1及び
図2)と嵌合完了位置(
図3及び
図4)との間で相対移動させる。ここでは、雄コネクタ1をレバー式コネクタとして構成する。
【0014】
この雄コネクタ1と雌コネクタ2は、コネクタ間が嵌合完了状態(嵌合完了位置)のときに互いを電気的に接続させ、コネクタ間が嵌合可能状態であり且つ抜去可能状態である挿抜可能状態(挿抜可能位置)のときに互いの電気的な接続を遮断させる。この雄コネクタ1と雌コネクタ2においては、コネクタ間が挿抜可能位置のときに、後述するレバー部材を回動操作して、挿抜可能位置のコネクタ間にコネクタ嵌合力を発生させることによって、嵌合完了位置までコネクタ間を相対移動させながら嵌合接続させる。また、この雄コネクタ1と雌コネクタ2においては、コネクタ間が嵌合完了位置のときに、レバー部材を回動操作して、嵌合完了位置のコネクタ間にコネクタ抜去力を発生させることによって、挿抜可能位置までコネクタ間を相対移動させる。雄コネクタ1と雌コネクタ2は、挿抜可能位置のときに互いを引き離して分離させることができる。
【0015】
雄コネクタ1は、雄端子金具10と、この雄端子金具10を収容する雄フレーム部材20と、雌コネクタ2を収容し且つ雄フレーム部材20を収容する筒状のフード部材30と、を備える(
図1から
図8)。また、雌コネクタ2は、雌端子金具110と、この雌端子金具110を収容する雌フレーム部材120と、この雌フレーム部材120を覆う雌カバー部材130と、を備える(
図1から
図7及び
図9)。
【0016】
雄端子金具10と雌端子金具110は、金属等の導電性材料で成形される。雄端子金具10と雌端子金具110は、その相互間が嵌合完了位置で嵌合接続されて、互いを物理的且つ電気的に接続させる。雄端子金具10は、雄端子接続部11を有している(
図6及び
図8)。そして、雌端子金具110は、雌端子接続部111を有している(
図7及び
図9)。雄端子金具10と雌端子金具110は、その雄端子接続部11と雌端子接続部111を嵌合完了位置で嵌合接続させることによって、その相互間を物理的且つ電気的に接続させる。ここで例示する雄端子金具10は、雄端子接続部11が軸状に形成された第1雄端子金具10Aと、雄端子接続部11が片体状に形成された第2雄端子金具10Bと、に大別される(
図6及び
図8)。また、ここで例示する雌端子金具110は、第1雄端子金具10Aの雄端子接続部11を嵌入させる筒状の第1雌端子金具110Aと、第2雄端子金具10Bの雄端子接続部11を嵌入させる筒状の第2雌端子金具110Bと、に大別される(
図7及び
図9)。
【0017】
雄フレーム部材20とフード部材30と雌フレーム部材120と雌カバー部材130は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。
【0018】
雄フレーム部材20は、雄端子接続部11を飛び出させたまま雄端子金具10を収容する部材であり、この雄端子金具10の収容を担う雄フレーム主体21を有する(
図1、
図3及び
図5から
図8)。この雄フレーム主体21は、雄端子接続部11を飛び出させたまま内方に雄端子金具10を収容する。
【0019】
一方、雌フレーム部材120は、雌端子金具110を収容する雌フレーム主体121を有する(
図1、
図3、
図5から
図7及び
図9)。この雌フレーム主体121は、内方に雌端子金具110の全体を収容する。この雌フレーム主体121は、コネクタ間を挿抜可能位置から嵌合完了位置へと相対移動させる際に、雄端子接続部11を一端の開口から差し込ませ、この雄端子接続部11を内方の雌端子接続部111に嵌合接続させる。また、この雌フレーム主体121は、雌端子金具110を端末に取り付けた電線We(
図1から
図4)を他端の開口から引き出させる。雌カバー部材130は、雌フレーム部材120に組み付けることによって、引き出された電線Weを他端の開口と一緒に塞ぐ。
【0020】
フード部材30は、筒内にて筒軸方向に雌コネクタ2を挿抜可能位置と嵌合完了位置との間で相対移動させる筒状のフード部30aと、筒内に収容された雄フレーム部材20に対して挿抜可能位置での第1フード位置と嵌合完了位置での第2フード位置との間で筒軸方向に相対移動させる筒状のフレーム収容部30bと、を有する(
図1、
図3及び
図5から
図8)。つまり、フード部材30は、雄コネクタ1と雌コネクタ2を挿抜可能位置と嵌合完了位置との間で相対移動させる際に、雌コネクタ2に対して挿抜可能位置と嵌合完了位置との間で相対移動させると共に、雄フレーム部材20に対して第1フード位置と第2フード位置との間で相対移動させる。この嵌合コネクタにおいては、後述するレバー部材の回動操作(以下、「レバー操作」という。)に伴って、そのフード部材30と雌コネクタ2との間の相対移動が行われると共に、その雄フレーム部材20とフード部材30との間の相対移動が行われる。このフード部材30においては、フード部30aとフレーム収容部30bを同軸上に配置している。
【0021】
このフード部材30においては、その筒状のフード部30aの中に雌コネクタ2の雌フレーム部材120を筒軸方向に沿って嵌入させる(
図1、
図3及び
図5から
図7)。よって、雌フレーム部材120は、フード部30aの筒形状に合わせた外観形状に成形される。また、このフード部材30においては、その筒状のフレーム収容部30bの中に雄フレーム部材20の雄フレーム主体21を筒軸方向に沿って嵌入させる(
図1、
図3及び
図5から
図8)。よって、雄フレーム主体21は、フレーム収容部30bの筒形状に合わせた外観形状に成形される。
【0022】
ここ例示するフード部材30は、筒状に形成された筒体31と、この筒体31の内方に配置され、この筒体31の内部空間を筒軸方向の一端側と他端側とに区画する平板状のプレート32と、を有する(
図1、
図3及び
図5から
図8)。このフード部材30においては、筒体31におけるプレート32よりも一端側をフード部30aとし、筒体31におけるプレート32よりも他端側をフレーム収容部30bとする(
図5、
図6及び
図8)。つまり、プレート32は、フード部30aとフレーム収容部30bの境界に配置されている。
【0023】
プレート32には、雄端子金具10の雄端子接続部11を挿通させる貫通孔(以下、「端子挿通孔」という。)32aが雄端子金具10毎に形成されている(
図8)。このプレート32は、コネクタ間が挿抜可能位置にあり、フード部材30が第1フード位置のときに(
図1及び
図2)、端子挿通孔32aを介して雄端子接続部11の先端をフード部30aに侵入させておく。そして、このプレート32は、後述するレバー操作に伴いフード部材30が第1フード位置から第2フード位置へと雄フレーム部材20に対して相対移動した際に(
図3及び
図4)、フード部30aにおける雄端子接続部11の飛出し量を第1フード位置での初期飛出し量よりも増加させる。つまり、このプレート32の端子挿通孔32aは、第1フード位置で雄端子接続部11の先端をフード部30aに侵入させ、かつ、第2フード位置でフード部30aにおける雄端子接続部11の飛出し量を第1フード位置のときよりも増加させる。コネクタ間においては、第2フード位置のフード部30aの中で、その雄端子接続部11を雌フレーム部材120の中の雌端子接続部111に嵌合接続させることができる。また、プレート32は、後述するレバー操作に伴いフード部材30が第2フード位置から第1フード位置へと雄フレーム部材20に対して相対移動した際に(
図1及び
図2)、フード部30aにおける雄端子接続部11の飛出し量を初期飛出し量に戻す。
【0024】
雄フレーム部材20には、プレート32を第1フード位置で係止する可撓性を持たせたプレート係止体22が複数箇所に設けられる(
図5、
図6、
図8及び
図11)。このプレート係止体22は、プレート32を第1フード位置で係止して、フード部材30を第1フード位置に止める。
【0025】
プレート係止体22は、フード部材30が第1フード位置のときにプレート32の端部をその板厚方向で挟み込む第1プレート係止突起22a及び第2プレート係止突起22bを有する(
図5、
図6、
図8及び
図11)。フード部材30が第1フード位置のときには、第1プレート係止突起22aがフード部30aの筒内に配置され、かつ、第2プレート係止突起22bがフレーム収容部30bの筒内に配置される(
図5、
図6及び
図8)。一方、フード部材30が第2フード位置のときには、第1プレート係止突起22aと第2プレート係止突起22bがフード部30aの筒内に配置される(
図11)。
【0026】
更に、このプレート係止体22は、プレート32の端部に対向配置させた対向壁から第1プレート係止突起22a及び第2プレート係止突起22bを突出させ、その対向配置方向で撓み変形可能なプレート係止片部22cを有する(
図5、
図6、
図8及び
図11)。このプレート係止片部22cは、フレーム収容部30bの中で雄フレーム主体21からプレート32に向けて筒軸方向に突出させた片持ちの片部である。プレート係止体22は、このプレート係止片部22cによって可撓性を持たせている。
【0027】
ここで、プレート32の端部には、プレート係止体22を挿通させる貫通孔(以下、「係止孔」という。)32bがプレート係止体22毎に形成されている(
図8及び
図11)。プレート係止片部22cは、その係止孔32bの内周面に対向配置させた対向壁から第1プレート係止突起22aと第2プレート係止突起22bを突出させる。ここ例示するプレート係止片部22cは、平板の片体形状に形成され、対向壁としての平面から第1プレート係止突起22aと第2プレート係止突起22bを突出させている。
【0028】
このプレート係止体22は、後述するレバー操作に伴いフード部材30が第1フード位置(
図1及び
図2)から第2フード位置(
図3、
図4及び
図11)へと雄フレーム部材20に対して相対移動した際に、フード部30aにおけるプレート係止片部22cの飛出し量を第1フード位置での初期飛出し量よりも増加させる(
図11)。このため、このプレート係止体22においては、フード部材30が第1フード位置から第2フード位置へと雄フレーム部材20に対して相対移動する際に、プレート係止片部22cを係止孔32bの内周面から引き離す方向へと撓ませて、第1プレート係止突起22aと第2プレート係止突起22bによるプレート32の端部の挟み込みを解除させる。例えば、ここでは、プレート係止体22によるプレート32の端部の係止状態を解除するプレート係止解除部122を雌フレーム部材120に設けておき(
図5、
図7、
図9及び
図11)、フード部30aの中で雌フレーム部材120が挿抜可能位置から嵌合完了位置へと相対移動する際に、そのプレート係止解除部122で第1プレート係止突起22aを押し動かして、プレート係止片部22cを係止孔32bの内周面から引き離す方向へと撓ませる。
【0029】
また、このプレート係止体22は、後述するレバー操作に伴いフード部材30が第2フード位置(
図3、
図4及び
図11)から第1フード位置(
図1及び
図2)へと雄フレーム部材20に対して相対移動した際に、フード部30aにおけるプレート係止片部22cの飛出し量を初期飛出し量に戻す。このため、このプレート係止体22においては、フード部材30が第2フード位置から第1フード位置へと雄フレーム部材20に対して相対移動する際に、プレート係止片部22cを係止孔32bの内周面から引き離す方向へと撓ませて、第1プレート係止突起22aと第2プレート係止突起22bにプレート32の端部が引っ掛からないようにする。例えば、ここでは、フード部30aの中で雌フレーム部材120が嵌合完了位置から挿抜可能位置へと相対移動する際に、その雌フレーム部材120のプレート係止解除部122で第2プレート係止突起22bを押し動かして、プレート係止片部22cを係止孔32bの内周面から引き離す方向へと撓ませる。
【0030】
ここでは、雄フレーム部材20の雄フレーム主体21の外観形状が方体状に形成されている(
図8)。そして、フード部材30においては、筒体31が角筒状に形成され、プレート32が矩形の平板状に形成されている(
図8)。このフード部材30においては、方体状の雌フレーム部材120を角筒状のフード部30aの中に嵌入させ、方体状の雄フレーム主体21を角筒状のフレーム収容部30bの中に嵌入させる。
【0031】
また、ここで示す雄フレーム部材20においては、雄フレーム主体21の外周面側に寄せて4つのプレート係止体22が配置されている(
図8)。この4つのプレート係止体22は、その内の2つがプレート係止片部22cの対向壁同士を向かい合わせにして配置され、かつ、その内の残りの2つがプレート係止片部22cの対向壁同士を向かい合わせにして配置される。ここでは、それぞれの対になるプレート係止片部22cの対向壁同士を後述するレバー部材40の回転軸23の軸方向で対向配置させる。
【0032】
雄コネクタ1は、雄フレーム部材20との間の回転軸23の軸周りに回動可能で、その回動に伴うコネクタ嵌合力又はコネクタ抜去力を雌コネクタ2との間で作用させるレバー部材40を備える(
図1から
図8)。雄フレーム部材20は、同軸上で互いに逆向きに突出させた2本の回転軸23を雄フレーム主体21に有している。この回転軸23は、雄フレーム主体21における互いに平行な2つの外壁面からそれぞれに突出させる。
【0033】
レバー部材40は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。このレバー部材40は、回転軸23の軸周りに回動可能なアーム部41と、このアーム部41に連接させた操作部42と、を有する(
図1から
図8)。その操作部42は、回転軸23を回転中心とするアーム部41のモーメントアームにおける回転軸23から最も離れた位置の端部に配置され、レバー操作に際して、そのモーメントアームの力点として作用する。
【0034】
ここで例示するレバー部材40は、回転軸23の軸方向に間隔を空けて対向配置された2本のアーム部41を有する(
図1から
図4及び
図6から
図8)。アーム部41は、回転軸23を軸支する軸受としての貫通孔41aを一端に有する(
図1、
図3及び
図6から
図8)。このレバー部材40においては、2本のアーム部41の他端同士を操作部42で連結している(
図1から
図4及び
図6から
図8)。
【0035】
また、レバー部材40は、コネクタ間が挿抜可能位置のときの第1レバー位置(
図1及び
図2)からコネクタ間が嵌合完了位置のときの第2レバー位置(
図3及び
図4)に向けて雄フレーム部材20に対して回転軸23の軸周りで一方に回動させることでコネクタ嵌合力を雄フレーム部材20と雌コネクタ2との間に作用させ、第2レバー位置(
図3及び
図4)から第1レバー位置(
図1及び
図2)に向けて雄フレーム部材20に対して回転軸23の軸周りで他方に回動させることでコネクタ抜去力を雄フレーム部材20と雌コネクタ2との間に作用させる挿抜補助部43を有する(
図1、
図3及び
図6から
図8)。
【0036】
雄コネクタ1においては、レバー部材40が第1レバー位置のときに、フード部材30が雄フレーム部材20に対して第1フード位置に配置される(
図1及び
図2)。また、この雄コネクタ1においては、レバー部材40が第2レバー位置のときに、フード部材30が雄フレーム部材20に対して第2フード位置に配置される(
図3及び
図4)。
【0037】
挿抜補助部43は、アーム部41におけるモーメントアームの一端と他端との間に設けた貫通孔であり、アーム部41毎に設ける。この2つの挿抜補助部43は、回転軸23の軸方向に投影させた投影形状が同一形状で、アーム部41の他端側に向けて凸となる弧状の貫通孔である。貫通孔41a(回転軸23)は、この挿抜補助部43よりもアーム部41の一端側に配置される。
【0038】
この挿抜補助部43には、コネクタ嵌合力又はコネクタ抜去力をレバー部材40から受ける雌コネクタ2のガイド軸123が挿入される(
図1から
図3、
図6及び
図7)。この挿抜補助部43は、そのガイド軸123をレバー操作に連動させて周方向の一端と他端との間で案内する。そのガイド軸123は、挿抜補助部43に案内されながら摺動し、この挿抜補助部43からコネクタ嵌合力又はコネクタ抜去力を受ける。このガイド軸123は、雌フレーム部材120に設ける。ここで示すガイド軸123は、雌フレーム部材120における互いに平行な2つの外壁面からそれぞれに突出させる。この2本のガイド軸123は、同軸上で互いに逆向きに突出させている。
【0039】
コネクタ間においては、挿抜可能位置でレバー部材40を第1レバー位置から第2レバー位置に向けて回転させることによって、その回転に伴い挿抜補助部43における弧状の外側の第1内壁面43aでガイド軸123を押し動かしながら当該第1内壁面43aに沿ってガイド軸123を挿抜補助部43の一端から他端へと案内する(
図1、
図3、
図6及び
図7)。このコネクタ間においては、その挿抜補助部43の第1内壁面43aからガイド軸123に作用させた押圧力でコネクタ嵌合力が発生し、挿抜可能位置から嵌合完了位置へと相対移動する。
【0040】
また、このコネクタ間においては、嵌合完了位置のときにレバー部材40を第2レバー位置から第1レバー位置に向けて回転させることによって、その回転に伴い挿抜補助部43における弧状の内側の第2内壁面43bでガイド軸123を押し動かしながら当該第2内壁面43bに沿ってガイド軸123を挿抜補助部43の他端から一端へと案内する(
図1、
図3、
図6及び
図7)。このコネクタ間においては、その挿抜補助部43の第2内壁面43bからガイド軸123に作用させた押圧力でコネクタ抜去力が発生し、嵌合完了位置から挿抜可能位置へと相対移動する。
【0041】
プレート係止体22は、このレバー部材40の回動操作を利用して撓み変形させる。
【0042】
レバー部材40は、先に示したように、第1レバー位置(
図1及び
図2)から第2レバー位置(
図3及び
図4)に向けて雄フレーム部材20に対して回転軸23の軸周りで一方に回動させることでコネクタ嵌合力を雄フレーム部材20と雌コネクタ2との間に作用させる。このため、このレバー部材40は、そのコネクタ嵌合力で雌コネクタ2を雄フレーム部材20に近づけることができる。ここでは、そのコネクタ嵌合力で雄フレーム部材20に近づけた雌コネクタ2からの入力でプレート係止体22を撓み変形させて、このプレート係止体22によるプレート32の係止状態を解除する。つまり、レバー部材40は、第1レバー位置から第2レバー位置に向けて雄フレーム部材20に対して回転軸23の軸周りで一方に回動させることによって、雄フレーム部材20と雌コネクタ2との間にコネクタ嵌合力を発生させ、このコネクタ嵌合力で雄フレーム部材20に近づけた雌コネクタ2からの入力でプレート係止体22を撓み変形させて、このプレート係止体22によるプレート32の係止状態を解除する。
【0043】
雌コネクタ2は、レバー部材40を第1レバー位置から第2レバー位置に向けて回動させた際に、プレート係止解除部122からプレート係止体22に力を加えて、プレート係止体22を撓み変形させる。つまり、レバー部材40は、第1レバー位置から第2レバー位置に向けて回動させた際に、コネクタ嵌合力で雌コネクタ2を雄フレーム部材20に近づけ、この雌コネクタ2のプレート係止解除部122からプレート係止体22に入力して、このプレート係止体22を撓み変形させる。そのプレート係止解除部122は、レバー部材40を第1レバー位置から第2レバー位置に向けて回動させた際に、ガイド軸123を介して受けたコネクタ嵌合力で第1プレート係止突起22aの傾斜面を押動しながらプレート係止体22を撓み変形させる。
【0044】
レバー部材40は、第1レバー位置から第2レバー位置に向けて回動させた際に、そのようにプレート係止体22を撓み変形させると共に、雌コネクタ2からの入力で第1フード位置のフード部材30を第2フード位置に向けて押し動かして相対移動させる。雌コネクタ2のプレート係止解除部122は、レバー部材40を第1レバー位置から第2レバー位置に向けて回動させた際に、プレート係止体22の撓み変形に伴い第1プレート係止突起22aを乗り越え、かつ、プレート32を押動しながらプレート32と一緒に第2プレート係止突起22bを乗り越えて、フード部材30を第1フード位置から第2フード位置へと相対移動させる。
【0045】
また、レバー部材40は、先に示したように、第2レバー位置(
図3及び
図4)から第1レバー位置(
図1及び
図2)に向けて雄フレーム部材20に対して回転軸23の軸周りで他方に回動させることでコネクタ抜去力を雄フレーム部材20と雌コネクタ2との間に作用させる。このため、このレバー部材40は、そのコネクタ抜去力で雌コネクタ2を雄フレーム部材20から引き離すことができる。ここでは、そのコネクタ抜去力で雄フレーム部材20から引き離された雌コネクタ2からの入力でプレート係止体22を撓み変形させ、かつ、雌コネクタ2からの入力で第2フード位置のフード部材30を第1フード位置に向けて相対移動させる。つまり、レバー部材40は、第2レバー位置から第1レバー位置に向けて雄フレーム部材20に対して回転軸23の軸周りで他方に回動させることによって、雄フレーム部材20と雌コネクタ2との間にコネクタ抜去力を発生させ、このコネクタ抜去力で雄フレーム部材20から引き離された雌コネクタ2からの入力でプレート係止体22を撓み変形させると共に、雌コネクタ2からの入力で第2フード位置のフード部材30を第1フード位置に向けて相対移動させる。
【0046】
雌コネクタ2は、レバー部材40を第2レバー位置から第1レバー位置に向けて回動させた際に、プレート係止解除部122からプレート係止体22に力を加えて、プレート係止体22を撓み変形させる。つまり、レバー部材40は、第2レバー位置から第1レバー位置に向けて回動させた際に、コネクタ抜去力で雌コネクタ2を雄フレーム部材20から引き離し、この雌コネクタ2のプレート係止解除部122からプレート係止体22に入力して、このプレート係止体22を撓み変形させる。そのプレート係止解除部122は、レバー部材40を第2レバー位置(
図3及び
図4)から第1レバー位置(
図1及び
図2)に向けて第3レバー位置(
図12及び
図13)まで回動させ、更に、レバー部材40を第3レバー位置から第1レバー位置に向けて第4レバー位置(
図14及び
図15)まで回動させた際に、ガイド軸123を介して受けたコネクタ抜去力で第2プレート係止突起22bの傾斜面を押動しながらプレート係止体22を撓み変形させる。そして、このプレート係止解除部122は、そのプレート係止体22の撓み変形に伴って、レバー部材40が第4レバー位置のときに、第1プレート係止突起22a及び第2プレート係止突起22bを乗り越える。
【0047】
ここで、雌フレーム部材120は、レバー部材40を第2レバー位置から第1レバー位置に向けて回動させて、フード部材30を第1フード位置から第2フード位置へと相対移動させるために、外壁面から突出させ、フード部材30における可撓性を持たせたフード係止体(以下、「第1フード係止体」という。)33を係止するフード係止突出体(以下、「第1フード係止突出体」という。)124を有している(
図1から
図4、
図6から
図9及び
図12から
図17)。
【0048】
第1フード係止体33は、フード部材30が第2フード位置のときに、第1フード係止突出体124に係止され、嵌合完了位置から挿抜可能位置に向けたフード部材30と雌フレーム部材120との間の離間方向の動きを抑止するフード係止突起33aを有する(
図17)。そして、この第1フード係止体33は、そのフード係止突起33aと第1フード係止突出体124との間の係止状態を解除させる方向へと撓み変形可能なフード係止片部33bを有する(
図17)。このフード係止片部33bは、フード部材30のフード部30aの一部を切り欠いて形成された片持ちの片部であり、フード部30aの筒軸方向で開口側を自由端とする。このフード係止片部33bは、その自由端側の内壁面からフード係止突起33aを突出させている。
【0049】
第1フード係止突出体124は、その第1フード係止体33のフード係止突起33aを第2フード位置で係止して、嵌合完了位置から挿抜可能位置に向けたフード部材30と雌フレーム部材120との間の離間方向の動きを係止する係止面124aを有する(
図16及び
図17)。第2フード位置では、部品の公差バラツキ等でフード係止突起33aと係止面124aとの間に微小な隙間が存在することもある。第1フード係止突出体124は、レバー部材40を第2レバー位置から第3レバー位置まで回動させた際に、そのような隙間があれば、これが詰まり、撓み変形したプレート係止体22の第2プレート係止突起22bをプレート32が乗り越えるまで係止面124aがフード係止突起33aを係止したままにする(
図17)。そして、この第1フード係止突出体124は、第2プレート係止突起22bをプレート32が乗り越えるまで係止面124aがフード係止突起33aを係止し続けることによって、雄フレーム部材20に対してフード部材30を雌フレーム部材120と一緒に引き離し、フード部材30を第2フード位置から第1フード位置に向けて相対移動させる。
【0050】
ここでは、レバー部材40を第2レバー位置(
図3及び
図4)から第4レバー位置(
図14及び
図15)へと回動させるまで、係止面124aでフード係止突起33aを係止し続ける。よって、第1フード係止突出体124は、レバー部材40を第2レバー位置から第4レバー位置まで回動させた際に、撓み変形したプレート係止体22の第2プレート係止突起22bをプレート32が乗り越えるまで係止面124aでフード係止突起33aを係止し続けることによって、フード部材30を第2フード位置から第1フード位置に向けて相対移動させる。
【0051】
この嵌合コネクタにおいては、レバー部材40を第4レバー位置(
図14及び
図15)から第1レバー位置(
図1及び
図2)まで回動させることによって、雄コネクタ1と雌コネクタ2を分離できるようにする。そこで、フード部材30には、第1フード係止体33の他に、第2フード係止体34を設ける(
図18)。この第2フード係止体34は、フード部材30のフレーム収容部30bにおける開口側の内壁面から突出させている。そして、雄フレーム部材20には、レバー部材40を第2レバー位置から回動して第4レバー位置まで到達させたときに、フード部材30の第2フード係止体34を係止し、レバー部材40を第4レバー位置から第1レバー位置に向けて回動させた際に、第2フード係止体34を係止し続けてフード部材30を第1フード位置に止める第2フード係止突出体24を設ける(
図8及び
図18)。
【0052】
第2フード係止突出体24は、プレート係止解除部122とプレート32が第2プレート係止突起22bを乗り越えから第2フード係止体34を係止する。具体的に、この第2フード係止突出体24は、プレート係止解除部122とプレート32が第2プレート係止突起22bを乗り越えて、プレート32の端部が第1プレート係止突起22a及びプレート係止突起22bの間に位置し得る状態になってから第2フード係止体34を係止する。ここでは、その第2フード係止体34と第2フード係止突出体24の組み合わせを2組設けている。
【0053】
この嵌合コネクタにおいては、レバー部材40を第4レバー位置(
図14及び
図15)から第1レバー位置(
図1及び
図2)に向けて回動させた際に、第2フード係止突出体24で第2フード係止体34を係止したままフード部材30を第1フード位置に止め続けさえるために、係止面124aに連なる傾斜係止面124bを第1フード係止突出体124に設ける(
図16及び
図17)。第1フード係止突出体124において、係止面124aは、レバー部材40を第4レバー位置から第1レバー位置に向けて回動させた際に、フード係止突起33aに作用させた力で第1フード係止体33を撓み変形させて、このフード係止突起33aを傾斜係止面124bに乗り上げさせる傾斜面に形成される。そして、傾斜係止面124bは、挿抜可能位置の雄コネクタ1と雌コネクタ2との間にその相互間を脱離させる引き離し力が加えられるまでフード係止突起33aを係止し、その相互間にその引き離し力が加えられた際に、フード係止突起33aに作用させた力で第1フード係止体33を更に撓み変形させて、フード係止突起33aに第1フード係止突出体124を乗り越えさせる傾斜面に形成される。
【0054】
例えば、傾斜係止面124bは、レバー部材40が第4レバー位置から第1レバー位置に向かう途中の第5レバー位置(
図19及び
図20)でフード係止突起33aを係止し(
図21)、この係止状態をレバー部材40が第5レバー位置から第1レバー位置に到達するまで継続させる。
【0055】
第1フード係止突出体124には、傾斜係止面124bに連なる傾斜面124cを設けている(
図16、
図17及び
図21)。この傾斜面124cは、フード係止突起33aが第1フード係止突出体124を乗り越える際に、このフード係止突起33aを傾斜係止面124bから移らせて、第1フード係止体33の撓み変形を徐々に解消させる傾斜面に形成される。よって、この傾斜面124cは、雄コネクタ1と雌コネクタ2を組み付ける際に、第1フード係止体33の撓み変形させながらフード係止突起33aを傾斜係止面124b側へと乗り越えさせるための傾斜面としても利用される。
【0056】
尚、レバー部材40は、第1レバー位置でフード部材30に仮係止させる。フード部材30は、その外壁面から突出させたレバー仮係止突起体35を有する(
図6、
図8及び
図22)。そして、レバー部材40は、アーム部41に設け、第1レバー位置でレバー仮係止突起体35に係止されて、第2レバー位置への回動を抑止するレバー仮係止体44を有する(
図6、
図8及び
図22)。レバー仮係止体44は、レバー部材40が第1レバー位置のときに、レバー仮係止突起体35に係止され、レバー部材40の第2レバー位置に向けた回動を抑止して、レバー部材40を第1レバー位置に止めるレバー仮係止突起44aを有する(
図8及び
図22)。そして、このレバー仮係止体44は、レバー部材40を第2レバー位置から第1レバー位置に向けて回動させた際に、レバー仮係止突起44aがレバー仮係止体44を乗り越えることが可能で、かつ、レバー部材40を第1レバー位置から第2レバー位置に向けて回動させた際に、レバー仮係止突起44aがレバー仮係止体44を乗り越えることが可能な撓み変形を行うレバー仮係止片部44bを有する(
図8)。このレバー仮係止片部44bは、アーム部41に設けた片持ちの片部であり、その自由端にレバー仮係止突起44aを設けている。
【0057】
以上示したように、本実施形態の嵌合コネクタにおいては、レバー部材40を第1レバー位置から第2レバー位置まで回動させた際に、雌コネクタ2からの入力でプレート係止体22を撓み変形させて、このプレート係止体22によるプレート32の係止状態を解除する。そして、この嵌合コネクタにおいては、その雌コネクタ2からの入力で第1フード位置のフード部材30を第2フード位置に向けて相対移動させる。また、本実施形態の嵌合コネクタにおいては、レバー部材40を第2レバー位置から第1レバー位置まで回動させた際に、雌コネクタ2からの入力でプレート係止体22を撓み変形させ、かつ、雌コネクタ2からの入力で第2フード位置のフード部材30を第1フード位置に向けて相対移動させる。このように、本実施形態の嵌合コネクタは、プレート32の相対移動機能を維持するべく、雌コネクタ2からの入力を利用してフード部材30を相対移動させる。従って、本実施形態の嵌合コネクタは、そのプレート32による雄端子金具10の保護機能を維持することができる。
【0058】
具体的に、本実施形態の嵌合コネクタにおいては、レバー部材40を第1レバー位置から第2レバー位置まで回動させた際に、雌コネクタ2のプレート係止解除部122から第1プレート係止突起22aの傾斜面に入力された押動力でプレート係止体22を撓み変形させて、このプレート係止体22によるプレート32の係止状態を解除し、そのプレート係止解除部122で第1フード位置のプレート32を第2フード位置まで押し動かす。また、本実施形態の嵌合コネクタにおいては、レバー部材40を第2レバー位置から第1レバー位置まで回動させた際に、雌コネクタ2のプレート係止解除部122から第2プレート係止突起22bの傾斜面に入力された押動力でプレート係止体22を撓み変形させる。そして、この嵌合コネクタにおいては、レバー部材40を第2レバー位置から第1レバー位置まで回動させた際に、第1フード係止体33のフード係止突起33aと第1フード係止突出体124の係止面124aとを係止させることで、フード部材30(プレート32)を第2フード位置から第1フード位置へと相対移動させる。このように、本実施形態の嵌合コネクタは、雌コネクタ2のプレート係止解除部122からの入力でプレート係止体22を撓み変形させる。そして、この嵌合コネクタは、レバー部材40を第1レバー位置から第2レバー位置まで回動させた際に、そのプレート係止解除部122でフード部材30(プレート32)を第1フード位置から第2フード位置へと押し動かす。また、この嵌合コネクタは、レバー部材40を第2レバー位置から第1レバー位置まで回動させた際に、第1フード係止体33のフード係止突起33aと第1フード係止突出体124の係止面124aとを係止させることによって、フード部材30(プレート32)を第2フード位置から第1フード位置へと相対移動させる。本実施形態の嵌合コネクタは、プレート係止体22の可撓性を利用するものであり、雌コネクタ2からプレート係止体22に入力された際の摩擦抵抗を軽減させることができるので、プレート係止体22やプレート係止解除部122等の耐久性が高く、これ故、プレート32の相対移動機能を維持することができる。
【0059】
また、本実施形態の嵌合コネクタにおいては、レバー部材40が第1レバー位置のときに、嵌合完了位置の雄コネクタ1と雌コネクタ2との間にその相互間を脱離させる引き離し力が加えられるまで、第1フード係止体33のフード係止突起33aと第1フード係止突出体124の傾斜係止面124bとを係止させる。そして、この嵌合コネクタにおいては、その引き離し力が加えられることによって、そのフード係止突起33aと傾斜係止面124bの係止状態が解除される。従って、本実施形態の嵌合コネクタは、雄コネクタ1と雌コネクタ2の脱離を意図した引き離し力が加えられるまで、その相互間の脱離を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0060】
1 雄コネクタ
2 雌コネクタ
10 雄端子金具
11 雄端子接続部
20 雄フレーム部材
22 プレート係止体
22a 第1プレート係止突起
22b 第2プレート係止突起
23 回転軸
24 第2フード係止突出体
30 フード部材
30a フード部
30b フレーム収容部
31 筒体
32 プレート
32a 端子挿通孔
33 フード係止体(第1フード係止体)
33a フード係止突起
34 第2フード係止体
40 レバー部材
110 雌端子金具
111 雌端子接続部
120 雌フレーム部材
122 プレート係止解除部
123 ガイド軸
124 フード係止突出体(第1フード係止突出体)
124a 係止面
124b 傾斜係止面