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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154525
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】車両制御方法及び車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/08 20120101AFI20241024BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B60W30/08
B60W40/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068364
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ゴンゴラ フロレス ダニエル マルセル
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA02
3D241BA12
3D241BA33
3D241BB06
3D241BB46
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE01
3D241CE03
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA13Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DA55Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB12Z
3D241DB13Z
3D241DB32Z
3D241DC02Z
3D241DC04Z
3D241DC30Z
3D241DC31Z
3D241DC33Z
3D241DC42Z
3D241DC45Z
(57)【要約】
【課題】合流車線が本線に合流する合流区間の手前の地点において、本線を走行する自車両が合流車線の合流車両を直接検出できない場合に、自車両が合流車両に過度に接近するのを抑制する。
【解決手段】コントローラ18は、自車両Ceが走行する道路に合流車線Lmが合流する合流区間Smの手前の所定範囲R1に自車両Ceが位置するか否かを判定する処理と、所定範囲R1に自車両Ceが位置する場合に、自車両Ceと合流区間Smの開始位置Psとの間を走行する先行車両Cfが車線変更を行ったか否かを判定する処理と、先行車両Cfが車線変更を行った場合に、先行車両Cfの車線変更が回避行動であるか否かを判定する処理と、先行車両Cfの車線変更が回避行動である場合に、自車両Ceの加速を制限する加速制限制御を行う処理と、を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行する道路に合流車線が合流する合流区間の手前の所定範囲に前記自車両が位置するか否かを判定する処理と、
前記所定範囲に前記自車両が位置する場合に、前記自車両と前記合流区間との間を走行する先行車両が車線変更の意思を示しているか否かを判定する処理と、
前記先行車両が車線変更の意思を示している場合に、前記先行車両の車線変更が回避行動であるか否かを判定する処理と、
前記先行車両の車線変更が回避行動である場合に、前記自車両の加速を制限する加速制限制御を行う処理と、
をコントローラに実行させることを特徴とする車両制御方法。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記自車両が前記合流区間に到達するまでの所要時間を推定し、
前記所要時間が所定閾値未満である場合に、前記所定範囲に前記自車両が位置すると判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項3】
前記コントローラは、前記先行車両から前記合流区間の開始位置までの距離が所定値より短い場合に前記先行車両の車線変更が回避行動であると判定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項4】
前記加速制限制御において、最大許容減速度で前記自車両を減速することを特徴とする請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項5】
前記加速制限制御において、
前記合流車線を走行する他車両の最低車速を推定し、
前記自車両の現在の車速と前記最低車速との間に目標速度を設定し、
前記合流区間の開始位置に前記目標速度で到達するために必要な減速度で前記自車両を減速する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項6】
前記コントローラは、前記合流車線の制限速度、前記合流車線の形状、又は前記合流車線の傾斜の少なくとも1つに基づいて前記最低車速を推定することを特徴とする請求項5に記載の車両制御方法。
【請求項7】
前記コントローラは、設定した前記減速度が所定閾値よりも大きい場合に、前記自車両が車線変更できるか否かを判定することを特徴とする請求項5又は6に記載の車両制御方法。
【請求項8】
前記加速制限制御において、前記自車両の加速度を0に設定することを特徴とする請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項9】
前記コントローラは、前記自車両の車速が前記目標速度に到達した場合に前記加速制限制御を終了することを特徴とする請求項5に記載の車両制御方法。
【請求項10】
前記コントローラは、前記自車両のセンサによる前記合流車線内の車両の検出が可能であるか、前記自車両が前記合流車線の開始位置に到達した場合に、前記加速制限制御を終了することを特徴とする請求項1に記載の車両制御方法。
【請求項11】
自車両が走行する道路に合流車線が合流する合流区間の手前の所定範囲に前記自車両が位置するか否かを判定する処理と、
前記所定範囲に前記自車両が位置する場合に、前記自車両と前記合流区間の開始位置との間を走行する先行車両が車線変更の意思を示しているか否かを判定する処理と、
前記先行車両が車線変更の意思を示している場合に、前記先行車両の車線変更が回避行動であるか否かを判定する処理と、
前記先行車両の車線変更が回避行動である場合に、前記自車両の加速を制限する加速制限制御を行う処理と、
を実行するコントローラを備えることを特徴とする車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御方法及び車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、合流区間において自車両の車速を制御する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9738280号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
合流車線が本線に合流する合流区間の手前の地点において、本線を走行する自車両が合流車線の合流車両を直接検出できない場合には、自車両よりも前方に合流する合流車両の検出が遅れることがある。このため、合流車両を直接検出してから自車両の加速を制限すると、合流車両に過度に接近する虞がある。
本発明は、合流車線が本線に合流する合流区間の手前の地点において、本線を走行する自車両が合流車線の合流車両を直接検出できない場合に、自車両が合流車両に過度に接近するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による車両制御方法では、自車両が走行する道路に合流車線が合流する合流区間の手前の所定範囲に自車両が位置するか否かを判定する処理と、所定範囲に自車両が位置する場合に、自車両と合流区間の開始位置との間を走行する先行車両が車線変更の意思を示しているか否かを判定する処理と、先行車両が車線変更の意思を示している場合に、先行車両の車線変更が回避行動であるか否かを判定する処理と、先行車両の車線変更が回避行動である場合に、自車両の加速を制限する加速制限制御を行う処理とをコントローラに実行させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、合流車線が本線に合流する合流区間の手前の地点において、本線を走行する自車両が合流車線の合流車両を直接検出できない場合に、自車両が合流車両に過度に接近するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の車両制御装置の一例の概略構成図である。
図2】実施形態の車両制御方法の一例の模式図である。
図3】コントローラの機能構成の一例のブロック図である。
図4】先行車両の車線変更が回避行動であるかの判定方法の一例の模式図である。
図5】実施形態の車両制御方法の一例の全体フローチャートである。
図6】対象シーン検出処理の一例のフローチャートである。
図7】先行車両監視処理の一例のフローチャートである。
図8】加速制限制御の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(構成)
図1は、実施形態の車両制御装置の例の概略構成図である。自車両Ceは、自車両Ceの走行を制御する車両制御装置10を備える。車両制御装置10による走行制御は、自車両Ceの周辺の走行環境に基づいて、運転者が関与せずに自車両Ceを自動で運転する自律運転制御や、自車両Ceの駆動、制動及び操舵 の少なくとも1つを制御することにより運転者による自車両Ceの運転を支援する運転支援制御を含む。運転支援制御は、例えば自動操舵、自動ブレーキ、先行車追従制御、定速走行制御、車線維持制御、合流支援制御などであってよい。
【0010】
車両制御装置10は、外界センサ11と、車両センサ12と、測位装置13と、地図データベース(地図DB)14と、アクチュエータ17と、コントローラ18とを備える。
外界センサ11は、自車両Ceに搭載されたレーザレーダやミリ波レーダ、カメラ、LIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)など、自車両Ceの周辺の物体を検出する複数の異なる種類の物体検出センサを備える。
車両センサ12は、自車両Ceに搭載され、自車両Ceから得られる様々な情報(車両信号)を検出する。車両センサ12には、例えば、自車両Ceの車速を検出する車速センサ、自車両Ceのタイヤの回転速度を検出する車輪速センサ、自車両Ceの3軸方向の加速度及び減速度を検出する3軸加速度センサ、ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ、操向輪の転舵角を検出する転舵角センサ、自車両Ceの角速度を検出するジャイロセンサ、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ、自車両のアクセル開度を検出するアクセルセンサと、運転者によるブレーキ操作量を検出するブレーキセンサが含まれる。
【0011】
測位装置13は、全地球型測位システム(GNSS)受信機を備え、複数の航法衛星から電波を受信して自車両Ceの現在位置を測定する。GNSS受信機は、例えば地球測位システム(GPS)受信機等であってよい。測位装置13は、例えば慣性航法装置であってもよい。
地図データベース14は、道路地図データを記憶している。例えば地図データベース14は、自動運転用の地図情報として好適な高精度地図データ(以下、単に「高精度地図」という)を記憶してよい。地図データベース14は、ナビゲーション用の地図データ(以下、単に「ナビ地図」という)を記憶してもよい。
【0012】
アクチュエータ17は、コントローラ18からの制御信号に応じて、自車両のステアリングホイール、アクセル開度及びブレーキ装置を操作して、自車両の車両挙動を発生させる。アクチュエータ17は、ステアリングアクチュエータと、アクセル開度アクチュエータと、ブレーキ制御アクチュエータを備える。ステアリングアクチュエータは、自車両のステアリングの操舵方向及び操舵量を制御する。アクセル開度アクチュエータは、自車両のアクセル開度を制御する。ブレーキ制御アクチュエータは、自車両のブレーキ装置の制動動作を制御する。
【0013】
コントローラ18は、自車両Ceの走行制御を行う電子制御ユニットである。コントローラ18は、プロセッサ18aと、記憶装置18b等の周辺部品とを含む。プロセッサ18aは、例えばCPUやMPUであってよい。
記憶装置18bは、半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等を備えてよい。記憶装置18bは、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM及びRAM等のメモリを含んでよい。
【0014】
以下に説明するコントローラ18の機能は、例えばプロセッサ18aが、記憶装置18bに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、コントローラ18を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成してもよい。例えば、コントローラ18は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えばコントローラ18はFPGA等のPLD等を有していてもよい。
【0015】
次に、コントローラ18による走行制御方法の一例を説明する。図2は、実施形態の車両制御方法の一例の模式図である。第1車線Ln1及び第2車線Ln2は本線上の車線であり、合流車線Lmは、合流区間Smにて本線の第1車線Ln1に合流する。合流区間Smは、開始位置Psにて合流を開始して終了位置Pにて合流を終了する。いま、合流区間Smの手前において自車両Ceが本線上の第1車線Ln1を走行しているシーンを想定する。
【0016】
この場合、例えば第1車線Ln1と合流車線Lmとの間の障害物Wや、第1車線Ln1と合流車線Lmとの間の高低差、第1車線Ln1や合流車線Lmの形状によって、自車両Ceの外界センサ11が合流車線Lm上の合流車両Cmを直接検出できないことがある。このため、自車両Ceよりも前方に合流する合流車両Cmを直接検出できるようになってから自車両Ceの加速を制限すると、自車両Ceが合流車両Cmに過度に接近する虞がある。
なお、本明細書における「加速の制限」とは、自車両Ceの加速を制限するものや加速を禁止するものを含むほかに、自車両Ceを減速させるものを含む。
【0017】
例えば、自車両Ceと合流区間Smの開始位置Psとの間に先行車両Cfが存在し、自車両Ceと先行車両Cfとの間の車間距離が、先行車両Cfが急停止した場合に先行車両Cfとの衝突を回避するのに十分な長さであっても、自車両Ceと先行車両Cfとの間に合流車両Cmが合流するには十分な長さではない場合に、自車両Ceよりも前方に合流する合流車両Cmを直接検出できるようになってから自車両Ceの加速を制限すると、自車両Ceが合流車両Cmに接近する虞がある。
【0018】
上記特許文献1では、合流車両Cmを直接検出することに基づいて自車両Ceの車速を調整するため、先行車両Cfが合流車両Cmを回避するための挙動(例えば車線変更)の意思を示しているとしても、先行車両Cf挙動を無視して自車両Ceにて合流車両Cmを直接検出した場合のみ自車両Ceの加速を制限する。このため、低速の合流車両Cmが自車両Ceの前方に現れた場合に、自車両Ceの加速を制限して自車両Ceが合流車両Cmに過度に接近するのを防止する機会を逸する。または低速の合流車両Cmが自車両Ceの前方に現れた場合に、自車両Ceを減速して合流車両Cmとの過度な接近を回避するのに必要な減速度を低減する機会を逸する。
【0019】
そこでコントローラ18は、自車両Ceが走行する道路に合流車線Lmが合流する合流区間Smの手前の所定範囲R1に自車両Ceが位置するか否か(すなわち自車両Ceの前方の所定範囲に合流区間Smがあるか否か)を判定する処理と、所定範囲R1に自車両Ceが位置する場合に、自車両Ceと合流区間Smとの間を走行する先行車両Cfが車線変更の意思を示している否かを判定する処理を実行する。例えば自車両Ceと合流区間Smの開始位置Psとの間を走行する先行車両Cfが車線変更の意思を示している否かを判定する処理を実行する。
車線変更の意思の有無は、例えば、先行車両Cfが方向指示器を作動させているか否かに基づいて判定してもよく、先行車両Cfが実際に車線変更を開始しているか否かに基づいて判定してもよく、先行車両Cfが、第1車線Ln1と隣接車線との間の車線境界を越えたか否かに基づいて判定してもよい。
【0020】
コントローラ18は、先行車両Cfが車線変更の意思を示している場合に、先行車両Cfの車線変更が回避行動であるか否かを判定し、先行車両Cfの車線変更が回避行動であると判定した場合に、自車両Ceの加速を制限する加速制限制御を行う。
これにより、合流区間Smの手前の本線上の自車両Ceの位置から合流車線Lm上の合流車両Cmを直接検出できなくても、自車両Ceは合流車両Cmの存在を予測して、自車両Ceの加速の制限を開始できる。
【0021】
この結果、低速の合流車両Cmが自車両Ceの前方に現れた場合に、自車両Ceが合流車両Cmに過度に接近するのを防止できる。
または、低速の合流車両Cmが自車両Ceの前方に現れた場合に、自車両Ceを減速して合流車両Cmとの過度な接近を回避するのに必要な減速度を低減できる。
【0022】
図3を参照してコントローラ18を詳しく説明する。コントローラ18は、物体検出部30と、自車両位置推定部31と、地図取得部32と、検出統合部33と、物体追跡部34と、地図内位置演算部35と、加速制限部36と、車両制御部37を備える。
物体検出部30は、外界センサ11の検出信号に基づいて、自車両Ceの周辺の物体、例えば車両やバイク、歩行者、障害物などの位置、姿勢、大きさ、速度などを検出する。物体検出部30は、車車間通信、路車間通信を介して他車両やインフラストラクチャーから自車両Ceの周辺の物体の情報を取得してもよい。
【0023】
自車両位置推定部31は、測位装置13による測定結果や、車両センサ12からの検出結果を用いたオドメトリに基づいて、自車両Ceの絶対位置、すなわち、所定の基準点に対する自車両Ceの位置、姿勢及び速度を計測する。
地図取得部32は、地図データベース14から自車両Ceの周囲の道路に関する地図情報を取得する。地図取得部32は、自車両Ceが走行する道路の構造に関する地図情報のほか、自車両Ceが走行する道路に合流する合流車線Lmや合流区間Smに関する地図情報を取得してよい。
【0024】
例えば地図取得部32は、合流車線Lmに関する地図情報として合流車線Lmの制限速度、車線形状、勾配に関する情報を取得してよい。また例えば地図取得部32は、合流区間Smに関する地図情報として合流区間Smの開始位置Psや終了位置Peに関する情報を取得してよい。
地図取得部32は外部の地図データサーバから地図情報を取得してもよい。
【0025】
検出統合部33は、複数の物体検出センサの各々から物体検出部30が得た複数の検出結果を統合して、各物体に対して一つの検出結果を出力する。
具体的には、物体検出センサの各々から得られた物体の挙動から、各物体検出センサの誤差特性などを考慮した上で、最も誤差が少なくなる最も合理的な物体の挙動を算出する。例えば、センサ・フュージョン技術を用いて、複数種類のセンサの検出結果を総合的に評価して、より正確な検出結果を取得する。
【0026】
物体追跡部34は、物体検出部30によって検出された物体を追跡する。具体的には、検出統合部33により統合された検出結果に基づいて、異なる時刻に出力された物体の挙動から、異なる時刻間における物体の同一性の検証(対応付け)を行い、かつ、その対応付けを基に、物体の速度などの挙動を予測する。
地図内位置演算部35は、自車両位置推定部31により得られた自車両Ceの絶対位置、及び地図取得部32により取得された地図情報から、地図上における自車両Ceの位置及び姿勢を推定する。また、地図内位置演算部35は、自車両Ceが走行している走行道路を特定する。さらに自車両Ceが走行する車線を特定する。
【0027】
加速制限部36は、自車両Ceの加速を制限する加速制限制御を実行する。加速制限部36は、合流区間検出部40と、合流区間情報取得部41と、対象シーン検出部42と、先行車両監視部43と、速度制御部44とを備える。
合流区間検出部40は、自車両Ceの進路前方に存在する合流区間Smを検出する。例えば合流区間検出部40は、地図取得部32が取得した地図情報に基づいて合流区間Smを検出してもよく、外界センサ11の出力(例えば前方カメラの撮像画像)に基づいて合流区間Smを検出してもよい。
【0028】
合流区間検出部40が合流区間Smを検出すると、合流区間情報取得部41は、合流車線Lmや合流区間Smに関する事前情報を取得する。例えば合流区間情報取得部41は、地図取得部32が取得した合流車線Lmの制限速度、車線形状、勾配の情報を事前情報として取得してよい。
対象シーン検出部42は、現在の自車両Ceの走行シーンが、自車両Ceの加速を制限する加速制限制御の対象となるシーン(以下「対象シーン」と表記することがある)であるか否かを判定する。
【0029】
まず対象シーン検出部42は、合流区間Smの手前の所定距離L1の所定範囲R1(すなわち開始位置Psよりも所定距離L1手前の地点から開始位置Psまでの範囲)内に自車両Ceが位置するか否かを判定する。
例えば、所定距離L1を所望の車頭時間THWに基づいて設定してもよい。例えば所定距離L1は、所望の車頭時間THWの2倍の時間に自車両Ceが進む走行距離として設定してよい。
【0030】
すなわち、自車両Ceの現在の車速がVeである場合に、所定距離L1をL1=2×Ve×THWとして設定してよい。
言い換えれば、合流区間検出部40は、自車両Ceが合流区間Smに到達するまでの所要時間を推定し、所要時間が所定閾値(2×THW)未満である場合に、所定範囲R1に自車両Ceが位置すると判定してよい。
【0031】
次に対象シーン検出部42は、合流車線Lmの隣接車線Ln1に自車両Ceが位置するか否かを判定する。
次に対象シーン検出部42は、自車両Ceと合流区間Smとの間において、自車両Ceの走行車線Ln1と同じ車線を走行する先行車両Cfが存在するか否かを判定する。例えば自車両Ceと合流区間Smの開始位置Psとの間に先行車両Cfが存在するか否かを判定する。
【0032】
さらに対象シーン検出部42は、合流車線Lmを走行する合流車両Cmが存在した場合に、合流車両Cmの車速として予想しうる最も低い速度である予想最低合流速度Vminを推定する。例えば対象シーン検出部42は、合流車線Lmの制限速度、車線形状、勾配の少なくとも1つに基づいて予想最低合流速度Vminを推定してよい。
【0033】
対象シーン検出部42は、現在の自車両Ceの車速Veが予想最低合流速度Vminよりも高いか否かを判定する。
対象シーン検出部42は、次の条件(A1)~(A4)を全て満足する場合に、現在の自車両Ceの走行シーンが対象シーンであると判定し、条件(A1)~(A4)のいずれかを満足しない場合には対象シーンでないと判定する。
【0034】
(A1)合流区間Smの手前の所定範囲R1内に自車両Ceが位置する。
(A2)合流車線Lmの隣接車線Ln1に自車両Ceが位置する。
(A3)自車両Ceと合流区間Smとの間を走行する先行車両Cfが存在する。
(A4)自車両Ceの車速Veが予想最低合流速度Vminよりも高い。
【0035】
現在の自車両Ceの走行シーンが対象シーンであると対象シーン検出部42が判定した場合に、先行車両監視部43は、先行車両Cfの挙動を監視することにより自車両Ceの加速を制限する加速制限制御を実行すべきか否かを判定する。
まず先行車両監視部43は、自車両Ceの現在位置から外界センサ11によって合流区間Smの全長に亘って合流区間Smの状況(例えば合流車両Cmの有無)を確認できるか否かを判定する。
【0036】
次に先行車両監視部43は、自車両Ceの車速Veが、合流車線上の車両の車速として予想しうる車速(予想合流速度)以上である否かを判定する。例えば先行車両監視部43は、予想合流速度として予想最低合流速度Vminよりも車速Veが高いか否かを判定してよい。
次に先行車両監視部43は、先行車両Cfが車線変更の意思を示しているか否かを判定する。例えば先行車両監視部43は、図2の破線20に示すように合流車線Lmに隣接する第1車線Ln1から合流車線Lmと反対側の車線(図2の例では第1車線Ln1に隣接する第2車線Ln2)への車線変更の意思表示を行っているか否かを判定する。
【0037】
次に先行車両監視部43は、先行車両Cfから合流区間Smの開始位置Psまでの距離D2が所定値D4より短いか否かを判定する。
図4を参照する。例えば先行車両監視部43は、自車両Ceと先行車両Cfとの間の車間距離D1と、自車両Ceから合流区間Smの開始位置Psまでの距離D3と、先行車両Cfの車両長L2とに基づいて、先行車両Cfから開始位置Psまでの距離D2を、D2=D3-D1-L2として推定してよい。
【0038】
また例えば先行車両監視部43は、所定値D4として、先行車両Cfが合流車線Lm内の車両を検出できると予測される距離を設定してよい。例えば、所定値D4として先行車両Cfに搭載される前方検知センサの検出距離を設定してもよい。
図3を参照する。先行車両監視部43は、次の条件(B4)を満足する場合に、先行車両Cfの車線変更が、第1車線Ln1への合流を試みる合流車両Cmを回避するための回避行動であると判定する。
そして、次の条件(B1)~(B4)を全て満足する場合に、速度制御部44に加速制限制御を実行させる。条件(B1)~(B4)のいずれかを満足しない場合には加速制限制御を実行しない。
【0039】
(B1)自車両Ceの現在位置から外界センサ11によって合流区間Smの全長に亘って合流区間Smの状況を確認できない。
(B2)自車両Ceの車速Veが予想最低合流速度Vminよりも高い。
(B3)先行車両Cfが車線変更の意思を示している。
(B4)先行車両Cfから合流区間Smの開始位置Psまでの距離D2が所定値D4より短い。
【0040】
上記条件(B1)~(B4)を全て満足する場合に、速度制御部44は、自車両Ceの加速を制限する加速制限制御を実行する。
加速制限制御において速度制御部44は、例えば自車両Ceの目標加速度を制限してよい。例えば車両制御装置10が自車両Ceの自律運転制御や運転支援制御を行っている場合に、速度制御部44は、先行車追従制御や定速走行制御によって設定される目標加速度を制限してよい。例えば先行車追従制御や定速走行制御によって設定される目標加速度を減少させたり、目標加速度の上限を下げてもよい。
また自車両Ceの乗員がアクセルペダルを操作している場合には、アクセルペダルの操作量に応じて演算された要求加速度を減少させたり、要求加速度の上限を下げてもよい。
【0041】
また例えば速度制御部44は、加速制限制御において自車両Ceの加速を禁止してもよい。すなわち自車両Ceの加速度を0[m/s]に設定してもよい。
また例えば速度制御部44は、加速制限制御において自車両Ceを減速してもよい。
自車両Ceを減速する場合に速度制御部44は、自車両Ceの目標減速度を演算する。
例えば速度制御部44は、自車両Ceの目標減速度として最大許容減速度を設定してよい。例えば最大許容減速度は、自車両Ceの乗員を不快にしない減速度の範囲の最大値(例えば3.4m/s)であってよい。
【0042】
また例えば速度制御部44は、合流車線Lmを走行する他車両の予想最低合流速度Vminを推定し、自車両Ceの現在の車速Veと予想最低合流速度Vminとの間に目標速度Vtを設定し、自車両Ceが合流区間Smの開始位置Psに目標速度Vtで到達するために必要な目標減速度を演算してもよい。すなわち、開始位置Psに到達するまでに自車両Ceの車速を目標速度Vtまで低下させるために必要な目標減速度を演算してもよい。例えば、目標速度Vtとして予想最低合流速度Vminを設定してよい。
【0043】
速度制御部44は、演算した目標減速度が所定閾値よりも大きいか否か、すなわち加速制限制御において強い減速が必要であるか否かを判定する。
目標減速度が所定閾値よりも大きい場合に速度制御部44は、自車両Ceが現在の走行車線Ln1から車線変更できるか否かを判定してもよい。例えば、自車両Ceが現在の第1車線Ln1から合流車線Lmと反対側の車線(図2の例では第1車線Ln1に隣接する第2車線Ln2)に車線変更できるか否かを判定してもよい。
例えば速度制御部44は、地図取得部32が取得した地図情報と、物体検出部30や物体追跡部34による自車両Ceの周囲の物体の検出結果と、に基づいて車線変更できるか否かを判定してよい。
【0044】
自車両Ceが走行車線Ln1から車線変更できる場合には、加速制限部36は、自車両Ceを走行車線Ln1から車線変更させて、大きな目標減速度による自車両Ceの減速を回避する。
例えば加速制限部36は、走行車線Ln1から車線変更する自車両Ceの目標走行軌道を生成して車両制御部37に出力する。車両制御部37は、加速制限部36が生成した目標走行軌道に沿って自車両Ceが車線変更するようにアクチュエータ17を駆動する。
【0045】
演算した目標減速度が所定閾値以下であるか、自車両Ceが現在の走行車線Ln1から車線変更できない場合に、速度制御部44は、目標減速度で自車両Ceを減速させる減速指令信号を車両制御部37へ出力する。
車両制御部37は、速度制御部44による減速指令信号に従って自車両Ceが減速するようにアクチュエータ17を駆動する。
【0046】
速度制御部44は、加速制限制御における減速中に、自車両Ceの現在位置から外界センサ11によって合流区間Smの全長に亘って合流区間Smの状況(例えば合流車両Cmの有無)を確認できるようになったか否かを判定する。
また速度制御部44は、現在の自車両Ceの車速Veが目標速度Vtに到達したか否かを判定する。
【0047】
また速度制御部44は、自車両Ceが合流区間Smの開始位置Psに到達したか否かを判定する。
速度制御部44は、自車両Ceの現在位置から外界センサ11によって合流区間Smの全長に亘って合流区間Smの状況を確認できるようになったか、車速Veが目標速度Vtに到達したか、又は自車両Ceが合流区間Smの開始位置Psに到達した場合に、自車両Ceの減速を終了する(すなわち加速制限制御を終了する)。
【0048】
(動作)
図5は、実施形態の車両制御方法の一例の全体フローチャートである。
ステップS1において対象シーン検出部42は、現在の自車両Ceの走行シーンが、対象シーンであるか否かを判定する対象シーン検出処理を行う。対象シーン検出処理の詳細は図6を参照して後述する。
現在の自車両Ceの走行シーンが対象シーンでない場合(ステップS2:N)に、加速制限制御を実行せずに処理は終了する。
【0049】
現在の自車両Ceの走行シーンが対象シーンである場合(ステップS2:Y)に、処理はステップS3へ進む。
ステップS3において先行車両監視部43は先行車両監視処理を実行する。先行車両監視処理の詳細は図7を参照して後述する。先行車両監視処理の後に処理は終了する。
【0050】
図6は、対象シーン検出処理S1の一例のフローチャートである。
ステップS10において対象シーン検出部42は、合流区間Smの手前の所定範囲R1内に自車両Ceが位置するか否かを判定する。所定範囲R1内に自車両Ceが位置する場合(ステップS10:Y)に処理はステップS11へ進む。所定範囲R1内に自車両Ceが位置しない場合(ステップS10:N)に処理はステップS15へ進む。
【0051】
ステップS11において対象シーン検出部42は、合流車線Lmの隣接車線Ln1に自車両Ceが位置するか否かを判定する。隣接車線Ln1に自車両Ceが位置する場合(ステップS11:Y)に処理はステップS12へ進む。隣接車線Ln1に自車両Ceが位置しない場合(ステップS11:N)に処理はステップS15へ進む。
【0052】
ステップS12において対象シーン検出部42は、自車両Ceと合流区間Smの開始位置Psとの間を走行する先行車両Cfが存在するか否かを判定する。先行車両Cfが存在する場合(ステップS12:Y)に処理はステップS13へ進む。先行車両Cfが存在しない場合(ステップS12:N)に処理はステップS15へ進む。
【0053】
ステップS13において対象シーン検出部42は、自車両Ceの車速Veが予想最低合流速度Vminよりも高いか否かを判定する。自車両Ceの車速Veが予想最低合流速度Vminよりも高い場合(ステップS13:Y)に処理はステップS14へ進む。自車両Ceの車速Veが予想最低合流速度Vmin以下である場合(ステップS13:N)に処理はステップS15へ進む。
【0054】
ステップS14において対象シーン検出部42は、現在の自車両Ceの走行シーンが対象シーンであると判定する。その後に対象シーン検出処理S1は終了する。
ステップS15において対象シーン検出部42は、現在の自車両Ceの走行シーンが対象シーンでないと判定する。その後に対象シーン検出処理S1は終了する。
【0055】
図7は、先行車両監視処理S3の一例のフローチャートである。
ステップS20において先行車両監視部43は、自車両Ceの現在位置から外界センサ11によって合流区間Smの全長に亘って合流区間Smの状況を確認できるか否かを判定する。合流区間Smの全長に亘って合流区間Smの状況を確認できる場合(ステップS20:Y)に処理はステップS25へ進む。合流区間Smの全長に亘って合流区間Smの状況を確認できない場合(ステップS20:N)に処理はステップS21へ進む。
【0056】
ステップS21において先行車両監視部43は、自車両Ceの車速Veが予想最低合流速度Vminよりも高いか否かを判定する。自車両Ceの車速Veが予想最低合流速度Vmin以下である場合(ステップS21:N)に処理はステップS25へ進む。自車両Ceの車速Vfが予想最低合流速度Vminよりも高い場合(ステップS21:Y)に処理はステップS22へ進む。
【0057】
ステップS22において先行車両監視部43は、先行車両Cfが車線変更の意思表示をしているか否かを判定する。先行車両Cfが車線変更の意思表示をしていない場合(ステップS22:N)に処理はステップS20へ戻る。先行車両Cfが車線変更の意思表示をしている場合(ステップS22:Y)に処理はステップS23へ進む。
【0058】
ステップS23において先行車両監視部43は、先行車両Cfから合流区間Smの開始位置Psまでの距離D2が所定値D4より短いか否かを判定する。距離D2が所定値D4以上である場合(ステップS23:N)に処理はステップS25へ進む。距離D2が所定値D4より短い場合(ステップS23:Y)に処理はステップS24へ進む。
ステップS24において先行車両監視部43は、加速制限制御を速度制御部44に実行させる。加速抑制制御における処理の一例は図8を参照して後述する。加速抑制制御の後に先行車両監視処理S3は終了する。
ステップS25において加速制限部36は、加速制限制御を実行せずに処理を通常動作に戻す。その後に先行車両監視処理S3は終了する。
【0059】
図8は、加速制限制御S24の一例のフローチャートである。
ステップS30において速度制御部44は、自車両Ceの目標減速度を演算する。
ステップS31において速度制御部44は、加速制限制御において強い減速が必要であるか否かを判定する。強い減速が必要でない場合(ステップS31:N)に処理はステップS34へ進む。強い減速が必要である場合(ステップS31:Y)に処理はステップS32へ進む。
【0060】
ステップS32において速度制御部44は、自車両Ceが現在の走行車線Ln1から車線変更できるか否かを判定する。自車両Ceが車線変更できない場合(ステップS32:N)に処理はステップS34へ進む。自車両Ceが車線変更できる場合(ステップS32:Y)に処理はステップS33へ進む。
ステップS33において加速制限部36は、自車両Ceを走行車線Ln1から車線変更させる。その後に処理はステップS37へ進む。
【0061】
ステップS34において速度制御部44は、目標減速度で自車両Ceを減速させる減速指令信号を車両制御部37へ出力する。
ステップS35において速度制御部44は、自車両Ceの現在位置から外界センサ11によって合流区間Smの全長に亘って合流区間Smの状況を確認できるようになったか否かを判定する。合流区間Smの全長に亘って合流区間Smの状況を確認できるようになった場合(ステップS35:Y)に処理はステップS37へ進む。
【0062】
合流区間Smの全長に亘って合流区間Smの状況を確認できるようになっていない場合(ステップS35:N)に処理はステップS36へ進む。
ステップS36において速度制御部44は、現在の自車両Ceの車速Veが目標速度Vtに到達したか否かを判定する。自車両Ceの車速Veが目標速度Vtに到達していない場合(ステップS36:N)に処理はステップS34へ戻る。自車両Ceの車速Veが目標速度Vtに到達した場合(ステップS36:Y)に処理はステップS37へ進む。
ステップS37において加速制限部36は、処理を通常動作に戻す。その後に加速制限制御S24は終了する。
【0063】
(実施形態の効果)
(1)コントローラ18は、自車両Ceが走行する道路に合流車線Lmが合流する合流区間Smの手前の所定範囲R1に自車両Ceが位置するか否かを判定する処理と、所定範囲R1に自車両Ceが位置する場合に、自車両Ceと合流区間Smとの間を走行する先行車両Cfが車線変更の意思を示しているか否かを判定する処理と、先行車両Cfが車線変更の意思を示している場合に、先行車両Cfの車線変更が回避行動であるか否かを判定する処理と、先行車両Cfの車線変更が回避行動である場合に、自車両Ceの加速を制限する加速制限制御を行う処理とを実行する。
【0064】
これにより、合流区間Smの手前の本線上の自車両Ceの位置から合流車線Lm上の合流車両Cmを直接検出できなくても、自車両Ceは、先行車両Cfの挙動に基づいて合流車両Cmの存在を予測して、自車両Ceの加速の制限を開始できる。この結果、低速の合流車両Cmが自車両Ceの前方に現れた場合に、自車両Ceが合流車両Cmに過度に接近するのを防止できる。または低速の合流車両Cmが自車両Ceの前方に現れた場合に、自車両Ceを減速して合流車両Cmとの過度な接近を回避するのに必要な減速度を低減できる。
【0065】
(2)コントローラ18は、自車両Ceが合流区間Smに到達するまでの所要時間を推定し、所要時間が所定閾値未満である場合に、所定範囲R1に自車両Ceが位置すると判定してよい。これにより、合流区間Smの手前の所定範囲R1に自車両Ceが位置するか否かを判定できる。
【0066】
(3)コントローラ18は、先行車両Cfから合流区間Smの開始位置Psまでの距離が所定値より短い場合に先行車両Cfの車線変更が回避行動であると判定してよい。これにより、先行車両Cfの車線変更が回避行動であるか否かをより正確に判定できる。
(4)加速制限制御においてコントローラ18は、最大許容減速度で自車両Ceを減速してもよい。これにより、加速制限制御における自車両Ceの減速度を最大許容減速度以下に制限できる。
【0067】
(5)加速制限制御においてコントローラ18は、合流車線Lmを走行する他車両の最低車速を推定し、自車両Ceの現在の車速と最低車速との間に目標速度を設定し、合流区間Smの開始位置Psに目標速度で到達するために必要な減速度で自車両Ceを減速させてもよい。これにより、自車両Ceが合流車両Cmに過度に接近するのを抑制するのに適切な目標速度を設定して、合流区間Smの開始位置Psに到達するまでに自車両Ceを目標速度まで減速させることができる。
【0068】
(6)コントローラ18は、合流車線Lmの制限速度、合流車線Lmの形状、又は合流車線Lmの傾斜の少なくとも1つに基づいて最低車速を推定してもよい。これにより、合流車線Lmを走行する他車両の最低車速を推定できる。
(7)コントローラ18は、設定した減速度が所定閾値よりも大きい場合に、自車両Ceが車線変更できるか否かを判定してもよい。これにより、合流車両Cmを回避するために自車両Ceを車線変更させることが可能となる。この結果、加速制限制御において大きな減速度で減速するのを回避できる。
【0069】
(8)加速制限制御においてコントローラ18は、自車両Ceの加速度を0に設定してもよい。これにより、自車両Ceの加速を禁止して自車両Ceが合流車両Cmに過度に接近するのを抑制できる。
(9)コントローラ18は、自車両Ceの車速が目標速度に到達したか、自車両Ceのセンサによる合流車線Lm内の車両の検出が可能になったか、自車両Ceが合流車線Lmの開始位置Psに到達した場合に加速制限制御を終了してもよい。これにより、不要な加速制限を抑制できる。
【符号の説明】
【0070】
Ce…自車両、Cf…先行車両、Cm…合流車両、Lm…合流車線、Sm…合流区間、10…車両制御装置、11…外界センサ、12…車両センサ、13…測位装置、14…地図データベース、17…アクチュエータ、18…コントローラ、18a…プロセッサ、18b…記憶装置、30…物体検出部、31…自車両位置推定部、32…地図取得部、33…検出統合部、34…物体追跡部、35…地図内位置演算部、36…加速制限部、37…車両制御部、40…合流区間検出部、41…合流区間情報取得部、42…対象シーン検出部、43…先行車両監視部、44…速度制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8