(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154529
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】表示装置、及び表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20241024BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20241024BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20241024BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20241024BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 624B
G09G3/20 641D
G09G3/20 611H
G09G3/20 642A
G09G3/20 611J
G09G3/20 621F
H10K50/10
H10K59/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068373
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003926
【氏名又は名称】弁理士法人イノベンティア
(72)【発明者】
【氏名】宮田 英利
【テーマコード(参考)】
3K107
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC33
3K107HH04
3K107HH05
5C080AA06
5C080AA07
5C080BB05
5C080DD05
5C080DD25
5C080EE29
5C080FF03
5C080FF11
5C080HH09
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C380AA01
5C380AA03
5C380AB06
5C380AB18
5C380AB22
5C380AB24
5C380AB43
5C380AB47
5C380BA20
5C380BA38
5C380BA39
5C380BB02
5C380BC20
5C380CA04
5C380CA12
5C380CA32
5C380CB01
5C380CB16
5C380CB17
5C380CB26
5C380CC04
5C380CC07
5C380CC27
5C380CC33
5C380CC39
5C380CC52
5C380CC61
5C380CC65
5C380CC66
5C380CD039
5C380CE05
5C380CE20
5C380DA02
5C380DA06
5C380DA47
5C380HA03
5C380HA05
(57)【要約】
【課題】発光素子に流れる電流を制御するトランジスタに起因した輝度ばらつきを抑制することが可能な表示装置、及び表示装置の制御方法を提供する。
【解決手段】表示装置は、発光素子11と、トランジスタ21~23と、電圧補償回路30とを備える。電圧補償回路30は、トランジスタ21のゲート電極21gに接続された容量素子31と容量素子32と、を含む。初期期間において、ゲート電極21gに電圧Viniが供給される。書き込み期間において、トランジスタ21のソース電極にデータ信号Vdataが供給される。書き込み期間の開始時点に、ゲート電極21gと電力線5aとが遮断される。書き込み期間の開始時点よりも後に、容量素子31と容量素子32とが並列に接続され、その後の発光期間において、トランジスタ22が導通し、発光素子11が発光する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子に流れる電流を制御する第1トランジスタと、
前記第1トランジスタのソース電極又は前記第1トランジスタのドレイン電極のうちの一方の電極である第1の電極と前記発光素子との間に接続された第2トランジスタと、
前記第1トランジスタのソース電極又は前記第1トランジスタのドレイン電極のうちの他方の電極である第2の電極と前記第1トランジスタのゲート電極との間に接続された第3トランジスタと、
前記第1の電極にデータ信号を供給する駆動回路と、
前記第1トランジスタのゲート電極に接続された電圧補償回路と、を備え、
前記駆動回路は、
初期期間において、前記第1トランジスタのゲート電極に前記データ信号の電圧と異なる電圧値を有する初期電圧を供給し、
前記初期期間の後の書き込み期間において、前記第1の電極に前記データ信号を供給し、前記第3トランジスタを導通させ、
前記電圧補償回路は、
前記ゲート電極に接続された第1容量素子と、
前記第1容量素子に接続された第2容量素子と、
前記ゲート電極と前記第2容量素子とに接続された第1スイッチであって、導通することにより前記第1容量素子と前記第2容量素子とを並列に接続する第1スイッチと、
前記第1トランジスタのゲート電極と、前記初期電圧を供給する電圧源とを導通させた状態と、前記第1トランジスタのゲート電極と前記電圧源とを遮断した状態とを切り替える第2スイッチと、を含み、
前記電圧補償回路は、
前記書き込み期間の開始時点に、前記第2スイッチにより前記第1トランジスタのゲート電極と前記電圧源とが導通した状態から遮断した状態に切り替え、
前記書き込み期間の開始時点よりも後に、前記第1スイッチを導通させ、
前記駆動回路は、前記第1スイッチを導通させた時点よりも後の発光期間において、前記第2トランジスタを導通させる、表示装置。
【請求項2】
前記電圧補償回路は、前記書き込み期間の開始時点よりも後で、かつ、前記書き込み期間内に、前記第1スイッチの導通を開始させる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記電圧補償回路は、前記書き込み期間の終了時点よりも後で、かつ、前記発光期間の開始時点よりも前に、前記第1スイッチの導通を開始させる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記電圧補償回路は、前記書き込み期間の開始時点よりも前の期間に、前記第2容量素子を短絡させる第3スイッチを、さらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1容量素子の電気容量は、前記第2容量素子の電気容量はよりも大きい、請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
発光素子と、
前記発光素子に流れる電流を制御する第1トランジスタと、
前記第1トランジスタのソース電極又は前記第1トランジスタのドレイン電極のうちの一方の電極である第1の電極と前記発光素子との間に接続された第2トランジスタと、
前記第1トランジスタのソース電極又は前記第1トランジスタのドレイン電極のうちの他方の電極である第2の電極と前記第1トランジスタのゲート電極との間に接続された第3トランジスタと、
前記第1の電極にデータ信号を供給する駆動回路と、
前記第1トランジスタのゲート電極に接続された電圧補償回路と、を備え、
前記電圧補償回路は、
前記ゲート電極に接続された第1容量素子と、
前記第1容量素子に接続された第2容量素子と、
前記ゲート電極と前記第2容量素子とに接続された第1スイッチであって、導通することにより前記第1容量素子と前記第2容量素子とを並列に接続する第1スイッチと、
前記第1トランジスタのゲート電極と、前記データ信号の電圧と異なる電圧値を有する初期電圧を供給する電圧源とを導通させた状態と、前記第1トランジスタのゲート電極と前記電圧源とを遮断した状態とを切り替える第2スイッチと、を含む、表示装置の制御方法であって、
初期期間において、前記第1トランジスタのゲート電極に前記初期電圧を供給し、
前記初期期間の後の書き込み期間において、前記第1の電極に前記データ信号を供給し、前記第3トランジスタを導通させ、
前記書き込み期間の開始時点に、前記第2スイッチにより前記第1トランジスタのゲート電極と前記電圧源とが導通した状態から遮断した状態に切り替え、
前記書き込み期間の開始時点よりも後に、前記第1スイッチを導通させ、
前記第1スイッチを導通させた時点よりも後の発光期間において、前記第2トランジスタを導通させる、表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、及び表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のアクティブマトリクス型表示装置には、有機EL素子と第1のトランジスタと第2のトランジスタとキャパシタとが設けられている。第1のトランジスタは、有機EL素子に供給される電流を制御するためのトランジスタである。第2のトランジスタは、第1のトランジスタと有機EL素子との間に接続されている。キャパシタは、第1のトランジスタのゲート電極に接続されている。そして、第1のトランジスタのゲート電極には、ゲート信号の電圧よりも高い第1電圧が供給される。その後、第1のトランジスタの第1の電極には、データ信号が供給され(書き込まれ)、第1のトランジスタの第2の電極とゲート電極とが接続される。データ信号が書き込まれる期間(以下、「書き込み期間」という)が開始されると、第2の電極から第1の電極に電流が流れることにより、ゲート電極の電位は、第1電圧から低下を開始する。書き込み期間の開始後、ゲート電極の電位は、データ信号の電圧に第1のトランジスタのゲートしきい値電圧を加えた値以上の値に、キャパシタによって保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1のアクティブマトリクス型表示装置において、書き込み期間中に、ゲート電極の電位が、データ信号の電圧に第1のトランジスタのゲートしきい値電圧を加えた値(以下「目標の電圧値」という)に一致する状態になれば、第1のトランジスタのゲート電極と第1の電極との電位差がゲートしきい値電圧のみとなり、ゲート電極と第1の電極との間で電流が流れなくなる。この場合には、第1のトランジスタのゲートしきい値電圧のばらつきに起因した輝度ばらつきを抑制することができる。
【0005】
しかしながら、第1のトランジスタの第2の電極から第1の電極へ流れる電流の大きさは、ゲート電極の電位と第1の電極の電位との電位差の2乗に比例する。すなわち、ゲート電極の電位が、目標の電圧値に近づく程、電流が小さくなり、電位の低下の速度が低下する。このため、書き込み期間中に、ゲート電極の電位は、目標の電圧値に到達しない。
【0006】
本開示は、発光素子に流れる電流を制御するトランジスタに起因した輝度ばらつきを抑制することが可能な表示装置、及び表示装置の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の第1の態様に係る表示装置は、発光素子と、前記発光素子に流れる電流を制御する第1トランジスタと、前記第1トランジスタのソース電極又は前記第1トランジスタのドレイン電極のうちの一方の電極である第1の電極と前記発光素子との間に接続された第2トランジスタと、前記第1トランジスタのソース電極又は前記第1トランジスタのドレイン電極のうちの他方の電極である第2の電極と前記第1トランジスタのゲート電極との間に接続された第3トランジスタと、前記第1の電極にデータ信号を供給する駆動回路と、前記第1トランジスタのゲート電極に接続された電圧補償回路と、を備え、前記駆動回路は、初期期間において、前記第1トランジスタのゲート電極に前記データ信号の電圧と異なる電圧値を有する初期電圧を供給し、前記初期期間の後の書き込み期間において、前記第1の電極に前記データ信号を供給し、前記第3トランジスタを導通させ、前記電圧補償回路は、前記ゲート電極に接続された第1容量素子と、前記第1容量素子に接続された第2容量素子と、前記ゲート電極と前記第2容量素子とに接続された第1スイッチであって、導通することにより前記第1容量素子と前記第2容量素子とを並列に接続する第1スイッチと、前記第1トランジスタのゲート電極と、前記初期電圧を供給する電圧源とを導通させた状態と、前記第1トランジスタのゲート電極と前記電圧源とを遮断した状態とを切り替える第2スイッチと、を含み、前記電圧補償回路は、前記書き込み期間の開始時点に、前記第2スイッチにより前記第1トランジスタのゲート電極と前記電圧源とが導通した状態から遮断した状態に切り替え、前記書き込み期間の開始時点よりも後に、前記第1スイッチを導通させ、前記駆動回路は、前記第1スイッチを導通させた時点よりも後の発光期間において、前記第2トランジスタを導通させる。
【0008】
また、第2の態様に係る表示装置の制御方法は、発光素子と、前記発光素子に流れる電流を制御する第1トランジスタと、前記第1トランジスタのソース電極又は前記第1トランジスタのドレイン電極のうちの一方の電極である第1の電極と前記発光素子との間に接続された第2トランジスタと、前記第1トランジスタのソース電極又は前記第1トランジスタのドレイン電極のうちの他方の電極である第2の電極と前記第1トランジスタのゲート電極との間に接続された第3トランジスタと、前記第1の電極にデータ信号を供給する駆動回路と、前記第1トランジスタのゲート電極に接続された電圧補償回路と、を備え、前記電圧補償回路は、前記ゲート電極に接続された第1容量素子と、前記第1容量素子に接続された第2容量素子と、前記ゲート電極と前記第2容量素子とに接続された第1スイッチであって、導通することにより前記第1容量素子と前記第2容量素子とを並列に接続する第1スイッチと、前記第1トランジスタのゲート電極と、前記データ信号の電圧と異なる電圧値を有する初期電圧を供給する電圧源とを導通させた状態と、前記第1トランジスタのゲート電極と前記電圧源とを遮断した状態とを切り替える第2スイッチと、を含む、表示装置の制御方法であって、初期期間において、前記第1トランジスタのゲート電極に前記初期電圧を供給し、前記初期期間の後の書き込み期間において、前記第1の電極に前記データ信号を供給し、前記第3トランジスタを導通させ、前記書き込み期間の開始時点に、前記第2スイッチにより前記第1トランジスタのゲート電極と前記電圧源とが導通した状態から遮断した状態に切り替え、前記書き込み期間の開始時点よりも後に、前記第1スイッチを導通させ、前記第1スイッチを導通させた時点よりも後の発光期間において、前記第2トランジスタを導通させる。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、書き込み期間の開始時点よりも後に、第1トランジスタのゲート電極から第2容量素子へ電荷を流すことができる。第2容量素子へ電荷を流すことにより、第1トランジスタのゲート電極の電位の低下を加速させることができる。このため、ゲート電極の電位を、データ信号の電圧に第1トランジスタのゲートしきい値電圧を加えた値に近づけることができる。これにより、発光素子に流れる電流を制御するトランジスタに起因した輝度ばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態による表示装置100の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、表示部10の一部の構成を示す回路図である。
【
図3】
図3は、複数のゲート線2aに供給されるゲート信号を説明するための図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態による電圧補償回路30の構成を示す回路図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態による表示装置100の動作を説明するためのタイミング図である。
【
図6】
図6は、第1比較例による表示装置の回路図である。
【
図7】
図7は、第1比較例による表示装置の動作を説明するためのタイミング図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態による実施例及び第1比較例におけるデータ信号が最大値Vdata(max)の場合のゲート電圧の変化を示す図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態による実施例及び第1比較例におけるデータ信号が最小値Vdata(min)の場合のゲート電圧の変化を示す図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態による表示装置200の構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態による表示部210の構成を示す回路図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態による表示装置200の動作を説明するためのタイミング図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態による実施例及び第2比較例におけるデータ信号がVdata(max)の場合(輝度が最大となる値)のゲート電圧の変化を示す図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態による実施例及び第2比較例におけるデータ信号がVdata(min)の場合(輝度が最小となる値)のゲート電圧の変化を示す図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態による表示装置200の構成を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、第3実施形態による表示装置300の動作を説明するためのタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本開示の実施形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態による表示装置100の構成を示すブロック図である。表示装置100は、マトリクス状に発光素子11が配列されたアクティブマトリクス駆動するディスプレイである。
【0013】
図1に示すように、表示装置100は、制御回路1と、ゲートドライバ2と、データドライバ3と、スイッチングドライバ4と、電源回路5と、表示部10とを備える。また、表示装置100は、ゲートドライバ2に接続された複数(例えば、自然数m本)のゲート線2aと、データドライバ3に接続された複数(例えば、自然数k本)のデータ線3aと、スイッチングドライバ4に接続された複数(例えば、自然数m本)のアシスト線4aと、スイッチングドライバ4に接続された複数(例えば、自然数m本)のスイッチ線4bと、を備える。複数のゲート線2aと複数のデータ線3aとにより区画された領域を、画素と呼ぶ。表示部10には、k×m個の画素が形成されている。
【0014】
図2は、表示部10の一部の構成を示す回路図である。
図2に示すように、アシスト線4aは、電圧補償回路30(トランジスタ33)の動作を制御することにより、トランジスタ21へのデータ信号Vdataの書き込みを補助するための制御線である。スイッチ線4bは、トランジスタ22を制御することにより、発光素子11の点灯と消灯とを制御するための制御線である。
【0015】
なお、
図1では、m本のゲート線2aを区別するために、ゲート線をG1~Gmと記載し、任意のn本目のゲート線をGnと記載している。なお、
図1に示すように、発光素子11の発光に寄与しないゲート線であるG0(ダミー線)が表示装置100に設けられていてもよい。また、k本のデータ線3aを区別するために、データ線をD1~Dkと記載している。
【0016】
図1に示す制御回路1は、表示装置100の各制御処理を実行するプロセッサを含む。制御回路1は、ゲートドライバ2に、ゲート信号を出力するためのタイミング信号Gtを出力する。また、制御回路1は、データドライバ3に、データ信号を出力するためのタイミング信号Dtと、デジタル値で示したデータ信号であるデジタルデータ信号Dsと、を出力する。また、制御回路1は、スイッチングドライバ4に、発光素子11が発光するタイミングを制御するためのタイミング信号Stと、電圧補償回路30(トランジスタ33)の動作を制御するためのタイミング信号Atと、を出力する。また、制御回路1は、図示しないホストコントローラから受信した画像信号に基づいて、上記のタイミング信号Gt、Dt、St、及びAt、及びデジタルデータ信号Dsを生成する。
【0017】
ゲートドライバ2は、複数のゲート線2aに対してゲート信号を出力する回路である。例えば、ゲートドライバ2は、表示装置100の図示しない基板上に実装された集積回路である。なお、ゲートドライバ2は、基板にモノリシックに形成されてもよい。そして、ゲートドライバ2は、制御回路1から、ゲート信号の出力のタイミングを制御するタイミング信号Gtを受信する。また、ゲートドライバ2は、タイミング信号Gtに基づいて、電源回路5から供給された電圧GH及び電圧GLを複数のゲート線2aに供給する。
【0018】
図3は、複数のゲート線2aに供給されるゲート信号を説明するための図である。
図4は、第1実施形態による電圧補償回路30の構成を示す回路図である。
図5は、第1実施形態による表示装置100の動作を説明するためのタイミング図である。
図5に示すように、ゲートドライバ2は、表示部10におけるトランジスタ24を、オン(導通させる)させる期間には、電圧VHをゲート線2aに供給し、オフ(遮断する)させる期間には、電圧VLをゲート線2aに供給する。
図3に示すように、ゲートドライバ2は、ゲート線G0~Gmに順次、電圧VHを供給する。
【0019】
データドライバ3は、複数のデータ線3aに対してデータ信号を出力する回路である。例えば、データドライバ3は、表示装置100の図示しない基板上に実装された集積回路である。なお、データドライバ3は、基板にモノリシックに形成されてもよい。データドライバ3は、制御回路1から、デジタルデータ信号Ds及び、デジタルデータ信号Dsの出力のタイミングを制御するタイミング信号Dtを受信する。また、データドライバ3には、電源回路5より、入力されたデジタルデータ信号Dsをアナログデータ(電圧)に変換するための電圧Vrが入力される。電圧Vrは、所定の階調の基準となる電圧である。データドライバ3は、電圧Vrに基づいて、デジタルデータ信号Dsを電圧値(データ信号)に変換する。そして、データドライバ3は、タイミング信号Dtに基づいて、データ信号をデータ線3aに出力する。
【0020】
スイッチングドライバ4は、複数のアシスト線4a及び複数のスイッチ線4bに対して制御信号を出力する回路である。例えば、スイッチングドライバ4は、表示装置100の図示しない基板上に実装された集積回路である。なお、スイッチングドライバ4は、基板にモノリシックに形成されてもよい。スイッチングドライバ4は、制御回路1から、制御信号の出力のタイミングを制御するタイミング信号At及びStを受信する。そして、スイッチングドライバ4は、電源回路5より電圧AH、AL、SH、及びSLが入力される。
【0021】
図5に示すように、スイッチングドライバ4は、タイミング信号Atに基づいて、電圧補償回路30のトランジスタ33を、オン(導通させる)させる期間には、電圧AHをアシスト線4aに供給し、オフ(遮断する)させる期間には、電圧ALをアシスト線4aに供給する。また、スイッチングドライバ4は、タイミング信号Stに基づいて、表示部10のトランジスタ22を、オン(導通させる)させる期間には、電圧SHをスイッチ線4bに供給し、オフ(遮断する)させる期間には、電圧SLをスイッチ線4bに供給する。
【0022】
電源回路5は、表示部10へ制御の基準となる電圧である電圧Vss、電圧Vdd、及び電圧Viniを出力する。電圧Vssは、発光素子11のカソードに供給するための電圧である。電圧Vddは、発光素子11を発光させる際に、発光素子11のアノードに供給するための電圧である。電圧Viniは、電圧Vssよりも高く、かつ、データ信号Vdataの電圧値よりも高い電圧値を有し、トランジスタ21にデータ信号Vdataを書き込む前に印加する電圧(初期化用の電圧)である。
【0023】
例えば、電圧Viniは、発光素子11が最大の輝度になるデータ信号の電圧値Vdata(max)に、ゲートしきい値電圧Vthを加えた値以上の値が設定される。ゲートしきい値電圧は、表示部10内のトランジスタ21のゲートしきい値電圧のばらつきの中で、最も大きな電圧値のVth(max)よりも高い電圧になるように設定される。更に、所定の電圧V0だけ高い値(Vini=Vdata(max)+Vth(max)+V0)に設定する。例えば、電圧V0は0.5Vである。
【0024】
(表示部10の構成)
図2に示すように、表示部10の各画素には、発光素子11と、トランジスタ21~26と、電圧補償回路30と、が配置されている。発光素子11は、ダイオード特性を有し、発光素子11のアノード11a(
図4参照)からカソード11b(
図4参照)に流れる電流が大きい程、輝度が大きくなる。発光素子11は、例えば、発光ダイオードである。発光ダイオードは、例えば、μLED、miniLED、又はOLED(有機EL素子)を採用することができる。すなわち、表示装置100は、μLEDディスプレイ、miniLEDディスプレイ、又は有機ELディスプレイである。アノード11aは、トランジスタ22に接続されている。カソード11bは、電圧Vssが印加されている電力線5bに接続されている。電力線5bは、電源回路5(
図1参照)に接続されている。
【0025】
第1実施形態では、トランジスタ21~26は、nチャンネル型のトランジスタである。トランジスタ21~26を構成する半導体は、例えば、酸化物半導体である。酸化物半導体には、例えば、InとGaとZnとが含有されてもよい。また、トランジスタ21~26を構成する半導体は、LTPS(多結晶の低温ポリシリコン)であってもよいし、アモルファスシリコンであってもよい。
【0026】
図4に示すトランジスタ21は、発光素子11に流れる電流を制御するスイッチング素子である。トランジスタ21は、ゲート電極21gの電位とソース電極21sの電位との電位差が大きい程、ドレイン電極21dからソース電極21sに向かって流れる電流が大きくなる。
【0027】
トランジスタ22は、発光素子11を点灯させる状態と、発光素子11を消灯させる状態とを切り替えるスイッチング素子である。
図4に示すように、トランジスタ22のドレイン電極22dは、トランジスタ21のソース電極21sに接続されている。トランジスタ22のソース電極22sは、発光素子11のアノード11aに接続されている。トランジスタ22のゲート電極22gは、スイッチ線4bに接続されている。トランジスタ22がオンの状態(ゲート電極22gが電圧SHの状態)では、発光素子11に電流を流し、トランジスタ22がオフの状態(ゲート電極22gが電圧SLの状態)では、発光素子11に電流を流さない。
【0028】
トランジスタ23は、トランジスタ21のゲート電極21gとドレイン電極21dとを導通した状態と遮断した状態とを切り替えるスイッチング素子である。トランジスタ23のゲート電極は、ゲート線2aに接続されている。トランジスタ23は、ゲート信号が電圧GHの場合にオンとなり、トランジスタ21のゲート電極21gとドレイン電極21dとを導通させる。トランジスタ23は、ゲート信号が電圧GLの場合にオフとなり、トランジスタ21のゲート電極21gとドレイン電極21dとを遮断する。
【0029】
トランジスタ24は、ゲート信号に基づいて、データ信号Vdataをトランジスタ21のソース電極21sに供給する(書き込む)スイッチング素子である。トランジスタ24のゲート電極は、ゲート線2aに接続されている。トランジスタ24は、ゲート信号が電圧GHの場合にオンとなり、データ線3aとトランジスタ21のソース電極21sとを導通させる。トランジスタ24は、ゲート信号が電圧GLの場合にオフとなり、データ線3aとソース電極21sとを遮断する。
【0030】
トランジスタ25は、発光素子11を発光させる際に、電圧Vddをトランジスタ21のドレイン電極21dに印加させるためのスイッチング素子である。トランジスタ25のゲート電極には、スイッチ線4bが接続されている。トランジスタ25のドレイン電極には、電圧Vddが印加されている電力線5cが接続されている。電力線5cは、電源回路5(
図1参照)に接続されている。トランジスタ25のソース電極には、トランジスタ21のドレイン電極21dが接続されている。そして、トランジスタ25は、オンの状態(ゲート電極にSHが印加された状態)では、電圧Vddをトランジスタ21のドレイン電極21dに供給し、オフの状態(ゲート電極にSLが印加された状態)では、電力線5cとトランジスタ21のドレイン電極21dとを遮断する。
【0031】
トランジスタ26は、電圧補償回路30と電力線5bとが導通した状態と遮断した状態とを切り替えるスイッチング素子である。また、トランジスタ26は、発光素子11のアノード11aとカソード11bとを短絡させた状態と、アノード11aとカソード11bとを遮断した状態とを切り替えるスイッチング素子である。トランジスタ26のゲート電極は、前段(n-1)のゲート線2aに接続されている。トランジスタ26のドレイン電極は、電圧補償回路30の容量素子31及び容量素子32と、発光素子11のアノード11aとに接続されている。トランジスタ26のソース電極は、電圧Vssが印加されている電力線5bと、発光素子11のカソード11bとに接続されている。そして、トランジスタ26は、前段(n-1)のゲート線2aが電圧GHとなった場合に、アノード11a、容量素子31、及び容量素子32を、電力線5b及びカソード11bに接続する。トランジスタ26は、前段(n-1)のゲート線2aが電圧GLの場合、アノード11a、容量素子31、及び容量素子32を、電力線5b及びカソード11bに対して遮断する。
【0032】
(電圧補償回路30の構成)
電圧補償回路30は、トランジスタ21のゲートしきい値電圧Vthのばらつきに起因する発光素子11に流れる電流の大きさのばらつきを抑制するために、トランジスタ21のゲート電極21gの電圧Vgを、データ信号Vdataに対してゲートしきい値電圧Vthを加える(補正する)ための回路である。
【0033】
図4に示すように、電圧補償回路30は、トランジスタ21のゲート電極21gに接続されている。電圧補償回路30は、容量素子31及び32と、トランジスタ33~35とを含む。第1実施形態では、トランジスタ33~35は、nチャンネル型のトランジスタである。トランジスタ33~35を構成する半導体は、例えば、酸化物半導体である。酸化物半導体には、例えば、InとGaとZnとが含有されてもよい。また、トランジスタ33~35を構成する半導体は、LTPS(多結晶の低温ポリシリコン)であってもよいし、アモルファスシリコンであってもよい。
【0034】
容量素子31の電極31aは、トランジスタ21のゲート電極21gに接続されている。また、容量素子31の電極31bは、
図2に示すように、トランジスタ26、及び発光素子11のアノード11aに接続されている。容量素子32の電極32aは、トランジスタ33及びトランジスタ34の一方端に接続されている。また、容量素子32の電極32bは、トランジスタ34の他方端に接続されている。また、第1実施形態では、容量素子31の電気容量は、容量素子32の電気容量よりも大きい。これによれば、後述するゲート電極21gから容量素子32への電荷の移動時間を短くすることができる。
【0035】
トランジスタ33は、容量素子31と容量素子32とが、ゲート電極21gに対して、並列に接続された状態と、容量素子32とゲート電極21gとが遮断した状態(容量素子31のみがゲート電極21gと接続された状態)とを切り替えるスイッチング素子である。
図2に示すように、トランジスタ33のゲート電極は、アシスト線4aに接続されている。
図4に示すように、トランジスタ33のドレイン電極は、容量素子31の電極31a及びゲート電極21gに接続されている。トランジスタ33のソース電極は、容量素子32の電極32aに接続されている。これにより、トランジスタ33のゲート電極にアシスト線4aから電圧AHが印加された場合、ゲート電極21gに対して、容量素子31と容量素子32とが並列に接続された状態となる。トランジスタ33のゲート電極にアシスト線4aから電圧ALが印加された場合、ゲート電極21gと容量素子32とは遮断され、ゲート電極21gに対して、容量素子31が接続された状態となる。
【0036】
トランジスタ34は、書き込み期間の開始時点よりも前の期間に、容量素子32を短絡させるためのスイッチング素子である。
図2に示すように、トランジスタ34のゲート電極は、前段(n-1)のゲート線2aに接続されている。トランジスタ34のドレイン電極は、容量素子32の電極32aに接続されている。トランジスタ34のソース電極は、容量素子32の電極32bに接続されている。これにより、前段(n-1)のゲート線2aに電圧GHが印加された場合に、容量素子32の電極32aと電極32bとが短絡する。また、前段(n-1)のゲート線2aに電圧GLが印加された場合に、容量素子32の電極32aと電極32bとが遮断される。なお、「書き込み期間」とは、トランジスタ21のソース電極21sにデータ信号Vdataが書き込まれる期間である。
【0037】
トランジスタ35は、トランジスタ21のゲート電極21gと、電圧Viniが印加された電力線5a(電源回路5)とを導通させた状態と、トランジスタ21のゲート電極21gと、電圧Viniが印加された電力線5aとを遮断した状態とを切り替えるスイッチング素子である。トランジスタ35のゲート電極は、前段(n-1)のゲート線2aに接続されている。トランジスタ35のドレイン電極は、電力線5aに接続されている。トランジスタ35のソース電極は、ゲート電極21gに接続されている。これにより、前段(n-1)のゲート線2aに電圧GHが印加された場合に、ゲート電極21gに電圧Viniが印加される。また、前段(n-1)のゲート線2aに電圧GLが印加された場合に、電力線5aとゲート電極21gとが遮断される。
【0038】
(表示装置100の制御方法)
次に、
図2、
図4、及び
図5を参照して、表示装置100の制御方法について説明する。特に、表示部10のうちの自然数n番目のゲート線2aに接続された1つの画素における動作について説明する。
【0039】
図5に示すように、時点t1において、消灯期間T1が開始される。消灯期間T1は、発光期間T2の直前に設けられる期間であり、発光輝度を変更するための期間である。なお、
図5では、消灯期間T1を強調して図示しているが、消灯期間T1は、発光期間T2よりも桁違いに短い期間である。また、消灯期間T1とは、発光素子11を点灯させない期間である。発光期間T2とは、発光素子11を点灯させる期間である。消灯期間T1では、スイッチ線4bに供給される制御信号の電圧をSLとし、発光期間T2では、スイッチ線4bに供給される制御信号の電圧をSHとする。時点t1において、トランジスタ22及びトランジスタ25が、オフの状態となる。これにより、トランジスタ21から発光素子11への電流は停止され、発光素子11が消灯する。
【0040】
時点t2において、初期期間Taが開始される。初期期間Taとは、容量素子32に帯電した電荷を放出する期間である。第1実施形態では、初期期間Taは、前段(n-1)の書き込み期間Twにタイミングが一致している。すなわち、初期期間Taは、前段(n-1)のゲート線2aにゲート信号(電圧GH)が供給される期間である。初期期間Taでは、トランジスタ26、34、及び35がオンの状態となる。これにより、容量素子32の電極32aと電極32bとが短絡して、電極32aの電位と電極32bの電位との電位差が0になる。また、容量素子31の電極31b及び容量素子32の電極32bが電力線5bに接続され、電極31b及び電極32bの電位がVssとなる。
【0041】
また、時点t2において、トランジスタ21のゲート電極21gが、電力線5aに導通し、ゲート電極21gの電位がViniに向かって上昇する。そして、初期期間Ta内に、ゲート電極21gの電位は、Viniに到達する。
【0042】
また、時点t2において、アシスト線4aに供給される制御信号の電圧がAHからALに切り替えられる。これにより、トランジスタ33によって、容量素子32と、ゲート電極21g及び容量素子31とが遮断した状態となる。
【0043】
時点t3において、書き込み期間Tw及び待機期間Tsが開始される。待機期間Tsとは、ゲート電極21gから容量素子32への電荷の流入の開始を書き込み期間Twの開始時点である時点t3に対して遅らせる期間である。第1実施形態では、書き込み期間Twと待機期間Tsとが同時に開始され、待機期間Tsが書き込み期間Twよりも先に終了する。
【0044】
時点t3において、前段(n-1)のゲート線2aのゲート信号の電圧がGHからGLに変化し、n番目のゲート線2aのゲート信号の電圧がGLからGHに変化する。これにより、トランジスタ26がオフの状態となり、発光素子11のアノード11aとカソード11bとが短絡しない状態となる。トランジスタ34がオフの状態となり、容量素子32の電極32aと電極32bとが短絡しない状態となる。また、トランジスタ35がオフの状態となり、ゲート電極21gと電圧Viniを供給する電力線5aとが遮断される。
【0045】
そして、トランジスタ23及び24がオンの状態となり、トランジスタ21のソース電極21sにデータ信号Vdataが印加され、トランジスタ21のドレイン電極21dとゲート電極21gとが接続される。電圧Viniは、電圧Vdata(max)よりも高いので、トランジスタ21のドレイン電極21dからソース電極21sに電流が流れ、ゲート電極21gのゲート電圧Vgは、ViniからVdataにゲートしきい値電圧Vthを加えた値(Vdata+Vth)に向かって低下する。しかしながら、ゲート電圧Vgが、Vdata+Vthに近づくと、この電流(ゲートソース間電流)は、ゲート電圧とソース電極21sの電圧との電位差Vgsの2乗に比例して小さくなる。ゲートソース間電流をIとすると、下記の式(1)の関係が成立する。ここで、μは移動度、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、C0はゲート電極と半導体との間にある絶縁体の単位面積あたりの容量を表す。
I=1/2×μ×W/L×C0×(Vgs-Vth)2・・・(1)
このため、ゲート電圧Vgは、Vdata+Vthには到達しない。
【0046】
時点t4において、待機期間Tsが終了する。時点t4において、アシスト線4aに供給される制御信号の電圧がALからAHに変更される。これにより、トランジスタ33がオンの状態となり、容量素子31と容量素子31とがゲート電極21gに対して並列に接続された状態となる。この結果、ゲート電極21gから容量素子31に電荷が流入し、ゲート電極21gのゲート電圧Vgが、Vdata+Vthにさらに近づいて、到達する。
【0047】
時点t5において、書き込み期間Twが終了する。時点t5において、n番目のゲート線2aに供給されるゲート信号の電圧がGHからGLに変更される。これにより、トランジスタ23及び24がオフの状態となり、トランジスタ21のソース電極21sと、データ線3aとが遮断され、トランジスタ21のドレイン電極21dとゲート電極21gとが遮断される。
【0048】
時点t6において、発光期間T2が開始される。時点t6において、スイッチ線4bに供給される制御信号の電圧がSLからSHに変更される。これにより、トランジスタ25がオンの状態となり、電圧Vddがトランジスタ21のドレイン電極21dに印加される。そして、トランジスタ22がオンの状態となり、トランジスタ21からの電流が発光素子11に流れる。この時、発光素子11に流れる電流の大きさは、発光素子11のゲート電圧Vgの大きさに応じて変化する。そして、この発光期間T2が終了した後、消灯期間T1が開始する。
【0049】
上記の制御方法によれば、ゲート電極21gのゲート電圧Vgが、Vdata+Vthに近い値となるので、発光素子11に流れる電流を制御するトランジスタ21に起因した輝度ばらつきを抑制することができる。また、第1実施形態によれば、書き込み期間Tw内に、ゲート電極21gの電位を、Vdata+Vthに近づけることができる。
【0050】
(第1実施形態の実施例と第1比較例との比較結果について)
次に、第1実施形態の表示装置100による実施例と、第1比較例による表示装置との比較結果について説明する。なお、以下の例では、数値例を示すが、説明のために例示するものであり、本開示はこの数値に限られない。また、
図8は、第1実施形態による実施例及び第1比較例におけるデータ信号が最大値Vdata(max)の場合のゲート電圧の変化を示す図である。
図9は、第1実施形態による実施例及び第1比較例におけるデータ信号が最小値Vdata(min)の場合のゲート電圧の変化を示す図である。なお、下記の例では、Vdata(min)=0Vとしている。
【0051】
〈第1比較例〉
図6に示すように、第1比較例による表示装置は、発光素子111と、トランジスタ121~124、及び135と、容量素子131とを含む。容量素子131は、トランジスタ121のゲート電極に接続されている。また、
図7に示すように、トランジスタ121のゲート電圧Vgは、時点t1からt2において、電圧Viniに上昇し、時点t2において、Vdata+Vthに向かって低下する。しかしながら、書き込み期間Twが終了する時点t3においても、ゲート電圧Vgは、Vdata+Vthには到達しない。この理由を以下説明する。
【0052】
計算を容易にするため、トランジスタ124およびトランジスタ123がオンの状態におけるソース・ドレイン間の抵抗および配線抵抗を0と仮定すると、ソース・ドレイン間電流Iは、以下の式(2)として表すことができ、ゲート電圧Vgの初期値Vg(0)は、以下の式(3)として表すことができる。
I=α×(Vg-(Vdata+Vth))2・・・(2)
Vg(0)=Vini・・・(3)
ここで、α=1/2×μ×W/L×C0である。ゲート電圧Vg(t)において、t=0は、書き込み期間の開始時点をt0としている。
【0053】
容量素子131の電気容量をCsとし、q(0)は、初期期間において容量素子131に溜まった電荷とし、Vss=0とすると、以下の式(4)及び(5)が成立する。
I=dq/dt・・・(4)
q(0)-q(t)=Cs×(Vg(t)-Vss)・・・(5)
これにより、式(6)が成立する。
I=-Cs×dVg/dt・・・(6)
そして、式(2)及び(6)により、βを定数とすると、式(7)が成立する。
Vg(t)=Vdata+Vth+1/(α/Cs×t+β)・・・(7)
式(3)より、Vg(0)=Viniをこれに代入すると、式(8)となる。
β=1/(Vini―(Vdata+Vth))・・・(8)
【0054】
式(7)によると、Vgは、時間tに反比例する。また、時間tが無限大になると、VgがVdata+Vthに収束する。しかしながら、実際の書き込み期間の長さは、有限である。例えば、表示装置の解像度がFHD(Full High Definition)でリフレッシュレートが60Hzの場合、書き込み期間の長さは、16μsとなり、リフレッシュレートが120Hzの場合、8μsとなる。
【0055】
例えば、Cs=10pF、α=7×10
-6として、上記(7)に代入すると、Vgは、
図8及び
図9に示す点線のグラフとなる。すなわち、Vgは、書き込み期間Tw内にVdata+Vthには到達しない。さらに、上記の式では、省略したが、表示部を構成するトランジスタにはオン抵抗及び配線抵抗が存在するため、
図8及び
図9に示す例よりも実際には、VgがVdata+Vthに到達する時間が長くなる。
【0056】
〈第1実施形態による実施例について〉
第1実施形態では、書き込み期間Tw内において待機期間Tsが経過するまでは、ゲート電極21gから容量素子31に電荷を流し、待機期間Ts経過後においては、ゲート電極21gから容量素子32へも電荷を流すことにより、第1比較例に対して書き込みを高速化することができる。以下、数値例を用いて説明する。
【0057】
ここで、容量素子31の電気容量をCs1、容量素子32の電気容量をCs2とすると、合成容量Csは、下記(9)として表すことができる。
Cs=Cs1+Cs2・・・(9)
そして、書き込み期間Twでの合成容量Csに溜まっている電荷Q(t)は、以下の式(10)として表すことができる。
Q(Tw)=Cs×Vg(Tw)・・・(10)
上記(7)式より、下記式(11)となる。
Q(Tw)=Cs×(Vdata+Vth+1/(α/Cs×Tw+β))・・・(11)
また、容量素子31及び容量素子32に書き込みたい電荷は、無限(∞)の時間書き込んだ時の電荷Q(t)であるため、以下の式(12)が成立する。
Q(∞)=Cs×Vg(∞)・・・(12)
Vg(∞)は、Vdata+Vthであるから、式(12)は、下記式(13)となる。
Q(∞)=Cs×(Vdata+Vth)・・・(13)
したがって、Twの時にCsから放出できなかった余剰電荷Qsは、(11)、(13)より、式(14)により表すことができる。
Qs=Q(Tw)-Q(∞)=Cs/(α/Cs×Tw+β)・・・(14)
【0058】
例えば、Vdataが、4.5V~0Vで、Vthが1Vとして、Twが16μsする。また、Vdata=4.5V、Vini=6Vの場合、Qsは、式(14)に代入すると、
Qs(4.5V)=Cs/(α/Cs×Tw+β)=10[pF]/(7×10-6/10[pF]×16×10-6+1/(6-(4.5+1)))
=0.75[pC]となる。
なお、書き込み期間Tw終了時点のVgとVdata+Vthとの電圧差は、0.82[pC]/10[pF]≒0.08Vとなる。
【0059】
また、Vdata=0Vの場合、Qsは、式(14)に代入すると、
Qs(0V)=10[pF]/(7×10-6/10[pF]×16×10-6+1/(6-(0+1)))
=0.88[pC]となる。
【0060】
上記の例から、Qsは、0.75[pC]~0.88[pC]となることが分かる。なお、第1実施形態による実施例では、Viniの値をVdata(max)+Vthよりも0.5V高く設定している。
【0061】
第1実施形態の実施例では、初期化(Viniの印加)を容量素子31(Cs1)のみに行い、待機期間Tsが経過するまで容量素子31(Cs1)のみゲート電極21g(電圧Vg)に接続させる。待機期間Tsが経過した後より、容量素子32(Cs2)をゲート電極21g(Vg)に接続させる。これにより、表示装置100は、余剰となる電荷を容量素子32(Cs2)へ流すように制御する。
【0062】
式(14)において、Vdata(max)印加時の電荷Qsを、Qsaとすると、β=1/(Vini-(Vdata(max)+Vth))であるため、式(15)となる。
Qsa=Cs/(α/Cs×Tw+1/(Vini-(Vdata(max)+Vth)))・・・(15)
Vini=Vdata(max)+Vth+0.5Vとして、Qsaを溜めることができる容量となるようにCs2の値が設定される。したがって、Cs2及びCs1は、下記の式により表すことができる。
Cs2=Qsa/(Vdata(max)+Vth)
=Cs/{(α/Cs×Tw+1/0.5)×(Vdata(max)+Vth)}
Cs1=Cs-Cs2
=Cs(1-1/{(α/Cs×Tw+1/0.5)×(Vdata(max)+Vth)})
【0063】
例えば、Cs=10pF、α=7×10-6、Vth=1V、Vdata(max)=4.5V、Tw=16μsとした場合のCs1とCs2は、
Cs1=9.86[pF]
Cs2=0.14[pF]
となる。
【0064】
次にCs2を書き込むタイミング(待機期間Ts)は、Cs1の電荷がQ(∞)+4/3×Qsaとなるタイミングとする。つまり、そのタイミングをTsとすると、下記式(16)が成立する。
Q(Ts)=Q(∞)+4/3×Qsa・・・(16)
Ts=9.85μs
すなわち、上記の例の場合、Cs1=9.86[pF]、Cs2=0.14[pF]、
Ts=9.85μsとすることにより、書き込み期間Tw内で、VgがVdata(max)+Vthに到達する。なお、配線抵抗等に起因して、Vdata(max)+Vthに到達しない場合でも、書き込み期間Twの終了時に、ゲート信号のGHからGLへの電圧変化が、トランジスタ23のゲート・ドレイン間の容量に作用して、
図8及び
図9に示すようにVgがさらに降下する。
【0065】
(比較結果)
第1実施形態による実施例と第1比較例とを比較する。
図8の例の場合、第1比較例では、ゲート電圧Vgは、書き込み期間Tw終了時点において、Vdata+Vthに到達しない。これに対して、第1実施形態による実施例では、ゲート電圧Vgは、書き込み期間Tw終了時点において、Vdata+Vthに到達する。
図9の例の場合、第1比較例では、ゲート電圧Vgは、書き込み期間Tw終了時点において、Vdata+Vthに到達しない。第1実施形態による実施例では、ゲート電圧Vgは、書き込み期間Tw終了時点において、第1比較例のゲート電圧Vgに比べてVdata+Vthに近い値となる。この結果、第1実施形態による実施例では、第1比較例に比べて、発光素子に流れる電流を制御するトランジスタに起因した輝度ばらつきを抑制することができることが判明した。
【0066】
[第2実施形態]
次に、
図10~
図12を参照して、第2実施形態による表示装置200の構成について説明する。第2実施形態では、表示装置200を構成するトランジスタが、pチャンネル型のトランジスタにより構成されている。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ符号を用いる場合、第1実施形態と同様の構成を示しており、特に説明がない限り先行する説明を参照する。
【0067】
図10に示すように、第2実施形態による表示装置200は、制御回路201と、ゲートドライバ202と、スイッチングドライバ204と、電源回路205と、表示部210と、を備える。
【0068】
図11に示すように、表示部210は、トランジスタ221~226、電圧補償回路230と、を含む。電圧補償回路230は、容量素子231及び232と、トランジスタ233~235とを含む。第2実施形態では、トランジスタ221~226とトランジスタ233~235とは、pチャンネル型のトランジスタである。なお、トランジスタ221~226のうち、第1実施形態によるトランジスタ21~26と同様の配置関係(接続関係)については説明を省略し、第1実施形態と異なる箇所について説明する。
【0069】
容量素子231及び232と、トランジスタ234とは、電圧Vddが印加された電力線5cに接続されている。トランジスタ235は、トランジスタ226を介して、電圧Vssが印加された電力線5bに接続されている。
【0070】
図12に示すように、ゲートドライバ202は、初期期間Taにおいて、n-1番目のゲート線2a(Gn-1)に電圧GLを印加し、書き込み期間Twにおいて、n番目のゲート線2a(Gn)に電圧GLを印加する。また、スイッチングドライバ204は、消灯期間T1に電圧SHを供給し、発光期間T2に電圧SLを供給する。また、スイッチングドライバ204は、初期期間Ta及び待機期間Tsに電圧AHを供給し、その他の期間に電圧ALを供給する。
【0071】
図12に示すように、時点t21において、消灯期間T1が開始される。そして、時点t22において初期期間Taが開始され、トランジスタ221のゲート電極には、電圧Vssが印加される。時点t23において、書き込み期間Tw及び待機期間Tsが開始される。トランジスタ221のゲート電極は、電力線5b(Vss)に対して遮断され、容量素子231からの電荷がゲート電極に流入する。そして、時点t24において、待機期間Tsが終了し、トランジスタ233により容量素子231と容量素子232とがゲート電極に対して並列に接続される。これにより、トランジスタ221のゲート電極は、Vdata+Vthに向かって上昇する。時点t25において、書き込み期間Twが終了する。時点t26において、発光期間T2が開始される。
【0072】
なお、電圧Vssは、電圧Vdata(max)よりもVth低い電圧に設定されている。また、電圧Vdata(max)は、第1実施形態とは異なり、電圧値としてはデータ信号のうち最も低い電圧値である。Vthは、表示部210内のトランジスタのゲート電圧しきい値のばらつきの中で、最も大きな電圧値(Vth(max)と呼ぶ)よりも高い電圧値になるものを選び、更に、Vssは、その電圧よりもV0だけ低い値に設定する。すなわち、Vssは、以下の式(21)を満たすように設定される。例えば、Vo≒0.5Vである。
Vss=Vdd-(Vdata(max)+Vth(max)+V0)・・・(21)
【0073】
(第2実施形態による実施例と第2変形例との比較結果)
次に、
図13及び
図14を参照して、第2実施形態の表示装置200による実施例と第2変形例との比較結果について説明する。第2変形例による表示装置は、第1比較例においてnチャンネル型のトランジスタを用いた構成について、pチャンネル型のトランジスタに替えたものである。
図13は、第2実施形態による実施例及び第2比較例におけるデータ信号がVdata(max)の場合(輝度が最大となる値)のゲート電圧の変化を示す図である。
図14は、第2実施形態による実施例及び第2比較例におけるデータ信号がVdata(min)の場合(輝度が最小となる値)のゲート電圧の変化を示す図である。
【0074】
図13及び
図14に示すように、第2比較例では、書き込み期間Tw終了時においてもゲート電圧Vgは、Vdata+Vthには到達しない。これに対して、第2実施形態による実施例では、書き込み期間Tw終了時においてゲート電圧Vgは、Vdata+Vthには到達する。この結果、第2実施形態による実施例では、第2比較例に比べて、発光素子に流れる電流を制御するトランジスタに起因した輝度ばらつきを抑制することができることが判明した。
【0075】
[第3実施形態]
次に、
図2、
図15及び
図16を参照して、第3実施形態による表示装置300の構成について説明する。第3実施形態では、書き込み期間Twの終了後に、容量素子31と容量素子32とをゲート電極に対して並列に接続する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ符号を用いる場合、第1実施形態と同様の構成を示しており、特に説明がない限り先行する説明を参照する。
【0076】
図15に示すように、第3実施形態による表示装置300は、表示部10(
図2参照)と、制御回路301と、データドライバ303と、スイッチングドライバ304と、を備える。第3実施形態では、待機期間Tsaは、書き込み期間Twよりも長い期間に設定されている。すなわち、制御回路301は、スイッチングドライバ204から出力される制御信号の電圧を書き込み期間Tw終了時点t31よりも後の時点t32において、ALからAHに変更する。そして、制御回路302は、時点t32よりも後の時点t33において、消灯期間T11が終了し、発光期間T12が開始させる。
【0077】
これにより、第3実施形態では、書き込みによるゲート電極21gと容量素子31との間での電荷の流れが終了しているため、ゲート電極21gと容量素子31との間の電荷の流れと、ゲート電極21gと容量素子32との間の電荷の流れとを別々に見積もることが可能となり、容量素子32の電気容量を容易に設定することができる。以下、詳細に説明する。
【0078】
第3実施形態では、Tsa>TWである。書き込み期間tw終了時点t=Twでは、以下式(31)が成り立つ。
Vg(Tw)=Vdata+Vth+1/(α/Cs1×Tw+β)・・・(31)
したがって、電圧Vdata+Vthとの差ΔVgは、以下の式(32)となる。
ΔVg=1/(α/Cs1×Tw+β)・・・(32)
なお、ΔVgはVdataに依存しない。
【0079】
書き込み後に容量素子32をゲート電極21gに接続して、十分な時間が経った場合のVgの値Vgpは、以下の式(33)として表すことができる。
Vgp=Cs1/(Cs1+Cs2)×(Vdata+Vth+ΔVg)・・・(33)
【0080】
ここで、Cs1とCs2とを設定し、全てのVdataに対して、Vgp=Vdata+Vthとなるように設定することはできない。したがって、第3実施形態によるデータドライバ303は、あらかじめ、出力電圧を変更しVgp=Vdata+Vthとなるように、出力電圧Vdataiを決定し、決定された電圧を出力する。
【0081】
R階調のときのVdata電圧をVdata(R)とする。Rは、8bitであれば0≦R≦255の整数値、10bitであれば、0≦R≦1023の整数値となる。R階調のVdata(R)の時の目標電圧Vgd(R)は、以下の式(34)となる。
Vgd(R)=Vdata(R)+Vth・・・(34)
データドライバ303から出力されトランジスタ21に入力されるデータ電圧に変換するために、R階調の時に入力される電圧をVdatai(R)とする。その時、到達する電圧Vgp(R)は、以下の式(35)となる。
Vgp(R)=Cs1/(Cs1+Cs2)×(Vdatai(R)+Vth+ΔVg)・・・(35)
したがって、Vgd(R)=Vgp(R)となるようにVdatai(R)を決めるには、以下の式(36)を満たす必要がある。
Vdata(R)+Vth=Cs1/(Cs1+Cs2)×(Vdatai(R)+Vth+ΔVg)
Vdatai(R)=(Cs1+Cs2)/Cs1×Vdata(R)+Cs2/Cs1×Vth-ΔVg・・・(36)
この変換式に従って、制御回路301において階調Rを変換するか、又は、データドライバ303においてVdata電圧を変換する。この変換の際に、一致するVdataに設定できない場合は、データドライバ303は、最も近い値に設定する。
【0082】
なお、第3実施形態による容量素子31の電気容量及び容量素子32の電気容量は、例えば、0階調の時にVdatai(0)=Vdata(0)となる値に設定される。この場合、以下の式(37)が成り立つ。
Cs2=Cs1×ΔVg/(Vdata(0)+Vth)・・・(37)
第3実施形態によれば、書き込み信号の補正精度が入力階調に寄らなくなり、正確に補正をすることが可能になる。
【0083】
[変形等]
以上、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0084】
(1)上記第1及び第3実施形態では、トランジスタの全てをnチャンネル型のトランジスタにより構成し、上記第2実施形態では、トランジスタの全てをpチャンネル型のトランジスタにより構成する例を示したが、本開示はこれに限られない。すなわち、トランジスタの一部をnチャンネル型のトランジスタにより構成し、他部をpチャンネル型のトランジスタにより構成してもよい。
【0085】
(2)上記第1~第3実施形態では、発光素子の例として、μLED、miniLED、又はOLED(有機EL素子)を挙げたが、本開示はこれに限られない。例えば、発光素子として、μLED、miniLED、又はOLEDに該当しないLEDを採用してもよい。
【0086】
(3)上記第1~第3実施形態では、第1の電極としてソース電極、第2の電極としてドレイン電極を用いたが、本開示はこれに限られない。第1の電極としてドレイン電極、第2の電極としてソース電極を用いてもよい。
【0087】
また、上述した構成は、以下のように説明することができる。
【0088】
第1の構成に係る表示装置は、発光素子と、前記発光素子に流れる電流を制御する第1トランジスタと、前記第1トランジスタのソース電極又は前記第1トランジスタのドレイン電極のうちの一方の電極である第1の電極と前記発光素子との間に接続された第2トランジスタと、前記第1トランジスタのソース電極又は前記第1トランジスタのドレイン電極のうちの他方の電極である第2の電極と前記第1トランジスタのゲート電極との間に接続された第3トランジスタと、前記第1の電極にデータ信号を供給する駆動回路と、前記第1トランジスタのゲート電極に接続された電圧補償回路と、を備え、前記駆動回路は、初期期間において、前記第1トランジスタのゲート電極に前記データ信号の電圧と異なる電圧値を有する初期電圧を供給し、前記初期期間の後の書き込み期間において、前記第1の電極に前記データ信号を供給し、前記第3トランジスタを導通させ、前記電圧補償回路は、前記ゲート電極に接続された第1容量素子と、前記第1容量素子に接続された第2容量素子と、前記ゲート電極と前記第2容量素子とに接続された第1スイッチであって、導通することにより前記第1容量素子と前記第2容量素子とを並列に接続する第1スイッチと、前記第1トランジスタのゲート電極と、前記初期電圧を供給する電圧源とを導通させた状態と、前記第1トランジスタのゲート電極と前記電圧源とを遮断した状態とを切り替える第2スイッチと、を含み、前記電圧補償回路は、前記書き込み期間の開始時点に、前記第2スイッチにより前記第1トランジスタのゲート電極と前記電圧源とが導通した状態から遮断した状態に切り替え、前記書き込み期間の開始時点よりも後に、前記第1スイッチを導通させ、前記駆動回路は、前記第1スイッチを導通させた時点よりも後の発光期間において、前記第2トランジスタを導通させる(第1の構成)。
【0089】
上記第1の構成によれば、書き込み期間の開始時点よりも後に、第1トランジスタのゲート電極から第2容量素子へ電荷を流すことができる。第2容量素子へ電荷を流すことにより、第1トランジスタのゲート電極の電位の低下を加速させることができる。このため、ゲート電極の電位を、データ信号の電圧に第1トランジスタのゲートしきい値電圧を加えた値に近づけることができる。これにより、発光素子に流れる電流を制御するトランジスタに起因した輝度ばらつきを抑制することができる。
【0090】
第1の構成において、前記電圧補償回路は、前記書き込み期間の開始時点よりも後で、かつ、前記書き込み期間内に、前記第1スイッチの導通を開始させるように構成されてもよい(第2の構成)。
【0091】
上記第2の構成によれば、書き込み期間内に、ゲート電極の電位を、データ信号の電圧に第1トランジスタのゲートしきい値電圧を加えた値に近づけることができる。この結果、書き込み期間が終了した後に、ゲート電極の電位を、データ信号の電圧に第1トランジスタのゲートしきい値電圧を加えた値に近づける場合に比べて、迅速に発光素子の発光を開始させることができる。
【0092】
第1の構成において、前記電圧補償回路は、前記書き込み期間の終了時点よりも後で、かつ、前記発光期間の開始時点よりも前に、前記第1スイッチの導通を開始させるように構成されてもよい(第3の構成)。
【0093】
上記第3の構成によれば、書き込み期間における、ゲート電極から第1容量素子への電荷の移動が終了した後に、ゲート電極から第2容量素子へ電荷を移動させることができる。これにより、書き込み期間にゲート電極から第1容量素子及び第2容量素子の両方に電荷を移動させる場合に比べて、表示装置の設計を行う際に、ゲート電極から第2容量素子への電荷の移動量(移動時間)を容易に見積もることができる。
【0094】
第1~第3の構成のいずれか1つにおいて、前記電圧補償回路は、前記書き込み期間の開始時点よりも前の期間に、前記第2容量素子を短絡させる第3スイッチを、さらに含んでもよい(第4の構成)。
【0095】
上記第4の構成によれば、ゲート電極から第2容量素子に電荷を移動させる前に、第2容量素子に残存した電荷を予め消失させることができる。この結果、残存した電荷に起因して、ゲート電極から第2容量素子に電荷の移動が制限されてしまうことを防止することができる。
【0096】
第1~第4の構成のいずれか1つにおいて、前記第1容量素子の電気容量は、前記第2容量素子の電気容量はよりも大きく構成してもよい(第5の構成)。
【0097】
上記第5の構成によれば、ゲート電極から第2容量素子に電荷を移動させる時間を短くすることができる。
【0098】
第6の構成に係る表示装置の制御方法は、発光素子と、前記発光素子に流れる電流を制御する第1トランジスタと、前記第1トランジスタのソース電極又は前記第1トランジスタのドレイン電極のうちの一方の電極である第1の電極と前記発光素子との間に接続された第2トランジスタと、前記第1トランジスタのソース電極又は前記第1トランジスタのドレイン電極のうちの他方の電極である第2の電極と前記第1トランジスタのゲート電極との間に接続された第3トランジスタと、前記第1の電極にデータ信号を供給する駆動回路と、前記第1トランジスタのゲート電極に接続された電圧補償回路と、を備え、前記電圧補償回路は、前記ゲート電極に接続された第1容量素子と、前記第1容量素子に接続された第2容量素子と、前記ゲート電極と前記第2容量素子とに接続された第1スイッチであって、導通することにより前記第1容量素子と前記第2容量素子とを並列に接続する第1スイッチと、前記第1トランジスタのゲート電極と、前記データ信号の電圧と異なる電圧値を有する初期電圧を供給する電圧源とを導通させた状態と、前記第1トランジスタのゲート電極と前記電圧源とを遮断した状態とを切り替える第2スイッチと、を含む、表示装置の制御方法であって、初期期間において、前記第1トランジスタのゲート電極に前記初期電圧を供給し、前記初期期間の後の書き込み期間において、前記第1の電極に前記データ信号を供給し、前記第3トランジスタを導通させ、前記書き込み期間の開始時点に、前記第2スイッチにより前記第1トランジスタのゲート電極と前記電圧源とが導通した状態から遮断した状態に切り替え、前記書き込み期間の開始時点よりも後に、前記第1スイッチを導通させ、前記第1スイッチを導通させた時点よりも後の発光期間において、前記第2トランジスタを導通させる(第6の構成)。
【0099】
上記第6の構成によれば、発光素子に流れる電流を制御するトランジスタに起因した輝度ばらつきを抑制することが可能な表示装置の制御方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0100】
1、201、301:制御回路、2、202:ゲートドライバ、3、203、303:データドライバ、4、204、304:スイッチングドライバ、5、205:電源回路、10、210:表示部、11:発光素子、21~26、33~35、221~226、233~235:トランジスタ、21d:ドレイン電極、21g:ゲート電極、21s:ソース電極、30、230:電圧補償回路、31、231:容量素子(第1容量素子)、32、232:容量素子(第2容量素子)、100、200、300:表示装置