(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154539
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】複合管及び複合管の製造装置
(51)【国際特許分類】
F16L 11/11 20060101AFI20241024BHJP
B29C 48/13 20190101ALI20241024BHJP
B29C 48/151 20190101ALI20241024BHJP
B29C 48/34 20190101ALI20241024BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F16L11/11
B29C48/13
B29C48/151
B29C48/34
B29C44/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068399
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(72)【発明者】
【氏名】藤吉 清隆
(72)【発明者】
【氏名】新堂 雅浩
(72)【発明者】
【氏名】深尾 洋一
(72)【発明者】
【氏名】臼井 優太郎
【テーマコード(参考)】
3H111
4F207
4F214
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111BA15
3H111CA12
3H111CA42
3H111CB04
3H111CB14
3H111CB23
3H111DB03
3H111EA04
4F207AD05
4F207AD12
4F207AG03
4F207AG08
4F207AG10
4F207AG20
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4F207KB11
4F207KB18
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4F207KW44
4F214AD05
4F214AD12
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4F214UD03
4F214UD34
4F214UN01
4F214UN04
4F214UP58
4F214UW44
(57)【要約】
【課題】 耐久性や外観性能に優れた複合管及び複合管の製造装置を提供すること。
【解決手段】 複合管は、樹脂材料により構成された主管と、主管の外周面を覆うコルゲート管とを備えている。コルゲート管は、発泡材料により構成された発泡管21を備えている。発泡管21は、扇状に区画された領域Aを周方向に複数を配置したような、横断面の形状を有している。複合管の製造装置を構成する押出機は、ダイを備えている。ダイは、主管が通過する主管口と、主管口の周りに形成されて発泡管用樹脂材料を主管に向けて押し出す発泡管用材料口とを有している。発泡管用材料口は、主管口の周りにおいて周方向に等間隔で配置された、複数の真円状の透孔により構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材料により構成された主管と、発泡樹脂材料により構成されて前記主管を覆うとともに、山部と、前記山部よりも外径の小さい谷部とが軸方向において交互に設けられた蛇腹状をなす発泡管とを有する複合管であって、前記発泡管の横断面の形状が、扇状に区画された領域を周方向に複数配置したものである複合管。
【請求項2】
隣接する前記領域の境界は、横断面の形状が、径方向に延びる非直線状をなしている請求項1に記載の複合管。
【請求項3】
前記発泡管の外周面において隣接する前記領域の境界に位置する部分には、軸方向へと延びる凹部が形成されている請求項1又は請求項2に記載の複合管。
【請求項4】
合成樹脂材料により構成された主管と、発泡樹脂材料により構成されて前記主管を覆うとともに、山部と、前記山部よりも外径の小さい谷部とが軸方向において交互に設けられた蛇腹状をなす発泡管とを有する複合管の製造装置であって、
前記主管が通過する主管口と、前記主管口の周りに形成されて発泡管用樹脂材料を前記主管に向けて押し出す発泡管用材料口とを有するダイを備えた押出機と、
前記主管の外周面に供給された前記発泡管用樹脂材料を蛇腹状に成形するコルゲータとを備え、
前記ダイの前記発泡管用材料口は、前記主管口の周りにおいて周方向に所定間隔で配置された複数の透孔によって構成されている複合管の製造装置。
【請求項5】
前記ダイには前記主管が通過するスリーブが設けられ、前記主管口は前記スリーブによって前記発泡管用材料口に対して軸方向の下流側へとオフセット配置されている請求項4に記載の複合管の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば給水給湯に用いられる複合管及び当該複合管の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給水給湯に用いられる複合管が開示されている。当該複合管は、架橋ポリエチレンやポリブテン等の合成樹脂材料によって構成された内管(給水給湯用管)と、当該内管の外周を覆う、発泡ポリエチレン等の発泡樹脂材料によって構成された波形管(コルゲート管)とを備えている。
【0003】
当該複合管の製造装置は、押出ノズルを通過する内管に対して、当該押出ノズルから波形管を構成するための樹脂材料を押し出すとともに、当該押出ノズルの下流側に配置された波形管成形部(コルゲータ)によって波形管を成形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記製造装置において押出ノズルは、押出口が円環状をなしている。したがって、押出口から円環状に押し出されて発泡する樹脂材料は、抵抗が大きい周方向や径方向内方への膨張は少なく、逆に抵抗が小さい径方向外方へと偏って膨張しようとする。当該樹脂材料の径方向外方への膨張は、やがては波形管成形部の金型(成形面)によって阻止される。当該樹脂材料は、波形管成形部の金型(成形面)の内径以上に膨張しようとするため、当該樹脂材料は周方向へと方向を変えて膨張を継続することとなる。
【0006】
しかし、当該樹脂材料は、やがては周方向への行き場も無くなって、外周面の不特定の複数箇所において、当該樹脂材料の表面の固化した部分が径方向内方へと折り畳まれるようにして潜り込み、形状の乱れや偏肉を発生させていた。当該形状の乱れや偏肉は、波形管の耐久性を低下させるし、外観性能の低下にもつながる。
【0007】
本発明の目的は、耐久性や外観性能に優れた複合管及び複合管の製造装置を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1の発明の複合管は、合成樹脂材料により構成された主管と、発泡樹脂材料により構成されて前記主管を覆うとともに、山部と、前記山部よりも外径の小さい谷部とが軸方向において交互に設けられた蛇腹状をなす発泡管とを有する複合管であって、前記発泡管の横断面の形状が、扇状に区画された領域を周方向に複数配置したものである。
【0009】
請求項2の発明は請求項1において、隣接する前記領域の境界は、横断面の形状が、径方向に延びる非直線状をなしている。
【0010】
請求項3の発明は請求項1又は請求項2において、前記発泡管の外周面において隣接する前記領域の境界に位置する部分には、軸方向へと延びる凹部が形成されている。
【0011】
上記目的を達成するために請求項4の発明の複合管の製造装置は、合成樹脂材料により構成された主管と、発泡樹脂材料により構成されて前記主管を覆うとともに、山部と、前記山部よりも外径の小さい谷部とが軸方向において交互に設けられた蛇腹状をなす発泡管とを有する複合管の製造装置であって、前記主管が通過する主管口と、前記主管口の周りに形成されて発泡管用樹脂材料を前記主管に向けて押し出す発泡管用材料口とを有するダイを備えた押出機と、前記主管の外周面に供給された前記発泡管用樹脂材料を蛇腹状に成形するコルゲータとを備え、前記ダイの前記発泡管用材料口は、前記主管口の周りにおいて周方向に所定間隔で配置された複数の透孔によって構成されている。
【0012】
請求項5の発明は請求項4において、前記ダイには前記主管が通過するスリーブが設けられ、前記主管口は前記スリーブによって前記発泡管用材料口に対して軸方向の下流側へとオフセット配置されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、耐久性や外観性能に優れた複合管を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(a)一実施形態の複合管を模式的に示す縦断面図、(b)複合管を模式的に示す横断面図。
【
図3】
図2において外側凹部付近を拡大して示す図面代用写真。
【
図5】製造装置において押出機及びコルゲータ付近を拡大して示す縦断面図。
【
図7】別例の製造装置において押出機及びコルゲータ付近を拡大して示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
以下、一実施形態について説明する。
まず、複合管10の構成について説明する。
図1に示すように、複合管10は、給水給湯用管である主管11と、主管11の外周面を覆うコルゲート管12とを備えている。コルゲート管12は、主管11を外力から保護したり、主管11を紫外線等から保護したり、主管11内の湯水を保温したりするためのものである。
【0016】
主管11は樹脂材料により構成されている。当該樹脂材料としては、例えば、ポリブテン、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン、並びに塩化ビニルが挙げられる。当該樹脂材料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、主管11を構成する樹脂材料には、他の添加剤が含有されていてもよい。なお、本実施形態の主管11は架橋ポリエチレン製である。
【0017】
コルゲート管12の外周面は、山部12aと、山部12aよりも外径の小さい谷部12bとが、コルゲート管12の軸方向(
図1(a)の左右方向、
図1(b)の紙面表裏方向)において交互に設けられた蛇腹状をなしている。なお、コルゲート管12の内周面は、外周面よりも凹凸の度合いが小さい蛇腹状をなしている。
【0018】
コルゲート管12は、発泡管21と、発泡管21の外周面を覆う被覆層(フィルム)22とを備えている。発泡管21を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリブテン、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、エチレンプロピレンジエンゴム、並びにこれらの混合物が挙げられる。発泡管21を構成する樹脂材料には、他の添加剤が含有されていてもよい。
【0019】
被覆層22を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリブテン、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン、並びに塩化ビニルが挙げられる。当該樹脂材料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。被覆層22を構成する樹脂材料には、他の添加物が含有されていてもよい。
【0020】
なお、本実施形態の被覆層22は、青又は赤に着色されたポリエチレン製であって、コルゲート管12の外観を優れたものとしたり、コルゲート管12を給水用と給湯用とで色分けしたり、発泡管21の外周面を外力や雰囲気から保護したりするためのものである。
【0021】
図2に示すように、本実施形態において発泡管21は、10倍以上(好ましくは15倍以上、より好ましくは20倍~30倍)の発泡倍率を有する独立気泡の発泡ポリエチレン製である。したがって、発泡管21を構成する樹脂材料の内部には、多数の気泡21aが形成されており、コルゲート管12による主管11の保温効果や衝撃緩和性能を高めている。
【0022】
なお、気泡21aについては、発泡管21の横断面を拡大しても視認し難いため、
図2において気泡21aの外形を示す線は、実際には薄く発現している無数の気泡21aの外形のうちの一部を、後から書き加えて視認し易くしたものである。
【0023】
発泡管21は、扇状に区画された領域Aを周方向に複数(本実施形態においては12箇所)を配置したような、横断面の形状を有している。隣接する領域Aの境界Bは、全体として周方向に蛇行しながら径方向へと延びる一線状(非直線状)をなしている。横断面の形状が非直線状をなす境界Bは、換言すれば隣接する領域Aの相互が周方向へと入り組むことは、発泡管21の耐久性の向上に寄与する。
【0024】
なお、境界Bについては、発泡管21の横断面を拡大しても視認し難いため、
図2において境界Bを示す線は、実際には薄く発現している境界B上に後から書き加えて視認し易くしたものである。また、境界Bは発泡管21の軸方向へと連続して存在するため、
図2(横断面)においては一線状として発現されている境界Bは、縦断面では面として発現されることとなる。
【0025】
図3に示すように、発泡管21の外周面において、コルゲート管12の山部12a(
図1参照)に対応する部分には、境界B上に位置して軸方向へと延びる凹部21bが形成されている。
図2に示すように、凹部21bは、周方向に等間隔で複数(本実施形態においては12箇所)が配置されている。凹部21bは、発泡管21の外周面における被覆層22との接触面積を増やしているため、例えば発泡管21からの被覆層22の剥がれを抑制すること等に寄与する。
【0026】
つぎに、複合管10の製造装置50について説明する。
図4に示すように、製造装置50は、図面の左側(上流側)から右側(下流側)へ向けて主管11を移動させつつ、主管11の外周にコルゲート管12を形成することで複合管10を製造する。製造装置50は、繰出機51、押出機52(ダイ60)、コルゲータ53、押出機54(ダイ54a)、冷却槽55及び引取機56を上流側から同順に備えている。
【0027】
繰出機51は、主管11を下流側に繰り出すためのものである。押出機52は、発泡管21を形成するための溶融状態の樹脂材料(以下「発泡管用樹脂材料」という)を、クロスヘッドタイプのダイ60から主管11の外周面に向けて押し出すためのものである。なお、ダイ60は、オフセットタイプのものであってもよい。
【0028】
発泡管用樹脂材料には、当該発泡管用樹脂材料の発泡を促進するための発泡剤が注入又は混練されている。発泡剤としては、化学発泡剤を用いてもよいし、物理発泡剤を用いてもよいし、化学発泡剤及び物理発泡剤を併用してもよい。
【0029】
図5に示すように、コルゲータ53は、左右両側においてそれぞれ設けられた循環経路に沿って並設された複数の金型(モールドブロック)70を備えている。金型70の成形面71には、コルゲート管12の山部12aにおいて発泡管21の対応部分を成形する半円環状の凹部72と、同じく谷部12bにおいて発泡管21の対応部分を成形する半円環状の凸部73とが、軸方向において交互に設けられている。凹部72には、図示しない吸引装置により凹部72内の空気を吸引する吸引溝72aが設けられている。
【0030】
コルゲータ53は、押出機52(ダイ60)からの発泡管用樹脂材料の押し出しに同期して、複数の金型70を循環させる。なお、押出機52(ダイ60)からの発泡管用樹脂材料の吐出速度は、金型70の循環速度よりも速い。
【0031】
コルゲータ53は、左右2つの金型70を互いに接近させるとともに、成形面71を主管11の外周面に供給された発泡管用樹脂材料に対して接触させる。金型70は、成形面71により発泡管用樹脂材料を圧縮しつつ当該発泡管用樹脂材料を成形するとともに、金型70を循環させることで、当該発泡管用樹脂材料及び主管11を下流側へと移動させる。
【0032】
このとき、図示しない吸引装置により、吸引溝72aを通じて金型70内の空気を吸引することで、金型70内は負圧とされる。これにより、発泡管用樹脂材料は、径方向の外側へ向かって変形するとともに、外周面が成形面71(凹部72及び凸部73)によって成形される。そして、コルゲート管12の山部12aに対応する部分と、同じく谷部12bに対応する部分とが、軸方向において交互に設けられた蛇腹状の発泡管21が成形される。
【0033】
図4に示すように、押出機54は、コルゲート管12の被覆層22を形成するための溶融状態の樹脂材料(以下「被覆層用樹脂材料」という)を、クロスヘッドタイプのダイ54aから発泡管21へと押し出すためのものである。ダイ54aからは、被覆層用樹脂材料が、発泡管21の外周面に向けて円筒状に押し出される。
【0034】
このとき、押出機54に設けられた図示しない吸引装置により、ダイ54aにおいて被覆層用樹脂材料と発泡管21との間の空気が吸引される。これにより、被覆層用樹脂材料が、径方向の内側へ向かって変形するとともに発泡管21の外周面に密着して、発泡管21の外周面を被覆する被覆層22が形成される。つまり、コルゲート管12が形成される。
【0035】
なお、発泡管21の外面においてコルゲート管12の山部12aに対応する部分には、軸方向へと延びる凹部21bが周方向の複数個所に形成されている(
図1参照)。したがって、凹部21bを介することで、コルゲート管12の谷部12bに対応する部分の空気を吸引し易くなり、発泡管21の外周面に対する被覆層22の密着性が高められる。
【0036】
押出機54(ダイ54a)を通過した主管11及びコルゲート管12、すなわち複合管10は、冷却槽55を通過する際に冷却される。これにより、コルゲート管12が硬化し、その後、引取機56によって引き取られるとともに、図示しない巻取機によって巻き取られる。
【0037】
さて、
図5及び
図6に示すように、押出機52のダイ60は、主管11が通過する主管口61と、主管口61の周りに形成されて発泡管用樹脂材料を主管11に向けて押し出す発泡管用材料口62とを有している。発泡管用材料口62は、主管口61の周りにおいて周方向に等間隔で配置された、複数(本実施形態においては12箇所)の真円状の透孔62aにより構成されている。
【0038】
したがって、各透孔62aからそれぞれ押し出された発泡管用樹脂材料は、当該押出の直後においては互いに干渉しないため、周方向へと膨張し易くなっており、ひいては径方向外方へ偏って膨張することが抑制されている。よって、従来技術のように、例えばコルゲータ53の金型70内において膨張する発泡管用樹脂材料の行き場が無くなることを抑制でき、ひいては形状の乱れや偏肉の発生を抑制できて、こうして得られた複合管10(コルゲート管12)は、耐久性や外観性能に優れたものとなる。
【0039】
なお、一つの透孔62aから押し出された発泡管用樹脂材料と、当該透孔62aに隣接する他の透孔62aから押し出された発泡管用樹脂材料とが接触することで形成された界面が発泡管21の境界Bを形成し、よって周方向に複数の領域Aを発現させることとなっている。また、一つの透孔62aから押し出された発泡管用樹脂材料と、当該透孔62aに隣接する他の透孔62aから押し出された発泡管用樹脂材料とが、境界Bに対応した部分において金型70の凹部72内に充填しきれずに、よって発泡管21の外周面には、金型70の成形面に沿わない凹部21bが発現されている。
【0040】
<変更例>
上記実施形態は、例えば以下のように変更して実施することもできる。
・
図7に示すように、押出機52のダイ60に、主管11が通過するスリーブ80を突設すること。つまり、スリーブ80によって、主管口61を発泡管用材料口62に対して軸方向の下流側へとオフセット配置させること。なお、スリーブ80の外周面は、主管口61側(先端側)ほど外径が小さくなるテーパ状をなしている。
【0041】
このようにすれば、発泡管用樹脂材料の膨張初期においては、当該発泡管用樹脂材料の径方向内方側がスリーブ80によって支持されるため、当該発泡管用樹脂材料の内周面の真円度を高く維持したまま、径方向外方及び周方向へと当該発泡管用樹脂材料を膨張させることができ、発泡管21の周方向における偏肉の発生をより効果的に抑制できる。
【0042】
・上記実施形態において凹部21bは、発泡管21の外周面において、コルゲート管12の山部12aに対応する部分及び谷部12bに対応する部分のうち、山部12aに対応する部分にのみ形成されていた。これを変更し、発泡管21の外周面において、コルゲート管12の山部12aに対応する部分及び谷部12bに対応する部分の両方に、凹部21bを形成すること。
【0043】
・発泡管用材料口62の透孔62aの数としては12箇所以外にも、6箇所、7箇所、8箇所、9箇所、10箇所、11箇所、13箇所、14箇所、15箇所、16箇所、17箇所、18箇所、19箇所、20箇所、21箇所、22箇所、23箇所、24箇所等であってもよい。
【0044】
・発泡管用材料口62の透孔62aを、楕円状や、径方向又は周方向に沿って長い長孔状とすること。
【0045】
・上記実施形態において複合管10は、押出機52、コルゲータ53及び押出機54に主管11を挿通させつつコルゲート管12の形成を行う所謂インライン成形により製造されていたが、これを変更し、コルゲート管12を単体で製造し、後工程にてコルゲート管12に主管11を通管させて複合管10を得るようにしてもよい。
【0046】
・コルゲート管12(発泡管21)において、内周面が蛇腹状とならないように(軸方向に平滑となるように)、各種製造条件を変更すること。
【0047】
・コルゲート管12(発泡管21)において、外周面及び内周面が蛇腹状とならないように(軸方向に平滑となるように)、各種製造条件を変更すること。
【0048】
・主管11とコルゲート管12との間に、コルゲート管12の伸縮を滑らかにするための中間層(フィルムや潤滑剤)を配置すること。
【0049】
・コルゲート管12から被覆層22を削除して、発泡管21の外周面を露出させること。この場合、発泡管用樹脂材料に着色料を混合する等して、青色又は赤色に発泡管21を着色するようにしてもよい。
【0050】
・湯水以外の他の流体(燃料用ガスや圧縮空気や冷媒等)を扱う複合管において具体化すること。
【0051】
<付記>
上記実施形態から把握できる技術的思想について記載する。
(1)発泡樹脂材料により構成されて、山部と、前記山部よりも外径の小さい谷部とが軸方向において交互に設けられた蛇腹状をなす発泡管であって、横断面の形状が、扇状に区画された領域を周方向に複数配置したものである発泡管。
【0052】
(2)隣接する前記領域の境界は、横断面の形状が、径方向に延びる非直線状をなしている技術的思想(1)に記載の発泡管。
【0053】
(3)外周面において隣接する前記領域の境界に位置する部分には、軸方向へと延びる凹部が形成されている技術的思想(1)又は技術的思想(2)に記載の発泡管。
【0054】
(4)発泡樹脂材料により構成され、山部と、前記山部よりも外径の小さい谷部とが軸方向において交互に設けられた蛇腹状をなす発泡管の製造装置であって、発泡管用樹脂材料を押し出す発泡管用材料口を有するダイを備えた押出機を備え、前記ダイの前記発泡管用材料口は、軸線周りにおいて周方向に所定間隔で配置された複数の透孔によって構成されている発泡管の製造装置。
【0055】
(5)前記ダイにおいて前記発泡管用材料口よりも径方向内方には、支軸部(スリーブ80)が下流側に向けて突設されている技術的思想(4)に記載の発泡管の製造装置。
【0056】
(6)前記支軸部の外周面は、先端側ほど外径が小さくなるテーパ状をなしている技術的思想(5)に記載の発泡管の製造装置。
【0057】
(7)前記スリーブの外周面は、前記主管口側ほど外径が小さくなるテーパ状をなしている請求項5に記載の複合管の製造装置。
【符号の説明】
【0058】
10…複合管、11…主管、12…コルゲート管(a…山部,b…谷部)。
21…発泡管(a…気泡、b…凹部)、22…被覆層。
50…製造装置、51…繰出機、52…押出機、53…コルゲータ、54…押出機(a…ダイ)、55…冷却槽、56…引取機。
60…ダイ、61…主管口、62…発泡管用材料口(a…透孔)。
70…金型、71…成形面、72…凹部(a…吸引溝)、73…凸部。
80…スリーブ。
A…領域、B…境界。