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特開2024-15455収容ケース、薄板状の物品の収容ケースへの収容方法、及び薄板状の物品の収容ケースからの取り出し方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015455
(43)【公開日】2024-02-02
(54)【発明の名称】収容ケース、薄板状の物品の収容ケースへの収容方法、及び薄板状の物品の収容ケースからの取り出し方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 27/00 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
B65D27/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199878
(22)【出願日】2020-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小橋 佳彦
(57)【要約】
【課題】収容ケースにおいて、複数の薄板状の物品を保持可能であって、収容ケース全体をコンパクトにでき、さらに物品の収容及び取り出しを簡単にする。
【解決手段】薄板状の物品2を、内三つ折りにして1枚以上重ねて保持できる収容ケース1であって、収容ケース1は、展開状態の長手方向Yの一端側から、第1領域11、第2領域12、及び第3領域13を、第1の方向に延伸する折り目V1,V2を境界として有しており、第1領域11は、背面側に折られた第2領域12に隣接する折り目V1の近傍に、1つのスリット16が形成されており、第3領域13の自由端15は、第1領域11のスリット16に差し込み可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板状の物品を、内三つ折りにして1枚以上重ねて保持できる収容ケースであって、
前記収容ケースは、展開状態の長手方向の一端側から、第1領域、第2領域、及び第3領域を、第1の方向に延伸する折り目を境界として有しており、
前記第1領域は、背面側に折られた前記第2領域に隣接する折り目の近傍に、1つのスリットが形成されており、
前記第3領域の自由端は、前記第1領域の前記スリットに差し込み可能である
収容ケース。
【請求項2】
前記第1領域の前記スリットは、近傍の前記折り目から所定の距離で、前記折り目と略平行に、前記第1の方向に延伸しており、
前記第3領域における、前記自由端から前記所定の距離の位置では、前記第1の方向における長さは、前記スリットに差し込み可能に、前記スリットとほぼ同じ又はわずかに短い
請求項1に記載の収容ケース。
【請求項3】
前記スリットには、前記物品の一部を差し込み可能であり、
前記第3領域を、前記第1領域の前記スリットに差し込まれた前記物品の上に折り重ねて、前記第3領域の前記自由端の端辺とその近傍部分を、前記物品の上から前記スリットに差し込むことで、前記物品が保持状態となる
請求項1又は2に記載の収容ケース。
【請求項4】
前記第3領域は、前記自由端の端辺の全領域を、前記第1領域の前記スリットに差し込み可能である
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の収容ケース。
【請求項5】
前記第3領域には、
前記第1の方向において、折り目の一端側と、前記自由端の端辺の一端側が短くなるように切除した、1つの切り欠きが形成されている、又は
前記第1の方向において、折り目の両端側と、前記自由端の端辺の両端側が短くなるように切除した、2つの切り欠きが形成されている
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の収容ケース。
【請求項6】
保持状態において、前記第3領域の前記切り欠きから、前記物品の一部が、上面側に露出しており、
保持状態で前記物品の、前記切り欠きから露出した部分を、前記第1の方向の外側に引っ張ることで、1枚ずつ物品を取り出し可能である
請求項5に記載の収容ケース。
【請求項7】
前記第3領域に、前記1つの切り欠きが形成されている場合、
前記第3領域の前記自由端の端辺の一端には、前記第1の方向の一端側に外側に伸び出す突起が設けられており、
前記突起は、前記第1領域の前記スリットの端部よりも、前記第1の方向において外側に位置することで、前記第3領域の前記自由端の端辺の全領域が前記スリットに差し込まれた状態での、前記第3領域の前記スリットに対する抜け止めとなる
請求項5又は6に記載の収容ケース。
【請求項8】
前記収容ケースは、
厚さ1mm以下の、樹脂で形成されている
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の収容ケース。
【請求項9】
前記物品は、前記スリットに差し込まれる部分を長辺とする長方形物品であって、
カード状のフィルム小袋を含む
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の収容ケース。
【請求項10】
薄板状の物品の、収容ケースへの収容方法であって、
前記収容ケースは、展開状態の長手方向の一端側から、第1領域、第2領域、及び第3領域を、第1の方向に延伸する折り目を境界として有し、前記第1領域は、背面側に折られた前記第2領域に隣接する折り目の近傍に、スリットが形成されており、
前記第1領域の前記スリットに、前記物品の第1の辺とその近傍部分を差し込むステップと、
前記第3領域を、前記第1領域の前記スリットに差し込まれた前記物品の上に折り重ねるステップと、
前記第3領域の自由端の端辺の全領域とその近傍部分を、前記物品の上から前記スリットに差し込むことで、前記物品が保持状態となるステップと、を有する
薄板状の物品の収容ケースへの収容方法。
【請求項11】
薄板状の物品の収容ケースからの取り出し方法であって、
前記収容ケースは、内三つ折りにして物品を1枚以上重ねて保持でき、展開状態の長手方向の一端側から、第1領域、第2領域、及び第3領域を、第1の方向に延伸する折り目を境界として有しており、前記第1領域は背面側に折られた前記第2領域に隣接する折り目の近傍にスリットが形成され、前記第3領域には、前記第1の方向において、折り目の一端側又は両端側と、自由端の端辺の一端側又は両端側が短くなるように切除した、切り欠きが形成されており、保持状態において、前記第3領域の前記切り欠きから、前記物品の第1の辺の一部が、上面側に露出しており、
保持状態で前記物品の、前記第3領域の前記切り欠きから上面側に露出した部分を、把持するステップと、
前記物品を、前記第1の方向の外側に引っ張ることで、1枚ずつ物品を取り出すステップと、を有する
薄板状の物品の収容ケースからの取り出し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板状の物品の収容ケース、薄板状の物品の該収容ケースへの収容方法、及び薄板状の物品の該収容ケースからの取り出し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄板状の物品を収容するパッケージは、1つの物品、又は同時に使用する一連の物品につき1つのパッケージによって収容されることが多い(例えば、特許文献1)。
【0003】
一方、複数のカード状の物品を収容可能な収容ケースとして、特許文献2では、複数のカード状物品をそれぞれ別の位置に収容可能な包装体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3040795号公報
【特許文献2】特開2008-081134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1のパッケージでは、図1に示すように、蓋板90の蓋係止用片91と後面板92の切線93の係止を解除して、蓋板90を開放し、さらに後面板92の挿込み片94,95と両サイドの折込板96,97の切線98,99との掛止を解除することで、内容物が取り出し可能な状態になる。即ち、使用の度に、蓋板の係止解除と、蓋板の開放動作と、挿込み片と切線との掛止の解除動作を経てから、取り出すという、4つの動作をしなければならず、取り出しが面倒であった。また、このように複数の動作を経て取り出すため、収容される物品は複数であっても同時に取り出される一連の物品(例えば、一対の手袋)を前提としていた。
【0006】
一方、特許文献2では、図2に示すように、複数の差し込み口81に複数のカード状の収納物を差し込んで収容する包装体80は、押さえ片82を有しており、取り出し動作の際に、蓋シート83の開放動作と、押さえ片82の収納物からの解除動作と、取り出し動作の3つの動作をしなければならず、取り出しが面倒であった。また、包装体80は、複数の収納物をそれぞれ別に位置に並んで保持しているため、包装体80のサイズが大きくなってしまっていた。
【0007】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、複数の薄板状の物品を保持可能であって、収容ケース全体をコンパクトにでき、さらに物品の収容及び取り出しを簡単にできる収容ケースの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の一態様では
薄板状の物品を、内三つ折りにして1枚以上重ねて保持できる収容ケースであって、
前記収容ケースは、展開状態の長手方向の一端側から、第1領域、第2領域、及び第3領域を、第1の方向に延伸する折り目を境界として有しており、
前記第1領域は、背面側に折られた前記第2領域に隣接する折り目の近傍に、1つのスリットが形成されており、
前記第3領域の自由端は、前記第1領域の前記スリットに差し込み可能である、
収容ケースを提供する。
【発明の効果】
【0009】
一態様によれば、収容ケースにおいて、複数の薄板状の物品を保持可能であって、収容ケース全体をコンパクトにでき、さらに物品の収容及び取り出しを簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来例1に係るパッケージの開蓋状態を示す図。
図2】従来例2に係る包装体の開蓋状態を示す図。
図3】本発明の第1実施形態に係る収容ケースの展開図。
図4】第1実施形態に係る収容ケースに、物品を収容した状態を示す全体図。
図5図4の収容ケースに物品を収容した状態の断面図。
図6】第1実施形態に係る収容ケースに、物品を収容する手順を示す図。
図7】第1実施形態に係る収容ケースから、物品を1枚取り出す場合の説明図。
図8】本発明の第2実施形態に係る収容ケースの展開図。
図9】第2実施形態に係る収容ケースに、物品を収容した状態を示す全体図。
図10】第2実施形態に係る収容ケースの係止部の拡大説明図。
図11】第2実施形態に係る収容ケースから、物品を1枚取り出す場合の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。下記、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
本発明は、薄板状の物品を1又は複数、重ねて収容可能な収容ケースに関する。
【0013】
<第1実施形態>
まず、図3図4を用いて、本発明の第1実施形態に係る収容ケースの構成について説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係る収容ケースの展開図である。図4は、第1実施形態に係る収容ケースに、物品を収容した状態を示す図である。
【0014】
本発明の収容ケース1は、薄板状の物品2を、内三つ折りにして1枚以上重ねて保持できる収容ケースである。
【0015】
本発明の収容ケース1は、樹脂、皮、圧紙等の可撓性のある材料で形成される。樹脂の場合は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニール樹脂(PVC)、オレフィン系エラストマー(TPO)等、薄板材質の硬質又は軟質のプラスチックであって、文具ファイルのように薄肉状に形成される。このような材料で形成される収容ケースの展開状態における各領域の厚さは、例えば、0.01~1mmである。
【0016】
図3に示すように、本発明の収容ケース1は、展開状態の長手方向(第2の方向)の一端側から、第1領域11、第2領域12、及び第3領域13を、短手方向(第1の方向)に延伸する折り目V1,V2を境界として有している。
【0017】
図3に展開した状態の長手方向Yにおいて、収容ケース1の、第1領域11の一端は自由端14であり、第3領域13の他端は自由端15である。
【0018】
そして、図3に示す展開した状態の内側から見て、第1領域11と第2領域12の境界となる折り目は、谷折り線V1であり、第2領域12と第3領域13の境界となる折り目も、谷折り線V2となる。
【0019】
側片である第1領域11は、内三つ折りにした際に中央の中巻き面となり、物品が差し込まれる台紙部となる。中央片である第2領域12は、内三つ折りにした際に、最も下側の裏面(裏表紙面)となり、背面側から第1領域11と第3領域13とを接続するつなぎ部となる。側片である第3領域13は、内三つ折りにした際に、最上面(表紙面)となり、使用者によって操作されるバンド部となる。
【0020】
本例では、収容ケース1は、第2領域12、第3領域13が凹んだ変形しているが横長の細長形状であって、短手方向(図3の縦方向)を第1の方向X、長手方向(図3の横方向)を第2の方向Yとする。
【0021】
また、収容ケース1は、展開状態における、第1の方向、第2の方向の長さは、収容する物品によって、適宜変更可能である。図3の例では、収容ケース1は、横長の長方形の細長形状の例を示しているが、収容する物品が細長で長辺と短辺の差が小さい場合は、第1領域11は、横方向の長さと縦方向の長さとがほぼ同じである略正方形になり、収容ケース1全体では、第1の方向:第2の方向の長さ比率が約1:3になる。一方、収容する物品が細長で長辺と短辺の差が大きい場合、第1領域11が縦長になり、図3に示すような収容ケース1全体が展開した状態で、長手方向(横方向の長さ)と、短手方向(縦方向の長さ)との差がなくなる略正方形状に近くなる。
【0022】
第1領域11は、自由端14と折り目V1の長さが等しく略平行であって、横方向に延伸する側辺111,112の長さが等しく略平行である長方形形状、又は正方形形状である。なお、第1領域11は、四隅の角がとれた角丸長方形形状、又は角丸正方形形状であってもよい。
【0023】
第1領域11には、背面側に折られる第2領域12に隣接する折り目V1の近傍に、差し込み口となる1つのスリット16が形成されている。第1領域11において、スリット16は、近傍の折り目V1から所定の距離dで、折り目V1と略平行に第1の方向に延伸している。
【0024】
第1領域11は、第2の方向において、スリット16の位置を境界として、自由端14側であって広い側が折り畳み時に物品よりも下側に位置する背面領域114となり、折り目V1側の狭い側が物品2よりも上に位置する上面領域115となる。
【0025】
また、本実施形態では、第3領域13には、第1の方向(縦方向)Xにおいて、折り目V2の両端側と、自由端15の両端側が短くなるように切除した、2つの切り欠きN1,N2が形成されている。この2つの切り欠きN1,N2は、折り目V2の長さLv2よりも自由端15の長さL15が長くなるように形成されており、第3領域13は、折り目V2が下底、自由端15が上底となる略等脚台形形状となり、横方向に延伸する側辺131,132は台形の斜辺となる。
【0026】
このような台形形状の第3領域13の自由端15は、第1領域11のスリット16に差し込み可能である。そのため、第3領域13における、自由端15から所定の距離dの位置では、第1の方向における長さLpは、スリット16に差し込み可能に、スリット16とほぼ同じ又はわずかに短い。
【0027】
図3では、第2領域12も台形形状である例を示しているが、第2領域12は、横方向の他端側の境界端辺124が、少なくとも折り目V2において、第3領域13側の境界端辺133とで段差が出ないような長さであれば、どのような形状であってもよい。
【0028】
なお、第2領域12は折り畳み状態において最下面に位置しており、折り目V1によって第2領域12は第1領域11に対して予め背面側に折られているため、第2領域12の横方向の一端側の端辺113の長さは、第1領域11の横方向の他端側の端辺113の長さに対して、短く段差を有していてよく、あるいは段差を有さない同じ長さであってもよい。ただし、第2領域12の境界端辺123の長さで規定される折り目V1の長さLv1は、折り目V1が折り畳み状態において、物品2の一部を挟み込む押さえ部となるため、スリット16の長さL16の少なくとも半分以上の長さを有していると好適である。
【0029】
<折り畳み構成>
ここで、図4に、第1実施形態に係る収容ケース1に、物品2を収容した状態の全体図を示し、図5に、図4の収容ケース1に物品2を収容した状態の断面図を示す。
【0030】
本発明の収容ケース1は、薄板状の物品2を挟んで、内三つ折りに折り畳むことで、物品2を保持する。また、図4図5のように、収容ケース1に、物品2を収容した状態を、収容ケース付き物品3とも呼ぶ。
【0031】
収容ケース1は、長方形状の物品2を、1枚以上重ねて保持できる。図4図5のように保持された状態では、収容ケース1は折り畳まれているが、物品2は折り畳まれていない。
【0032】
図5に示すように、収容状態では、収容ケース1は、展開状態では中央に位置していた第2領域12が最下面に位置し、第1領域11が下から2番目に位置し、第3領域13が最上面に位置している。
【0033】
ここで物品2において、長辺を21,22、短辺を23,24とする。図4図5に示すような収容状態にあるとき、物品2は、長辺22の全領域がスリット16に差し込まれており、長辺21の中央の一部が第3領域13と第2領域12との折り目V2に挟まれている。
【0034】
また、図4に示す収容状態(保持状態)では、最上面の第3領域13の略台形状の側辺131,132の外側から、物品2の一部が上面側に露出しており、物品2の短辺23,24の周囲は露出している。
【0035】
このように収容ケース1に収容されるため、物品2は、スリット16に差し込まれる部分を一辺とする略長方形状の物品又は略正方形状の物品であって、第1領域11よりも第1の方向の辺、第2の方向の辺ともに短いサイズであると好適である。なお、物品2が略長方形状の場合、スリット16に差し込まれる部分が長辺であると、より長い長さで固定できるため、好適である。
【0036】
図4に示すように、収容ケース1において、折り畳んだ状態で最も大きい第1領域11は物品2よりも縦方向、横方向ともにわずかに大きいサイズとなる。そして、本発明の収容ケース1の大きさは、収納物である物品の大きさなどにより適宜選定される、あるいは収容ケース1の大きさに合ったサイズの物品を適宜選定する。
【0037】
詳しくは、収容ケース1が、手に収まるサイズの場合は、物品2は、例えば、カード状のフィルム小袋等の可撓性物品や、カード等である。カード状のフィルム小袋には、板ガム、化粧料試供品、旅行用化粧品、使い切り調味料等の個包装が収容される。カード等は、名刺、店舗カード、磁気カード(例えばポイントカード)、IC(integrated circuit)カード(例えば交通カード、クレジットカード)等である。
【0038】
一例として、物品が化粧料試供品の場合、アルミパウチ等に入った化粧料の試供品の大きさは、一般的に縦15~50mm、横10~30mm程度であるため、このような試供品を収容するための収容ケースは、縦17~70mm程度、横12~35mm程度であると好適である。
【0039】
また、物品が名刺又は名刺サイズのカードである場合、名刺は一般的に、91mm×55mmであるため、これらを収容可能な収容ケースのサイズは、例えば、縦95~1111mm程度、横57~65mm程度になる。
【0040】
さらに、収容ケースの大きさを変化させることで、収容ケースをファイル、ホルダー、バインダーのような書類保持用ケースにすることもできる。書類とは、例えば、ルーズリーフ、各種プリント用紙、ノート、写真、はがき、手紙等である。
【0041】
例えば、A4サイズの紙やノートは、縦29.7cm×横21.0cmと規定されているため、A4サイズの書類を収容可能な収容ケースは、例えば、縦30~34cm程度、横21.5~24cm程度になる。
【0042】
(収容手順)
図6は、第1実施形態に係る収容ケースに、物品を収容する手順を示す図である。図6において、(a)は、第3領域13を開いた状態を示す図であり、(b)は物品2を収容ケース1の第1領域11に差し込んだ状態を示す図であり、(c)は収容ケース1の第3領域13を物品2の上に折り重ねながら、第3領域13の一部をスリット16に差し込む状態を示す図である。
【0043】
収容手順として、まず、ステップS1で、第2領域12が、第1領域11の裏に折り込まれた状態で、第3領域13を開く。例えば、販売時の収容ケース1は、第2領域12は第1領域11の裏へ予め折り込まれており、第3領域13の自由端15は、第1領域11のスリット16に差し込まれた状態である。そのため、物品2を収容する際には、まず、図6(a)に示すように、折り目V2を広げるように、第3領域13を、第1領域11のスリット16から外れるように、開く。
【0044】
次に、ステップS2で図6(b)に示すように、収容ケース1の第1領域11のスリット16に、物品2の1つの辺(第1の辺)22とその近傍部分を差し込む。この差し込みにより物品2の長辺22とその近傍部分は、第1領域11の上面領域115の下に滑り込むことになる。図6(b)において、物品2のスリット16に差し込んだ部分は、スリット16と、第1領域11の短い側の上面領域115と、折り目V1と、最背面の第2領域12で囲まれているため、物品2の位置が固定される。
【0045】
そして、図6(c)に示すように、第3領域13を、第1領域11のスリット16に差し込まれた物品2の上に折り重ねながら(ステップS3)、第3領域13の自由端15の端辺の全領域とその近傍部分を、物品2の上からスリット16に差し込む(ステップS4)。
【0046】
これにより、収容ケース1の折り畳みが完成し、収容ケース1が物品2を保持する状態になる。
【0047】
ここで、S4で、第3領域13の一部をスリット16に差し込む動作は、蓋を閉じるように第3領域13を物品2の上に折り重ねる動作と同じ方向に動かす動作のため、一連の流れの中でS3、S4の2つの動作を実現できる。そのため、物品2をセット後、蓋を閉じる動作から異なる動線となる手順を加えることなく、第3領域13の一部を差し込むことができるため、物品収容時の、使用者の、手順の追加や複雑化を防ぐことができる。
【0048】
なお、図6(a)~(c)では、収容ケース1に何も保持していない状態から複数枚の物品2を収容する例を示しているが、既に1又は複数枚の物品を収容している状態の収容ケース1に対して、1又は複数枚の物品を補充する場合も、同様の手順で補充できる。
【0049】
ここで、収容状態では、物品2は一部がスリット16に差し込まれているため、収容ケース1が収容状態から第3領域13が開かれた状態になっても(図6(c)⇒図6(b))、すでに収容されている物品2は飛び出さずに、スリット16及び上面領域115によって保持状態が維持され、位置が規制されている。
【0050】
そのため、1又は複数枚の物品を保持している収容ケースに対して、追加で1又は複数枚の物品を補充する場合も、同様の手順で、S1で第3領域13を開き、S2で既に保持された物品2の上から補充する物品2を載せるようにしてスリット16に補充した物品2の一部を差し込む。そして、S3で、第3領域13を、第1領域11のスリット16に差し込まれた補充した複数の物品2の上に折り重ねながら、S4で第3領域13の自由端15の端辺の全領域とその近傍部分を、物品2の上からスリット16に差し込む。
【0051】
これにより、1又は複数枚の物品を保持している収容ケースに対しても、元々保持していた物品を取り出すことなく、追加で1又は複数枚の物品を、簡単に補充することができる。
【0052】
(取り出し方法)
次に、図4及び図7を用いて物品を収容ケースから取り出す場合について説明する。図7は、第1実施形態に係る収容ケース1から、物品2を1枚取り出す場合の説明図である。
【0053】
図4図7に示すように、保持状態において、第3領域13の切り欠かれた側辺131,132から、物品2の第1の方向(縦方向)Yの両端部である短辺23,24の近傍が、上面側に露出している。
【0054】
この状態から、図7の(1)に示すように、保持状態で物品2の、第3領域13の切り欠きから上面側に露出した部分を指で把持し、(2)の矢印で示すように、物品2を第1の方向の外側に引っ張る。
【0055】
ここで、図7に示すように、本実施形態の第3領域13の形状は、自由端15よりも、折り目V2側の境界端辺133が短いことで、側辺131,132は傾斜しているため、保持状態では、横方向において、物品2の折り目V2側の長辺21が、スリット16に近い側よりも大きく露出している。
【0056】
物品2の取り出しの際には、スリット16から離れるように引っ張るため、物品2を把持する部分は、露出している部分において、上面領域115の下側に滑り込んでいるスリット16側ではなく、折り目V2側であることが望まれる。そのため、物品における把持する部分を、より目立たせるように、第3領域13の側辺131,132は自由端15よりも、折り目V2側の境界端辺133の両端が縦方向の中央側に位置するように傾斜している。この構成により、保持状態では、物品2は、蓋部となる第3領域13の側辺131,132から露出した部分が、横方向Xにおいて、折り目V2側がより大きい。
【0057】
さらに、本実施形態では、第3領域13は略等脚台形であって、保持状態において、物品2の縦方向Yの両端側が、露出しているため、短辺23,24のどちら側から(図7の上下どちら側から)でも、物品2を取り出すことができる。そのため、取り出す際に、収容ケース1を左手に持って、図7のように物品2を右手で取り出す場合、収容ケース1を右手に持って、物品2を左手で取り出す場合も、ほとんど動作に違いなく、取り出すことができる。
【0058】
このように保持状態でも元から露出している物品2の一部を把持して、引っ張ることで、収容ケース1を開くことなく、1枚ずつ薄板状の物品2を取り出し可能である。よって、本発明の収容ケース1は、図7に示すように、蓋部となる第3領域13を開くことなく把持、引っ張るの2ステップで物品を1枚ずつ取り出し可能であるため、取り出しをすばやく簡単にできる。即ち、この取り出しにより、そのままさっと使えるために取り出しの手間を最小限にすることができる。
【0059】
また、本発明の収容ケース1は、上述のように、複数枚の薄板状の物品を重ねて保持可能であるため、例えば複数枚の物品を並べて収容する構成よりも、収容ケース全体をコンパクトにできる。
【0060】
さらに、上述の図6のように、物品を補充する際も、第3領域13を開き、物品2をスリット16へ差し込み、そして固定部として第3領域13を閉じる際の流れの中で第3領域13の一部をスリット16に差し込むという、簡単な動作で実現できる。そのため、本発明の収容ケースは、物品補充時、及び物品取り出し時の使用性が良好である。
【0061】
<第2実施形態>
次に、図8図10を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。図8は、本発明の第2実施形態に係る収容ケース1Aの展開図である。
【0062】
本実施形態も、収容ケース1Aの第2領域12Aを最底面とする内三つ折りにして、薄板状の物品2を保持可能な点は、第1実施形態と共通であるが、第2領域12A、第3領域13Aの形状が、第1実施形態とは異なる。
【0063】
本実施形態の第3領域13Aでは、第1の方向(縦方向)Xの一端側を、折り目V4の一端側と自由端15Aの端辺の一端側が短くなるように切除した、1つの切り欠きN3が形成されていることで、第3領域13Aの切り欠きN3が形成された側の側辺134は斜辺となってる。また、第3領域13Aのもう一方の側辺135は、境界端辺136、及び折り目V4に対して略直角な側辺となっている。即ち、本実施形態の第3領域13Aは、折り目V4が下底、自由端15Aが上底となる略直角台形形状となる。
【0064】
そして、第3領域13Aの自由端15Aの端辺の一端の近傍には、第1の方向Xの外側に伸び出す突起17が設けられている。
【0065】
なお、第2領域12Aは、第3領域13Aに合わせた形状となっており、図8の例では、上側の、第3領域13Aに近い部分が、部分的に切り欠いて斜辺126となった形状になっているが、少なくとも折り目V4において、第3領域13Aの一端である境界端辺136と第2領域12Aの他端である境界端辺129が同じ長さであれば、他の形状であってもよい。例えば、第2領域12Aは、折り目V4が下底、折り目V3が上底となる略直角台形形状であってもよい。
【0066】
図9は、第2実施形態に係る収容ケース1Aに、物品2を収容した状態(収容ケース付き物品3Aの状態)を示す図である。本実施形態においても、図9に示すように、収容状態では、収容ケース1Aは、展開状態で中央に位置していた第2領域12Aが最下面に位置し、第1領域11が下から2番目に位置し、第3領域13Aが最上面に位置している。
【0067】
ここで、本実施形態では、図9に示す収容状態(保持状態)では、最上面の第3領域13Aの一方側の切り欠きN3によって削除された側辺134から、物品2の一部が、上面側に露出しており、物品2の短辺23が露出している。
【0068】
また、突起17は、スリット16に対して差し込まれており、保持状態では、突起17は、第1領域11の上面領域115の下に位置している。
【0069】
図10は、第2実施形態に係る収容ケース1の係合部の拡大説明図である。
【0070】
本実施形態に係る収容ケース1Aでは、第1領域11のスリット16の縦方向Xの端部よりも、突起17が、縦方向Xにおいて外側に位置することで、第3領域13Aの自由端15Aの端辺の全領域を、スリット16へ差し込んだ状態での、第3領域13Aのスリット16に対する抜け止めとなる。
【0071】
そのため、本実施形態では、新たに物品を収容、又は追加で物品を補充する際、抜け止めによる係止状態を解除すべく、一旦第3領域13Aを縦方向Xの他端側に撓ませてから、第3領域13Aを開く。
【0072】
詳しくは、まずS1で、第3領域13Aを他端側に撓ませることで、突起17の一端側端部17Eを一端側スリット領域外161からスリット16の範囲内に引き寄せ、一端側端部17Eをスリット16の端部である破断起点SPからくぐらせることで抜け止め係止状態を解除する。その後は、開蓋の要領で折り目V4を広げるように、第3領域13Aを開く。
【0073】
そして、第1実施形態と同様に、S2で図6(b)に示したように、物品2を第1領域11のスリット16にセットする。
【0074】
その後、第3領域13Aを折り畳みながら、撓ませて(S3)、突起17の一端側端部17Eをスリット16の一端側の破断起点SPにくぐらせてから、第3領域13Aの撓みを解除することで、自由端15Aの全域をスリット16全域に差し込む(S4)。
【0075】
本実施形態では、第3領域13Aの自由端15Aのスリット16への抜き差しの際に、第3領域13Aを撓ませる必要があるため、第3領域13Aでは、両側ではなく片側のみ切り欠かれている。
【0076】
図10に示したように、本実施形態では、第3領域13Aの自由端15Aが、スリット16に対して差し込まれた状態では、第3領域13Aの自由端の突起17は、第1領域のスリット16よりも縦方向Xの一端側(外側)に長いため、抜け止めとなることで、収容ケース1が衝撃をうけても、第3領域13Aはスリット16から抜けづらい。そのため、例えば収容ケース1Aをカバン等に入れて振動を受けても外れないため、より衝撃に強い構成であるといえる。
【0077】
図11は、第2実施形態に係る収容ケース1Aから、物品2を1枚取り出す場合の説明図である。図9図11に示すように、保持状態において、第3領域13Aの切り欠かれた側辺134から、物品2の第1の方向(縦方向)Xの一端部である短辺23の近傍が、上面側に露出している。
【0078】
この状態から、図11の(1)に示すように、保持状態で物品2の、第3領域13Aの切り欠きから上面側に露出した部分を、指で把持し、(2)の矢印で示すように、物品2を、第1の方向Xの外側に引っ張る。
【0079】
物品2の取り出しの際には、スリット16から離れるように引っ張るため、物品2を把持する部分は、露出している部分において、上面領域115の下側に滑り込んでいるスリット16側ではなく、折り目V4側であることが望まれる。そのため、物品2における把持する部分を、より目立たせるように、第3領域13Aの側辺134は自由端15Aの一端側よりも、折り目V4側の境界端辺136の一端側が、縦方向Xにおいてより中央側に位置するように傾斜している。
【0080】
この構成により、保持状態では、物品2は、蓋部となる第3領域13Aの側辺134から露出した部分が、横方向Yにおいて、折り目V4側がより大きい。
【0081】
このように本実施形態においても、保持状態でも元から露出している物品2の一部を把持して、引っ張ることで、収容ケース1Aを開くことなく、1枚ずつ薄板状の物品2を取り出し可能である。よって、本発明の収容ケース1Aは、蓋部となる第3領域13Aを開くことなく把持、引っ張るの2ステップで物品を1枚ずつ取り出し可能であるため、取り出しをすばやく簡単にできる。
【0082】
さらに本実施形態では、保持状態では、第3領域13Aは、突起17によりスリット16に抜け止め係止されているため、取り出しの際に物品2を強い力で引っ張ったとしても、第3領域13Aが、物品2と一緒にスリット16から外れてしまうことを防止できる。
【0083】
ただし、本構成では、両側に切り欠きがないため、取り出す際に、右手で収容ケースを把持して、左手で取り出す場合、例えば左利きの人にとっては、少し操作性が難しくなる。そのため、衝撃への強さと左右の利き手のユーザービリティの優位性を考慮して、第1実施形態、第2実施形態の構成を適宜選択すると好適である。
【0084】
本実施形態においても、本発明の収容ケースは、複数枚の薄板状の物品を重ねて保持可能であるため収容ケース全体をコンパクトにできる。さらに、物品を補充する際も、第3領域13Aを開き、物品2Aをスリット16へ差し込み、そして固定部として第3領域13を閉じる際の流れの中で第3領域13Aの一部を撓ませながら、突起17を含む自由端15Aをスリット16に差し込むという、簡単な動作で実現できる。そのため、本実施形態においても、収容ケース1Aは、物品補充時、及び物品取り出し時の使用性が良好である。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0086】
1,1A 収容ケース
2 薄板状の物品
3,3A 収容ケース付き物品
11 第1領域
111、112 側辺
113 境界端辺
114 背面領域
115 上面領域
12,12A 第2領域
121,122 側辺
123,124 境界端辺
125、127 側辺
126 斜辺
128,129 境界端辺
13,13A 第3領域
131,132 側辺(斜辺)
133 境界端辺
134 側辺(斜辺)
135 側辺(直角辺)
136 境界端辺
14 第1領域の自由端(端辺)
15,15A 第3領域の自由端(自由端の端辺)
16 スリット
17 突起
21,22 長辺(第1の辺)
23,24 短辺
N1,N2,N3 切り欠き
SP スリットの端部(破断起点)
V1,V2 折り目
V3,V4 折り目
X 第1の方向(縦方向、短手方向)
Y 第2の方向(横方向、長手方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11