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特開2024-154552樹木の伐採方法、及びこの方法に用いる無人航空機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154552
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】樹木の伐採方法、及びこの方法に用いる無人航空機
(51)【国際特許分類】
   A01G 23/08 20060101AFI20241024BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20241024BHJP
   B64U 10/17 20230101ALI20241024BHJP
   B64U 101/40 20230101ALN20241024BHJP
【FI】
A01G23/08 A
B64U10/13
B64U10/17
B64U101:40
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068420
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中津 啓汰
(72)【発明者】
【氏名】土江 真吾
(72)【発明者】
【氏名】諸住 悟
(57)【要約】
【課題】樹木の伐採作業を効率よく安全に行う。
【解決手段】ワイヤーソーの一端を無人航空機に取り付け、ワイヤーソーの他端を地上で保持しつつ無人航空機を伐採の対象となる枝に向けて飛行させ、枝の上方を通過させることによりワイヤーソーを枝に掛け、無人航空機を降下させてワイヤーソーの一端を無人航空機から取り外し、ワイヤーソーを枝に接触させつつ、ワイヤーソーの一端及び他端を交互に引く操作を繰り返すことにより枝を切断する。無人航空機は、一つ以上の回転翼を有する本体と、ワイヤーソーの取付機構と、を備え、ワイヤーソーの一端を、回転翼よりも外周側に位置するように上記取付機構により無人航空機に取り付ける。上記取付機構は、無人航空機の外周方向に延出するアームと、アームの先端に設けられ、ワイヤーソーの一端が掛止されるフックと、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーソーの一端を無人航空機に取り付け、
前記ワイヤーソーの他端を地上で保持しつつ前記無人航空機を伐採の対象となる枝に向けて飛行させ、
前記枝の上方を通過させることにより前記ワイヤーソーを前記枝に掛け、
前記無人航空機を降下させて前記ワイヤーソーの前記一端を前記無人航空機から取り外し、
前記ワイヤーソーを前記枝に接触させつつ、前記ワイヤーソーの前記一端及び前記他端を交互に引く操作を繰り返すことにより前記枝を切断する、
樹木の伐採方法。
【請求項2】
請求項1に記載の樹木の伐採方法であって、
前記無人航空機は、
一つ以上の回転翼を有する本体と、
前記ワイヤーソーの取付機構と、
を備え、
前記ワイヤーソーの前記一端を、前記回転翼よりも外周側に位置するように前記ワイヤーソーの取付機構により前記無人航空機に取り付ける、
樹木の伐採方法。
【請求項3】
請求項1に記載の樹木の伐採方法であって、
前記ワイヤーソーの他端側にて前記ワイヤーソーのワイヤーを回転ドラムに巻回しておき、前記無人航空機の飛行に伴い前記ワイヤーが送り出されるようにする、
樹木の伐採方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹木の伐採方法であって、
前記無人航空機は、マルチコプタ又はヘリコプタである、
樹木の伐採方法。
【請求項5】
請求項2に記載の樹木の伐採方法における前記無人航空機であって、
前記本体及び前記取付機構を備え、
前記取付機構は、
前記無人航空機の外周方向に延出するアームと、
前記アームの先端に設けられ、前記ワイヤーソーの前記一端が掛止されるフックと、
を有する、
無人航空機。
【請求項6】
請求項5に記載の無人航空機であって、
前記取付機構は、前記アームをその先端が上下に移動可能な状態で支持する、
無人航空機。
【請求項7】
請求項5に記載の無人航空機であって、
前記取付機構は、前記ワイヤーソーから前記アームが受ける力の前記本体への伝達を緩衝する緩衝機構を有する、
無人航空機。
【請求項8】
請求項5に記載の無人航空機であって、
前記アームは伸縮自在な構造を有する、
無人航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹木の伐採方法、及びこの方法に用いる無人航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
ダムや水力発電所においては、設備の周辺に成長した樹木の枝葉が、各種の設備や施設(水圧鉄管、水槽(サージタンク)、水槽用電源、通信ケーブル等)の保安維持や、ダム池内堆積土砂測量等の諸量計測の支障となる。このため、作業者は、高枝切りバサミやチェーンソー、ノコギリ等の工具を用いて樹木の枝打ちや根元からの伐採を行っている。また、伐採対象となる枝が樹木の高所に存在する場合には、作業者は樹木によじ登って対応している。このように樹木の伐採に際し作業者は危険な重労働を強いられている。
【0003】
こうした樹木の伐採作業を支援する技術として、例えば、特許文献1には、ドローン等の無人航空機に剪定構造(ハサミ、ノコギリ、カッター、レーザーカッター、ウォーターカッター等)を搭載して樹木の伐採を行うことが記載されている。また、特許文献2には、樹木の幹に追い口を設け、ワイヤーソーの本体のワイヤーの繰出し位置及び本体を樹木に固定する固定具が追い口よりも低い位置になるように固定具によって本体を樹木の幹に固定し、ワイヤーで樹木の幹を囲みワイヤーを追い口に掛止させ、ワイヤーソーを遠隔操作可能なリモコンの操作によってワイヤーを樹木の幹周りに周動させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-120440号公報
【特許文献2】特開2018-130090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように無人航空機に剪定構造を搭載して枝を伐採する場合には、樹木との接触を防ぐとともにバッテリの消費を抑えて飛行時間を確保するため、無人航空機やこれに搭載する剪定構造(剪定工具)については可能な限り小型であることが望ましい。一方で、小型の剪定構造では径の太い枝の伐採に対応することができず、また、伐採時に樹木から受ける反作用により無人航空機の飛行が不安定となり、作業効率や安全性の面で課題がある。また、特許文献2に記載された伐採装置は、倒木のために樹木の幹を地上付近で切断するものであり、樹木の高所に存在する枝を伐採することを想定した構成にはなっていない。
【0006】
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、樹木の伐採作業を効率よく安全に行うことが可能な、樹木の伐採方法、及びこの方法に用いる無人航空機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一つは、樹木の伐採方法であって、ワイヤーソーの一端を無人航空機に取り付け、前記ワイヤーソーの他端を地上で保持しつつ前記無人航空機を伐採の対象となる枝に向けて飛行させ、前記枝の上方を通過させることにより前記ワイヤーソーを前記枝に掛け、前記無人航空機を降下させて前記ワイヤーソーの前記一端を前記無人航空機から取り外し、前記枝に接触させつつ、前記ワイヤーソーの前記一端及び前記他端を交互に引く操作を繰り返すことにより前記枝を伐採する。
【0008】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、樹木の伐採作業を効率よく安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による樹木の伐採方法の概略を説明する模式図である。
図2】本発明による樹木の伐採方法の概略を説明するフローチャートである。
図3】ワイヤーソーの一例を示す図である。
図4A】無人航空機の構成を示す外観斜視図である。
図4B】無人航空機の構成を示す外観斜視図である。
図5A】無人航空機が飛行している際のアームの状態を示す図である。
図5B】無人航空機が飛行している際のアームの状態を示す図である。
図6A】無人航空機の主な構成を示す図である。
図6B】無人航空機が備える主な機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。以下、本発明をその一実施形態に即して添付図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1(a)~(d)は、本発明の一実施形態として説明する樹木の伐採方法の概略を説明する図である。また、図2は、上記樹木の伐採方法を説明するフローチャートである。以下、これらの図とともに説明する。
【0013】
以下に説明する樹木の伐採方法は、ワイヤーソー100と無人航空機200を用いて行われる。無人航空機200は、例えば、マルチコプタやヘリコプタである。尚、本実施形態では、無人航空機200が4つの回転翼(ロータ)を有するマルチコプタである場合を例として説明する。
【0014】
図1(a)に示すように、現場において樹木(以下、「対象樹木2」と称する。)の伐採作業を行う作業者3は、まず、地上でワイヤーソー100の一端を無人航空機200に着脱可能な状態で取り付ける(図1(a)、図2のS211)。
【0015】
続いて、作業者3は、無人航空機200を、対象樹木2の伐採の対象となる枝(以下、「対象枝2a」と称する。)に向けて上昇飛行させ(図1(b)、図2のS212~S213)、対象枝2aの上空を通過させることによりワイヤーソー100を対象枝2aに掛ける(図2のS214)。
【0016】
続いて、作業者3は、無人航空機200をワイヤーソー100の取り外し位置まで降下/着陸させ、ワイヤーソー100を無人航空機200から取り外す(図1(c)、図2のS215~S217)。
【0017】
続いて、作業者3は、ワイヤーソー100の一端を一方の手で、また、ワイヤーソー100の他端を他方の手で把持し、ワイヤーソー100にテンションをかけてワイヤーソー100を対象枝2aに接触させつつ、左右の手でワイヤーソー100を交互に引く操作を繰り返すことにより対象枝2aを切断する(図1(d)、図2のS219~S220)。
【0018】
このように、本実施形態の伐採方法においては、ワイヤーソー100を対象枝2aに掛ける作業については無人航空機200を用いて行い、対象枝2aを切断する作業については作業者3が地上からワイヤーソー100を操作して行う。このため、作業者3は樹木によじ登る必要がなく、伐採作業を安全に行うことができる。また、ワイヤーソー100として適切な長さのものを選択することで、作業者3は様々な高さの枝を切断することができる。また、ワイヤーソー100により対象枝2aを切断する作業については作業者3が地上から行うため、対象枝2aに大きな荷重をかけやすく、無人航空機200に搭載した伐採工具では切断が難しい、径の太い枝についても容易かつ確実に切断することができる。
【0019】
尚、無人航空機200が対象枝2aの上空を通過した後、降下する際はワイヤーソー100の位置が無人航空機200の位置よりも高くなるため、ワイヤーソー100が無人航空機200の回転翼に接触してしまう可能性がある。そこで、後述するように、例えば、ワイヤーソー100が回転翼に接触しないようにワイヤーソー100をガイドする仕組みを無人航空機200に設ける。
【0020】
また、対象枝2aが高所に存在する場合や対象枝2aの位置が枝の密度の高い位置に存在する場合、地上からの目視によるのみでは無人航空機200の操縦が難しくなる。そこで、例えば、無人航空機200に搭載した撮影装置(FPV(First Persons View)カメラ)により無人航空機200の周囲の様子を映した映像をリアルタイムに地上のモニタ装置に送信し、作業者3がモニタ装置に表示される映像を確認しつつ無人航空機200を操縦(目視外飛行)するようにしてもよい。
【0021】
また、飛行中に無人航空機200が樹木や他の物体と接触もしくは衝突するのを防ぐため、無人航空機200に超音波センサやLiDAR(Light Detection And Ranging)等の測距装置を搭載し、無人航空機200が測距装置から得られる情報に基づき樹木と接触を回避しつつ自律飛行するようにしてもよい。また、撮影装置が撮影した映像をAI(Artificial Intelligence)を用いてリアルタイムに画像認識や画像解析を行うことにより、樹木との接触を回避しつつ対象枝2aの上空を飛行するように無人航空機200が自律飛行するようにしてもよい。
【0022】
図3に、ワイヤーソー100の一例を示す。例示するワイヤーソー100は、所定の長さを有するワイヤー110と、ワイヤー110の各端部に夫々連結具115a,115bを介して設けられた把持部120a,120bとを有する。尚、他図において、連結具115a,115bは省略するかもしくは簡略化して描いている。
【0023】
ワイヤー110は、ステンレス鋼等の硬質の素材からなる所定長さ(例えば、数mから数十m程度)の線材であり、伐採に際し樹木の切断箇所に接触させる刃として機能する。ワイヤー110は、切断効率を高めるため、例えば、チェーン構造や鋸刃構造を有していてもよい。また、ワイヤー110は、ステンレス鋼等からなる芯線の表面にダイヤモンド等の砥粒が電着等により固着した構成のものでもよい。
【0024】
把持部120a,120bは、伐採に際し作業者3の持ち手(握り手)となる部分である。同図の例では、把持部120a,120bをリング体としている。尚、同図に示す連結具115a,115bや把持部120a,120bの構成は一例に過ぎない。
【0025】
無人航空機200は、自律飛行、もしくは地上に設けられた図示しない遠隔制御装置(地上ステーション、送信機(プロポ)等)から無線送信されてくる指令を受信して行う遠隔制御により飛行する。また、無人航空機200は、空中で静止すること(ホバリング)もできる。
【0026】
図4Aに、無人航空機200の一例を示している。同図に示すように、無人航空機200は、本体21と、ワイヤーソー100の一端が取り付けられる取付機構22とを有する。
【0027】
取付機構22は、アーム支持部251、アーム252、及びフック253を有する。このうちアーム支持部251は、本体21の所定位置に設けられ、アーム252を支持する。アーム252は、棒状の部材であり、無人航空機200の運搬性及び収納性を確保するため伸縮自在(長手方向にスライド可能)な構造を有する。アーム252の一端(根本部分)は、その他端が上下(±z方向)に移動可能な状態でアーム支持部251に設けられている。フック253は、アーム252の他端(先端)に設けられる。フック253は、ワイヤーソー100の把持部120a,把持部120b(又は連結具115a,115b)を着脱自在に掛止する構造を有する。本例では、図示しない付勢手段(バネ等)により閉じられたフック253の一部が開閉することによりワイヤーソー100の把持部120a,把持部120b又は連結具115a,115bを容易にフック253に脱着できるようになっている。
【0028】
図4Bに、ワイヤーソー100の把持部120a(又は把持部120b)を取付機構22のフック253に掛止した状態を示す。また、同図には、アーム252の先端がアーム支持部251を支点として上下(±z方向)に移動(回動)する様子を示している。同図に示すように、アーム252は、隣接して設けられている2つの回転翼2011の間の空間において移動可能なように構成されている。このため、ワイヤーソー100が回転翼2011に接触してしまうのを防ぐことができる。また、アーム252はその先端が上下に移動可能な状態でアーム支持部251によって支持されているため、ワイヤーソー100からアーム252が受ける力の本体21への伝達を緩和することができる。そのため、ワイヤーソー100から伝達される力による無人航空機200の飛行への影響を抑えることができる。
【0029】
尚、アーム252が上下に移動し過ぎて本体21に接触してしまうことのないように、アーム支持部251には、アーム252が所定の角度範囲以上は回動しないように制限する機構(ストッパ機構)が設けられている。また、アーム252は、ワイヤーソー100から受ける力によって自然に上下に移動するように(完全にフリーな状態に)してもよい。また、アーム252にアーム252の急な動きを緩和する緩衝機構(バネ等)を設けてアーム252の急な動きが抑制されるようにし、ワイヤーソー100から無人航空機200に大きな力が直接伝達されないようにしてもよい。
【0030】
図5A及び図5Bに、無人航空機200が飛行している際のアーム252の状態を示している。
【0031】
図5Aに示すように、無人航空機200がワイヤーソー100よりも高い位置を飛行している際はワイヤーソー100の荷重によりアーム252は下方に移動した状態となり、ワイヤーソー100は無人航空機200から垂れ下がった状態となる。
【0032】
一方、図5Bに示すように、ワイヤーソー100が枝に掛かった状態で無人航空機200が下降すると、無人航空機200よりもワイヤーソー100が高い位置にくるため、ワイヤーソー100により上方に引っ張られてアーム252は上方に移動する。
【0033】
図6Aは、無人航空機200の主な構成を示す図である。同図に示すように、無人航空機200は、前述した本体21を構成する、推力発生装置201、飛行制御装置202、各種センサ203、撮影装置204、通信装置205、及びバッテリ206と、前述した取付機構22とを備える。
【0034】
推力発生装置201は、無人航空機200が飛行するための推力を発生する装置であり、例えば、電動モータ、モータ制御装置(ESC:Electronic Speed Controller)、及び回転翼(ロータ、プロペラ)を備える。尚、推力発生装置201は、例えば、燃料の燃焼により動力を発生させるいわゆるエンジン(グローエンジン、ガソリンエンジン等)を用いて構成されるものでもよい。
【0035】
飛行制御装置202は、プロセッサやメモリを有するマイクロコンピュータ(マイコン)等の情報処理装置(コンピュータ)を用いて構成され、無人航空機200の飛行や無人航空機200に搭載されている各種装置や機能の制御、センサ情報の監視等を行う。
【0036】
各種センサ203は、無人航空機200の飛行に必要な情報を取得するセンサであり、例えば、加速度センサ、速度センサ、地磁気センサ、GNSS(Global Navigation Satellite System)(衛星測位装置(GNSSセンサ))、マイクロ波レーダー、LiDAR、EKF(Extended Kalman Filter)を用いた慣性航法装置等である。
【0037】
撮影装置204は、例えば、撮影方向や画角、露出等の撮影条件を無線通信により遠隔操作が可能なビデオカメラ、もしくは動画撮影が可能なデジタルスチールカメラであり、自身(無人航空機200)や周囲の様子、樹木の様子を撮影した映像データを生成する。撮影装置204は、各種センサ203の一つとして機能させてもよい。
【0038】
通信装置205は、遠隔制御装置と無線通信を行う装置(例えば、920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯の周波数を利用する無線通信装置)である。通信装置205は、例えば、撮影装置204により撮影した映像データや、無人航空機200の状態を示す情報等を、例えば、無線映像伝送技術やテレメトリ(telemetry)通信により随時、遠隔制御装置に送信する。
【0039】
バッテリ206は、例えば、リチウムイオンポリマー二次電池であり、無人航空機200の各構成の動作に必要な電力を供給する。
【0040】
取付機構22は、前述した構成(アーム支持部251、アーム252、フック253)を備える。
【0041】
図6Bは、無人航空機200が備える主な機能を説明する図である。同図に示すように、無人航空機200は、記憶部210、飛行制御部220、通信処理部230、及び映像伝送部235の各機能を備える。これらの機能は、例えば、飛行制御装置202のプロセッサが、メモリに記憶しているソフトウェアを実行することにより実現される。
【0042】
記憶部210は、機体情報211及び映像データ212を記憶する。機体情報211は、無人航空機200の機体に関する情報(現在位置情報2111、飛行速度/加速情報2112、及びバッテリ残量情報2113等)を含む。
【0043】
飛行制御部220は、遠隔制御装置から送られてくる飛行制御指示に従って受動的に無人航空機200の飛行を制御する遠隔制御方式、もしくは、機体情報211に基づき自律的に無人航空機200の飛行を制御する自律制御方式のいずれかにより、無人航空機200の飛行を制御する。自律制御方式の場合、飛行制御部220は、例えば、無人航空機20が予め設定された飛行経路に従って飛行するように推力発生装置201や飛行制御装置202を制御する。
【0044】
尚、無人航空機200は、各種センサ203の情報や撮影装置204により撮影された映像に基づき、対象枝への接近、樹木の枝間に存在する空間のすり抜け等の飛行を自律的に行う。また、無人航空機200は、無人航空機200から撮影装置204により撮影された周囲の映像を作業者が装着する映像モニタにリアルタイムに送信し、作業者が上記映像を見ながら遠隔制御する目視外飛行を行う。
【0045】
通信処理部230は、通信装置205を介して遠隔制御装置と無線通信又は無線通信を行う。通信処理部125は、例えば、遠隔制御装置から飛行制御指示を受信する。また、通信処理部230は、記憶部210が記憶している機体情報211を、通信装置56を介して遠隔制御装置に随時送信する。
【0046】
映像伝送部235は、撮影装置204が撮影して生成した映像データ212を記憶部210に格納するとともに、通信装置205により遠隔制御装置に送信(例えば、リアルタイムに伝送)する。
【0047】
以上に詳細に説明したように、本実施形態の樹木の伐採方法によれば、ワイヤーソー100を対象枝に掛ける作業については無人航空機200を用いて行い、対象枝2aを切断する作業については作業者3が地上からワイヤーソー100を操作して行うので、作業者3は樹木によじ登る必要がなく、伐採作業を安全に行うことができる。また、ワイヤーソー100として適切な長さのものを選択することで、作業者3は様々な高さの枝を切断することができる。また、ワイヤーソー100により対象枝2aを切断する作業については作業者3が地上から行うため、対象枝2aに大きな荷重をかけやすく、無人航空機200に搭載した伐採工具では切断が難しい径の太い枝についても容易かつ確実に切断することができる。
【0048】
尚、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0049】
例えば、対象枝の位置が高所であり、ワイヤーソー100としてワイヤー110の長いものを用いる必要がある場合には無人航空機200を飛行させた際にワイヤー110の送り出しがスムーズに行えなくなることが想定される。そこで、例えば、ワイヤー110を回転ドラムに巻回しておき、無人航空機200の移動に伴い回転ドラムからワイヤー110が送り出されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
2 対象樹木
2a 対象枝
22 取付機構
251 アーム支持部
252 アーム
253 フック
3 作業者
100 ワイヤーソー
110 ワイヤー
120a,120b 把持部
200 無人航空機
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B