(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154572
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】用紙搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 26/08 20060101AFI20241024BHJP
B65H 16/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B65H26/08
B65H16/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068461
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 進
【テーマコード(参考)】
3F052
3F105
【Fターム(参考)】
3F052AA01
3F052AB05
3F052BA25
3F105AA02
3F105AB04
3F105DA44
3F105DB11
3F105DC13
(57)【要約】
【課題】本発明が解決しようとする課題は、ロール紙の幅方向の中央部を基準として装着するタイプの用紙搬送装置において、幅が異なるロール紙が装着されてもニアエンドセンサの検知精度を維持することが可能な用紙搬送装置を提供することである。
【解決手段】実施形態の用紙搬送装置は、幅が異なる複数種類のロール紙を軸支する支軸と、前記支軸に軸支された前記ロール紙を前記ロール紙の幅方向の中央部を基準位置に位置決めする、前記軸支されるロール紙の種類に応じて前記ロール紙の幅方向に移動可能なガイドと、前記ガイドに取り付けられた、前記ロール紙の径の変化によるニアエンドを検知するセンサと、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅が異なる複数種類のロール紙を軸支する支軸と、
前記支軸に軸支された前記ロール紙を前記ロール紙の幅方向の中央部を基準位置に位置決めする、前記軸支されるロール紙の種類に応じて前記ロール紙の幅方向に移動可能なガイドと、
前記ガイドに取り付けられた、前記ロール紙の径の変化によるニアエンドを検知するセンサと、
を備えた用紙搬送装置。
【請求項2】
ラックアンドピニオンをさらに備え、
前記ガイドは、前記ラックアンドピニオンに取り付けられており、装着された前記ロール紙の一面に接して前記ロール紙を前記基準位置に位置決めする、
請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記ラックアンドピニオンは、前記支軸の内部に形成される、
請求項2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記用紙搬送装置を制御する制御回路が設けられた回路基板を区分けする区分部と、
前記ガイドと前記区分部とに架け渡されたセンサハーネスと、をさらに備えた、
請求項1乃至3のいずれか一に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記ロール紙から引き出された用紙に対して印字を行う印字ヘッド、をさらに備えた、
請求項1乃至3のいずれか一に記載の用紙搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、用紙搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルプやレシート等の用紙を搬送する用紙搬送装置では、ロール状に巻回されたロール紙が装着され、このロール紙の最外周から用紙を引き出して使用する。このロール紙は、例えば用紙搬送装置がプリンタである場合、引き出した用紙に印字ヘッドで情報を印字するために使用される。
【0003】
ところで、ロール紙は、用途に合わせて用紙の幅が異なる種々のサイズがあり、用紙搬送装置には、ロール紙の一側を基準としてロール紙を一側に押し付けて装着するタイプと、ロール紙の幅方向の中央部を基準としてロール紙の中央部を一定位置に装着するタイプがある。
【0004】
一方、用紙搬送装置に装着されたロール紙は、使用されると徐々に径が減少する。用紙搬送装置に装着されたニアエンドセンサは、装着されたロール紙が使用されることによるロール紙の径の減少を検知して、当該ロール紙がニアエンドであるかを検知する。
【0005】
このニアエンドセンサは、反射型の光センサが使用されることが多く、かつ用紙搬送装置の所定位置に固定されているため、ロール紙の中央部を基準としてロール紙を装着する用紙搬送装置では、装着されるロール紙のサイズによってニアエンドセンサと装着されたロール紙の一側との距離が異なり、幅広のロール紙が装着された場合に比べて幅狭のロール紙が装着された場合はニアエンドセンサとロール紙との距離が遠くなる。そのため、幅狭のロール紙が装着された場合にニアエンドセンサの検知精度が悪くなることがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ロール紙の幅方向の中央部を基準として装着するタイプの用紙搬送装置において、幅が異なるロール紙が装着されてもニアエンドセンサの検知精度を維持することが可能な用紙搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の用紙搬送装置は、幅が異なる複数種類のロール紙を軸支する支軸と、前記支軸に軸支された前記ロール紙を前記ロール紙の幅方向の中央部を基準位置に位置決めする、前記軸支されるロール紙の種類に応じて前記ロール紙の幅方向に移動可能なガイドと、前記ガイドに取り付けられた、前記ロール紙の径の変化によるニアエンドを検知するセンサと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態のプリンタの外観斜視図である。
【
図2】
図2は、プリンタの内部の構成を示す概略斜視図である。
【
図3】
図3は、支軸とラックアンドピニオンの構成を示す図である。
【
図4】
図4は、ロール紙をセットする機構を示す説明図である。
【
図5】
図5は、ロール紙をセットした状態のプリンタの内部の構成を示す概略斜視図である。
【
図6】
図6は、幅広のロール紙をセットした状態の説明図である。
【
図7】
図7は、幅狭のロール紙をセットした状態の説明図である。
【
図8】
図8は、センサハーネスの取付構造を説明するための図である。
【
図9】
図9は、奥側ガイドの移動に伴うセンサハーネス移動状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について説明する。なお、実施形態では、プリンタを用紙搬送装置の一例として説明する。また、実施形態では、長尺状の台紙に複数枚の感熱ラベルが貼付された長尺状のラベル用紙をロール紙の一例として説明する。すなわち、実施形態のプリンタは、長尺状の台紙に貼付された複数枚のラベルを搬送する。なお、以下に説明する実施形態により、この発明が限定されるものではない。
【0010】
図1は、実施形態のプリンタ1の外観斜視図である。実施形態に係るプリンタ1は、ラベルに情報を印字して発行するラベルプリンタである。
図1に示すように、プリンタ1は、左側のケース2と、ヒンジ7でケース2の右側に連結されたケース8とを備えている。ケース2の前面部に形成されたフロントパネル3は、表示部4と、操作部5とを備えている。表示部4は、バックライト付きの液晶ディスプレイで構成されるが、その他のタイプの表示デバイスを用いてもよい。
【0011】
右側のケース8は、ヒンジ7を中心に上方に回動することで筐体(即ち、ケース2、8)の内部を側面側から大きく開放できる構造となっている。
図5で後述するが、プリンタ1は筐体内部に、複数枚のラベルが台紙に貼付されたロール状に巻装されたロール紙Pと、ロール紙Pから引き出されたラベル(図示せず)に印字する印字部(図示せず)を有している。ケース8の前面部に設けられたフロントパネル9には、ラベル発行口10が設けられている。プリンタ1は、印字後のラベルをラベル発行口10から発行する。
【0012】
図2は、ヒンジ7を中心にケース8を上方に回動させ、プリンタ1の内部を開放した状態を示す図である。
図2に示すように、プリンタ1は、底面11を有する。またプリンタ1は、底面11から略直角に上方に立設する平面上のフレーム12を有する。フレーム12は、ヒンジ7付近に立設しており、機構部と制御部を区分けする板状部材(区分部)である。機構部(
図2のフレーム12より手前側)は、駆動軸15、従動軸16、支軸22、奥側ガイド21等を備える。制御部(
図2のフレーム12より奥側)は、プリンタ1を制御するためのマイクロプロセッサ等の制御回路(図示せず)が集積された回路基板17(
図3を参照)や電源部(図示せず)が配置される。
【0013】
従動軸16は、感熱インクが塗布されたインクリボンB(
図5を参照)を軸支して取り付ける軸である。駆動軸15は、制御部に設けられた駆動モータ(図示せず)によって回転する。駆動軸15は、回転することで従動軸16に取り付けられたインクリボンBを引き出して巻き取るための軸である。駆動軸15と従動軸16は、それぞれフレーム12に片持ち状態に取り付けられている。すなわち、インクリボンBは、フレーム12と反対側から従動軸16に差し込んで取り付ける。インクリボンBは、回動軸14に回動可能に取り付けられた板13を倒して従動軸16に差し込んで、板13を復帰させる。このようにしてインクリボンBを従動軸16に取り付けることで、インクリボンBは従動軸16から外れないように取り付けられる。
【0014】
また、支軸22は、プリンタ1の後部に取り付けられる。支軸22は、複数枚のラベルが貼付されたロール紙Pを、回転自在に軸支する軸である。支軸22は、フレーム12に片持ち状態に取り付けられている。すなわち、ロール紙Pは、フレーム12と反対側から支軸22に差し込んで装着する。支軸22に装着されたロール紙Pは、支軸22によって回転自在に軸支される。
【0015】
また、支軸22には、奥側ガイド21と手前側ガイド23が取り付けられている。奥側ガイド21は、支軸22のフレーム12に近い側に設けられる。手前側ガイド23は、支軸22のフレーム12から離れた側に設けられる。奥側ガイド21と手前側ガイド23は、支軸22上を相互に離間及び接近する方向に移動可能であり、
図3で後述するラックアンドピニオン24によって、装着されたロール紙Pの幅方向の中央部を位置決めする。幅広のロール紙Pであっても幅狭のロール紙Pであっても、ロール紙Pの幅方向の中央部は同じ位置に位置するように位置決めされる。この中央部が位置決めされる位置が基準位置C(
図3を参照)であり、ラックアンドピニオン24によってロール紙Pの幅方向の中央部が常に基準位置Cに位置するように位置決めされる。
【0016】
また、奥側ガイド21には、センサ25が取り付けられる。センサ25は、反射型の光センサであり、例えば赤外線を発光し、支軸22に装着されたロール紙Pの奥側ガイド21側の側面で反射した光を受光する。センサ25は、ロール紙Pの径が大きいときはロール紙Pの側面で反射した光を受光し、ロール紙Pの径が減少してニアエンド状態となった場合に、発光した光をロール紙Pの側面で反射しない位置に取り付けられる。すなわちセンサ25は、ラベルが印字されることでロール紙Pの径が減少して、発光した光のロール紙Pの側面での反射量が所定量以下となった場合に、センサ25は、ニアエンドを検知した出力(電圧)を、センサハーネス28(
図8を参照)を通して制御部に出力する。マイクロプロセッサは、センサ25から受信した出力に基づいてロール紙Pのニアエンドを判断する。
【0017】
このセンサ25は、ロール紙Pとの距離が近い場合は反射光の量と強度があるため、ニアエンドの検知精度は高いが、ロール紙Pとの距離が遠くなるほど反射光の量と強度が減少することから、ニアエンドの検知精度が低くなる場合がある。
【0018】
また、フレーム12にはダンパー26が取り付けられる。ダンパー26は、細長い略円柱状であり、力が加わると一方向に撓む(あるいは弾性的に移動する)構造である。ダンパー26は、ロール紙Pから引き出された直後の用紙が架け渡されており、印字するために用紙の搬送を開始した場合に発生する用紙の張力によるロール紙Pにかかる衝撃を、ダンパー26が撓むことで緩和する。
【0019】
次に、支軸22付近の構造について説明する。
図3は、支軸22とラックアンドピニオン24の構成を示す図である。支軸22は、フレーム12に対して略直角に取り付けられている。フレーム12は底面11に対して略直角に設けられているため、支軸22は底面11に対して略並行になるようにフレーム12によって支持されている。
【0020】
支軸22は、中空の長細状の箱構造であり、上部に平面状の平面部221を有する。支軸22の内部には、ラックアンドピニオン24が内蔵されている。ラックアンドピニオン24は、支軸22に装着されたロール紙Pをセンター基準で位置決めする。センター基準とは、幅が異なる複数種類のロール紙Pを支軸22に装着した場合に、いずれのロール紙Pもロール紙Pの幅方向の中央部(
図6のPacおよび
図7のPbc)が常に基準位置Cに位置するように位置決めされることをいう。
【0021】
ロール紙Pをセンター基準で位置決めすると、幅が異なるいずれのロール紙Pであっても、当該ロール紙Pを搬送する際に発生するロール紙Pへの負荷が左右均一にかかるため、幅が異なるロール紙Pを安定的に搬送させることが可能となる。
【0022】
ラックアンドピニオン24は、中央部に位置する円柱状の回転自在な歯車である回転軸241と、平歯車を有し、回転軸241と歯車が噛みあった(以降「係合した」という)直線状の可動部242と、平歯車を有し、可動部242とは反対側で回転軸241と係合した直線状の可動部243と、を有する。可動部242は、回転軸241が回転すると、ロール紙Pの幅方向に移動する。逆に、可動部242をロール紙Pの幅方向に移動させると、回転軸241が回転する。また、可動部243は、回転軸241が回転すると、ロール紙Pの幅方向に移動する。逆に、可動部243をロール紙Pの幅方向に移動させると、回転軸241が回転する。可動部242と可動部243は、回転軸241を介して反対側に位置するため、回転軸241が回転すると相互に反対方向に移動する。
【0023】
可動部242には手前側ガイド23が取り付けられている。手前側ガイド23は、平面部221から上方に突出するように可動部242に取り付けられる。すなわち、可動部242に取り付けられた手前側ガイド23は、支軸22から上方に立設している。可動部242に取り付けられた手前側ガイド23は、回動支点231を中心として平面部221に対して立設した立設位置と倒れた倒伏位置との間で(矢印Yc方向)回動可能である。ロール紙Pを支軸22に装着する場合、手前側ガイド23を倒伏位置に倒し、ロール紙Pを支軸22にはめ込み、その後に手前側ガイド23を立設位置に立設させることで、ロール紙Pは支軸22から外れなくなる。
【0024】
また可動部243には、奥側ガイド21が取り付けられている。奥側ガイド21は、略円形状の板であり、中心部を支軸22が貫通する。奥側ガイド21は、円形状の面が支軸22と直角の面となるよう可動部243に取り付けられる。
【0025】
また平面部221には、平面部221を貫通する長孔222と、平面部221を貫通する長孔223が形成されている。長孔222と長孔223は、基準位置Cからロール紙Pの幅方向にそれぞれ反対側に長手方向を有するように形成されたスリット状の孔である。
【0026】
手前側ガイド23は、長孔222を介して可動部242に取り付けられており、可動部242が移動すると、手前側ガイド23は長孔222の長手方向に移動可能である。また奥側ガイド21は、長孔223を介して可動部243に取り付けられており、可動部243が移動すると、奥側ガイド21は長孔223の長手方向に移動可能である。
【0027】
ここで、
図3において、手前側ガイド23を、ロール紙Pの幅方向であって基準位置Cに近づく方向(矢印Yaの一方向)に移動させると、ラックアンドピニオン24で連結されている奥側ガイド21は基準位置Cに向けて(矢印Ybの方向で、上記一方向とは反対方向に)移動する。また、手前側ガイド23を、ロール紙Pの幅方向であって基準位置Cから離れる方向(矢印Yaの一方向とは反対方向)に移動させると、ラックアンドピニオン24で連結されている奥側ガイド21は基準位置Cから離れる方向(矢印Ybの方向で、上記一方向)に移動する。すなわち、手前側ガイド23を基準位置Cに向けて移動させると奥側ガイド21は手前側ガイド23に近づく方向(基準位置Cに近づく方向)に移動し、手前側ガイド23を基準位置Cから離れる方向に移動させると奥側ガイド21は手前側ガイド23から離れる方向(基準位置Cから離れる方向)に移動する。この場合、手前側ガイド23と奥側ガイド21がどの位置に位置していても、手前側ガイド23と奥側ガイド21間の中央部は基準位置Cに位置する。
【0028】
また、奥側ガイド21には、センサ25が取り付けられているため、奥側ガイド21がロール紙Pの幅方向に移動するとセンサ25もロール紙Pの幅方向に移動する。すなわち、手前側ガイド23を、ロール紙Pの幅方向であって基準位置Cに近づく方向に移動させると、奥側ガイド21は、センサ25とともに基準位置Cに近づく方向に移動する。手前側ガイド23を、ロール紙Pの幅方向であって基準位置Cから離れる方向に移動させると、奥側ガイド21は、センサ25とともに基準位置Cから離れる方向に移動する。
【0029】
図4は、ロール紙Pを支軸22に取り付けて、手前側ガイド23と奥側ガイド21をロール紙Pの幅の長さに合わせて移動させて、ロール紙Pを支軸22に装着(セット)した状態を示す。この状態において、手前側ガイド23と奥側ガイド21は、ロール紙Pのそれぞれの側面に接触しているか接触に近い状態に近接している。そのため、ロール紙Pは支軸22に対して回転自在であるが、手前側ガイド23と奥側ガイド21によってロール紙Pの幅方向への移動が規制され、ロール紙Pの幅方向の中央部は基準位置Cにある。
【0030】
また、ロール紙Pと奥側ガイド21との距離は、装着したロール紙Pの幅の長さが異なっても一定のため、センサ25とロール紙Pとの距離はいつも同距離(一定)である。そのため、センサ25によるロール紙Pのニアエンドの検知精度が悪くなることがなく、一定レベルに維持される。
【0031】
図5は、プリンタ1において、インクリボンBとロール紙Pが装着された状態を示す。インクリボンBは、装着された従動軸16から引き出されて、ラベル発行口10付近に設けられた印字ヘッドとプラテン(いずれも図示せず)の間を通して駆動軸15に取り付けられる形でセットされる。また、支軸22に装着されたロール紙Pの最外周部の先端の用紙(ラベル付きの台紙)は、ダンパー26に向けて引き出され、ダンパー26に架け渡される(以降引き出された用紙を「用紙」という)。そして架け渡された用紙は、ダンパー26で折り返して印字ヘッドとプラテンの間を通り、インクリボンBを用いてラベルに印字ヘッドでラベルに印字を行い、ラベル発行口10から発行される。
【0032】
プラテンは、ラベルを印字するため、また印字したラベルを発行するために回転して用紙を搬送する。用紙が搬送されると、用紙に張力が発生し、当該張力が衝撃としてロール紙Pに伝わる。しかしながら、途中に位置するダンパー26が当該張力を受けて撓むことにより、ロール紙Pに伝わる衝撃を緩和する。
【0033】
図6は、幅広のロール紙P(Pa)を支軸22に装着した状態を示す。すなわち、ロール紙P(Pa)を支軸22にはめ込み、奥側ガイド21と手前側ガイド23とでロール紙P(Pa)を挟んで支持する。この状態で、奥側ガイド21はロール紙P(Pa)の奥側の面Paa(一面)に接している。また手前側ガイド23は、ロール紙P(Pa)の手前側の面Pabに接している。
図6に示すように、ロール紙P(Pa)は幅広のため、奥側ガイド21と手前側ガイド23は、互いに離れた位置においてロール紙P(Pa)を支持する。この状態で、ロール紙P(Pa)の幅方向の中央部Pacは、基準位置Cの位置にある。
【0034】
センサ25は、センサ25を取り付けた基台27を奥側ガイド21に取り付けることで、奥側ガイド21に取り付けられている。
【0035】
ここで、奥側ガイド21がロール紙P(Pa)の面Paaに接しているため、センサ25とロール紙P(Pa)とは接近した所定距離に保たれる。この状態において、ロール紙P(Pa)が使用されると、ロール紙P(Pa)の径が減少していき、当該径が所定径より小さくなり、センサ25から発光された光の面Paaによる反射量が所定量以下になると、センサ25はロール紙P(Pa)がニアエンドであることを検知する(ニアエンドであることを示す出力を行う)。
【0036】
図7は、幅狭のロール紙P(Pb)を支軸22に装着した状態を示す。すなわち、ロール紙P(Pb)を支軸22にはめ込み、奥側ガイド21と手前側ガイド23とでロール紙P(Pb)を挟んで支持する。この状態で、奥側ガイド21はロール紙P(Pb)の奥側の面Pbaに接している。また手前側ガイド23は、ロール紙P(Pb)の手前側の面Pbbに接している。
図7に示すように、ロール紙P(Pb)は幅狭のため、奥側ガイド21と手前側ガイド23は、
図6で示す幅広のロール紙P(Pa)より互いに近づいた位置においてロール紙P(Pb)を支持する。この状態で、ロール紙P(Pb)の幅方向の中央部Pbcは、基準位置Cの位置にある。
【0037】
また、
図6の状態より奥側ガイド21は基準位置C方向に移動しているが、奥側ガイド21がロール紙P(Pb)の面Pbaに接しているため、センサ25とロール紙P(Pb)とは近接した所定距離に保たれる。この所定距離はセンサ25とロール紙P(Pa)との距離と同距離である。この状態において、ロール紙P(Pb)が使用されると、ロール紙P(Pb)の径が減少していき、当該径が所定径より小さくなり、センサ25から発光された光の面Pbaによる反射量が所定量以下になると、センサ25はロール紙P(Pb)がニアエンドであることを検知する。この際のセンサ25によるロール紙P(Pb)のニアエンドの検知精度は、センサ25とロール紙P(Pb)の面Pbaとの距離がロール紙P(Pa)の面Paaとの距離と同じであるため、センサ25がロール紙P(Pa)のニアエンドを検知する検知精度と同等である。
【0038】
ここからは、センサハーネス28の取付構造について説明する。センサハーネス28は、センサ25の出力信号を制御部に出力するケーブルである。センサ25が、ロール紙Pがニアエンドであることを検知した場合、センサハーネス28は当該検知を示す信号を制御部に出力する。
【0039】
センサハーネス28は、支軸22の内部を通して制御部に接続する方法もある。この場合、奥側ガイド21に取り付けられているセンサ25は、ロール紙Pの幅の長さに合わせて奥側ガイド21とともにロール紙Pの幅方向に移動することから、支軸22の内部において、センサ25に接続されたセンサハーネス28を一旦回転軸241に向けて(奥側ガイド21の移動方向(基準位置C)に向けて)延ばし、その後、支軸22の内部において急激に折り返して(折り返し部分のR形状(径)が小さい状態で折り返して)制御部に接続することになる。この場合、センサハーネス28の折り返し部において過度な応力が掛かることから折り返し部に疲労が蓄積する。このような状況では、ロール紙Pを装着する度に奥側ガイド21を移動させることで、センサハーネス28の折り返し部が破損する危険性が高くなる。このようなことから実施形態では、
図8および
図9に示すセンサハーネス28の取付構造を提案する。
【0040】
図8は、実施形態に係るセンサハーネス28の取付構造を示す説明図である。なお
図8において、センサハーネス28の取付構造を分かり易くするために、奥側ガイド21を半透明で記載している。
図8に示すように、センサハーネス28は、一側281が基台27に取り付けられ、他側283がフレーム12に取り付けられる。基台27は、奥側ガイド21に取り付けられている。すなわちセンサハーネス28は、一側281がセンサ25付近に取り付けられ、他側283は、支軸22を挟んで反対側のフレーム12に取り付けられる。一側281の(基台27に取り付けられた)センサハーネス28はケーブル282でセンサ25と電気的に接続し、他側283の(フレーム12に取り付けられた)センサハーネス28は制御部と電気的に接続されている。そして、奥側ガイド21がロール紙Pの幅に合わせて移動させた場合、一側281は奥側ガイド21とともにロール紙Pの幅方向に移動するが、他側283はフレーム12に取り付けられたまま移動しない。
【0041】
この場合、センサハーネス28の一側281の取り付け位置と他側283の取付位置とが離れていて、かつ一側281の取り付け位置と他側283の取付位置とを結ぶ線が一側281の移動方向(すなわち奥側ガイド21やセンサ25の移動方向)と交差する方向である(実施形態では略直角方向あるいは直角に近い方向である)。そのため、センサハーネス28において急激に折り返す部分がない(R形状(径)が大きい)ため、奥側ガイド21が移動しても取り付けられたセンサハーネス28に過度な応力が掛かることがない。さらに一側281と他側283に取り付けられたセンサハーネス28に余裕(たるみ)をもたせていることから、奥側ガイド21が移動しても取り付けられたセンサハーネス28に過度な応力が掛かることがない。なお、
図8において、センサハーネス28は奥側ガイド21より奥側(奥側ガイド21とフレーム12の間)に位置している。
【0042】
次に、実施形態のセンサハーネス28において掛かる応力について説明する。
図9は、奥側ガイド21の移動に伴うセンサハーネス28への応力の掛かり方を説明するための図である。
図9において、実線は、奥側ガイド21が移動する前のセンサハーネス28の位置と状態を示し、点線は、奥側ガイド21が移動した後のセンサハーネス28の位置と状態を示す。なお、
図9において、センサハーネス28の動きを分かり易くするために奥側ガイド21は省略されている。
【0043】
図9に示すように、奥側ガイド21が矢印Yeの方向に移動した場合、センサハーネス28の一側281は矢印Yeの方向に移動するが、他側283はフレーム12に取り付けられたままで移動しない。そのため、センサハーネス28に掛かる応力は一側281の移動に伴う変形のみであり、一側281の取付位置と他側283の取付位置とが離れていることもあり、奥側ガイド21が矢印Yeの方向に移動してもセンサハーネス28に掛かる応力は小さい。そのため、奥側ガイド21の移動に伴いセンサハーネス28が疲労により破損する危険性は小さい。
【0044】
なお、
図8に示すように、センサ25は、奥側ガイド21の、支軸22とダンパー26とを結ぶ線上の位置に取り付けられている。この位置は、支軸22に装着されたロール紙Pの径が大きい場合であっても小さい場合であっても、ロール紙Pから引き出された用紙によって、センサ25のニアエンドの検知に影響を与えない位置である。
【0045】
以上説明したように、実施形態のプリンタ1は、幅が異なる複数種類のロール紙Pを軸支する支軸22と、支軸22に軸支されたロール紙Pをロール紙Pの幅方向の中央部を基準位置Cに位置決めする、軸支されるロール紙Pの種類に応じてロール紙Pの幅方向に移動可能な奥側ガイド21と、奥側ガイド21に取り付けられた、ロール紙Pの径の変化によるニアエンドを検知するセンサ25と、を備える。
【0046】
このような実施形態のプリンタ1は、ロール紙Pの幅方向の中央部を基準として装着するタイプのプリンタ1であって、幅が異なるロール紙Pが装着されてもセンサ25の検知精度を維持することが可能となる。
【0047】
また実施形態のプリンタ1は、プリンタ1を制御する制御回路が設けられた回路基板17を区分けするフレーム12と、奥側ガイド21とフレーム12とに架け渡されたセンサハーネス28と、をさらに備えた。
【0048】
このような実施形態のプリンタ1は、奥側ガイド21がロール紙Pの幅方向に移動してもセンサハーネス28に掛かる応力は小さい。そのため、奥側ガイド21の移動に伴いセンサハーネス28が破損する危険性は小さい。
【0049】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0050】
例えば、実施形態では、プリンタ1を用紙搬送装置の一例として説明した。しかしながらこれに限らず、用紙搬送装置は、ロール紙Pから引き出した用紙を搬送する装置であれば、プリンタ1以外の装置であってもよい。
【0051】
また、実施形態では、プラテンを回転させて用紙を搬送するようにした。しかしながらこれに限らず、プラテン以外に用紙を搬送する機構を備えてもよい。
【0052】
また、実施形態では、センサハーネス28を、一側281と他側283を結ぶ線が奥側ガイド21の移動方向と交差するように取り付けた。しかしながらこれに限らず、センサハーネス28に急激な折り返し部が生じないように取り付けられればどのように取り付けてもよい。
【0053】
また、実施形態では、ラックアンドピニオン24を用いてロール紙Pの中央部を基準位置Cに合わせるようにした。しかしながらこれに限らず、ラックアンドピニオン24は一例であって、ラックアンドピニオン24以外の機構を用いてロール紙Pの中央部を基準位置Cに合わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 プリンタ
4 表示部
5 操作部
10 ラベル発行口
15 駆動軸
16 従動軸
17 回路基板
21 奥側ガイド
22 支軸
23 手前側ガイド
24 ラックアンドピニオン
25 センサ
26 ダンパー
27 基台
28 センサハーネス
221 平面部
222 長孔
223 長孔
231 回動支点
241 回転軸
242 可動部
243 可動部
282 ケーブル
C 基準位置
P ロール紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】