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特開2024-154582電気的接続装置の製造治具および電気的接続装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154582
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】電気的接続装置の製造治具および電気的接続装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20241024BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20241024BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20241024BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20241024BHJP
   H01R 33/76 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G01R1/067 C
G01R1/073 D
G01R31/26 J
H01L21/66 B
H01R33/76 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068480
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】竹谷 敏永
(72)【発明者】
【氏名】福士 貴紘
(72)【発明者】
【氏名】廣田 英輝
【テーマコード(参考)】
2G003
2G011
4M106
5E024
【Fターム(参考)】
2G003AG03
2G011AA15
2G011AA21
2G011AB01
2G011AB04
2G011AB07
2G011AE03
2G011AF07
4M106BA01
4M106DD04
4M106DD10
5E024CA01
5E024CB04
(57)【要約】
【課題】回路基板にプローブを高精度且つ狭ピッチで接合することができる電気的接続装置の製造治具および電気的接続装置の製造方法を提供する。
【解決手段】電気的接続装置の製造治具は、第1面から第2面まで貫通する貫通孔がそれぞれ形成された第1ガイドプレートと第2ガイドプレートが、前記第1面に沿って相対的に移動可能に積層された治具を備える。貫通孔は、平面視において第1方向に延伸する共通部と、共通部から第1方向と異なる第2方向に延伸する第1ガイド部と、共通部から第1方向および第2方向と異なる第3方向に延伸する第2ガイド部を含む。治具は、第1ガイドプレートと第2ガイドプレートを連続して第1ガイド部と第2ガイド部のそれぞれにプローブが挿入可能に構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物に接触するプローブを含む電気的接続装置を製造するための製造治具であって、
第1面から前記第1面の反対方向を向く第2面まで貫通する貫通孔がそれぞれ形成された第1ガイドプレートと第2ガイドプレートが、前記第1面に沿って相対的に移動可能に積層された治具を備え、
前記貫通孔が、
前記第1面の面法線方向から見た平面視において第1方向に延伸する共通部と、
前記共通部から、前記平面視において前記第1方向と異なる第2方向に延伸する第1ガイド部と、
前記共通部から、前記平面視において前記第1方向および前記第2方向と異なる第3方向に延伸する第2ガイド部と
を含み、
前記第1ガイドプレートと前記第2ガイドプレートを連続して前記第1ガイド部と前記第2ガイド部のそれぞれに前記プローブが挿入可能に構成されている
電気的接続装置の製造治具。
【請求項2】
前記第1ガイド部は、前記平面視において前記共通部の第1端部から前記第1方向と直交する前記第2方向に延伸し、
前記第2ガイド部は、前記平面視において前記共通部の第2端部から前記第2方向と逆向きの前記第3方向に延伸する、
請求項1に記載の電気的接続装置の製造治具。
【請求項3】
前記プローブの隣接する2つの側面が前記第1ガイドプレートの前記貫通孔の内壁面に当接し、前記プローブの他の隣接する2つの側面が前記第2ガイドプレートの前記貫通孔の内壁面に当接する、請求項1に記載の電気的接続装置の製造治具。
【請求項4】
前記貫通孔が、前記共通部と連結して前記第1ガイド部と平行に延伸するガイド部と、前記共通部と連結して前記第2ガイド部と平行に延伸する他のガイド部を有する、請求項1に記載の電気的接続装置の製造治具。
【請求項5】
検査対象物の検査に使用される電気的接続装置の製造方法であって、
カンチレバー構造のアーム部および前記アーム部の固定端に接続する支持部を有するプローブを準備し、
第1面から前記第1面の反対方向を向く第2面まで貫通する貫通孔がそれぞれ形成された第1ガイドプレートと第2ガイドプレートが前記第1面に沿って相対的に移動可能に積層された治具であって、前記貫通孔が、前記第1面の面法線方向から見た平面視において第1方向に延伸する共通部と、前記共通部から前記平面視において前記第1方向と異なる第2方向に延伸する第1ガイド部と、前記共通部から前記平面視において前記第1方向および前記第2方向と異なる第3方向に延伸する第2ガイド部を含む前記治具を準備し、
前記第1ガイドプレートと前記第2ガイドプレートの前記貫通孔を前記プローブが連続的に貫通するように前記第1ガイドプレートと前記第2ガイドプレートが積層された状態で、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部のそれぞれに前記プローブを挿入し、
前記第1ガイド部と前記第2ガイド部に前記プローブを挿入した状態で、前記第1ガイドプレートと前記第2ガイドプレートを前記第1面に沿って相対的に移動させて、前記第1ガイドプレートと前記第2ガイドプレートによって前記プローブを挟んだ状態で前記治具により前記プローブを保持し、
前記治具により保持された前記プローブを回路基板に接合する
を備える、電気的接続装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2面から見て前記支持部の一部が露出するように、前記第1ガイドプレートおよび前記第2ガイドプレートのそれぞれの前記貫通孔に前記プローブを挿入する、請求項5に記載の電気的接続装置の製造方法。
【請求項7】
前記プローブの隣接する2つの側面が前記第1ガイドプレートの前記貫通孔の内壁面に当接し、前記プローブの他の隣接する2つの側面が前記第2ガイドプレートの前記貫通孔の内壁面に当接するように、前記第1ガイドプレートと前記第2ガイドプレートを前記第1面に沿って相対的に移動させる、請求項5に記載の電気的接続装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物の検査に使用される電気的接続装置の製造治具および電気的接続装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路などの検査対象物の検査に、検査対象物に接触させるプローブを有する電気的接続装置が用いられている。電気的接続装置を用いた検査では、プローブの一方の端部を検査対象物の電極端子に接触させる。プローブの他方の端部は、電気的接続装置の回路基板に配置された配線パターンと電気的に接続される。配線パターンは、テスタなどの検査装置と電気的に接続されている。プローブを介して、検査対象物と検査装置との間で電気信号を送受信することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-197257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気的接続装置を製造する場合に、検査対象物の電極端子に接触させるプローブの端部(以下において「接触部」と称する。)が適正な位置に高精度で配置されるように、プローブが回路基板に接合される必要がある。更に、検査対象物の電極端子の狭ピッチ化に対応して、電気的接続装置においてプローブを狭ピッチで回路基板に接合することが必要である。
【0005】
本発明は、回路基板にプローブを高精度且つ狭ピッチで接合することができる電気的接続装置の製造治具および電気的接続装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電気的接続装置の製造治具は、第1面から第2面まで貫通する貫通孔がそれぞれ形成された第1ガイドプレートと第2ガイドプレートが第1面に沿って相対的に移動可能に積層された治具を備える。貫通孔は、平面視において第1方向に延伸する共通部と、共通部から第1方向と異なる第2方向に延伸する第1ガイド部と、共通部から第1方向および第2方向と異なる第3方向に延伸する第2ガイド部を含む。治具は、第1ガイドプレートと第2ガイドプレートを連続して第1ガイド部と第2ガイド部のそれぞれにプローブが挿入可能に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回路基板にプローブを高精度且つ狭ピッチで接合することができる電気的接続装置の製造治具および電気的接続装置の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る製造治具の構成を示す模式図である。
図2図2は、実施形態に係る製造治具の構成を示す図1のII-II方向に沿った模式的な断面図である。
図3図3は、実施形態に係る製造治具の構成を示す模式的な平面図である。
図4図4は、実施形態に係る製造治具のガイドプレートに形成される貫通孔の形状を示す模式的な平面図である。
図5図5は、比較例のガイドプレートに形成される貫通孔の形状を示す模式的な平面図である。
図6A図6Aは、実施形態に係る製造治具にプローブを格納する方法を説明するための模式的な正面図である(その1)。
図6B図6Bは、実施形態に係る製造治具にプローブを格納する方法を説明するための模式的な断面図である(その1)。
図6C図6Cは、製造治具にプローブを格納する方法を説明するための模式的な平面図である(その1)。
図7A図7Aは、製造治具にプローブを格納する方法を説明するための模式的な正面図である(その2)。
図7B図7Bは、製造治具にプローブを格納する方法を説明するための模式的な断面図である(その2)。
図7C図7Cは、製造治具にプローブを格納する方法を説明するための模式的な平面図である(その2)。
図8A図8Aは、第1ガイドプレートの貫通孔におけるプローブの位置を示す模式的な平面図である。
図8B図8Bは、第2ガイドプレートの貫通孔におけるプローブの位置を示す模式的な平面図である。
図9A図9Aは、治具にプローブを挿入した状態を示す模式的な断面図である。
図9B図9Bは、治具にプローブを挿入した他の状態を示す模式的な断面図である。
図9C図9Cは、治具にプローブを挿入した更に他の状態を示す模式的な断面図である。
図9D図9Dは、治具にプローブを挿入した更に他の状態を示す模式的な断面図である。
図9E図9Eは、治具にプローブを挿入した更に他の状態を示す模式的な断面図である。
図10図10は、治具におけるプローブの姿勢を修正する方法を説明するための模式図である。
図11図11は、実施形態に係る製造治具を用いてプローブを回路基板に接合する方法を説明するためのフローチャートである。
図12図12は、実施形態に係る製造治具を用いてプローブを回路基板に接合する方法を説明するための模式図である(その1)。
図13図13は、実施形態に係る製造治具を用いてプローブを回路基板に接合する方法を説明するための模式図である(その2)。
図14A図14Aは、その他の実施形態に係る製造治具のガイドプレートに形成される貫通孔の形状を示す模式的な平面図である(その1)。
図14B図14Bは、その他の実施形態に係る製造治具のガイドプレートに形成される貫通孔の他の形状を示す模式的な平面図である(その2)。
図14C図14Cは、その他の実施形態に係る製造治具のガイドプレートに形成される貫通孔の更に他の形状を示す模式的な平面図である(その3)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各部の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。
【0010】
図1図3に示す本発明の実施形態に係る電気的接続装置の製造治具は、検査対象物に接触するプローブ20が回路基板に接合された電気的接続装置の製造に使用される。図1に示すように、プローブ20は、カンチレバー構造のアーム部21およびアーム部21の固定端201に接続する支持部22を有する。アーム部21の自由端202の先端である接触部210は、検査対象物に接触する部分である。
【0011】
実施形態に係る製造治具は、第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12を含む治具1を備える。第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12に、第1面101から第1面101の反対方向を向く第2面102まで貫通する貫通孔100がそれぞれ形成されている。詳細は後述するが、治具1に保持された状態のプローブ20が、電気的接続装置の回路基板に接合される。電気的接続装置の回路基板は、例えばインターポーザ基板である。検査対象物の検査において、接触部210が検査対象物の電極端子に接触したプローブ20および回路基板に形成された信号配線を介して、検査対象物とテスタなどの検査装置とが電気的に接続される。
【0012】
治具1は、第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12の貫通孔100をプローブ20が連続的に貫通するように、第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12が積層された構成を有する。第1ガイドプレート11の第2面102と第2ガイドプレート12の第1面101が対向して、第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12が積層されている。以下において、第1ガイドプレート11の第1面101を治具1の「第1主面1A」、第2ガイドプレート12の第2面102を治具1の「第2主面1B」とも表記する。
【0013】
以下において、第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12のそれぞれを限定しない場合は「ガイドプレート10」と表記する。ガイドプレート10のそれぞれは、プローブ20が貫通する貫通孔100を有する。
【0014】
図1に示すように、貫通孔100の貫通方向、すなわちガイドプレート10の厚さ方向を、Z方向とする。図1において、Z方向は紙面の上下方向であり、X方向は紙面の左右方向、Y方向は紙面の奥行方向である。実施形態の説明においては、Y方向から見た図を正面図とする。正面図は、Z方向に平行な平面に沿ったガイドプレート10の切断面を示す。
【0015】
治具1は、プローブ20が第1ガイドプレート11および第2ガイドプレート12のそれぞれの貫通孔100を貫通する状態で、プローブ20を保持する。X方向およびY方向から見て、治具1の第2主面1Bからプローブ20の支持部22の一部が露出する。
【0016】
図2は、図1のII-II方向に沿った治具1の断面図である。図3は、治具1をZ方向から見た平面図である。図1図3のI-I方向に沿った断面図であり、図2図3のII-II方向に沿った断面図である。図3では、第2ガイドプレート12の貫通孔100を、第1ガイドプレート11を透過して破線で表示している。第1面101の面法線方向から見た平面視において、プローブ20は矩形状である。
【0017】
図3に示すように、貫通孔100は、共通部110、第1ガイド部111および第2ガイド部112を含む。共通部110、第1ガイド部111および第2ガイド部112は、平面視で直線的に延伸する。共通部110の延伸する方向を、以下において「第1方向」と表記する。第1ガイド部111は、共通部110から、平面視において第1方向と異なる方向に延伸する。以下において、第1ガイド部111の延伸する方向を「第2方向」と表記する。第2ガイド部112は、共通部から、平面視において第1方向および第2方向と異なる方向に延伸する。以下において、第2ガイド部112の延伸する方向を「第3方向」と表記する。第1ガイド部111は、共通部110の一方の端部(以下、「第1端部」とも称する。)と連結してもよい。第2ガイド部112は、共通部110の他方の端部(以下、「第2端部」とも称する。)と連結してもよい。
【0018】
治具1は、第1ガイド部111と第2ガイド部112にそれぞれ挿入されたプローブ20を保持する。治具1は、第1ガイド部111に第1のプローブ20が挿入され、第2ガイド部112に第2のプローブ20が挿入された状態で、第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12が第1面101に沿って相対的に移動可能に構成されている。詳細は後述するが、第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12によりプローブ20を挟むように、貫通孔100の貫通方向と交差する方向に、第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12が相対的に移動する。以下において、第1ガイド部111および第2ガイド部112などのプローブ20が貫通する領域をガイド部とも表記する。治具1は、第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12を連続して第1ガイド部111と第2ガイド部112のそれぞれにプローブ20が挿入可能に構成されている。
【0019】
図4に、ガイドプレート10の貫通孔100の形状の例を示す。共通部110は、平面視において第1方向D1に延伸する。第1ガイド部111は、平面視において第1方向D1と直交する第2方向D2に延伸し、第2ガイド部112は、平面視において第2方向D2の反対の第3方向D3に延伸する。すなわち、図4に示したガイドプレート10では、第2方向D2および第3方向D3は、平面視で第1方向D1と直交し、且つ第2方向D2と第3方向D3は逆向きである。第1方向D1はY方向と平行であり、第2方向D2および第3方向D3はX方向と平行であってもよい。
【0020】
平板に平面視で矩形状の貫通孔を形成する際に、貫通孔の4つの角部をすべて直角に形成することが困難なため、逃げ加工をして貫通孔の1つの角部に逃がし部を形成することが一般的である。このため、図5に比較例として示した比較治具1Mでは、プローブ20を貫通させるガイド穴100Aを形成する際に、図5に示すように逃がし部Rが形成される。しかし、ガイド穴100Aに逃がし部Rが形成されていると、図5に示すように、隣接するガイド穴100Aの相互間に一定の距離Wが必要である。このため、プローブ20の配置ピッチを狭くすることが阻害される。
【0021】
これに対し、図4に示すガイドプレート10に形成される貫通孔100の共通部110は、第1ガイド部111の逃がし部として形成されている。このように、第1ガイド部111の逃がし部を第2ガイド部112と連結させることにより、プローブ20の配置ピッチを狭くすることができる。
【0022】
以下に、図6A図6B図6C図7A図7B図7Cを参照して、治具1にプローブ20を格納するプローブ格納方法の例を説明する。なお、図6A図7Aは正面図、図6B図7B図6Aおよび図7AのII-II方向に沿った断面図、図6C図7CはZ方向から見た平面図である。
【0023】
まず、治具1を含む製造治具およびプローブ20を準備する。そして、プローブ20が第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12の貫通孔100を連続的に貫通するように、第1ガイドプレート11の貫通孔100の位置と第2ガイドプレート12の貫通孔100の位置を一致させた状態とする。このとき、第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12の貫通孔100の内壁面の位置が一致している。そして、図6A図6B図6Cに示すように、プローブ20を、第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12のそれぞれの貫通孔100に挿入する。言い換えると、第1ガイド部111に第1のプローブ20を挿入し、第2ガイド部112に第2のプローブ20を挿入する。このとき、治具1の第2主面1Bの下方に支持部22の一部が露出するように、プローブ20は第1ガイド部111と第2ガイド部112の貫通孔100に挿入される。
【0024】
次に、第1ガイド部111と第2ガイド部112にそれぞれプローブ20を挿入した状態で、貫通孔100の貫通方向(Z方向)と交差する方向に、第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12を相対的に移動させる。すなわち、図7A図7B図7Cに示すように、第1面101に沿って第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12を相対的に移動させる。例えば、図7Aに示すように、X方向について、第1ガイドプレート11を矢印DX1に示すように紙面の右方向に移動させ、第2ガイドプレート12を矢印DX2に示すように紙面の左方向に移動させる。そして、Y方向について、第1ガイドプレート11を矢印DY1に示すように紙面の右方向に移動させ、第2ガイドプレート12を矢印DY2に示すように紙面の左方向に移動させる。すなわち、図7Cに示すように、XY平面において、第1ガイドプレート11を矢印DZ1に示すように紙面の右下方向に移動させ、第2ガイドプレート12を矢印DZ2に示すように紙面の左上方向に移動させる。
【0025】
以下において、第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12を相対的に移動させることを、「ガイドプレートのスライド」とも称する。ガイドプレートのスライドでは、貫通孔100の貫通方向と交差する方向に第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12を相対的に移動させる。例えば、第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12は、第1面101に沿って相対的に移動する。なお、第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12のいずれか一方の位置を固定し、他方の位置を移動させてもよい。また、ガイドプレート10の移動方向がX方向又はY方向のいずれか一方でもよい。
【0026】
ガイドプレートのスライドにより、ガイドプレート10の第1ガイド部111と第2ガイド部112のそれぞれにおいて、プローブ20は、貫通孔100の相互に対向する2辺の内壁面の一方に当接し、他方から離隔している。例えば、図8Aおよび図8Bに示すように、プローブ20の隣接する2つの側面が第1ガイドプレート11の貫通孔100の内壁面に当接し、プローブ20の他の隣接する2つの側面が第2ガイドプレート12の貫通孔100の内壁面に当接する。このとき、第1ガイドプレート11の貫通孔100のプローブ20と当接する内壁面と同じ向きの第2ガイドプレート12の貫通孔100の内壁面から、プローブ20は離隔している。そして、第1ガイドプレート11の貫通孔100のプローブ20から離隔している内壁面と同じ向きの第2ガイドプレート12の貫通孔100の内壁面に、プローブ20は当接している。
【0027】
上記のように第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12をXY平面で相対的に移動させることにより、第1ガイド部111と第2ガイド部112のそれぞれにおいて、プローブ20が第1ガイドプレート11と第2ガイドプレート12によって挟まれる。治具1は、ガイドプレート10によってプローブ20を挟むことにより、プローブ20の位置を固定する。
【0028】
図9A図9Eに、ガイドプレートのスライドの前における治具1の貫通孔100に挿入されたプローブ20の典型的な姿勢を示す。図9Aは、プローブ20が貫通孔100の中心に保持されている状態を示す。図9Bおよび図9Cは、プローブ20が貫通孔100の一方の側面に偏っている状態を示す。図9Dおよび図9Eは、プローブ20が貫通孔100の内部で傾いている状態を示す。
【0029】
治具1を用いてプローブ20を回路基板に接合して電気的接続装置を製造する場合には、プローブ20が治具1に正しい姿勢で保持されている必要がある。「正しい姿勢」とは、プローブ20が貫通孔100に所定の位置までまっすぐに挿入されていることをいう。プローブ20が図9A図9Eに示したいずれの状態であっても、ガイドプレートのスライドにより貫通孔100の内壁面に押されてプローブ20は正しい姿勢に矯正された上で、治具1にプローブ20は保持される。以下において、プローブ20が治具1に正しい姿勢で保持されていることを、プローブ20が治具1に正常に保持されているとする。
【0030】
ただし、ガイドプレートのスライドの後に、プローブ20が治具1に正常に保持されていない場合がある。その場合、プローブ20の姿勢を修正する必要がある。プローブ20の姿勢は、例えば以下のような方法により修正される。
【0031】
例えば、図10に示すようにプローブ20が貫通孔100の内部で傾いている場合に、プローブ20の先端に接触させた治具基板150によりプローブ20を貫通孔100に押し込みながら、矢印M1に示すように治具基板150を治具1と平行に移動させる。このとき、第2ガイドプレート12の貫通孔100の開口部の端部とプローブ20との接点Fを支点としてプローブ20が破線の矢印のように回転する。治具基板150の移動とガイドプレートのスライドを繰り返すことにより、プローブ20を正しい姿勢に修正することができる。
【0032】
以上に説明したプローブ格納方法によれば、プローブ20の配置ピッチを狭くして、且つプローブ20を正しい姿勢で治具1に格納することができる。
【0033】
以下に、治具1を含む製造治具を用いてプローブ20を回路基板に接合して電気的接続装置を製造する製造方法の例を、図11のフローチャートを参照して説明する。
【0034】
図11のステップS10において、図6A図6B図6C図7A図7B図7Cを参照して説明したように、治具1にプローブ20を格納する。
【0035】
ステップS20において、治具1に保持されたプローブ20の状態を検査する。ステップS20では、プローブ20が正常に治具1に保持されているか否かなどが検査される。プローブ20が治具1に正常に保持されている場合は、処理はステップS30に進む。一方、プローブ20が治具1に正常に保持されていない場合は、処理はステップS25に進む。
【0036】
ステップS25において、プローブ20が正確に治具1に保持されるようにプローブ20の状態を修正する。例えば、治具1にプローブ20が正常に保持されてない場合は、図10を参照して説明した方法などによりプローブ20の姿勢を修正する。その後、処理はステップS20に戻る。
【0037】
ステップS30において、治具1に保持された状態のプローブ20が、回路基板30に接合される。例えば、図12に示すように、回路基板30の所定の接合領域に半田などの導電性の接合材31を塗布して、プローブ20の支持部22を回路基板30と接合材31により接合する。プローブ20は、回路基板30の図示を省略する配線パターンと電気的に接続される。接合材31に半田を用いる場合、プローブ20と回路基板30を接合するリフロー半田付けの後、ゆっくりと冷却するエージングにより半田内部の残留応力を解消してもよい。なお、図12に示すように、板状のベースプレート41に回路基板30を搭載し、治具1および回路基板30をリング状のガイド押さえ42とベースプレート41で挟むことで、治具1の機械的強度を補強してもよい。これにより、治具1の平坦性を安定させることができる。
【0038】
プローブ20を回路基板30に接合した後、図11のステップS40において、図13に示すように、治具1をプローブ20から外す。例えば、ガイドプレートのスライドによって貫通孔100とプローブ20の間に空間を設けた後、治具1を回路基板30から隔離する。
【0039】
その後、図11のステップS50において、回路基板30にプローブ20が正しく接合されていることを検査する。例えば、カメラ撮影などにより回路基板30の所定の接合領域にプローブ20がまっすぐに接合されているかなどを検査する。回路基板30に接合されたプローブ20に不具合がある場合には、処理はステップS55に進み、プローブ20の接合状態を修正する。その後、処理はステップS50に戻る。
【0040】
ステップS50においてプローブ20と回路基板30の接合に問題がない場合には、処理を終了する。以上により、治具1を含む製造治具によりプローブ20を回路基板30に接合する工程が完了する。
【0041】
以上に説明したように、実施形態に係る電気的接続装置の製造治具では、プローブ20の側面の全体が貫通孔100の内壁面と接触する。このため、安定して治具1でプローブ20を保持することができる。そして、プローブ20が挿入される複数のガイド部が逃がし部を兼ねた共通部110を介して連結することにより、プローブ20の間隔を狭くすることができる。このため、実施形態に係る製造治具によれば、回路基板30にプローブ20を高精度且つ狭ピッチで接合することができる。
【0042】
また、治具1を用いてプローブ20を回路基板30に接合する場合には、プローブ20を保管するトレイを介さずに、製造後のプローブ20を直接に治具1に整列してもよい。これにより、プローブ20をトレイに保管する工程が省略され、プローブ20を回路基板30に接合する工程を短縮することができる。
【0043】
(その他の実施形態)
上記のように本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0044】
例えば、上記では1つの貫通孔100が、共通部110により連結されている2つのガイド部を含む場合を例示的に説明した。しかし、1つの貫通孔100が、共通部110とそれぞれ連結して第1ガイド部111と平行に延伸する複数のガイド部と、共通部110とそれぞれ連結して第2ガイド部112と平行に延伸する他の複数のガイド部を含んでもよい。共通部110と連結するガイド部の数を増やすことにより、プローブ20の配置ピッチを更に狭くすることができる。例えば図14A図14Cに示す貫通孔100は、第1ガイド部111と第2ガイド部112を2つずつ含む。図14A図14Cは、ガイド部の間隔Pが異なる。治具1に保持されるプローブ20の間隔は、検査対象物の電極端子のピッチに応じて設定される。したがって、検査対象物の電極端子の配置に合わせて、治具1の貫通孔100の形状が決定される。
【0045】
なお、上記ではガイドプレート10に形成される貫通孔100を1つ示したが、ガイドプレート10に複数の貫通孔100を形成してもよいことはもちろんである。また、第1ガイド部111と第2ガイド部112の延伸方向が平行である場合を示したが、第1ガイド部111と第2ガイド部112の延伸方向が交差してもよい。
【0046】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態などを含むことはもちろんである。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0047】
1…治具
11…第1ガイドプレート
12…第2ガイドプレート
20…プローブ
21…アーム部
22…支持部
30…回路基板
31…接合材
100…貫通孔
101…第1面
102…第2面
110…共通部
111…第1ガイド部
112…第2ガイド部
201…固定端
202…自由端
210…接触部
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C