(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154586
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】刃先交換式スカイビングカッタ
(51)【国際特許分類】
B23F 21/10 20060101AFI20241024BHJP
B23F 5/16 20060101ALI20241024BHJP
B23C 5/24 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B23F21/10
B23F5/16
B23C5/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068485
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100192614
【弁理士】
【氏名又は名称】梅本 幸作
(74)【代理人】
【識別番号】100158355
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 明子
(72)【発明者】
【氏名】西野 達也
【テーマコード(参考)】
3C022
3C025
【Fターム(参考)】
3C022NN02
3C025AA11
3C025EE00
(57)【要約】
【課題】従来のスカイビングカッタは、焼き嵌め、摩擦撹拌接合、ろう付けなどの接合箇所にも超硬合金等の高価な材料が使用されているので、素材費用や製造費用も高くなるという問題がある。
【解決手段】
底面に複数のネジ穴11,12と中心に孔部をそれぞれ備える円環状のホルダ10と、円環状の切れ刃部20と、複数の孔部32を有する円環状の切れ刃固定部品30と、から形成された刃先交換式スカイビングカッタ100とする。切れ刃部20および切れ刃固定部品30を複数のボルトB1,B2を用いてホルダ10に固定して、かつ切れ刃固定部品30の外面側に設けられたテーパ面31と切れ刃部20の内面側に設けられたテーパ面21を互いに接触させて固定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、底面に複数のネジ穴と中心に孔部をそれぞれ備える円環状のホルダと、円環状の超硬合金製切れ刃部と、複数の孔部を有する円環状の切れ刃固定部品と、から形成されており、前記切れ刃部および切れ刃固定部品が複数のボルトを用いて前記ホルダに固定されて、かつ前記切れ刃固定部品の外面側に設けられたテーパ面と前記切れ刃部の内面側に設けられたテーパ面が互いに接触していることを特徴とする刃先交換式スカイビングカッタ。
【請求項2】
前記ホルダの下面側には下方に突出する凸部を更に備えており、前記切れ刃部の上面側に設けられた凹部内に前記凸部が嵌め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の刃先交換式スカイビングカッタ。
【請求項3】
前記ホルダの下面側には下方に突出するキーが更に設けられており、前記切れ刃部の上面側には更にキー溝が径方向に設けられており、前記キーが前記キー溝内に差し込まれていることを特徴とする請求項1に記載の刃先交換式スカイビングカッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切れ刃が交換可能である刃先交換式のスカイビングカッタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の部品を組み合わせることで一体化したスカイビングカッタが開示されている。例えば、刃先部分と軸部分を個別に製作し、それらを焼き嵌め、摩擦撹拌接合、ロウ付けなど各種の接合方式で一体化している(特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-120164号公報
【特許文献2】特開2007-216236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前述の切削工具は、焼き嵌め、摩擦撹拌接合、ロウ付けなど接合箇所、すなわち切削加工に直接関与しない部分にも超硬合金等の高価な材料が使用されている。そのため、切削工具全体での超硬合金の使用量が増えることで素材費用が上昇する。合わせて、これら複数の部品を組み合わせて製造する際には、加工工程で製造費用も高くなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、切削加工に必要な刃先部分のみに超硬合金を使用することで製造費用や工具費用を抑えた刃先交換式スカイビングカッタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の刃先交換式スカイビングカッタは、少なくとも、底面に複数のネジ穴と中心に孔部をそれぞれ備える円環状のホルダ、円環状の超硬合金製切れ刃部および複数の孔部を有する円環状の切れ刃固定部品から形成する。この切れ刃部および切れ刃固定部品を複数のボルトでホルダに固定し、かつ切れ刃固定部品の外面側に設けたテーパ面と切れ刃部の内面側に設けたテーパ面を互いに接触した状態で取り付ける。
【0007】
また、このホルダの下面側に下方へ突出する凸部(ピン)を更に備えて、この切れ刃部の上面側に設けた凹部内にこの凸部が嵌め込んだ構造としても構わない。もしくは、ホルダの下面側に下方へ突出するキーを更に設けて、切れ刃部の上面側にもキー溝を径方向に設けて、当該キーをキー溝内に差し込む構造にすることもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の刃先交換式スカイビングカッタは、超硬合金を切れ刃部のみに使用することで超硬合金の使用量を低減し、スカイビングカッタの製作費用(材料費用や加工費用)を抑えることができる。また、切れ刃部とホルダの接合にテーパ面を持った切れ刃固定部品を用いることで、切れ刃部とホルダの接合に特殊な設備を使用することなく、切れ刃部の脱着を容易することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の刃先交換式スカイビングカッタ(第1実施形態)100の模式断面図である。
【
図2】本発明の刃先交換式スカイビングカッタ(第2実施形態)200の模式断面図である。
【
図3】本発明の刃先交換式スカイビングカッタ(第3実施形態)300の模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の刃先交換式スカイビングカッタについて図面を用いて説明する。本発明の一実施形態である刃先交換式スカイビングカッタ100の模式断面図を
図1に示す。本発明の刃先交換式スカイビングカッタ10は、
図1に示す様に回転中心O1を中心として形成された回転体形状(円環状)の工具であり、大きく分けて円環状のホルダ10,円環状の切れ刃部20,円環状の切れ刃固定部品30の各部品から形成されている。
【0011】
円環状のホルダ10は、少なくも底面に複数のネジ穴11,12と中心に孔部19をそれぞれ備えている。複数のネジ穴11,12は後述するボルトB1,B2を介して切れ刃固定部品30を固定するための穴である。また、中心の穴部19は、本発明の刃先交換式スカイビングカッタ100を図示しないアーバーなどを介して工作機械に取り付ける際に利用する役割を果たす。
【0012】
円環状の切れ刃部20は、後述する切れ刃固定部品3を用いて前述のホルダ10に固定される部品である。切れ刃部20をホルダ10に取り付ける際には、切れ刃部20の内周面21はホルダ10のインロー部13に嵌め込まれると同時に、後述する切れ刃固定部品30の外側のテーパ部31に接触することで固定される。
【0013】
円環状の切れ刃固定部品30は、円環状に設けられた複数の孔部32にボルトB(B1,B2)を通して、ホルダ10のネジ穴11,12に差し込むことで切れ刃部20をホルダ10に固定する役割を果たす。この時に、切れ刃固定部品30の外面側に設けられたテーパ面31と切れ刃部20の内面側に設けられたテーパ面21が互いに接触することでお互いの部品が固定される。また、切れ刃固定部品30もホルダ10のインロー部13に嵌まり込む形態で固定される。
【0014】
次に、本発明の第2および第3実施形態である刃先交換式スカイビングカッタ200,300について図面を用いて説明する。本発明の第2および第3実施形態である刃先交換式スカイビングカッタ200,300の模式断面図を
図2および
図3にそれぞれ示す。
【0015】
本発明の第2実施形態である刃先交換式スカイビングカッタ200は、
図1に示す第1実施形態の刃先交換式スカイビングカッタ100と同様に、円環状のホルダ110や円環状の切れ刃部120など複数の部品から構成されている。
図2に示す様にホルダ110の下面側には下方に突出した凸部(ピン)111を有し、切れ刃部120の上面側には凸部(ピン)111を挿入する凹部(ピン穴)121が設けられている。これは、切れ刃部120をホルダ110に装着する(固定する)際に位置決めの役割と、回り止めの役割をそれぞれ果たす。
【0016】
本発明の第3実施形態である刃先交換式スカイビングカッタ300は、
図1に示す第1実施形態の刃先交換式スカイビングカッタ100と同様に、円環状のホルダ210や円環状の切れ刃部220など複数の部品から構成されている。
図3に示す様にホルダ210の下面側には下方に突出したキー211が径方向に設けられており、切れ刃部220の上面側にはホルダ210のキー211を差し込むキー溝221が径方向に設けられている。これは、第2実施形態である刃先交換式スカイビングカッタ200の場合と同様に、切れ刃部220をホルダ210に装着する(固定する)際に位置決めの役割と、回り止めの役割をそれぞれ果たす。
【符号の説明】
【0017】
10,110,210 ホルダ
11,12 ネジ穴
13 インロー部
19 孔部
20,120,220 切れ刃部
21,31 テーパ面
30 切れ刃固定部品
100,200,300 刃先交換式スカイビングカッタ
111 凸部(ピン)
121 凹部(ピン穴)
211 キー
221 キー溝
B1,B2 ボルト
O1 回転中心