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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154589
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】建物の空調構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20241024BHJP
   F24F 13/068 20060101ALI20241024BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20241024BHJP
   E04F 19/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
E04B2/74 541M
F24F13/068 A
F24F13/02 C
E04F19/04 101E
E04F19/04 102E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068494
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 元貴
【テーマコード(参考)】
3L080
【Fターム(参考)】
3L080AC03
3L080BB02
(57)【要約】
【課題】見切り材に吹出口が設けられる構成にあって、意匠性が損なわれるのを抑制することができる建物の空調構造を提供する。
【解決手段】建物において間仕切壁21を挟んで上下に対向する床部16及び天井部のうち、床部16の下方の床下空間18には通路形成部65が設けられている。通路形成部65の内部には空調空気の流れる空気通路66が形成されている。間仕切壁21において対向する一対の壁面材41A,42Aの間には壁内通路51が形成されている。壁内通路51には、空気通路66から床部16の開口部61を介して空調空気が流れ込む。居室14に面した壁面材42Aには、壁内通路51に通じる壁開口部68が形成されている。壁開口部68は巾木48により覆われている。巾木48には、壁内通路51から壁開口部68を介して供給される空調空気を居室14に吹き出す吹出口71が形成されている。吹出口71は、巾木48を厚み方向に貫通している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の壁面材を有し、前記一対の壁面材には空調対象である空調空間に面した所定壁面材が含まれている間仕切壁と、
前記間仕切壁を挟んで上下に対向する床部及び天井部のいずれかである対向部と、
前記対向部により前記空調空間と仕切られた裏空間と、
前記所定壁面材における前記対向部との境界部に沿って設けられた見切り材と、
を備える建物に適用され、
前記裏空間に設けられ、空調装置より供給される空調空気が流れる空気通路と、
前記一対の壁面材の間に形成された壁内通路と、
前記対向部に形成され、前記空気通路から前記壁内通路へ前記空調空気を導くための開口部と、を備え、
前記所定壁面材の前記境界部には、前記壁内通路と連通する壁開口部が形成され、
前記見切り材として、前記壁開口部を覆うように設けられた第1見切り材を有し、
前記第1見切り材には、前記壁内通路から前記壁開口部を通じて供給される前記空調空気を前記空調空間に吹き出す吹出口が形成され、
前記吹出口は、前記第1見切り材を前記間仕切壁の厚み方向に貫通している、建物の空調構造。
【請求項2】
前記間仕切壁は、前記一対の壁面材の間に設けられた下地フレームを有し、
前記下地フレームは、前記間仕切壁の壁幅方向に離間する一対の縦材と、前記一対の縦材の間に架け渡された複数の横材とを有しており、
前記複数の横材のうち最も前記対向部側に位置する所定横材は、前記対向部から離間して配置され、
前記所定横材と前記対向部との間に前記壁内通路が形成されている、請求項1に記載の建物の空調構造。
【請求項3】
前記下地フレームは、前記所定横材の中間部に連結され、前記所定横材と前記対向部とに跨って延びる短尺縦材を有し、
前記短尺縦材により前記壁内通路が区画されている、請求項2に記載の建物の空調構造。
【請求項4】
前記下地フレームは、互いに離間された一対の前記短尺縦材を有し、
前記一対の前記短尺縦材の間に前記壁内通路が形成されている、請求項3に記載の建物の空調構造。
【請求項5】
前記下地フレームは、前記短尺縦材を挟んで前記壁内通路とは反対側に設けられ、隣り合う前記短尺縦材及び前記縦材の各端部に架け渡された短尺横材を有し、
前記短尺横材は、前記対向部に固定されている、請求項3又は4に記載の建物の空調構造。
【請求項6】
前記裏空間には、内部に前記空気通路が形成された通路形成部が設けられ、
前記通路形成部の端部は前記開口部に接続されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建物の空調構造。
【請求項7】
前記対向部は、第1面材と、前記第1面材の裏面側に設けられた第2面材とを含み、
前記開口部は、前記第1面材に形成された第1開口部と、前記第2面材に形成され前記第1開口部よりも大きい第2開口部とを含み、
前記通路形成部の前記端部は、前記第2開口部に挿入され、前記第1面材の裏面に突き当てられている、請求項6に記載の建物の空調構造。
【請求項8】
前記見切り材として、前記第1見切り材の長手方向に前記第1見切り材と並んで設けられ、前記吹出口を有しない第2見切り材を有し、
前記第1見切り材は、前記厚み方向の寸法及び高さ方向の寸法がいずれも前記第2見切り材と同じとなっている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建物の空調構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の空調構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物には、共通の空調装置により複数の屋内空間の空調を行う空調設備が設けられている場合がある。特許文献1には、かかる空調設備として、空調装置により生成した空調空気を床下空間に供給するとともに、その空調空気を床下空間の上方の部屋に設けられた巾木部材を通じて当該部屋に吹き出すようにしたものが開示されている。この空調設備では、巾木部材が、厚み方向に対向する一対の板材を有して構成され、それら各板材の間に上下に延びる吹出口が形成されている。また、床下空間と部屋とを仕切る床部には、吹出口と床下空間とを連通する開口部が形成されている。これにより、開口部を通じて床下空間から巾木部材の吹出口に空調空気が供給され、その空調空気が吹出口より部屋に向けて吹き出されるようになっている。なお、巾木部材は、壁部と床部との境界部に沿って設けられる見切り材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4149787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の空調設備では、巾木部材が吹出口を挟んで対向する一対の板材を有して構成されているため、巾木部材の厚み(詳しくは、壁部の厚み方向における巾木部材の長さ)が大きくなることが考えられる。その場合、巾木部材により意匠性が損なわれるおそれがある。
【0005】
また、見切り材としては、巾木部材の他に、壁部と天井部との境界部に沿って設けられる廻り縁がある。この場合、例えば、床下空間に代えて天井裏空間に空調空気を供給し、その空調空気を廻り縁を通じて吹き出すようにすることが考えられる。この場合にも、廻り縁に、上記特許文献1の巾木部材の構成を適用することが考えられるが、そうすると、巾木部材と同様、廻り縁の厚みが大きくなり、意匠性が損なわれるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、見切り材に吹出口が設けられる構成にあって、意匠性が損なわれるのを抑制することができる建物の空調構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の空調構造は、対向する一対の壁面材を有し、前記一対の壁面材には空調対象である空調空間に面した所定壁面材が含まれている間仕切壁と、前記間仕切壁を挟んで上下に対向する床部及び天井部のいずれかである対向部と、前記対向部により前記空調空間と仕切られた裏空間と、前記所定壁面材における前記対向部との境界部に沿って設けられた見切り材と、を備える建物に適用され、前記裏空間に設けられ、空調装置より供給される空調空気が流れる空気通路と、前記一対の壁面材の間に形成された壁内通路と、前記対向部に形成され、前記空気通路から前記壁内通路へ前記空調空気を導くための開口部と、を備え、前記所定壁面材の前記境界部には、前記壁内通路と連通する壁開口部が形成され、前記見切り材として、前記壁開口部を覆うように設けられた第1見切り材を有し、前記第1見切り材には、前記壁内通路から前記壁開口部を通じて供給される前記空調空気を前記空調空間に吹き出す吹出口が形成され、前記吹出口は、前記第1見切り材を前記間仕切壁の厚み方向に貫通している。
【0008】
第1の発明によれば、間仕切壁が有する一対の壁面材のうち所定壁面材が空調対象である空調空間に面して設けられ、その所定壁面材における対向部(床部又は天井部)との境界部に沿って見切り材が設けられている。例えば、対向部が床部である場合には、見切り材として巾木が設けられ、対向部が天井部である場合には、見切り材として廻り縁が設けられる。
【0009】
一対の壁面材の間には壁内通路が形成され、その壁内通路には裏空間に設けられた空気通路より空調空気が導かれる。また、所定壁面材には壁内通路と連通する壁開口部が形成され、その壁開口部が第1見切り材により覆われている。第1見切り材には、壁内通路から壁開口部を通じて供給される空調空気を空調空間に吹き出す吹出口が形成されている。吹出口は、第1見切り材を間仕切壁の厚み方向に貫通している。この場合、第1見切り材の内部に上下に延びる吹出口が形成される場合と比べ、第1見切り材の厚み寸法を小さくすることができる。そのため、第1見切り材に吹出口が設けられる構成にあって、意匠性が損なわれるのを抑制することができる。
【0010】
第2の発明の建物の空調構造は、第1の発明において、前記間仕切壁は、前記一対の壁面材の間に設けられた下地フレームを有し、前記下地フレームは、前記間仕切壁の壁幅方向に離間する一対の縦材と、前記一対の縦材の間に架け渡された複数の横材とを有しており、前記複数の横材のうち最も前記対向部側に位置する所定横材は、前記対向部から離間して配置され、前記所定横材と前記対向部との間に前記壁内通路が形成されている。
【0011】
第2の発明によれば、間仕切壁において一対の壁面材の間に下地フレームが設けられている。下地フレームが有する複数の横材のうち最も対向部側に位置する所定横材は、対向部から離間して配置され、その所定横材と対向部との間に壁内通路が形成されている。この場合、一対の壁面材の間の空間のうち、対向部側の一部の空間だけを壁内通路とすることができる。これにより、空調空気が壁内通路を流れる際に空調空気の熱損失が発生するのを抑制することができる。
【0012】
第3の発明の建物の空調構造は、第2の発明において、前記下地フレームは、前記所定横材の中間部に連結され、前記所定横材と前記対向部とに跨って延びる短尺縦材を有し、前記短尺縦材により前記壁内通路が区画されている。
【0013】
第3の発明によれば、下地フレームが所定横材と対向部とに跨って延びる短尺縦材を有し、その短尺縦材により壁内通路が区画されている。この場合、壁内通路の壁幅方向の寸法を一対の縦材の間隔よりも小さくすることができる。そのため、壁内通路において空調空気の熱損失が生じるのをより抑制することができる。
【0014】
第4の発明の建物の空調構造は、第3の発明において、前記下地フレームは、互いに離間された一対の前記短尺縦材を有し、前記一対の前記短尺縦材の間に前記壁内通路が形成されている。
【0015】
第4の発明によれば、下地フレームが互いに離間された一対の短尺縦材を有し、それら一対の短尺縦材の間に壁内通路が形成されている。この場合、壁内通路の壁幅方向の寸法をより小さくすることができる。そのため、壁内通路において空調空気の熱損失が生じるのをより一層抑制することができる。
【0016】
第5の発明の建物の空調構造は、第3又は第4の発明において、前記下地フレームは、前記短尺縦材を挟んで前記壁内通路とは反対側に設けられ、隣り合う前記短尺縦材及び前記縦材の各端部に架け渡された短尺横材を有し、前記短尺横材は、前記対向部に固定されている。
【0017】
第5の発明によれば、下地フレームが、隣り合う短尺縦材及び縦材の各端部に架け渡された短尺横材を有し、その短尺横材が対向部に固定されている。この場合、下地フレームが対向部から離間する所定横材を有する構成にあって、下地フレームを安定した状態で設置することができる。
【0018】
第6の発明の建物の空調構造は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記裏空間には、内部に前記空気通路が形成された通路形成部が設けられ、前記通路形成部の端部は前記開口部に接続されている。
【0019】
第6の発明によれば、裏空間に、内部に空気通路が形成された通路形成部が設けられ、その通路形成部の端部が対向部の開口部に接続されている。この場合、通路形成部の端部から空調空気が開口部を通じて壁内空間に供給される。かかる構成は、裏空間(自体)を空気通路とする構成(例えば、上述した特許文献1の構成)と異なり、裏空間における気密処理が不要である。そのため、構成の簡素化を図りながら、上記第1の発明の効果を得ることができる。
【0020】
第7の発明の建物の空調構造は、第6の発明において、前記対向部は、第1面材と、前記第1面材の裏面側に設けられた第2面材とを含み、前記開口部は、前記第1面材に形成された第1開口部と、前記第2面材に形成され前記第1開口部よりも大きい第2開口部とを含み、前記通路形成部の前記端部は、前記第2開口部に挿入され、前記第1面材の裏面に突き当てられている。
【0021】
第7の発明によれば、開口部が、第1面材に形成された第1開口部と、第2面材に形成され第1開口部よりも大きい第2開口部とを含んでいる。また、通路形成部の端部が第2開口部に挿入され、第1面材の裏面に突き当てられている。この場合、通路形成部の端部が開口部に接続される接続部分において、気密性を確保し易くすることができる。
【0022】
第8の発明の建物の空調構造は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記見切り材として、前記第1見切り材の長手方向に前記第1見切り材と並んで設けられ、前記吹出口を有しない第2見切り材を有し、前記第1見切り材は、前記厚み方向の寸法及び高さ方向の寸法がいずれも前記第2見切り材と同じとなっている。
【0023】
第8の発明によれば、吹出口を有する第1見切り材と並んで、吹出口を有しない通常の見切り材(つまり第2見切り材)が設けられている。第1見切り材は、その厚み寸法及び高さ寸法がいずれも第2見切り材と同じとなっている。この場合、意匠性が損なわれるのをより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1の実施形態における空調設備が設けられた建物の概略を示す図。
図2】間仕切壁を構成する各壁パネルを示す正面図。
図3】各壁パネルを構成する下地フレームを示す正面図。
図4】間仕切壁と床部との境界部周辺の構成を示す縦断面図。
図5】間仕切壁に設けられた巾木を示す斜視図。
図6】第2の実施形態における空調設備が設けられた建物の概略を示す図。
図7】間仕切壁と天井部との境界部周辺の構成を示す縦断面図。
図8】下地フレームを示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1の実施形態]
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は、空調設備が設けられた建物の概略を示す図である。
【0026】
図1に示すように、基礎11の上方には、住宅等の建物10が設けられている。建物10の一階部分12には、屋内空間として、居室13,14と、空調装置31が設置された機械室15とが設けられている。
【0027】
一階部分12には、床部16と天井部17とが上下に対向して設けられている。床部16により各屋内空間13~15の床面が形成され、天井部17により各屋内空間13~15の天井面が形成されている。床部16の下方には、床下空間18が設けられている。床下空間18は、床部16により各屋内空間13~15と上下に仕切られている。床下空間18は、その周囲が基礎11により囲まれている。また、天井部17の上方には、天井裏空間19が設けられている。天井裏空間19は、天井部17により各屋内空間13~15と上下に仕切られている。
【0028】
一階部分12には、各屋内空間13~15が間仕切壁21,22により仕切られている。各間仕切壁21,22は、床部16と天井部17とに跨がって延びている。各間仕切壁21,22には、隣り合う居室13,14同士を仕切る間仕切壁21と、隣り合う居室14及び機械室15を仕切る間仕切壁22とが含まれている。
【0029】
建物10には、一階部分12の屋内空間の空調を行う空調設備30が設けられている。空調設備30は、共通の空調装置31を用いて複数の屋内空間の空調を行う全館式の空調設備となっている。空調設備30による空調対象には、各居室13,14が含まれている。以下、空調設備30の構成について説明する。
【0030】
空調設備30は、空調空気(暖気及び冷気)を生成する空調装置31と、空調装置31に接続された分岐チャンバ32と、分岐チャンバ32に接続された複数の空調ダクト33,34とを有する。空調装置31は、機械室15の空気を取り込み、その取り込んだ空気を温度調整することで空調空気を生成する。分岐チャンバ32は、床下空間18に設置され、接続ダクト35を介して空調装置31と接続されている。空調装置31により生成される空調空気は接続ダクト35を介して分岐チャンバ32に供給される。
【0031】
複数の空調ダクト33,34は、床下空間18に配設されている。各空調ダクト33,34のうち、空調ダクト33は、居室13に空調空気を搬送するダクトであり、その端部に空調チャンバ36が接続されている。また、空調ダクト34は、居室14に空調空気を搬送するダクトであり、その端部に空調チャンバ37が接続されている。
【0032】
居室13側の空調チャンバ36は、居室13の床部16に設けられた吹出部38に接続されている。この場合、分岐チャンバ32から空調ダクト33及び空調チャンバ36を通じて吹出部38に空調空気が供給され、その空調空気が吹出部38より居室13に吹き出される。これにより、その吹き出された空調空気により居室13の空調が行われる。
【0033】
居室14側の空調チャンバ37は、間仕切壁21の真下位置に配置され、間仕切壁21に床部16を介して接続されている。間仕切壁21の居室14側には、吹出部39が設けられている。吹出部39は、間仕切壁21の下端部に配置され、間仕切壁21の壁内を通じて空調チャンバ37に通じている。この場合、分岐チャンバ32から空調ダクト34を通じて空調チャンバ37に空調空気が供給され、その空調空気が空調チャンバ37から間仕切壁21の壁内を通じて吹出部39に供給される。そして、その供給された空調空気が吹出部39より居室14に吹き出され、その吹き出された空調空気により居室14の空調が行われる。
【0034】
なお、居室14が「空調空間」に相当し、間仕切壁21が特許請求の範囲に記載の「間仕切壁」に相当する。また、間仕切壁21を挟んで対向する床部16及び天井部17のうち床部16が「対向部」に相当し、床下空間18が「裏空間」に相当する。
【0035】
続いて、間仕切壁21の壁内を通じて居室14に空調空気を供給するための構成について、図2図5に基づき説明する。図2は、間仕切壁21を構成する各壁パネル40を示す正面図である。図3は、各壁パネル40を構成する下地フレーム43を示す正面図である。図4は、間仕切壁21と床部16との境界部周辺の構成を示す縦断面図である。図5は、間仕切壁21に設けられた巾木47,48を示す斜視図である。
【0036】
図2及び図4に示すように、間仕切壁21は、横並びに設けられた複数の壁パネル40を有して構成されている。各壁パネル40は、対向する一対の壁面材41,42と、一対の壁面材41,42の間に設けられた下地フレーム43とを有している。各壁面材41,42は、例えば石膏ボードにより形成されている。各壁面材41,42のうち、壁面材41が居室13に面しており、壁面材42が居室14に面している。
【0037】
図3に示すように、下地フレーム43は、矩形枠状に形成されている。下地フレーム43は、間仕切壁21の壁幅方向(以下では、単に壁幅方向ともいう)に離間する一対の縦材44と、一対の縦材44の間に架け渡された上下複数の横材45とを有している。縦材44と横材45とはいずれも木製の角材からなる。下地フレーム43には、各壁面材41,42がそれぞれビス等により取り付けられている。また、下地フレーム43は、その下端部が床部16に固定され、その上端部が天井部17に固定されている。
【0038】
図2及び図5に示すように、壁面材42には、その下端部に沿って複数の巾木47,48が設けられている。各巾木47,48は、壁面材42と床部16との境界部に沿って延びる見切り材であり、壁幅方向に並んで配置されている。各巾木47,48は木製であり、長尺板状に形成されている。なお、壁面材41にも、その下端部に沿って巾木49が設けられている。
【0039】
各壁パネル40には、空調空気が流れる壁内通路51を有する壁パネル40Aが含まれている。壁パネル40Aは、他の壁パネル40と異なる構成を有している。以下では、壁パネル40Aの構成について、他の壁パネル40との相違点を中心に説明する。また、以下の説明では、壁パネル40Aを構成する各部材41~43の符号にもAを付す。
【0040】
図3及び図4に示すように、壁パネル40Aの下地フレーム43Aにおける各横材45のうち最も床部16側(換言すると、最も下側)に位置する横材45aは、床部16から上方に離間して配置されている。この場合、下地フレーム43Aの各縦材44は、横材45aよりも下方に延び、下端が床部16の上に載置されている。なお、横材45aが「所定横材」に相当する。
【0041】
下地フレーム43Aは、横材45aの中間部に上端部が連結された一対の短尺縦材53を有する。各短尺縦材53は、木製の角材からなる。各短尺縦材53は、壁幅方向に離間して配置され、下端が床部16の上に載置されている。この場合、各短尺縦材53は、横材45aと床部16とに跨って上下に延びている。
【0042】
各壁面材41A,42Aの間において床部16と横材45aとの間には、壁内通路51が形成されている。壁内通路51は、各短尺縦材53の間に形成されている。この場合、壁内通路51は、床部16と横材45aと各短尺縦材53とにより囲まれた空間となっている。
【0043】
下地フレーム43Aは、短尺縦材53を挟んで壁内通路51とは反対側に配置され、隣り合う短尺縦材53及び縦材44の各下端部に架け渡された短尺横材54を有している。短尺横材54は、各短尺縦材53ごとに一対設けられている。各短尺横材54は、木製の角材からなる。各短尺横材54は、床部16の上に載置され、当該床部16にビスにより固定されている。
【0044】
床部16は、床仕上面材56と、床仕上面材56の裏面側(下面側)に設けられた床下地面材57とを有する。床仕上面材56はフローリング材からなり、居室13,14の床面を形成している。床下地面材57は、パーティクルボードからなり、床梁58により下方から支持されている。なお、床仕上面材56が「第1面材」に相当し、床下地面材57が「第2面材」に相当する。
【0045】
床部16には、壁内通路51と床下空間18とを連通する開口部61が形成されている。開口部61は、床仕上面材56に形成された第1開口部62と、床下地面材57に形成された第2開口部63とを含む。第2開口部63は、第1開口部62よりも一回り大きく形成されている。そのため、床仕上面材56における第1開口部62の周縁部(以下、開口周縁部56aという)が第2開口部63の内面よりも内側にはみ出している。
【0046】
床部16の開口部61には、下方から空調チャンバ37の上端部が接続されている。空調チャンバ37の上端部は、床下地面材57の第2開口部63に挿入され、床仕上面材56の開口周縁部56aの裏面に突き当てられている。空調チャンバ37の上端部は、例えば第2開口部63の内面にビス等により固定されている。
【0047】
空調チャンバ37は、上述したように空調ダクト34と接続され、その空調ダクト34とともに通路形成部65を構成している。通路形成部65の内部には、空調空気が流れる空気通路66が形成されている。空気通路66を流れる空調空気は、床部16の開口部61を介して壁パネル40Aの壁内通路51に流れ込む。なお、空調チャンバ37の上端部が「通路形成部の端部」に相当する。
【0048】
壁パネル40Aの壁面材42Aには、その下端部(換言すると、床部16との境界部)に壁開口部68が形成されている。壁開口部68は、壁面材42Aを厚み方向に貫通し、壁内通路51に通じている。また、壁開口部68は、壁幅方向に延びており、下側が開放されている。なお、壁面材42Aが「所定壁面材」に相当する。
【0049】
壁開口部68は、巾木48により居室14側から覆われている。巾木48には、居室14と壁開口部68とを連通する吹出口71が形成されている。吹出口71は、巾木48を厚み方向(換言すると、間仕切壁21の厚み方向)に貫通しており、巾木48の長手方向に延びる細長の開口となっている。また、吹出口71は、上下に複数(具体的には2つ)形成されている。この場合、各吹出口71には、壁内通路51から壁開口部68を通じて空調空気が供給され、その空調空気が各吹出口71より居室14に向けて吹き出される。
【0050】
上記の構成では、巾木48が空調空気を居室14に吹き出す吹出部39(図1参照)となっている。また、巾木48と並んで設けられる他の巾木47は、吹出口71を有しない通常の巾木となっている。巾木47は、その長さが巾木48よりも十分に長くなっている。また、各巾木47,48は、厚み寸法及び高さ寸法がいずれも同じとなっており、同じ素材(材質)により形成されている。なお、巾木48が「第1見切り材」に相当し、巾木47が「第2見切り材」に相当する。
【0051】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0052】
間仕切壁21の壁パネル40Aが有する一対の壁面材41A,42Aの間には壁内通路51が形成され、その壁内通路51には床下空間18に設けられた通路形成部65(空気通路66)より空調空気が導かれる。また、居室14に面する壁面材42Aには壁内通路51と連通する壁開口部68が形成され、その壁開口部68が巾木48により覆われている。巾木48には、壁内通路51から壁開口部68を通じて供給される空調空気を居室14に吹き出す吹出口71が形成されている。吹出口71は、巾木48を間仕切壁21の厚み方向に貫通している。この場合、巾木の内部に上下に延びる吹出口が形成される場合と比べ、巾木48の厚み寸法を小さくすることができる。そのため、巾木48に吹出口71が設けられる構成にあって、意匠性が損なわれるのを抑制することができる。
【0053】
壁パネル40Aは、一対の壁面材41A,42Aの間に矩形枠状の下地フレーム43Aを有する。下地フレーム43Aが有する複数の横材45のうち最も床部16側に位置する横材45aは、床部16から上方に離間して配置され、その横材45aと床部16との間に壁内通路51が形成されている。この場合、一対の壁面材41A,42Aの間の空間のうち、床部16側の一部の空間だけを壁内通路51とすることができる。これにより、空調空気が壁内通路51を流れる際に空調空気の熱損失が発生するのを抑制することができる。
【0054】
下地フレーム43Aが横材45aと床部16とに跨って延びる短尺縦材53を有し、その短尺縦材53により壁内通路51が区画されている。この場合、壁内通路51の壁幅方向の寸法を一対の縦材44の間隔よりも小さくすることができる。そのため、壁内通路51において空調空気の熱損失が生じるのをより抑制することができる。
【0055】
下地フレーム43Aが互いに離間された一対の短尺縦材53を有し、それら一対の短尺縦材53の間に壁内通路51が形成されている。この場合、壁内通路51の壁幅方向の寸法をより小さくすることができる。そのため、壁内通路51において空調空気の熱損失が生じるのをより一層抑制することができる。
【0056】
下地フレーム43Aが、隣り合う短尺縦材53及び縦材44の各端部に架け渡された短尺横材54を有し、その短尺横材54が床部16に固定されている。この場合、下地フレーム43Aが床部16から離間する横材45aを有する構成にあって、下地フレーム43Aを安定した状態で設置することができる。
【0057】
床下空間18に、内部に空気通路66が形成された通路形成部65が設けられ、その通路形成部65の端部(具体的には、空調チャンバ37の上端部)が床部16の開口部61に接続されている。この場合、通路形成部65の端部から空調空気が開口部61を通じて壁内通路51に供給される。かかる構成は、床下空間18(自体)を空気通路とする構成と異なり、床下空間18における気密処理が不要である。そのため、構成の簡素化を図りながら、意匠性が損なわれるのを抑制する上述の効果を得ることができる。
【0058】
開口部61が、床部16の床仕上面材56に形成された第1開口部62と、床下地面材57に形成され第1開口部62よりも大きい第2開口部63とを含んでいる。また、通路形成部65の端部が第2開口部63に挿入され、床仕上面材56の裏面に突き当てられている。この場合、通路形成部65の端部が開口部61に接続される接続部分において、気密性を確保し易くすることができる。
【0059】
吹出口71を有する巾木48と並んで、吹出口を有しない通常の巾木47が設けられている。巾木47は、その厚み寸法及び高さ寸法がいずれも巾木48と同じとなっている。この場合、意匠性が損なわれるのをより一層抑制することができる。
【0060】
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる空調構造が採用されており、例えば空調設備80が建物10の天井裏空間19を利用して設けられている。そこで、以下においては、かかる本実施形態の空調構造について図6に基づき説明する。なお、図6は、本実施形態における空調設備80が設けられた建物10の概略を示す図である。
【0061】
図6に示すように、建物10には、空調設備80が設けられている。空調設備80は、空調装置81と、空調装置81に接続された複数の空調ダクト83,84とを有する。空調装置81と複数の空調ダクト83,84とは、天井裏空間19に設置されている。各空調ダクト83,84のうち、空調ダクト83の端部には空調チャンバ86が接続され、空調ダクト84の端部には空調チャンバ87が接続されている。なお、天井部17が「対向部」に相当し、天井裏空間19が「裏空間」に相当する。
【0062】
空調チャンバ86は、居室13の天井部17に設けられた吹出部88に接続されている。空調装置81より空調空気が空調ダクト83及び空調チャンバ86を通じて吹出部88に供給されると、その供給された空調空気が吹出部88より居室13に吹き出される。
【0063】
空調チャンバ87は、間仕切壁21の真上に配置され、間仕切壁21に天井部17を介して接続されている。間仕切壁21の居室14側には、吹出部89が設けられている。吹出部89は、間仕切壁21の上端部に配置され、間仕切壁21の内部を通じて空調チャンバ87に通じている。この場合、空調装置81から空調ダクト84を通じて空調チャンバ87に空調空気が供給されると、その空調空気が空調チャンバ87から間仕切壁21の壁内を通じて吹出部89に供給される。そして、その供給された空調空気が吹出部89より居室14に吹き出される。
【0064】
続いて、間仕切壁21の壁内を通じて居室14に空調空気を供給するための構成について、図7及び図8に基づき説明する。図7は、間仕切壁21と天井部17との境界部周辺の構成を示す縦断面図である。図8は、下地フレーム43Bを示す斜視図である。
【0065】
図7に示すように、間仕切壁21は、壁パネル40として、壁内通路91を有する壁パネル40Bを備える。壁パネル40Bは、他の壁パネル40と異なる構成を有しており、以下では、壁パネル40Bの構成について説明する。なお、以下では、壁パネル40Bを構成する各部材41~43の符号にBを付す。
【0066】
図8に示すように、壁パネル40Bの下地フレーム43Bにおける各横材45のうち、最も天井部17側(換言すると、上側)に位置する横材45bは、天井部17から下方に離間して配置されている。この場合、下地フレーム43Bの各縦材44は、横材45bよりも上方に延び、上端が天井部17に当接している。なお、横材45bが「所定横材」に相当する。
【0067】
下地フレーム43Bは、横材45bの中間部に下端部が連結された一対の短尺縦材93を有する。各短尺縦材93は、木製の角材からなる。各短尺縦材93は、壁幅方向に離間して配置され、上端が天井部17に当接している。この場合、各短尺縦材93は、横材45bと天井部17とに跨って上下に延びている。
【0068】
各壁面材41B,42Bの間において天井部17と横材45bとの間には、壁内通路91が形成されている。壁内通路91は、各短尺縦材93の間に形成されている。この場合、壁内通路91は、天井部17と横材45bと各短尺縦材93とにより囲まれた空間となっている。
【0069】
下地フレーム43Bは、短尺縦材93を挟んで壁内通路91とは反対側に配置され、隣り合う短尺縦材93及び縦材44の各上端部に架け渡された短尺横材94を有している。短尺横材94は、各短尺縦材93ごとに一対設けられている。各短尺横材94は、木製の角材からなり、天井部17にビスにより固定されている。
【0070】
天井部17は、2枚重ねされて設けられた一対の天井面材95を有する。各天井面材95は石膏ボードからなり、天井梁97により上方から支持されている。天井部17には、壁内通路91と天井裏空間19とを連通する開口部98が形成されている。開口部98は、各天井面材95のうち下側の天井面材95aに形成された第1開口部98aと、上側の天井面材95bに形成された第2開口部98bとを有する。第2開口部98bは、第1開口部98aよりも大きくなっている。なお、天井面材95aが「第1面材」に相当し、天井面材95bが「第2面材」に相当する。
【0071】
天井部17の開口部98には、上方から空調チャンバ87の下端部が接続されている。空調チャンバ87の下端部は、天井面材95bの第2開口部98bに挿入され、その挿入状態で天井面材95aの裏面(上面)に突き当てられている。空調チャンバ87は、空調ダクト84とともに通路形成部101を構成している。通路形成部101の内部には、空気通路102が形成されている。空気通路102を流れる空調空気は、天井部17の開口部98を介して壁パネル40Bの壁内通路91に流れ込む。なお、空調チャンバ87の下端部が「通路形成部の端部」に相当する。
【0072】
壁パネル40Aの壁面材42Bには、その上端部(換言すると、天井部17との境界部)に壁開口部105が形成されている。壁開口部105は、壁面材42Bを厚み方向に貫通し、壁内通路91に通じている。なお、壁面材42Bが「所定壁面材」に相当する。
【0073】
壁面材42Bには、その上端部に沿って廻り縁107が設けられている。廻り縁107は、壁面材42Bと天井部17との境界部に沿って延びる見切り材である。廻り縁107は、居室14側から壁開口部105を覆うように設けられている。廻り縁107には、居室14と壁開口部105とを連通する吹出口108が形成されている。吹出口108は、廻り縁107を厚み方向(換言すると、間仕切壁21の厚み方向)に貫通している。この場合、吹出口108には、壁内通路91から壁開口部105を通じて空調空気が供給され、その空調空気が吹出口108より居室14に向けて吹き出される。
【0074】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0075】
間仕切壁21の壁パネル40Bが有する一対の壁面材41B,42Bの間には壁内通路91が形成され、その壁内通路91には天井裏空間19に設けられた通路形成部101(空気通路102)より空調空気が導かれる。また、居室14に面する壁面材42Bには壁内通路91と連通する壁開口部105が形成され、その壁開口部105が廻り縁107により覆われている。廻り縁107には、壁内通路91から壁開口部105を通じて供給される空調空気を居室14に吹き出す吹出口108が形成されている。吹出口108は、廻り縁107を間仕切壁21の厚み方向に貫通している。この場合、上記第1の実施形態の巾木48と同様、廻り縁107の厚みを小さくすることができる。そのため、廻り縁107に吹出口108が設けられる構成にあって、意匠性が損なわれるのを抑制することができる。
【0076】
壁パネル40Bの下地フレーム43Bが有する複数の横材45のうち最も天井部17側に位置する横材45bは、天井部17から下方に離間して配置され、その横材45bと天井部17との間に壁内通路91が形成されている。この場合、一対の壁面材41B,42Bの間の空間のうち、天井部17側の一部の空間だけを壁内通路91とすることができる。これにより、空調空気が壁内通路91を流れる際に空調空気の熱損失が発生するのを抑制することができる。
【0077】
下地フレーム43Bは、横材45bと天井部17とに跨って延び、互いに離間された一対の短尺縦材93を有し、それら一対の短尺縦材93の間に壁内通路91が形成されている。この場合、壁内通路91の壁幅方向の寸法を各縦材44の間の間隔よりも小さくすることができる。そのため、壁内通路91において空調空気の熱損失が生じるのをより一層抑制することができる。
【0078】
下地フレーム43Bは、隣り合う短尺縦材93及び縦材44の各端部に架け渡された短尺横材94を有し、その短尺横材94が天井部17に固定されている。この場合、下地フレーム43Bが天井部17から離間する横材45bを有する構成にあって、下地フレーム43Bを安定した状態で設置することができる。
【0079】
天井裏空間19に、内部に空気通路102が形成された通路形成部101が設けられ、その通路形成部101の端部(具体的には、空調チャンバ87の下端部)が天井部17の開口部98に接続されている。この場合、通路形成部101の端部から空調空気が開口部98を通じて壁内通路91に供給される。かかる構成は、天井裏空間19を空気通路とする構成と異なり、天井裏空間19における気密処理が不要である。そのため、構成の簡素化を図りながら、意匠性が損なわれるのを抑制する上述の効果を得ることができる。
【0080】
開口部98が、天井部17の天井面材95aに形成された第1開口部98aと、天井面材95bに形成され第1開口部98aよりも大きい第2開口部98bとを含んでいる。また、通路形成部101の端部が第2開口部98bに挿入され、天井面材95aの裏面に突き当てられている。この場合、通路形成部101の端部が開口部98に接続される接続部分において、気密性を確保し易くすることができる。
【0081】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0082】
・上記第1の実施形態では、通路形成部65(空気通路66)を通じて空調空気を搬送する構成としたが、例えば通路形成部65を不具備として、床下空間18内を通じて空調空気を搬送する構成としてもよい。つまり、床下空間18自体を空気通路として空調空気を搬送するようにしてもよい。この場合、空調装置31から床下空間18に空調空気を供給するダクトを設け、そのダクトを通じて床下空間18に供給された空調空気を床下空間18から床部16の開口部61を通じて間仕切壁21の壁内通路51に導くようにする。
【0083】
また、同様に、上記第2の実施形態において、通路形成部101を不具備とし、天井裏空間19自体を空調空気の流れる空気通路として用いるようにしてもよい。
【0084】
・上記第1の実施形態では、下地フレーム43Aが短尺横材54を有していたが、下地フレーム43Aが短尺横材54を有しない構成としてもよい。また、下地フレーム43Aが短尺横材54を有しない場合、下地フレーム43Aがさらに各短尺縦材53のうちのいずれかを有しない構成としてもよい。この場合、短尺縦材53と縦材44との間に壁内通路が形成される。また、下地フレーム43Aが各短尺縦材53の両方を有しない構成としてもよい。この場合、各縦材44の間に壁内通路が形成されることになる。
【0085】
同様に、上記第2の実施形態においても、下地フレーム43Bが短尺横材94を有しない構成としたり、さらには短尺縦材93を有しない構成としたりしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10…建物、14…空調空間としての居室、16…対向部としての床部、18…裏空間としての床下空間、21…間仕切壁、31…空調装置、41A…壁面材、42A…所定壁面材としての壁面材、43A…下地フレーム、44…縦材、45…横材、45a…所定横材としての横材、47…第2見切り材としての巾木、48…第1見切り材としての巾木、51…壁内通路、53…短尺縦材、54…短尺横材、56…第1面材としての床仕上面材、57…第2面材としての床下地面材、61…開口部、62…第1開口部、63…第2開口部、65…通路形成部、66…空気通路、68…壁開口部、71…吹出口、91…壁内通路、98…開口部、101…通路形成部、102…空気通路、105…壁開口部、107…見切り材としての廻り縁、108…吹出口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8