(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154590
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】パズル解読補助具
(51)【国際特許分類】
A63F 3/00 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A63F3/00 504B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068499
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】523045434
【氏名又は名称】倉持 一
(74)【代理人】
【識別番号】100148688
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 裕行
(72)【発明者】
【氏名】倉持 一
(57)【要約】
【課題】所謂数独のパズルを解答する際に、解答を迅速且つ的確に補助できるパズル解読補助具を提供する。
【解決手段】マス目2が3行3列に配置されたブロック3と、ブロック3が3行3列に配置されたパズル全体4とを備え、予めマス目2の幾つかに1から9の数字の何れかを問題として表示しておき、残りのマス目2に所定のルールに従って1から9の数字の何れかを解答として表示するパズルに用いるパズル解読補助具1であって、個々のマス目2は、問題となる数字を1個表示するための問題表示部5と、解答となる数字を表示するための解答表示部6とを有し、解答表示部6は、問題表示部5の隣りに、1から9の数字が行方向に沿って順次表示されており、1から9の数字は、夫々、解答候補状態と解答非候補状態とに選択自在である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
数字を表示するためのマス目と、
該マス目がm行n列(m、nは2以上の自然数)に配置されたブロックと、
該ブロックがn行m列に配置されたパズル全体とを備え、
予め前記マス目の幾つかに1からm×nの数字の何れかを問題として表示しておき、
残りの前記マス目に所定のルールに従って1からm×nの数字の何れかを解答として表示するパズルに用いるパズル解読補助具であって、
個々の前記マス目は、問題となる数字を1個表示するための問題表示部と、解答となる数字を表示するための解答表示部とを有し、
該解答表示部は、前記問題表示部の隣りに、1からm×nの数字が行方向に沿って順次表示されており、
前記1からm×nの数字は、夫々、解答候補状態と解答非候補状態とに選択自在である、ことを特徴とするパズル解読補助具。
【請求項2】
前記解答表示部の前記数字が昇降自在なボタンの上面に表示され、上昇された前記ボタンの下方に、前記ボタンが下降されたときに潜り抜けるスリットが形成された目隠しシートが配設されており、
前記ボタンが前記目隠しシートの上方に移動されたとき前記解答候補状態となり、前記ボタンが前記目隠しシートの下方に移動されたとき前記解答非候補状態となる、ことを特徴とする請求項1に記載のパズル解読補助具。
【請求項3】
前記パズル全体の夫々の前記マス目について、同一列の前記解答表示部の同一の数字を、列方向に纏めて解答候補状態から解答非候補状態に切り替える列一体切替手段を備えている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のパズル解読補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所謂数独(登録商標)、ナンバープレース、ナンプレ等のパズルの解読作業を迅速に補助できるパズル解読補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
数独、ナンバープレース、ナンプレ等と言われるパズルは、マス目が3行3列に配置されたブロックと、そのブロックが3行3列に配置されたパズル全体(マス目が9行9列の81個)を備えており、パズル全体の9行9列の81個のマス目の幾つかに予め1~9の数字を問題として表示しておき、それら問題となる数字を用い、(1)同一列内のマス目には同じ数字が重複しない、(2)同一行内のマス目には同じ数字が重複しない、(3)同一ブロック内のマス目には同じ数字が重複しない、のルールに則って残りのマス目に1から9までの解答となる数字を入れていくパズルである。
【0003】
このような数独のパズルを解くための補助具として、従来、解答となる数字を入れる一つのマス目に、予め1~9の数字を小さなサイズで3行3列に表示しておき、上記の(1)~(3)のルールに則って解答の可能性がない数字を消して行く内容が記載された先行技術文献が知られている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3236112号公報
【特許文献2】実用新案登録第3143596号公報
【特許文献3】特許第6104449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、文献1、2に記載されたものは、解答となる数字を入れる一つのマス目に1~9の数字が小さなサイズで3行3列に表示されているため、上述した(1)~(3)のルールに則って解答の可能性がない数字を消していく際、3行3列に表示されている1~9の数字を一つずつ消さなければならず、同一の数字を複数纏めて消すことができず、パズルの解読を迅速に補助するという点で改善の余地があった。
【0006】
加えて、上述した(1)~(3)のルールに則って解答の可能性がない数字を消していくと、各マス目に表示された3行3列の小さな数字が謂わば虫食い状に消されていくことになるため、各マス目についてどの数字が生き残っているのか(即ち、どの数字が解答の可能性がある数字なのか)一目で把握し難い。よって、パズルの解読を的確に補助するという点で改善の余地があった。
【0007】
また、別の数独解読補助具として、解答となる一つのマス目について、1~9の数字を順番に横一列に配置しておき、上述した(1)~(3)のルールに則って解答の可能性がない数字を消していく点が記載されたものが知られている(特許文献3)。
【0008】
しかし、文献3に記載されたものは、例えば、1行1列の1マス(一つのマス目)について上述した(1)~(3)のルールに則って解答の可能性のない数字を消すものであり、1行1列から9行1列について解答の可能性ない数字を列方向に纏めて纏めて消すものではない。よって、パズルの解読を迅速に補助するという点で改善の余地があった。
【0009】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、数独のパズルを解答する際に、解答となる数字を入れるマス目について、解答の可能性がない数字を列方向に複数纏めて消すことができ、解答を迅速且つ的確に補助できるパズル解読補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく創案された本発明によれば、数字を表示するためのマス目と、マス目がm行n列(m、nは2以上の自然数)に配置されたブロックと、ブロックがn行m列に配置されたパズル全体とを備え、予めマス目の幾つかに1からm×nの数字の何れかを問題として表示しておき、残りのマス目に所定のルールに従って1からm×nの数字の何れかを解答として表示するパズルに用いるパズル解読補助具であって、個々のマス目は、問題となる数字を1個表示するための問題表示部と、解答となる数字を表示するための解答表示部とを有し、解答表示部は、問題表示部の隣りに、1からm×nの数字が行方向に沿って順次表示されており、1からm×nの数字は、夫々、解答候補状態と解答非候補状態とに選択自在である、ことを特徴とするパズル解読補助具が提供される(請求項1)。
【0011】
本発明に係るパズル解読補助具においては、解答表示部の数字が昇降自在なボタンの上面に表示され、上昇されたボタンの下方に、ボタンが下降されたときに潜り抜けるスリットが形成された目隠しシートが配設されており、ボタンが目隠しシートの上方に移動されたとき解答候補状態となり、ボタンが目隠しシートの下方に移動されたとき解答非候補状態となっていてもよい(請求項2)。
【0012】
本発明に係るパズル解読補助具においては、パズル全体の夫々のマス目について、同一列の解答表示部の同一の数字を、列方向に纏めて解答候補状態から解答非候補状態に切り替える列一体切替手段を備えていてもよい(請求項3)。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るパズル解読補助具によれば、次のような効果を発揮できる。
(1)請求項1に係る発明によれば、個々のマス目の解答表示部に1からm×nの数字が行方向に沿って順次表示されているので、各マス目において解答の可能性がない数字を列方向に沿って容易に複数纏めて消す(解答非候補状態とする)ことができる。よって、パズルを解読する際、迅速に補助できる。
このように個々のマス目の解答表示部に行方向に沿って順次表示された1からm×nの数字のうち解答の可能性が無い数字を列方向に沿って纏めて消す(解答非候補状態とする)ことで、消されていない解答候補状態の数字が列方向に連なった状態で残るので、各マス目の解答表示部においてどの数字が生き残っている(解答候補状態である)のか一目で把握し易い。よって、パズルを解読する際、的確に補助できる。
(2)請求項2に係る発明によれば、解答表示部の数字が表示されたボタンを上昇させて目隠しシートの上方に移動させることで上方からボタンの数字が目視される解答候補状態とし、ボタンに加わるを重力を利用してボタンを下降させてスリットを通じて目隠しシートの下方に移動させることで上方からボタンの数字が目視されない解答非候補状態としているので、簡単な構成で解答候補状態と解答非候補状態とに確実に切り替えることができる。
(3)請求項3によれば、パズル全体の夫々のマス目について、同一列のマス目の解答表示部の同一の数字を、列一体切替手段によって重力を利用して列方向に纏めて解答候補状態から解答非候補状態に切り替えることで、解答の可能性がない数字を列方向に沿って容易に複数纏めて消す(解答非候補状態とする)ことができるので、パズルを解読する際、迅速且つ的確に補助できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパズル解読補助具(マス目が3行3列で1ブロック、1ブロックが3行3列でパズル全体)を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す本実施形態に係るパズル解読補助具のマス目、ブロックおよびパズル全体を示す平面図であり、問題表示部に問題としての数字を表示したパズル開始時の平面図である。
【
図4】(a)は
図1および
図3に示すパズル解読補助具の内部に収容された目隠しシート、列一体切替手段などの斜視図、(b)は
図1の一部の断面図である。
【
図5】(a)は
図4(b)に示すボタンが上昇されてボタンの上面に表示された数字が解答候補状態となっている断面図、(b)はボタンが個別に目隠しシートの下方に押し下げられてボタンの上面に表示された数字が解答非候補状態となっている断面図である。
【
図6】(a)は
図4(b)に示すボタンが上昇されてボタンの上面に表示された数字が解答候補状態となっている断面図、(b)は同一列のボタンが列一体切替手段によって纏めて目隠しシートの下方に押し下げられてボタンの上面に表示された数字が解答非候補状態となっている断面図である。
【
図7】
図6(b)に示すように列一体切替手段によって同一列のボタンが纏めて目隠しシートの下方に押し下げられて解答非候補状態となった数字を、列一体切替手段によって同一列のボタンを纏めて目隠しシートの上方に押し上げることで解答候補状態に戻すための手順を示す説明図であり、
図7(a)は列一体切替手段によって同一列のボタンの数字が全て解答非候補状態となっている断面図、それに続く
図7(b)は列一体切替手段によって同一列のボタンの数字を全て解答候補状態とした断面図、それに続く
図7(c)は同一列のボタンの数字を全て解答候補状態に保持した断面図である。
【
図8】
図5(b)に示すようにボタンが個別に目隠しシートの下方に押し下げられて解答非候補状態となった数字を、解答候補状態に戻すための手順を示す説明図であり、
図8(a)は一つのマス目の数字が個別に解答非候補状態となっている断面図、それに続く
図8(b)は一つのマス目の数字を解答候補状態とした断面図、それに続く
図8(c)は一つのマス目の数字を解答候補状態に保持した断面図である。
【
図9】
図2のパズル開始時からパズルを解答する最初の手順として問題文処理を行った平面図である。
【
図10】次の手順として列処理を行った平面図である。
【
図11】次の手順として行処理を行った平面図である。
【
図12】次の手順としてブロック処理を行った平面図である。
【
図13】次の手順として解答処理を行った平面図である。
【
図14】本発明の変形実施形態が適用されるパズル(マス目が3行4列で1ブロック、1ブロックが4行3列でパズル全体)を示す平面図である。
【
図15】本発明の別の変形実施形態が適用されるパズル(マス目が5行3列で1ブロック、1ブロックが3行5列でパズル全体)を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。係る実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
(パズル解読補助具1の概要)
図1に本発明の一実施形態に係るパズル解読補助具1の斜視図、
図2にパズル解読補助具1の平面図を示す。このパズル解読補助具1は、上述した数独と言われるパズルに用いられるものであり、数字を表示するためのマス目2と、マス目2がm行n列(m、nは2以上の自然数、本実施形態ではm=3、n=3)に配置されたブロック3と、ブロック3がn行m列(本実施形態では3行3列)に配置されたパズル全体4とを備えている。
【0017】
そして、このパズル解読補助具1は、
図1、
図2に示すように、予めマス目2の幾つかに1からm×n(本実施形態では1から9)の数字の何れかを問題として表示しておき、残りのマス目2に所定のルール(数独のルールとして背景技術の欄で述べた(1)~(3)のルール)に従って1からm×n(1から9)の数字の何れかを解答として表示するパズルに用いられる。
【0018】
本実施形態に係るパズル解読補助具1の特徴は、
図1、
図2に示すように、個々のマス目2が、問題となる数字を1個表示するための問題表示部5と、解答となる数字を表示するための解答表示部6とを有し、解答表示部6が、問題表示部5の隣りに、1からm×n(1から9)の数字が行方向に沿って順次表示されており、1からm×n(1から9)の数字が、夫々、解答候補状態と解答非候補状態とに選択自在となっている点にある。以下、各構成要素について説明する。
【0019】
(マス目2)
図1、
図2に示すように、本実施形態に係るパズル解読補助具1は、その外殻を成すパズルケース7を有する。パズルケース7は、木材、樹脂、金属等から成り、略直方体状に形成されている。パズルケース7には、上述したように、数字を表示するためのマス目2が配設されている。一つのマス目2は、
図1において仮想的に破線で囲まれた部分であり、
図2において仮想的にハッチングが施された部分である。
【0020】
(問題表示部5、解答表示部6)
図1、
図2に示すように、個々のマス目2は、問題となる数字を1個表示するための問題表示部5と、解答となる数字を表示するための解答表示部6とを有し、解答表示部6は、問題表示部5の隣りに、1からm×n(1から9)の数字が行方向に沿って順次表示されている。解答表示部6の1からm×n(1から9)の数字は、夫々、後述のように、上方から目視できる解答候補状態と目視できない解答非候補状態とに選択自在となっている。
【0021】
図1に示すように、問題表示部5は、解答表示部6と視覚的に区別し易くするため、パズルケース7の上面に解答表示部6よりも高く形成された凸部7aに設けられている。凸部7aには穴7bが形成されており、穴7bに問題となる1からm×n(1から9)の何れかの数字が頂面に表示された柱8を適宜挿抜することで、問題表示部5に問題となる所望の数字が表示された状態、或いは問題となる数字が存在しない状態にできる。
【0022】
(ブロック3、パズル全体4)
図1、
図2に示すように、パズルケース7の上面には、上述した問題表示部5および解答表示部6から成る一つのマス目2がm行n列(3行3列)に配置されたブロック3と、ブロックがn行m列(3行3列)に配置されたパズル全体4とが配設されている。ブロック3は、
図1において仮想的に太線で囲まれた部分であり、
図2において仮想的にドットが施された部分である。パズル全体4は、9行9列に配置された81個のマス目2から構成されている。
【0023】
(ボタン9、目隠しシート11、スリット10)
図2に示す解答表示部6の数字(1~9)は、
図3、
図4(a)、
図4(b)に示すように、昇降自在なボタン9の上面に表示されており、上昇された状態のボタン9の下方には、ボタン9が下降されたときに潜り抜けるスリット10が形成された目隠しシート11が、配設されている(
図5(a)、
図5(b)参照)。
図5(a)に示すように、ボタン9が目隠しシート11の上方に移動されたとき、ボタン9上面の数字(1~9)が上方から目視できる解答候補状態となり、
図5(b)に示すように、ボタン9が目隠しシート11の下方に移動されたとき、ボタン9上面の数字(1~9)が上方から目視できない解答非候補状態となる。
【0024】
図4(b)、
図5(a)に示すように、ボタン9は、パズルケース7の上面を構成する上板7cに上下方向に貫通形成されたボタン収容穴7dに、昇降自在に収容されている。目隠しシート11は、上板7cの下面とそこにネジ止めされるシート保持板7eとの間に挟持されている。 目隠しシート11のスリット10は、本実施形態では十字状(4本の放射状スリット)に形成されているが、縦スリットでも横スリットでも、8本の放射状スリットでも構わない。
【0025】
図5(a)、
図5(b)に示すように、ボタン9は円柱状のボタン本体9aを有し、ボタン本体9aの下部には円錐状のコーン部9bが設けられており、コーン部9bには目隠しシート11のスリット10を挿通するように中間ロッド9cが接続されている。目隠しシート11は、ゴム等の弾性体からなり、
図5(a)に示すように、ボタン9が上昇されてボタン本体9aの上面に表示された数字(1~9)が上方から目視できる解答候補状態となったとき、中間ロッド9cとコーン部9bとの段差部に目隠しシート11のスリット10の端部が引っ掛かり、ボタン9を上昇位置に保持する機能を発揮する。
【0026】
また、目隠しシート11は、
図5(b)に示すように、ボタン9が目隠しシートのスリット10を潜って下降されて目隠しシート11よりも下方の位置となったとき、開かれていたスリット10が弾性体の復元力によって閉じ、ボタン本体9aの上面に表示された数字(1~9)が上方から目視できない解答非候補状態とする。ここで、ボタン本体9aが目隠しシート11のスリット10を潜るとき、ボタン本体9aの下部に設けられたコーン部9aの円錐面によって潜り抜け易くなる。また、シート保持板7cには、ボタン9が下降されたとき、ボタン9を目隠しシート11の下方に収容するための収容穴7fが形成されている。収容穴7fには、ボタン9のコーン部9bが着座してボタン9を下降位置に保持するボタン支持部7gが円錐状に形成されており、シート保持板7cの下面には、中間ロッド9cを昇降自在に挿通する穴7hが、ボタン支持部7gと繋がって収容穴7fと連通するように形成されている。
【0027】
(列一体切替手段12)
図1に示すパズル全体4の夫々のマス目2は、列一体切替手段12によって、同一列の解答表示部6の同一の数字が、列方向に纏めて解答候補状態から解答非候補状態に切り替えられる。列一体切替手段12は、
図4(a)に示すように、各ボタン9に中間ロッド9cを介して設けられた縦リング9dと、縦リング9dに形成されたロッドガイド長穴9eに挿通された連動ロッド13と、連動ロッド13を上下方向に移動自在に挿通するようにパズルケース7の側面(一対の対向する側面)7iに形成されたケースガイド長穴14とを備えており、
図2、
図3に示すパズル全体4の夫々のマス目2について、同一列の解答表示部6の同一の数字を、列方向に纏めて解答候補状態から解答非候補状態に切り替えるものである。以下各構成要素について説明する。
【0028】
図4(a)に示すように、各ボタン9の中間ロッド9cの下端には、上下方向に細長いロッドガイド長穴9eが形成された縦リング9dが、夫々設けられている。同一列における各ボタン9のロッドガイド長穴9eには、連動ロッド13が上下方向に移動自在に挿通されている。ロッドガイド長穴9eの上下方向のサイズは、
図5(a)に示すように、ボタン9が上昇位置となったときロッドガイド長穴9eの下端に連動ロッド13が位置し、
図5(b)に示すように、ボタン9が下降位置となったときロッドガイド長穴9eの上端に連動ロッド13が位置するサイズに設定されている。なお、
図5(a)、
図5(b)において、連動ロッド13の上下方向の位置は変わっていない。
【0029】
図5(a)、
図5(b)に示す連動ロッド13は、
図1、
図4(a)にも示すように、パズルケース7の側面(一対の対向する側面)7iに形成された上下方向に細長いケースガイド長穴14に、上下方向に移動自在に挿通されている。連動ロッド13は、
図5(a)に示すように、ボタン9が上昇位置となったとき、ケースガイド長穴14の上下方向における中程に位置しており、パズルケース7の側面7iに回動自在に設けられたストッパ片15が水平姿勢とされてそれに支持されることで、下降しないようになっている。ケースガイド長穴14の上下方向のサイズは、
図6(a)の状態から
図6(b)に示すように、ストッパ片15が鉛直姿勢とされてその支持を解除し、連動ロッド13を下降させてボタン9を下降位置まで下げたときケースガイド長穴14の下端に連動ロッド13が位置し、
図7(a)の状態から
図7(b)に示すように、連動ロッド13を上昇させてボタン9を上昇位置まで上げたときケースガイド長穴14の上端に連動ロッドが位置するサイズに設定されている。
【0030】
(ボタン9を個別で押し下げる場合)
図1に示す各マス目2について、上昇位置となっている各ボタン9を個別に目隠しシート11の下方に押し下げることで、ボタン9の上面に表示された数字を解答候補状態から解答非候補状態に切り替えることができる。この場合、
図5(a)に示すように、ストッパ片15を水平姿勢として連動ロッド13を支持した状態で、押し下げを希望するボタン9の頂面を下方に押圧する。このとき、ボタン9を押圧する指がボタン収容穴7dに対して大き過ぎて押し下げ難い場合には、指よりも細い押下棒16を用いてもよい。これにより、
図5(b)に示すように、ボタン9が目隠しシート11よりも下方の下降位置となり、ボタン9の上面に表示された数字が解答候補状態から解答非候補状態となる。このとき、ボタン9の重量(ボタン本体9a、コーン部9b、中間ロッド9c、縦リング9dの重量)は、ボタン9のコーン部9bが着座するボタン支持部7gに支持され、連動ロッド13の重量はストッパ片15に支持され、連動ロッド13には、ボタン9の重量が縦リング9dを介して加わることはない。
【0031】
(ボタン9を列一体切替手段12で押し下げる場合)
図1、
図2に示す各マス目2について、上昇位置となっている同一列の解答表示部6の同一の数字のボタン9を列方向に纏めて下降させることで、ボタン9の上面に表示された数字を列方向に纏めて解答候補状態から解答非候補状態に切り替えることができる。この場合、押し下げを希望する列のストッパ片15を、
図6(a)に示すように、鉛直姿勢に回動させて解除状態(連動ロッド13を支持しない状態)とし、押し下げを希望する列の連動ロッド13を押し下げる。これにより、
図6(b)に示すように、同一列のボタン9が全て目隠しシート11よりも下方の下降位置となり(
図4(a)参照)、ボタン9の上面に表示された数字が解答候補状態から解答非候補状態となる。このとき、ボタン9の重量(ボタン本体9a、コーン部9b、中間ロッド9c、縦リング9dの重量)は、ボタン9のコーン部9bが着座するボタン支持部7gに支持され、連動ロッド13の重量はパズルケース7のケースガイド長穴14の下端に支持され、ボタン支持部7gには、連動ロッド13の重量が縦リング9dを介して加わることはない。
【0032】
(列一体切替手段12で押し下げられたボタン9を列一体切替手段12で押し上げる場合)
図6(b)に示すように列一体切替手段12で押し下げられた同一列のボタン9を列一体切替手段12によって纏めて押し上げる場合には、
図6(b)と実質的に同図である
図7(a)に示す状態から連動ロッド13を押し上げる。これにより、
図7(b)に示すように、同一列のボタン9が全て目隠しシート11よりも上方の上昇位置となり、ボタン9の上面に表示された数字が解答非候補状態から解答候補状態となる。その後、ストッパ片15を水平姿勢となるように回動させて連動ロッド13を支持する位置とし、連動ロッド13を押し上げていた指を連動ロッド13から離す。すると、
図7(c)に示すように、連動ロッド13がストッパ片15に支持される位置まで下がり、一番最初の状態である
図5(a)の状態にリセットされる。このとき、ボタン9の重量(ボタン本体9a、コーン部9b、中間ロッド9c、縦リング9dの重量)は、弾性体からなる目隠しシート11によって支持され、連動ロッド13の重量はストッパ片15に支持され、目隠しシート11には、連動ロッド13の重量が加わらない。よって、ボタン9が弾性シート11のスリット10を潜り抜けて下がることを防止できる。なお、弾性シート11の弾性力は、ボタン9の重量をスリット10で保持できるように設定されている。
【0033】
(個別に押し下げられたボタン9を押し上げる場合)
図5(b)に示すように個別に押し下げられたボタン9を押し上げる場合には、
図5(b)と実質的に同図である
図8(a)に示す状態から連動ロッド13を押し上げる。これにより、
図8(b)に示すように、ボタン9が目隠しシート11よりも上方の上昇位置となり、ボタン9の上面に表示された数字が解答非候補状態から解答候補状態となる。その後、連動ロッド13を押し上げていた指を連動ロッド13から離す。すると、
図8(c)に示すように、連動ロッド13がストッパ片15に支持される位置まで下がり、一番最初の状態である
図5(a)の状態にリセットされる。このとき、ボタン9の重量(ボタン本体9a、コーン部9b、中間ロッド9c、縦リング9dの重量)は、弾性体からなる目隠しシート11によって支持され、連動ロッド13の重量はストッパ片15に支持され、目隠しシート11には、連動ロッド13の重量が加わらない。よって、ボタン9が弾性シート11のスリット10を潜り抜けて下がることを防止できる。
【0034】
(パズル解読の手順)
以下、本実施形態にかかるパズル解読補助具1を用いた数独のパズルを解読するための手順を説明する。
【0035】
(問題作成処理)
先ず、数独のパズルの問題が記載された雑誌や新聞などに基づいて、
図1に示すように、各マス目2の問題表示部5の穴7bに、問題となる数字(1~9)が表示された柱8を差し入れる。この問題作成処理により、
図2に示すように、問題表示部2に、雑誌や新聞などに記載された数独のパズルと同じように、問題となる数字が表示された状態となる。
【0036】
(問題文処理)
次に、
図9に示すように、問題文処理を行う。すなわち、問題となる数字が表示されたマス目2の解答表示部6の数字(1~9)を、全て
図5(a)に示す解答候補状態から個別に
図5(b)に示す解答非候補状態とする。問題表示部5に問題となる数字が表示されたマス目2の解答表示部6の数字(1~9)は、そもそも解答する必要がなく、パズルを考える際に目障りとなるからである。
【0037】
(列処理)
次に、
図10に示すように、列処理を行う。列処理とは、同一列内のマス目2には同じ数字が重複しないようにする処理である。本実施形態においては、1行1列~9行1列の同一列の問題表示部には、ハッチングで示すように「7」、「2」、「9」、「5」が存在するので、1行1列~9行1列の同一列の解答表示部6には、「7」、「2」、「9」、「5」が重複して存在することはない。よって、
図1に示すように、パズルケース7の側面7iに表示された「7」、「2」、「9」、「5」の連動ロッド13のストッパ片15を鉛直姿勢に回動して解除状態とし、それらの連動ロッド13を押し下げる。これにより、1行1列~9行1列の同一列の解答表示部において、「7」、「2」、「9」、「5」が目隠しシートの下方に下がり、解答非候補状態となる。同様の作業を各列について行うことて
図10の状態となる。
【0038】
(行処理)
次に、
図11に示すように、行処理を行う。列処理とは、同一行列内のマス目2には同じ数字が重複しないようにする処理である。本実施形態においては、1行1列~1行9列の同一行の問題表示部には、ハッチングで示すように「7」、「9」、「4」、「2」、「3」が存在するので、1行1列~1行9列の同一列の解答表示部には、「7」、「9」、「4」、「2」、「3」が重複して存在することはない。よって、
図10の状態において、1行1列~1行9列の同一行の解答表示部の「7」、「9」、「4」、「2」、「3」を、解答候補状態から解答非候補状態とする。具体的には、「7」、「9」、「4」、「2」、「3」が表示されたボタン9を
図5(a)の状態から個別に押し下げることで、
図5(b)の状態とする。これにより、1行1列~1行9列の同一行の解答表示部において、「7」、「9」、「4」、「2」、「3」が目隠しシート11の下方に下がり、解答非候補状態となる。同様の作業を各行について行うことて
図11の状態となる。
【0039】
(ブロック処理)
次に、
図12に示すように、ブロック処理を行う。ブロック処理とは、同一ブロック3内のマス目2には同じ数字が重複しないようにする処理である。本実施形態においては、1行1列~3行3列の9個のマス目のブロックの問題表示部には、ハッチングで示すように「7」、「8」、「9」、「2」が存在するので、1行1列~3行3列の9個のマス目のブロックの解答表示部には、「7」、「8」、「9」、「2」が重複して存在することはない。よって、
図11の状態において、1行1列~3行3列の9個のマス目2のブロック3の解答表示部6の「7」、「8」、「9」、「2」を、解答候補状態から解答非候補状態とする。具体的には、「7」、「8」、「9」、「2」が表示されたボタン9を
図5(a)の状態から個別に押し下げることで、
図5(b)の状態とする。これにより、1行1列~3行3列の9個のマス目2のブロック3の解答表示部6において、「7」、「8」、「9」、「2」が目隠しシート11の下方に下がり、解答非候補状態となる。同様の作業を各行ブロックについて行うことて
図12の状態となる。
【0040】
(解答処理)
次に、
図13に示すように、解答処理を行う。解答処理とは、
図12のブロック処理によって解答表示部6の数字が唯一つとなったマス目2の数字(
図12のハッチング部分)を、
図13に示すように問題表示部5に移す処理である。本実施形態においては、
図12にハッチングで示すように、5行8列のマス目2の解答表示部6、8行7列のマス目2の解答表示部6、9行6列のマス目2の解答表示部6にて、夫々唯一つの数字(1、6、8)が残った状態となっているので、その数字がそのマス目2の解答となる。よって、その数字が表示されたボタン9を
図5(a)の状態から個別に押し下げることで
図5(b)の状態とし、
図1に示すように、該当するマス目2の問題表示部5の穴7bに解答となる数字(1、6、8)が表示された柱8を差し入れる。これにより、解答が判明した解答表示部6の数字が空欄(ブランク)となって無くなる(目視できなくなる)ため、パズルを考える際に目障りとならず、また、その解答となる数字が問題表示部5に表示されることになるので、パズルを解くために考える際に手掛かりとなる数字が増え、考え易くなる。
【0041】
(繰り返し処理)
その後、
図13にハッチングで示すように、新たに手掛かりとなった数字(5行8列のマス目2の「1」、8行7列のマス目2の「6」、9行6列のマス目2の「8」)を加味した上で、上述した「列処理」、「行処理」、「ブロック処理」、「解答処理」を行う。これにより、新たな解答となる数字が更に導き出され、その新たな解答となる数字を加味して更に、上述した「列処理」、「行処理」、「ブロック処理」、「解答処理」を行う。このように各処理を繰り返すことで、各マス目2の解答表示部6において解答となる数字を導き出す。
【0042】
(作用・効果)
本実施形態に係るパズル解読補助具1によれば次のような作用・効果を発揮できる。
【0043】
図1、
図2に示すように、個々のマス目2の解答表示部6に1から9の数字が行方向に沿って順次表示されているので、各マス目2において解答の可能性がない数字を列方向に沿って容易に複数纏めて消す(解答非候補状態とする)ことができる。よって、パズルを解読する際、迅速に補助できる。このように個々のマス目2の解答表示部6に行方向に沿って順次表示された1から9の数字のうち、解答の可能性が無い数字を列方向に沿って纏めて消す(解答非候補状態とする)ことで、消されていない解答候補状態の数字が列方向に連なった状態で残る(
図10参照)ので、各マス目2の解答表示部6においてどの数字が生き残っている(解答候補状態である)のか一目で把握し易い。よって、パズルを解読する際、的確に補助できる。
【0044】
図1に示す解答表示部6の数字が表示されたボタン9を、
図4(a)、
図4(b)に示すように、上昇させて目隠しシート11の上方に移動させることで、ボタン9の数字が上方から目視される解答候補状態とし、
図5(a)から
図5(b)にかけて示すように、ボタン9をそれに加わる重力を利用して下降させて、スリット10を通じて目隠しシート11の下方に移動させることで、ボタン9の数字が上方から目視されない解答非候補状態としているので、簡単な構成で解答候補状態と解答非候補状態とに確実に切り替えることができる。
【0045】
図1に示すパズル全体4の夫々のマス目2について、同一列のマス目2の解答表示部6の同一の数字を、
図4(a)に示す列一体切替手段12によって、
図6(a)から
図6(b)にかけて示すように、ボタン9に加わる重力を利用して列方向に纏めて解答候補状態から解答非候補状態に切り替えることで、解答の可能性がない数字を列方向に沿って容易に複数纏めて目隠しシート11の下方に移動させて上方から目視されない解答非候補状態とすることができるので、パズルを解読する際、迅速且つ的確に補助できる。
【0046】
(変形実施例)
図14は、本発明の変形実施例が適用されるパズル(マス目が3行4列で1ブロック、1ブロックが4行3列でパズル全体)を示す平面図である。
【0047】
図1~
図13に示す最初の実施形態においては、マス目2が3行3列に配置されたブロック3と、ブロック3が3行3列)に配置されたパズル全体4とを備えた数独のパズルに本発明を適用した例を述べた。しかし、本発明は、これに限らず、
図14に示すように、マス目が3行4列に配置されたブロックと、ブロックが4行3列に配置されたパズル全体とを備えた数独のパズルにも適用できる。すなわち、本発明は、マス目がm行n列(m、nは2以上の自然数)に配置されたブロックと、ブロックがn行m列に配置されたパズル全体とを備えた数独のパズルに適用できる。
【0048】
(変形実施形態)
図14は、本発明の変形実施形態が適用されるパズル(マス目が3行4列で1ブロック、1ブロックが4行3列でパズル全体)を示す平面図であり、
図15は、本発明の別の変形実施形態が適用されるパズル(マス目が5行3列で1ブロック、1ブロックが3行5列でパズル全体)を示す平面図である。
【0049】
図1~
図13に示す最初の実施形態においては、マス目2が3行3列に配置されたブロック3と、ブロック3が3行3列)に配置されたパズル全体4とを備えた数独のパズルに本発明を適用した例を述べた。しかし、本発明は、これに限らず、
図14に示すように、マス目が3行4列に配置されたブロックと、ブロックが4行3列に配置されたパズル全体とを備えた数独のパズルにも適用でき、
図15に示すように、マス目が5行3列に配置されたブロックと、ブロックが3行5列に配置されたパズル全体とを備えた数独のパズルにも適用できる。すなわち、本発明は、マス目がm行n列(m、nは2以上の自然数)に配置されたブロックと、ブロックがn行m列に配置されたパズル全体とを備えた数独のパズルに適用できる。
【0050】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。例えば、マス目2、ブロック3、パズル全体4をPC端末やタブレット端末の画面に表示させ、プログラムによって問題表示部5に所望の数字を適宜表示・非表示とし、解答表示部6の数字(1からm×nの数字)について適宜解答候補状態(目視できる表示状態)と解答非候補状態(目視できない非表示)とに切り替え可能とし、夫々のマス目2について、同一列の解答表示部6の同一の数字を、ソフトウェア(プログラム)を用いた列一体切替手段12によって、列方向に纏めて解答候補状態から解答非候補状態に切り替え可能としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、所謂数独、ナンバープレース、ナンプレ等のパズルの解読作業を迅速に補助できるパズル解読補助具に利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 パズル解読補助具
2 マス目
3 ブロック
4 パズル全体
5 問題表示部
6 解答表示部
9 ボタン
10 スリット
11 目隠しシート
12 列一体切替手段