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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154594
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
E04H1/02
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068504
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】山下 登教
(72)【発明者】
【氏名】山本 博朗
(72)【発明者】
【氏名】仁木 政揮
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025AA22
(57)【要約】
【課題】間取り変更の容易性を確保することができる住宅を提供することを目的とする。
【解決手段】住宅1は、二階以上の階において、それぞれ収納部23a,24a及び居室部23b,24bを有する複数の部屋(第一部屋23,第二部屋24)と、複数の収納部23a,24aの間であり、且つ複数の居室部23b,24bに隣接する位置に設けられ、複数の収納部23a,24aに連通する共用空間25と、を備え、収納部23a,24aは、複数の部屋の間に位置せず、且つ前記階の他の部屋と隣接しない階の隅部に位置しており、複数の居室部23b,24bは、互いに隣接して配置され、複数の居室部23b,24b同士を仕切る間仕切り壁(薄壁28)は、非耐力壁である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二階以上の階において、
それぞれ収納部及び居室部を有する複数の部屋と、
複数の前記収納部の間であり、且つ複数の前記居室部に隣接する位置に設けられ、複数の前記収納部に連通する共用空間と、
を備え、
前記収納部は、前記複数の部屋の間に位置せず、且つ前記階の他の部屋と隣接しない前記階の隅部に位置しており、
複数の前記居室部は、互いに隣接して配置され、
複数の前記居室部同士を仕切る間仕切り壁は、非耐力壁である住宅。
【請求項2】
前記収納部と前記居室部との第一境界部と、複数の前記居室部と前記共用空間との第二境界部は、同一直線上に配置されており、
前記第一境界部及び前記第二境界部には、複数の前記収納部及び前記共用空間側と、複数の前記居室部側と、を仕切る戸が設けられている請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
複数の前記収納部及び前記共用空間側の床が、複数の前記居室部側の床よりも高いために段差が形成されており、
前記第一境界部及び前記第二境界部は、前記段差の上がり框を含む請求項2に記載の住宅。
【請求項4】
前記共用空間の床下に蓄熱材を備える請求項3に記載の住宅。
【請求項5】
前記複数の部屋は、前記第一境界部に隣接して、且つ前記収納部と前記共用空間との境界部である位置に第一柱を有する請求項2から4のいずれか一項に記載の住宅。
【請求項6】
前記共用空間は、複数の前記居室部と前記共用空間との第二境界部に隣接して第二柱を有し、
前記間仕切り壁は、前記第二柱に固定されている請求項1に記載の住宅。
【請求項7】
前記共用空間と屋外との間に位置する屋外窓を備え、
前記戸は、ガラス戸である請求項2に記載の住宅。
【請求項8】
前記共用空間と第一収納部との間に位置する第一出入口と、
前記共用空間と第二収納部との間に位置する第二出入口と、を備え、
前記第一出入口と前記第二出入口は、互いに対向する請求項1に記載の住宅。
【請求項9】
前記共用空間と屋外との間に位置する屋外窓を備え、
前記共用空間は、洗濯物を乾燥させるスペースとしてのドライルームまたはサンルームとして用いられる請求項1に記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上階に、複数の部屋と、当該複数の部屋にそれぞれ隣接し、且つ連続しているバルコニーと、が設けられた住宅が知られている。
【0003】
これに関して、特許文献1には、上階に、主寝室と、主寝室に隣接した第一子供部屋と、第一子供部屋に隣接した第二子供部屋と、主寝室及び第一子供部屋にそれぞれ隣接し、且つ連続しているバルコニーとが設けられた住宅が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-190010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、住宅において、子供の成長、親との同居等により居住者のライフスタイル、ライフステージや家族構成等が住宅購入後に変化した場合に、当該変化に応じた間取りに変更することが求められる。特に、住宅が狭い場合、間取り変更により部屋を広げることが求められる可能性がある。
しかし、上記のような住宅では、部屋を仕切る壁の少なくとも一部が耐力壁であって、且つ当該壁に収納部を設けることが一般的である。そのため、部屋を広げるための間取り変更をすることは容易ではなかった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、間取り変更の容易性を確保することができる住宅を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、例えば図2、6に示すように、住宅1であって、
二階以上の階において、
それぞれ収納部23a,24a及び居室部23b,24bを有する複数の部屋(第一部屋23,第二部屋24)と、
複数の前記収納部23a,24aの間であり、且つ複数の前記居室部23b,24bに隣接する位置に設けられ、複数の前記収納部23a,24aに連通する共用空間25と、
を備え、
前記収納部23a,24aは、前記複数の部屋の間に位置せず、且つ前記階の他の部屋と隣接しない前記階の隅部に位置しており、
複数の前記居室部23b,24bは、互いに隣接して配置され、
複数の前記居室部23b,24b同士を仕切る間仕切り壁(薄壁28)は、非耐力壁である。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、複数の居室部23b,24bを仕切る間仕切り壁(薄壁28)は非耐力壁であるため、比較的容易に取り除くことができる。これにより、当該間仕切り壁を取り除いた場合、複数の居室部23b,24bを連続した一部屋として使用することができる。つまり、複数の居室部23b,24bを仕切る壁を取り除くことにより居住空間の間取りを容易に変更できる。すなわち、居住空間における間取り変更の容易性を確保することができる。
また、共用空間25からそれぞれの部屋が有する収納部23a,24aに直接出入りができる。つまり、共用空間25から収納部23a,24aに直接物品を出し入れできる。これにより、居住空間の利便性を向上させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、例えば図2、5~7に示すように、請求項1に記載の住宅1において、
前記収納部23a,24aと前記居室部23b,24bとの第一境界部(境界部23h,24d)と、複数の前記居室部23b,24bと前記共用空間25との第二境界部(境界部25a)は、同一直線上に配置されており、
前記第一境界部及び前記第二境界部には、複数の前記収納部23a,24a及び前記共用空間25側と、複数の前記居室部23b,24b側と、を仕切る戸(ガラス戸27a,27b)が設けられている。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、戸(ガラス戸27a,27b)により、複数の前記収納部23a,24a及び前記共用空間25側と、複数の前記居室部23b,24b側とを明確に仕切ることができる。これにより、複数の前記収納部23a,24a及び前記共用空間25側と、複数の前記居室部23b,24b側の属性を明確にすることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、例えば図3に示すように、請求項2に記載の住宅1において、
複数の前記収納部23a,24a及び前記共用空間25側の床が、複数の前記居室部23b,24b側の床よりも高いために段差が形成されており、
前記第一境界部(境界部23h,24d)及び前記第二境界部(境界部25a)は、前記段差の上がり框を含む。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、複数の前記収納部23a,24a及び前記共用空間25側と、複数の前記居室部23b,24b側の境界部を明確にすることができる。これにより、複数の前記収納部23a,24a及び前記共用空間25側と、複数の前記居室部23b,24b側の属性を明確にすることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、例えば図2、5~7に示すように、請求項3に記載の住宅1において、
前記共用空間の床下に蓄熱材を備える。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、屋外窓21から差し込む日光の熱を当該蓄熱材により蓄熱することができる。これにより、例えば冬季において、昼間のうちに当該蓄熱材によって蓄熱しておき、夜間において共用空間25内部で放熱させることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、例えば図2、5~7に示すように、請求項2から4のいずれか一項に記載の住宅1において、
前記複数の部屋(第一部屋23,第二部屋24)は、前記第一境界部(境界部23h,24d)に隣接して、且つ前記収納部23a,24aと前記共用空間25との境界部である位置に第一柱(柱231a,241a)を有する。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、第一境界部(境界部23h,24d)に隣接して、且つ収納部23a,24aと共用空間25との境界部である位置、つまり各部屋の壁際ではない位置において垂直荷重を支持する第一柱(柱231a,241a)を設けることができる。これにより、住宅1の強度を向上させることができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、例えば図2、6に示すように、請求項1に記載の住宅1において、
前記共用空間25は、複数の前記居室部23b,24bと前記共用空間25との第二境界部(境界部25a)に隣接して第二柱(柱25b)を有し、
前記間仕切り壁(薄壁28)は、前記第二柱に固定されている。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、間仕切り壁(薄壁28)を、居室部23bと居室部24bとの間に容易に取り付けることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、例えば図4に示すように、請求項2に記載の住宅において、
前記共用空間25と屋外との間に位置する屋外窓21を備え、
前記戸は、ガラス戸27a,27bである。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、居室部23b、収納部23a、及び共用空間25が一体的に見えることで、第一部屋23が広く見えるという効果がある。また、居室部24b、収納部24a、及び共用空間25が一体的に見えることで、第二部屋24が広く見えるという効果がある。
また、居室部23b,24bは、屋外からの光を屋外窓21、共用空間25及びガラス戸27a,27bを介して受けることができる。これにより、居室部23b,24bにおける採光性を向上させることができる。
【0021】
請求項8に記載の発明は、例えば図2、5~7に示すように、請求項1に記載の住宅において、
前記共用空間25と第一収納部(収納部23a)との間に位置する第一出入口232aと、
前記共用空間25と第二収納部(収納部24a)との間に位置する第二出入口242aと、を備え、
前記第一出入口232aと前記第二出入口242aは、互いに対向する。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、共用空間25を介して第一収納部(収納部23a)と第二収納部(収納部24a)の間を容易に移動できる。つまり、収納部23aと収納部24aの間において共用空間25を介して容易に物品の移動ができる。これにより、居住空間の利便性を向上させることができる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、例えば図1、2、5~7に示すように、請求項1に記載の住宅1において、
前記共用空間25と屋外との間に位置する屋外窓21を備え、
前記共用空間25は、洗濯物を乾燥させるスペースとしてのドライルームまたはサンルームとして用いられる。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、ドライルームまたはサンルームとしての共用空間25から直接、収納部23a,24aに洗濯物を収納できる。これにより、居住空間の利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、間取り変更の容易性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】住宅を示す正面図である。
図2図1に示す住宅のII-II線断面図である。
図3図2に示すIII-III線断面図である。
図4図2に示すIV-IV線断面図である。
図5】薄壁を取り除いた場合における図1に示す住宅のII-II線断面図である。
図6】薄壁を取り除いた場合における図1に示す住宅のII-II線断面図である。
図7】薄壁を取り除いた場合における図1に示す住宅のII-II線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0028】
図1に、住宅1の正面図を示す。
図2は、図1に示す住宅1のII-II線断面図であり、住宅1の二階の間取りを表している。
【0029】
なお、本実施形態の住宅1は、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場でパネル化しておき、施工現場でこれらのパネル(建築用木質パネル)を組み立てて構築するパネル工法で構築されるが、これに限られるものではなく、従来の軸組工法、壁式工法、ツーバイフォー工法等で構築されるものとしてもよい。
【0030】
また、このパネルとは、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面もしくは片面に面材(例えば合板)が貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填される。
【0031】
住宅1は、一階床(図示無し)と、二階床2と、を備えて二層に構築されている。
一階床及び二階床2上のそれぞれには、居室となる部屋(例えばリビング、ダイニング、寝室、子供部屋等)や、所定の機能が付与された部屋(例えば玄関、廊下、キッチン、浴室、トイレ、洗面所、収納室等)が適宜設けられる。
また、住宅1の正面には、第一正面外壁1aと、第二正面外壁1bと、が設けられている。
【0032】
第一正面外壁1aは、住宅1の一階部分に設けられている。
また、第一正面外壁1aの左側に寄った位置には、上下方向に長く形成された矩形の窓が設けられている。
【0033】
第二正面外壁1bは、住宅1の二階部分に設けられている。
また、第二正面外壁1bの中央部には、略正方形の屋外窓21が設けられている。
【0034】
図2に示すように、住宅1の二階には、階段3の下り口から続くホール22や複数の部屋が適宜設けられている。以下、具体的な住宅1の二階の構成を示す。
【0035】
ホール22の南西側であり、且つ二階の南西部分には、主寝室として機能する第一部屋23が設けられている。
第一部屋23は、南部分に収納部23a(第一収納部)と、北部分に居室部23bとを有する。
なお、第一部屋23の詳細な構成については後述する。
【0036】
ホール22の南側であり、且つ第一部屋23の東側には、例えば、子供部屋として機能する第二部屋24が設けられている。
第二部屋24は、南部分に収納部24a(第二収納部)と、北部分に居室部24bとを有する。
居室部23bと居室部24bは、互いに隣接して配置されている。
なお、第二部屋24の詳細な構成については後述する。
【0037】
収納部23aと収納部24aの間であり、且つ居室部23b及び居室部24bに隣接する位置に共用空間25が設けられている。
なお、共用空間25の詳細な構成については後述する。
【0038】
階段3と第二部屋24との間に位置する中間室26には、トイレが設けられている。
また、中間室26とホール22との間に位置する壁には開口部が形成され、ドア26aが設けられている。中間室26へは、ホール22からドア26aを介して直接に出入り可能となっている。
【0039】
ホール22の西側であり、且つ第一部屋23の北側には、例えば、子供部屋として機能する第三部屋31が設けられている。
第三部屋31と居室部23bは、互いに隣接して配置されている。
なお、第三部屋31の詳細な構成については後述する。
【0040】
また、本実施形態の住宅1には、屋外に露出するバルコニーが設けられていない。
【0041】
〔第一部屋23について〕
第一部屋23の床面積の広さは、第二部屋24の床面積の広さより大きい。
居室部23bとホール22との間に位置する壁には開口部231fが形成されている。また、開口部231fの東側に隣接し、居室部23bと居室部24bの間において柱30bが立設されている。また、開口部231fの西側に隣接して柱231dが立設されている。
開口部231fに、ドア232fが設けられている。居室部23bへは、ホール22からドア232fを介して直接に出入り可能となっている。
【0042】
図3に、図2に示すIII-III線断面図を示す。
図3に示すように、収納部23aの床の位置は、居室部23bの床の位置に比べて高くなっている。つまり、収納部23aと居室部23bの境界部23h(第一境界部)は上がり框である。
境界部23hを上がり框とすることで、収納部23aと居室部23bの境界部23hを明確にし、収納部23aと居室部23bの属性を明確にすることができる。
【0043】
なお、収納部23aの床の位置と、居室部23bの床の位置とを同じ高さに設けてもよい。
この場合、収納部23aの床及び居室部23bの床に同じ仕上げ材を用いると、第一部屋23が広く見えるという効果がある。
一方、収納部23aの床及び居室部23bの床に異なる仕上げ材を用いると、収納部23aと居室部23bの境界線を明確にし、収納部23aと居室部23bの属性を明確にすることができる。
【0044】
収納部23aは、第一部屋23と第二部屋24との間に位置せず、且つ第二部屋24と隣接しない2階の南西の隅部に位置する。
収納部23aは、収納部23aと居室部23bの境界部23h(第一境界部)に隣接して、且つ収納部23aと共用空間25との境界部において、垂直荷重を支持する柱231a(第一柱)を有する。つまり、垂直荷重を支持する柱231aは、第一部屋23において、壁際ではない位置に設けられる。
【0045】
収納部23aは、共用空間25との境界部において、第一出入口232aを有する。
収納部23aへは、共用空間25から第一出入口232aを介して直接出入り可能となっている。つまり、収納部23aと共用空間25は連通している。
なお、第一出入口232aに引戸等の建具が設けられてもよい。
【0046】
収納部23aには、収納用の造作家具233aが設けられている。造作家具233aは、例えば、収納棚やハンガーパイプ等である。
【0047】
〔第二部屋24について〕
第二部屋24の床面積の広さは、第一部屋23の床面積の広さより小さい。
居室部24bとホール22との間に位置する壁には開口部241cが形成され、ドア242cが設けられている。居室部24bへは、ホール22からドア242cを介して直接に出入り可能となっている。
【0048】
収納部24aの床の位置は、収納部23aと同様に、居室部23b及び居室部24bの床の位置に比べ高くなっている。つまり、収納部24aと居室部24bの境界部24d(第一境界部)は上がり框である。
境界部24dを上がり框とすることで、収納部24aと居室部24bの境界部24dを明確にし、収納部24aと居室部24bの属性を明確にすることができる。
【0049】
なお、収納部23aと同様に、収納部24aの床の位置と、居室部24bの床の位置とを同じ高さに設けてもよい。
この場合、収納部24aの床及び居室部24bの床に同じ仕上げ材を用いると、第二部屋24が広く見えるという効果がある。
一方、収納部24aの床及び居室部24bの床に異なる仕上げ材を用いると、収納部24aと居室部24bの境界線を明確にし、収納部24aと居室部24bの属性を明確にすることができる。
【0050】
収納部24aは、第一部屋23と第二部屋24との間に位置せず、且つ第一部屋23と隣接しない2階の南東の隅部に位置する。
収納部24aは、収納部24aと居室部24bとの境界部24d(第一境界部)に隣接して、且つ収納部24aと共用空間25との境界部において、垂直荷重を支持する柱241a(第一柱)を有する。つまり、垂直荷重を支持する柱241aは、第二部屋24において、壁際ではない位置に設けられる。
【0051】
収納部24aは、共用空間25との境界部において、第二出入口242aを有し、当該第二出入口242aには、引戸244aが設けられている。
収納部24aへは、共用空間25から第二出入口242aを介して直接出入り可能となっている。つまり、収納部24aと共用空間25は連通している。
また、図2に示すように、第一出入口232aと第二出入口242aは、互いに対向している。これにより、共用空間25を介して、収納部23aと収納部24aの間を容易に移動できる。つまり、収納部23aと収納部24aの間において共用空間25を介して容易に物品の移動ができる。これにより、居住空間の利便性を向上させることができる。
【0052】
収納部24aには、収納用の造作家具243aが設けられている。造作家具243aは、例えば、収納棚やハンガーパイプ等である。
【0053】
〔共用空間25について〕
共用空間25は、二階の南端に設けられている。
共用空間25の南側には、共用空間25と屋外との間に位置する屋外窓21が設けられている。
【0054】
共用空間25は、例えば、ドライルームやサンルームとして機能する。
共用空間25には、物干し機25cが設けられている。
すなわち、共用空間25では、衣類等の洗濯物を乾燥させるスペースとして機能することができる。
また、収納部23a及び収納部24aは、衣類や洗濯が可能なその他多くの布製品(タオル、ハンカチ、シーツ、毛布、布団等々)、身に着ける小物類(帽子、メガネ、バッグ)を始め、様々な物品を収納できるスペースである。
したがって、共用空間25で乾燥させられた衣類などの洗濯物を、隣接する収納部23a及び収納部24aに直接運び入れることができる。
【0055】
共用空間25の床の位置は、収納部23a及び収納部24aと同様に、居室部23b及び居室部24bの床の位置に比べ高くなっている。つまり、共用空間25と、居室部23b及び居室部24bとの境界部25a(第二境界部)は上がり框である。
境界部25aを上がり框とすることで、共用空間25と、居室部23b及び居室部24bとの境界部25aを明確にし、共用空間25と、居室部23b及び居室部24bの属性を明確にすることができる。
また、共用空間25の床下には、蓄熱材が設けられる。これにより、屋外窓21から差し込む日光の熱を当該蓄熱材により蓄熱することができる。したがって、例えば冬季において、昼間のうちに当該蓄熱材によって蓄熱しておき、夜間において共用空間25内部で放熱させることができる。当該熱により共用空間25における衣類などの洗濯物が乾きやすくなる。
【0056】
共用空間25の床の位置を、居室部23b及び居室部24bの床の位置に比べ高くすることで、共用空間25の床下に容易に蓄熱材を設けることができるが、これに限らない。共用空間25の床下に蓄熱材を設けつつ、共用空間25の床の位置と、居室部23b及び居室部24bとの床の位置とを同じ高さに設けてもよい。
この場合、共用空間25の床、居室部23b及び居室部24bの床に同じ仕上げ材を用いると、第一部屋23及び第二部屋24が広く見えるという効果がある。
一方、共用空間25の床と、居室部23b及び居室部24bの床とで、異なる仕上げ材を用いると、共用空間25の床と、居室部23b及び居室部24bとの境界部25aを明確にし、共用空間25と、居室部23b及び居室部24bの属性を明確にすることができる。
【0057】
共用空間25は、境界部25a(第二境界部)に隣接した位置であって、東西方向において居室部23bと居室部24bの境界部と同じ位置に、垂直荷重を支持する柱25b(第二柱)を有する。
【0058】
〔中間壁30aについて〕
居室部23bと居室部24bとの間において中間壁30aが設けられている。
中間壁30aは、柱25bを含み、石膏ボード等の面材により被覆されている。
中間壁30aの北端部は、境界部25aの上がり框よりも北方向にわずかに突出している。これにより、後述する薄壁28を中間壁30aに固定しやすい。なお、中間壁30aに薄壁28を固定できる面があれば、中間壁30aの北端部は、境界部25aの上がり框よりも北方向に突出していなくてもよい。
【0059】
〔第三部屋31について〕
第三部屋31とホール22との間に位置する壁には開口部311aが形成され、ドア312aが設けられている。第三部屋31へは、ホール22から312aを介して直接に出入り可能となっている。
【0060】
第三部屋31が有する東側の壁31bには、クローゼット311bが設けられている。
第三部屋31が有する北側の壁31cには、カウンター311cが設けられている。
【0061】
〔ガラス戸27a,27bについて〕
図4に、図2に示すIV-IV線断面図を示す。
図4に示すように、居室部23bと収納部23aの境界部23h、及び境界部25aのうちの居室部23bと共用空間25の境界部に亘って、ガラス戸27aが設けられている。
また、居室部24bと収納部24aの境界部24d、及び境界部25aのうちの居室部24bと共用空間25の境界部に亘って、ガラス戸27bが設けられている。
【0062】
これにより、屋外窓21から差し込む日光を居室部23b及び居室部24bに取り込むことができる。したがって、居室部23b,24bにおける採光性を向上させることができる。
また、居室部23b、収納部23a、及び共用空間25が一体的に見えることで、第一部屋23が広く見えるという効果がある。
また、居室部24b、収納部24a、及び共用空間25が一体的に見えることで、第二部屋24が広く見えるという効果がある。
【0063】
また、収納部23aの床及び居室部23bの床に同じ仕上げ材を用いる場合、収納部24aの床及び居室部24bの床に同じ仕上げ材を用いる場合、また共用空間25の床、居室部23b及び居室部24bの床に同じ仕上げ材を用いる場合には、ガラス戸27a,27b及び柱25bを設けることにより、以下の効果がある。具体的には、収納部23aと居室部23bの境界線を明確にし、収納部24aと居室部24bの境界線を明確にし、共用空間25の床と、居室部23b及び居室部24bとの境界部25aを明確にすることができる。
【0064】
ガラス戸27aは、図2に示すように、中間壁30aの西側の面に当接し、ガラス戸27bは、中間壁30aの東側の面に当接している。
南北方向において、柱25bの北側にガラス戸27a,27bが位置しており、ガラス戸27a,27bの北側に境界部25aの上がり框が位置する。
【0065】
〔薄壁28について〕
図2に示すように、居室部23bと居室部24bとの間には間仕切壁である薄壁28が設けられている。
具体的には、柱25bから柱30bまで、複数の間柱が間隔を空けて、同一直線上に配置されて立設されている。当該間柱は、間柱の上部において二階天井付近の構造体に固定されており、間柱の下部において二階床2に固定されている。薄壁28の一側面及び他側面を構成する面材(例えば、石膏ボードや合板等)が複数の間柱に固定されている。また、複数の間柱には、柱25bに固定されるものと、柱30bに固定されるものが含まれる。
なお、薄壁28は、柱25bに直接固定されてもよい。この場合でも、居室部23bと居室部24bとの間において薄壁28を容易に取り付けることができる。
また、薄壁28には、断熱材や吸音材が充填されてもよい。
【0066】
また、住宅1を鉄骨造とする場合には、上記間柱は、上下ランナーの間に配置されるスタッドとして設けられてもよい。
【0067】
薄壁28は、例えば、石膏ボード等を含む非耐力壁である。そのため、薄壁28は、容易に取り除くことができる。したがって、薄壁28を取り除き、居室部23bと居室部24bとを連続させて、第一部屋23及び第二部屋24を一部屋として使用することができる。また、薄壁28を取り除いた後に、再度組み付けることも容易である。
一方、二階の四隅の壁や、中間室26と階段3の間の壁等は、耐力壁であり、薄壁28とは異なり、取り除くことは極めて困難である。
【0068】
図5に、薄壁28を取り除き、居室部23bと居室部24bとを連続させて、第一部屋23及び第二部屋24を一部屋として使用する場合における図1に示す住宅1のII-II線断面図を示す。
図5に示す例では、図2に示したドア232fを取り除き、図2に示した開口部231fに壁233fを設けている。
【0069】
〔薄壁29について〕
図2に戻り、居室部23bと第三部屋31との間には間仕切壁である薄壁29が設けられている。
薄壁29は、薄壁28と同様の構成であり、柱231dから二階の西側の壁まで設けられている。
つまり、薄壁29は、薄壁28と同様に、例えば、石膏ボード等を含む非耐力壁である。そのため、薄壁29は、容易に取り除くことができる。したがって、薄壁29を取り除き、居室部23bと第三部屋31とを連続させて、第一部屋23及び第三部屋31を一部屋として使用することができる。また、薄壁29を取り除いた後に、再度組み付けることも容易である。
【0070】
図6に、薄壁29を取り除き、居室部23bと第三部屋31とを連続させて、第一部屋23及び第三部屋31を一部屋として使用する場合における図1に示す住宅1のII-II線断面図を示す。
図6に示す例では、図2に示したドア232f、柱231d及びドア312aを取り除き、壁31bの南端と、柱30bの間にドア234fを設けている。
【0071】
また、図7に、薄壁28,29を取り除き、居室部23bと居室部24bとを連続させ、且つ居室部23bと第三部屋31とを連続させて、第一部屋23、第二部屋24及び第三部屋31を一部屋として使用する場合における図1に示す住宅1のII-II線断面図を示す。
図7に示す例では、図2に示したドア232f、柱231d及びドア312aを取り除き、壁31bの南端と、柱30bの間に壁235fを設けている。
【0072】
〔効果〕
以上、本実施形態における住宅1は、二階以上の階において、それぞれ収納部23a,24a及び居室部23b,24bを有する複数の部屋(第一部屋23,第二部屋24)と、複数の収納部23a,24aの間であり、且つ複数の居室部23b,24bに隣接する位置に設けられ、複数の収納部23a,24aに連通する共用空間25と、を備え、収納部23a,24aは、複数の部屋の間に位置せず、且つ前記階の他の部屋と隣接しない階の隅部に位置しており、複数の居室部23b,24bは、互いに隣接して配置され、複数の居室部23b,24b同士を仕切る間仕切り壁(薄壁28)は、非耐力壁である。
これよれば、複数の居室部23b,24bを仕切る間仕切り壁(薄壁28)は非耐力壁であるため、比較的容易に取り除くことができる。したがって、当該間仕切り壁を取り除いた場合、複数の居室部23b,24bを連続した一部屋として使用することができる。つまり、複数の居室部23b,24bを仕切る壁を取り除くことにより居住空間の間取りを容易に変更できる。すなわち、居住空間における間取り変更の容易性を確保することができる。
また、共用空間25からそれぞれの部屋が有する収納部23a,24aに直接出入りができる。つまり、共用空間25から収納部23a,24aに直接物品を出し入れできる。これにより、居住空間の利便性を向上させることができる。
【0073】
また、本実施形態における住宅1において、収納部23a,24aと居室部23b,24bとの第一境界部(境界部23h,24d)と、複数の居室部23b,24bと共用空間25との第二境界部(境界部25a)は、同一直線上に配置されており、第一境界部及び第二境界部には、複数の収納部23a,24a及び共用空間25側と、複数の居室部23b,24b側と、を仕切る戸(ガラス戸27a,27b)が設けられている。
これによれば、戸(ガラス戸27a,27b)により、複数の収納部23a,24a及び共用空間25側と、複数の居室部23b,24b側とを明確に仕切ることができる。したがって、複数の収納部23a,24a及び共用空間25側と、複数の居室部23b,24b側の属性を明確にすることができる。
【0074】
また、本実施形態における住宅1において、複数の収納部23a,24a及び共用空間25側の床が、複数の居室部23b,24b側の床よりも高いために段差が形成されており、第一境界部(境界部23h,24d)及び第二境界部(境界部25a)は、段差の上がり框を含む。
これによれば、複数の収納部23a,24a及び共用空間25側と、複数の居室部23b,24b側の境界部を明確にすることができる。したがって、複数の収納部23a,24a及び共用空間25側と、複数の居室部23b,24b側の属性を明確にすることができる。
【0075】
また、本実施形態における住宅1は、共用空間25の床下に蓄熱材を備える。
これによれば、屋外窓21から差し込む日光の熱を当該蓄熱材により蓄熱することができる。これにより、例えば冬季において、昼間のうちに当該蓄熱材によって蓄熱しておき、夜間において共用空間25内部で放熱させることができる。
【0076】
また、本実施形態における住宅1において、複数の部屋(第一部屋23,第二部屋24)は、第一境界部(境界部23h,24d)に隣接して、且つ収納部23a,24aと共用空間25との境界部である位置に第一柱(柱231a,241a)を有する。
これによれば、第一境界部(境界部23h,24d)に隣接して、且つ収納部23a,24aと共用空間25との境界部である位置、つまり各部屋の壁際ではない位置において垂直荷重を支持する第一柱(柱231a,241a)を設けることができる。したがって、住宅1の強度を向上させることができる。
【0077】
また、本実施形態における住宅1において、共用空間25は、複数の居室部23b,24bと共用空間25との第二境界部(境界部25a)に隣接して第二柱(柱25b)を有し、間仕切り壁(薄壁28)は、第二柱に固定されている。
これによれば、間仕切り壁(薄壁28)を、居室部23bと居室部24bとの間に容易に取り付けることができる。
【0078】
また、本実施形態における住宅1は、共用空間25と屋外との間に位置する屋外窓21を備え、前記戸は、ガラス戸27a,27bである。
これによれば、居室部23b、収納部23a、及び共用空間25が一体的に見えることで、第一部屋23が広く見えるという効果がある。また、居室部24b、収納部24a、及び共用空間25が一体的に見えることで、第二部屋24が広く見えるという効果がある。
また、居室部23b,24bは、屋外からの光を屋外窓21、共用空間25及びガラス戸27a,27bを介して受けることができる。これにより、居室部23b,24bにおける採光性を向上させることができる。
【0079】
また、本実施形態における住宅1は、共用空間25と第一収納部(収納部23a)との間に位置する第一出入口232aと、共用空間25と第二収納部(収納部24a)との間に位置する第二出入口242aと、を備え、第一出入口232aと第二出入口242aは、互いに対向する。
これによれば、共用空間25を介して第一収納部(収納部23a)と第二収納部(収納部24a)の間を容易に移動できる。つまり、収納部23aと収納部24aの間において共用空間25を介して容易に物品の移動ができる。したがって、居住空間の利便性を向上させることができる。
【0080】
また、本実施形態における住宅1は、共用空間25と屋外との間に位置する屋外窓21を備え、共用空間25は、洗濯物を乾燥させるスペースとしてのドライルームまたはサンルームとして用いられる。
これによれば、ドライルームまたはサンルームとしての共用空間25から直接、収納部23a,24aに洗濯物を収納できる。したがって、居住空間の利便性を向上させることができる。
【0081】
また、近年、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGs(Sustainable Development Goals)の目標達成が求められており、建築業界においても、建物を二酸化炭素排出量の少ない木造とする取り組みが進められている。本実施形態の住宅1は、主に木材によって構成される。そのため、カーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGsの目標達成に貢献できる。
【0082】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態において、第一部屋23、第二部屋24及び共用空間25は住宅1の二階に設けられているとしたがこれに限らない。住宅1が3階以上の階層を有する場合、第一部屋23、第二部屋24及び共用空間25は3階以上の階に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 住宅
1a 第一正面外壁
1b 第二正面外壁
2 二階床
21 屋外窓
22 ホール
23 第一部屋
23a 収納部(第一収納部)
231a 柱(第一柱)
232a 第一出入口
233a 造作家具
23b 居室部
23ba メイン部
23bb サブ部
231d 柱
231f 開口部
232f ドア
233f 壁
234f ドア
235f 壁
23h 境界部(第一境界部)
24 第二部屋
24a 収納部(第二収納部)
241a 柱(第一柱)
242a 第二出入口
243a 造作家具
244a 引戸
24b 居室部
241c 開口部
242c ドア
24d 境界部(第一境界部)
25 共用空間
25a 境界部(第二境界部)
25b 柱(第二柱)
25c 物干し機
26 中間室
26a ドア
27a,27b ガラス戸
28 薄壁
29 薄壁
30a 中間壁
30b 柱
31 第三部屋
311a 開口部
312a ドア
31b 壁
311b クローゼット
31c 壁
311c カウンター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7