(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154606
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20241024BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B41J2/14 501
B41J2/01 303
B41J2/01 301
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068520
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】塩原 裕規
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EB08
2C056EB30
2C056HA37
2C056HA60
2C057AF73
2C057AG24
2C057AG68
2C057AL14
2C057AL24
2C057AN01
2C057DB03
2C057DD06
(57)【要約】
【課題】ノズルに位置する液体の温度が低下するおそれを低減できる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置11は、液体を吐出するヘッド13と、熱源と、熱源による熱をヘッドに伝達する伝達部材36と、を備え、ヘッドは、液体を吐出するノズル15が開口するノズル面16を有するノズルプレート14と、ノズルプレートが取り付けられ、ノズルと通じる供給流路18を有する本体部分17と、を有し、伝達部材は、ノズルプレートを囲う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するヘッドと、
熱源と、
前記熱源による熱を前記ヘッドに伝達する伝達部材と、を備え、
前記ヘッドは、
液体を吐出するノズルが開口するノズル面を有するノズルプレートと、
前記ノズルプレートが取り付けられ、前記ノズルと通じる供給流路を有する本体部分と、を有し、
前記伝達部材は、前記ノズルプレートを囲うことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記伝達部材は、前記ノズルプレート及び前記本体部分を囲うことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記伝達部材は、
前記ノズルプレートを囲う第1部材と、
前記本体部分を囲う第2部材と、を有し、
前記熱源は、前記第2部材に取り付けられ、
前記第1部材は、前記第2部材に接触することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1部材は、前記ヘッドに接触せず、
前記第2部材は、前記ヘッドに接触することを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記ヘッドを搭載するキャリッジを備え、
前記熱源は、前記キャリッジに取り付けられることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
液体の温度を検出する検出部を備え、
前記検出部は、
前記ノズルプレートに取り付けられ、
前記ノズルに位置する液体の温度を検出することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
液体の温度を検出する検出部を備え、
前記検出部は、
前記本体部分に取り付けられ、
前記供給流路に位置する液体の温度を検出することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記伝達部材は、前記ヘッドを保持することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記伝達部材は、前記ヘッドを保持することを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ノズルが開口するノズル面を有するヘッドと、ヘッドに液体を供給する流路と、流路を加熱する熱源とを備える液体吐出装置が記載されている。熱源により流路が加熱されることによって、流路を流れる液体が加熱される。これにより、ヘッドは、ノズルから液体を正常に吐出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした液体吐出装置においては、ノズル面が外気にさらされているため、ノズル面の温度が低下しやすい。ノズル面の温度が低下すると、ノズルに位置する液体の温度が低下する。すなわち、熱源により流路が加熱されても、ノズルに位置する液体の温度が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する液体吐出装置は、液体を吐出するヘッドと、熱源と、前記熱源による熱を前記ヘッドに伝達する伝達部材と、を備え、前記ヘッドは、液体を吐出するノズルが開口するノズル面を有するノズルプレートと、前記ノズルプレートが取り付けられ、前記ノズルと通じる供給流路を有する本体部分と、を有し、前記伝達部材は、前記ノズルプレートを囲う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、液体吐出装置の一実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、液体吐出装置の一実施例について図を参照しながら説明する。液体吐出装置は、例えば、用紙、布帛などの媒体に液体の一例であるインクを吐出することによって、文字、写真などの画像を記録するインクジェット式のプリンターである。
【0008】
<液体吐出装置>
図1、
図2、及び、
図3に示すように、液体吐出装置11は、記録部12を備える。記録部12は、媒体99に画像を記録するように構成される。詳しくは、記録部12は、媒体99に液体を吐出することによって媒体99に画像を記録する。
【0009】
記録部12は、ヘッド13を有する。ヘッド13は、液体を吐出するように構成される。ヘッド13は、媒体99に液体を吐出する。
ヘッド13は、ノズルプレート14を有する。ノズルプレート14は、例えば、金属で構成される。ノズルプレート14は、1以上のノズル15が開口するノズル面16を有する。ノズル15は、ノズルプレート14を貫通する。ヘッド13は、ノズル15から液体を吐出する。ノズル面16は、媒体99と対向する面である。そのため、ノズル面16は、外気にさらされる。ノズル面16においては、1列以上のノズル列が形成されていてもよい。ノズル列は、複数のノズル15が一方向に並ぶことによって形成される。
【0010】
ヘッド13は、本体部分17を有する。本体部分17には、ノズルプレート14が取り付けられる。一例では、本体部分17の下部に、ノズルプレート14が取り付けられる。
本体部分17は、供給流路18を有する。供給流路18は、本体部分17を延びる流路である。供給流路18には、液体が流れる。例えば、液体吐出装置11に装着される貯留体から供給流路18に液体が供給される。貯留体は、例えば、インクカートリッジである。供給流路18は、ノズル15と通じる。供給流路18からノズル15に液体が供給される。
【0011】
本体部分17は、液室19を有する。液室19は、供給流路18と通じる空間である。液室19には、液体が収容される。液室19は、1以上のノズル15と通じる。詳しくは、液室19は、1列のノズル列を構成する複数のノズル15と通じる。
【0012】
本体部分17は、圧力室20を有する。圧力室20は、液室19と通じる空間である。圧力室20には、液体が収容される。圧力室20は、ノズル15と通じる。そのため、供給流路18は、液室19及び圧力室20を介してノズル15と通じる。
【0013】
圧力室20は、1のノズル15と通じる。そのため、ノズルプレート14に複数のノズル15が開口する場合、本体部分17は、ノズル15と同等数の圧力室20を有する。圧力室20に位置する液体が加圧されることによって、ノズル15から液体が吐出される。
【0014】
本体部分17は、振動板21を有する。振動板21は、圧力室20を画定する壁面の一部を構成する。振動板21は、撓むように構成される。振動板21は、圧力室20の容積を変化させるように撓む。振動板21が撓むことによって、圧力室20に位置する液体が加圧される。これにより、ノズル15から液体が吐出される。
【0015】
本体部分17は、圧電素子22を有する。圧電素子22は、振動板21に取り付けられる。詳しくは、圧電素子22は、振動板21の両面のうち、圧力室20を向く面とは反対の面に取り付けられる。圧電素子22に電圧が印加されることによって、振動板21が撓む。これにより、ノズル15から液体が吐出される。
【0016】
ヘッド13は、1以上の取付部分23を有する。一例では、ヘッド13は、2つの取付部分23を有する。取付部分23は、後述するキャリッジ31に取り付けられる部分である。取付部分23は、本体部分17から延びる。一例では、取付部分23は、本体部分17の側面から側方に向けて突出する。2つの取付部分23は、例えば、ノズル面16と垂直な方向からヘッド13を見た場合に、本体部分17において対称的となるように位置する。これにより、本体部分17の姿勢が安定しやすくなる。
【0017】
ヘッド13は、第1領域B1と、第2領域B2とを有する。第1領域B1及び第2領域B2のそれぞれは、ノズル面16と垂直な方向にヘッド13を2分した領域である。第1領域B1は、ヘッド13において、液体の吐出を担う部分である。例えば、第1領域B1は、液室19、圧力室20、及び、ノズル15を含む。そのため、第1領域B1は、ノズルプレート14と、本体部分17の一部とを含む。第2領域B2は、第1領域B1を除いた領域である。例えば、第2領域B2は、供給流路18を含む。そのため、第2領域B2は、本体部分17の一部を含む。
【0018】
記録部12は、キャリッジ31を有してもよい。キャリッジ31は、ヘッド13を搭載する。キャリッジ31は、媒体99に対して走査する。これにより、ヘッド13は、媒体99の幅にわたって液体を吐出できる。すなわち、液体吐出装置11は、シリアルプリンターである。液体吐出装置11は、媒体99の幅にわたって記録部12が液体を一斉に吐出可能なラインプリンターでもよい。液体吐出装置11がラインプリンターである場合、キャリッジ31は、媒体99に対して走査せず、ヘッド13を搭載する。
【0019】
キャリッジ31は、ベース部材32を有する。ベース部材32は、ヘッド13を支持する部材である。ベース部材32は、ヘッド13を収容する。
ベース部材32は、支持部分33を有する。支持部分33は、ヘッド13を支持する部分である。支持部分33は、ヘッド13の荷重を受ける。一例では、支持部分33は、水平に延びる。支持部分33は、例えば、ノズル面16と垂直な方向から記録部12を見た場合に、矩形又は矩形状である。
【0020】
支持部分33には、露出口34が開口する。露出口34は、ノズルプレート14を露出させる開口である。露出口34は、ノズル面16と垂直な方向から記録部12を見た場合に、矩形又は矩形状である。
【0021】
ベース部材32は、収容部分35を有する。収容部分35は、ヘッド13を収容する部分である。収容部分35は、支持部分33から延びる。収容部分35は、例えば、支持部分33の外縁から垂直に延びる。一例では、収容部分35は、鉛直に延びる。これにより、収容部分35は、ヘッド13を囲う。詳しくは、収容部分35は、本体部分17を囲う。収容部分35によって、ヘッド13が収容される収容空間A1が画定される。
【0022】
キャリッジ31は、伝達部材36を有する。伝達部材36は、ヘッド13に熱を伝達する部材である。詳しくは、伝達部材36は、後述する熱源による熱をヘッド13に伝達するように構成される。すなわち、伝達部材36は、熱源により加熱されることによって、ヘッド13に熱を伝達する。伝達部材36は、ヘッド13に熱を伝達することによって、ヘッド13に位置する液体を加熱する。そのため、伝達部材36は、熱伝導性のよい材料で構成されるとよい。伝達部材36は、例えば、板金で構成される。
【0023】
液体吐出装置11においては、液体の温度が肝要である。これは、液体の粘度が液体の吐出精度に影響するためである。すなわち、ヘッド13に位置する液体の温度が低いと、液体の粘度が大きくなることによってノズル15から液体を吐出しにくくなる。特に、ノズル15に位置する液体の温度が低いと、液体の吐出精度に大きく影響する。ヘッド13においては、ノズル面16が外気にさらされているため、ノズル15に位置する液体の温度が低下しやすい。そのため、液体吐出装置11においては、ノズル15に位置する液体を加熱することが求められる。
【0024】
伝達部材36は、ノズルプレート14に熱を伝達する。伝達部材36は、ノズルプレート14に加えて本体部分17にも熱を伝達してもよい。伝達部材36は、例えば、ベース部材32に取り付けられる。一例では、伝達部材36は、支持部分33に取り付けられる。
【0025】
伝達部材36は、ノズルプレート14を囲う。詳しくは、伝達部材36には、包囲口37が開口する。包囲口37には、ヘッド13が挿入される。包囲口37に、ノズルプレート14が位置する。このように、伝達部材36は、ノズルプレート14を囲う。これにより、伝達部材36は、ノズルプレート14に熱を伝達する。その結果、ノズル15に位置する液体が加熱される。
【0026】
伝達部材36は、ノズルプレート14に加えて本体部分17を囲ってもよい。すなわち、包囲口37に、ノズルプレート14に加えて本体部分17が位置してもよい。これにより、伝達部材36は、ノズルプレート14に加えて本体部分17にも熱を伝達する。その結果、供給流路18に位置する液体が加熱される。また、本体部分17に熱が伝達されることによって、液室19及び圧力室20に位置する液体が加熱される。したがって、液体がノズル15に移動する過程で効果的に液体を加熱することができる。
【0027】
伝達部材36は、ノズルプレート14に接触しない状態でノズルプレート14を囲う。すなわち、包囲口37を画定する伝達部材36の縁に、ノズルプレート14が接触しない。伝達部材36がノズルプレート14に接触しない状態では、主に伝達部材36とノズルプレート14との間に位置する空気の対流、伝達部材36の輻射などによって、伝達部材36からノズルプレート14に熱が伝達する。仮に、伝達部材36がノズルプレート14に接触する状態では、主に熱伝導によって、伝達部材36からノズルプレート14に熱が伝達される。熱伝導によってノズルプレート14に熱が伝達される場合、伝達部材36とノズルプレート14との接触箇所の温度が大きくなることによって、ノズルプレート14の熱勾配が大きくなるおそれがある。
【0028】
伝達部材36は、本体部分17に接触してもよいし、接触しなくてもよい。伝達部材36が本体部分17に接触する状態では、本体部分17の熱勾配が大きくなる。そのため、供給流路18に位置する液体の熱勾配が大きくなりやすい。しかし、本体部分17からノズルプレート14に液体が流れる過程で液体の熱勾配が低減されるため、例えば包囲口37を画定する伝達部材36の縁に、本体部分17が接触しても問題ない。
【0029】
伝達部材36は、ヘッド13を保持してもよい。例えば、伝達部材36は、取付部分23に接触することによって、ヘッド13を保持してもよい。これにより、取付部分23を介して伝達部材36から本体部分17に熱が伝達しやすくなる。伝達部材36に代えて、ベース部材32がヘッド13を直接保持してもよい。伝達部材36が熱の伝達とヘッド13の保持の役割を果たすため、新たに保持部材を設ける必要がない。そのため、構成を簡素化でき、装置の小型化が可能となる。
【0030】
伝達部材36は、1又は複数の部材によって構成される。一例では、伝達部材36は、第1部材38と、第2部材39とを有する。第1部材38及び第2部材39は、例えば、それぞれ板金である。第1部材38及び第2部材39は、一体的に構成されてもよい。
【0031】
第1部材38は、ノズルプレート14を囲う部材である。すなわち、第1部材38は、ノズル15を囲う。第1部材38は、ノズルプレート14に加えて本体部分17を囲ってもよい。第1部材38は、例えば、ノズル15に加えて供給流路18を囲ってもよい。第1部材38は、液室19、圧力室20などを囲ってもよい。一例では、第1部材38は、ヘッド13に対して第1領域B1を囲う。
【0032】
第1部材38は、受容部分40を有する。受容部分40は、熱源による熱を第2部材39から受ける部分である。受容部分40は、例えば、ベース部材32に取り付けられる。一例では、受容部分40は、支持部分33に取り付けられる。受容部分40は、支持部分33に沿って延びる。一例では、受容部分40は、ノズル面16と垂直な方向から記録部12を見た場合に、露出口34から露出するように延びる。
【0033】
第1部材38は、包囲部分41を有する。包囲部分41は、ノズルプレート14を囲う部分である。包囲部分41は、第1開口42を画定する。第1開口42は、包囲口37を構成する。第1開口42には、ノズルプレート14が位置する。第1開口42を通じて、ノズルプレート14が露出する。一例では、包囲部分41は、ノズルプレート14に加えて本体部分17も囲う。
【0034】
包囲部分41は、受容部分40から延びる。詳しくは、包囲部分41は、受容部分40の内縁から露出口34に向かって延びる。包囲部分41は、露出口34を通過するように延びる。一例では、包囲部分41の先端は、ノズル面16と同じ高さに位置する。包囲部分41の先端は、ノズル面16よりも下方に位置してもよいし、ノズル面16よりも上方に位置してもよい。包囲部分41は、少なくともノズルプレート14の側方に位置することによって、ノズルプレート14を囲うことができる。包囲部分41がノズルプレート14を囲うことによって、受容部分40が受けた熱が包囲部分41を介してノズルプレート14に伝達される。
【0035】
包囲部分41は、ノズルプレート14に接触しない状態でノズルプレート14を囲う。そのため、包囲部分41とノズルプレート14との間には、隙間が存在する。包囲部分41がノズルプレート14に接触すると、ノズルプレート14に熱勾配が大きくなるおそれがある。包囲部分41がノズルプレート14に接触しないことによって、ノズルプレート14が均一に加熱される。
【0036】
第2部材39は、本体部分17を囲う部材である。すなわち、第2部材39は、供給流路18を囲う。第2部材39は、本体部分17に加えてノズルプレート14を囲ってもよい。第2部材39は、例えば、供給流路18に加えてノズル15を囲ってもよい。第2部材39は、液室19、圧力室20などを囲ってもよい。一例では、第2部材39は、ヘッド13に対して第2領域B2の一部を囲う。
【0037】
第2部材39は、接触部分43を有する。接触部分43は、第1部材38に接触する部分である。詳しくは、接触部分43は、受容部分40に接触する。これにより、接触部分43は、受容部分40に熱を伝達する。接触部分43は、受容部分40に取り付けられる。接触部分43は、受容部分40に沿って延びる。接触部分43は、受容部分40上に位置する。
【0038】
接触部分43は、本体部分17を囲う。接触部分43は、第2開口44を画定する。第2開口44は、包囲口37を構成する。第2開口44は、第1開口42と通じる。第2開口44には、本体部分17が位置する。第2開口44を通じてノズルプレート14が露出される。
【0039】
接触部分43は、本体部分17に接触しない状態で本体部分17を囲う。詳しくは、接触部分43は、本体部分17の側面に接触しない状態で本体部分17を囲う。そのため、接触部分43と本体部分17との間に位置する空気の対流、接触部分43の輻射などによって、接触部分43から本体部分17に熱が伝達する。
【0040】
接触部分43は、本体部分17に接触する状態で本体部分17を囲ってもよい。すなわち、接触部分43が本体部分17の側面に接触してもよい。これは、上述したように、本体部分17の熱勾配が大きくなっても問題ないためである。第2部材39は、ノズルプレート14に接触しない。これについても上述したように、これは、ノズルプレート14の熱勾配が大きくなるおそれがあるためである。
【0041】
接触部分43は、ヘッド13を保持する。接触部分43は、取付部分23に接触する。接触部分43は、例えば、下方から取付部分23を支持する。接触部分43には、取付部分23が取り付けられる。そのため、第2部材39は、接触部分43から取付部分23に熱を伝達する。すなわち、第2部材39は、取付部分23を介する熱伝導によって、接触部分43から本体部分17に熱を伝達する。したがって、第1部材38がヘッド13に接触しない一方で、第2部材39はヘッド13に接触する。
【0042】
第2部材39は、固定部分45を有してもよい。固定部分45は、熱源が固定される部分である。固定部分45は、接触部分43から延びる。固定部分45は、例えば、接触部分43の外縁から鉛直に延びる。一例では、固定部分45は、記録部12を正面から見た場合に、ヘッド13よりも側方にずれた位置に位置する。この場合、ノズルプレート14において、熱源との距離に偏りが生じるため、ノズルプレート14の熱勾配が大きくなるおそれがある。そのため、伝達部材36がノズルプレート14に接触しないことが肝要となる。
【0043】
第2部材39は、2つの固定部分45を有してもよい。第2部材39は、例えば、
図1において2点鎖線で示すように、記録部12を基準に対称的に位置する2つの固定部分45を有してもよい。第2部材39は、記録部12を正面から見た場合に、記録部12よりも一方にずれた位置に位置する固定部分45と、記録部12よりも他方にずれた位置に位置する固定部分45とを有してもよい。この場合、2つの固定部分45には、それぞれ熱源が固定される。これにより、ノズルプレート14の熱勾配が大きくなるおそれが低減される。
【0044】
キャリッジ31は、整風板46を有してもよい。整風板46は、ベース部材32に取り付けられる。詳しくは、整風板46は、支持部分33に取り付けされる。整風板46は、支持部分33と媒体99との間に位置する。
【0045】
整風板46は、キャリッジ31が移動する場合に、キャリッジ31と媒体99との間で流れる空気の流れを整える板である。整風板46によって、キャリッジ31と媒体99との間に乱流が生じるおそれが低減される。その結果、記録品質が向上する。
【0046】
整風板46には、連続口47が開口する。連続口47は、ヘッド13を露出させる開口である。詳しくは、連続口47は、ノズルプレート14を露出させる。連続口47は、露出口34と通じる。一例では、連続口47にノズルプレート14及び包囲部分41が位置する。
【0047】
液体吐出装置11は、1以上の熱源を備える。一例では、液体吐出装置11は、第1熱源51と、第2熱源52とを備える。液体吐出装置11は、第1熱源51だけを有してもよいし、第2熱源52だけを有してもよい。熱源は、キャリッジ31に取り付けられる。熱源は、例えば、電熱線である。熱源は、電流が流れることによって発熱する。熱源による熱が、伝達部材36によってヘッド13に伝達される。したがって、熱源が本体部分17に取り付けられず、キャリッジ31に取り付けられる場合であっても、伝達部材36によって効果的にヘッド13を加熱することができる。
【0048】
第1熱源51は、伝達部材36に取り付けられる。一例では、第1熱源51は、第2部材39に取り付けられる。詳しくは、第1熱源51は、固定部分45に取り付けられる。第1熱源51は、第1部材38とは接触しない。そのため、第1熱源51による熱は、固定部分45、接触部分43、受容部分40、包囲部分41の順で伝達される。
図1に示す白抜きの矢印は、第1熱源51による熱の移動をあらわす。
【0049】
第2熱源52は、ベース部材32に取り付けられる。一例では、第2熱源52は、収容部分35に取り付けられる。第2熱源52は、主に、収容空間A1を加熱する。これにより、ヘッド13の温度が低下するおそれが低減される。第2熱源52が収容空間A1を加熱することによって、伝達部材36が加熱される。そのため、第2熱源52による熱は、伝達部材36によってヘッド13に伝達される。
【0050】
第2熱源52は、第1熱源51と同様に、固定部分45に取り付けられてもよい。例えば、第2部材39が2つの固定部分45を有する場合、第2熱源52は、
図1において2点鎖線で示すように、2つの固定部分45のうち第1熱源51が取り付けられる固定部分45とは別の固定部分45に取り付けられてもよい。また、液体吐出装置11は、2つの固定部分45のうち第1熱源51が取り付けられる固定部分45とは別の固定部分45に取り付けられる第3熱源を備えてもよい。これにより、ノズルプレート14の熱勾配が大きくなるおそれを低減できる。
【0051】
液体吐出装置11は、1以上の検出部を備えてもよい。一例では、液体吐出装置11は、第1検出部53と、第2検出部54とを備える。液体吐出装置11は、第2検出部54を有さず、第1検出部53のみを有してもよい。検出部は、温度を検出するように構成される。検出部は、例えば、液体の温度を検出したり、ヘッド13の温度を検出したりする。検出部は、例えば、サーミスタである。液体吐出装置11は、検出部が検出する温度に基づいて、熱源を制御する。すなわち、液体吐出装置11は、熱源によって液体が適切な温度に保たれているか否かを確認する。液体吐出装置11は、例えば、液体の温度が低い場合に、熱源の出力を大きくする。
【0052】
第1検出部53は、ヘッド13に取り付けられる。一例では、第1検出部53は、本体部分17に取り付けられる。第1検出部53は、例えば、本体部分17内に組み込まれる。第1検出部53は、本体部分17内において、供給流路18の近傍に位置する。
【0053】
第1検出部53は、ヘッド13に位置する液体の温度を検出する。一例では、第1検出部53は、本体部分17の温度を検出する。詳しくは、第1検出部53は、供給流路18を流れる液体の温度を検出する。
【0054】
液体吐出装置11は、供給流路18に位置する液体の温度から、ノズル15に位置する液体の温度を推定できる。例えば、液体吐出装置11は、供給流路18からノズル15に流れる液体の温度低下具合を示すデータに基づいて、供給流路18に位置する液体の温度からノズル15に位置する液体の温度を推定する。液体吐出装置11は、ノズル15に位置する液体の推定温度に基づいて、熱源を制御してもよい。すなわち、液体吐出装置11は、第1検出部53が検出する温度に基づいて、ノズル15に位置する液体が適切な温度となるように熱源を制御してもよい。
【0055】
第1検出部53は、本体部分17に取り付けられることに限らず、例えば、
図1において2点鎖線で示すように、ノズルプレート14に取り付けられてもよい。この場合、第1検出部53は、ノズルプレート14の温度を検出する。詳しくは、第1検出部53は、ノズル15に位置する液体の温度を検出する。この場合、液体吐出装置11は、第1検出部53が検出する温度が適切な温度となるように熱源を制御してもよい。
【0056】
第2検出部54は、伝達部材36の温度を検出する。一例では、第2検出部54は、第2部材39の温度を検出する。詳しくは、第2検出部54は、固定部分45の温度を検出する。第2検出部54は、伝達部材36に取り付けられる。詳しくは、第2検出部54は、固定部分45に取り付けられる。すなわち、第2検出部54は、第1熱源51の温度を検出する。
【0057】
液体吐出装置11は、第1検出部53が検出する温度、及び、第2検出部54が検出する温度によって、熱の伝達具合を確認できる。例えば、第1検出部53が検出する温度と第2検出部54が検出する温度との差が小さい場合には、伝達部材36によって熱源からヘッド13に熱が効果的に伝達されていることが把握できる。液体吐出装置11は、第1検出部53が検出する温度、及び、第2検出部54が検出する温度に基づいて、熱源を制御してもよい。これにより、液体吐出装置11は、第1検出部53のみを有する場合と比べて、熱源を細かに制御できる。
【0058】
<作用及び効果>
次に、上記実施例の作用及び効果について説明する。
(1)伝達部材36は、ノズルプレート14を囲う。上記構成によれば、熱源による熱が伝達部材36を通じてノズルプレート14に伝達される。これにより、ノズル15に位置する液体が加熱される。したがって、ノズル15に位置する液体の温度が低下するおそれが低減される。
【0059】
(2)伝達部材36は、ノズルプレート14及び本体部分17を囲う。上記構成によれば、ノズル15に位置する液体に加えて、供給流路18に位置する液体が加熱される。したがって、ノズル15に位置する液体の温度が低下するおそれが一層低減される。
【0060】
(3)伝達部材36は、ノズルプレート14を囲う第1部材38と、本体部分17を囲う第2部材39と、を有する。第1熱源51は、第2部材39に取り付けられる。第1部材38は、第2部材39に接触する。上記構成によれば、第1熱源51による熱は、第2部材39を通じて第1部材38に伝達される。そのため、第1熱源51による熱が第1部材38に直接伝達される場合と比べて、第1部材38が過剰に加熱されるおそれが低減される。これにより、ノズル15に位置する液体が過剰に加熱されるおそれが低減される。
【0061】
(4)第1部材38はヘッド13に接触せず、第2部材39は、ヘッド13に接触する。上記構成によれば、第1部材38がヘッド13に接触する場合と比べて、ノズル15に位置する液体が過剰に加熱されるおそれが低減される。
【0062】
(5)熱源は、キャリッジ31に取り付けられる。上記構成によれば、熱源の熱によってヘッド13を効果的に加熱できる。これにより、ヘッド13に位置する液体の温度が低下するおそれが低減される。
【0063】
(6)第1検出部53は、ノズルプレート14に取り付けられ、ノズル15に位置する液体の温度を検出する。上記構成によれば、ノズル15に位置する液体の温度が低下しているか否かを把握できる。
【0064】
(7)第1検出部53は、本体部分17に取り付けられ、供給流路18に位置する液体の温度を検出する。上記構成によれば、供給流路18に位置する液体の温度が低下しているか否かを把握できる。
【0065】
(8)伝達部材36は、ヘッド13を保持する。上記構成によれば、熱源による熱が伝達部材36を通じてヘッド13に伝達しやすくなる。これにより、ヘッド13に位置する液体の温度が低下するおそれが低減される。
【0066】
<変更例>
上記実施例は、以下のように変更して実施できる。上記実施例及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0067】
・伝達部材36は、ノズルプレート14に接触してもよい。この場合、ノズルプレート14の熱勾配を低減するために、ノズルプレート14の全周にわたって伝達部材36が接触することが好ましい。また、伝達部材36が均一に加熱されるように熱源が配置されることが好ましい。
【0068】
・ヘッド13が吐出する液体はインクに限らず、例えば機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体などでもよい。例えば、ヘッド13が液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材又は画素材料などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液状体を吐出してもよい。
【0069】
<技術的思想>
以下に、上述した実施例及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0070】
(A)液体吐出装置は、体を吐出するヘッドと、熱源と、前記熱源による熱を前記ヘッドに伝達する伝達部材と、を備え、前記ヘッドは、液体を吐出するノズルが開口するノズル面を有するノズルプレートと、前記ノズルプレートが取り付けられ、前記ノズルと通じる供給流路を有する本体部分と、を有し、前記伝達部材は、前記ノズルプレートを囲う。
【0071】
上記構成によれば、熱源による熱が伝達部材を通じてノズルプレートに伝達される。これにより、ノズルに位置する液体が加熱される。したがって、ノズルに位置する液体の温度が低下するおそれが低減される。
【0072】
(B)上記液体吐出装置において、前記伝達部材は、前記ノズルプレート及び前記本体部分を囲ってもよい。
上記構成によれば、ノズルに位置する液体に加えて、供給流路に位置する液体が加熱される。したがって、ノズルに位置する液体の温度が低下するおそれが一層低減される。
【0073】
(C)上記液体吐出装置において、前記伝達部材は、前記ノズルプレートを囲う第1部材と、前記本体部分を囲う第2部材と、を有し、前記熱源は、前記第2部材に取り付けられ、前記第1部材は、前記第2部材に接触してもよい。
【0074】
上記構成によれば、熱源による熱は、第2部材を通じて第1部材に伝達される。そのため、熱源による熱が第1部材に直接伝達される場合と比べて、第1部材が過剰に加熱されるおそれが低減される。これにより、ノズルに位置する液体が過剰に加熱されるおそれが低減される。
【0075】
(D)上記液体吐出装置において、前記第1部材は、前記ヘッドに接触せず、前記第2部材は、前記ヘッドに接触してもよい。
上記構成によれば、第1部材がヘッドに接触する場合と比べて、ノズルに位置する液体が過剰に加熱されるおそれが低減される。
【0076】
(E)上記液体吐出装置は、前記ヘッドを搭載するキャリッジを備え、前記熱源は、前記キャリッジに取り付けられてもよい。
上記構成によれば、熱源の熱によってヘッドを効果的に加熱できる。これにより、ヘッドに位置する液体の温度が低下するおそれが低減される。
【0077】
(F)上記液体吐出装置は、液体の温度を検出する検出部を備え、前記検出部は、前記ノズルプレートに取り付けられ、前記ノズルに位置する液体の温度を検出してもよい。
上記構成によれば、ノズルに位置する液体の温度が低下しているか否かを把握できる。
【0078】
(G)上記液体吐出装置は、液体の温度を検出する検出部を備え、前記検出部は、前記本体部分に取り付けられ、前記供給流路に位置する液体の温度を検出してもよい。
上記構成によれば、供給流路に位置する液体の温度が低下しているか否かを把握できる。
【0079】
(H)上記液体吐出装置において、前記伝達部材は、前記ヘッドを保持してもよい。
上記構成によれば、熱源による熱が伝達部材を通じてヘッドに伝達しやすくなる。これにより、ヘッドに位置する液体の温度が低下するおそれが低減される。
【符号の説明】
【0080】
11…液体吐出装置、12…記録部、13…ヘッド、14…ノズルプレート、15…ノズル、16…ノズル面、17…本体部分、18…供給流路、19…液室、20…圧力室、21…振動板、22…圧電素子、23…取付部分、31…キャリッジ、32…ベース部材、33…支持部分、34…露出口、35…収容部分、36…伝達部材、37…包囲口、38…第1部材、39…第2部材、40…受容部分、41…包囲部分、42…第1開口、43…接触部分、44…第2開口、45…固定部分、46…整風板、47…連続口、51…第1熱源、52…第2熱源、53…第1検出部、54…第2検出部、99…媒体、A1…収容空間、B1…第1領域、B2…第2領域。