(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154607
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】放射性廃棄物の処理容器および方法
(51)【国際特許分類】
G21F 5/06 20060101AFI20241024BHJP
G21F 5/10 20060101ALI20241024BHJP
G21F 9/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G21F5/06
G21F5/10 Q
G21F9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068522
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗須 ひとみ
(72)【発明者】
【氏名】打道 直孝
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 毅幸
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 展行
(72)【発明者】
【氏名】塚本 泰介
(72)【発明者】
【氏名】前田 一人
(57)【要約】
【課題】放射性廃棄物の処理容器および方法において、放射性廃棄物における乾燥作業の効率化および充填効率の向上を図る。
【解決手段】上開口部を有して下部が閉塞される筒形状をなす容器本体と、上開口部と下開口部を有して多孔筒形状をなすと共に容器本体の内部に配置される筒状部材と、筒状部材の上開口部に着脱自在に設けられる蓋と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上開口部を有して下部が閉塞される筒形状をなす容器本体と、
上開口部と下開口部を有して多孔筒形状をなすと共に前記容器本体の内部に配置される筒状部材と、
前記筒状部材の前記上開口部に着脱自在に設けられる蓋と、
を備える放射性廃棄物の処理容器。
【請求項2】
前記容器本体の上端と前記筒状部材の上端が鉛直方向において同位置に配置される、
請求項1に記載の放射性廃棄物の処理容器。
【請求項3】
前記容器本体は、上開口部を有して下部が閉塞される筒形状をなす外筒と、上開口部を有して下部が閉塞される筒形状をなすと共に前記外筒の内部に配置されることで前記外筒との間に流路を形成する内筒とを有し、前記筒状部材は、前記下開口部が前記流路の下部に連通される、
請求項1または請求項2に記載の放射性廃棄物の処理容器。
【請求項4】
前記筒状部材の前記上開口部に前記蓋が取付けられるとき、前記流路の上部が放射性廃棄物に同伴する水分を外部に排出する排出口として機能する、
請求項3に記載の放射性廃棄物の処理容器。
【請求項5】
前記筒状部材の前記上開口部から前記蓋が取外されるとき、前記流路の上部が乾燥用ガスを内部に供給する供給口として機能し、前記筒状部材の上部が乾燥用ガスを外部に排出する排出口として機能する、
請求項3に記載の放射性廃棄物の処理容器。
【請求項6】
中空形状をなす外容器と、
上開口部を有して側部が多孔形状をなすと共に前記外容器の内部に配置されることで前記外容器との間に空間部を形成する内容器と、
前記空間部に対して負圧を作用させて放射性廃棄物に同伴する水分を外部に排出する排出口と、
を備える放射性廃棄物の処理容器。
【請求項7】
中空形状をなす外容器と、
上開口部を有して側部が多孔形状をなすと共に前記外容器の内部に配置されることで前記外容器との間に空間部を形成する内容器と、
前記内容器を鉛直方向に沿う軸心を中心として回転可能な駆動装置と、
を備える放射性廃棄物の処理容器。
【請求項8】
下部が閉塞される容器本体の内部に多孔筒形状をなす筒状部材が配置され、前記筒状部材の上部に蓋が着脱自在に設けられる処理容器を用いた放射性廃棄物の処理方法であって、
前記筒状部材の上部に前記蓋を取付けるステップと、
前記容器本体の上開口部から内部に放射性廃棄物を供給するステップと、
前記筒状部材の下部に負圧を作用させることで放射性廃棄物に同伴する水分を前記筒状部材の下部から外部に排出するステップと、
放射性廃棄物の脱水処理が完了すると前記筒状部材の上部から前記蓋を取外すステップと、
前記筒状部材の下部から乾燥用ガスを供給することで放射性廃棄物を乾燥するステップと、
を有する放射性廃棄物の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射性廃棄物の処理容器および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラントにて、原子炉圧力容器の内部に配置された炉心燃料が溶融すると、原子炉格納容器の内部の構造物も溶融して固化し、放射性廃棄物としてのデブリとなる。そのため、デブリなどの放射性廃棄物を原子炉格納容器から回収して処理する必要がある。放射性廃棄物を処理する技術として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載された技術は、放射性廃棄物をキャニスタに収容し、キャニスタの外部に配置されたヒータによりキャニスタを加熱することで、内部の放射性廃棄物を乾燥するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放射性廃棄物をキャニスタに収容し、外部からキャニスタを加熱して内部の放射性廃棄物を乾燥する場合、ヒータの熱がキャニスタの内部の放射性廃棄物に伝わりにくく、乾燥作業に長時間を要してしまうという課題がある。特に、放射性廃棄物に多量の水分が同伴している場合、使用するキャニスタの本数が増加してしまうと共に、乾燥作業がさらに長くなってしまう。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、放射性廃棄物における乾燥作業の効率化および充填効率の向上を図る放射性廃棄物の処理容器および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の放射性廃棄物の処理容器は、上開口部を有して下部が閉塞される筒形状をなす容器本体と、上開口部と下開口部を有して多孔筒形状をなすと共に前記容器本体の内部に配置される筒状部材と、前記筒状部材の前記上開口部に着脱自在に設けられる蓋と、を備える。
【0007】
また、本開示の放射性廃棄物の処理方法は、下部が閉塞される容器本体の内部に多孔筒形状をなす筒状部材が配置され、前記筒状部材の上部に蓋が着脱自在に設けられる処理容器を用いた放射性廃棄物の処理方法であって、前記筒状部材の上部に前記蓋を取付けるステップと、前記容器本体の上開口部から内部に放射性廃棄物を供給するステップと、前記筒状部材の下部に負圧を作用させることで放射性廃棄物に同伴する水分を前記筒状部材の下部から外部に排出するステップと、放射性廃棄物の脱水処理が完了すると前記筒状部材の上部から前記蓋を取外すステップと、前記筒状部材の下部から乾燥用ガスを供給することで放射性廃棄物を乾燥するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の放射性廃棄物の処理容器および方法によれば、放射性廃棄物における乾燥作業の効率化および充填効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態の放射性廃棄物の処理容器を表す概略図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の放射性廃棄物の処理方法を表すフローチャートである。
【
図3】
図3は、処理容器における脱水作業を表す概略図である。
【
図4】
図4は、処理容器における乾燥作業を表す概略図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の放射性廃棄物の処理容器を表す概略図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態の放射性廃棄物の処理容器を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
[第1実施形態]
<放射性廃棄物の処理容器>
図1は、第1実施形態の放射性廃棄物の処理容器を表す概略図である。
【0012】
原子力発電プラントにて、原子炉容器の内部の炉心などが溶融すると、溶融した燃料などの溶融物が発生し、固化した溶融物(デブリ)は、放射性廃棄物として回収の対象となる。本実施形態の放射性廃棄物の処理容器および方法は、例えば、原子力発電プラントで発生した放射性廃棄物を回収して収容し、乾燥処理するものである。但し、放射性廃棄物は、デブリに限定されるものではなく、使用済燃料や廃炉により発生する構造物などであってもよい。
【0013】
図1に示すように、放射性廃棄物の処理容器10は、外筒11と、内筒12と、筒状部材13と、蓋14とを備える。処理容器本体は、外筒11と内筒12により構成される。
【0014】
外筒11は、円筒形状をなし、上部が開放されて底部が閉塞される。外筒11は、外筒本体21と、底部22と、上開口部23とを有する。外筒本体21は、円筒形状をなすが、角筒形状であってもよい。底部22は、外筒本体21の形状に応じた円板形状をなし、外筒本体21の下部に一体に設けられる。上開口部23は、外筒本体21の上端部に設けられ、外筒本体21の内部と外部を流通する。
【0015】
内筒12は、円筒形状をなし、上部が開放されて底部が閉塞される。内筒12は、内筒本体31と、底部32と、上開口部33とを有する。内筒本体31は、円筒形状をなすが、角筒形状であってもよい。底部32は、内筒本体31の形状に応じた円板形状をなし、内筒本体31の下部に一体に設けられる。上開口部33は、内筒本体31の上端部に設けられ、内筒本体31の内部と外部を流通する。なお、内筒12は、板厚方向に貫通する多数の孔が形成されていてもよい。
【0016】
筒状部材13は、上部および下部が開放された円筒形状をなし、板厚方向に貫通する多数の孔13aが形成される。具体的に、筒状部材13は、メッシュの円筒形状をなす。筒状部材13は、円筒形状に限らず、角筒形状であってもよい。筒状部材13は、内筒12の内部で、中心部に1つ配置される。但し、筒状部材13は、位置や数が1つに限定されるものではなく、中心部ではない位置に複数設けてもよい。多数の孔13aは、内筒12の内部に収容される放射性廃棄物の種類や大きさに応じて設定される。すなわち、多数の孔13aは、内筒12の内部に収容される放射性廃棄物が通過できない大きさとすることが好ましい。
【0017】
また、内筒12の内部に配置された筒状部材13は、上端の高さ(位置)が内筒12の上端の高さ(位置)と鉛直方向において同じである。筒状部材13は、蓋14の有無に拘わらず、高さが同じである。すなわち、内筒12の内部に放射性廃棄物が充填されたとき、放射性廃棄物は、内筒12の全ての内面と筒状部材13の全ての内面に接触する。つまり、内筒12の内部に放射性廃棄物が充填されたとき、筒状部材13の全ての孔13aに対して放射性廃棄物が接触する。なお、内筒12の高さと筒状部材13の高さを同じにしたが、内筒12の高さより筒状部材13の高さを高くしてもよい。この場合、筒状部材13における孔13aの形成範囲上限位置が内筒12の上端の高さと同じになることが好ましい。内筒12の高さより筒状部材13の高さを低くしてもよい。
【0018】
外筒11の内径は、内筒12の外径より大きい。外筒11の全長(軸方向長さ)は、内筒12の全長(軸方向長さ)より長い。外筒11は、内部に内筒12が配置される。この場合、外筒11と内筒12は、両者の中心が一致するように配置される。そして、外筒11と内筒12は、上部同士が連結部材(図示略)により連結されることで、外筒11の内部に内筒12が吊り下げ支持される。連結部材は、外筒11の上部と内筒12の上部との間で、リング形状をなすことが好ましいが、周方向に間隔を空けて複数設けてもよい。
【0019】
処理容器10は、外筒11における外筒本体21の内周面と、内筒12における内筒本体31の外周面との間に第1空間部41が設けられる。第1空間部41は、円筒形状をなす。また、処理容器10は、外筒11における底部22の上面と、内筒12における底部32の下面との間に第2空間部42が設けられる。第2空間部42は、円板形状をなす。第1空間部41と第2空間部42は連通し、流路43を構成する。そして、第1空間部41は、外筒11および内筒12における上端部に設けられる第1連通部51に連通し、第2空間部42は、筒状部材13の下端部(下開口部)に連通する。筒状部材13は、上端部(上開口部)に第2連通部52が設けられる。
【0020】
蓋14は、円板形状をなす。蓋14は、筒状部材13の上端部に対して着脱自在に設けられる。筒状部材13は、蓋14が取付けられることで第2連通部52が閉止され、蓋14が取外されることで第2連通部52が開放される。
【0021】
第1連通部51は、外筒11の上端部と内筒12の上端部との間に設けられる。第2連通部52は、筒状部材13の上端部に設けられる。第1連通部51は、流路43を構成する第1空間部41の上部に連通する。第2連通部52は、筒状部材13の上部に連通する。筒状部材13の内部と、筒状部材13の外部である内筒12の内部とが多数の孔13aにより連通する。本実施形態にて、第1連通部51は、1つまたは複数設けられる。
【0022】
筒状部材13の上部に蓋14が取付けられ、第2連通部52が閉止されたとき、第1連通部51は、内筒12の内部に供給された放射性廃棄物に同伴する水分の排出口として機能する。また、筒状部材13の上部から蓋14が取外され、第2連通部52が開放されたとき、第1連通部51は、乾燥用ガスの供給口として機能し、第2連通部52は、乾燥用ガスの排出口として機能する。
【0023】
<放射性廃棄物の処理方法>
図2は、第1実施形態の放射性廃棄物の処理方法を表すフローチャート、
図3は、処理容器における脱水作業を表す概略図、
図4は、処理容器における乾燥作業を表す概略図である。
【0024】
図2および
図3に示すように、第1実施形態の放射性廃棄物の処理方法は、上述した処理容器10を用いた放射性廃棄物の処理方法であって、放射性廃棄物を脱水してから乾燥するものである。また、第1実施形態の放射性廃棄物の処理方法は、図示しないマニピュレータを操作することで、作業者が遠隔操作により各種の処理を行うものである。
【0025】
ステップS11にて、処理容器10に脱水装置を構成する各種の配管を接続する。すなわち、排水配管61は、フィルタ62と送風機(真空ポンプなど)63が設けられ、基端部が第1連通部51に連結される。この場合、第1連通部51にカプラを設け、排水配管61の基端部にプラグを設け、カプラとプラグを連結することで排水配管61を処理容器10に連結することが好ましい。
【0026】
ステップS12にて、処理容器10に対して放射性廃棄物の充填を開始する。この場合、処理容器10は、内筒12の上開口部33が開放された状態にある。一方、図示しないが処理容器10の上方に放射性廃棄物が収容されたホッパが設けられている。そのため、ホッパを開放することで、放射性廃棄物を上開口部33から内筒12の内部に供給する。ここで、放射性廃棄物は、大量の水分が同伴されたスラリー・スラッジ状の流動物であり、ホッパは、放射性廃棄物が内筒12から溢れない程度の量の放射性廃棄物を連続して供給する。但し、ホッパは、放射性廃棄物が内筒12から溢れない程度の量の放射性廃棄物を断続的に供給してもよい。
【0027】
ステップS13にて、脱水作業を開始する。すなわち、送風機63を作動し、排水配管61から第1連通部51を通して流路43に負圧を作用させる。流路43の負圧は、筒状部材13の内部に作用し、筒状部材13の内部から多数の孔13aを通して内筒12に充填された放射性廃棄物100に作用する。放射性廃棄物100は、固形物101と水分102から構成され、固形物101が内筒12の下部に沈降していく。放射性廃棄物100に負圧が作用すると、水分102だけが多数の孔13aを通って筒状部材13の内部に吸入される。筒状部材13の内部に吸入された水分102は、流路43および排水配管61を通って外部に排出される。このとき、水分102に含まれる有害物質は、フィルタ62により吸着される。
【0028】
ステップS14にて、脱水作業を開始してから予め設定された第1所定時間が経過した否かを判定する。ここで、脱水作業を開始してから第1所定時間が経過していないと判定(No)すると、脱水作業を継続する。一方、脱水作業を開始してから第1所定時間が経過したと判定(Yes)すると、ステップS15にて、処理容器10における放射性廃棄物の充填高さが予め設定された上限高さに到達したか否かを判定する。ここで、処理容器10における放射性廃棄物の充填高さが上限高さに到達していないと判定(NO)すると、ステップS12に戻って処理を繰り返す。一方、処理容器10における放射性廃棄物の充填高さが上限高さに到達したと判定(Yes)すると、ステップS16にて、放射性廃棄物の充填を終了する。第1所定時間は、脱水作業を開始してから、内筒12の内部の放射性廃棄物100から水分102がなくなり、ほぼ固形物101だけの状態になるまでの時間であり、事前に実験やシミュレーションなどにより把握しておく。なお、第1所定時間を採用せずに、例えば、作業者がカメラの映像やセンサに基づいて脱水作業の終了を判定してもよい。
【0029】
脱水作業が終了すると、ステップS17にて、配管を切り替える。まず、処理容器10から排水配管61を取外す。次に、
図4に示すように、ガス供給配管71とガス排出配管73を接続する。すなわち、ガス供給配管71は、基端部側に加熱装置72が設けられ、先端部が第1連通部51に連結される。筒状部材13は、上部から蓋14(
図3参照)が取外される。ガス排出配管73は、フィルタ74と送風機(真空ポンプなど)75が設けられ、基端部が第2連通部52に連結される。この場合、第2連通部52にカプラを設け、ガス排出配管73の基端部にプラグを設け、カプラとプラグを連結することでガス排出配管73を処理容器10に連結することが好ましい。なお、送風機75をガス供給配管71に設け、乾燥用ガスを処理容器10の内部に押し込むように機能させてもよい。
【0030】
ステップS18にて、放射性廃棄物の乾燥作業を開始する。内筒12の内部にある放射性廃棄物100は、水分102の少ない固形物101の状態である。この状態で、送風機75を作動し、ガス排出配管73から第2連通部52を通して筒状部材13の内部に作用させる。筒状部材13の内部の負圧は、流路43に作用し、第1連通部51を介してガス供給配管71に作用する。すると、加熱装置72により加熱された乾燥用ガス(加熱空気)がガス供給配管71、第1連通部51、流路43を通って筒状部材13の内部に吸入されて供給される。
【0031】
加熱空気は、流路43を下降することで、内筒12の内部にある放射性廃棄物100の固形物101を加熱する。また、加熱空気は、筒状部材13の内部を上昇することで、内筒12の内部にある放射性廃棄物100の固形物101を加熱する。このとき、放射性廃棄物100の固形物101は、付着または含有する水分が蒸発して乾燥する。すなわち、放射性廃棄物100の固形物101から蒸発した水分は、蒸発ガスとなり、筒状部材13の多数の孔13aを通って筒状部材13の内部に吸入され、筒状部材13の内部を上昇する。なお、乾燥用ガスは、加熱空気に限定されるものではなく、含有する水分量の少ない乾いた空気や不活性ガス(窒素など)であってもよい。
【0032】
そして、放射性廃棄物100を加熱した空気と放射性廃棄物100から蒸発した蒸発ガスは、第2連通部52からガス排出配管73に排出される。このとき、フィルタ74は、空気やガスに含まれる有害物質を吸着除去する。
【0033】
ステップS19にて、乾燥作業を開始してから予め設定された第2所定時間が経過した否かを判定する。ここで、乾燥作業を開始してから第2所定時間が経過していないと判定(No)すると、乾燥作業を継続する。一方、乾燥作業を開始してから第2所定時間が経過したと判定(Yes)すると、ステップS20にて、乾燥作業を終了する。すなわち、送風機75の作動を停止する。
【0034】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の放射性廃棄物の処理容器を表す概略図である。
【0035】
図5に示すように、放射性廃棄物の処理容器80は、外容器81と、内容器82と、排出口83とを有する。
【0036】
外容器81は、中空形状をなす。内容器82は、多孔形状をなし、上開口部82aを有する。内容器82は、少なくとも側部に多数の孔が形成される。内容器82は、外容器81の内部に配置されることで、外容器81との間に空間部84が形成される。空間部84は、外容器81の内壁面と内容器82の外壁面との間と、外容器81の底面と内容器82の底面との間に設けられる。
【0037】
排出口83は、外容器81の底部に設けられる。排出口83は、空間部84に連通すると共に、排水配管85が連結される。排水配管85は、フィルタ86と送風機(真空ポンプなど)87が設けられる。
【0038】
放射性廃棄物は、上開口部82aから内容器82に供給される。送風機87を駆動すると、負圧が排水配管85を通して排出口83に作用し、排出口83から空間部84に作用する。すると、空間部84の負圧が内容器82の多数の孔から内部の放射性廃棄物に作用して減圧状態となり、放射性廃棄物は、同伴する水分が空間部84に吸入される。このとき、内容器82は、図示しない蓋により上開口部82aを閉止することが好ましい。そして、空間部84に吸入された水分は、排出口83から排水配管85に流れ、フィルタ86により有害物質が除去されてから排出される。
【0039】
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態の放射性廃棄物の処理容器を表す概略図である。
【0040】
図6に示すように、放射性廃棄物の処理容器90は、外容器91と、内容器92と、駆動装置93とを有する。
【0041】
外容器91は、中空形状をなす。内容器92は、多孔形状をなし、上開口部92aと底部92bを有する。内容器92は、少なくとも側部に多数の孔が形成される。内容器92は、外容器91の内部に配置されることで、外容器91との間に空間部94が形成される。空間部94は、外容器81の内壁面と内容器92の外壁面との間と、外容器91の底面と内容器92の底面との間に設けられる。
【0042】
駆動装置93は、外容器91の内部で、内容器92の下部に配置される。駆動装置93は、回転可能な駆動軸95を有し、駆動軸95の上端部が内容器92の底部92bに連結される。駆動装置93は、内容器92を鉛直方向に沿う軸心を中心として回転可能である。また、外容器91は、空間部94に排水配管96が連結される。排水配管96は、フィルタ97が設けられる。
【0043】
放射性廃棄物は、上開口部92aから内容器92に供給される。駆動装置93を駆動すると、内容器92が回転し、内部の放射性廃棄物に遠心力が作用する。すると、放射性廃棄物は、遠心力を受けて同伴する水分が内容器92の多数の孔から空間部94に移動する。このとき、内容器92は、図示しない蓋により上開口部92aを閉止してもよい。そして、空間部84に移動した水分は、排水配管96に流れ、フィルタ97により有害物質が除去されてから排出される。
【0044】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る放射性廃棄物の処理容器は、上開口部23,33を有して下部が閉塞される筒形状をなす容器本体(外筒11、内筒12)と、上開口部と下開口部を有して多孔筒形状をなすと共に容器本体の内部に配置される筒状部材13と、筒状部材13の上開口部に着脱自在に設けられる蓋14とを備える。
【0045】
第1の態様に係る放射性廃棄物の処理容器によれば、内筒12の内部に多孔筒形状をなす筒状部材13を配置することで、内筒12の内部に供給された放射性廃棄物100と筒状部材13とが多数の孔13aにより連通する。そのため、放射性廃棄物100に同伴する水分102を筒状部材13の内部を通して外部に排出することができ、放射性廃棄物100を効率良く乾燥することができる。その結果、放射性廃棄物100における乾燥作業の効率化および充填効率の向上を図ることができる。また、処理容器10に対する放射性廃棄物の充填効率の向上を図ることで、使用する処理容器10の個数を低減することができる。
【0046】
第2の態様に係る放射性廃棄物の処理容器は、第1の態様に係る放射性廃棄物の処理容器であって、さらに、内筒12の上端と筒状部材13の上端が鉛直方向において同位置に配置される。これにより、内筒12の内部に放射性廃棄物100が供給されたとき、筒状部材13の多数の孔13aは、全てが放射性廃棄物100に接触することとなり、放射性廃棄物100に対して適切に負圧を作用させたり、適切に乾燥用空気を作用させたりすることができる。
【0047】
第3の態様に係る放射性廃棄物の処理容器は、第1の態様または第2の態様に係る放射性廃棄物の処理容器であって、さらに、容器本体は、上開口部23を有して下部が閉塞される筒形状をなす外筒11と、上開口部33を有して下部が閉塞される筒形状をなすと共に外筒11の内部に配置されることで外筒11との間に流路43を形成する内筒12とを有し、筒状部材13は、下開口部が流路43の下部に連通される。これにより、筒状部材13の内部に向けて適切に負圧を作用させたり、適切に乾燥用空気を作用させたりすることができる。
【0048】
第4の態様に係る放射性廃棄物の処理容器は、第3の態様に係る放射性廃棄物の処理容器であって、さらに、筒状部材13の第2連通部52に蓋14が取付けられるとき、流路43の上部が放射性廃棄物100に同伴する水分102を外部に排出する排出口として機能する。これにより、流路43から筒状部材13の内部に負圧を作用させることで、流路43の上部に設けられた第1連通部51から適切に水分を排出することができる。
【0049】
第5の態様に係る放射性廃棄物の処理容器は、第3の態様または第4の態様に係る放射性廃棄物の処理容器であって、さらに、筒状部材13の第2連通部52から蓋14が取外されるとき、流路43の上部が乾燥用ガスを内部に供給する供給口として機能し、筒状部材13の第2連通部52が乾燥用ガスを外部に排出する排出口として機能する。これにより、流路43から筒状部材13の内部に乾燥用ガスを供給することで、内筒12の内部に供給された放射性廃棄物100を加熱して同伴する水分102を蒸発させ、蒸発ガスとして筒状部材13の上部に設けられた第2連通部52から適切に外部に排出することができる。
【0050】
第6の態様に係る放射性廃棄物の処理容器は、中空形状をなす外容器81と、上開口部82aを有して側部が多孔形状をなすと共に外容器81の内部に配置されることで外容器81との間に空間部84を形成する内容器82と、空間部84に対して負圧を作用させて放射性廃棄物に同伴する水分を外部に排出する排出口83とを備える。これにより、内容器82に供給された放射性廃棄物に対して負圧を作用させることで、放射性廃棄物に同伴する水分を空間部84に排出することができ、放射性廃棄物を効率良く乾燥することができる。その結果、放射性廃棄物100における乾燥作業の効率化および充填効率の向上を図ることができる。
【0051】
第7の態様に係る放射性廃棄物の処理容器は、中空形状をなす外容器91と、上開口部92aを有して側部が多孔形状をなすと共に外容器91の内部に配置されることで外容器91との間に空間部94を形成する内容器92と、内容器92を鉛直方向に沿う軸心を中心として回転可能な駆動装置93とを備える。これにより、駆動装置93により内容器82を回転させて放射性廃棄物に対して遠心力を作用させることで、放射性廃棄物に同伴する水分を空間部94に排出することができ、放射性廃棄物を効率良く乾燥することができる。その結果、放射性廃棄物100における乾燥作業の効率化および充填効率の向上を図ることができる。
【0052】
第8の態様に係る放射性廃棄物の処理方法は、筒状部材13の上部に蓋14を取付けるステップと、内筒12の上開口部33から内部に放射性廃棄物100を供給するステップと、筒状部材13の下部に負圧を作用させることで放射性廃棄物100に同伴する水分102を筒状部材13の下部から外部に排出するステップと、放射性廃棄物100の脱水処理が完了すると筒状部材13の上部から蓋14を取外すステップと、筒状部材13の下部から乾燥用ガスを供給することで放射性廃棄物100を乾燥するステップとを有する。
【0053】
第8の態様に係る放射性廃棄物の処理方法によれば、放射性廃棄物100に同伴する水分102を筒状部材13の内部を通して外部に排出することができ、放射性廃棄物100を効率良く乾燥することができる。その結果、放射性廃棄物100における乾燥作業の効率化および充填効率の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0054】
10 放射性廃棄物の処理容器
11 外筒
12 内筒
13 筒状部材
14 蓋
21 外筒本体
22 底部
23 上開口部
31 内筒本体
32 底部
33 上開口部
41 第1空間部
42 第2空間部
43 流路
51 第1連通部
52 第2連通部
61 排水配管
62 フィルタ
63 送風機
71 ガス供給配管
72 加熱装置
73 ガス排出配管
74 フィルタ
75 送風機
80,90 放射性廃棄物の処理容器
81,91 外容器
82,92 内容器
83 排出口
93 駆動装置
100 放射性廃棄物
101 固形物
102 水分