(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154613
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241024BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20241024BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20241024BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241024BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/02 J
H02J7/00 X
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J7/35 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068535
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕太
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066AE09
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA08
5G503DA07
5G503EA05
5G503GB03
5G503GD03
5G503GD04
(57)【要約】
【課題】各バッテリの構成に拘わらず適切な充放電を行うことが難しい。
【解決手段】nを2以上の整数としたとき、電源装置10は、第1~第nバッテリと、第1~第nバッテリに対する充放電電力を変換する第1~第n電力変換回路と、第1~第n電力変換回路を制御可能な制御部15と、を備える。制御部15は、第1~第n残容量の比が、第1~第n放電電力との比に近付くように、第1~第n電力変換回路を制御する残容量比制御を実行可能である。また、制御部15は、第1~第n空容量の比が、第1~第n充電電力の比に近付くように、第1~第n電力変換回路を制御する空容量比制御を実行可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
nを2以上の整数としたとき、
第1~第nバッテリと、
前記第1~第nバッテリのそれぞれに対応し、充放電電力を変換する第1~第n電力変換回路と、
前記第1~第n電力変換回路を制御可能な制御部と、
を備え、
前記第1~第nバッテリが蓄電可能な電力量をそれぞれ第1~第n容量とし、
前記第1~第nバッテリが放電できる定格電力をそれぞれ第1~第n放電電力とし、
前記第1~第nバッテリが蓄えている電力量をそれぞれ第1~第n残容量とし、
xを1以上n以下の任意の整数とし、yを1以上n以下のxとは別の任意の整数としたとき、
第x容量と第y容量との比、及び第x放電電力と第y放電電力との比のうち、少なくとも一方の比は、1:1ではなく、
前記制御部は、前記第1~第n残容量の比が、前記第1~第n放電電力の比に近付くように、前記第1~第n電力変換回路を制御する残容量比制御を実行可能である、
電源装置。
【請求項2】
前記第1~第nバッテリがそれぞれ蓄えるべき電力量の目標値を第1~第n目標残容量とし、
前記第1~第n残容量と前記第1~第n目標残容量との差の絶対値をそれぞれ第1~第n差分値としたとき、
前記制御部は、前記残容量比制御において、前記第1~第n残容量の比が、前記第1~第n放電電力の比に近付くように、前記第1~第n目標残容量を設定し、
第x差分値が第y差分値よりも大きい場合に、第xバッテリから放電される電力が、第yバッテリから放電される電力よりも大きくなるように、第x電力変換回路及び第y電力変換回路を制御する、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記残容量比制御において、第x残容量を前記第x放電電力で除算した値が、第y残容量を前記第y放電電力で除算した値よりも小さい場合に、第xバッテリから放電される電力が第yバッテリから放電される電力よりも小さくなるように、第x電力変換回路及び第y電力変換回路を制御する、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記残容量比制御において、第x残容量を前記第x放電電力で除算した値が、第y残容量を前記第y放電電力で除算した値よりも小さい場合に、
前記制御部は、第xバッテリから放電される電力がゼロとなるように第x電力変換回路を制御し、且つ、前記第x残容量を前記第x放電電力で除算した値が、前記第y残容量を前記第y放電電力で除算した値と同じになるまで第yバッテリから放電されるように、第y電力変換回路を制御する、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記残容量比制御において、第x残容量を前記第x放電電力で除算した値が大きいほど、第xバッテリから放電される電力が大きくなるように、第x電力変換回路を制御する、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項6】
前記制御部は、予め定められた特定の時間帯に限って前記残容量比制御を実行する、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項7】
前記第1~第nバッテリは、負荷に対して電力を出力可能であり、
前記負荷は、前記第1~第nバッテリとは別の外部電源からも電力の供給を受けることが可能であり、
前記外部電源から前記負荷への電力供給が途絶えている場合に、
前記制御部は、前記残容量比制御を実行する、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項8】
前記nは2である
請求項1に記載の電源装置。
【請求項9】
前記第1バッテリが蓄電可能な電力量を第1容量とし、
前記第2バッテリが蓄電可能な電力量を第2容量とし、
前記第1バッテリのSOCを第1SOCとし、
前記第2バッテリのSOCを第2SOCとしたとき、
前記第1残容量は前記第1容量と前記第1SOCとの積で算出され、
前記第2残容量は前記第2容量と前記第2SOCとの積で算出される、
請求項8に記載の電源装置。
【請求項10】
前記第1バッテリのSOCを第1SOCとし、
前記第2バッテリのSOCを第2SOCとしたとき、
前記第1SOC又は前記第2SOCが、予め定められた規定割合以下になった場合に、前記制御部は、前記残容量比制御を実行する、
請求項8に記載の電源装置。
【請求項11】
nを2以上の整数としたとき、
第1~第nバッテリと、
前記第1~第nバッテリのそれぞれに対応し、充放電電力を変換する第1~第n電力変換回路と、
前記第1~第n電力変換回路を制御可能な制御部と、
を備え、
前記第1~第nバッテリに充電できる定格電力を第1~第n充電電力とし、
前記第1~第nバッテリが蓄電可能な電力量を、それぞれ第1~第n容量とし、
前記第1~第n容量と、対応する前記第1~第nバッテリが蓄えている電力量との差を、それぞれ第1~第n空容量とし、
xを1以上n以下の任意の整数とし、yを1以上n以下のxとは別の任意の整数としたとき、
第x容量と第y容量との比、及び第x充電電力と第y充電電力との比のうち、少なくとも一方の比は、1:1ではなく、
前記制御部は、前記第1~第n空容量の比が、前記第1~第n充電電力の比に近付くように、前記第1~第n電力変換回路を制御する空容量比制御を実行可能である、
電源装置。
【請求項12】
前記第1~第n容量と、対応する前記第1~第nバッテリが蓄えるべき電力量との差の目標値を、それぞれ第1~第n目標空容量としたとき、
前記第1~第n空容量と前記第1~第n目標空容量との差の絶対値をそれぞれ第1~第n差分値とし、
前記制御部は、前記空容量比制御において、前記第1~第n空容量の比が、前記第1~第n充電電力の比に近付くように、前記第1~第n目標空容量を設定し、
第x差分値が第y差分値よりも大きい場合に、第xバッテリに充電される電力を、第yバッテリに充電される電力よりも大きくなるように、第x電力変換回路及び第y電力変換回路を制御する、
請求項11に記載の電源装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記空容量比制御において、第x空容量を前記第x充電電力で除算した値が、第y空容量を前記第y充電電力で除算した値よりも小さい場合に、第xバッテリに充電される電力が第yバッテリに充電される電力よりも小さくなるように、第x電力変換回路及び第y電力変換回路を制御する、
請求項11に記載の電源装置。
【請求項14】
前記空容量比制御において、第x空容量を前記第x充電電力で除算した値が、第y空容量を前記第y充電電力で除算した値よりも小さい場合に、
前記制御部は、第xバッテリに充電される電力がゼロとなるように第x電力変換回路を制御し、且つ、前記第x空容量を前記第x充電電力で除算した値が、前記第y空容量を前記第y充電電力で除算した値と同じになるまで第yバッテリに充電されるように、第y電力変換回路を制御する、
請求項11に記載の電源装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記空容量比制御において、第x空容量を前記第x充電電力で除算した値が大きいほど、第xバッテリに充電する電力が大きくなるように第x電力変換回路を制御する、
請求項11に記載の電源装置。
【請求項16】
前記nは2である
請求項11に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているパワーコンディショナは、2つの蓄電池と、蓄電池毎の2つのDC-DCコンバータと、DC-DCコンバータ制御部と、司令部と、を備えている。各DC-DCコンバータは、各蓄電池の放電電力又は充電電力を制御する。DC-DCコンバータ制御部は、司令部から出力された指令値に基づいて、各DC-DCコンバータを個別に制御する。司令部は、各蓄電池のSOC(State Of Charge)が等しくなるように、各蓄電池における放電電力の指令値又は充電電力の指令値を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2つの蓄電池が蓄えることのできる電力量、2つの蓄電池が出力できる最大放電電力等の構成に違いがあるパワーコンディショナは、各蓄電池のSOCを等しくするように制御した場合に、2つの蓄電池に供給される充電電力を有効活用できないという問題があった。なお、ここでいう充電電力とは、外部電源から供給される充電電力だけでなく、充電され蓄電池に蓄積された電力、すなわち蓄電池が放電可能な電力のことを含む。そこで本発明は、仮に蓄えることのできる電力量及び放電電力などの構成が、バッテリ毎に異なっていたとしても、適切な充放電が可能なパワーコンディショナの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、nを2以上の整数としたとき、第1~第nバッテリと、前記第1~第nバッテリのそれぞれに対応し、充放電電力を変換する第1~第n電力変換回路と、前記第1~第n電力変換回路を制御可能な制御部と、を備え、前記第1~第nバッテリが蓄電可能な電力量をそれぞれ第1~第n容量とし、前記第1~第nバッテリが放電できる定格電力をそれぞれ第1~第n放電電力とし、前記第1~第nバッテリが蓄えている電力量をそれぞれ第1~第n残容量とし、xを1以上n以下の任意の整数とし、yを1以上n以下のxとは別の任意の整数としたとき、第x容量と第y容量との比、及び第x放電電力と第y放電電力との比のうち、少なくとも一方の比は、1:1ではなく、前記制御部は、前記第1~第n残容量の比が、前記第1~第n放電電力の比に近付くように、前記第1~第n電力変換回路を制御する残容量比制御を実行可能である、電源装置である。
【0006】
上記構成によれば、例えば、各バッテリが蓄えることのできる最大の電力量、各バッテリが放電できる最大の放電電力、各バッテリの充電時における最大の充電電力のいずれかの構成に違いがあったとしても、一方のバッテリの残容量のみが先にゼロになる事態は生じにくい。したがって、仮に蓄えることのできる電力量及び放電電力などの構成がバッテリ毎に異なっていても、適切な放電を実行できる。
【0007】
また、上記課題を解決するため、本発明の一態様は、nを2以上の整数としたとき、第1~第nバッテリと、前記第1~第nバッテリのそれぞれに対応し、充放電電力を変換する第1~第n電力変換回路と、前記第1~第n電力変換回路を制御可能な制御部と、を備え、前記第1~第nバッテリに充電できる定格電力を第1~第n充電電力とし、前記第1~第nバッテリが蓄電可能な電力量を、それぞれ第1~第n容量とし、前記第1~第n容量と、対応する前記第1~第nバッテリが蓄えている電力量との差を、それぞれ第1~第n空容量とし、xを1以上n以下の任意の整数とし、yを1以上n以下のxとは別の任意の整数としたとき、第x容量と第y容量との比、及び第x充電電力と第y充電電力との比のうち、少なくとも一方の比は、1:1ではなく、前記制御部は、前記第1~第n空容量の比が、前記第1~第n充電電力の比に近付くように、前記第1~第n電力変換回路を制御する空容量比制御を実行可能である、電源装置である。
【0008】
上記構成によれば、例えば、各バッテリが蓄えることのできる最大の電力量、各バッテリが放電できる最大の放電電力、各バッテリの充電時における最大の充電電力のいずれかの構成に違いがあったとしても、一方のバッテリの空容量のみが先にゼロになる事態は生じにくい。したがって、仮に蓄えることのできる電力量及び放電電力などの構成がバッテリ毎に異なっていても、適切な充電を実行できる。
【発明の効果】
【0009】
各バッテリの構成に拘わらず、2つの蓄電池に供給される充電電力を有効活用できるパワーコンディショナの提供を目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
<電源装置の一実施形態>
以下、電源装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
(全体構成について)
図1に示すように、電源装置10は、PVコンバータ11と、インバータ12と、を有する。さらに、電源装置10は、第1電力変換回路13Aと、第1バッテリ14Aと、第2電力変換回路13Bと、第2バッテリ14Bと、制御部15と、を有している。
【0012】
PVコンバータ11は、太陽光パネル20に接続している。太陽光パネル20は、太陽光を利用して発電を行う直流電源である。PVコンバータ11は、太陽光パネル20から入力される直流電圧を、所定の電圧値の直流電圧に変換する。
【0013】
インバータ12は、PVコンバータ11を介して太陽光パネル20に接続している。インバータ12は、第1電力変換回路13Aを介して第1バッテリ14Aに接続している。インバータ12は、第2電力変換回路13Bを介して第2バッテリ14Bに接続している。インバータ12は、第1バッテリ14A、第2バッテリ14B、又は太陽光パネル20から入力される直流電力を、交流電力に変換して出力する。
【0014】
インバータ12は、電力線21を介して、外部電源22及び負荷23に接続している。外部電源22は、例えば電力会社が電力を伝送する商用配電系統である。外部電源22は、分電盤、電力量計、コンセント(アウトレット)などの図示しない電気設備を含む。負荷23は、電力線21からの交流電力により動作する電気機器である。したがって、負荷23は、第1バッテリ14A、第2バッテリ14B、太陽光パネル20から電力の供給を受けることが可能である。また、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bとは別の外部電源22からも、電力の供給を受けることが可能である。負荷23は、例えば、照明器具、サーバ、医療機器、家庭用電気機器等である。
【0015】
第1バッテリ14Aは、第1電力変換回路13A及びPVコンバータ11を介して、太陽光パネル20に接続している。したがって、第1バッテリ14Aは、太陽光パネル20で発電した電力を蓄えることができる。また、第1バッテリ14Aは、負荷23に対して電力を出力可能である。第1バッテリ14Aは、例えばリチウムイオン電池である。
【0016】
第1電力変換回路13Aは、DC-DCコンバータである。第1電力変換回路13Aは、第1バッテリ14Aに対する充放電電力を電力変換する。より具体的には、第1電力変換回路13Aは、太陽光パネル20により発電した電力の電圧値を所定の電圧値に変換して、第1バッテリ14Aに充電する。また、第1電力変換回路13Aは、第1バッテリ14Aが蓄えている電力の電圧値を所定の電圧値に変換して、インバータ12に放電する。
【0017】
なお、第1バッテリ14Aが蓄電可能な電力量を、第1容量とする。なお、本実施形態において第1容量は、第1バッテリ14Aが蓄えることのできる最大電力量の設計値を意味する。第1バッテリ14Aが蓄えている電力量を第1残容量とする。第1容量及び第1残容量の単位は、例えばWh(ワットアワー)である。また、第1電力変換回路13Aを介して第1バッテリ14Aが放電できる定格電力を、第1放電電力とする。さらに、第1電力変換回路13Aを介して第1バッテリ14Aに充電できる最大の電力を第1充電電力とする。なお、第1放電電力は、第1バッテリ14Aを単独で放電した場合における、第1電力変換回路13Aから出力される最大の電力である。第1充電電力は、第1バッテリ14Aを単独で充電した場合における、第1電力変換回路13Aに入力される最大の電力である。また、第1放電電力及び第1充電電力は、温度等の動作条件、第1電力変換回路13Aの定格値等に影響を受けて変化する値である。第1放電電力及び第1充電電力の単位は、例えばW(ワット)である。
【0018】
第2バッテリ14Bは、第2電力変換回路13B及びPVコンバータ11を介して、太陽光パネル20に接続している。したがって、第2バッテリ14Bは、太陽光パネル20で発電した電力を蓄えることができる。また、第2バッテリ14Bは、負荷23に対して電力を出力可能である。第2バッテリ14Bは、例えばリチウムイオン電池である。
【0019】
第2電力変換回路13Bは、DC-DCコンバータである。第2電力変換回路13Bは、第2バッテリ14Bに対する充放電電力を電力変換する。より具体的には、第2電力変換回路13Bは、太陽光パネル20により発電した電力の電圧値を所定の電圧値に変換して、第2バッテリ14Bに充電する。また、第2電力変換回路13Bは、第2バッテリ14Bが蓄えている電力の電圧値を所定の電圧値に変換して、インバータ12に放電する。
【0020】
なお、第2バッテリ14Bが蓄電可能な電力量を、第2容量とする。なお、本実施形態において第2容量は、第2バッテリ14Bが蓄えることのできる最大電力量の設計値を意味する。第2バッテリ14Bが蓄えている電力量を第2残容量とする。第2容量及び第2残容量の単位は、例えばWh(ワットアワー)である。また、第2電力変換回路13Bを介して第2バッテリ14Bの定格電力を、第2放電電力とする。さらに、第2電力変換回路13Bを介して第2バッテリ14Bに充電できる最大の電力を第2充電電力とする。なお、第2放電電力は、第2バッテリ14Bを単独で放電した場合における、第2電力変換回路13Bから出力される最大の電力である。第2放電電力は、第2バッテリ14Bを単独で充電した場合における、第2電力変換回路13Bに入力される最大の電力である。また、第2放電電力及び第2充電電力は、温度等の動作条件、第2電力変換回路13Bの定格値等に影響を受けて変化する値である。第2放電電力及び第2充電電力の単位は、例えばW(ワット)である。
【0021】
第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bは、異なる構成になっている。具体的には、第1バッテリ14Aの第1容量は、第2バッテリ14Bの第2容量とは異なっている。また、第1バッテリ14Aの第1放電電力は、第2バッテリ14Bの第2放電電力とは異なっている。さらに、第1バッテリ14Aの第1充電電力は、第2バッテリ14Bの第2充電電力とは異なっている。その結果として、第1容量と第2容量との比、及び第1放電電力と第2放電電力との比、第1充電電力と第2充電電力との比は、いずれも1:1ではない。
【0022】
制御部15は、電源装置10に関する情報を取得可能である。
制御部15は、公知の方法で第1バッテリ14Aの第1SOC(State of Charge)及び第2バッテリ14Bの第2SOCを取得可能である。例えば、制御部15は、第1電力変換回路13Aが充放電した電力量の積算値を、第1容量で除算することで、第1SOCを算出する。同様に、制御部15は、第2電力変換回路13Bが充放電した電力量の積算値を、第2容量で除算することで、第2SOCを算出する。なお、第1SOCは、第1バッテリ14Aの、第1容量に対する第1残容量の比である。第2SOCは、第2バッテリ14Bの、第2容量に対する第2残容量の比である。また、第1SOC及び第2SOCは百分率で示される。
【0023】
制御部15は、公知の方法で第1SOH(State of Health)及び第2SOHを取得可能である。なお、第1SOHは、製造直後の第1バッテリ14Aにおける第1容量に対する、現状の第1バッテリ14Aにおける第1容量の割合である。第2SOHは、製造直後の第2バッテリ14Bにおける第2容量に対する、現状の第2バッテリ14Bにおける第2容量の割合である。なお、第1SOH及び第2SOHは百分率で示される。制御部15は、第1SOHに基づいて、第1容量又は第1SOCを適正な値に補正可能である。また、制御部15は、第2SOHに基づいて、第2容量又は第2SOCを適正な値に補正可能である。
【0024】
制御部15は、第1残容量と、第2残容量とを取得可能である。制御部15は、例えば、第1容量と第1SOCとの積で、第1残容量を算出する。制御部15は、例えば、第2容量と第2SOCとの積で、第2残容量を算出する。第1残容量及び第2残容量の単位は、例えばWh(ワットアワー)である。
【0025】
制御部15は、第1空容量と、第2空容量とを取得可能である。制御部15は、第1空容量を、第1容量と第1残容量との差として算出する。制御部15は、第2空容量を、第2容量と第2残容量との差として算出する。第1空容量及び第2空容量の単位は、例えばWh(ワットアワー)である。
【0026】
制御部15は、外部電源22から負荷23への電力供給が途絶えているか否か、すなわち、外部電源22が停電しているか否かを取得可能である。例えば、電力線21には、図示しない電圧センサ等が設けられている。制御部15は、その電圧センサ等による検出結果に基づいて、外部電源22が停電しているか否かを判定する。
【0027】
制御部15は、インバータ12及び図示しないリレー回路等の制御を通じて、電源装置10と外部電源22との連系運転、又は電源装置10の自立運転の切り替えを制御可能である。例えば、負荷23の需要電力が、電源装置10の供給電力を上回っている場合に、制御部15は電源装置10を連系運転に切り替えることで、不足分の電力を外部電源22で補うことが可能である。また、外部電源22からの電力供給が途絶えた場合等に、制御部15は、電源装置10を自立運転に切り替えることで、電源装置10単独で負荷23に対する電力の供給が可能である。
【0028】
制御部15は、第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bを、それぞれ個別に制御可能である。すなわち、制御部15は、第1電力変換回路13Aの制御を通じて、第1バッテリ14Aの充放電電力を制御可能である。また、制御部15は、第2電力変換回路13Bの制御を通じて、第2バッテリ14Bの充放電電力を制御可能である。制御部15は、基本的には、第1SOC及び第2SOCが同じ値になるように、各バッテリの充放電電力を制御する。そして、制御部15は、予め定められた条件を満たす場合に、後述する残容量比制御と、空容量比制御とを実行可能である。
【0029】
(残容量比制御について)
以下、制御部15が行う残容量比制御について説明する。残容量比制御とは、次のような制御である。残容量比制御は、第1~第nバッテリと、第1~第nバッテリのそれぞれに対応し、充放電電力を変換する第1~第n電力変換回路と、第1~第n電力変換回路を制御可能な制御部と、を備える電源装置に適用される(ただし、nを2以上の整数とする。)。この電源装置において、第1~第nバッテリが放電できる定格電力をそれぞれ第1~第n放電電力とする。第1~第nバッテリが蓄えている電力量をそれぞれ第1~第n残容量とする。残容量比制御は、第1~第n残容量の比が、第1~第n放電電力の比に近付くように、第1~第n電力変換回路に対して制御部が行う制御のことである。より詳細には、残容量比制御では、次のような制御を行う。xを1以上n以下の任意の整数とし、yを1以上n以下のxとは別の任意の整数とする。制御部15は、残容量比制御において、第x残容量を第x放電電力で除算した値が、第y残容量を第y放電電力で除算した値よりも小さい場合に、第xバッテリから放電される電力が第yバッテリから放電される電力よりも小さくなるように、第x電力変換回路及び第y電力変換回路を制御する。
【0030】
本実施形態において、上記nは2である。また、本実施形態において、第1容量と第2容量との比は、2:3である。そして、第1放電電力と第2放電電力との比は、1:2である。つまり、第1容量と第2容量との比、及び第1放電電力と第2放電電力との比の双方が1:1ではない。そして、本実施形態における残容量比制御とは、第1バッテリ14Aの第1残容量と第2バッテリ14Bの第2残容量との比が、第1バッテリ14Aの第1放電電力と第2バッテリ14Bの第2放電電力の比に近づくように、第1電力変換回路13Aと第2電力変換回路13Bに対して、制御部15が行う制御のことである。以下、残容量比制御について、具体的に説明する。
【0031】
制御部15は、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bから負荷23へと電力を供給している状態では、所定の制御周期毎に、残容量比制御の実行条件が満たされているか否かを判定する。残容量比制御の実行条件は、以下の(a)~(d)の要件のうち1つ以上の要件が満たされることである。
【0032】
(a)負荷23の需要電力が予め定められた規定電力よりも大きい。
上記の規定電力は、例えば、第1バッテリ14Aの第1放電電力と第2バッテリ14Bの第2放電電力とを足し合わせた電力よりも、やや小さな値に定められる。すなわち、(a)の要件は、負荷23の需要電力を満たすために、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bが共に略最大限に放電しなければならない状況を判定するためのものである。
【0033】
(b)第1SOC又は第2SOCが、予め定められた規定割合以下である。
上記の規定割合は、例えば20%である。(b)の要件は、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bからの放電に伴い、第1SOC又は第2SOCが0%になる可能性があることを判定するためのものである。
【0034】
(c)現在時刻が予め定められた特定の時間帯に含まれる。
上記の特定の時間帯は、負荷23の需要電力が大きい時間帯として予め定められた時間帯である。特定の時間帯は、例えば午前9時~午後2時として定められる。したがって、制御部15は、負荷23の需要電力が大きい特定の時間帯に限って、後述の残容量比制御を実行する。このように、(c)の要件は、負荷23の需要電力が大きい可能性があることを判定するためのものである。
【0035】
(d)外部電源22から負荷23への電力供給が途絶えている。
外部電源22から負荷23への電力供給が途絶えている場合には、負荷23の需要電力を第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bで賄う必要がある。したがって、(d)の要件は、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bから放電する電力量が、大きくなる可能性が高いことを判定するためのものである。
【0036】
制御部15は、(a)~(d)のいずれかの要件が満たされると、残容量比制御を開始する。残容量比制御を開始すると、制御部15は、第1残容量、第2残容量、第1放電電力、及び第2放電電力を取得する。そして、制御部15は、第1残容量を第1放電電力で除算した値と、第2残容量を第2放電電力で除算した値とを比較する。制御部15は、一連の各種の値の取得及び値の比較を、所定の制御周期毎に繰り返し行う。制御部15は、上記(a)~(d)のいずれかの要件が満たされると、残容量比制御を開始する。
【0037】
第1残容量を第1放電電力で除算した値と、第2残容量を第2放電電力で除算した値とを比較した結果、前者の方が小さい場合には、制御部15は、第1バッテリ14Aから放電される電力が、第2バッテリ14Bから放電される電力よりも小さくなるように、第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bを制御する。
【0038】
具体的には、制御部15は、電源装置10から負荷23へ供給するべき電力が、第2バッテリ14Bの第2放電電力以下であるか否かを判定する。この判定が肯定の場合には、制御部15は、第1バッテリ14Aから放電される電力がゼロとなるように、第1電力変換回路13Aを制御する。尚且つ、制御部15は、第2残容量を第2放電電力で除算した値が、第1残容量を第1放電電力で除算した値と同じになるまで、第1バッテリ14Aから放電されるように第1電力変換回路13Aを制御する。併せて、制御部15は、第2バッテリ14Bから負荷23へと必要な電力が全て放電されるように、第2電力変換回路13Bを制御する。
【0039】
一方、電源装置10から負荷23へ供給するべき電力が第2バッテリ14Bの第2放電電力を超えている場合、制御部15は、第2バッテリ14Bが第2放電電力で放電するように第2電力変換回路13Bを制御する。併せて、制御部15は、電源装置10から負荷23へ供給するべき電力から第2放電電力を減算した差が第1バッテリ14Aから放電されるように、第1電力変換回路13Aを制御する。
【0040】
第1残容量を第1放電電力で除算した値と、第2残容量を第2放電電力で除算した値とを比較した結果、後者の方が小さい場合には、制御部15は、第2バッテリ14Bから放電される電力が、第1バッテリ14Aから放電される電力よりも小さくなるように、第2電力変換回路13B及び第1電力変換回路13Aを制御する。
【0041】
具体的には、制御部15は、電源装置10から負荷23へ供給するべき電力が、第1バッテリ14Aの第1放電電力以下であるか否かを判定する。この判定が肯定の場合には、制御部15は、第2バッテリ14Bから放電される電力がゼロとなるように、第2電力変換回路13Bを制御する。尚且つ、制御部15は、第1残容量を第1放電電力で除算した値が、第2残容量を第2放電電力で除算した値と同じになるまで、第2バッテリ14Bから放電されるように第2電力変換回路13Bを制御する。併せて、制御部15は、第1バッテリ14Aから負荷23へと必要な電力が全て放電されるように、第1電力変換回路13Aを制御する。
【0042】
一方、電源装置10から負荷23へ供給するべき電力が第1バッテリ14Aの第1放電電力を超えている場合、制御部15は、第1バッテリ14Aが第1放電電力で放電するように第1電力変換回路13Aを制御する。併せて、制御部15は、電源装置10から負荷23へ供給するべき電力から第1放電電力を減算した差が第2バッテリ14Bから放電されるように、第2電力変換回路13Bを制御する。
【0043】
制御部15が上記のように第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bを制御すると、第1残容量を第1放電電力で除算した値と第2残容量を第2放電電力で除算した値との差が徐々に小さくなっていく。そして、第1残容量を第1放電電力で除算した値と、第2残容量を第2放電電力で除算した値とが一致した場合、第1残容量と第2残容量との比が第1放電電力と第2放電電力との比に一致する。したがって、上述した第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bの制御は、第1残容量と第2残容量との比が第1放電電力と第2放電電力との比に近付くようにするための制御である。なお、「一致」とは、多少の誤差を許容するものである。
【0044】
第1残容量を第1放電電力で除算した値と、第2残容量を第2放電電力で除算した値とが一致して以後、制御部15は、その状態が維持されるように、第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bを制御する。つまり、制御部15は、第1バッテリ14Aから放電される電力と、第2バッテリ14Bから放電される電力との比が、第1残容量と第2残容量との比に一致するように、第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bを制御する。その結果、これ以後は、第1残容量を第1放電電力で除算した値と、第2残容量を第2放電電力で除算した値との差が、略ゼロの状態が維持される。
【0045】
残容量比制御の例を、具体的な数値を例示しつつ
図2~
図4を参照して説明する。
図2~
図4に示す例では、第1バッテリ14Aの第1放電電力は1kWである。第1バッテリ14Aの第1容量は1kWhである。第1バッテリ14Aの第1残容量は2kWhである。また、第2バッテリ14Bの第2放電電力は2kWである。第2バッテリ14Bの第2容量は3kWhである。第2残容量は3kWhである。
【0046】
この場合において、残容量比制御を実行したとする。第1残容量を第1放電電力で除算した値は2h(アワー)である。第2残容量を第2放電電力で除算した値は1.5h(アワー)である。したがって、後者の方が小さいため、制御部15は、第2バッテリ14Bから放電される電力が、第1バッテリ14Aから放電される電力よりも小さくなるように、第2電力変換回路13B及び第1電力変換回路13Aを制御する。
【0047】
次に、制御部15は、電源装置10から負荷23へ供給するべき電力が、第1バッテリ14Aの第1放電電力以下であるか否かを判定する。この判定が肯定の場合には、制御部15は、第2バッテリ14Bから放電される電力がゼロとなるように、第2電力変換回路13Bを制御する。尚且つ、制御部15は、第1残容量を第1放電電力で除算した値が、第2残容量を第2放電電力で除算した値と同じになるまで、第2バッテリ14Bから放電されるように第2電力変換回路13Bを制御する。したがって、制御部15は、第1残容量を第1放電電力で除算した値が、1.5hとなるように、第1バッテリ14Aを放電する。なお、このとき、制御部15は、第1バッテリ14Aから負荷23へと必要な電力が全て放電されるように、第1電力変換回路13Aを制御する。
【0048】
次いで、
図3に示すように、第1残容量を第1放電電力で除算した値と、第2残容量を第2放電電力で除算した値とが一致したとする。
図4に示すように、制御部15は、その状態が維持されるように、第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bを制御する。第1残容量と第2残容量との比は、1:2である。そのため、制御部15は、第1バッテリ14Aから放電される電力と、第2バッテリ14Bから放電される電力との比が、1:2を維持するように、第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bを制御する。
【0049】
(空容量比制御について)
以下、制御部15が行う空容量比制御について説明する。空容量比制御とは、次のような制御である。空容量比制御は、第1~第nバッテリと、第1~第nバッテリのそれぞれに対応し、充放電電力を変換する第1~第n電力変換回路と、第1~第n電力変換回路を制御可能な制御部と、を備える電源装置に適用される(ただし、nを2以上の整数とする。)。この電源装置において、第1~第nバッテリに充電できる定格電力を第1~第n充電電力とする。第1~第nバッテリが蓄電可能な電力量を、それぞれ第1~第n容量とする。第1~第n容量と、対応する第1~第nバッテリが蓄えている電力量との差を、それぞれ第1~第n空容量とする。空容量比制御は、第1~第n空容量の比が、第1~第n充電電力の比に近付くように、第1~第n電力変換回路に対して制御部が行う制御のことである。より詳細には、空容量比制御では、次のような制御を行う。xを1以上n以下の任意の整数とし、yを1以上n以下のxとは別の任意の整数とする。制御部15は、空容量比制御において、第x空容量を第x充電電力で除算した値が、第y空容量を第y充電電力で除算した値よりも小さい場合に、第xバッテリに充電される電力が第yバッテリに充電される電力よりも小さくなるように、第x電力変換回路及び第y電力変換回路を制御する。
【0050】
本実施形態において、上記nは2である。また、本実施形態において、第1容量と第2容量との比は、2:3である。そして、第1充電電力と第2充電電力との比は、1:2である。つまり、第1容量と第2容量との比、及び第1充電電力と第2充電電力との比の双方が1:1ではない。すなわち、本実施形態における空容量比制御とは、第1バッテリ14Aの第1空容量と第2バッテリ14Bの第2空容量との比が、第1バッテリ14Aの第1充電電力と第2バッテリ14Bの第2放電電力の比に近づくように、第1電力変換回路13Aと第2電力変換回路13Bに対して、制御部15が行う制御のことである。以下、空容量比制御について、具体的に説明する。
【0051】
制御部15は、太陽光パネル20から第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bに対して充電されている状態では、所定の制御周期毎に、空容量比制御の実行条件が満たされているか否かを判定する。空容量比制御の実行条件は、以下の(e)~(h)の要件のうち1つ以上の要件が満たされることである。
【0052】
(e)太陽光パネル20からの供給電力が予め定められた規定電力よりも大きい。
上記の規定電力は、例えば、第1バッテリ14Aが第1充電電力と第2バッテリ14Bが第2充電電力とを足し合わせた電力よりも、やや小さな値に定められる。すなわち、(e)の要件は、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bが共に、略最大限の充電電力で充電される状況を判定するためのものである。
【0053】
(f)第1SOC又は第2SOCが、予め定められた規定割合以上である。
上記の規定割合は、例えば80%である。(f)の要件は、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bからの充電に伴い、第1SOC又は第2SOCが100%になる可能性が高いことを判定するためのものである。
【0054】
(g)現在時刻が予め定められた特定の時間帯に含まれる。
上記の特定の時間帯は、太陽光パネル20からの供給電力が大きい時間帯として予め定められた時間帯である。特定の時間帯は、例えば午前11時~午後2時として定められる。したがって、制御部15は、太陽光パネル20からの供給電力が大きい時間帯に限って、後述の空容量比制御を実行する。このように、(g)の要件は、太陽光パネル20からの供給電力が大きい可能性があることを判定するためのものである。
【0055】
(h)外部電源22が供給可能な電力量が、負荷23が要求する電力量以上である。
負荷23が要求する電力量に対して、外部電源22から要求電力量以上の電力量が供給可能である場合には、負荷23の需要電力を第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bで賄う必要性が小さい。すなわち、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bは、充電をする可能性が高い。したがって、(h)の要件は、太陽光パネル20から第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bに充電される電力量が大きくなる可能性が高いことを判定するためのものである。
【0056】
制御部15は、上記(e)~(h)のいずれかの要件が満たされると、空容量比制御を開始する。空容量比制御を開始すると、制御部15は、第1空容量、第2空容量、第1充電電力、及び第2充電電力を取得する。そして、制御部15は、第1空容量を第1充電電力で除算した値と、第2空容量を第2充電電力で除算した値とを比較する。制御部15は、一連の各種の値の取得及び値の比較を、所定の制御周期毎に繰り返し行う。
【0057】
第1空容量を第1充電電力で除算した値と、第2空容量を第2充電電力で除算した値とを比較した結果、前者の方が小さい場合には、制御部15は、第1バッテリ14Aに充電される電力が、第2バッテリ14Bに充電される電力よりも小さくなるように、第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bを制御する。
【0058】
具体的には、制御部15は、太陽光パネル20から各バッテリに供給される電力が、第2バッテリ14Bの第2充電電力以下であるか否かを判定する。この判定が肯定の場合には、制御部15は、第1バッテリ14Aに充電される電力がゼロとなるように、第1電力変換回路13Aを制御する。併せて、制御部15は、太陽光パネル20から各バッテリに供給される電力が、第2バッテリ14Bに全て充電されるように、第2電力変換回路13Bを制御する。
【0059】
一方、太陽光パネル20から各バッテリに供給される電力が第2バッテリ14Bの第2充電電力を超えている場合、制御部15は、第2バッテリ14Bが第2充電電力で充電するように第2電力変換回路13Bを制御する。併せて、制御部15は、太陽光パネル20から供給される電力から第2充電電力を減算した差が、第1バッテリ14Aに充電されるように、第1電力変換回路13Aを制御する。
【0060】
第1空容量を第1充電電力で除算した値と、第2空容量を第2充電電力で除算した値とを比較した結果、後者の方が小さい場合には、制御部15は、第2バッテリ14Bに充電される電力が、第1バッテリ14Aに充電される電力よりも小さくなるように、第2電力変換回路13B及び第1電力変換回路13Aを制御する。
【0061】
具体的には、制御部15は、太陽光パネル20から各バッテリに供給される電力が、第1バッテリ14Aの第1充電電力以下であるか否かを判定する。この判定が肯定の場合には、制御部15は、第2バッテリ14Bに充電される電力がゼロとなるように、第2電力変換回路13Bを制御する。併せて、制御部15は、太陽光パネル20から各バッテリに供給される電力が、第1バッテリ14Aに全て充電されるように、第1電力変換回路13Aを制御する。
【0062】
一方、太陽光パネル20から各バッテリに供給される電力が第1バッテリ14Aの第1充電電力を超えている場合、制御部15は、第1バッテリ14Aが第1充電電力で充電するように第1電力変換回路13Aを制御する。併せて、制御部15は、太陽光パネル20から供給される電力から第1充電電力を減算した差が、第2バッテリ14Bに充電されるように、第2電力変換回路13Bを制御する。
【0063】
制御部15が、上記のように第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bを制御すると、第1空容量を第1充電電力で除算した値と、第2空容量を第2充電電力で除算した値と、の差が徐々に小さくなっていく。そして、第1空容量を第1充電電力で除算した値と、第2空容量を第2充電電力で除算した値とが一致した場合、第1空容量と第2空容量との比が第1充電電力と第2充電電力との比に一致する。したがって、上述した第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bの制御は、第1空容量と第2空容量との比が、第1充電電力と第2充電電力との比に近付くようにするための制御である。
【0064】
第1空容量を第1充電電力で除算した値と、第2空容量を第2充電電力で除算した値とが一致して以後、制御部15は、その状態が維持されるように、第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bを制御する。つまり、制御部15は、第1バッテリ14Aに充電される電力と第2バッテリ14Bに充電される電力との比が、第1空容量と第2空容量との比に一致するように、第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bを制御する。その結果、これ以後は、第1空容量を第1充電電力で除算した値と、第2空容量を第2充電電力で除算した値との差が、略ゼロの状態が維持される。
【0065】
(残容量比制御の効果について)
(1)上記実施形態において、制御部15は、第1残容量と第2残容量との比が第1放電電力と第2放電電力との比に近付くように、第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bを制御する残容量比制御を実行可能である。ここで、仮に、残容量比制御を実行した結果、第1残容量と第2残容量との比が、第1放電電力と第2放電電力との比に一致したとする。そして、この状態で、第1バッテリ14Aが第1放電電力で放電し、且つ第2バッテリ14Bが第2放電電力で放電したとする。このような状況下では、第1バッテリ14Aの第1残容量及び第2バッテリ14Bの第2残容量が、概ね同時にゼロになる。したがって、一方のバッテリの残容量のみが先にゼロになって、他方のバッテリから負荷23に十分な電力を供給できないといった事態は生じにくい。したがって、蓄電可能な電力量及び放電電力などの構成が第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bで異なっていても、適切な放電を実行できる。
【0066】
(2)上記実施形態において、制御部15は、第1残容量を第1放電電力で除算した値と、第2残容量を第2放電電力で除算した値とを比較する。第1残容量を第1放電電力で除算した値の方が小さい場合には、制御部15は、第1バッテリ14Aから放電される電力が可能な限りゼロとなるように、第1電力変換回路13Aを制御する。併せて、第2バッテリ14Bから可能な限り多くの電力が放電されるように、第2電力変換回路13Bを制御する。これにより、第2残容量が速やかに低下することで、第1残容量と第2残容量との比が、第1放電電力と第2放電電力との比に速やかに近付く。したがって、早期に第1残容量と第2残容量との比が第1放電電力と第2放電電力との比に近付く。
【0067】
(3)上記実施形態において、制御部15は、負荷23の需要電力が予め定められた規定電力よりも大きい場合に、残容量比制御を実行する。負荷23の需要電力が予め定められた規定電力よりも大きい場合には、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bが共に略最大限に放電しなければならない状況である可能性が高い。このような場合に、上述の残容量比制御を実行することにより、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14B双方の残容量を使い切ることができる。
【0068】
(4)上記実施形態において、第1SOC又は第2SOCが、予め定められた規定割合以下になった場合に、制御部15は残容量比制御を実行する。第1SOC又は第2SOCが規定割合以下である場合、第1バッテリ14A又は第2バッテリ14Bの残容量がゼロになる可能性が相当にある。このような場合に、残容量比制御を実行することで、いずれかのバッテリのSOCのみがゼロになることを防げる。また、各バッテリのSOCがゼロになる回数を減少できるので、過放電による各バッテリの劣化を防げる。
【0069】
(5)上記実施形態において、制御部15は、予め定められた特定の時間帯に限って残容量比制御を実行する。特定の時間帯に電源装置10に対する負荷23の需要電力が大きくなることが予測されていれば、当該特定の時間帯において、各バッテリからの放電電力が大きくなり得る。つまり、上記のような時間帯は、上述の残容量比制御を実行して、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14B双方の残容量を使い切ることができるという効果を得るうえで、好適な時間帯である。
【0070】
(6)上記実施形態において、制御部15は、外部電源22から負荷23への電力が途絶えた場合に、残容量比制御を実行する。停電時は、負荷23の需要電力を第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bで賄わなければならないので、各バッテリの放電電力が増大することが予想される。つまり、停電時は、上述の残容量比制御を実行して、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14B双方の残容量を使い切ることができるという効果を得るうえで、好適なシチュエーションである。
【0071】
(空容量比制御の効果について)
(7)上記実施形態において、制御部15は、第1空容量と第2空容量との比が、第1充電電力と第2充電電力との比に近付くように、第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bを制御する空容量比制御を実行可能である。ここで、仮に、空容量比制御を実行した結果、第1空容量と第2空容量との比が第1充電電力と第2充電電力との比に一致したとする。そして、この状態で、第1バッテリ14Aが第1充電電力で充電され、且つ第2バッテリ14Bが第2充電電力で充電されたとする。このような状況下では、第1バッテリ14Aの第1空容量及び第2バッテリ14Bの第2空容量が、概ね同時にゼロになる。すなわち、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bが、概ね同時に満充電の状態となる。したがって、一方のバッテリが満充電の状態であり、且つ他方のバッテリが満充電の状態でない状況において、既に満充電となっている一方のバッテリに過充電する事態が生じにくい。したがって、過充電を防いでバッテリを保護できる。また、蓄電可能な電力量及び充電電力などの構成が第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bで異なっていても、適切な充電を実行できる。
【0072】
(8)上記実施形態において、制御部15は、第1空容量を第1充電電力で除算した値と、第2空容量を第2充電電力で除算した値とを比較する。第1空容量を第1充電電力で除算した値の方が小さい場合には、制御部15は、第1バッテリ14Aに充電される電力が可能な限りゼロとなるように、第1電力変換回路13Aを制御する。併せて、第2バッテリ14Bに可能な限り多くの電力が充電されるように、第2電力変換回路13Bを制御する。これにより、第2空容量が速やかに低下することで、第1空容量と第2空容量との比が、第1充電電力と第2充電電力との比に速やかに近付く。したがって、早期に第1空容量と第2空容量との比が、第1充電電力と第2充電電力との比に近付く。
【0073】
(9)上記実施形態において、制御部15は、太陽光パネル20からの供給電力が予め定められた規定電力よりも大きい場合に、空容量比制御を実行する。太陽光パネル20からの供給電力が予め定められた規定電力よりも大きい場合には、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bが共に略最大限の充電電力で充電される状況である可能性が高い。このような場合に、上述の空容量比制御を実行することにより、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14B双方を概ね同時に満充電にできる。
【0074】
(10)上記実施形態において、第1SOC又は第2SOCが、予め定められた規定割合以下になった場合に、制御部15は空容量比制御を実行する。第1SOC又は第2SOCが規定割合以下である場合、第1バッテリ14A又は第2バッテリ14Bが満充電となる可能性が相当にある。このような場合に、空容量比制御を実行することで、いずれかのバッテリのSOCのみが100%になることを防げる。これにより、過充電による各バッテリの劣化を防げる可能性が高まる。
【0075】
(11)上記実施形態において、制御部15は、予め定められた特定の時間帯に限って空容量比制御を実行する。特定の時間帯に、太陽光パネル20で発電される電力が大きくなることが予測されていれば、当該特定の時間帯において、各バッテリに対する充電電力が大きくなり得る。つまり、上記のような時間帯は、上述の空容量比制御を実行して、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14B双方を概ね同時に満充電できるという効果を得るうえで、好適な時間帯である。
【0076】
(12)上記実施形態において、制御部15は、外部電源22が供給可能な電力量が、負荷23が要求する電力量以上である場合に、空容量比制御を実行する。外部電源22から負荷23へ電力が十分に供給されているときは、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bから負荷23へ電力を供給する必要性が小さい。すなわち、各バッテリを充電するには好適な状況であり、各バッテリへの供給電力が増大する可能性が相当にある。つまり、上記のような状況は、上述の空容量比制御を実行して、第1バッテリ14A及び第2バッテリ14B双方を概ね同時に満充電できるという効果を得るうえで、好適なシチュエーションである。
【0077】
<変更例>
上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0078】
(全体構成の変更例について)
・電源装置10は、バッテリ及び当該バッテリに対応する電力変換回路の組を、3組以上有していてもよい。
【0079】
すなわち、nを2以上の整数としたとき、電源装置10は、第1~第nバッテリと、第1~第nバッテリに対する充放電電力を変換する第1~第n電力変換回路と、第1~第n電力変換回路を制御可能な制御部15と、を備えていればよい。なお、例えば第1電力変換回路13Aは第1バッテリ14Aに対応して電力を変換する。第n電力変換回路は、第nバッテリに対応して電力を変換する。
【0080】
この場合において、第1~第nバッテリが蓄えることのできる電力量を、それぞれ第1~第n容量とする。第1~第nバッテリが蓄えている電力量をそれぞれ第1~第n残容量とする。第1~第n容量及び第1~第n残容量の単位は、例えばWh(ワットアワー)である。
【0081】
第1~第nバッテリが放電できる定格電力をそれぞれ第1~第n放電電力とする。第1~第nバッテリに充電できる最大の電力を第1~第n充電電力とする。なお、第1~第n放電電力は、第1~第nバッテリを単独で放電した場合における、第1~第n電力変換回路からそれぞれ出力される最大の電力である。第1~第n充電電力は、第1~第nバッテリを単独で充電した場合における、第1~第n電力変換回路にそれぞれ入力される最大の電力である。また、第1~第n放電電力及び第1~第n充電電力は、温度等の動作条件、対応する電力変換回路の定格値等に影響を受けて変化する値である。第1~第n放電電力及び第1~第n充電電力の単位は、例えばW(ワット)である。
【0082】
第1~第n容量と、対応する第1~第nバッテリが蓄えている電力量との差を、それぞれ第1~第n空容量とする。したがって、上記実施形態は、nが2である場合を例示するものである。
【0083】
・電源装置10に電力を供給する電源は太陽光パネル20に限らない。例えば、太陽光パネル20に代えて、又は太陽光パネル20に加えて、風力発電等の電源が接続されていてもよい。また、電源装置10に接続される電源の種類に応じて、PVコンバータ11を省略したり、他の電気回路を設けたりしてもよい。
【0084】
・第1バッテリ14A及び第2バッテリ14Bへの充電は、インバータ12を介して外部電源22から行ってもよい。
・第1容量と第2容量との比、及び第1放電電力と第2放電電力との比は、いずれも1:1でなくてもよい。また、第1容量と第2容量との比、及び第1充電電力と第2充電電力との比は、いずれも1:1でなくてもよい。
【0085】
・第1容量と第2容量との比、及び第1放電電力と第2放電電力との比のうち、少なくとも一方の比が1:1であればよい。また、第1容量と第2容量との比、及び第1充電電力と第2充電電力との比のうち、少なくとも一方の比が1:1であればよい。
【0086】
・制御部15は、各バッテリのSOCを算出、取得できなくてもよい。また、制御部15は、各バッテリのSOHを算出、取得できなくてもよい。この場合においても(1)に記載の効果は得られる。また、SOC及びSOHの算出方法は、上記実施形態の例に限られない。残容量比制御及び空容量比制御を実行可能であれば、他の公知の方法でSOC又はSOHを算出してもよい。
【0087】
・制御部15は、外部電源22から負荷23への電力供給が途絶えているか否か、すなわち、停電しているか否かを取得できなくてもよい。この場合においても(1)に記載の効果は得られる。
【0088】
・制御部15が連系運転と自立運転を切り替え可能であるかどうかは任意である。すなわち、連系運転のみを行ってもよいし、自立運転のみを行っていてもよい。
・自立運転が可能であれば、電源装置10は、外部電源22に接続していなくてもよい。
【0089】
(残容量比制御の変更例について)
・電源装置10が第1~第nバッテリ及び第1~第n電力変換回路を有している場合、制御部15は、第1~第n残容量の比が、第1~第n放電電力との比に近付くように、前記第1~第n電力変換回路を制御する残容量比制御を実行可能であればよい。
【0090】
例えば、nが3である場合、制御部15は、次のように残容量比制御を行う。なお、残容量比制御の実行条件等は、本実施形態と同様である。
まず、第1残容量を第1放電電力で除算した第1値と、第2残容量を第2放電電力で除算した第2値と、第3残容量を第3放電電力で除算した第3値と、を比較する。その結果、例えば第3値が最も小さい場合には、制御部15は、第3バッテリから放電される電力が、第1バッテリ及び第2バッテリから放電される電力よりも小さくなるように、第1~第3電力変換回路を制御する。
【0091】
具体的には、まず、制御部15は、電源装置10から負荷23へ供給するべき電力が、第1バッテリの第1放電電力及び第2バッテリの第2放電電力以下であるか否かを判定する。この判定が肯定の場合には、制御部15は、第3バッテリから放電される電力がゼロとなるように、第3電力変換回路を制御する。尚且つ、制御部15は、第1値及び第2値が、第3値と同じになるまで、第1バッテリ及び第2バッテリから放電されるように、第1電力変換回路及び第2電力変換回路を制御する。併せて、制御部15は、第1バッテリ及び第2バッテリから負荷23へと必要な電力が全て放電されるように、第1電力変換回路及び第2電力変換回路を制御する。
【0092】
制御部15が上記のように第1~第3電力変換回路を制御すると、第1値、第2値、及び第3値の差が徐々に小さくなっていく。そして、第1値と、第2値と、第3値と、が一致した場合、第1残容量と第2残容量と第3残容量との比、第1放電電力と第2放電電力と第3放電電力との比に一致する。
【0093】
第1値と、第2値と、第3値とが一致して以後、制御部15は、その状態が維持されるように、第1~第3電力変換回路を制御する。つまり、制御部15は、第1バッテリから放電される電力と、第2バッテリから放電される電力と、第3バッテリから放電される電力との比が、第1残容量と第2残容量と第3残容量との比に一致するように、第1~第3電力変換回路を制御する。その結果、これ以後は、第1値と、第2値と、第3値との差が、略ゼロの状態が維持される。
【0094】
・残容量比制御の実行条件は、上記実施形態の例に限られない。上記(a)~(d)の要件のうち、何れか一部のみを要件としてもよいし、上記(a)~(d)以外の要件を実行条件としてもよい。また、複数の要件のうちの2以上が満たされることを、残容量比制御の実行条件としてもよい。
【0095】
・残容量比制御は、ユーザの操作により、当該ユーザの任意のタイミングで実行されてもよい。
・残容量比制御の実行条件を満たしており、制御部15が残容量比制御を実行している最中でも、ユーザの任意のタイミングで残容量比制御を中止できてもよい。
【0096】
・制御部15は、放電時において常に残容量比制御を実行してもよい。
・過去の電源装置10の動作履歴等から、制御部15が電源装置10に対する負荷23の要求電力が大きくなる時間帯を予測してもよい。この場合、制御部15が予測した負荷23の要求電力が大きくなる時間帯に限って、制御部15が残容量比制御を実行してもよい。なお、制御部15が予測した負荷23の要求電力が大きくなる時間帯も、予め定められた特定の時間帯といえる。
【0097】
・制御部15が外部のサーバ等との無線通信により気象警報の情報、停電予測情報等を得られるように構成してもよい。この場合、停電が予測される時間帯に、制御部15が残容量比制御を実行してもよい。なお、上記の停電が予測される時間帯も、予め定められた特定の時間帯といえる。
【0098】
このように、負荷23からの要求電力が大きくなることが予測される状況において、残容量比制御を実行するように設計することが好ましい。
・電源装置10が第1~第nバッテリを有している場合において、第1~第nバッテリがそれぞれ蓄えるべき電力量の目標値を第1~第n目標残容量とする。第1~第n残容量と第1~第n目標残容量との差の絶対値をそれぞれ第1~第n差分値とする。また、xを1以上n以下の任意の整数とし、yを1以上n以下のxとは別の任意の整数とする。
【0099】
制御部15は、残容量比制御において、第1~第n残容量の比が、第1~第n放電電力の比に近付くように、第1~第n目標残容量を設定してもよい。すなわち、制御部15は、第x差分値が第y差分値よりも大きい場合に、第xバッテリから放電される電力を、第yバッテリから放電される電力よりも大きくなるように、第x電力変換回路及び第y電力変換回路を制御してもよい。
【0100】
例えば上記実施形態において、制御部15は、第1バッテリ14Aの第1目標残容量及び第2バッテリ14Bの第2目標残容量を設定してもよい。例えば、第1目標残容量及び第2目標残容量は、第1バッテリ14Aの第1残容量と、第2バッテリ14Bの第2残容量との比が、第1放電電力と第2放電電力との比になるような値とすればよい。換言すると、第1目標残容量と第2目標残容量との比が、第1放電電力と第2放電電力の比と同一になるように、各目標残容量を設定すればよい。この場合、制御部15は、第1目標残容量及び第1残容量の差である第1差分値と、第2目標残容量及び第2残容量の差である第2差分値と、を求める。そして、制御部15は、第1差分値と第2差分値を比較する。次いで、制御部15は、差分値が大きい方のバッテリから放電される電力が、差分値が小さい方のバッテリから放電される電力よりも大きくなるように、各電力変換回路を制御する。この場合においても、差分値が大きいバッテリの方が、当該バッテリの残容量を放電電力で除算した値が大きければ、上記制御は残容量比制御である。なお、第1目標残容量、第2目標残容量は具体的な値ではなくてもよい。例えば、第1目標残容量及び第2目標残容量は、第1残容量及び第2残容量の比が第1放電電力及び第2放電電力の比と同一になるような電力量の値に対して、±10%などの範囲であっても良い。
【0101】
・電源装置10が第1~第nバッテリを有している場合において、第x容量と第y容量との比、及び第x放電電力と第y放電電力との比のうち、少なくとも一方の比が1:1ではない場合に、上記実施形態の一連の制御を適用することが可能である。なお、上記x及びyの組が少なくとも1つ存在すればよい。
【0102】
・電源装置10が第1~第nバッテリを有している場合において、xを1以上n以下の任意の整数とし、yを1以上n以下のxとは別の任意の整数とする。このとき、制御部15は、残容量比制御において、第x残容量を第x放電電力で除算した値が大きいほど、第xバッテリから放電される電力が大きくなるように、第x電力変換回路を制御してもよい。これにより、電源装置10がn個のバッテリを有している場合においても、第1~第n残容量の比が、第1~第n放電電力の比に早期に近付く。
【0103】
・電源装置10が第1~第nバッテリを有している場合において、xを1以上n以下の任意の整数とし、yを1以上n以下のxとは別の任意の整数とする。このとき、残容量比制御において、第x残容量を第x放電電力で除算した値が、第y残容量を第y放電電力で除算した値よりも小さい場合に、制御部15は、次のような制御を実行してもよい。すなわち、制御部15は、第xバッテリから放電される電力がゼロとなるように第x電力変換回路を制御する。且つ、制御部15は、第x残容量を第x放電電力で除算した値が、第y残容量を第y放電電力で除算した値と同じになるまで、第yバッテリから放電されるように第y電力変換回路を制御する。これにより、電源装置10がn個のバッテリを有している場合においても、第1~第n残容量の比が、第1~第n放電電力の比に早期に近付く。
【0104】
・電源装置10が第1~第nバッテリを有している場合において、xを1以上n以下の任意の整数とし、yを1以上n以下のxとは別の任意の整数とする。このとき、残容量比制御において、第x残容量を第x放電電力で除算した値が、第y残容量を第y放電電力で除算した値よりも小さい場合に、制御部15は、次のような制御を実行してもよい。すなわち、制御部15は、第xバッテリから放電される電力がゼロとなるように第x電力変換回路を制御しなくてもよい。例えば、上記実施形態において、第1残容量を第1放電電力で除算した値と、第2残容量を第2放電電力で除算した値とを比較した際に、以下のように設計してもよい。
【0105】
前者の方が小さく、且つ、負荷23へ供給するべき電力が第2バッテリ14Bの第2放電電力以下である場合において、制御部15は、残容量比制御として、第1バッテリ14Aから放電される電力量がゼロとなるように第1電力変換回路13Aを制御しなくてもよい。
【0106】
この場合、第1バッテリ14Aから放電される電力が、第2バッテリ14Bから放電される電力よりも小さくなるように、制御部15が第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bを制御すれば、(1)に記載の効果は得られる。
【0107】
後者の方が小さく、且つ、負荷23へ供給するべき電力が第1バッテリ14Aの第1放電電力以下である場合において、制御部15は、残容量比制御として、第2バッテリ14Bから放電される電力量がゼロとなるように第2電力変換回路13Bを制御しなくてもよい。
【0108】
この場合、第2バッテリ14Bから放電される電力が、第1バッテリ14Aから放電される電力よりも小さくなるように、制御部15が第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bを制御すれば、(1)に記載の効果は得られる。
【0109】
・電源装置10がバッテリ及び対応する電力変換回路が3つ以上有している場合においても、複数のバッテリのうち、任意の組み合わせの2つのバッテリについて残容量及び放電電力の何れか一方が異なっていれば、制御部15は残容量比制御を実行可能である。
【0110】
例えば、電源装置10は、第3残容量及び第3放電電力を有する第3バッテリ及び第3電力変換回路を有していてもよい。なお、第3バッテリが蓄えている電力量を第3残容量とする。第3残容量の単位は、例えばWh(ワットアワー)である。また、第3電力変換回路を介して第3バッテリの定格電力を、第3放電電力とする。第3放電電力の単位は、例えばW(ワット)である。そして、上記3つのバッテリのうち、例えば第1放電電力と第3放電電力との比が1:1ではないとする。この場合において、第1バッテリと第3バッテリについてのみ、残容量比制御を実行するように設計してもよい。
【0111】
若しくは、この場合において、制御部15は、第1残容量、第2残容量、及び第3残容量との比が、第1放電電力、第2放電電力、及び第3放電電力との比に近付くように、第1電力変換回路13A、第2電力変換回路13B、及び第3電力変換回路を制御する残容量比制御を実行可能である。すなわち、第1残容量を第1放電電力で除算した値と、第2残容量を第2放電電力で除算した値と、第3残容量を第3放電電力で除算した値とを比較した結果、最も小さい値となるバッテリから放電される電力が、他のバッテリから放電される電力よりも小さくなるように、各電力変換回路を制御するように設計してもよい。
【0112】
(空容量比制御の変更例について)
・電源装置10がn個のバッテリ及びn個の電力変換回路を有している場合、制御部15は、第1~第n空容量の比が、第1~第n充電電力との比に近付くように、前記第1~第n電力変換回路を制御する残容量比制御を実行可能であればよい。
【0113】
・空容量比制御の実行条件は、上記実施形態の例に限られない。上記(e)~(h)の要件のうち、何れか一部のみを要件としてもよいし、上記(e)~(h)以外の要件を実行条件としてもよい。また、複数の要件のうちの2以上が満たされることを、空容量比制御の実行条件としてもよい。
【0114】
・空容量比制御は、ユーザの操作により、当該ユーザの任意のタイミングで実行されてもよい。
・空容量比制御の実行条件を満たしており、制御部15が空容量比制御を実行している最中でも、ユーザの任意のタイミングで空容量比制御を中止できてもよい。
【0115】
・制御部15は、充電時において常に空容量比制御を実行してもよい。また、第1SOC又は第2SOCが、予め定められた規定割合以上になった場合でも、制御部15は、空容量比制御を実行しなくてもよい。制御部15は、空容量比制御を実行する時間帯を、予め定めていなくてもよい。外部電源22から要求電力量以上の電力量が供給可能である場合においても、空容量比制御を実行しなくてもよい。
【0116】
・過去の電源装置10の動作履歴等から、制御部15は、太陽光パネル20から電源装置10に対する発電電力の供給電力が大きくなる時間帯を予測してもよい。この場合、制御部15が予測した太陽光パネル20からの供給電力が大きくなる時間帯に限って、制御部15が空容量比制御を実行してもよい。なお、制御部15が予測した太陽光パネル20からの供給電力が大きくなる時間帯も、予め定められた特定の時間帯といえる。
【0117】
・制御部15が外部のサーバ等との無線通信により気象警報の情報、停電予測情報等を得られるように構成してもよい。この場合、停電が予測される時間帯以前の時間帯に、制御部15は予め各バッテリを充電してもよい。そして、その際に制御部15が空容量比制御を実行してもよい。なお、上記の停電が予測される時間帯以前の時間帯も、予め定められた特定の時間帯といえる。
【0118】
このように、太陽光パネル20からの発電電力の供給が大きくなることが予測される状況において、空容量比制御を実行するように設計することが好ましい。
・電源装置10が第1~第nバッテリを有している場合において、第1~第n容量と、対応する第1~第nバッテリが蓄えるべき電力量との差の目標値を、それぞれ第1~第n目標空容量とする。第1~第n空容量と第1~第n目標空容量との差の絶対値をそれぞれ第1~第n差分値とする。また、xを1以上n以下の任意の整数とし、yを1以上n以下のxとは別の任意の整数とする。
【0119】
制御部15は、空容量比制御において、第1~第n空容量の比が、第1~第n充電電力の比に近付くように、第1~第n目標空容量を設定してもよい。すなわち、制御部15は、第x差分値が第y差分値よりも大きい場合に、第xバッテリに充電される電力を、第yバッテリに充電される電力よりも大きくなるように、第x電力変換回路及び第y電力変換回路を制御してもよい。
【0120】
例えば上記実施形態において、制御部15は、第1バッテリ14Aの第1目標空容量及び第2バッテリ14Bの第2目標空容量を設定してもよい。例えば、第1目標空容量及び第2目標空容量は、第1バッテリ14Aの第1空容量と、第2バッテリ14Bの第2空容量との比が、第1充電電力と第2充電電力との比になるような値とすればよい。換言すると、第1目標空容量と第2目標空容量との比が、第1充電電力と第2充電電力の比と同一になるように、各目標空容量を設定すればよい。この場合、制御部15は、第1目標空容量及び第1空容量の差である第1差分値と、第2目標空容量及び第2空容量の差である第2差分値と、を求める。そして、制御部15は、第1差分値と第2差分値を比較する。次いで、制御部15は、差分値が大きい方のバッテリに充電される電力が、差分値が小さい方のバッテリに充電される電力よりも大きくなるように、各電力変換回路を制御する。この場合においても、差分値が大きいバッテリの方が、当該バッテリの空容量を充電電力で除算した値が大きければ、上記制御は空容量比制御である。なお、第1目標空容量、第2目標空容量は具体的な値ではなくてもよい。例えば、第1目標空容量及び第2目標空容量は、第1空容量及び第2空容量の比が第1充電電力及び第2充電電力の比と同一になるような電力量の値に対して、±10%などの範囲であっても良い。
【0121】
・電源装置10が第1~第nバッテリを有している場合において、第x容量と第y容量との比、及び第x充電電力と第y充電電力との比のうち、少なくとも一方の比が1:1ではない場合に、上記実施形態の一連の制御を適用することが可能である。なお、上記x及びyの組が少なくとも1つ存在すればよい。
【0122】
・電源装置10が第1~第nバッテリを有している場合において、xを1以上n以下の任意の整数とし、yを1以上n以下のxとは別の任意の整数とする。このとき、制御部15は、空容量比制御において、第x空容量を第x充電電力で除算した値が大きいほど、第xバッテリに充電される電力が大きくなるように、第x電力変換回路を制御してもよい。これにより、電源装置10がn個のバッテリを有している場合においても、第1~第n空容量の比が、第1~第n充電電力の比に早期に近付く。
【0123】
・電源装置10が第1~第nバッテリを有している場合において、xを1以上n以下の任意の整数とし、yを1以上n以下のxとは別の任意の整数とする。このとき、空容量比制御において、第x空容量を第x充電電力で除算した値が、第y空容量を第y充電電力で除算した値よりも小さい場合に、制御部15は、次のような制御を実行してもよい。すなわち、制御部15は、第xバッテリに充電される電力がゼロとなるように第x電力変換回路を制御する。且つ、制御部15は、第x空容量を第x充電電力で除算した値が、第y空容量を第y充電電力で除算した値と同じになるまで、第yバッテリに充電されるように第y電力変換回路を制御する。これにより、電源装置10がn個のバッテリを有している場合においても、第1~第n空容量の比が、第1~第n充電電力の比に早期に近付く。
【0124】
・電源装置10が第1~第nバッテリを有している場合において、xを1以上n以下の任意の整数とし、yを1以上n以下のxとは別の任意の整数とする。このとき、空容量比制御において、第x空容量を第x充電電力で除算した値が、第y空容量を第y充電電力で除算した値よりも小さい場合に、制御部15は、次のような制御を実行してもよい。すなわち、制御部15は、第xバッテリに充電される電力がゼロとなるように第x電力変換回路を制御しなくてもよい。例えば、上記実施形態において、第1空容量を第1充電電力で除算した値と、第2空容量を第2充電電力で除算した値とを比較した際に、以下のように設計してもよい。
【0125】
前者の方が小さく、且つ、太陽光パネル20から供給される電力が第2バッテリ14Bの第2充電電力以下である場合において、制御部15は、空容量比制御として、第1バッテリ14Aに充電される電力量がゼロとなるように、第1電力変換回路13Aを制御しなくてもよい。
【0126】
この場合、第1バッテリ14Aに充電される電力が、第2バッテリ14Bに充電される電力よりも小さくなるように、制御部15が第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bを制御すれば、(7)に記載の効果は得られる。
【0127】
後者の方が小さく、且つ、太陽光パネル20から供給される電力が第1バッテリ14Aの第1充電電力以下である場合において、制御部15は、空容量比制御として、第2バッテリ14Bに充電される電力量がゼロとなるように第2電力変換回路13Bを制御しなくてもよい。
【0128】
この場合、第2バッテリ14Bに充電される電力が、第1バッテリ14Aに充電される電力よりも小さくなるように、制御部15が第1電力変換回路13A及び第2電力変換回路13Bを制御すれば、(7)に記載の効果は得られる。
【0129】
・電源装置10がバッテリ及び対応する電力変換回路が3つ以上有している場合においても、複数のバッテリのうち、任意の組み合わせの2つのバッテリについて空容量及び充電電力の何れか一方が異なっていれば、制御部15は空容量比制御を実行可能である。
【0130】
例えば、電源装置10は、第3空容量及び第3充電電力を有する第3バッテリ及び第3電力変換回路を有していてもよい。なお、第3バッテリが蓄えている電力量を第3空容量とする。第3空容量の単位は、例えばWh(ワットアワー)である。また、第3電力変換回路を介して第3バッテリが充電できる最大の電力を、第3充電電力とする。第3充電電力の単位は、例えばW(ワット)である。そして、上記3つのバッテリのうち、例えば第1充電電力と第3充電電力との比が1:1ではないとする。この場合において、第1バッテリと第3バッテリについてのみ、空容量比制御を実行するように設計してもよい。
【0131】
若しくは、この場合において、制御部15は、第1空容量、第2空容量、及び第3空容量の比が、第1充電電力、第2充電電力、及び第3充電電力の比に近付くように、第1電力変換回路13A、第2電力変換回路13B、及び第3電力変換回路を制御する空容量比制御を実行可能である。すなわち、第1空容量を第1充電電力で除算した値と、第2空容量を第2充電電力で除算した値と、第3空容量を第3充電電力で除算した値とを比較した結果、最も小さい値となるバッテリに充電される電力が、他のバッテリに充電される電力よりも小さくなるように、各電力変換回路を制御するように設計してもよい。
【0132】
<付記>
上記実施形態及び変更例から導き出せる技術思想を以下に記載する。
[1]
nを2以上の整数としたとき、
第1~第nバッテリと、
前記第1~第nバッテリのそれぞれに対応し、充放電電力を変換する第1~第n電力変換回路と、
前記第1~第n電力変換回路を制御可能な制御部と、
を備え、
前記第1~第nバッテリが蓄電可能な電力量をそれぞれ第1~第n容量とし、
前記第1~第nバッテリが放電できる定格電力をそれぞれ第1~第n放電電力とし、
前記第1~第nバッテリが蓄えている電力量をそれぞれ第1~第n残容量とし、
xを1以上n以下の任意の整数とし、yを1以上n以下のxとは別の任意の整数としたとき、
第x容量と第y容量との比、及び第x放電電力と第y放電電力との比のうち、少なくとも一方の比は、1:1ではなく、
前記制御部は、前記第1~第n残容量の比が、前記第1~第n放電電力の比に近付くように、前記第1~第n電力変換回路を制御する残容量比制御を実行可能である、電源装置。
【0133】
[2]
前記第1~第nバッテリがそれぞれ蓄えるべき電力量の目標値を第1~第n目標残容量とし、
前記第1~第n残容量と前記第1~第n目標残容量との差の絶対値をそれぞれ第1~第n差分値としたとき、
前記制御部は、前記残容量比制御において、前記第1~第n残容量の比が、前記第1~第n放電電力の比に近付くように、前記第1~第n目標残容量を設定し、
第x差分値が第y差分値よりも大きい場合に、第xバッテリから放電される電力が、第yバッテリから放電される電力よりも大きくなるように、第x電力変換回路及び第y電力変換回路を制御する、[1]に記載の電源装置。
【0134】
[3]
前記制御部は、前記残容量比制御において、第x残容量を前記第x放電電力で除算した値が、第y残容量を前記第y放電電力で除算した値よりも小さい場合に、第xバッテリから放電される電力が第yバッテリから放電される電力よりも小さくなるように、第x電力変換回路及び第y電力変換回路を制御する、[1]又は[2]に記載の電源装置。
【0135】
[4]
前記残容量比制御において、第x残容量を前記第x放電電力で除算した値が、第y残容量を前記第y放電電力で除算した値よりも小さい場合に、
前記制御部は、第xバッテリから放電される電力がゼロとなるように第x電力変換回路を制御し、且つ、前記第x残容量を前記第x放電電力で除算した値が、前記第y残容量を前記第y放電電力で除算した値と同じになるまで第yバッテリから放電されるように、第y電力変換回路を制御する、[1]~[3]のいずれか1つに記載の電源装置。
【0136】
[5]
前記制御部は、前記残容量比制御において、第x残容量を前記第x放電電力で除算した値が大きいほど、第xバッテリから放電される電力が大きくなるように、第x電力変換回路を制御する、[1]~[4]のいずれか1つに記載の電源装置。
【0137】
[6]
前記制御部は、予め定められた特定の時間帯に限って前記残容量比制御を実行する、[1]~[5]のいずれか1つに記載の電源装置。
【0138】
[7]
前記第1~第nバッテリは、負荷に対して電力を出力可能であり、
前記負荷は、前記第1~第nバッテリとは別の外部電源からも電力の供給を受けることが可能であり、
前記外部電源から前記負荷への電力供給が途絶えている場合に、
前記制御部は、前記残容量比制御を実行する、[1]~[6]のいずれか1つに記載の電源装置。
【0139】
[8]
前記nは2である[1]~[7]のいずれか1つに記載の電源装置。
[9]
前記第1バッテリが蓄電可能な電力量を第1容量とし、
前記第2バッテリが蓄電可能な電力量を第2容量とし、
前記第1バッテリのSOCを第1SOCとし、
前記第2バッテリのSOCを第2SOCとしたとき、
前記第1残容量は前記第1容量と前記第1SOCとの積で算出され、
前記第2残容量は前記第2容量と前記第2SOCとの積で算出される、[8]に記載の電源装置。
【0140】
[10]
前記第1バッテリのSOCを第1SOCとし、
前記第2バッテリのSOCを第2SOCとしたとき、
前記第1SOC又は前記第2SOCが、予め定められた規定割合以下になった場合に、前記制御部は、前記残容量比制御を実行する、[8]又は[9]に記載の電源装置。
【0141】
[11]
nを2以上の整数としたとき、
第1~第nバッテリと、
前記第1~第nバッテリのそれぞれに対応し、充放電電力を変換する第1~第n電力変換回路と、
前記第1~第n電力変換回路を制御可能な制御部と、
を備え、
前記第1~第nバッテリに充電できる定格電力を第1~第n充電電力とし、
前記第1~第nバッテリが蓄電可能な電力量を、それぞれ第1~第n容量とし、
前記第1~第n容量と、対応する前記第1~第nバッテリが蓄えている電力量との差を、それぞれ第1~第n空容量とし、
xを1以上n以下の任意の整数とし、yを1以上n以下のxとは別の任意の整数としたとき、
第x容量と第y容量との比、及び第x充電電力と第y充電電力との比のうち、少なくとも一方の比は、1:1ではなく、
前記制御部は、前記第1~第n空容量の比が、前記第1~第n充電電力の比に近付くように、前記第1~第n電力変換回路を制御する空容量比制御を実行可能である、電源装置。
【0142】
[12]
前記第1~第n容量と、対応する前記第1~第nバッテリが蓄えるべき電力量との差の目標値を、それぞれ第1~第n目標空容量としたとき、
前記第1~第n空容量と前記第1~第n目標空容量との差の絶対値をそれぞれ第1~第n差分値とし、
前記制御部は、前記空容量比制御において、前記第1~第n空容量の比が、前記第1~第n充電電力の比に近付くように、前記第1~第n目標空容量を設定し、
第x差分値が第y差分値よりも大きい場合に、第xバッテリに充電される電力を、第yバッテリに充電される電力よりも大きくなるように、第x電力変換回路及び第y電力変換回路を制御する、[11]に記載の電源装置。
【0143】
[13]
前記制御部は、前記空容量比制御において、第x空容量を前記第x充電電力で除算した値が、第y空容量を前記第y充電電力で除算した値よりも小さい場合に、第xバッテリに充電される電力が第yバッテリに充電される電力よりも小さくなるように、第x電力変換回路及び第y電力変換回路を制御する、[11]又は[12]に記載の電源装置。
【0144】
[14]
前記空容量比制御において、第x空容量を前記第x充電電力で除算した値が、第y空容量を前記第y充電電力で除算した値よりも小さい場合に、
前記制御部は、第xバッテリに充電される電力がゼロとなるように第x電力変換回路を制御し、且つ、前記第x空容量を前記第x充電電力で除算した値が、前記第y空容量を第y充電電力で除算した値と同じになるまで第yバッテリに充電されるように、第y電力変換回路を制御する、[11]~[13]のいずれか1つに記載の電源装置。
【0145】
[15]
前記制御部は、前記空容量比制御において、第x空容量を前記第x充電電力で除算した値が大きいほど、第xバッテリに充電する電力が大きくなるように第x電力変換回路を制御する、[11]~[14]のいずれか1つに記載の電源装置。
【0146】
[16]
前記nは2である[11]~[15]のいずれか1つに記載の電源装置。
【符号の説明】
【0147】
10…電源装置
11…PVコンバータ
12…インバータ
13A…第1電力変換回路
14A…第1バッテリ
13B…第2電力変換回路
14B…第2バッテリ
15…制御部
20…太陽光パネル
21…電力線
22…外部電源
23…負荷