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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154614
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置
(51)【国際特許分類】
   F27B 3/08 20060101AFI20241024BHJP
   H05B 3/64 20060101ALI20241024BHJP
   F27D 11/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F27B3/08
H05B3/64
F27D11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068536
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】592017002
【氏名又は名称】三建産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】岸村 司
【テーマコード(参考)】
3K092
4K045
4K063
【Fターム(参考)】
3K092PP09
3K092QA01
3K092QC70
3K092VV40
4K045AA04
4K045BA03
4K045RB04
4K045RB19
4K063AA04
4K063AA12
4K063CA06
4K063FA25
(57)【要約】
【課題】溶湯やヒータの熱が電極や配線を通して電源側に伝わることを防止する非鉄金属溶解炉用ヒータ装置を提供する。
【解決手段】非鉄金属溶解炉Fの溶湯Mを電力で加熱して溶解するものであり、電源Pに接続され、電源Pからの電流を流す第一コイル部11と、非鉄金属溶解炉Fの溶湯Mに浸漬されたヒータ本体14に接続された第二コイル部12を備え、第一コイル部11と第二コイル部12を所定間隔L(L1)で離間して配置し、第一コイル部11が形成する磁界で第二コイル部12に電流を発生させ、発生させた電流を前記ヒータ本体14に送って溶湯Mを加熱して溶解する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非鉄金属溶解炉の溶湯を電力で加熱して溶解する電気ヒータ装置であって、
電源に接続され、前記電源からの電流を流す第一コイル部と、
前記非鉄金属溶解炉の溶湯に浸漬されたヒータ本体に接続された第二コイル部を備え、
前記第一コイル部と第二コイル部を所定間隔で離間して配置し、前記第一コイル部が形成する磁界で前記第二コイル部に電流を発生させ、前記発生させた電流を前記ヒータ本体に送って前記溶湯を加熱して溶解することを特徴とする非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置。
【請求項2】
前記第一コイル部と第二コイル部を、離間させて直列状に配列したことを特徴とする請求項1に記載の非鉄金属溶解用電気ヒータ装置。
【請求項3】
前記第二コイル部を、耐熱温度の高い材料としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の非鉄金属溶解用電気ヒータ装置。
【請求項4】
前記第一コイル部と第二コイル部の内部に磁束方向に沿って空気より透磁率の高い芯材を挿通し、かつ、前記第一コイル部を前記芯材に固定し、前記第二コイル部を前記芯材から所定距離で遊離させたことを特徴とする請求項2に記載の非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置。
【請求項5】
前記第一コイル部と第二コイル部を、離間させて並列状に配置したことを特徴とする請求項1に記載の非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置。
【請求項6】
前記第一コイル部と第二コイル部をそれぞれ略半円状に形成し、双方で略円形状を形成するように対向して配置し、前記第一コイル部の両端部と、前記第二コイル部の両端部とを離間させて配置したことを特徴とする請求項5に記載の非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置。
【請求項7】
前記第一コイル部の内部に磁束方向に沿って磁性を持つ第一芯材を固定状態で挿通し、前記第二コイル部の内部に前記第一芯材とは別体で磁性を持つ第二芯材を磁束方向に沿って固定状態で挿通したことを特徴とする請求項6に記載の非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非鉄金属溶解炉の溶湯を電力で加熱して溶解する電気ヒータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、アルミニウム合金等の非鉄金属を溶解する非鉄金属溶解炉には、バーナからの放射火炎によって溶湯を加熱するものと、電気ヒータからの電力で溶湯を加熱するものがある。電気ヒータによるものは、バーナによるものよりも熱効率が良いといった利点があり、こうした電気ヒータを取り入れた非鉄金属溶解炉は本出願人によっても先に出願されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の非鉄金属溶解炉で使用される電気ヒータ20は、図6に示すように、一対の電極(ヒータ本体)21、22を溶湯M内に対向して浸漬し、電源からの電流を一方の電極21に流し、その電流を、溶湯Mを通して他方の電極22に流すことによって電極21、22を加熱し、その熱で溶湯Mを溶解している。一対の電極21,22と電源とは配線などで電気的および機械的(熱的)に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5432812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のものを含む一般の電気ヒータでは、図7に示すように、電源Pからの配線が、絶縁材30、圧着端子32、編組線33およびクランプ34などの配線接続部材を介して電極21、22に接続されている。こうした構造における配線接続部材の耐熱性は一般に編組線33やクランプ34を除いて100℃前後であり、従って、500℃以上の溶湯および電極から配線を通して伝わる熱によって損傷してしまい易い。そのため、これらの配線接続部材に対する冷却が必要となり、結果として加熱効率が低下してしまうといった問題がある。
【0006】
なお、特許文献1に記載の電気ヒータ20では、整流器23の電源P側に、漏電防止のために絶縁トランス24が取付けられている。この絶縁トランス24を、図6の想像線で示すように、スイッチング制御ユニット25と一対の電極21、22との間に設けて、スイッチング制御ユニットの接地電位を安定させることも考えられる。しかし、その場合でも一対の電極21、22と電源P側とは絶縁トランス24という構造物によって機械的(熱的)に接続された状態にあるため、溶湯Mの熱が絶縁トランス24をも介して電源P側に伝わり、電源P側の配線に設けられている配線接続部材を電極21、22および溶湯M及びヒータの熱によって損傷させてしまい易いので、絶縁トランス24は電極21,22から離れた位置に配置しなければならず、絶縁トランス24までの配線材料は耐熱温度の高い材料を使う必要がある。
【0007】
そこで、本発明の目的とするところは、溶湯及びヒータの熱が電極や配線を通して電源側に伝わることを防止する非鉄金属溶解炉用ヒータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置(10)は、非鉄金属溶解炉(F)の溶湯(M)を電力で加熱して溶解するものであって、
電源(P)に接続され、前記電源(P)からの電流を流す第一コイル部(11)と、
前記非鉄金属溶解炉(F)の溶湯(M)に浸漬されたヒータ本体(14)に接続された第二コイル部(12)を備え、
前記第一コイル部(11)と第二コイル部(12)を所定間隔(L)で離間して配置し、前記第一コイル部(11)が形成する磁界で前記第二コイル部(12)に電流を発生させ、前記発生させた電流を前記ヒータ本体(14)に送って前記溶湯(M)を加熱して溶解することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記第一コイル部(11)と第二コイル部(12)を、離間させて直列状に配列したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記第二コイル部(12)を、耐熱温度の高い材料としたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記第一コイル部(11)と第二コイル部(12)の内部に磁束方向に沿って空気より透磁率の高い芯材(13)を挿通し、かつ、前記第一コイル部(11)を前記芯材(13)に固定し、前記第二コイル部(12)を前記芯材(13)から所定距離(D)で遊離させたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記第一コイル部(11)と第二コイル部(12)を、離間させて並列状に配置したことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明は、前記第一コイル部(11)と第二コイル部(12)をそれぞれ略半円状に形成し、双方で略円形状を形成するように対向して配置し、前記第一コイル部(11)の両端部と、前記第二コイル部(12)の両端部とを離間させて配置したことを特徴とする。
【0014】
またさらに、本発明は、前記第一コイル部(11)の内部に磁束方向に沿って磁性を持つ第一芯材(13a)を固定状態で挿通し、前記第二コイル部(12)の内部に前記第一芯材(13a)とは別体で磁性を持つ第二芯材(13b)を磁束方向に沿って固定状態で挿通したことを特徴とする。
【0015】
ここで、上記括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に掲載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0016】
本発明の非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置によれば、第一コイル部と第二コイル部を所定間隔で離間して配置し、第一コイル部が形成する磁界で第二コイル部に電流を発生させ、その電流をヒータ本体に送って溶湯を加熱して溶解するので、溶湯およびヒータ本体の熱が第二コイル部から第一コイル部に伝わるのを防止することができる。
すなわち、所定間隔の存在により、第一コイル部と第二コイル部は電気的な接続に加えて、機械的(熱的)な接続を遮断されるので、第二コイル部から第一コイル部への熱の伝わりを阻止することができる。従って、第一コイル部側の配線に設けられている配線接続部材が熱によって損傷するのを未然に防止することができる。その結果、第一コイル部と第二コイル部を電極の近くに設置することが可能となり、配線接続部材に対する冷却範囲が小さくなり、加熱効率の低下を防止することができる。
【0017】
また、本発明によれば、第一コイル部と第二コイル部を、離間させて直列状に配列したので、溶湯等の熱が第一コイル部に伝わるのを防止することができる。従って、第一コイル部側の配線に設けられている配線接続部材が熱によって損傷するのを防止することができる。
【0018】
また、本発明によれば、第二コイル部を、耐熱温度の高い材料としたので熱による損傷を防止し第一コイル部側に熱が伝わることをさらに防止することできる。
【0019】
また、本発明によれば、第一コイル部と第二コイル部の内部に芯材を挿通したので、芯材の働きによって、第一コイル部に、より強い磁界を発生させ、それを第二コイル部に、より効果的に作用させることができる。また、第一コイル部を芯材に固定したので、さらに強い磁界を発生させることができる。さらに、第二コイル部を芯材から遊離させて非接触状態にしたので、第二コイル部の熱が芯材および第一コイル部に伝わるのを防止することができ、第一コイル部(電源)側の配線に設けられている配線接続部材が溶湯などの熱によって損傷するのを防止することができる。
【0020】
また、本発明によれば、第一コイル部と第二コイル部を、離間させて並列状に配置したので、溶湯等の熱が第一コイル部に伝わるのを防止することができ、第一コイル部側の配線接続部材が熱によって損傷するのを防止することができる。
【0021】
さらに、本発明によれば、第一コイル部と第二コイル部をそれぞれ略半円状に形成し、双方で略円形状を形成するように対向して配置したので、第一コイル部の磁界を第二コイル部に効果的に作用させることができる。また、第一コイル部の両端部と、それに対向する第二コイル部の両端部とを離間させて配置したので、第二コイル部の熱が第一コイル部に伝わることを防止することができる。
【0022】
またさらに、本発明によれば、第一コイル部の内部に第一芯材を固定状態で挿通し、第二コイル部の内部に第一芯材とは別体の第二芯材を固定状態で挿通したので、第一コイル部に、より強い磁界を発生させることができると共に、その磁界を第二コイル部に、より効果的に作用させることができる。また、第一芯材と第二芯材は別体であるので、第二芯材(第二コイル部)の熱が第一芯材(第一コイル部)に伝わることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第一実施形態に係る非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置を示す正面断面図である(非鉄金属溶解炉に取り付けた状態を示す)。
図2】本発明の第二実施形態に係る非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置を示す正面断面図である。
図3】本発明の第三実施形態に係る非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置を示す要部正面図である。
図4】本発明の第四実施形態に係る非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置を示す要部平面図である。
図5図4に示す電気ヒータ装置の第二コイル部を第一コイル部から引き離した状態を示す要部平面図である。
図6】従来例に係る電気ヒータを示す正面一部断面図である。
図7】従来例に係る電気ヒータの配線接続部を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照して、本発明の第一実施形態に係る非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置10を説明する。
【0025】
第一実施形態に係る電気ヒータ装置10は、非鉄金属溶解炉Fの溶湯(アルミニウム合金等)Mを電力で加熱して溶解するものであり、導電性と磁性に優れた材料で形成された第一コイル部11と、同様に、導電性と磁性に優れた材料製の第二コイル部12を備える。第一コイル部11と第二コイル部12の直径と長さはほぼ同じ寸法に設定しているが、異なる寸法とすることもできる。
【0026】
第一コイル部11は電源Pに接続され、第二コイル部12は非鉄金属溶解炉Fの炉体F1内部の溶湯Mに浸漬された一対のヒータ本体14(第一ヒータ本体14aおよび第二ヒータ本体14b)に接続される。第一コイル部11と第二コイル部12は所定間隔L(L1)で離隔して直列状に配置される。所定間隔L(L1)とは、第二コイル部12の熱が、第一コイル部11に伝わらない程度の距離であり、溶湯Mの温度や電源Pの出力などによって適宜変更することができる。
【0027】
なお、一対のヒータ本体14(14a、14b)は、その下半部以上が溶湯Mに浸漬され、その上端部が非鉄金属溶解炉Fの蓋部F2から上方に露出する。第二コイル部12はこのヒータ本体14部の上端部に接続される。
また、ヒータ本体14は溶湯Mの温度に対応できる材料で形成し、ヒータ本体14に直接接触する編組線表面部分には酸化を防ぐ材料をメッキすることが好ましい。
また、第二コイル部12は、特に耐熱温度の高い材料で構成することが好ましい。
【0028】
この非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置10においては、電源P(直流電源の場合)に接続された第一コイル部11が、電源Pから供給される電流で磁界を発生させる。こうして発生した磁界は第二コイル部12に作用し、第二コイル部12に電流を発生させる。この電流は、一対のヒータ本体14の一方である第一ヒータ本体14aに流れ、第一ヒータ本体14aに熱を発生させ、その熱で溶湯Mを加熱して溶解させる。第一ヒータ本体14aに流れた電流は、溶湯Mを通って他方のヒータ本体14である第二ヒータ本体14bに流れ、第二ヒータ本体14bを加熱し、その熱でも溶湯Mを加熱して溶解する。こうした電流の流れによって、第一ヒータ本体14aおよび第二ヒータ本体14bからの熱によって溶湯Mを加熱し溶解する。なお、電源Pが交流電源の場合は、こうした電流の流れが交互に行われる。
【0029】
こうした機能を発揮する第一実施形態に係る非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置10において、第一コイル部11と第二コイル部12との間には所定間隔L(L1)を設けて離隔しているので、両者は電気的な接続に加えて機械的な接続も遮断され、第二ヒータ本体14bおよび溶湯Mの熱で加熱される第二コイル部12の熱が第一コイル部11に伝わるのを阻止することができる。これにより、第一コイル部11側の配線に設けられている配線接続部材が熱によって損傷するのを未然に防止することができる。その結果、配線接続部材の冷却が不要となり、加熱効率の低下を防止することができる。
【0030】
また、第一コイル部11と第二コイル部12を所定間隔L(L1)で離隔して機械的に離しているので、例えば、第二コイル部12側の第二ヒータ本体14bを交換する際には、第一コイル部11と第一ヒータ本体14aはそのままの状態とし、第二コイル部12と第二ヒータ本体14bのみを取扱う作業を行えばよく、従って、その交換作業がきわめて容易となる。
【0031】
図2を参照して、本発明の第二実施形態に係る非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置10を説明する。この電気ヒータ装置10も、第一実施形態と同様に、第一コイル部11と第二コイル部12を備え、両者の間に所定間隔L(L1)を設けている。この電気ヒータ装置10の特徴は、第二コイル部12の両端部を一つのヒータ本体14に接続していることである。従って、第一コイル部11の磁界によって第二コイル部12に発生させた電流を、その一つのヒータ本体14の外部から折り返して内部で戻すように流して加熱し、その熱で溶湯Mを溶解する。
【0032】
第二実施形態に係る非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置10においても、第一コイル部11と第二コイル部12との間に所定間隔D(D1)を設けているので、第二ヒータ本体14bおよび溶湯Mの熱で加熱される第二コイル部12の熱が第一コイル部11に伝わることを阻止することができる。従って、第一コイル部11側の配線に設けられている配線接続部材が熱によって損傷するのを未然に防止することができる。
また、例えば、ヒータ本体14の交換作業も、第一コイル部11をそのままの状態として行うことができるので、きわめて容易となる。
【0033】
図3を参照して、本発明の第三実施形態に係る非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置10を説明する。この電気ヒータ装置10の特徴は、直列状に配置した第一コイル部11と第二コイル部12の内部に磁束方向(長手方向)に沿って空気より透磁率の高い1本の芯材13を挿通し、かつ、第一コイル部11はその芯材13に固定状態(接触状態)で設け、第二コイル部12はその芯材13から所定距離D分、遊離した状態(非接触状態)で設けたことである。第二コイル部12を芯材13から所定距離Dで離すことにより、第一コイル部11と第二コイル部12を離間させている。
【0034】
上記した構成の本実施形態では、芯材13を設けたことにより、第一コイル部11に、より強い磁界を発生させることができると共に、第二コイル部12にその磁界を、より効果的に作用させることができ、その結果、第二コイル部12に、より大きな電流を流すことができる。これにより、ヒータ本体14をさらに効果的に加熱することができ、溶湯Mを、より効果的に加熱および溶解することができる。
【0035】
第三実施形態に係る非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置10においても、第一コイル部11と第二コイル部12を離間させているので、第二コイル部12の熱が芯材13から第一コイル部11に伝わるのを防止することができ、第二コイル部12(電源P)側の配線に設けられている配線接続部材が溶湯Mなどの熱によって損傷するのを防止することができる。
また、上記二つの実施形態と同様に、ヒータ本体14などの部材の交換作業も容易となる。
【0036】
図4を参照して、本発明の第三実施形態に係る非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置10を説明する。この電気ヒータ装置10の特徴は、第一コイル部11と第二コイル部12をそれぞれ略半円状に形成し、双方で略円形状を形成するようにほぼ並列状に対向して配置したことである。また、第一コイル部11の両端部と、それに対向する第二コイル部12の両端部とを所定間隔L(L2)で離間したことも特徴としている。
【0037】
さらに、第一コイル部11の内部に磁束方向(円周方向)に沿って、空気よりも磁性率の高い磁性を持つ第一芯材13aを磁束方向に沿って固定状態で挿通し、かつ、第二コイル部12の内部に第一芯材13aとは別体で、同様に空気よりも磁性率の高い磁性を持つ第二芯材13bを磁束方向に沿って固定状態で挿通したことも特徴とする。なお、第一芯材13aの両端部と第二芯材13bの両端部の間にも、第一コイル部11と第二コイル部12の両端部の間と同様に、所定間隔L(L2)を設けることによっても第一コイル部11と第二コイル部12を離間している。
【0038】
第三実施形態に係る非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置10においては、第一コイル部11と第二コイル部12をそれぞれ略半円状に形成し、双方で略円形状を形成するようにほぼ並列状に対向して配置したので、直列状に配置した場合と比較して、磁界の拡散および損失を低減することができ、第一コイル部11の磁界を第二コイル部12に、より効果的に作用させることができる。また、こうした構成によりノイズの漏出を抑制することができる。
【0039】
また、第一コイル部11に第一芯材13aを設け、第二コイル部12に第二芯材13bを設けたので、第一コイル部11に、より強い磁界を発生させることができると共に、第二コイル部12に、より大きな電流を流すことができる。これにより、ヒータ本体14を、より効果的に加熱して溶湯Mを効率的に加熱および溶解することができる。
【0040】
第三実施形態に係る非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置10においても、第一コイル部11と第二コイル部12を離間しているので、第二コイル部12の熱が第一コイル部11に伝わるのを防止することができる。これにより、第一コイル部11の側の配線に設けられている配線接続部等の部材が熱によって損傷することを未然に防止することができる。
【0041】
また、図5に示すように、第二コイル部12を第一コイル部11からさらに離すことによって、ヒータ本体14などの部材の交換作業をきわめて容易に行うことができる。
【0042】
なお、電源P側の第一コイル部11とヒータ本体14側の第二コイル部12を離隔し、第二コイル部12の熱が第一コイル部11に伝わるのを防止した非鉄金属溶解炉用電気ヒータ装置10は、上述した特許文献1にも一切記載されていない。
【符号の説明】
【0043】
10 電気ヒータ装置
11 第一コイル部
12 第二コイル部
13 芯材
13a 第一芯材
13b 第二芯材
14 ヒータ本体
14a 第一ヒータ本体
14b 第二ヒータ本体
20 電気ヒータ
21 電極(ヒータ本体)
22 電極(ヒータ本体)
23 整流器
24 絶縁トランス
25 スイッチング制御ユニット
30 絶縁材
31 端子カバー
32 圧着端子
33 編組線
34 クランプ
D 所定距離
F 非鉄金属溶解炉
F1 炉体
F2 蓋部
L(L1,L2) 所定間隔
M 溶湯
P 電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7