(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154615
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ウォーターサーバー
(51)【国際特許分類】
B67D 3/00 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
B67D3/00 Z
B67D3/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068538
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】316003276
【氏名又は名称】株式会社コスモライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100127340
【弁理士】
【氏名又は名称】飛永 充啓
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】荒川 眞吾
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA01
3E082AA02
3E082BB01
3E082CC01
3E082DD01
3E082DD20
3E082EE01
3E082EE05
(57)【要約】
【課題】高温の飲料水の出水を停止した直後のタイミングで非高温の飲料水の出水操作をしたときに、はじめの一瞬のみ高温の飲料水が出水する問題を防止する。
【解決手段】温水流路28の下流端と冷水流路19の下流端とが合流する合流部32と、合流部32から筐体3の外部に飲料水を出水させる出水流路33とを有するウォーターサーバーにおいて、温水電磁弁29が閉弁するときに、その閉弁と同時に所定の微小時間だけ冷水電磁弁20を開弁させる制御を行なう。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(3)と、
高温の飲料水を収容する温水タンク(9)と、
前記温水タンク(9)から高温の飲料水を流出させる温水流路(28)と、
前記温水流路(28)を開閉する温水電磁弁(29)と、
非高温の飲料水を収容する非温水タンク(7)と、
前記非温水タンク(7)から非高温の飲料水を流出させる非温水流路(19)と、
前記非温水流路(19)を開閉する非温水電磁弁(20)と、
前記温水流路(28)の下流端と前記非温水流路(19)の下流端とが合流する合流部(32)と、
前記合流部(32)から前記筐体(3)の外部に飲料水を出水させる出水流路(33)と、
ユーザーが操作する出水操作部(4)と、
前記出水操作部(4)の操作信号に基づいて前記温水電磁弁(29)と前記非温水電磁弁(20)を制御する制御部(40)と、を有するウォーターサーバーにおいて、
前記制御部(40)は、前記出水操作部(4)の操作に応じて開弁させた前記温水電磁弁(29)が閉弁するときに、その閉弁と同時に所定の微小時間だけ前記非温水電磁弁(20)を開弁させる制御を行なうことを特徴とするウォーターサーバー。
【請求項2】
前記温水流路(28)の前記温水電磁弁(29)から前記合流部(32)までの部分は、外部の空気が侵入しないように構成された管路であり、
前記非温水流路(19)の前記非温水電磁弁(20)から前記合流部(32)までの部分は、外部の空気が侵入しないように構成された管路であり、
前記出水流路(33)は、上端が前記合流部(32)に接続し、下端に水出口(34)を有する管路であり、
出水が停止したときに水の表面張力によって前記出水流路(33)に飲料水が保持されるように前記水出口(34)の内径が10mm以下とされている請求項1に記載のウォーターサーバー。
【請求項3】
前記温水流路(28)の前記温水電磁弁(29)から前記合流部(32)までの部分と、前記非温水流路(19)の前記非温水電磁弁(20)から前記合流部(32)までの部分と、前記合流部(32)と、前記出水流路(33)とが、樹脂製の出水ハウジング(35)で形成されている請求項1または2に記載のウォーターサーバー。
【請求項4】
前記微小時間が1秒以下である請求項1または2に記載のウォーターサーバー。
【請求項5】
前記非温水タンク(7)は、10℃以下の低温の飲料水を収容する冷水タンクである請求項1または2に記載のウォーターサーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ウォーターサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主にオフィスや病院などでウォーターサーバーが利用されてきたが、近年、水の安全や健康への関心の高まりから、一般家庭にもウォーターサーバーが普及しつつある(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1のウォーターサーバーは、低温の飲料水を収容する冷水タンクと、冷水タンクから低温の飲料水を流出させる冷水流路と、冷水流路を開閉する冷水電磁弁と、高温の飲料水を収容する温水タンクと、温水タンクから高温の飲料水を流出させる温水流路と、温水流路を開閉する温水電磁弁と、冷水流路の下流端と温水流路の下流端とが合流する合流部と、合流部から筐体の外部に飲料水を出水させる出水流路と、ユーザーが操作する冷水ボタンおよび温水ボタンと、冷水ボタンと温水ボタンの操作信号に基づいて冷水電磁弁と温水電磁弁を制御する制御部とを有する。
【0004】
このウォーターサーバーは、冷水ボタンを押したときは、冷水電磁弁が開弁し、冷水タンクの低温の飲料水が、冷水流路、合流部、出水流路を通って出水する。また、温水ボタンを押したときは、温水電磁弁が開弁し、温水タンクの高温の飲料水が、温水流路、合流部、出水流路を通って出水する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のように、冷水流路の下流端と温水流路の下流端とが合流する合流部と、その合流部から筐体の外部に飲料水を出水させる出水流路とを有するウォーターサーバー(つまり、低温の飲料水と高温の飲料水とが共通の出水流路から出水するタイプのウォーターサーバー)においては、高温の飲料水を出水し、その出水が停止したときに、合流部と出水流路に高温の飲料水が残ることがある。
【0007】
この場合、高温の飲料水の出水が停止した直後のタイミングで冷水ボタンを押すと、ユーザーは低温の飲料水が出水すると思っているのに、実際には、合流部と出水流路に残っている高温の微小量の飲料水が排出されることで、はじめの一瞬のみ高温の飲料水が出水し、それがユーザーの手などに触れることで、火傷には至らずとも熱いと感じ、ユーザーの苦情に発展することがあった。
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、冷水流路の下流端と温水流路の下流端とが合流する合流部と、その合流部から筐体の外部に飲料水を出水させる出水流路とを有するウォーターサーバーにおいて、高温の飲料水の出水を停止した直後のタイミングで非高温の飲料水の出水操作をしたときに、はじめの一瞬のみ高温の飲料水が出水する問題を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明では、以下の構成のウォーターサーバーを提供する。
[構成1]
筐体と、
高温の飲料水を収容する温水タンクと、
前記温水タンクから高温の飲料水を流出させる温水流路と、
前記温水流路を開閉する温水電磁弁と、
非高温の飲料水を収容する非温水タンクと、
前記非温水タンクから非高温の飲料水を流出させる非温水流路と、
前記非温水流路を開閉する非温水電磁弁と、
前記温水流路の下流端と前記非温水流路の下流端とが合流する合流部と、
前記合流部から前記筐体の外部に飲料水を出水させる出水流路と、
ユーザーが操作する出水操作部と、
前記出水操作部の操作信号に基づいて前記温水電磁弁と前記非温水電磁弁を制御する制御部と、を有するウォーターサーバーにおいて、
前記制御部は、前記出水操作部の操作に応じて開弁させた前記温水電磁弁が閉弁するときに、その閉弁と同時に所定の微小時間だけ前記非温水電磁弁を開弁させる制御を行なうことを特徴とするウォーターサーバー。
【0010】
この構成を採用すると、温水電磁弁が開弁して高温の飲料水が出水し、その後、温水電磁弁が閉弁するときに、温水電磁弁が閉弁すると同時に所定の微小時間だけ非温水電磁弁が開弁するので、非高温の微小量の飲料水が合流部と出水流路に流入し、合流部と出水流路の飲料水の温度が下がる。そのため、高温の飲料水の出水を停止した直後のタイミングで非高温の飲料水の出水操作をしたときに、はじめの一瞬のみ高温の飲料水が出水する問題を防止することができる。
【0011】
[構成2]
前記温水流路の前記温水電磁弁から前記合流部までの部分は、外部の空気が侵入しないように構成された管路であり、
前記非温水流路の前記非温水電磁弁から前記合流部までの部分は、外部の空気が侵入しないように構成された管路であり、
前記出水流路は、上端が前記合流部に接続し、下端に水出口を有する管路であり、
出水が停止したときに水の表面張力によって前記出水流路に飲料水が保持されるように前記水出口の内径が10mm以下とされている構成1に記載のウォーターサーバー。
【0012】
この構成を採用すると、高温の飲料水の出水を停止した直後のタイミングで非高温の飲料水の出水操作をしたときに、はじめの一瞬のみ高温の飲料水が出水する問題を効果的に防止することができる。すなわち、温水流路の温水電磁弁から合流部までの部分が、外部の空気が侵入しない管路であり、非温水流路の非温水電磁弁から合流部までの部分が、外部の空気が侵入しない管路であり、出水流路が、上端が合流部に接続し、下端に水出口を有する管路である場合、出水流路の下端の水出口の内径が10mm以下であると、出水が停止したときに、水の表面張力によって出水流路の飲料水が排出されずに保持され、合流部や出水流路が飲料水で満たされた状態のままとなる。そのため、高温の飲料水の出水を停止した直後のタイミングで非高温の飲料水の出水操作をしたときに、はじめの一瞬のみ高温の飲料水が出水する問題が特に起こりやすい。そこで、温水電磁弁が閉弁するときに、温水電磁弁が閉弁すると同時に所定の微小時間だけ非温水電磁弁を開弁させる制御を行なうようにすると、高温の飲料水の出水を停止した直後のタイミングで非高温の飲料水の出水操作をしたときに、はじめの一瞬のみ高温の飲料水が出水する問題を効果的に防止することが可能となる。
【0013】
[構成3]
前記温水流路の前記温水電磁弁から前記合流部までの部分と、前記非温水流路の前記非温水電磁弁から前記合流部までの部分と、前記合流部と、前記出水流路とが、樹脂製の出水ハウジングで形成されている構成1または2に記載のウォーターサーバー。
【0014】
この構成を採用すると、高温の飲料水の出水を停止したときに、合流部と出水流路に高温の飲料水が残るのを効果的に防止することができる。すなわち、温水流路の温水電磁弁から合流部までの部分と、非温水流路の非温水電磁弁から合流部までの部分と、合流部と、出水流路とが、樹脂製の出水ハウジングで形成されている場合、樹脂は熱伝導率が低く、断熱性があるので、高温の飲料水が合流部や出水流路に残ると、その高温の飲料水が放熱しにくい。そのため、高温の飲料水の出水を停止した直後のタイミングで非高温の飲料水の出水操作をしたときに、はじめの一瞬のみ高温の飲料水が出水する問題が特に起こりやすい。そこで、温水電磁弁が閉弁するときに、温水電磁弁が閉弁すると同時に所定の微小時間だけ非温水電磁弁を開弁させる制御を行なうようにすると、高温の飲料水の出水を停止した直後のタイミングで非高温の飲料水の出水操作をしたときに、はじめの一瞬のみ高温の飲料水が出水する問題を効果的に防止することが可能となる。
【0015】
[構成4]
前記微小時間が1秒以下である構成1から3のいずれかに記載のウォーターサーバー。
【0016】
この構成を採用すると、高温の飲料水の出水が停止するときに非温水電磁弁が開弁することによるユーザーの違和感を防止することができる。
【0017】
[構成5]
前記非温水タンクは、10℃以下の低温の飲料水を収容する冷水タンクである構成1から4のいずれかに記載のウォーターサーバー。
【0018】
この構成を採用すると、非温水流路から合流部と出水流路に流入する飲料水の温度が低いので、非温水電磁弁が微小時間だけ開弁させることで、合流部と出水流路の飲料水の温度を確実に下げることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
この発明のウォーターサーバーは、温水電磁弁が開弁して高温の飲料水が出水し、その後、温水電磁弁が閉弁するときに、温水電磁弁が閉弁すると同時に所定の微小時間だけ非温水電磁弁が開弁するので、非高温の微小量の飲料水が合流部と出水流路に流入し、合流部と出水流路の飲料水の温度が下がる。そのため、高温の飲料水の出水を停止した直後のタイミングで非高温の飲料水の出水操作をしたときに、はじめの一瞬のみ高温の飲料水が出水する問題を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明の実施形態のウォーターサーバーの正面図
【
図2】
図1のウォーターサーバーを右側から見た断面図
【
図3】
図2の常温水タンクおよび冷水タンクの近傍の拡大図
【
図4】
図3の常温水タンクおよび冷水タンクの近傍を正面側から見た断面図
【
図8】
図1に示すウォーターサーバーの制御部のブロック図
【
図9】
図8に示す制御部が実行する温水出水制御の一例を示すフロー図
【
図10】
図7に示す温水電磁弁が開弁して高温の飲料水が出水している状態を示す図
【
図11】
図10の温水電磁弁が閉弁した直後に、冷水電磁弁が開弁した状態を示す図
【
図13】比較例の制御において温水電磁弁が開弁して高温の飲料水が出水している状態を示す図
【
図14】
図13の温水電磁弁が閉弁して出水が停止し、合流部と出水流路に高温の飲料水が残っている状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に、この発明の実施形態のウォーターサーバーを示す。このウォーターサーバーは、水道水などの原水を原水タンク1に入れ、その原水タンク1の原水を浄水フィルタカートリッジ2(
図2参照)で濾過して生成される浄水を飲料水として使用する浄水タイプのウォーターサーバーである。筐体3の前面側には、ユーザーが操作する出水操作部4が設けられている。出水操作部4は、冷水を出水するために操作される冷水ボタン4aと、常温水を出水するために操作される常温水ボタン4bと、温水を出水するために操作される温水ボタン4cとを有する。
【0022】
図2に示すように、ウォーターサーバーは、筐体3と、原水タンク1と、交換式の浄水フィルタカートリッジ2と、原水タンク1と浄水フィルタカートリッジ2の間を連通する原水管5と、原水管5の途中に設けられた電動ポンプ6と、低温の飲料水を収容する冷水タンク7と、常温の飲料水を収容する常温水タンク8と、高温の飲料水を収容する温水タンク9(
図4参照)とを有する。筐体3は床面Fに設置されている。冷水タンク7、常温水タンク8、温水タンク9(
図4参照)は、筐体3の内部に配置されている。
【0023】
筐体3は、上下方向に延びる筒部10と、筒部10の上端に設けられた天板11と、筒部10の下端に設けられた底板12とを有する。原水タンク1は、天板11に着脱可能にセットされている。天板11には、原水管5の上流側の端部の原水導入口13が設けられている。原水タンク1にはタンク開閉弁14が設けられている。タンク開閉弁14は、原水タンク1を天板11から持ち上げた状態では、原水タンク1の内部と外部の連通を遮断し、原水タンク1を天板11にセットした状態では、原水タンク1の内部を原水導入口13に連通させる開閉弁である。
【0024】
電動ポンプ6は、原水タンク1の側から原水を吸い込み、その原水を浄水フィルタカートリッジ2の側に吐出することで、原水管5内の原水を、原水タンク1の側から浄水フィルタカートリッジ2の側に移送する。浄水フィルタカートリッジ2と常温水タンク8との間は浄水管15で接続され、浄水フィルタカートリッジ2で濾過して生成される浄水が、浄水管15を通って常温水タンク8に導入されるようになっている。
【0025】
図3、
図4に示すように、常温水タンク8には、空気と飲料水(浄水)とが、上下二層に収容されている。常温水タンク8には、常温水タンク8内の水位を検知する水位センサ16が設けられている。この水位センサ16からの信号に基づいて、電動ポンプ6(
図2参照)は制御される。電動ポンプ6は、常温水タンク8内の水位が所定の水位よりも低いことが水位センサ16で検知されたときに作動する。
【0026】
冷水タンク7は、常温水タンク8の下側に配置されている。冷水タンク7と常温水タンク8は、タンク接続管17を介して接続されている。タンク接続管17は、常温水タンク8から冷水タンク7に飲料水を導入するように冷水タンク7と常温水タンク8の間を連通している。冷水タンク7には、冷水タンク7に収容された飲料水を冷却する冷却装置18が取り付けられている。冷水タンク7内の飲料水は、冷却装置18によって10℃以下の低温に保たれる。
【0027】
図3に示すように、冷水タンク7の底面には、冷水タンク7から低温の飲料水を流出させる冷水流路19の上流端が接続されている。冷水流路19の途中には、冷水流路19を開閉する冷水電磁弁20が設けられている。
【0028】
図5に示すように、冷水電磁弁20は、冷水流路19を囲む環状の弁座21と、弁座21に着座して冷水流路19を閉鎖する閉弁位置(
図5に示す位置)と弁座21から離反して冷水流路19を開放する開弁位置(
図11に示す位置)との間で移動可能に設けられた弁体22と、弁体22と一体に移動するように弁体22に接続した弁棒23と、弁体22を開弁位置から閉弁位置に向けて移動させるように弁棒23を付勢するバルブスプリング24と、通電により弁体22を閉弁位置から開弁位置に向けて移動させるように弁棒23を吸引する電磁コイル25とを有する。この冷水電磁弁20は、電磁コイル25に通電することで弁体22を閉弁位置から開弁位置に移動させて冷水流路19を開放し、電磁コイル25への通電を停止することで弁体22を開弁位置から閉弁位置に移動させて冷水流路19を閉鎖するノーマルクローズの電磁弁である。
【0029】
図3に示す冷水電磁弁20が開弁して冷水流路19を開放すると、冷水タンク7内の低温の飲料水が、冷水タンク7の上方に位置する常温水タンク8内の飲料水の自重によって押し出され、冷水流路19を通って流出する。このとき、冷水タンク7から流出する飲料水と同量の飲料水が、タンク接続管17を通って常温水タンク8から冷水タンク7に流入し、冷水タンク7は常に満水状態に保たれる。
【0030】
図4に示すように、温水タンク9は、常温水タンク8の下側に配置されている。温水タンク9と常温水タンク8は、タンク接続管26を介して接続されている。タンク接続管26は、常温水タンク8から温水タンク9に飲料水を導入するように温水タンク9と常温水タンク8の間を連通している。温水タンク9には、温水タンク9に収容された飲料水を加熱する加熱装置27が取り付けられている。温水タンク9内の飲料水は、加熱装置27によって80℃以上の高温に保たれる。温水タンク9の上面には、温水タンク9から高温の飲料水を流出させる温水流路28の上流端が接続されている。温水流路28の途中には、温水流路28を開閉する温水電磁弁29(
図7参照)が設けられている。
【0031】
図7に示すように、温水電磁弁29は、電磁コイル25に通電することで弁体22を閉弁位置(
図7に示す位置)から開弁位置(
図10に示す位置)に移動させて温水流路28を開放し、電磁コイル25への通電を停止することで弁体22を開弁位置(
図10に示す位置)から閉弁位置(
図7に示す位置)に移動させて温水流路28を閉鎖するノーマルクローズの電磁弁である。温水電磁弁29は、冷水電磁弁20と同一構成であるため、冷水電磁弁20に対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
図7に示す温水電磁弁29が開弁して温水流路28を開放すると、
図4に示す温水タンク9内の飲料水が、温水タンク9の上方に位置する常温水タンク8内の飲料水の自重によって押し出され、温水流路28を通って流出する。このとき、温水タンク9から流出する飲料水と同量の飲料水が、タンク接続管26を通って常温水タンク8から温水タンク9に流入し、温水タンク9は常に満水状態に保たれる。
【0033】
図6に示すように、常温水タンク8の底面には、常温水タンク8から常温の飲料水を流出させる常温水流路30の上流端が接続されている。常温水流路30の途中には、常温水流路30を開閉する常温水電磁弁31が設けられている。常温水電磁弁31は、電磁コイル25に通電することで弁体22を閉弁位置から開弁位置に移動させて常温水流路30を開放し、電磁コイル25への通電を停止することで弁体22を開弁位置から閉弁位置に移動させて常温水流路30を閉鎖するノーマルクローズの電磁弁である。常温水電磁弁31は、冷水電磁弁20と同一構成であるため、冷水電磁弁20に対応する部分には同一の符号を付して説明を省略する。常温水電磁弁31が開弁して常温水流路30を開放すると、常温水タンク8内の飲料水が、その自重によって押し出され、常温水流路30を通って流出する。
【0034】
図7に示すように、冷水電磁弁20と常温水電磁弁31と温水電磁弁29の下流側には、冷水流路19の下流端と常温水流路30の下流端と温水流路28の下流端とが合流する合流部32と、合流部32から筐体3の外部に飲料水を出水させる出水流路33とが設けられている。
【0035】
冷水流路19の冷水電磁弁20から合流部32までの部分は、外部の空気が侵入しないように構成された管路である。同様に、常温水流路30の常温水電磁弁31から合流部32までの部分も、温水流路28の温水電磁弁29から合流部32までの部分も、外部の空気が侵入しないように構成された管路となっている。
【0036】
出水流路33は、上下方向に延びる管路である。出水流路33の上端は、合流部32に接続し、出水流路33の下端は、飲料水を出水させる水出口34を形成している。水出口34の内径は10mm以下(好ましくは8mm以下)である。
【0037】
冷水流路19の冷水電磁弁20から合流部32までの部分と、常温水流路30の常温水電磁弁31から合流部32までの部分と、温水流路28の温水電磁弁29から合流部32までの部分と、合流部32と、出水流路33とは、樹脂製の出水ハウジング35で形成されている。また、冷水電磁弁20、常温水電磁弁31、温水電磁弁29の各弁座21も、樹脂製の出水ハウジング35で形成されている。
【0038】
冷水電磁弁20、常温水電磁弁31、温水電磁弁29は、
図8に示す制御部40で制御される。制御部40には、冷水ボタン4a、常温水ボタン4b、温水ボタン4cの操作信号が入力される。また、制御部40からは、冷水電磁弁20、常温水電磁弁31、温水電磁弁29の各電磁弁の駆動信号が出力される。制御部40は、冷水ボタン4a、常温水ボタン4b、温水ボタン4cの操作信号に基づいて冷水電磁弁20、常温水電磁弁31、温水電磁弁29を制御する。
【0039】
制御部40の制御の一例を説明する。
【0040】
<冷水出水制御>
制御部40は、冷水ボタン4aの出水操作があったときは、
図3に示す冷水電磁弁20を開弁させる。これにより、冷水タンク7の低温の飲料水が、冷水流路19の冷水電磁弁20よりも上流側部分、冷水電磁弁20、
図7に示す冷水流路19の冷水電磁弁20よりも下流側部分、合流部32、出水流路33を順に通って水出口34から出水する。
【0041】
<常温水出水制御>
また、制御部40は、常温水ボタン4bの出水操作があったときは、
図6に示す常温水電磁弁31を開弁させる。これにより、常温水タンク8の常温の飲料水が、常温水流路30の常温水電磁弁31よりも上流側部分、常温水電磁弁31、常温水流路30の常温水電磁弁31よりも下流側部分、合流部32、出水流路33を順に通って水出口34から出水する。このとき、出水流路33から出水する飲料水の温度を、常温水として美味しく感じる温度に調整するため、常温水電磁弁31と一緒に
図7に示す冷水電磁弁20も開弁させ、冷水タンク7(
図3参照)から流出する低温の飲料水を合流部32で混合して出水するようにしてもよい。
【0042】
<温水出水制御>
また、制御部40は、温水ボタン4cの出水操作があったときは、
図7に示す温水電磁弁29を開弁させる。これにより、
図4に示す温水タンク9の高温の飲料水が、温水流路28の温水電磁弁29よりも上流側部分、
図7に示す温水電磁弁29、温水流路28の温水電磁弁29よりも下流側部分、合流部32、出水流路33を順に通って水出口34から出水する。
【0043】
ところで、
図7に示すように、低温の飲料水と常温の飲料水と高温の飲料水とが共通の出水流路33から出水するタイプのウォーターサーバーにおいては、高温の飲料水の出水を停止した直後のタイミングで冷水の出水操作をしたときに、はじめの一瞬のみ高温の飲料水が出水するおそれがある。
【0044】
すなわち、
図13に示すように、温水電磁弁29が開弁しているとき、高温の飲料水が、温水流路28、合流部32、出水流路33を流れて水出口34から出水する。その状態で、
図14に示すように、温水電磁弁29が閉弁して出水が停止すると、合流部32と出水流路33に高温の飲料水が残ることがある。特に、出水流路33の下端の水出口34の内径が10mm以下であると、出水停止時に、
図14に示すように、水出口34で生じる水の表面張力によって出水流路33の飲料水が排出されずに保持され、合流部32や出水流路33が飲料水で満たされた状態のままとなるため、高温の飲料水の出水が停止したときに、合流部32と出水流路33に高温の飲料水が残ることとなる。
【0045】
そのため、高温の飲料水の出水が停止した直後のタイミングで冷水ボタン4a(
図1参照)を押し、
図14に示すように、合流部32と出水流路33に高温の飲料水が残った状態で冷水電磁弁20が開弁すると、ユーザーは低温の飲料水が出水すると思っているのに、実際には、合流部32と出水流路33に残っている高温の微小量の飲料水が排出されることで、はじめの一瞬のみ高温の飲料水が出水するという問題がある。特に、出水ハウジング35が樹脂で形成されている場合、樹脂は熱伝導率が低く、断熱性があるので、高温の飲料水が合流部32や出水流路33に残ると、その高温の飲料水が放熱しにくく、上記の問題が生じやすい。
【0046】
同様に、高温の飲料水の出水が停止した直後のタイミングで常温水ボタン4b(
図1参照)を押し、
図14に示すように、合流部32と出水流路33に高温の飲料水が残った状態で常温水電磁弁31が開弁したときも、合流部32と出水流路33に残っている高温の微小量の飲料水が排出されることで、はじめの一瞬のみ高温の飲料水が出水するという問題がある。
【0047】
この問題に対し、
図8に示す制御部40は、温水ボタン4cの出水操作に応じて温水電磁弁29を開弁させる温水出水制御において、温水電磁弁29が閉弁するときに、その閉弁と同時に所定の微小時間だけ冷水電磁弁20を開弁させる制御を行なうようにしている。
【0048】
この温水出水制御の一例を説明する。
図9に示すように、温水ボタン4cが押されてONになったときに、温水電磁弁29を開弁させ(ステップS
1、S
2、S
3)、その後、温水ボタン4cが押されている間、温水電磁弁29を開弁した状態に保持する(ステップS
4、S
5)。このとき、
図10に示すように、高温の飲料水が、温水流路28、合流部32、出水流路33を流れて水出口34から出水する。その後、
図9に示すように、ユーザーが温水ボタン4cから指を離して温水ボタン4cがOFFとなったときに、温水電磁弁29を閉弁させ(ステップS
1、S
4、S
6)、温水電磁弁29が閉弁すると同時に、冷水電磁弁20を微小時間(1秒以下、好ましくは0.5秒以下の所定時間)だけ開弁させる(ステップS
7)。このとき、
図11に示すように、低温の飲料水が冷水流路19から合流部32および出水流路33に流入し、合流部32および出水流路33の飲料水の温度を下げる。そして、微小時間が経過して冷水電磁弁20が閉弁すると、
図12に示すように、合流部32および出水流路33に低温の飲料水が残った状態となる。
【0049】
この実施形態のウォーターサーバーは、
図10に示すように、温水電磁弁29が開弁して高温の飲料水が出水し、その後、
図11に示すように、温水電磁弁29が閉弁するときに、温水電磁弁29が閉弁すると同時に所定の微小時間だけ冷水電磁弁20が開弁するので、低温の微小量の飲料水が合流部32と出水流路33に流入し、合流部32と出水流路33の飲料水の温度が下がる。そして、
図12に示すように、高温の飲料水の出水が停止したときに、合流部32と出水流路33に残る飲料水の温度は低いものとなる。そのため、高温の飲料水の出水を停止した直後のタイミングで冷水や常温水の出水操作をしたときに、はじめの一瞬のみ高温の飲料水が出水する問題を防止することができる。
【0050】
また、このウォーターサーバーは、
図11、
図12に示すように、温水電磁弁29が閉弁すると同時に冷水電磁弁20を開弁させるときの冷水電磁弁20の開弁時間を1秒以下(好ましくは0.5秒以下)に設定しているので、高温の飲料水の出水が停止するときに冷水電磁弁20が開弁することによるユーザーの違和感を防止することができる。
【0051】
また、このウォーターサーバーは、
図11に示すように、温水電磁弁29が閉弁するときに合流部32と出水流路33に流入させる飲料水として、冷水流路19の飲料水を採用しているので、合流部32と出水流路33の飲料水の温度を確実に下げることが可能である。
【0052】
上記各実施形態では、温水電磁弁29の閉弁と同時に冷水電磁弁20を所定の微小時間だけ開弁させるようにしたものを例に挙げて説明したが、温水電磁弁29の閉弁と同時に常温水電磁弁31を所定の微小時間だけ開弁させるようにしてもよい。
【0053】
上記実施形態では、
図2に示すように、水道水などの原水を原水タンク1に入れ、その原水タンク1の原水を浄水フィルタカートリッジ2で濾過して生成される浄水を飲料水として使用する浄水タイプのウォーターサーバーを例に挙げて説明したが、この発明は、天然水やRO水などの飲料水を充填した交換式の水ボトルを筐体3に設置し、その水ボトルの水を飲料水として冷水タンク7、常温水タンク8、温水タンク9にそれぞれ導入して使用する交換式ボトルタイプのウォーターサーバーにも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
3 筐体
4 出水操作部
7 冷水タンク(非温水タンク)
9 温水タンク
19 冷水流路(非温水流路)
20 冷水電磁弁(非温水電磁弁)
28 温水流路
29 温水電磁弁
32 合流部
33 出水流路
34 水出口
35 出水ハウジング
40 制御部