(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154625
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】電線ホルダ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/58 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H01R13/58
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068555
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】岩倉 功紀
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 利和
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA04
5E021FB20
5E021FC02
5E021FC31
(57)【要約】
【課題】本発明は、コネクタハウジングへの組付け作業性の向上を図った電線ホルダを提供することを目的とする。
【解決手段】電線ホルダ1は、複数の電線11が挿通される筒状のコネクタハウジングの端部に装着されて複数の電線を支持するものであって、複数の電線それぞれを挿通させる筒状の電線挿通部3A、3を複数有して該複数の電線を挟み込むことが可能な2部材1A、1Bから構成され、複数の電線挿通部はそれぞれ、2部材のうち一方1Aに設けられた樋状の第1挿通部6と、2部材のうち他方1Bに設けられた樋状の第2挿通部7と、第1挿通部と第2挿通部とを互いに組み付ける係止部8(9)と、を有し、係止部は、第1挿通部と第2挿通部とのうち一方から他方に向けて突出する係止片81A(91A)と、第1挿通部と第2挿通部とのうち他方に設けられて係止片を電線が延在する方向に移動不能に係止する係止受け部82A(92A)と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1本の電線が挿通される筒状のコネクタハウジングの端部に装着されて前記電線を支持する電線ホルダであって、
前記電線それぞれを挿通させる筒状の電線挿通部を有して該電線を挟み込むことが可能な2部材から構成され、
前記電線挿通部は、前記2部材のうち一方に設けられた樋状の第1挿通部と、前記2部材のうち他方に設けられた樋状の第2挿通部と、前記第1挿通部と前記第2挿通部とを互いに組み付ける係止部と、を有し、
前記係止部は、前記第1挿通部と前記第2挿通部とのうち一方から他方に向けて突出する係止片と、前記第1挿通部と前記第2挿通部とのうち他方に設けられて前記係止片を前記電線が延在する方向に移動不能に係止する係止受け部と、を備えることを特徴とする電線ホルダ。
【請求項2】
前記電線挿通部は、前記係止部を一対有し、
前記一対の係止部のうち一方は、前記係止片が前記第1挿通部と前記第2挿通部とのうち一方に設けられ、前記係止受け部が前記第1挿通部と前記第2挿通部とのうち他方に設けられ、
前記一対の係止部のうち他方は、前記係止片が前記第1挿通部と前記第2挿通部とのうち他方に設けられ、前記係止受け部が前記第1挿通部と前記第2挿通部とのうち一方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電線ホルダ。
【請求項3】
前記電線挿通部が複数設けられ、
前記複数の電線挿通部のうち隣り合う一対の電線挿通部の前記各係止片および前記各係止受け部は、前記第1挿通部と前記第2挿通部が組付く方向を軸として反転して設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電線ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、多種多様な電子機器が搭載され、電子機器に電力や制御信号等を伝えるために、ワイヤハーネスが配索されている。ワイヤハーネスは、複数の電線と、コネクタと、を備え、このコネクタを電子機器のコネクタや他のワイヤハーネスのコネクタに嵌合させることで、電子機器や他のワイヤハーネスに接続されている。このようなワイヤハーネスに用いられるコネクタとして、電線の端末に接続される端子を収容したコネクタハウジングと、該コネクタハウジングに挿入されて電線を支持するためのリアホルダと、を備えたコネクタが開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された従来のコネクタは、電線の端末に接続される端子を収容したコネクタハウジングと、該コネクタハウジングに挿入されるリアホルダと、を備える。リアホルダは、電線を挟んで互いに合体する一対の分割体によって構成されている。各分割体には、電線を挟んで互いに合体した合体状態で係合する係合部が設けられている。係合部は、一対の分割体のうち一方に設けられたL字型の係合突起と、他方に設けられて係合突起に係合する逆L字型の係合凹部と、を備える。このような係合突起および係合凹部は、電線の長さ方向(前後方向)に沿って一対の分割体を互いに接近させ、係合突起が係合凹部に挿入されることにより係合される。このような合体状態のリアホルダをコネクタハウジングに組み付ける際には、リアホルダをコネクタハウジングに近付けて該コネクタハウジングの内部に挿入させることによりコネクタが完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来のコネクタのリアホルダが合体状態である際に、一対の分割体のうち一方のみに局所的に負荷がかかった場合には、一対の分割体が前後方向に相対的に変位して当該一方のみがコネクタハウジングに組み付いてしまう場合があった。
【0006】
本発明は、コネクタハウジングへの組付け作業性の向上を図った電線ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明に係る電線ホルダは、少なくとも1本の電線が挿通される筒状のコネクタハウジングの端部に装着されて前記電線を支持する電線ホルダであって、前記電線それぞれを挿通させる筒状の電線挿通部を有して該電線を挟み込むことが可能な2部材から構成され、前記電線挿通部は、前記2部材のうち一方に設けられた樋状の第1挿通部と、前記2部材のうち他方に設けられた樋状の第2挿通部と、前記第1挿通部と前記第2挿通部とを互いに組み付ける係止部と、を有し、前記係止部は、前記第1挿通部と前記第2挿通部とのうち一方から他方に向けて突出する係止片と、前記第1挿通部と前記第2挿通部とのうち他方に設けられて前記係止片を前記電線が延在する方向に移動不能に係止する係止受け部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コネクタハウジングへの組付け作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電線ホルダとしてのリアホルダを示す斜視図である。
【
図2】前記リアホルダを前方から見た平面図である。
【
図3】前記リアホルダを構成する2部材を、互いに組み付ける様子を説明するための斜視図である。
【
図4】
図3に示されたリアホルダを前方から見た平面図である。
【
図5】前記2部材の間に電線が挟み込まれた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を
図1~5に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るリアホルダ1(電線ホルダ)を示す斜視図である。
図2は、前記リアホルダ1を前方から見た平面図である。本実施形態に係るリアホルダ1は、3本(複数)の電線11が挿通される筒状のコネクタハウジング(不図示)の後端部(端部)に装着されて3本の電線11を支持するものである。このリアホルダ1はコネクタを構成する。
【0011】
以下では、リアホルダ1を構成する2部材1A、1Bが互いに近付く方向を「上下方向Z」と記し、3個の電線挿通部3A、3B、3Cが並ぶ方向を「左右方向Y」と記し、各電線11が延在する方向を「前後方向X」と記す場合がある。また
図2、4に示す「前後方向X」のうち、紙面垂直方向の手前側を「前方X1」と記し、これとは反対方向を「後方X2」と記す場合がある。
【0012】
リアホルダ1は、
図1、2に示すように、平面視がトラック状に形成された板状のベース2と、該ベース2から前方X1に筒状に延出されて各電線11を支持する3個の電線挿通部3A、3B、3C(以下では、符号3を付与する場合がある)と、を備える。
【0013】
3個の電線挿通部3A、3B、3C(3)は、
図3に示すように、左右方向Yに並んで設けられている。各電線挿通部3は、後述する下部材1Aの下側分割面10Aに凹に形成された樋状の下側挿通部6(第1挿通部)と、後述する上部材1Bの上側分割面10Bに凹に形成された樋状の上側挿通部7(第2挿通部)と、下側挿通部6および上側挿通部7を互いに組み付ける一対の係止部8、9と、を備える。
【0014】
3個の電線挿通部3A、3B、3C(3)のうち、左右方向Yの一端に位置する電線挿通部3を「第1電線挿通部3A」と記し、他端に位置する電線挿通部3を「第3電線挿通部3C」と記し、第1電線挿通部3Aと第3電線挿通部3Cとの間に位置する電線挿通部3を「第2電線挿通部3B」と記す場合がある。以下では、第1電線挿通部3Aを、電線挿通部3の一例として説明する。
【0015】
ここで、リアホルダ1は、
図3に示すように、各電線挿通部3を上下に2分割するように形成された分割面10A、10Bを有する2部材1A、1Bを有して構成されている。以下では、リアホルダ1を構成する2部材のうち一方を「下部材1A」と記し、他方を「上部材1B」と記す場合がある。下部材1Aの分割面(以下では「下側分割面10A」と記す場合がある)、及び上部材1Bの分割面(以下では「上側分割面10B」と記す場合がある)は、上下方向Zに直交する平坦面から構成されている。このようなリアホルダ1は、下部材1Aおよび上部材1Bが上下方向Zに互いに近付いて、下側分割面10Aおよび上側分割面10Bが互いに接触することにより、リアホルダ1が構成されるようになっている。
【0016】
下側挿通部6は、
図3に示すように、半円筒状に形成された下側挿通部本体60を備える。以下では、下側分割面10Aの一部であって、下側挿通部本体60における右方Rにある分割面を「下右側分割面10AR」と記し、左方Lにある分割面を「下左側分割面10AL」と記す場合がある。
【0017】
上側挿通部7は、
図3に示すように、半円筒状に形成された上側挿通部本体70を備える。以下では、上側分割面10Bの一部であって、上側挿通部本体70における右方Rにある分割面を「上右側分割面10BR」と記し、左方Lにある分割面を「上左側分割面10BL」と記す場合がある。
【0018】
また、
図3に示すように、第1電線挿通部3Aには一対の第1係止部8A(8)、9A(9)(係止部)が設けられている。一対の第1係止部8A、9Aのうち一方を第1右側係止部8Aと記し、他方を第1左側係止部9Aと記す場合がある。
【0019】
第1右側係止部8Aは、
図3に示すように、右側係止片81Aと、該右側係止片81Aを前後方向Xに移動不能に係止する右側係止受け部82Aと、を備える。右側係止片81Aは下右側分割面10ARに設けられ、右側係止受け部82Aは上右側分割面10BRに設けられている。
【0020】
右側係止片81Aは、
図3に示すように、下側挿通部本体60に延長するように、下右側分割面10ARから板状に突出して設けられている。この右側係止片81Aは、先端に向かうにしたがって板厚が小さくなるように形成されている。
【0021】
右側係止受け部82Aは、
図3に示すように、右側係止片81Aを当接させる不図示の右側当接面と、該上側当接面73の前端から右方Rに張り出して形成された第1前側張出し部84と、該第1前側張出し部84の後方X2に対向するように右側当接面の後端から右方Rに張り出して形成された第1後側張出し部85と、を備える。第1後側張出し部85はベース2の一部から構成されている。
【0022】
右側当接面は、上側挿通部本体70における上右側分割面10BRの一部分を切り欠いて形成されている。即ち、右側係止受け部82Aは、上右側分割面10BRに設けられている。第1前側張出し部84および第1後側張出し部85は前後方向Xに対向して設けられ、互いの間に右側係止片81Aが進入可能なように構成されている。尚、本実施形態では、右側係止片81Aが右側当接面に当接するとともに第1前側張出し部84と第1後側張出し部85との間に位置付けられて、右側係止片81Aが前後方向Xに移動不能である状態を「右側係止受け部82Aは右側係止片81Aを移動不能に係止する」と表現する。
【0023】
第1左側係止部9Aは、
図3に示すように、左側係止片91Aと、該左側係止片91Aを前後方向Xに移動不能に係止する左側係止受け部92Aと、を備える。左側係止片91Aは上左側分割面10BLに設けられ、左側係止受け部92Aは下左側分割面10ALに設けられている。
【0024】
左側係止片91Aは、
図3に示すように、上側挿通部本体70に延長するように、上左側分割面10BLから板状に突出して設けられている。この左側係止片91Aは、先端に向かうにしたがって板厚が小さくなるように形成されている。
【0025】
左側係止受け部92Aは、
図3に示すように、左側係止片91Aを当接させる左側当接面93と、該左側当接面93の前端から左方Lに張り出して形成された第2前側張出し部94と、該第2前側張出し部94の後方X2に対向するように左側当接面93の後端から左方Lに張り出して形成された第2後側張出し部95と、を備える。第2後側張出し部95はベース2の一部から構成されている。
【0026】
左側当接面93は、下側挿通部本体60における下右側分割面10ARの一部分を切り欠いて形成されている。即ち、左側係止受け部92Aは、下右側分割面10ARに設けられている。第2前側張出し部94および第2後側張出し部95は前後方向Xに対向して設けられ、互いの間に左側係止片91Aが進入可能なように構成されている。尚、本実施形態では、左側係止片91Aが左側当接面93に当接するとともに第2前側張出し部94と第2後側張出し部95との間に位置付けられて、左側係止片91Aが前後方向Xに移動不能である状態を「左側係止受け部92Aは左側係止片91Aを移動不能に係止する」と表現する。
【0027】
このように第1右側係止部8A(一対の係止部のうち一方)は、右側係止片81A(係止片)が下側挿通部6(第1挿通部)に設けられ、右側係止受け部82A(係止受け部)が上側挿通部7(第2挿通部)に設けられている。また第1左側係止部9A(一対の係止部のうち他方)は、左側係止片91A(係止片)が上側挿通部7に設けられ、左側係止受け部92A(係止受け部)が下側挿通部6に設けられている。
【0028】
第2電線挿通部3Bには、
図3、4に示すように、一対の第2係止部8B(8)、9B(9)(係止部)が設けられている。一対の第2係止部8B、9Bのうち一方を第2右側係止部8Bと記し、他方を第2左側係止部9Bと記す場合がある。
【0029】
第2右側係止部8Bは、右側係止片81Bと、該右側係止片81Bを前後方向Xに移動不能に係止する右側係止受け部82Bと、を備える。右側係止片81Bは上右側分割面10BRに設けられ、右側係止受け部82Bは下右側分割面10ARに設けられている。
【0030】
第2左側係止部9Bは、左側係止片91Bと、該左側係止片91Bを前後方向Xに移動不能に係止する左側係止受け部92Bと、を備える。左側係止片91Bは下左側分割面10ALに設けられ、左側係止受け部92Bは上左側分割面10BLに設けられている。
【0031】
このように第2右側係止部8B(一対の係止部のうち一方)は、右側係止片81B(係止片)が上側挿通部7(第2挿通部)に設けられ、右側係止受け部82B(係止受け部)が下側挿通部6(第1挿通部)に設けられている。また第2左側係止部9B(一対の係止部のうち他方)は、左側係止片91B(係止片)が下側挿通部6に設けられ、左側係止受け部92B(係止受け部)が上側挿通部7に設けられている。
【0032】
第3電線挿通部3Cには、
図3、4に示すように、一対の第3係止部8C(8)、9C(9)(係止部)が設けられている。一対の第3係止部8C、9Cのうち一方を第3右側係止部8Cと記し、他方を第3左側係止部9Cと記す場合がある。
【0033】
第3右側係止部8Cは、右側係止片81Cと、該右側係止片81Cを前後方向Xに移動不能に係止する右側係止受け部82Cと、を備える。右側係止片81Cは下右側分割面10ARに設けられ、右側係止受け部82Cは上右側分割面10BRに設けられている。
【0034】
第3左側係止部9Cは、左側係止片91Cと、該左側係止片91Cを前後方向Xに移動不能に係止する左側係止受け部92Cと、を備える。左側係止片91Cは上左側分割面10BLに設けられ、左側係止受け部92Cは下左側分割面10ALに設けられている。
【0035】
このように第3右側係止部8C(一対の係止部のうち一方)は、右側係止片81C(係止片)が下側挿通部6(第1挿通部)に設けられ、右側係止受け部82C(係止受け部)が上側挿通部7(第2挿通部)に設けられている。また第3左側係止部9C(一対の係止部のうち他方)は、左側係止片91C(係止片)が上側挿通部7に設けられ、左側係止受け部92C(係止受け部)が下側挿通部6に設けられている。
【0036】
即ち、
図4に示すように、第1電線挿通部3Aおよび第2電線挿通部3B(互いに隣り合う電線挿通部)において、互いに隣り合う下側挿通部6に設けられた係止片81A、91B、及び、互いに隣り合う上側挿通部7に設けられた係止受け部82A、92Bは、上下方向Z(第1挿通部と前記第2挿通部が組付く方向)を軸P1として反転して設けられている(即ち係止片同士、係止受け部同士となるように設けられている)。互いに隣り合う下側挿通部6に設けられた係止受け部92A、82B、及び、互いに隣り合う上側挿通部7に設けられた係止片91A、81Bは、上下方向Zを軸P1として反転して設けられている(即ち係止片同士、係止受け部同士となるように設けられている)。
【0037】
また第2電線挿通部3Bおよび第3電線挿通部3C(互いに隣り合う電線挿通部)において、互いに隣り合う下側挿通部6に設けられた係止受け部82B、92C、及び、互いに隣り合う上側挿通部7に設けられた係止片81B、91Cは、上下方向Z(第1挿通部と前記第2挿通部が組付く方向)を軸P2として反転して設けられている(即ち係止片同士、係止受け部同士となるように設けられている)。互いに隣り合う下側挿通部6に設けられた係止片91B、81C、及び、互いに隣り合う上側挿通部7に設けられた係止受け部92B、82Cは、上下方向Zを軸P2として反転して設けられている(即ち係止片同士、係止受け部同士となるように設けられている)。
【0038】
上述した構成のリアホルダ1を組み立てる場合には、
図3、5に示すように、下部材1Aと上部材1Bとの間に3本の電線11を位置付け、下側分割面10Aおよび上側分割面10Bを互いに近付けるように、下部材1A(または上部材1B)を互いに近付けるように移動させる。
【0039】
一方、移動が進んで、第1電線挿通部3Aの右側係止片81Aの先端が、右側係止受け部82Aの右側当接面に接触し、さらに移動が進んで、右側係止片81Aが第1前側張出し部84と第1後側張出し部85との間に位置付けられる。これにより右側係止片81Aは第1前側張出し部84と第1後側張出し部85との間において前後方向Xに移動不能な状態となって、右側係止片81Aが右側係止受け部82Aに係止される。
【0040】
他方、移動が進んで、第1電線挿通部3Aの左側係止片91Aの先端が、左側係止受け部92Aの左側当接面93に接触し、さらに移動が進んで、左側係止片91Aが第2前側張出し部94と第2後側張出し部95との間に位置付けられる。これにより左側係止片91Aは第2前側張出し部94と第2後側張出し部95との間において前後方向Xに移動不能な状態となって、左側係止片91Aが左側係止受け部92Aに係止される。
【0041】
また、第2電線挿通部3Bについても第1電線挿通部3Aと同様に、第2電線挿通部3Bの右側係止片81Bの先端が、右側係止受け部82Bの右側当接面に接触して、右側係止片81Bが右側係止受け部82Bに係止され、左側係止片91Bの先端が、左側係止受け部92Bの左側当接面93に接触して、左側係止片91Bが左側係止受け部92Bに係止される。
【0042】
また、第3電線挿通部3Cについても第1電線挿通部3Aと同様に、第3電線挿通部3Cの右側係止片81Cの先端が、右側係止受け部82Cの右側当接面に接触して、右側係止片81Cが右側係止受け部82Cに係止され、左側係止片91Cの先端が、左側係止受け部92Cの左側当接面93に接触して、左側係止片91Cが左側係止受け部92Cに係止される。
【0043】
これにより各電線11は上側挿通部7と下側挿通部6とによって上下に挟み込まれる。このようにして各電線挿通部3A、3B、3C(3)が組み立てられるとともに、3本の電線11が支持されたリアホルダ1が組み立てられる。
【0044】
また、リアホルダ1をコネクタハウジングに装着する場合には、コネクタハウジングの内部に3本の電線11が挿通されるとともに、コネクタハウジングの後方X2にリアホルダ1が位置する格好で、リアホルダ1がコネクタハウジングに近付いて、下部材1Aおよび上部材1Bはコネクタハウジングに同時に組み付けられる。このようにしてリアホルダ1はコネクタハウジングに装着される。
【0045】
上述した実施形態によれば、下側挿通部6(第1挿通部)と上側挿通部7(第2挿通部)とを互いに組み付ける係止部8A、8B、8C(8)、9A、9B、9C(9)を有し、係止部8、9は、下側挿通部6と上側挿通部7とのうち一方から他方に向けて突出する係止片81A(91A)、91B(81B)、81C(91C)と、下側挿通部6と上側挿通部7とのうち他方に設けられて係止片81A(91A)、91B(81B)、81C(91C)を前後方向X(電線11が延在する方向)に移動不能に係止する係止受け部82A(92A)、92B(82B)、82C(92C)と、を備えることにより、下部材1Aおよび上部材1B(2部材)のうち一方のみに局所的に負荷がかかったとしても、下部材1Aおよび上部材1Bが前後方向Xに相対的に変位することが規制され、下部材1Aおよび上部材1Bはコネクタハウジングに同時に組み付けられることとなる。これによれば、コネクタハウジングに組み付ける際に、下部材1Aおよび上部材1Bのうち一方のみがコネクタハウジングに組み付いてしまうことがなくなって、コネクタハウジングへの組付け作業性の向上が図られる。
【0046】
また、係止部8、9は、下側挿通部6と上側挿通部7とのうち一方から他方に向けて突出する係止片81A(91A)、91B(81B)、81C(91C)と、下側挿通部6と上側挿通部7とのうち他方に設けられて係止片81A(91A)、91B(81B)、81C(91C)を前後方向X(電線11が延在する方向)に移動不能に係止する係止受け部82A(92A)、92B(82B)、82C(92C)と、を備えることにより、下部材1Aおよび上部材1B(2部材)のうち一方のみに局所的に負荷がかかったとしても、当該負荷は、係止片81A(91A)、91B(81B)、81C(91C)から係止受け部82A(92A)、92B(82B)、82C(92C)に伝わって、下部材1Aおよび上部材1Bの全体に分散されることにより、引き抜き荷重に対する強度の向上が図られる。
【0047】
また、電線挿通部3A、3は、係止部8A、9Aを一対有し、一対の係止部8A、9Aのうち係止部8A(一方)は、係止片81Aが下側挿通部6(第1挿通部)と上側挿通部7(第2挿通部)とのうち下側挿通部6(一方)に設けられ、係止受け部82Aが下側挿通部6と上側挿通部7とのうち上側挿通部7(他方)に設けられ、一対の係止部8A、9Aのうち係止部9A(他方)は、係止片91Aが下側挿通部6と上側挿通部7とのうち上側挿通部7(他方)に設けられ、係止受け部92Aが下側挿通部6と上側挿通部7とのうち下側挿通部6(一方)に設けられている。
【0048】
また、電線挿通部3B、3は、係止部8B、9Bを一対有し、一対の係止部8B、9Bのうち係止部8B(一方)は、係止片91Bが下側挿通部6(第1挿通部)と上側挿通部7(第2挿通部)とのうち下側挿通部6(一方)に設けられ、係止受け部92Bが下側挿通部6と上側挿通部7とのうち上側挿通部7(他方)に設けられ、一対の係止部8B、9Bのうち係止部9B(他方)は、係止片81Bが下側挿通部6と上側挿通部7とのうち上側挿通部7(他方)に設けられ、係止受け部82Bが下側挿通部6と上側挿通部7とのうち下側挿通部6(一方)に設けられている。
【0049】
また、電線挿通部3C、3は、係止部8C、9Cを一対有し、一対の係止部8C、9Cのうち係止部8C(一方)は、係止片81Cが下側挿通部6(第1挿通部)と上側挿通部7(第2挿通部)とのうち下側挿通部6(一方)に設けられ、係止受け部82Cが下側挿通部6と上側挿通部7とのうち上側挿通部7(他方)に設けられ、一対の係止部8C、9Cのうち係止部9C(他方)は、係止片91Cが下側挿通部6と上側挿通部7とのうち上側挿通部7(他方)に設けられ、係止受け部92Cが下側挿通部6と上側挿通部7とのうち下側挿通部6(一方)に設けられている。これによれば、下部材1Aおよび上部材1B(2部材)のうち一方のみに局所的に負荷がかかったとしても、当該負荷を、下部材1Aおよび上部材1Bの全体に、より一層十分に分散させることができる。
【0050】
また、複数の電線挿通部3A、3B、3Cのうち隣り合う一対の電線挿通部3A、3Bの各係止片81A、91B、91A、81Bおよび各係止受け部82A、92B、92A、82Bは、上下方向Z(第1挿通部と第2挿通部が組付く方向)を軸P1として反転して設けられている。また、複数の電線挿通部3A、3B、3Cのうち隣り合う一対の電線挿通部3B、3Cの各係止片81B、91C、91B、81Cおよび各係止受け部82B、92C、92B、82Cは、上下方向Z(第1挿通部と第2挿通部が組付く方向)を軸P2として反転して設けられている。これによれば、下部材1Aおよび上部材1Bがより一層強固に組み付けられる。
【0051】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0052】
前記実施形態では、リアホルダ1は3個の電線挿通部3A、3B、3C(3)を有して構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。リアホルダ1は2個以上の電線挿通部を有して構成されていればよく、4個以上の電線挿通部を有して構成されていてもよい。
【0053】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
1 リアホルダ(電線ホルダ)
3A、3 第1電線挿通部(電線挿通部)
3B、3 第2電線挿通部(電線挿通部)
3C、3 第3電線挿通部(電線挿通部)
6 下側挿通部(第1挿通部)
7 上側挿通部(第2挿通部)
8、9 係止部
81A、81B、81C 右側係止片(係止片)
91A、91B、91C 左側係止片(係止片)
82A、82B、82C 右側係止受け部(係止受け部)
92A、92B、92C 左側係止受け部(係止受け部)
11 複数の電線
P1、P2 軸