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  • 特開-シールドコネクタ 図1
  • 特開-シールドコネクタ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154627
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】シールドコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/648 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H01R13/648
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068557
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】岩倉 功紀
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 利和
(72)【発明者】
【氏名】曽根 隆
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA04
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC32
5E021LA14
5E021LA21
(57)【要約】
【課題】本発明は、組立て作業性の向上を図ったシールドコネクタを提供することを目的とする。
【解決手段】シールドコネクタ1は、電線に外装される筒状の編組導体2と、該編組導体が被さる筒状部30を有するシールドシェル3と、該シールドシェルに挿入されるインナハウジング4と、該インナハウジングの挿入方向の端部に装着されて電線を支持する電線ホルダ5と、を備え、インナハウジングには、係止部46が設けられ、電線ホルダは、係止部を係止する係止受け部52と、シールドシェルの軸に交差する方向に延在して設けられた板状のベース50と、を備え、ベースは、係止受け部が係止部を係止した際に、シールドシェルの端部3bに当接するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線に外装される筒状の編組導体と、
該編組導体が被さる筒状部を有するシールドシェルと、
該シールドシェルに挿入されるインナハウジングと、
該インナハウジングの挿入方向の端部に装着されて前記電線を支持する電線ホルダと、
を備えたシールドコネクタであって、
前記インナハウジングには、係止部が設けられ、
前記電線ホルダは、前記係止部を係止する係止受け部と、前記シールドシェルの軸に交差する方向に延在して設けられた板状のベースと、を備え、
前記ベースは、前記係止受け部が前記係止部を係止した際に、前記シールドシェルの端部に当接するように構成されていることを特徴とするシールドコネクタ。
【請求項2】
前記係止部は、前記シールドシェルに向けて凸の係止突起であり、
前記係止突起は、前記インナハウジングが前記シールドシェルに挿入された状態で、前記シールドシェルの内部に設けられ、
前記係止受け部は、前記ベースから前記挿入方向の反対側に延びて形成されて、前記ベースが前記シールドシェルの前記端部に当接した際に、前記係止突起を係止することを特徴とする請求項1に記載のシールドコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、多種多様な電子機器が搭載され、電子機器に電力や制御信号等を伝えるために、ワイヤハーネスが配索されている。ワイヤハーネスは、複数の電線と、コネクタと、を備え、このコネクタを電子機器のコネクタや他のワイヤハーネスのコネクタに嵌合させることで、電子機器や他のワイヤハーネスに接続されている。
【0003】
このようなワイヤハーネスに用いられるコネクタとして、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)等の高電圧を取り扱う2本のシールドケーブルの端末に取り付けられるシールドコネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示された従来のシールドコネクタは、一対の電線に外装されるシールド体と、筒状のハウジングと、ハウジングの後端部に係合して一対の電線を支持するリアホルダと、を備える。シールド体は、一対の電線に外装される筒状の編組導体と、該編組導体が被さる筒状のシェル本体を有するシールドシェルと、を備える。ハウジングは、軸方向の中間部にフランジ部を有し、ハウジングは、該ハウジングのフランジ部がシールドシェルと筐体との間に挟まって固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-25642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら従来のシールドコネクタは、シールドシェルにおいて編組導体が被されるシェル本体およびハウジングは固定状態にないため、シェル本体に編組導体を組み付ける際には注意が必要だった。
【0007】
本発明は、組立て作業性の向上を図ったシールドコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明に係るシールドコネクタは、電線に外装される筒状の編組導体と、該編組導体が被さる筒状部を有するシールドシェルと、該シールドシェルに挿入されるインナハウジングと、該インナハウジングの挿入方向の端部に装着されて前記電線を支持する電線ホルダと、を備えたシールドコネクタであって、前記インナハウジングには、係止部が設けられ、前記電線ホルダは、前記係止部を係止する係止受け部と、前記シールドシェルの軸に交差する方向に延在して設けられた板状のベースと、を備え、前記ベースは、前記係止受け部が前記係止部を係止した際に、前記シールドシェルの端部に当接するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、組立て作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るシールドコネクタの要部を示す断面図である。
図2】前記シールドコネクタを構成するリアホルダ(電線ホルダ)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図1、2に基づいて説明する。本発明の一実施形態に係るシールドコネクタを示す斜視図である。シールドコネクタ1は、自動車などに配索されるワイヤハーネスを構成するものであり、制御信号等を伝送する電線から外部に漏洩する電気的なノイズ、または外部から流入される電気的なノイズを遮蔽するシールド回路を構成する。またシールドコネクタ1は、後述するシールドシェル3の不図示の固定片が不図示の車載機器の筐体に重なった状態で当該筐体にボルト固定されるようになっている。
【0012】
本実施形態のシールドコネクタ1は、図1に示すように、不図示の3本の電線に外装される筒状の編組導体2(図1に示す)と、該編組導体2が被さる筒状部30を有するシールドシェル3と、該シールドシェル3に収容されるハウジング4(インナ―ハウジング)と、該ハウジング4の後端部(端部)に装着されて3本の電線を支持するリアホルダ5(電線ホルダ)と、を備える。
【0013】
以下では、矢印X、Y、Zは互いに直交する方向とする。シールドシェル3の筒状部30が延在する方向を「矢印X」で示し、ハウジング4に形成された不図示の端子収容部が並ぶ左右方向を「矢印Y」で示し、矢印Xと矢印Yに直交する上下方向を「矢印Z」で示す場合がある。また、矢印Xのうち、シールドシェル3の一端側(固定片が設けられた側)を「前方X1」と記し、これとは反対側を「後方X2」と記す場合がある。
【0014】
編組導体2は、例えば、導電性の金属材料等からなる編組線(素線)がメッシュ状に編まれるなどして形成されたものである。編組導体2は、図1に示すように、筒状の編組導体本体(不図示)と、該編組導体本体の軸方向の端部(前端部)に設けられてシールドシェル3の後述する筒状部30に被さって固定される固定部21と、を備えている。固定部21は、シールドシェル3の筒状部30に加締め固定されるように構成されている。
【0015】
シールドシェル3は導電性の金属から構成されている。シールドシェル3は、図1に示すように、前後方向Xに延在する楕円形状の筒状部30と、該筒状部30の前端から立ち上がって車載機器の筐体に重なる固定片と、を備える。この固定片は、車載機器の筐体に重なった状態で当該筐体にボルト固定されるように構成されている。
【0016】
ハウジング4は、絶縁性の合成樹脂から構成されている。このハウジング4は、図1に示すように、不図示のハウジングベースと、該ハウジングベースから前方X1に向かって突出して設けられて不図示の各端子が収容される3個の端子収容部(不図示)と、該ハウジングベースから前方X1に向かって突出して設けられて3個の端子収容部を囲む不図示のフード部と、3個の端子収容部の後方X2に連続するとともにシールドシェル3の内部に挿入される筒状の被挿入部44と、を備える。フード部の後端には、不図示のシール部材(部品)が設置される不図示の部品設置部が設けられている。
【0017】
3個の端子収容部はそれぞれ、角筒状に形成されているとともに、軸が前後方向Xに延びて形成されている。各端子収容部の内部には端子が収容されており、不図示の相手コネクタと嵌合した際に、相手コネクタの各相手端子が各端子収容部の端子に電気的に接触するように構成されている。
【0018】
被挿入部44は、図1に示すように、各端子収容部の後方X2に連続する3個の電線収容部45と、隣接する電線収容部45の間に設けられて、後述するリアホルダ5のロックアーム52に係止される4個(複数)の係止突起46(係止部)と、を備える。4個の係止突起46は、上下方向Zに対向するとともに、左右方向Yに並んで2組(合計4個)設けられている。各係止突起46は、上下方向Zに対向する一対の平坦面47A、47Bの上方および下方に突出して設けられている。これらの係止突起46は、隣接する電線収容部45の間に設けられているとともに、ハウジング4がシールドシェル3の内部に挿入され状態で、シールドシェル3の内部に位置する(シールドシェル3に接触しない位置にある)ように構成されている。
【0019】
リアホルダ5は、図2に示すように、平面視がトラック状に形成された板状のリアベース50と、該リアベース50から前方X1に筒状に延出されて各電線を支持する3個の電線挿通部51と、ハウジング4の係止突起46を係止する4個(2組)のロックアーム52と、各電線挿通部51に設けられてハウジング4に係合する不図示の係合アームと、を備える。3個の電線挿通部51は、左右方向Yに並んで設けられている。
【0020】
またリアホルダ5は、図1に示すように、各電線挿通部51を上下に2分割するように形成された2部材5A、5Bを有して構成されている。このようなリアホルダ5は、下部材5Aおよび上部材5Bが上下方向Zに互いに近付いて、互いに接触することにより、各電線を挟み込んで支持する電線挿通部51が構成されてリアホルダ5が構成されるようになっている。
【0021】
ロックアーム52は、図2に示すように、リアベース50から前方X1に延びて形成されたアーム52Aと、該アーム52Aの自由端に設けられて、ハウジング4の係止突起46を係止可能なロック突起52Bと、を備えて構成されている。ロックアーム52は、上下方向Zに対向するとともに、左右方向Yに並んで2組(合計4個)設けられている。また各ロックアーム52は、互いに隣り合う電線挿通部51の間において、下部材5Aおよび上部材5Bそれぞれに設けられている。
【0022】
このようなリアホルダ5をハウジング4に装着する場合には、ハウジング4の各端子収容部の内部に各端子が収容され、被挿入部44の内部に電線が挿通されて、電線がハウジング4から引き出されるとともに、シールドシェル3がハウジング4の被挿入部44に外嵌された状態で、3本の電線の所定位置を、リアホルダ5の下部材5Aと上部材5Bとの間に挟み込んで、各電線挿通部51に各電線を支持させる。
【0023】
この後、リアホルダ5がハウジング4に近付くように、リアホルダ5を前方X1に移動させる。さらに移動が進んで、リアホルダ5に設けられた各ロックアーム52がハウジング4の係止突起46に接触し、各ロックアーム52が係止突起46を乗り上げ、乗り越えて、係止突起46を係止する。この際、リアホルダ5のリアベース50がシールドシェル3の後端部3bに当接する。これと略同時に、リアホルダ5に設けられた各係合アームがハウジング4を係止する。
【0024】
この状態では、リアホルダ5はハウジング4の前後方向Xに移動が規制されるようにハウジング4に支持されているとともに、リアホルダ5のリアベース50がシールドシェル3の後端部3bに当接していることにより、シールドシェル3の後方X2への移動を規制する。即ち、シールドシェル3はリアホルダ5によって抜止めされている。
【0025】
このようにしてリアホルダ5はハウジング4に装着される。この後、編組導体2の固定部21が、シールドシェル3の筒状部30に被さって固定されることにより、シールドコネクタ1が組み立てられる。
【0026】
上述した実施形態によれば、ハウジング4(インナハウジング)には、係止突起46(係止部)が設けられ、リアホルダ5(電線ホルダ)は、係止突起46を係止するロックアーム52(係止受け部)と、シールドシェル3の軸に交差する方向(ZY方向)に延在して設けられた板状のリアベース50(ベース)と、を備え、リアベース50は、ロックアーム52が係止突起46を係止した際に、シールドシェル3の後端部3b(端部)に当接するように構成されている。これによれば、リアベース50は、ロックアーム52が係止突起46を係止した際に、シールドシェル3の後端部3b(端部)に当接していることにより、リアホルダ5を介して、シールドシェル3の筒状部30、及びハウジング4が互いに固定されている。これにより、シールドシェル3の筒状部30に編組導体2を組み付ける際に、シールドシェル3の筒状部30、ハウジング4、リアホルダ5、該リアホルダ5に支持された各電線が安定した状態となり、よって、組立て作業性の向上を図ることができる。
【0027】
また、係止部は、シールドシェル3に向けて凸の係止突起46であり、係止突起46は、ハウジング4(インナハウジング)がシールドシェル3に挿入された状態で、シールドシェル3の内部に設けられ、係止受け部は、リアベース50(ベース)から挿入方向の反対側に延びて形成されて、リアベース50がシールドシェル3の後端部3b(端部)に当接した際に、係止突起46を係止する。これによれば、シールドシェル3の内部において、ハウジング4の係止突起46とリアホルダ5のロックアーム52とが係止され、シールドシェル3には係止構造が設けられていなことから、シールドシェル3の筒状部30に編組導体2を組み付ける際の気遣い作業を不要とすることができる。即ち、より一層、組立て作業性の向上を図ることができる。
【0028】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0029】
前記実施形態では、ハウジング4(インナハウジング)に設けられた係止部は、係止突起46から構成され、リアホルダ5(電線ホルダ)に設けられた係止受け部は、ロックアーム52から構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。リアホルダ5(電線ホルダ)のリアベース50(ベース)は、係止受け部が係止部を係止した際に、シールドシェル3の後端部3b(端部)に当接するように構成されていればよく、係止部は係止突起46から構成され、係止受け部はロックアーム52から構成されていなくともよい。例えば係止受け部は、左右方向Yに対向するように設けられていてもよく、如何なる係止手段が採用されてもよい。
【0030】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0031】
1 シールドコネクタ
2 編組導体
3 シールドシェル
3b シールドシェルの後端部(端部)
30 筒状部
4 ハウジング(インナハウジング)
46 係止突起(係止部)
5 リアホルダ(電線ホルダ)
50 リアベース(ベース)
52 ロックアーム(係止受け部)
図1
図2