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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154628
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】コネクタ嵌合構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/639 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068558
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】竹田 浩崇
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB09
5E021FC36
5E021FC40
5E021HC09
(57)【要約】
【課題】互いに嵌合するメスコネクタ及びオスコネクタの小型化を可能にするコネクタ嵌合構造を提供する。
【解決手段】コネクタ嵌合構造1は、メスコネクタ2及びオスコネクタ3を備えている。メスハウジング4の側面4e,4fには、凹状のロック部43が形成されている。オスハウジング7は、メスハウジング4側に開口し、メスハウジング4を受け入れる箱状の収容部71と、メスコネクタ2とオスコネクタ3の嵌合時にロック部43に係止するロックアーム73と、を備えている。ロックアーム73は、収容部71を構成する壁に一対のスリット76が形成され、当該一対のスリット76間の部分で構成された片持ち状のアーム部73aと、アーム部73aの自由端側から収容部71の内側に向かって突出した突起部73bと、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに嵌合するメスコネクタ及びオスコネクタを備え、
前記メスコネクタは、メス端子と、該メス端子を収容したメスハウジングと、を備え、
前記メスハウジングの側面に凹状のロック部が形成されており、
前記オスコネクタは、オス端子と、該オス端子を収容したオスハウジングと、を備え、
前記オスハウジングは、前記メスハウジング側に開口し、前記メスハウジングを受け入れる箱状の収容部と、前記メスコネクタと前記オスコネクタの嵌合時に前記ロック部に係止するロックアームと、を備え、
前記ロックアームは、前記収容部を構成する壁に一対のスリットが形成され、当該一対のスリット間の部分で構成された片持ち状のアーム部と、該アーム部の自由端側から前記収容部の内側に向かって突出した突起部と、を備えている
ことを特徴とするコネクタ嵌合構造。
【請求項2】
前記ロックアームが前記ロック部に係止した状態で、前記アーム部の自由端と前記ロック部との間に、棒状の治具を前記アーム部に対して斜め方向に挿入可能な隙間が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ嵌合構造。
【請求項3】
前記メスハウジングに、前記ロック部の内面と前記メスハウジングの側面とを繋ぐメス側テーパ面が形成され、
前記アーム部の自由端に、前記ロックアームが前記ロック部に係止した状態で前記メス側テーパ面と対向するオス側テーパ面が形成され、
前記メス側テーパ面と前記オス側テーパ面との間に前記隙間が形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のコネクタ嵌合構造。
【請求項4】
前記収容部を構成する壁に、前記ロックアームの前記ロック部への係止状態を視認可能な確認用窓が形成されている
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のコネクタ嵌合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メスコネクタとオスコネクタの嵌合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図18は、従来のメスコネクタ801とオスコネクタ802の嵌合構造の一例を示す断面図である(特許文献1を参照)。メスコネクタ801は、メス端子811と、メス端子811を収容したメスハウジング810と、を備えている。オスコネクタ802は、オス端子803と、オス端子803を収容したオスハウジング804と、を備えている。
【0003】
メスハウジング810は、メス端子811を収容したハウジング本体と、メスコネクタ801とオスコネクタ802の嵌合状態を維持するロックアーム821と、を備えている。
【0004】
オスハウジング804は、前記ハウジング本体とロックアーム821を収容する箱状の収容部を備えている。当該収容部には、ロックアーム821のロック部823が係止するロック受け部805が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-91258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したコネクタ嵌合構造においては、メスハウジング810にロックアーム821が設けられているがゆえにメスコネクタ801の外形サイズが大きくなってしまっていた。また、メスコネクタ801の外形サイズが大きくなることにより、オスコネクタ802の外形サイズも大きくなってしまっていた。
【0007】
そこで、本発明は、互いに嵌合するメスコネクタ及びオスコネクタの小型化を可能にするコネクタ嵌合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、互いに嵌合するメスコネクタ及びオスコネクタを備え、前記メスコネクタは、メス端子と、該メス端子を収容したメスハウジングと、を備え、前記メスハウジングの側面に凹状のロック部が形成されており、前記オスコネクタは、オス端子と、該オス端子を収容したオスハウジングと、を備え、前記オスハウジングは、前記メスハウジング側に開口し、前記メスハウジングを受け入れる箱状の収容部と、前記メスコネクタと前記オスコネクタの嵌合時に前記ロック部に係止するロックアームと、を備え、前記ロックアームは、前記収容部を構成する壁に一対のスリットが形成され、当該一対のスリット間の部分で構成された片持ち状のアーム部と、該アーム部の自由端側から前記収容部の内側に向かって突出した突起部と、を備えていることを特徴とするコネクタ嵌合構造である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、メスコネクタ及びオスコネクタの小型化を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態にかかるコネクタ嵌合構造の分解図である。
図2図1のメスハウジングの斜視図である。
図3図2のメスハウジングの底面図である。
図4図1のオスハウジングの斜視図である。
図5図4中のA-A線に沿った断面図である。
図6図4のオスハウジングの底面図である。
図7図1のメスコネクタとオスコネクタの嵌合初期状態を示す断面図である。
図8図7の状態から嵌合が進んだ状態を示す断面図である。
図9図8の状態から嵌合がさらに進んで完全嵌合した状態を示す断面図である。
図10図9の完全嵌合した状態を示す平面図である。
図11図10中のB部の拡大図である。
図12図9の完全嵌合した状態をメスコネクタ側からみた図である。
図13図10のコネクタ嵌合構造の半嵌合状態を示す平面図である。
図14図9のコネクタ嵌合構造の要部拡大図である。
図15図14のロックアームとロック部との間の隙間に治具を挿入した状態を示す図である。
図16図15の状態から治具を倒した状態を示す図である。
図17図16の状態から治具をさらに倒してロックアームのロック部への係止を解除した状態を示す図である。
図18】従来のコネクタ嵌合構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態にかかる「コネクタ嵌合構造」について、図1~17を参照して説明する。
【0012】
図1に示すコネクタ嵌合構造1は、互いに嵌合するメスコネクタ2及びオスコネクタ3を備えている。
【0013】
本明細書においては、メスコネクタ2に関して、オスコネクタ3との嵌合方向のオスコネクタ3側を「前」と定義し、嵌合方向のオスコネクタ3から離れた側を「後」と定義する。また、オスコネクタ3に関して、メスコネクタ2との嵌合方向のメスコネクタ2側を「前」と定義し、嵌合方向のメスコネクタ2から離れた側を「後」と定義する。
【0014】
メスコネクタ2は、複数のメス端子5と、これら複数のメス端子5を収容した合成樹脂製のメスハウジング4と、メス端子5がメスハウジング4から抜けることを防止する合成樹脂製のスペーサ6と、を備えている。各メス端子5は、電線12の端末に接続されている。
【0015】
オスコネクタ3は、複数のオス端子8と、これら複数のオス端子8を収容した合成樹脂製のオスハウジング7と、オス端子8がオスハウジング7から抜けることを防止する合成樹脂製のスペーサ9と、を備えている。各オス端子8は、電線13の端末に接続されている。
【0016】
メスハウジング4は、図2,3に示すように、上面4a、底面4b、前面4c、後面4d、及び一対の側面4e,4fを有する直方体状に形成されている。なお、「上面4a」「底面4b」は、説明の便宜上の呼称であり、これらの面が実際の上下方向と一致するように配置されていなくてもよい。「前面4c」「後面4d」は、上述したメスコネクタ2及びオスコネクタ3の位置関係に基づいた呼称である。「側面4e,4f」は、上面4aと底面4bを繋ぎかつ前面4cと後面4dを繋いだ面である。
【0017】
メスハウジング4は、メス端子5を収容した複数のキャビティ41と、スペーサ6を収容したスペーサ収容部44と、オスハウジング7の後述のリブ72が進入した溝42と、備えている。各キャビティ41は、メスハウジング4の嵌合方向(前後方向)に延びている。スペーサ収容部44は、メスハウジング4の底面4bに開口している。溝42は、メスハウジング4の底面4bに形成されており、前端から後方に延びている。
【0018】
メスハウジング4の側面4e,4fには、それぞれ、凹状のロック部43が形成されている。このロック部43は、オスハウジング7の後述のロックアーム73が係止する部位である。ロック部43は、メスハウジングの上面4aから底面4bにわたって延びた溝状に形成されている。
【0019】
側面4eに形成されたロック部43は、側面4eと略直角を成した内面43aと、内面43aと略直角を成した内面43bと、内面43bと略直角を成した内面43cと、を有している。内面43aと内面43cは対向している。内面43aはメスハウジング4の前面4c側に位置しており、内面43cはメスハウジング4の後面4d側に位置している。また、メスハウジング4には、側面4eに形成されたロック部43の内面43cと側面4eとを繋ぐメス側テーパ面43dが形成されている。
【0020】
側面4fに形成されたロック部43は、側面4fと略直角を成した内面43aと、内面43aと略直角を成した内面43bと、内面43bと略直角を成した内面43cと、を有している。内面43aと内面43cは対向している。内面43aはメスハウジング4の前面4c側に位置しており、内面43cはメスハウジング4の後面4d側に位置している。また、メスハウジング4には、側面4fに形成されたロック部43の内面43cと側面4fとを繋ぐメス側テーパ面43dが形成されている。
【0021】
オスハウジング7は、図4~6に示すように、上面7a、底面7b、前面7c、後面7d、及び一対の側面7e,7fを有し、後半部が直方体状に形成されており、前半部がメスハウジング4側に開口し、メスハウジング4を受け入れる箱状に形成されている。以降、オスハウジング7の前半部を「収容部71」と呼称する。
【0022】
なお、「上面7a」「底面7b」は、説明の便宜上の呼称であり、これらの面が実際の上下方向と一致するように配置されていなくてもよい。「前面7c」「後面7d」は、上述したメスコネクタ2及びオスコネクタ3の位置関係に基づいた呼称である。「側面7e,7f」は、上面7aと底面47を繋ぎかつ前面7cと後面7dを繋いだ面である。
【0023】
オスハウジング7は、上記収容部71と、オスハウジング7の底面7bに開口し、スペーサ9を収容したスペーサ収容部74と、上記リブ72と、メスコネクタ2とオスコネクタ3の嵌合時にロック部43に係止する一対のロックアーム73と、を備えている。
【0024】
リブ72は、収容部71の内側に形成されており、前端から後方に延びている。リブ72は、メスコネクタ2とオスコネクタ3の嵌合動作によってメスハウジング4の溝42に進入する。リブ72及び溝42は、メスコネクタ2とオスコネクタ3の嵌合をガイドする。
【0025】
一方のロックアーム73は、収容部71を構成する一の壁でありオスハウジング7の側面7eを構成する壁に一対のスリット76が形成され、一対のスリット76間の部分で構成された片持ち状のアーム部73aと、突起部73bと、を備えている。突起部73bは、アーム部73aの自由端側から収容部71の内側に向かって突出している。
【0026】
また、前記アーム部73aの自由端側は、図5に示すように、オスハウジング前面7cの一部である先端面731と、先端面731に繋がったオス側テーパ面732と、オス側テーパ面732に繋がった内面733と、を有している。内面733は、側面7eと平行である。図14に示すように、ロックアーム73がロック部43に係止した状態で、オス側テーパ面732は、メス側テーパ面43dと対向する。また、この状態で、内面733は、ロック部43の内面43bと対向する。
【0027】
突起部73bは、アーム部73aから最も離れた頂面735と、頂面735前端と内面733を繋いだテーパ面734と、頂面735後端とアーム部73aを繋いだ垂直面736と、を有している。頂面735は、側面7eと平行である。頂面735とテーパ面734とは鈍角を成している。頂面735と垂直面736とは略直角を成している。図14に示すように、ロックアーム73がロック部43に係止した状態で、突起部73bはロック部43内に位置し、垂直面736がロック部43の内面43aに当接する。
【0028】
他方のロックアーム73は、収容部71を構成する一の壁でありオスハウジング7の側面7fを構成する壁に一対のスリット76が形成され、一対のスリット76間の部分で構成された片持ち状のアーム部73aと、突起部73bと、を備えている。突起部73bは、アーム部73aの自由端側から収容部71の内側に向かって突出している。この他方のロックアーム73は、上述した一方のロックアーム73と同一構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0029】
図7~9は、メスコネクタ2とオスコネクタ3が嵌合する様子を示す断面図である。図8に示すように、嵌合途中において、ロックアーム73の突起部73bがメスハウジング4の側面4e,4fを摺動するとともにアーム部73aが外方に撓む。そして、図9に示すように、メスコネクタ2とオスコネクタ3が完全嵌合するタイミングで突起部73bがロック部43内に収まり、アーム部73aが弾性変形状態から復帰して、ロックアーム73がロック部43に係止する。ロックアーム73がロック部43に係止することでメスコネクタ2とオスコネクタ3の嵌合状態が維持される。
【0030】
また、図10,11に示すように、収容部71を構成する一の壁でありオスハウジング7の上面7aを構成する壁に、各ロックアーム73の各ロック部43への係止状態を視認可能な確認用窓75が形成されている。この確認用窓75からロックアーム73がロック部43に係止していることを目視確認することで、メスコネクタ2とオスコネクタ3が完全嵌合していることを把握することができる。
【0031】
本コネクタ嵌合構造1は、図12に示すように、メスコネクタ2とオスコネクタ3の嵌合状態で、ロックアーム73がオスハウジング7の外形から突出しないため、メスコネクタ2及びオスコネクタ3の小型化を可能にすることができる。
【0032】
また、メスコネクタ2とオスコネクタ3が半嵌合状態である場合、図13に示すように、ロックアーム73がオスハウジング7の外形から突出する。この状態を目視することで半嵌合状態を把握することができるため、半嵌合発生を防止できる。
【0033】
本コネクタ嵌合構造1は、メスコネクタ2とオスコネクタ3の嵌合を容易に解除可能にするために、ロックアーム73とロック部43との間に治具挿入用の隙間を形成している。即ち、図14に示すように、ロックアーム73がロック部43に係止した状態で、アーム部73aの自由端とロック部43との間に、棒状の治具19をアーム部73aに対して斜め方向に挿入可能な隙間が形成されている。本例では、上述したメス側テーパ面43dとオス側テーパ面732との間に前記隙間が形成されている。また、治具19はマイナスドライバーなどの一般的なものを用いることができる。
【0034】
メスコネクタ2とオスコネクタ3の嵌合を解除する際は、図15に示すように、上記隙間に治具19を挿入する。そして、図16に示すように治具19を倒して、メス側テーパ面43dのエッジを支点とし、アーム部73aの内面733を作用点として治具19をテコとして用いることで、図17に示すようにロックアーム73のロック部43への係止を解除する。この状態でメスコネクタ2とオスコネクタ3を引き離すことで嵌合を解除することができる。
【0035】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0036】
1 コネクタ嵌合構造
2 メスコネクタ
3 オスコネクタ
4 雌ハウジング
7 オスハウジング
43 ロック部
71 収容部
73 ロックアーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18