IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 第一精工株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-樹脂封止金型 図1
  • 特開-樹脂封止金型 図2
  • 特開-樹脂封止金型 図3
  • 特開-樹脂封止金型 図4
  • 特開-樹脂封止金型 図5
  • 特開-樹脂封止金型 図6
  • 特開-樹脂封止金型 図7
  • 特開-樹脂封止金型 図8
  • 特開-樹脂封止金型 図9
  • 特開-樹脂封止金型 図10
  • 特開-樹脂封止金型 図11
  • 特開-樹脂封止金型 図12
  • 特開-樹脂封止金型 図13
  • 特開-樹脂封止金型 図14
  • 特開-樹脂封止金型 図15
  • 特開-樹脂封止金型 図16
  • 特開-樹脂封止金型 図17
  • 特開-樹脂封止金型 図18
  • 特開-樹脂封止金型 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154639
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】樹脂封止金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/12 20060101AFI20241024BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B29C33/12
B29C45/26
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068572
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久田 忠嗣
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AD07
4F202AH33
4F202AH37
4F202CA09
4F202CA11
4F202CA12
4F202CB01
4F202CB12
4F202CL02
4F202CQ01
4F202CQ07
(57)【要約】
【課題】被成形品を適切に支持することができる樹脂封止金型を提供すること。
【解決手段】樹脂封止金型は、第1金型と第2金型とが型締されることによって形成される空間であるキャビティ内で被成形品を各々支持するための複数の支持ピンと、複数の支持ピンを保持する保持部とを備える。保持部は、複数の支持ピンのうちの第1支持ピンを第1金型と第2金型とが型締される型締方向に移動可能に保持し、被成形品の樹脂封止工程において、第1支持ピンが被成形品に当接した後、複数の支持ピンのうちの第1支持ピン以外の第2支持ピンが被成形品に当接する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金型と第2金型とが型締されることによって形成される空間であるキャビティ内で被成形品を各々支持するための複数の支持ピンと、
前記複数の支持ピンを保持する保持部と、を備え、
前記保持部は、前記複数の支持ピンのうちの第1支持ピンを前記第1金型と前記第2金型とが型締される型締方向に移動可能に保持し、
前記被成形品の樹脂封止工程において、前記第1支持ピンが前記被成形品に当接した後、前記複数の支持ピンのうちの前記第1支持ピン以外の第2支持ピンが前記被成形品に当接する
ことを特徴とする樹脂封止金型。
【請求項2】
前記保持部は、弾性部材を介して前記第1支持ピンを保持する
ことを特徴とする請求項1に記載の樹脂封止金型。
【請求項3】
前記キャビティを形成する壁面は、前記被成形品における前記第1支持ピンおよび前記第2支持ピンの一方と当接する面である第1面の裏面である第2面に当接する凸部を備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂封止金型。
【請求項4】
前記第1支持ピンが前記被成形品から離れる前に、前記第1支持ピンを前記保持部に係止する係止ピンを備える
ことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂封止金型。
【請求項5】
前記複数の支持ピンを保持する前記保持部を複数備え、
複数の前記保持部は、前記第1金型に設けられる第1保持部と、前記第2金型に設けられる第2保持部とを含み、
前記第1保持部および前記第2保持部のうちの少なくとも一方は、前記型締方向に移動する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂封止金型。
【請求項6】
前記被成形品は、複数の部材を含み、
前記複数の部材は、前記複数の支持ピンのうち互いに異なる支持ピンによって前記型締方向で互いに異なる位置で支持される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂封止金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、樹脂封止金型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被成形品を樹脂封止する樹脂封止金型が知られている。かかる樹脂封止金型では、被成形品が配置されたキャビティ内に樹脂材料が充填される過程で被成形品の位置ずれなどを防止するために被成形品が適切に支持されることが重要である。
【0003】
特許文献1には、型締の際に上下方向から複数の支持ピンがキャビティ内に進入して被成形品を支持し、樹脂封止が完了する前に、複数の支持ピンがキャビティから退避することで、かかる退避によってできた空間にも樹脂を充填させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-209193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、例えば、被成形品において互いに異なる支持ピンで支持される複数の部位の互いの高さ(型締の方向の位置)が異なる場合、これら複数の部位の高さのバラつきにより、支持ピンと被成形品との間に隙間が形成されて被成形品を適切に支持できないおそれがある。このことは、被成形品において互いに異なる支持ピンで支持される複数の部位の互いの高さが異なる場合に限定されず、支持ピンの長さが互いに異なる場合でも生じるおそれがある。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、被成形品を適切に支持することができる樹脂封止金型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る樹脂封止金型は、第1金型と第2金型とが型締されることによって形成される空間であるキャビティ内で被成形品を各々支持するための複数の支持ピンと、複数の支持ピンを保持する保持部とを備える。保持部は、複数の支持ピンのうちの第1支持ピンを第1金型と第2金型とが型締される型締方向に移動可能に保持し、被成形品の樹脂封止工程において、第1支持ピンが被成形品に当接した後、複数の支持ピンのうちの第1支持ピン以外の第2支持ピンが被成形品に当接する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、被成形品を適切に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る樹脂封止装置の構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る被成形品および成形品の各々の一例を示す側面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る樹脂封止装置の樹脂封止金型による樹脂封止工程の一例を示す図(その1)である。
図4図4は、第1実施形態に係る樹脂封止装置の樹脂封止金型による樹脂封止工程の一例を示す図(その2)である。
図5図5は、第1実施形態に係る樹脂封止装置の樹脂封止金型による樹脂封止工程の一例を示す図(その3)である。
図6図6は、第1実施形態に係る樹脂封止装置の樹脂封止金型による樹脂封止工程の一例を示す図(その4)である。
図7図7は、第1実施形態に係る樹脂封止装置の樹脂封止金型による樹脂封止工程の一例を示す図(その5)である。
図8図8は、第1実施形態に係る樹脂封止装置の樹脂封止金型による樹脂封止工程の一例を示す図(その6)である。
図9図9は、第1実施形態に係る樹脂封止装置の樹脂封止金型による樹脂封止工程の一例を示す図(その7)である。
図10図10は、第1実施形態に係る樹脂封止装置の樹脂封止金型の他の構成例を示す図である。
図11図11は、第2実施形態に係る被成形品および成形品の各々の一例を示す側面図である。
図12図12は、第2実施形態に係る樹脂封止装置の樹脂封止金型による樹脂封止工程の他の例を示す図(その1)である。
図13図13は、第2実施形態に係る樹脂封止装置の樹脂封止金型による樹脂封止工程の他の例を示す図(その2)である。
図14図14は、第2実施形態に係る樹脂封止装置の樹脂封止金型による樹脂封止工程の他の例を示す図(その3)である。
図15図15は、第2実施形態に係る樹脂封止装置の樹脂封止金型による樹脂封止工程の他の例を示す図(その4)である。
図16図16は、第2実施形態に係る樹脂封止装置の樹脂封止金型による樹脂封止工程の他の例を示す図(その5)である。
図17図17は、第2実施形態に係る樹脂封止装置の樹脂封止金型による樹脂封止工程の他の例を示す図(その6)である。
図18図18は、第2実施形態に係る樹脂封止装置の樹脂封止金型による樹脂封止工程の他の例を示す図(その7)である。
図19図19は、第2実施形態に係る樹脂封止装置の樹脂封止金型による樹脂封止工程の他の例を示す図(その8)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する樹脂封止金型の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
<1.第1実施形態>
<1.1.樹脂封止金型の構成>
図1に示すように、第1実施形態に係る樹脂封止装置100は、樹脂封止金型1と、複数のダイバー90と、固定プラテン91と、可動プラテン92と、トランスファーユニット93とを備える。なお、位置関係の把握が容易になるように、図1を含む複数の図面には、互いに直交するX軸、Y軸、およびZ軸を含むXYZ座標系の各軸が示されており、Z軸は、上下方向である。
【0012】
複数のダイバー90は、互いに平行かつ上下方向に延在しており、不図示の基台に支持されている。固定プラテン91は、各ダイバー90の上端に固定され、可動プラテン92は、各ダイバー90に上下方向(Z軸方向)に移動可能に取り付けられる。
【0013】
樹脂封止金型1は、上金型2と、下金型3とを備える。上金型2は、第1金型の一例であり、下金型3は、第2金型の一例である。上金型2は、固定プラテン91に対して取り付けられ、下金型3は、可動プラテン92に対して取り付けられている。
【0014】
可動プラテン92は、不図示の駆動機構によって駆動されて上下方向に移動する。上金型2は、上型チェス4と、上型チェス4を支持する上型ダイセット5とを備える。また、下金型3は、下型チェス6と、下型チェス6を支持する下型ダイセット7とを備える。
【0015】
樹脂封止装置100では、可動プラテン92が上方向に移動することによって、下金型3が上金型2に当接して上金型2と下金型3との型締が行われる。なお、樹脂封止装置100は、図1に示す例では、下金型3が上方向(Z軸正方向)に移動する構成であるが、上金型2が下方向(Z軸負方向)に移動する構成であってもよく、下金型3が上方向に移動し且つ上金型2が下方向に移動する構成であってもよい。
【0016】
樹脂封止装置100では、上金型2と下金型3とが互いに接触して型締されることによって、上金型2と下金型3との間の空間に、カル、ランナー、およびキャビティ50(図6参照)が形成され、被成形品60は、キャビティ50(図6参照)内で樹脂封止される。
【0017】
図2の(a)に示すように、被成形品60は、複数の部材61~67を含む。部材61,67は、例えば、リードフレームであり、部材62,66は、例えば、スペーサであり、部材63は、例えば、複数の電子部品などが搭載された回路基板であり、部材64,65は、例えば、金属部材であり、互いに高さ(型締方向であるZ軸方向の位置)が異なる。なお、被成形品60における複数の部材61~67は、上述した例に限定されず、また、被成形品60の構成も上述した例に限定されない。
【0018】
樹脂封止装置100によって被成形品60が樹脂封止されることによって、図2の(b)に示すように、樹脂68が被成形品60に一体成形された成形品80が製作される。樹脂68は、例えば、熱可塑性の樹脂または熱硬化性の樹脂であるがかかる例に限定されない。
【0019】
図1に示す樹脂封止装置100は、1つの被成形品60を樹脂封止する構成であるが、かかる例に限定されず、複数の被成形品60を同時に樹脂封止することができる構成であってもよい。以下において、樹脂封止装置100の樹脂封止金型1の構成および樹脂封止装置100の樹脂封止金型1によって被成形品60を樹脂封止する樹脂封止工程の各々について順に詳細に説明する。
【0020】
<1.2.樹脂封止金型1の構成>
図3に示すように、樹脂封止装置100の樹脂封止金型1では、上型チェス4を含む上金型2と下型チェス6を含む下金型3とが型締方向(Z軸方向)において互いに離れた位置にある。下金型3は、被成形品60の樹脂封止工程において、上金型2に向かう方向(Z軸正方向)に移動され、上金型2と当接する型締の状態になる。
【0021】
上金型2は、上述したように、上型チェス4を備える。上型チェス4は、第1上型チェス部10と、第2上型チェス部20とを備える。第1上型チェス部10は、キャビティプレートとも呼ばれ、キャビティ50(図6参照)を形成するキャビティ形成部11、不図示のランナーを形成する不図示のランナー形成部、および不図示のカルを形成する不図示のカル形成部などを含む。キャビティ50(図6参照)、不図示のカル、および不図示のランナーの各々は、上金型2と下金型3とが型締されることによって形成される空間である。
【0022】
第2上型チェス部20は、キャビティ50(図6参照)内で被成形品60を各々支持するための複数の支持ピン21,22と、複数の支持ピン21,22を保持する保持部23とを備える。複数の支持ピン21,22は、互いに同一の形状であり、図3に示す状態において、下金型3に最も近い先端の高さ(Z軸方向の位置)が互いに同じであるが、かかる例に限定されない。
【0023】
保持部23は、複数の支持ピン21,22を型締方向(Z軸方向)に移動可能に保持する。支持ピン21は、第1支持ピンの一例であり、支持ピン22は、第2支持ピンの一例である。
【0024】
保持部23は、ベース部231と、カバー部232とを備える。ベース部231には、凹部2311,2312が形成されており、かかる凹部2311,2312には、弾性部材2313,2314が収納されている。凹部2311,2312は、弾性部材2313,2314が収納された状態でカバー部232によって覆われる。
【0025】
保持部23は、弾性部材2313,2314によって複数の支持ピン21,22を型締方向(Z軸方向)に移動可能に保持する。弾性部材2313,2314は、例えば、ばねであるが、ゴム、クッション材、またはその他の弾性部材であってもよい。
【0026】
第1上型チェス部10には、複数の支持ピン21,22が挿通される複数の貫通孔12,13が形成されており、そのため、複数の支持ピン21,22は、第1上型チェス部10に対して相対的に移動可能である。
【0027】
支持ピン21は、貫通孔12に挿通され、被成形品60に当接して被成形品60を支持するための支持部211と、凹部2311内に各々配置される係止部212と、弾性部材2313の内側に配置され、型締方向(Z軸方向)と直交する方向への弾性部材2313の移動を規制するガイド部213とを備える。
【0028】
また、支持ピン22は、貫通孔13に挿通され、被成形品60に当接して被成形品60を支持するための支持部221と、凹部2312内に各々配置される係止部222と、弾性部材2314の内側に配置され、型締方向(Z軸方向)と直交する方向への弾性部材2314の移動を規制するガイド部223とを備える。
【0029】
図3に示す状態において、係止部212は、弾性部材2313によって下方向(Z軸負方向)に付勢されて凹部2311の底面に当接するため、支持ピン21の下方向(Z軸負方向)への移動が規制されている。このとき、保持部23に対する支持ピン21の相対的な位置が最も下方向(Z軸負方向)に位置する。
【0030】
また、係止部222は、弾性部材2314によって下方向(Z軸負方向)に付勢されて凹部2312の底面に当接するため、支持ピン22の下方向(Z軸負方向)への移動が規制されている。このとき、保持部23に対する支持ピン22の相対的な位置が最も下方向(Z軸負方向)に位置する。
【0031】
下型チェス6は、キャビティ50(図6参照)を形成するキャビティ形成部31、不図示のランナーを形成する不図示のランナー形成部、不図示のカルを形成する不図示のカル形成部などを含む。なお、図3においては、樹脂封止金型1のうち上型ダイセット5と下型ダイセット7とが省略されている。
【0032】
<1.3.樹脂封止装置100による樹脂封止工程>
樹脂封止金型1が図3に示す状態において、不図示の搬送装置によって被成形品60が上金型2と下金型3との間に配置される。図4に示す例では、被成形品60は、上金型2と下金型3との間であって、下金型3の下型チェス6におけるキャビティ形成部31上に配置されている。図4に示す状態では、支持ピン21と被成形品60との型締方向(Z軸方向)における距離は、支持ピン22と被成形品60との型締方向(Z軸方向)における距離よりも短いため、後述するように、型締の際に、支持ピン21が支持ピン22よりも先に被成形品60に当接する。
【0033】
その後、可動プラテン92(図1参照)が上方向(Z軸正方向)に移動することによって、下金型3が上金型2に向かう方向である上方向(Z軸正方向)に移動する。下金型3が上方向(Z軸正方向)に移動すると、図5に示すように、複数の支持ピン21,22のうち支持ピン21が被成形品60に最初に当接する。図5に示す例では、支持ピン21は、被成形品60の部材64に当接する。これにより、被成形品60は、支持ピン21とキャビティ形成部31との間に挟持される。
【0034】
その後、下金型3がさらに上方向(Z軸正方向)に移動し、支持ピン21は、部材64によって上方向に押される。支持ピン21は、上方向に移動可能に保持部23によって保持されていることから、図6に示すように、キャビティ形成部31との間で被成形品60を挟持した状態を保ちつつ、上方向に移動する。
【0035】
また、複数の支持ピン21,22のうち支持ピン22がさらに被成形品60に当接する。図6に示す例では、支持ピン22は、被成形品60の部材65に当接する。これにより、被成形品60は、支持ピン21とキャビティ形成部31との間に加えて、支持ピン22とキャビティ形成部31との間でも挟持される。
【0036】
その後、下金型3がさらに上方向(Z軸正方向)に移動し、支持ピン22は、支持ピン21と同様に、部材65によって上方向に押される。支持ピン22は、上方向に移動可能に保持部23によって保持されていることから、図6に示すように、キャビティ形成部31との間で被成形品60を挟持した状態を保ちつつ、上方向に移動する。これにより、キャビティ50(図6参照)内において、複数の部材64,65の高さ(Z軸方向の位置)にバラツキがある場合であっても、被成形品60が適切に支持される。
【0037】
被成形品60は、複数の部材64,65を含み、これら複数の部材64,65は、複数の支持ピン21,22のうち互いに異なる支持ピンによって型締方向(Z軸方向)で互いに異なる位置で支持される。
【0038】
従来の樹脂封止金型では、型締方向で互いに異なる位置にある被成形品の複数の部材を互いに異なる支持ピンで支持する際、被成形品における複数の部材の高さ(Z軸方向の位置)にバラツキによって、支持ピンと被成形品との間に隙間が形成されて被成形品を適切に支持することができない、または、支持ピンが被成形品70の一部を潰して被成形品70が破損する、などといったおそれがある。
【0039】
第1実施形態に係る樹脂封止金型1では、支持ピン21,22が型締方向(Z軸方向)に移動可能に保持部23に保持される。そのため、樹脂封止金型1は、被成形品60における複数の部材64,65の高さ(Z軸方向の位置)にバラツキがある場合であっても、被成形品60を適切に支持することができる。
【0040】
その後、ポット94(図1参照)に投入された樹脂タブレットが融解し、図7に示すように、融解した樹脂68が不図示のカルおよびランナーを介してキャビティ50内に充填される。
【0041】
その後、樹脂封止金型1では、図8に示すように、不図示の移動機構によって保持部23が上方向(Z軸正方向)に移動される。保持部23が上方向に移動すると、支持ピン21,22は、弾性部材2313,2314に押圧され、保持部23に対して、相対的に下方向(Z軸負方向)に移動し、保持部23における凹部2311,2312の底面に当接する。その後、保持部23がさらに上方向へ移動することによって被成形品60から支持ピン21,22が離れた位置に移動する。
【0042】
そのため、複数の支持ピン21,22を被成形品60の部材64,65から離れた位置に移動し、複数の支持ピン21,22の一部がキャビティ50から退避することで、かかる退避によってできた空間に樹脂68が充填される。これにより、被成形品60の部材64,65も樹脂68によって封止される。
【0043】
その後、樹脂封止装置100は、可動プラテン92(図1参照)が下方向(Z軸負方向)に移動することによって、下金型3が下方向(Z軸負方向)に移動する。これにより、上金型2と下金型3との型締が解除される。そして、図9に示すように、不図示の搬送装置によって樹脂封止金型1から成形品80が取り出される。成形品80が取り出された後、不図示の移動機構によって保持部23が下方向(Z軸負方向)に移動する。その移動に伴って、支持ピン21,22が下方向に移動する。
【0044】
樹脂封止金型1は、複数の支持ピン21,22が被成形品60の部材64,65から離れる前に、支持ピン21,22を保持部23に係止する係止ピンを備える構成であってもよい。例えば、図10に示す例では、上金型2は、支持ピン21,22を保持部23に係止する係止ピン26,27を備える。
【0045】
図10の(a)に示す例では、支持ピン21は、左右方向(X軸方向)に窪む凹部2111を有し、支持ピン22は、左右方向(X軸方向)に窪む凹部2211を有する。そして、樹脂封止金型1では、複数の支持ピン21,22が被成形品60の部材64,65から離れる前に、係止ピン26が支持ピン21の凹部2111に挿入され、係止ピン27が支持ピン22の凹部2211に挿入される。
【0046】
これにより、支持ピン21,22が係止ピン26,27によって保持部23に係止される。その後、樹脂封止金型1では、図10の(b)に示すように、不図示の移動機構によって保持部23が上方向(Z軸正方向)に移動される。
【0047】
そのため、図10の(b)に示す例では、複数の支持ピン21,22を被成形品60の部材64,65からより離れた位置に移動させたり、保持部23の移動量を少なくしたりすることができる。
【0048】
<2.第2実施形態>
<2.1.樹脂封止金型の構成>
図11に示すように、第2実施形態に係る樹脂封止装置は、樹脂封止金型1に代えて、樹脂封止金型1Aを備える点で、第1実施形態に係る樹脂封止装置100と異なる。なお、第1実施形態に係る樹脂封止金型1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0049】
樹脂封止金型1Aは、上金型2Aおよび下金型3Aを備える。上金型2Aの上型チェス4Aは、第1上型チェス部10に代えて、第1上型チェス部10Aを備える点で、上金型2の上型チェス4と異なる。第1上型チェス部10Aは、キャビティ形成部11Aの形状が、第1上型チェス部10のキャビティ形成部11と異なる点以外は、第1上型チェス部10と同じである。キャビティ形成部11Aは、即ち、キャビティ50を形成する壁面は、後述する被成形品70(図12参照)における支持ピン42と当接する面の裏面に当接する凸部111を備える。
【0050】
なお、樹脂封止金型1Aにおける第2上型チェス部20は、支持ピン21の型締方向(Z軸方向)における長さが支持ピン22の型締方向(Z軸方向)における長さよりも長く、図11に示す状態において、支持ピン21は、支持ピン22よりも、下金型3に最も近い先端の位置が下金型3に近い点で、樹脂封止金型1の第2上型チェス部20と異なる。
【0051】
下金型3Aの下型チェス6Aは、第1下型チェス部30Aと、第2下型チェス部40Aとを備える。第1下型チェス部30Aは、キャビティ形成部31と形状が異なるキャビティ形成部31Aを備える点、貫通孔32,33を備える点で、下型チェス6と異なる。
【0052】
第2下型チェス部40Aは、上金型2Aと下金型3Aとが型締されることによって形成される空間であるキャビティ50A(図16参照)内で被成形品70(図12参照)を各々支持するための複数の支持ピン41,42と、複数の支持ピン41,42を保持する保持部43とを備える。保持部43は、第2保持部の一例であり、保持部23は、第1保持部の一例である。
【0053】
保持部43は、複数の支持ピン41,42をキャビティ50A(図16参照)から離れる方向(Z軸負方向)に移動可能に保持する。支持ピン41は、第1支持ピンの一例であり、支持ピン42は、第2支持ピンの一例である。複数の支持ピン41,42は、第1下型チェス部30Aに形成されている複数の貫通孔32,33に挿通されており、第1下型チェス部30Aに対して相対的に移動可能である。
【0054】
保持部43は、ベース部431と、カバー部432とを備える。ベース部431には、凹部4311,4312が形成されており、かかる凹部4311,4312には、弾性部材4313,4314が収納されている。凹部4311,4312は、弾性部材4313,4314が収納された状態でカバー部432によって覆われる。
【0055】
保持部43は、弾性部材4313,4314によって複数の支持ピン41,42をキャビティ50A(図16参照)から離れる方向(Z軸負方向)に移動可能に保持する。弾性部材4313,4314は、例えば、ばねであるが、ゴム、クッション材、またはその他の弾性部材であってもよい。
【0056】
支持ピン41は、貫通孔32に挿通され、被成形品70(図12参照)に当接して被成形品70を支持するための支持部411と、凹部4311内に各々配置される係止部412と、弾性部材4313の内側に配置され、型締方向(Z軸方向)と直交する方向への弾性部材4313の移動を規制するガイド部413とを備える。
【0057】
また、支持ピン42は、貫通孔33に挿通され、被成形品70に当接して被成形品70を支持するための支持部421と、凹部4312内に各々配置される係止部422と、弾性部材4314の内側に配置され、型締方向(Z軸方向)と直交する方向への弾性部材4314の移動を規制するガイド部423とを備える。
【0058】
図11に示す状態において、係止部412は、弾性部材4313によって上方向(Z軸正方向)に付勢されて凹部4311の底面に当接するため、支持ピン41の上方向(Z軸正方向)への移動が規制されている。このとき、保持部43に対する支持ピン41の相対的な位置が最も上方向(Z軸正方向)に位置する。
【0059】
また、係止部422は、弾性部材4314によって上方向(Z軸正方向)に付勢されて凹部4312の底面に当接するため、支持ピン42の上方向(Z軸正方向)への移動が規制されている。このとき、保持部43に対する支持ピン42の相対的な位置が最も上方向(Z軸正方向)に位置する。
【0060】
複数の支持ピン41,42は、互いに同一の形状であり、図11に示す状態において、上金型2Aに最も近い先端の高さ(Z軸方向の位置)が互いに同じであるが、かかる例に限定されない。
【0061】
図12の(a)に示す被成形品70は、複数の部材71~76を含む。部材71は、例えば、リードフレームであり、部材72,75は、例えば、スペーサであり、部材73は、例えば、複数の電子部品などが搭載された回路基板であり、部材74,76は、例えば、金属部材である。なお、被成形品70における複数の部材71~76は、上述した例に限定されず、また、被成形品70の構成も上述した例に限定されない。
【0062】
樹脂封止金型1Aによって被成形品70が樹脂封止されることによって、図12の(b)に示すように、樹脂78が被成形品70に一体成形された成形品81が製作される。樹脂78は、例えば、熱可塑性の樹脂または熱硬化性の樹脂であるがかかる例に限定されない。
【0063】
図11に示す樹脂封止金型1Aでは、1つの被成形品70を樹脂封止する構成であるが、かかる例に限定されず、樹脂封止金型1Aは、複数の被成形品70を同時に樹脂封止することができる構成であってもよい。以下において、樹脂封止金型1Aによって被成形品70を樹脂封止する樹脂封止工程について詳細に説明する。
【0064】
<2.2.樹脂封止装置100による樹脂封止工程>
樹脂封止金型1Aにおける上金型2Aと下金型3Aとが上下方向(Z軸方向)において互いに離れた位置にある状態で、図13に示すように、不図示の搬送装置によって被成形品70が上金型2Aと下金型3Aとの間に配置される。図13に示す例では、被成形品70は、下金型3Aの支持ピン41に当接している状態である。
【0065】
また、図13に示す状態では、支持ピン21と被成形品70との型締方向(Z軸方向)における距離は、支持ピン22と被成形品70との型締方向(Z軸方向)における距離よりも短いため、後述するように、型締の際に、支持ピン21が支持ピン22よりも先に被成形品70に当接する。
【0066】
その後、可動プラテン92(図1参照)が上方向(Z軸正方向)に移動することによって、下金型3Aが上金型2Aに向かう方向である上方向(Z軸正方向)に移動する。下金型3Aが上方向(Z軸正方向)に移動すると、図14に示すように、複数の支持ピン21,22のうち支持ピン21が被成形品70に最初に当接する。図14に示す例では、支持ピン21は、被成形品70の部材73に当接する。
【0067】
その後、下金型3Aがさらに上方向(Z軸正方向)に移動し、支持ピン21は、部材73によって上方向に押される。支持ピン21は、上方向に移動可能に保持部23によって保持されていることから、図15に示すように、キャビティ形成部31Aとの間で被成形品70を挟持した状態を保ちつつ、上方向に移動する。
【0068】
また、図15に示すように、複数の支持ピン21,22のうち支持ピン22が被成形品70に当接する。図15に示す例では、支持ピン22は、被成形品70の部材74に当接する。これにより、被成形品70は、支持ピン22と支持ピン41との間で挟持される。
【0069】
その後、下金型3Aがさらに上方向(Z軸正方向)に移動し、図16に示すように、複数の支持ピン41,42のうち支持ピン42が被成形品70に当接する。図16に示す例では、支持ピン42は、被成形品70の部材76に当接し、部材76を上方向に押す。部材76における支持ピン42との当接面は第1面の一例である。
【0070】
これにより、被成形品70の部材71は、部材76を介して支持ピン42によってキャビティ形成部11Aの凸部111に押し付けられ、被成形品70は、支持ピン22と支持ピン41との間および支持ピン21とキャビティ形成部31Aとの間に加えて、支持ピン42とキャビティ形成部11Aとの間においても挟持される。部材71における凸部111との当接面は、第2面の一例である。
【0071】
また、支持ピン21,22は、下金型3Aの上方向(Z軸正方向)への移動によって下金型3Aに部材73,74を介して上方向に押される。支持ピン21,22は、上方向に移動可能に保持部23によって保持されていることから、キャビティ形成部31Aとの間で被成形品70を挟持した状態を保ちつつ、上方向に移動する。
【0072】
また、支持ピン42は、下金型3Aの上方向(Z軸正方向)への移動によって上金型2Aに部材76を介して下方向(Z軸負方向)に押される。支持ピン42は、下方向に移動可能に保持部43によって保持されていることから、キャビティ形成部11Aの凸部111との間で被成形品70を挟持した状態を保ちつつ、保持部43に対して相対的に下方向に移動する。
【0073】
また、弾性部材2314の弾性係数は、弾性部材4313の弾性係数よりも大きい。そのため、支持ピン41は、下金型3Aの上方向(Z軸正方向)への移動によって支持ピン22に部材74を介して押されて上方向への移動が規制され、保持部43に対して相対的に下方向(Z軸負方向)に移動する。弾性部材2314,4313の弾性係数は、被成形品70が破損しない値に設定される。なお、弾性部材2314の弾性係数は、弾性部材4313の弾性係数よりも小さくてもよい。
【0074】
被成形品70は、複数の部材73,74を含み、これら複数の部材73,74は、複数の支持ピン21,22のうち互いに異なる支持ピンによって型締方向(Z軸方向)で互いに異なる位置で支持される。また、被成形品70は、複数の部材74,76を含み、これら複数の部材74,76は、複数の支持ピン41,42のうち互いに異なる支持ピンによって型締方向(Z軸方向)で互いに異なる位置で支持される。
【0075】
従来の樹脂封止金型では、型締方向で互いに異なる位置にある被成形品の複数の部材を互いに異なる支持ピンで支持する際、被成形品における複数の部材の高さ(Z軸方向の位置)のバラツキによって、支持ピンと被成形品との間に隙間が形成されて被成形品を適切に支持することができないおそれがある。
【0076】
第2実施形態に係る樹脂封止金型1Aでは、型締方向(Z軸方向)に移動可能に支持ピン21,22が保持部23に保持され、型締方向(Z軸方向)に移動可能に支持ピン41,42が保持部43に保持される。そのため、樹脂封止金型1Aは、被成形品70における複数の部材73,74,76の高さ(Z軸方向の位置)にバラツキがある場合であっても、被成形品70を適切に支持することができる。
【0077】
また、樹脂封止金型1Aのキャビティ形成部11A(キャビティ50を形成する壁面)は、被成形品70における支持ピン42と当接する面(第1面の一例)の裏面(第2面の一例)に当接する凸部111を有している。そのため、樹脂封止金型1Aは、被成形品70における複数の部材74,76の高さ(Z軸方向の位置)にバラツキがある場合であっても、被成形品70を適切に支持することができる。
【0078】
その後、ポット94(図1参照)に投入された樹脂タブレットが融解し、図17に示すように、融解した樹脂78が不図示のカルおよびランナーを介してキャビティ50A内に充填される。
【0079】
その後、樹脂封止金型1Aでは、図18に示すように、不図示の移動機構によって保持部23が上方向(Z軸正方向)に移動され、不図示の移動機構によって保持部43が下方向(Z軸負方向)に移動される。
【0080】
保持部23が上方向(Z軸正方向)に移動すると、支持ピン21,22は、弾性部材2313,2314に押圧され、保持部23に対して、相対的に下方向(Z軸負方向)に移動し、保持部23における凹部2311,2312の底面に当接する。その後、保持部23がさらに上方向へ移動することによって被成形品70から支持ピン21,22が離れた位置に移動する。
【0081】
また、保持部43が下方向(Z軸負方向)に移動すると、支持ピン41,42は、弾性部材4313,4314に押圧され、保持部43に対して、相対的に上方向(Z軸正方向)に移動し、保持部43における凹部4311,4312の底面に当接する。その後、保持部43がさらに下方向へ移動することによって被成形品70から支持ピン41,42が離れた位置に移動する。
【0082】
このように、複数の支持ピン21,22,41,42が被成形品70の部材73,74,76から離れた位置に移動し、複数の支持ピン21,22,41,42の一部がキャビティ50Aから退避することで、かかる退避によってできた空間に樹脂78が充填される。これにより、被成形品70の部材73,74,76も樹脂78によって封止される。
【0083】
その後、第2実施形態に係る樹脂封止装置は、可動プラテン92(図1参照)が下方向(Z軸負方向)に移動することによって、下金型3Aが下方向(Z軸負方向)に移動する。これにより、上金型2Aと下金型3Aとの型締が解除される。そして、図19に示すように、不図示の搬送装置によって樹脂封止金型1Aから成形品81が取り出される。
【0084】
成形品81が取り出された後、不図示の移動機構によって保持部23が下方向(Z軸負方向)に移動する。その移動に伴って、支持ピン21,22が下方向に移動する。また、成形品81が取り出された後、不図示の移動機構によって保持部43が上方向(Z軸正方向)に移動する。その移動に伴って、支持ピン41,42が上方向に移動する。
【0085】
なお、上述した例では、樹脂封止金型1Aは、下金型3Aが上金型2Aに向けて移動する構成であるが、上金型2Aが下金型3Aに向けて移動する構成であってもよく、上金型2Aと下金型3Aとが互いに近づく方向に移動する構成であってもよい。
【0086】
また、樹脂封止金型1Aは、樹脂封止金型1と同様に、複数の支持ピン21,22を係止する複数の係止ピン26,27を備える構成であってもよく、さらに、複数の支持ピン41,42を係止する複数の係止ピンを備える構成であってもよい。これにより、複数の支持ピン21,22,41,42を被成形品70の部材73,74,76からより離れた位置に移動させたり、保持部23,43の移動量を少なくしたりすることができる。
【0087】
また、支持ピン21,41の後に被成形品70に当接する支持ピン22,42は、移動可能に保持部23に保持されていなくてもよく、この場合であっても、被成形品70を適切に支持することができる。また、上述の例では、上金型2,2Aには、2つの支持ピン21、22が設けられるが、支持ピンの数は、3つ以上であってもよい。同様に、下金型3Aには、2つの支持ピン41、42が設けられるが、支持ピンの数は、3つ以上であってもよい。
【0088】
以上のように、実施形態に係る樹脂封止金型1,1Aでは、上金型2,2Aと下金型3,3Aとが型締されることによって形成される空間であるキャビティ50,50A内で被成形品60,70を各々支持するための複数の支持ピン21,22と、複数の支持ピン21,22を保持する保持部23とを備える。上金型2,2Aは、第1金型の一例であり、下金型3,3Aは、第2金型の一例である。保持部23は、複数の支持ピン21,22のうちの支持ピン21を上金型2,2Aと下金型3,3Aとが型締される型締方向に移動可能に保持し、被成形品60,70の樹脂封止工程において、支持ピン21が被成形品60,70に当接した後、複数の支持ピン21,22のうちの支持ピン21以外の支持ピン22が被成形品60,70に当接する。支持ピン21は、第1支持ピンの一例であり、支持ピン22は、第2支持ピンの一例である。これにより、樹脂封止金型1,1Aは、被成形品60,70を適切に支持することができる。
【0089】
保持部23は、弾性部材2313を介して支持ピン21を保持する。これにより、樹脂封止金型1,1Aは、被成形品60,70をより適切に支持することができる。
【0090】
また、樹脂封止金型1Aでは、キャビティ50Aを形成する壁面、即ち、キャビティ形成部11Aは、被成形品70における支持ピン21および支持ピン22の一方と当接する面である第1面の裏面である第2面に当接する凸部111を備える。これにより、樹脂封止金型1Aは、被成形品70における複数の部材73,74の高さ(Z軸方向の位置)にバラツキがある場合であっても、被成形品70を適切に支持することができる。
【0091】
また、樹脂封止金型1,1Aは、支持ピン21が被成形品60,70から離れる前に、支持ピン21を保持部23に係止する係止ピン26を備える。これにより、樹脂封止金型1,1Aは、複数の支持ピン21,22,41,42を被成形品60,70の部材64,65,73,74,76からより離れた位置に移動させたり、保持部23,43の移動量を少なくしたりすることができる。
【0092】
また、樹脂封止金型1Aは、複数の支持ピンを保持する保持部を複数備える。複数の保持部は、上金型2Aに設けられる保持部23と、下金型3Aに設けられる保持部43とを含み、保持部23および保持部43のうちの少なくとも一方は、型締方向に移動する。保持部23は、第1保持部の一例であり、保持部43は、第2保持部の一例である。これにより、樹脂封止金型1Aは、被成形品60,70をより適切に支持することができる。
【0093】
また、被成形品60は、複数の部材64,65を含み、複数の部材64,65は、複数の支持ピン21,22のうち互いに異なる支持ピンによって型締方向で互いに異なる位置で支持される。また、被成形品70は、複数の部材73,74を含み、複数の部材73,74は、複数の支持ピン21,22のうち互いに異なる支持ピンによって型締方向で互いに異なる位置で支持される。また、被成形品70は、複数の部材74,76を含み、複数の部材74,76は、複数の支持ピン41,42のうち互いに異なる支持ピンによって型締方向で互いに異なる位置で支持される。これにより、樹脂封止金型1,1Aは、被成形品60,70における複数の部材64,65,73,74の高さ(Z軸方向の位置)にバラツキがある場合であっても、被成形品60,70を適切に支持することができる。
【0094】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
1,1A 樹脂封止金型
2,2A 上金型
3,3A 下金型
21,22,41,42 支持ピン
23,43 保持部
2313,2314,4313,4314 弾性部材
26,27 係止ピン
50,50A キャビティ
68,78 樹脂
60,70 被成形品
61~67,71~76 部材
80,81 成形品
100 樹脂封止装置
111 凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19