(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154641
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】電子部品処理システム及び収容箱
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20241024BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20241024BHJP
B65D 85/86 20060101ALI20241024BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01L21/68 T
H01G13/00 361A
H01G13/00 361D
B65D85/86 100
G01N21/84 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068576
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】吉村 尚人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 創乙
【テーマコード(参考)】
2G051
3E096
5E082
5F131
【Fターム(参考)】
2G051AA61
2G051DA20
3E096AA11
3E096BA08
3E096CA02
3E096CB03
3E096DA02
3E096DA10
3E096DA17
3E096EA06X
3E096FA11
3E096GA07
5E082MM32
5E082MM35
5F131AA04
5F131CA70
5F131DA32
5F131DA42
5F131DA55
5F131GA12
5F131GA23
5F131GA33
5F131GA52
5F131GA74
5F131GA82
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電子部品の処理の過程で他の電子部品の混入を防止することのできる、電子部品処理システムを提供する。
【解決手段】電子部品処理システムにおいて、開閉できる蓋20を備え、電子部品を出し入れ可能な収容箱10と、収容箱10を取り付け可能であり、収容箱10に電子部品を投入する第1の設備と、収容箱10を取り付け可能であり、収容箱10から電子部品を取り出して、電子部品を処理する第2の設備200と、を備える、
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉できる蓋を備え、電子部品を出し入れ可能な収容箱と、
前記収容箱を取り付け可能であり、前記収容箱に前記電子部品を投入する第1の設備と、
前記収容箱を取り付け可能であり、前記収容箱から前記電子部品を取り出して、前記電子部品を処理する第2の設備と、を備える、電子部品処理システムであって、
前記電子部品処理システムでは、前記第1の設備に前記収容箱を取り付け、
前記第1の設備により、前記蓋を開け、
前記第1の設備により、前記電子部品を処理し、
前記第1の設備により、前記第1の設備により処理された前記電子部品を前記収容箱内に投入し、
前記第1の設備により、前記電子部品が投入された前記収容箱の前記蓋を閉じ、
前記第2の設備に前記収容箱を取り付け、
前記第2の設備により、前記電子部品が投入された前記収容箱の前記蓋を開け、
前記第2の設備により、前記収容箱から前記電子部品を取り出し、
前記第2の設備により、前記電子部品を処理し、
前記第1の設備で蓋を閉じた後、前記第2の設備で蓋を開けるまで前記蓋が開かれることなく、電子部品の処理を行う、電子部品処理システム。
【請求項2】
前記第1の設備による前記電子部品の処理は、前記電子部品の外観を検査する外観検査又は前記電子部品の電気的特性を検査する特性選別である請求項1に記載の電子部品処理システム。
【請求項3】
前記第1の設備による第1の処理と前記第2の設備による第2の処理の間に、前記収容箱に収容された前記電子部品に対して熱処理を行う加熱装置を備える、請求項1又は2に記載の電子部品処理システム。
【請求項4】
前記収容箱の耐熱温度は250℃以上である、請求項3に記載の電子部品処理システム。
【請求項5】
前記第2の設備による前記電子部品の処理は、前記電子部品の外観を検査する外観検査、前記電子部品の電気的特性を検査する特性選別、又は前記電子部品を包装体で包装する包装処理である請求項1又は2に記載の電子部品処理システム。
【請求項6】
前記収容箱は、前記電子部品の情報を記憶する記憶機構をさらに備え、前記記憶機構に記憶された情報にもとづき、前記第1の設備による第1の処理及び前記第2の設備による前記第2の処理が行われる請求項1又は2に記載の電子部品処理システム。
【請求項7】
前記収容箱の形状は直方体状であり、
前記収容箱はその上面にスライド可能な蓋を備えており、
前記上面を鉛直下方向に対して、30°以上、60°以下の角度で傾けて、前記収容箱から前記電子部品を取り出して、前記第2の設備に前記電子部品を投入する、請求項1又は2に記載の電子部品処理システム。
【請求項8】
前記第2の設備は、前記収容箱に対して、振動を与える加振機構をさらに備え、
前記加振機構による加振により前記収容箱から前記電子部品を取り出す、請求項1又は2に記載の電子部品処理システム。
【請求項9】
前記収容箱を構成する壁材はアルミニウムを主に含み、かつ、前記収容箱の表面には複数の凹部がある、請求項1又は2に記載の電子部品処理システム。
【請求項10】
電子部品を収容するために用いられ、
その形状が直方体状であり、
第1の端面と前記第1の端面に対向する第2の端面と、
前記第1の端面と前記第2の端面とを接続する第1の側面と、
前記第1の側面と対向する第2の側面と、
前記第1の端面、前記第2の端面、前記第1の側面及び前記第2の側面と接続する底面と、
前記底面と対向する開口部とを備えた収容箱であり、
前記収容箱を構成する壁材はアルミニウムを主に含み、厚みが1mm以上、10mm以下であり、
前記壁材の内壁面は、表面粗さがRaで1.0μm以上、2.0μm以下であり、
前記内壁面が黒色導電アルマイトで覆われており、
前記壁材の外壁面は、前記内壁面より表面粗さが小さく、
前記内壁面のうち、端面と側面との接続稜線部の曲率半径は、0.05mm以上であり、
前記第1の端面、前記第2の端面、前記第1の側面、前記第2の端面及び前記底面は、繋ぎ目なく一体となって形成され、
前記開口部には、端面方向にスライドするスライド式の蓋が備えられ、
前記第1の端面には前記収容箱を持ち運びするための取っ手を備える、収容箱。
【請求項11】
前記収容箱の側面の第1の端面側において、収容箱の側面から突出可能なプランジャーが設けられており、蓋が前記開口部を閉じた際にプランジャーが外側に突出して、蓋が開くことを防止する請求項10に記載の収容箱。
【請求項12】
前記第1の端面の壁材は、前記第2の端面の壁材より厚みが厚い請求項10又は11に記載の収容箱。
【請求項13】
前記蓋は、前記第1の端面の方向にスライドして開口し、前記第2の端面側の前記開口から、前記第1の端面側の前記底面に向かってスロープが設けられている、請求項10又は11に記載の収容箱。
【請求項14】
前記収容箱は、リニアフィーダの始端側に設置可能であり、前記リニアフィーダの振動により前記電子部品を収容箱より排出可能である請求項10又は11に記載の収容箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品処理システム及び収容箱に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサ等のチップ型電子部品(以後、電子部品という)は、近年、小型化する電化製品や高密度実装に対応するため小型化が進んでおり、一つの基板に用いられる部品点数も増大しており、大量生産が求められている。小型かつ大量生産であるがゆえに、電子部品一つ一つに識別マークを付与することは不可能であり、製造過程ではばらけた状態で扱わざる得ない。
このような小型の電子部品は品質保証のため、特許文献1に記載されたような装置で電子部品の電気的特性を測定し、特許文献2のように熱処理を行い、特許文献3のような装置で外観検査を行う。
特許文献2のような装置での熱処理を行う場合は、熱が各電子部品にいきわたるように、一度、パレットの上に重ならないように並べて、加熱処理を行うことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-282379号公報
【特許文献2】特開平6-36976号公報
【特許文献3】特開2012-68140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置での電気特性の測定後は、電子部品は小箱に収められることになるが、特許文献2のような装置での熱処理を行うためには電子部品をパレットの上に並べる必要があるので、電子部品を小箱から取り出す。電子部品を小箱から取り出すと、その他の電子部品が混入するリスクが増大する。この過程で、外観が変わらないけれども特性が違う電子部品が混入した場合には、特許文献3の装置で外観検査を行ったとしても、混入した電子部品を排除できないという問題がある。混入した電子部品が基板上に実装されると、製品の特性不良につながる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、電子部品の処理の過程で他の電子部品の混入を防止することのできる、電子部品処理システム、及び、上記電子部品処理システムに適用可能な収容箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子部品処理システムは、開閉できる蓋を備え、電子部品を出し入れ可能な収容箱と、前記収容箱を取り付け可能であり、前記収容箱に前記電子部品を投入する第1の設備と、前記収容箱を取り付け可能であり、前記収容箱から前記電子部品を取り出して、前記電子部品を処理する第2の設備と、を備える、電子部品処理システムであって、前記電子部品処理システムでは、前記第1の設備に前記収容箱を取り付け、前記第1の設備により、前記蓋を開け、前記第1の設備により、前記電子部品を処理し、前記第1の設備により、前記第1の設備により処理された前記電子部品を前記収容箱内に投入し、前記第1の設備により、前記電子部品が投入された前記収容箱の前記蓋を閉じ、前記第2の設備に前記収容箱を取り付け、前記第2の設備により、前記電子部品が投入された前記収容箱の前記蓋を開け、前記第2の設備により、前記収容箱から前記電子部品を取り出し、前記第2の設備により、前記電子部品を処理し、前記第1の設備で蓋を閉じた後、前記第2の設備で蓋を開けるまで前記蓋が開かれることなく、電子部品の処理を行う、電子部品処理システムである。
【0007】
本発明の収容箱は、電子部品を収容するために用いられ、その形状が直方体状であり、第1の端面と前記第1の端面に対向する第2の端面と、前記第1の端面と前記第2の端面とを接続する第1の側面と、前記第1の側面と対向する第2の側面と、前記第1の端面、前記第2の端面、前記第1の側面及び前記第2の側面と接続する底面と、前記底面と対向する開口部とを備えた収容箱であり、前記収容箱を構成する壁材はアルミニウムを主に含み、厚みが1mm以上、10mm以下であり、前記壁材の内壁面は、表面粗さがRaで1.0μm以上、2.0μm以下であり、前記内壁面が黒色導電アルマイトで覆われており、前記壁材の外壁面は、前記内壁面より表面粗さが小さく、前記内壁面のうち、端面と側面との接続稜線部の曲率半径は、0.05mm以上であり、前記第1の端面、前記第2の端面、前記第1の側面、前記第2の端面及び前記底面は、繋ぎ目なく一体となって形成され、前記開口部には、端面方向にスライドするスライド式の蓋が備えられ、前記第1の端面には前記収容箱を持ち運びするための取っ手を備える収容箱である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電子部品の処理の過程で他の電子部品の混入を防止することのできる、電子部品処理システム、及び、上記電子部品処理システムに適用可能な収容箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、収容箱の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、収容箱の蓋をスライドさせて開口部を露出させた様子を模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、収容箱の第1の端面側の蓋付近の拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、第1の設備に収容箱を取り付ける手順の例を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図6は、第1の設備に収容箱を取り付ける手順の例を模式的に示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第2の設備に収容箱を取り付け、収容箱の蓋を開ける手順の例を模式的に示す側面図である。
【
図8】
図8は、第2の設備に収容箱を取り付け、収容箱の蓋を開ける手順の例を模式的に示す側面図である。
【
図9】
図9は、収容箱の別の例を模式的に示す断面図である。
【
図10】
図10は、収容箱の別の例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の電子部品処理システム及び収容箱について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する個々の好ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0011】
本発明の電子部品処理システムの大まかな構成について説明する。
本発明の電子部品処理システムでは、第1の設備、第2の設備、及び収容箱を備える。
第1の設備では、電子部品に特定の処理を行う。以下、第1の設備により電子部品に対して行う処理を第1の処理ともいう。
第1の処理が行われた電子部品を収容箱内に投入し、収容箱の蓋を閉める。
第2の設備に収容箱を取り付け、収容箱の蓋を開けて収容箱から電子部品を取り出す。
第2の設備では、電子部品に特定の処理を行う。以下、第2の設備により電子部品に対して行う処理を第2の処理ともいう。
以上の手順により、電子部品に対して第1の処理及び第2の処理を行う。この過程で収容箱に電子部品が投入され、収容され、収容箱から取り出される。第1の設備から第2の設備までの電子部品の搬送は収容箱に電子部品が収容された状態で行われる。この過程で、第1の設備で収容箱の蓋を閉じた後、第2の設備で収容箱の蓋を開けるまで、収容箱の蓋が開かれることがないので、電子部品に対する第1の処理と第2の処理の間での他の電子部品や異物の混入を防止することができる。
【0012】
<電子部品>
本発明の電子部品処理システムで処理する対象となる電子部品としては、チップ部品が挙げられる。チップ部品である電子部品の例としては積層セラミックコンデンサ、積層コイル等が挙げられる。電子部品は外部電極が設けられていることが好ましく、外部電極が金属光沢を有していることが好ましい。
電子部品の大きさは、EIA規格で01005、0201、又は0402サイズ(全て公差を含む)のものであることが好ましい。
また、収容箱の内容積に対して、電子部品を最大70%の量まで充填するようにすることが好ましい。
【0013】
<収容箱>
以下には、本発明の電子部品処理システムで使用可能な収容箱について説明する。
図1は、収容箱の一例を模式的に示す斜視図であり、
図2は、収容箱の蓋をスライドさせて開口部を露出させた様子を模式的に示す斜視図である。
【0014】
図1に示す収容箱10は、その形状が直方体状であり、第1の端面11と、第1の端面11に対向する第2の端面12と、第1の端面11と第2の端面12とを接続する第1の側面13と、第1の側面13と対向する第2の側面14と、第1の端面11、第2の端面12、第1の側面13及び第2の側面14と接続する底面15と、底面15と対向する開口部16とを備える。
第1の端面11、第2の端面12、第1の側面13、第2の側面14及び底面15のうち、隣接する少なくとも2つの面が一体になって形成されていることが好ましい。
例えば、第1の端面11、第2の端面12、第1の側面13、第2の側面14が一体になって形成されていてもよく、第1の側面13、第2の側面14及び底面15が一体になって形成されていてもよい。
第1の端面11、第2の端面12、第1の側面13、第2の側面14及び底面15が繋ぎ目なく一体となって形成されていることがより好ましい。
収容箱10の蓋20以外の部分が収容箱の本体17である。
【0015】
図1には、収容箱10の高さ方向を両矢印H、幅方向を両矢印W、端面方向を両矢印Lで示している。
高さ方向に底面15及び開口部16(蓋20)が対向して配置され、幅方向に第1の側面13及び第2の側面14が対向して配置され、端面方向に第1の端面11及び第2の端面12が対向して配置される。
収容箱の高さ方向の寸法は120mm以上、150mm以下であることが好ましく、幅方向の寸法は60mm以上、80mm以下であることが好ましく、端面方向の寸法は120mm以上、180mm以下であることが好ましい。端面方向の寸法には取っ手の寸法は含まない。
収容箱の重さは蓋も含めて0.9kg以上、2.0kg以下であることが好ましい。
【0016】
開口部16には、端面方向にスライドするスライド式の蓋20が設けられている。
蓋20は第1の端面11側及び第2の端面12側にスライドする。
蓋20が第1の端面11側にスライドすると蓋20が開き、蓋20が第2の端面12側にスライドすると蓋20が閉まる。
【0017】
第1の端面11には収容箱10を持ち運びするための取っ手21を備える。
【0018】
収容箱10の各面を構成する壁材は、金属製であることが好ましく、アルミニウムを主に含むことが好ましい。また、壁材はその厚さが1mm以上、10mm以下であることが好ましく、厚さが1mm以上、3mm以下であることが好ましい。特に第1の端面11は、厚い方が好ましい。
壁材の、収容箱10の外側になる面が外壁面40であり、収容箱10の内側になる面が内壁面30である。
壁材の厚みにつき、第1の端面の壁材は、第2の端面の壁材より厚みが厚いことが好ましい。
【0019】
また、壁材、蓋及び取っ手は、金属製であることが好ましく、アルミニウムを主に含む材質であることが好ましい。また、壁材、蓋及び取っ手の耐熱温度は-30℃以上、260℃以下であることが好ましい。
【0020】
図2には、壁材の内壁面30を示している。内壁面30のうち、端面(第1の端面又は第2の端面)と側面(第1の側面又は第2の側面)を接続する部分には接続稜線部31が設けられていることが好ましい。接続稜線部31は内側がR面取りされた形状となっていることが好ましい。接続稜線部の曲率半径が0.04mm以上であることが好ましく、0.05mm以上であることが好ましい。また、5.0mm以下であることが好ましい。
また、内壁面のうち3つの面を接続する角部も内側が曲面になっていることが好ましく、角部の曲率半径が0.04mm以上であることが好ましく、0.05mm以上であることが好ましい。また、5.0mm以下であることが好ましい。
接続稜線部及び角部の曲率半径が上記の範囲であると、電子部品の稜線部及び角部を構成する面が収容箱の内壁面に同時に接することが防止され、電子部品が引っ掛かることが防止される。
【0021】
内壁面30は、黒色であることが好ましく、黒色導電アルマイト又は黒色無電解めっきで覆われていることが好ましく、黒色導電アルマイトで覆われていることがより好ましい。内壁面が黒色になっていると、外部電極が形成されている電子部品において、光が外部電極に反射して電子部品を視認しやすくなる。そして、外部電極を目印にして電子部品が収容箱内に残留しているかを判断しやすくなる。
また、外壁面40も黒色であることが好ましく、黒色導電アルマイト又は黒色無電解めっきで覆われていることが好ましく、黒色導電アルマイトで覆われていることがより好ましい。外壁面にも電子部品が付着する可能性があり、外壁面に付着した電子部品を判別しやすくするためには黒色であることが好ましい。
【0022】
また、内壁面30は放電加工又は表面粗化加工がされていることが好ましい。内壁面30の表面粗さはRaで1.0μm以上、10μm以下であることが好ましく、1.0μm以上、2.0μm以下であることがより好ましく、1.2μm以上、1.5μm以下であることがさらに好ましい。内壁面の表面粗さがこの範囲であると、収容箱に収容された電子部品が付着しにくくなる。なお、外壁面においても同様の処理が行われていてもよく、外壁面に付着した電子部品が収容箱に箱の表面に付着することを防止する。
本明細書において、表面粗さRaは、JIS B 0601(2013)に基づいて定める。
【0023】
外壁面40は、第1の端面11、第2の端面12、第1の側面13、第2の側面14及び底面15の表面である。外壁面40の表面粗さが内壁面30の表面粗さより小さいことが好ましい。外壁面の表面粗さが小さいと、収容箱を第1の設備又は第2の設備に引っ掛かりなく設置可能となる。
【0024】
第1の側面13及び第2の側面14の外壁面には、凹凸があることが好ましい。ここでいう凹凸とは、上述した表面粗さとは異なる、目視できる大きな凹凸を意味する概念で、凹凸を設けることで表面積を増大させ、収容箱に収容されている電子部品を効率的に加熱又は冷却することができる。凹凸の例としては、直径1mm以上で凹凸の高さの差が1mm以上の円柱状の突起などが挙げられる。
また、収容箱の内壁面にも凹凸が設けられていてもよい。凹凸の例としては円柱状の突起などが挙げられる。内壁面に凹凸が設けられていることで収容箱に収容された電子部品に熱が効率的に伝わる。
また、凹凸は例えばヒートシンクのような形状であってもよい。
また、凹凸は収容箱の表面(内壁面及び外壁面のうち少なくとも一方の面)に設けられた複数の凹部であってもよい。
【0025】
収容箱10は、収容する電子部品の情報を記憶する記憶機構をさらに備えていることが好ましい。記憶機構としては識別コード等が挙げられ、収容箱10の外壁面40(第1の端面11、第2の端面12、第1の側面13、第2の側面14及び底面15の表面)に識別コードが配置されていることが好ましい。
識別コードとしては一次元コード(バーコード)、二次元コード(QRコード(登録商標))等が挙げられる。
識別コードは、収容箱固有の識別文字(以後、固有ID)を情報として保持している。識別コードを読み取ると、収容箱の固有IDがサーバに送られ、そこで電子部品の情報が認識される。
また、記憶機構はRFIDタグのように読み書き可能なデバイスであってもよい。
電子部品の情報は、品名や、数量、特性などの各種情報である。
【0026】
収容箱の蓋の開閉機構について詳細に説明する。
蓋20はスライド式であり、収容箱10の開口部16の全体を覆っている。
図1が蓋20が閉じた状態、
図2が蓋20が開いた状態を示している。
図3は、
図2のA-A線断面図である。
収容箱10の第1の側面13及び第2の側面14にはそれぞれ溝13a、溝14aが端面方向(L方向)に沿って設けられている。
蓋20の一部が収容箱10の上面側から側面側に折れ曲がっており、蓋20の溝20aも端面方向(L方向)に沿って設けられている。そして、蓋20と、第1の側面13及び第2の側面14が、それぞれの溝を介して嵌合している。
このように蓋と収容箱の側面が篏合することで蓋が上面側に外れることなく、端面方向(L方向)にスライドすることが可能である。
蓋20の内壁面には導電アルマイト被膜や黒色ニッケル被膜が形成されていても良い。導電性の被膜が形成されていると静電気が発生しにくく、電子部品の蓋への付着が防止される。
【0027】
蓋の内壁面のスライドする部分には、摺動性が高くなるように平滑となる表面加工がされていることが好ましい。
【0028】
蓋のスムーズなスライドを可能とするため、蓋の内壁面と収容箱の側面の溝との間には一定のクリアランスが設けられていることが好ましい。クリアランスは0.01mm以上、0.15mm以下であることが好ましい。クリアランスが0.01mm未満の場合、篏合時にスムーズにスライドしないことがある。一方、クリアランスが0.15mmを超える場合は、篏合時に電子部品が収容箱の側面と蓋の間に入りこみ、電子部品が入り込んだ状態で蓋をスライドさせることで、電子部品が破損する恐れがある。
【0029】
図4は、収容箱の第1の端面側の蓋付近の拡大斜視図である。
収容箱10の第1の端面11側において、蓋20には収容箱側に伸びるピン22状の突起物が配置されており、第1の端面11側から第2の端面12側へ蓋20をスライドさせた際、収容箱10の第1の端面11にピン22が当接することで、蓋20が第2の端面12を大きく超えてスライドすることが防止されるようになっている。この機構により、意図せずに蓋20が開くことが防止される。
【0030】
収容箱10の側面(第1の側面13及び第2の側面14)の上面側でかつ第1の端面11側に収容箱10の外側へ突出するプランジャー23が配置されている。
プランジャー23は、蓋20を閉じた後に突出することで第1の端面11側において蓋20を係止めすることになり、蓋20が開かないようになっている。
プランジャー23は、0.4N以上の力で外側に突出しており、意図せず開かないようになっている。
ピン22及びとプランジャー23により、蓋20が閉じた状態を保つことができる。
【0031】
以上に説明した収容箱は、本発明の電子部品処理システムで使用可能なものであるが、本発明の電子部品処理システムで使用可能な収容箱のうち、以下の要件を満たすものが収容箱として好ましく、以下の要件を満たす収容箱が本発明の収容箱である。
【0032】
すなわち、本発明の収容箱は、電子部品を収容するために用いられ、その形状が直方体状であり、第1の端面と前記第1の端面に対向する第2の端面と、前記第1の端面と前記第2の端面とを接続する第1の側面と、前記第1の側面と対向する第2の側面と、前記第1の端面、前記第2の端面、前記第1の側面及び前記第2の側面と接続する底面と、前記底面と対向する開口部とを備えた収容箱であり、前記収容箱を構成する壁材はアルミニウムを主に含み、厚みが1mm以上、10mm以下であり、前記壁材の内壁面は、表面粗さがRaで1.0μm以上、2.0μm以下であり、前記内壁面が黒色導電アルマイトで覆われており、前記壁材の外壁面は、前記内壁面より表面粗さが小さく、前記内壁面のうち、端面と側面との接続稜線部の曲率半径は、0.05mm以上であり、前記第1の端面、前記第2の端面、前記第1の側面、前記第2の端面及び前記底面は、繋ぎ目なく一体となって形成され、前記開口部には、端面方向にスライドするスライド式の蓋が備えられ、前記第1の端面には前記収容箱を持ち運びするための取っ手を備える収容箱である。
【0033】
また、本発明の収容箱は、前記収容箱の側面の第1の端面側において、収容箱の側面から突出可能なプランジャーが設けられており、蓋が前記開口部を閉じた際にプランジャーが外側に突出して、蓋が開くことを防止することが好ましい。
また、本発明の収容箱において、前記第1の端面の壁材は、前記第2の端面の壁材より厚みが厚いことが好ましい。
【0034】
<電子部品処理システム>
以下には、本発明の電子部品処理システムについて説明する。本発明の電子部品処理システムで処理対象となる電子部品及び使用する収容箱は上述のとおりである。
【0035】
<第1の設備>
第1の設備では、電子部品の処理(第1の処理)を行う。
第1の設備による電子部品の処理は、電子部品の外観を検査する外観検査又は電子部品の電気的特性を検査する特性選別であることが好ましい。
すなわち、第1の設備は外観検査装置又は電気的特性検査装置であることが好ましい。
第1の設備には漏斗状のホッパが備えられていることが好ましく、ホッパに部品が投入される。第1の設備に投入された部品は、円盤状のテーブルに収容される。
電子部品の処理が外観検査である場合、電子部品の画像が撮影され、撮影された画像を画像処理することにより、電子部品の寸法の測定や欠損の有無の判定等の外観検査が行われる。
電子部品の処理が特性選別である場合、測定端子を当てられて、電子部品の電気的特性が測定される。電気的特性は、電子部品が積層セラミックコンデンサの場合、絶縁抵抗や静電容量などである。
【0036】
本発明の電子部品処理システムでは、第1の設備に収容箱を取り付け、第1の設備により、収容箱の蓋を開ける。
第1の設備により電子部品を処理する工程と、第1の設備に収容箱を取り付けて蓋を開ける工程は、どちらが先に行われてもよい。すなわち、第1の設備により電子部品を処理したのちに第1の設備に収容箱を取り付けて蓋を開けてもよいし、第1の設備に収容箱を取り付けて蓋を開けたのちに、第1の設備により電子部品を処理してもよい。
第1の設備に収容箱を取り付けておき、第1の設備により電子部品を処理し、電子部品の処理が終わった直後に蓋を開けて、第1の設備により処理された電子部品をすぐに収容箱内に投入するようにしてもよい。収容箱の蓋を開けた状態で放置する時間が長いと、収容箱内に異物が混入する可能性が高まる。
【0037】
第1の設備に収容箱を取り付ける方法の例について説明する。
第1の設備は、収容箱に付された記憶機構の情報を読み取る読み取り装置を備えていてもよい。例えば、収容箱に付された記憶機構がバーコードである場合、第1の設備がバーコードリーダーを備えていてもよい。収容箱を第1の設備に取り付ける前にバーコードの情報が読み取られ、バーコードリーダーを介して、情報が図示しないサーバに送信される。サーバ内で収容箱の情報である、例えば収容箱の固有IDが読み取られ、当該収容箱に収容される電子部品の情報とリンクされる。
電子部品の情報は、第1の設備が電気的特性検査装置であった場合は、部品の特性であったり、品名であったりする。
なお、収容箱に付された記憶機構がバーコードではなく、RFIDタグのように読み書き可能なデバイスであってもよい。この場合、第1の設備にも対応した読み取り装置が設けられる。
【0038】
図5及び
図6は、第1の設備に収容箱を取り付ける手順の例を模式的に示す斜視図である。
図5には、収容箱10を第1の設備100の受け部110に取り付けた状態を示している。
受け部110には2本のレールが設けられており、受け部の先端111が図面右手前側に突出している。受け部の先端111は、収容箱10の取っ手21側に突出している。
収容箱10は、第1の設備100の受け部110に取っ手21を使ってセットされる。
受け部110の2本のレール上に収容箱10の蓋20の端部が載置され、2本のレールの先端が上面側に向かって折り曲げられた構造となっている。
【0039】
図6は、収容箱の本体を第1の設備の受け部に押し込んだ状態を示している。
第1の設備100は、収容箱10の上面を押し下げる押圧機構(図示せず)を備えており、収容箱10のプランジャーを押圧する。プランジャーが押圧されることでプランジャーによる収容箱の本体17と蓋20とのロックが外れる。
第1の設備100の受け部110の奥側に収容箱の本体17を押し出すことで、蓋20は受け部110に保持された状態となり、収容箱10の蓋20が開いた状態となる。
【0040】
この状態で、第1の設備により処理された電子部品を収容箱内に投入することができる。電子部品の収容箱への投入は、第1の設備における電子部品の測定結果に応じて行うことができる。
外見検査又は特性選別の結果、良品のみを収容箱に収容してもよいし、不良分のみを収容箱に収容してもよい。また、電子部品の収容箱への投入量が収容箱の容量に合わせて調整される。
【0041】
電子部品の投入後、収容箱を手前(取っ手側)に引き、2本のレールから持ち上げることで、2本のレールの端部がプランジャーから外れ、再びプランジャーによりロックがかかり、収容箱の蓋が閉じられる。
そして、第1の設備から収容箱を取り外す。第1の設備から収容箱を取り出した後、収容箱に付された記憶機構の情報を読み込むことで、収容箱内に投入された部品の個数が記録される。
【0042】
<熱処理>
第1の設備による第1の処理と第2の設備による第2の処理の間に、収容箱に収容された電子部品に対して熱処理を行ってもよい。熱処理を行う場合、本発明の電子部品処理システムは加熱装置を備える。なお、熱処理は必須ではないので、加熱装置は本発明の電子部品処理システムにおいて必須ではない。
【0043】
電子部品が積層セラミックコンデンサの場合、特に温度特性を備える積層セラミックコンデンサの場合に、第1の設備で電子部品の電気的特性が測定されると、測定により印加された電圧により分極が進んでいるため、キュリー温度以上に加熱する必要がある。加熱条件は例えば130℃以上、20分以上とする。
【0044】
熱処理は、電子部品を収容した収容箱をオーブンなどの加熱装置に入れて加熱することにより行うことができる。
熱処理する前には、読み取り装置により収容箱の情報を読み取ることが好ましい。
なお、記憶機構がRFIDタグである場合、耐熱温度が熱処理温度以上(電子部品が積層セラミックコンデンサである場合はキュリー温度以上)であるものが好ましい。また、記憶機構がバーコード等の印刷である場合、熱処理により印刷が変化(消失)しないインクで印刷がされていることが好ましい。
【0045】
熱処理の際には、収容箱内に収容された電子部品に対して、熱が部品全体に満遍なく伝わることが好ましい。したがって、オーブンなどの加熱装置により加熱してもいいが、ヒータを直接、収容箱の底面、側面、端面、蓋のいずれかに当てて加熱してもいい。この場合、収容箱を素早く加熱することが可能となる。
【0046】
また、熱処理を行うことを踏まえると収容箱の耐熱温度が250℃以上であることが好ましい。
また、熱処理における伝熱性を向上させるために、収容箱を構成する壁材がアルミニウムを主に含み、かつ、収容箱の表面には複数の凹部があることが好ましい。壁材を熱伝導率の高い材料として、収容箱の表面の表面積を増やすことにより、伝熱性を向上させることができる。
【0047】
熱処理後は、読み取り装置で再び収容箱の情報を読み取ることで、熱処理条件と収容箱に収容されている電子部品の情報とリンクさせる。
第1の設備の処理から、熱処理にかけて一度も収容箱の蓋が開かないため、収容箱の内部に他の電子部品や異物が混入することが防止される。
【0048】
<第2の設備>
第2の設備では、電子部品の処理(第2の処理)を行う。
第2の設備による電子部品の処理は、電子部品の外観を検査する外観検査、電子部品の電気的特性を検査する特性選別、又は電子部品を包装体で包装する包装処理であることが好ましい。
すなわち、第2の設備は外観検査装置、電気的特性検査装置又は包装装置であることが好ましい。
【0049】
第2の設備は、収容箱に付された記憶機構の情報を読み取る読み取り装置を備えていてもよい。例えば、収容箱に付された記憶機構がバーコードである場合、第2の設備がバーコードリーダーを備えていてもよい。収容箱を第2の設備に取り付ける前にバーコードの情報が読み取られ、バーコードリーダーを介して、情報が図示しないサーバに送信される。サーバ内で収容箱の情報である、例えば収容箱の固有IDが読み取られ、当該収容箱に収容される電子部品の情報とリンクされる。
なお、収容箱に付された記憶機構がバーコードではなく、RFIDタグのように読み書き可能なデバイスであってもよい。この場合、第2の設備にも対応した読み取り装置が設けられる。
【0050】
間違った収容箱が第2の設備に取り付けられた場合は、その旨が作業者に伝えられる。
正しい収容箱が第2の設備に取り付けられた場合、電子部品の部品情報により処理条件が決定され、処理条件が第2の設備に送信される。
処理条件としては、外観検査を行う際に使う、画像処理の良/不良に対するしきい値などのデータが挙げられる。
【0051】
第2の設備に収容箱を取り付け、収容箱の蓋を開ける方法の例について説明する。
図7及び
図8は、第2の設備に収容箱を取り付け、収容箱の蓋を開ける手順の例を模式的に示す側面図である。
図7には、収容箱を第2の設備に取り付けた状態を示している。
第2の設備200は、蓋ロック解除機構210と、蓋開閉用シリンダ220を備える。
図7に示すように、蓋20と第2の端面12から構成される稜線部18が最も鉛直下の位置になるように収容箱を保持する。
収容箱の上面が鉛直下方向に対して30°以上、60°以下の角度で傾くようにすることが好ましい。
【0052】
第2の設備200は保持部230を備えており、保持部230によって第2の設備200に収容箱10が保持される。
第2の設備200に収容箱10を取り付けると同時に、蓋ロック解除機構210が収容箱10のプランジャーに当接してプランジャーを押圧する。プランジャーが押圧されることでプランジャーによる収容箱の本体17と蓋20とのロックが外れる。
【0053】
図8には、収容箱の蓋を開けた状態を示している。
蓋開閉用シリンダ220を動かすことで、蓋20を第1の端面11側にスライドさせる。
蓋20をスライドさせることで蓋20を開けて開口部16を露出させることができ、重力によって収容箱10の開口部16から鉛直下方向に電子部品が取り出される。
【0054】
第2の設備には、収容箱から取り出した電子部品を受けるフィーダ又はホッパが収容箱の鉛直下側に設けられていることが好ましい。
フィーダは、ベルトコンベアもしくは振動により電子部品をリニアフィーダまで搬送する。
また、第2の設備は、収容箱に対して振動を与える加振機構を備えていてもよい。加振機構による加振により、収容箱から電子部品を取り出しやすくなり、収容箱から全ての電子部品を取り出すように作用する。
また、電子部品が収容箱の内壁面に静電気などで付着している場合、衝撃により電子部品を落下させることで全ての電子部品をフィーダまで落としきることが可能である。
【0055】
第2の設備により収容箱の蓋を開ける場合の開口の幅(端面方向の開口幅)は3mm以上、10mm以下であることが好ましい。開口の幅が3mm未満であると電子部品の取り出しがスムーズに行われない場合があり、10mmを超えると電子部品が一度に収容箱から流れ出てきてしまう場合がある。
【0056】
第2の設備内で外観検査等の処理が行われる。検査後の良品判定された電子部品は再度収容箱に収容されてもよい。
また、外観検査の結果のデータはサーバに送信され、電子部品の情報とリンクされる。
【0057】
第2の設備による電子部品の処理が電子部品を包装体で包装する包装処理であってもよい。収容処理では電子部品を包装体(包装部材)で包装する。包装体はテープなどの長尺状の部材でもよく、収容箱を収容する別のケースであってもよい。
また、包装を行うことなく収容箱をそのまま顧客へ納品してもよい。
【0058】
本発明の電子部品処理システムでの電子部品の処理過程において、第1の設備で蓋を閉じた後、第2の設備で蓋を開けるまで、人により蓋が開かれることなく電子部品の処理が行われるので、電子部品の処理の過程で他の電子部品や異物の混入を防止することができる。
【0059】
<その他の実施形態>
本発明の収容箱において、蓋は、第1の端面の方向にスライドして開口し、第2の端面側の開口から、第1の端面側の底面に向かってスロープが設けられていてもよい。
図9は、収容箱の別の例を模式的に示す断面図である。
図9には、収容箱50の蓋20がスライドし、開口部が露出した開口51が存在する状態を示している。収容箱50には仕切り板52が設けられている。仕切り板52は、第2の端面12側の開口51から、第1の端面11側の底面15に向かうスロープとなっている。
図9に示す向きに収容箱50を置いたときには、仕切り板52の上にある電子部品が開口51に向けて滑り落ちるようになっている。
図9には電子部品が滑り落ちる方向の矢印を示している。
仕切り板が設けられていると電子部品の落下速度を遅くすることができ、電子部品に加わる衝撃を緩和することができる。
このような収容箱を本発明の電子部品処理システムに適用できる。
【0060】
本発明の収容箱は、リニアフィーダの始端側に設置可能であり、リニアフィーダの振動により電子部品を収容箱より排出可能であってもよい。
図10は、収容箱の別の例を模式的に示す断面図である。
図10にはリニアフィーダ60を示しており、リニアフィーダ60は
図10に両矢印で示す斜め方向に振動する。リニアフィーダの振動により収容箱10の開口51から電子部品が排出され、矢印Pの方向に電子部品が搬送される。電子部品の搬送方向の上流側に収容箱が設置されることを、リニアフィーダの始端側に設置可能という表現で示している。
収容箱をリニアフィーダと組み合わせると、収容箱から電子部品が落下しないため、電子部品に加わる衝撃を緩和することができる。
このような収容箱を本発明の電子部品処理システムに適用できる。また、リニアフィーダを本発明の電子部品処理システムの一つの構成要素としてもよい。
【0061】
本明細書には、以下の内容が開示されている。
【0062】
<1>
開閉できる蓋を備え、電子部品を出し入れ可能な収容箱と、
前記収容箱を取り付け可能であり、前記収容箱に前記電子部品を投入する第1の設備と、
前記収容箱を取り付け可能であり、前記収容箱から前記電子部品を取り出して、前記電子部品を処理する第2の設備と、を備える、電子部品処理システムであって、
前記電子部品処理システムでは、前記第1の設備に前記収容箱を取り付け、
前記第1の設備により、前記蓋を開け、
前記第1の設備により、前記電子部品を処理し、
前記第1の設備により、前記第1の設備により処理された前記電子部品を前記収容箱内に投入し、
前記第1の設備により、前記電子部品が投入された前記収容箱の前記蓋を閉じ、
前記第2の設備に前記収容箱を取り付け、
前記第2の設備により、前記電子部品が投入された前記収容箱の前記蓋を開け、
前記第2の設備により、前記収容箱から前記電子部品を取り出し、
前記第2の設備により、前記電子部品を処理し、
前記第1の設備で蓋を閉じた後、前記第2の設備で蓋を開けるまで前記蓋が開かれることなく、電子部品の処理を行う、電子部品処理システム。
【0063】
<2>
前記第1の設備による前記電子部品の処理は、前記電子部品の外観を検査する外観検査又は前記電子部品の電気的特性を検査する特性選別である<1>に記載の電子部品処理システム。
【0064】
<3>
前記第1の設備による第1の処理と前記第2の設備による第2の処理の間に、前記収容箱に収容された前記電子部品に対して熱処理を行う加熱装置を備える、<1>又は<2>に記載の電子部品処理システム。
【0065】
<4>
前記収容箱の耐熱温度は250℃以上である、<3>に記載の電子部品処理システム。
【0066】
<5>
前記第2の設備による前記電子部品の処理は、前記電子部品の外観を検査する外観検査、前記電子部品の電気的特性を検査する特性選別、又は前記電子部品を包装体で包装する包装処理である<1>~<4>のいずれかに記載の電子部品処理システム。
【0067】
<6>
前記収容箱は、前記電子部品の情報を記憶する記憶機構をさらに備え、前記記憶機構に記憶された情報にもとづき、前記第1の設備による第1の処理及び前記第2の設備による第2の処理が行われる<1>~<5>のいずれかに記載の電子部品処理システム。
【0068】
<7>
前記収容箱の形状は直方体状であり、
前記収容箱はその上面にスライド可能な蓋を備えており、
前記上面を鉛直下方向に対して、30°以上、60°以下の角度で傾けて、前記収容箱から前記電子部品を取り出して、前記第2の設備に前記電子部品を投入する、<1>~<6>のいずれかに記載の電子部品処理システム。
【0069】
<8>
前記第2の設備は、前記収容箱に対して、振動を与える加振機構をさらに備え、
前記加振機構による加振により前記収容箱から前記電子部品を取り出す、<1>~<7>のいずれかに記載の電子部品処理システム。
【0070】
<9>
前記収容箱を構成する壁材はアルミニウムを主に含み、かつ、前記収容箱の表面には複数の凹部がある、<1>~<8>のいずれかに記載の電子部品処理システム。
【0071】
<10>
電子部品を収容するために用いられ、
その形状が直方体状であり、
第1の端面と前記第1の端面に対向する第2の端面と、
前記第1の端面と前記第2の端面とを接続する第1の側面と、
前記第1の側面と対向する第2の側面と、
前記第1の端面、前記第2の端面、前記第1の側面及び前記第2の側面と接続する底面と、
前記底面と対向する開口部とを備えた収容箱であり、
前記収容箱を構成する壁材はアルミニウムを主に含み、厚みが1mm以上、10mm以下であり、
前記壁材の内壁面は、表面粗さがRaで1.0μm以上、2.0μm以下であり、
前記内壁面が黒色導電アルマイトで覆われており、
前記壁材の外壁面は、前記内壁面より表面粗さが小さく、
前記内壁面のうち、端面と側面との接続稜線部の曲率半径は、0.05mm以上であり、
前記第1の端面、前記第2の端面、前記第1の側面、前記第2の端面及び前記底面は、繋ぎ目なく一体となって形成され、
前記開口部には、端面方向にスライドするスライド式の蓋が備えられ、
前記第1の端面には前記収容箱を持ち運びするための取っ手を備える、収容箱。
【0072】
<11>
前記収容箱の側面の第1の端面側において、収容箱の側面から突出可能なプランジャーが設けられており、蓋が前記開口部を閉じた際にプランジャーが外側に突出して、蓋が開くことを防止する<10>に記載の収容箱。
【0073】
<12>
前記第1の端面の壁材は、前記第2の端面の壁材より厚みが厚い<10>又は<11>に記載の収容箱。
【0074】
<13>
前記蓋は、前記第1の端面の方向にスライドして開口し、前記第2の端面側の前記開口から、前記第1の端面側の前記底面に向かってスロープが設けられている、<10>~<12>のいずれかに記載の収容箱。
【0075】
<14>
前記収容箱は、リニアフィーダの始端側に設置可能であり、前記リニアフィーダの振動により前記電子部品を収容箱より排出可能である<10>~<13>のいずれかに記載の収容箱。
【0076】
また、本明細書には、本発明の電子部品処理システムを使用した、電子部品の処理方法が記載されている。
本明細書に記載されている電子部品の処理方法は、
本発明の電子部品処理システムを使用する電子部品の処理方法であって、
前記第1の設備に前記収容箱を取り付ける工程と、
前記第1の設備により、前記蓋を開ける工程と、
前記第1の設備により、前記電子部品を処理する工程と、
前記第1の設備により、前記第1の設備により処理された前記電子部品を前記収容箱内に投入する工程と、
前記第1の設備により、前記電子部品が投入された前記収容箱の前記蓋を閉じる工程と、
前記第2の設備に前記収容箱を取り付ける工程と、
前記第2の設備により、前記電子部品が投入された前記収容箱の前記蓋を開ける工程と、
前記第2の設備により、前記収容箱から前記電子部品を取り出す工程と
前記第2の設備により、前記電子部品を処理する工程と、を備え、
前記第1の設備で蓋を閉じる工程の後、前記第2の設備で蓋を開ける工程まで、前記蓋が開かれることがない、電子部品の処理方法である。
【符号の説明】
【0077】
10 収容箱
11 第1の端面
12 第2の端面
13 第1の側面
13a 溝
14 第2の側面
14a 溝
15 底面
16 開口部
17 収容箱の本体
18 蓋と第2の端面から構成される稜線部
20 蓋
20a 溝
21 取っ手
22 ピン
23 プランジャー
30 内壁面
31 接続稜線部
40 外壁面
50 収容箱
51 開口
52 仕切り板
60 リニアフィーダ
100 第1の設備
110 第1の設備の受け部
111 受け部の先端(収容箱の取っ手側の先端)
200 第2の設備
210 蓋ロック解除機構
220 蓋開閉用シリンダ
230 保持部