(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154646
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ステータ用コイル及び回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 3/04 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H02K3/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068584
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】牧志 渉
(72)【発明者】
【氏名】上辻 清
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智則
(72)【発明者】
【氏名】菊池 駿介
(72)【発明者】
【氏名】藤田 康平
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603AA01
5H603AA07
5H603BB09
5H603BB14
5H603CA05
5H603CB01
5H603CC14
5H603CC19
5H603CE05
(57)【要約】
【課題】内側渡線及び外側渡線の電気抵抗を低減できるステータ用コイル及び回転電機を提供する。
【解決手段】コイル17は、三相交流電流が印加される環状のU相、V相、及びW相のコイルループ17u,17v,17wを有している。各相のコイルループ17u,17v,17wにおいて、第1ラジアル部、第1内側渡線部、及び第1外側渡線部を有する第1導電部と、第2ラジアル部、第2内側渡線部、及び第2外側渡線部を有する第2導電部とは、軸方向において異なる位置に設けられるとともに周方向において交互に配置されている。第1内側渡線部及び第2内側渡線部は、内側渡線の一部を構成している。第1外側渡線部及び第2外側渡線部は、外側渡線の一部を構成している。各相の第1ラジアル部は、他の2相の第2ラジアル部の一部と軸方向に重なっている。各相の第2ラジアル部は、他の2相の第1ラジアル部の一部と軸方向に重なっている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機のステータに用いられる円環状のステータ用コイルであって、
周方向に1相ずつずらした状態で分布巻きされるとともに三相交流電流が印加される環状のU相、V相、及びW相のコイルループを有し、
各相の前記コイルループは、
径方向に沿って延びる第1ラジアル部、前記第1ラジアル部よりも径方向内側に位置するとともに前記第1ラジアル部に対して傾斜するように延びる第1内側渡線部、及び前記第1ラジアル部よりも径方向外側に位置するとともに前記第1ラジアル部に対して傾斜するように延びる第1外側渡線部を有する複数の第1導電部と、
径方向に沿って延びる第2ラジアル部、前記第2ラジアル部よりも径方向内側に位置するとともに前記第2ラジアル部に対して傾斜するように延びる第2内側渡線部、及び前記第2ラジアル部よりも径方向外側に位置するとともに前記第2ラジアル部に対して傾斜するように延びる第2外側渡線部を有する複数の第2導電部と、
を有し、
前記第1導電部と前記第2導電部は、軸方向において異なる位置に設けられるとともに周方向において交互に配置され、
前記第1内側渡線部及び前記第2内側渡線部は、内周部において前記第1ラジアル部と前記第2ラジアル部とを電気的に接続する内側渡線の一部を構成し、
前記第1外側渡線部及び前記第2外側渡線部は、外周部において前記第1ラジアル部と前記第2ラジアル部とを電気的に接続する外側渡線の一部を構成し、
各相の前記第1ラジアル部は、他の2相の前記第2ラジアル部の一部と軸方向に重なるとともに、各相の前記第2ラジアル部は、他の2相の前記第1ラジアル部の一部と軸方向に重なり、
各相の前記コイルループにおいて、正方向の電流が印加されたとき、前記第1ラジアル部では、径方向の一方側から他方側に向かって電流が流れ、前記第2ラジアル部では、径方向の他方側から一方側に向かって電流が流れ、負方向の電流が印加されたとき、前記第1ラジアル部では、径方向の他方側から一方側に向かって電流が流れ、前記第2ラジアル部では、径方向の一方側から他方側に向かって電流が流れることを特徴とするステータ用コイル。
【請求項2】
各相の前記第1ラジアル部の周方向の中心に位置するとともに径方向に延びる直線は、当該第1ラジアル部と軸方向に重なる他の2相の前記第2ラジアル部の周方向の中間に位置するとともに径方向に延びる直線と軸方向に重なり、
各相の前記第2ラジアル部の周方向の中心に位置するとともに径方向に延びる直線は、当該第2ラジアル部と軸方向に重なる他の2相の前記第1ラジアル部の周方向の中間に位置するとともに径方向に延びる直線と軸方向に重なっている請求項1に記載のステータ用コイル。
【請求項3】
ロータとステータとを備え、
前記ステータは、請求項1又は請求項2に記載のステータ用コイルを有することを特徴とする回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータ用コイル及び回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロータとステータとが回転軸の軸方向に積層されたアキシャル型の回転電機が開示されている。ステータは、円環状のコイルを有している。コイルは、U相、V相、及びW相のコイルループを有している。各相のコイルループは、環状をなしている。U相のコイルループ、V相のコイルループ、及びW相のコイルループは、回転軸の周方向においてずらした状態で配置されている。
【0003】
図20は、特許文献1のコイル201の一部を示す模式図である。
図20の紙面上側及び下側は、回転軸の径方向の外側及び内側にそれぞれ対応している。
図20における紙面左右方向は、回転軸の周方向に対応している。U相のコイルループ261、V相のコイルループ262、及びW相のコイルループ263はそれぞれ、第1コイルループ要素261A及び第2コイルループ要素261Bの2つのコイルループ要素からなる。
【0004】
第1コイルループ要素261A及び第2コイルループ要素261Bはそれぞれ、回転軸の周方向に配列された複数の折れ線状コイルセグメント241aを有している。各折れ線状コイルセグメント241aは、接合部241b、斜め方向部241c、中心方向直線部241d、斜め方向部241e、及び接合部241fを有している。接合部241b、斜め方向部241c、中心方向直線部241d、斜め方向部241e、及び接合部241fは、回転軸の径方向外側から内側に向かってこの順に並んでいる。中心方向直線部241dは、回転軸の径方向に沿って延びている。斜め方向部241c及び斜め方向部241eは、中心方向直線部241dに対して斜め方向に延びている。
【0005】
回転軸の周方向に隣り合う折れ線状コイルセグメント241aは、接合部241b同士及び接合部241f同士が接合されることによって電気的に接続されている。接合部241b及び斜め方向部241cは、コイル201の外周部において回転軸の周方向に隣り合う中心方向直線部241dを電気的に接続する外側渡線を構成している。斜め方向部241e及び接合部241fは、コイル201の内周部において回転軸の周方向に隣り合う中心方向直線部241dを電気的に接続する内側渡線を構成している。
【0006】
図20及び
図21に示すように、第1コイルループ要素261Aと第2コイルループ要素261Bは、回転軸の周方向において1ピッチ分位相をずらした状態で配置されている。第1コイルループ要素261Aの中心方向直線部241dと、第2コイルループ要素261Bの中心方向直線部241dとは、回転軸の軸方向において重なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
内側渡線及び外側渡線の電気抵抗が大きいほど、内側渡線及び外側渡線で発生する銅損は増大する。このため、内側渡線及び外側渡線の電気抵抗の低減が望まれている。導体の電気抵抗は、導体の長さが短いほど小さくなる。このため、内側渡線及び外側渡線の長さを短くすることが望まれている。また、導体の電気抵抗は、導体の幅が大きいほど、導体の断面積が大きくなるため、小さくなる。このため、内側渡線及び外側渡線の幅を大きくすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するためのステータ用コイルは、回転電機のステータに用いられる円環状のステータ用コイルであって、周方向に1相ずつずらした状態で分布巻きされるとともに三相交流電流が印加される環状のU相、V相、及びW相のコイルループを有し、各相の前記コイルループは、径方向に沿って延びる第1ラジアル部、前記第1ラジアル部よりも径方向内側に位置するとともに前記第1ラジアル部に対して傾斜するように延びる第1内側渡線部、及び前記第1ラジアル部よりも径方向外側に位置するとともに前記第1ラジアル部に対して傾斜するように延びる第1外側渡線部を有する複数の第1導電部と、径方向に沿って延びる第2ラジアル部、前記第2ラジアル部よりも径方向内側に位置するとともに前記第2ラジアル部に対して傾斜するように延びる第2内側渡線部、及び前記第2ラジアル部よりも径方向外側に位置するとともに前記第2ラジアル部に対して傾斜するように延びる第2外側渡線部を有する複数の第2導電部と、を有し、前記第1導電部と前記第2導電部は、軸方向において異なる位置に設けられるとともに周方向において交互に配置され、前記第1内側渡線部及び前記第2内側渡線部は、内周部において前記第1ラジアル部と前記第2ラジアル部とを電気的に接続する内側渡線の一部を構成し、前記第1外側渡線部及び前記第2外側渡線部は、外周部において前記第1ラジアル部と前記第2ラジアル部とを電気的に接続する外側渡線の一部を構成し、各相の前記第1ラジアル部は、他の2相の前記第2ラジアル部の一部と軸方向に重なるとともに、各相の前記第2ラジアル部は、他の2相の前記第1ラジアル部の一部と軸方向に重なり、各相の前記コイルループにおいて、正方向の電流が印加されたとき、前記第1ラジアル部では、径方向の一方側から他方側に向かって電流が流れ、前記第2ラジアル部では、径方向の他方側から一方側に向かって電流が流れ、負方向の電流が印加されたとき、前記第1ラジアル部では、径方向の他方側から一方側に向かって電流が流れ、前記第2ラジアル部では、径方向の一方側から他方側に向かって電流が流れることを要旨とする。
【0010】
上記構成によれば、各相の第1ラジアル部は、他の2相の第2ラジアル部の一部とコイルの軸方向に重なっている。また、各相の第2ラジアル部は、他の2相の第1ラジアル部の一部とコイルの軸方向に重なっている。このため、周方向に隣り合う同相の第1ラジアル部と第2ラジアル部との間隔は、従来技術において周方向に隣り合う同相の第1コイルループ要素の中心方向直線部と第2コイルループ要素の中心方向直線部との間隔よりも狭くなる。
【0011】
周方向に隣り合う同相の第1ラジアル部と第2ラジアル部との間隔が狭くなることにより、内側渡線及び外側渡線の長さが短くなる。したがって、内側渡線及び外側渡線の電気抵抗が低減される。また、第1ラジアル部に対する第1内側渡線部の傾斜角度及び第1ラジアル部に対する第1外側渡線部の傾斜角度が小さくなる。このため、第1内側渡線部及び第1外側渡線部の幅を大きくすることができる。同様に、第2ラジアル部に対する第2内側渡線部の傾斜角度及び第2ラジアル部に対する第2外側渡線部の傾斜角度が小さくなる。このため、第2内側渡線部及び第2外側渡線部の幅を大きくすることができる。これによっても、内側渡線及び外側渡線の電気抵抗が低減される。よって、内側渡線及び外側渡線の電気抵抗を低減できる。その結果、コイルで発生する銅損を低減できる。
【0012】
上記ステータ用コイルにおいて、各相の前記第1ラジアル部の周方向の中心に位置するとともに径方向に延びる直線は、当該第1ラジアル部と軸方向に重なる他の2相の前記第2ラジアル部の周方向の中間に位置するとともに径方向に延びる直線と軸方向に重なり、各相の前記第2ラジアル部の周方向の中心に位置するとともに径方向に延びる直線は、当該第2ラジアル部と軸方向に重なる他の2相の前記第1ラジアル部の周方向の中間に位置するとともに径方向に延びる直線と軸方向に重なっていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、内側渡線及び外側渡線の電気抵抗を低減しつつ、トルクを効率良く発生させることができる。
上記問題点を解決するための回転電機は、ロータとステータとを備え、前記ステータは、請求項1又は請求項2に記載のステータ用コイルを有することを要旨とする。
【0014】
上記構成によれば、各相の第1ラジアル部は、他の2相の第2ラジアル部の一部とコイルの軸方向に重なっている。また、各相の第2ラジアル部は、他の2相の第1ラジアル部の一部とコイルの軸方向に重なっている。このため、周方向に隣り合う同相の第1ラジアル部と第2ラジアル部との間隔は、従来技術において周方向に隣り合う同相の第1コイルループ要素の中心方向直線部と第2コイルループ要素の中心方向直線部との間隔よりも狭くなる。
【0015】
周方向に隣り合う同相の第1ラジアル部と第2ラジアル部との間隔が狭くなることにより、内側渡線及び外側渡線の長さが短くなる。したがって、内側渡線及び外側渡線の電気抵抗が低減される。また、第1ラジアル部に対する第1内側渡線部の傾斜角度及び第1ラジアル部に対する第1外側渡線部の傾斜角度が小さくなる。このため、第1内側渡線部及び第1外側渡線部の幅を大きくすることができる。同様に、第2ラジアル部に対する第2内側渡線部の傾斜角度及び第2ラジアル部に対する第2外側渡線部の傾斜角度が小さくなる。このため、第2内側渡線部及び第2外側渡線部の幅を大きくすることができる。これによっても、内側渡線及び外側渡線の電気抵抗が低減される。よって、内側渡線及び外側渡線の電気抵抗を低減できる。その結果、コイルで発生する銅損を低減できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、内側渡線及び外側渡線の電気抵抗を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施形態における回転電機を示す断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態におけるロータを示す平面図である。
【
図3】
図3は、実施形態におけるステータを示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態におけるステータを示す
図3における4-4線に沿う断面図である。
【
図5】
図5は、実施形態における1相分のコイルループを示す平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態における各相のコイルループと入出力端子との電気的な接続を説明する説明図である。
【
図7】
図7は、コイルに印加される三相交流電流を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態におけるコイルの一部を示す平面図である。
【
図9】
図9は、実施形態におけるコイルループの位置関係を説明する説明図である。
【
図10】
図10は、実施形態におけるコイルの一部を示す平面図である。
【
図11】
図11は、実施形態におけるコイルの一部を示す底面図である。
【
図12】
図12は、実施形態におけるコイルの一部を示す模式図である。
【
図13】
図13は、従来技術のコイルにおける負のトルクを発生させる電流を示す模式図である。
【
図14】
図14は、実施形態のコイルにおける負のトルクを発生させる電流を示す模式図である。
【
図15】
図15は、変更例における1相分のコイルループの一部を示す平面図である。
【
図16】
図16は、変更例における第1ループと第2ループとの電気的な接続を説明する説明図である。
【
図17】
図17は、変更例におけるコイルの一部を示す平面図である。
【
図18】
図18は、変更例におけるコイルの一部を示す底面図である。
【
図19】
図19は、変更例におけるコイルループの位置関係を説明する説明図である。
【
図20】
図20は、従来技術におけるコイルの一部を示す模式図である。
【
図21】
図21は、従来技術におけるコイルループの位置関係を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、ステータ用コイル及び回転電機を具体化した一実施形態を
図1~
図14にしたがって説明する。以下の説明では、ステータ用コイルを単に「コイル」という。
<回転電機>
図1に示すように、回転電機10は、ハウジング11と、回転軸12と、一対のヨーク13と、複数のロータ14と、複数のステータ15とを備えている。本実施形態の回転電機10は、4個のロータ14と、6個のステータ15とを備えている。
【0019】
ハウジング11は、回転軸12、一対のヨーク13、複数のロータ14、及び複数のステータ15を収容している。ハウジング11は、円筒状の周壁11aと、周壁11aの軸方向の両端に連結された円板状の一対の端壁11bとを有している。各端壁11bの中央部には、軸挿通孔11cが形成されている。回転軸12は、軸挿通孔11cに挿通されている。回転軸12は、回転軸12の外周面と軸挿通孔11cの内周面との間に配置された図示しない軸受を介して、ハウジング11に対して回転可能に支持されている。
【0020】
ヨーク13、ロータ14、及びステータ15はそれぞれ、円環平板状である。回転軸12は、ヨーク13、複数のロータ14、及び複数のステータ15を貫通している。一対のヨーク13、複数のロータ14、及び複数のステータ15は、回転軸12の軸方向において積層されている。つまり、回転電機10は、アキシャル型の回転電機である。一対のヨーク13は、ヨーク13、ロータ14、及びステータ15の積層体において両端に位置している。ロータ14とステータ15は、一対のヨーク13の間において交互に積層されている。本実施形態では、1つのロータ14と2つのステータ15とが、一対のヨーク13の間において交互に積層されている。回転軸12の軸方向に隣り合うロータ14とステータ15との間には、隙間が設けられている。また、回転軸12の軸方向に隣り合うステータ15の間には、図示しない絶縁層が設けられている。
【0021】
各ヨーク13は、図示しないヨーク支持部を介して回転軸12に固定されている。各ロータ14は、図示しないロータ支持部を介して回転軸12に固定されている。したがって、回転軸12は、一対のヨーク13及び複数のロータ14と一体的に回転する。ステータ15は、後述するプレート16の外周縁が周壁11aの内周面に固定されることによって、ハウジング11に固定されている。
【0022】
図2に示すように、ロータ14は、複数の第1永久磁石14aと複数の第2永久磁石14bとを有している。第1永久磁石14aの数と第2永久磁石14bの数は同数である。本実施形態のロータ14は、第1永久磁石14a及び第2永久磁石14bを10個ずつ有している。各第1永久磁石14aの磁化方向及び各第2永久磁石14bの磁化方向は、回転軸12の軸方向に沿う方向である。各第1永久磁石14aの磁化方向と各第2永久磁石14bの磁化方向とは、反対方向である。第1永久磁石14aと第2永久磁石14bは、回転軸12の周方向において1個ずつ交互に配置されている。
【0023】
<ステータ>
図3及び
図4に示すように、ステータ15は、円環状のプレート16と、円環状のコイル17とを有している。プレート16は、第1面16a及び第2面16bを有している。第1面16a及び第2面16bは、プレート16の板厚方向と直交する面である。第2面16bは、第1面16aの反対側の面である。本実施形態のステータ15は、プリント基板である。コイル17は、プレート16に設けられた導体パターンからなる。コイル17の軸方向は、プレート16の板厚方向と一致している。コイル17は、U相のコイルループ17u、V相のコイルループ17v、及びW相のコイルループ17wを有している。各相のコイルループ17u,17v,17wは同じ形状である。
【0024】
<コイルループの構成>
図5に示すように、各相のコイルループ17u,17v,17wは、分布巻きされている。各相のコイルループ17u,17v,17wは、環状をなしている。各相のコイルループ17u,17v,17wは、コイル17の径方向に延びる複数の第1導電部20と、コイル17の径方向に延びる複数の第2導電部30とを有している。各相のコイルループ17u,17v,17wは、コイル17の内周部において第1導電部20と第2導電部30とを接続する複数の内側接続部41を有している。各相のコイルループ17u,17v,17wは、コイル17の外周部において第1導電部20と第2導電部30とを接続する複数の外側接続部42とを有している。第1導電部20、第2導電部30、内側接続部41、及び外側接続部42の数はそれぞれ同数である。本実施形態の各相のコイルループ17u,17v,17wは、第1導電部20、第2導電部30、内側接続部41、及び外側接続部42を10個ずつ有している。第1導電部20と第2導電部30は、コイル17の周方向において交互に配置されている。
【0025】
図4に示すように、本実施形態では、第1導電部20は、プレート16の第1面16aに設けられている。第2導電部30は、プレート16の第2面16bに設けられている。第2導電部30は、プレート16を挟んで第1導電部20の反対側に位置している。つまり、第1導電部20と第2導電部30は、コイル17の軸方向において異なる位置に設けられている。
【0026】
図5に示すように、第1導電部20は、第1ラジアル部21と、第1内側渡線部22と、第1外側渡線部23とを有している。第1ラジアル部21は、コイル17の径方向に沿って延びている。第1内側渡線部22は、第1ラジアル部21よりも径方向内側に位置している。第1内側渡線部22は、第1ラジアル部21に対して傾斜するように延びている。第1外側渡線部23は、第1ラジアル部21よりも径方向外側に位置している。第1外側渡線部23は、第1ラジアル部21に対して傾斜するように延びている。
【0027】
第1内側渡線部22は、第1ラジアル部21に対してコイル17の周方向の一方側に傾斜している。第1外側渡線部23は、第1ラジアル部21に対してコイル17の周方向の他方側に傾斜している。つまり、第1内側渡線部22が第1ラジアル部21に対して傾斜する方向と、第1外側渡線部23が第1ラジアル部21に対して傾斜する方向とは、反対方向である。第1導電部20の幅は、コイル17の径方向内側から外側に向かうにつれて大きくなっている。
【0028】
第2導電部30は、第2ラジアル部31と、第2内側渡線部32と、第2外側渡線部33とを有している。第2ラジアル部31は、コイル17の径方向に沿って延びている。第2内側渡線部32は、第2ラジアル部31よりも径方向内側に位置している。第2内側渡線部32は、第2ラジアル部31に対して傾斜するように延びている。第2外側渡線部33は、第2ラジアル部31よりも径方向外側に位置している。第2外側渡線部33は、第2ラジアル部31に対して傾斜するように延びている。
【0029】
第2内側渡線部32は、第2ラジアル部31に対してコイル17の周方向の他方側に傾斜している。第2外側渡線部33は、第2ラジアル部31に対してコイル17の周方向の一方側に傾斜している。つまり、第2内側渡線部32が第2ラジアル部31に対して傾斜する方向と、第2外側渡線部33が第2ラジアル部31に対して傾斜する方向とは、反対方向である。また、第1内側渡線部22が第1ラジアル部21に対して傾斜する方向と、第2内側渡線部32が第2ラジアル部31に対して傾斜する方向とは、反対方向である。第1外側渡線部23が第1ラジアル部21に対して傾斜する方向と、第2外側渡線部33が第2ラジアル部31に対して傾斜する方向とは、反対方向である。第2導電部30の幅は、コイル17の径方向内側から外側に向かうにつれて大きくなっている。
【0030】
内側接続部41は、第1導電部20の第1内側渡線部22と、当該第1導電部20と周方向に隣り合う2つの第2導電部30のうちの一方の第2導電部30の第2内側渡線部32とをコイル17の軸方向に接続している。本実施形態では、内側接続部41は、プレート16に設けられたスルーホール16c(
図4参照)を貫通している。第1内側渡線部22、内側接続部41、及び第2内側渡線部32は、コイルループ17u,17v,17wの内周部において第1ラジアル部21と第2ラジアル部31とを電気的に接続する内側渡線43を構成している。
【0031】
外側接続部42は、第1導電部20の第1外側渡線部23と、当該第1導電部20と周方向に隣り合う2つの第2導電部30のうちの他方の第2導電部30の第2外側渡線部33とをコイル17の軸方向に接続している。本実施形態では、外側接続部42は、プレート16に設けられたスルーホール16cを貫通している。第1外側渡線部23、外側接続部42、及び第2外側渡線部33は、コイルループ17u,17v,17wの外周部において第1ラジアル部21と第2ラジアル部31とを電気的に接続する外側渡線44を構成している。
【0032】
図3に示すように、U相のコイルループ17u、V相のコイルループ17v、及びW相のコイルループ17wは、コイル17の周方向において1相ずつずらして配置されている。U相のコイルループ17uとV相のコイルループ17vとの間、V相のコイルループ17vとW相のコイルループ17wとの間、及びW相のコイルループ17wとU相のコイルループ17uとの間には、隙間が設けられている。第1導電部20は、プレート16の第1面16aにおいてU相→V相→W相の順に繰り返し並んでいる。同様に、第2導電部30は、プレート16の第2面16bにおいてU相→V相→W相の順に繰り返し並んでいる。
【0033】
図6に示すように、各相のコイルループ17u,17v,17wにおいて、1つの第1導電部20の第1内側渡線部22aと、1つの第2導電部30の第2内側渡線部32aとは、内側接続部41によって接続されていない。第1内側渡線部22aは、入力端子Tinと電気的に接続されている。第2内側渡線部32aは、出力端子Toutと電気的に接続されている。入力端子Tinから各相のコイルループ17u,17v,17wに入力された後、各相のコイルループ17u,17v,17wから出力端子Toutに出力される電流を正方向の電流とする。出力端子Toutから各相のコイルループ17u,17v,17wに入力された後、各相のコイルループ17u,17v,17wから入力端子Tinに出力される電流を負方向の電流とする。
【0034】
図7に示すように、U相のコイルループ17uには、U相電流Iuが印加される。V相のコイルループ17vには、V相電流Ivが印加される。W相のコイルループ17wには、W相電流Iwが印加される。U相電流Iu、V相電流Iv、及びW相電流Iwはそれぞれ、交流電流である。このため、各相のコイルループ17u,17v,17wに印加される電流は、正方向の電流と負方向の電流とで周期的に切り替わる。また、U相電流Iu、V相電流Iv、及びW相電流Iwは、位相が120度ずつずれている。すなわち、各相のコイルループ17u,17v,17wには、三相交流電流が印加される。
【0035】
各相のコイルループ17u,17v,17wにおいて、各第1ラジアル部21を流れる電流の方向と各第2ラジアル部31を流れる電流の方向とは反対方向である。各相のコイルループ17u,17v,17wにおいて、正方向の電流が印加されたとき、各第1ラジアル部21では、径方向の一方側から他方側に向かって電流が流れるのに対し、各第2ラジアル部31では、径方向の他方側から一方側に向かって電流が流れる。各相のコイルループ17u,17v,17wにおいて、負方向の電流が印加されたとき、各第1ラジアル部21では、径方向の他方側から一方側に向かって電流が流れるのに対し、各第2ラジアル部31では、径方向の一方側から他方側に向かって電流が流れる。
【0036】
本実施形態では、各相のコイルループ17u,17v,17wにおいて、正方向の電流が印加されたとき、各第1ラジアル部21では、コイル17の径方向内側から外側に向かって電流が流れるのに対し、各第2ラジアル部31では、コイル17の径方向外側から内側に向かって流れる。一方、各相のコイルループ17u,17v,17wにおいて、負方向の電流が印加されたとき、各第1ラジアル部21では、コイル17の径方向外側から内側に向かって電流が流れるのに対し、各第2ラジアル部31では、コイル17の径方向内側から外側に向かって流れる。各相のコイルループ17u,17v,17wを流れる電流は、コイル17の径方向に行き来しながらコイル17の周方向に流れる。
【0037】
図7に示すように、例えば、時刻tにおいて、U相のコイルループ17uには、正方向のU相電流Iuが印加されている。V相のコイルループ17vには、負方向のV相電流Ivが印加されている。W相のコイルループ17wには、負方向のW相電流Iwが印加されている。このため、U相電流Iuは、第1ラジアル部21では、コイル17の径方向内側から外側に向かって流れるのに対し、第2ラジアル部31では、コイル17の径方向外側から内側に向かって電流が流れる。V相電流Ivは、第1ラジアル部21では、コイル17の径方向外側から内側に向かって電流が流れるのに対し、第2ラジアル部31では、コイル17の径方向内側から外側に向かって電流が流れる。W相電流Iwは、第1ラジアル部21では、コイル17の径方向外側から内側に向かって電流が流れるのに対し、第2ラジアル部31では、コイル17の径方向内側から外側に向かって電流が流れる。したがって、U相の第1ラジアル部21を流れる電流の方向と、V相及びW相の第2ラジアル部31を流れる電流の方向とは、同じ方向になる。また、U相の第2ラジアル部31を流れる電流の方向と、V相及びW相の第1ラジアル部21を流れる電流の方向とは、同じ方向になる。
【0038】
<コイルループの位置関係>
以下の説明及び図面において、各部材についてU相、V相、及びW相を区別する場合には、部材番号の末尾に「u」「v」「w」を付加して記載する。例えば、U相の第1ラジアル部21を「第1ラジアル部21u」とし、V相の第1ラジアル部21を「第1ラジアル部21v」とし、W相の第1ラジアル部21を「第1ラジアル部21w」として記載する。
【0039】
図8及び
図9に示すように、U相の第1ラジアル部21uは、V相の第2ラジアル部31vの一部及びW相の第2ラジアル部31wの一部とコイル17の軸方向に重なっている。V相の第1ラジアル部21vは、U相の第2ラジアル部31uの一部及びW相の第2ラジアル部31wの一部とコイル17の軸方向に重なっている。W相の第1ラジアル部21wは、U相の第2ラジアル部31uの一部及びV相の第2ラジアル部31vの一部とコイル17の軸方向に重なっている。つまり、各相の第1ラジアル部21は、他の2相の第2ラジアル部31の一部とコイル17の軸方向に重なっている。
【0040】
同様に、U相の第2ラジアル部31uは、V相の第1ラジアル部21vの一部及びW相の第1ラジアル部21wの一部とコイル17の軸方向に重なっている。V相の第2ラジアル部31vは、U相の第1ラジアル部21uの一部及びW相の第1ラジアル部21wの一部とコイル17の軸方向に重なっている。W相の第2ラジアル部31wは、U相の第1ラジアル部21uの一部及びV相の第1ラジアル部21vの一部とコイル17の軸方向に重なっている。つまり、各相の第2ラジアル部31は、他の2相の第1ラジアル部21の一部とコイル17の軸方向に重なっている。
【0041】
なお、
図9における「+」及び「-」は、各相のコイルループ17u,17v,17wに正方向の電流を印加したときのラジアル部21,31における電流の方向を示している。各相のコイルループ17u,17v,17wに正方向の電流を印加したとき、径方向内側から外側に向かって電流が流れるラジアル部には、「+」を付している。一方、径方向外側から内側に向かって電流が流れるラジアル部には、「-」を付している。したがって、本実施形態では、各相の第1ラジアル部21に「+」が付されるとともに、各相の第2ラジアル部31に「-」が付されている。
【0042】
本実施形態では、各相の第1ラジアル部21の周方向の中心に位置するとともに径方向に延びる直線は、当該第1ラジアル部21と軸方向に重なる他の2相の第2ラジアル部31の周方向の中間に位置するとともに径方向に延びる直線と軸方向に重なっている。
【0043】
具体的には、U相の第1ラジアル部21uの周方向の中心に位置するとともに径方向に延びる直線をL21uとする。コイル17の周方向においてV相の第2ラジアル部31vとW相の第2ラジアル部31wとの中間に位置するとともに径方向に延びる直線をL31vwとする。直線L21uは、直線L31vwと軸方向に重なっている。V相の第1ラジアル部21vの周方向の中心に位置するとともに径方向に延びる直線をL21vとする。コイル17の周方向においてU相の第2ラジアル部31uとW相の第2ラジアル部31wとの中間に位置するとともに径方向に延びる直線をL31uwとする。直線L21vは、直線L31uwと軸方向に重なっている。W相の第1ラジアル部21wの周方向の中心に位置するとともに径方向に延びる直線をL21wとする。コイル17の周方向においてU相の第2ラジアル部31uとV相の第2ラジアル部31vとの中間に位置するとともに径方向に延びる直線をL31uvとする。直線L21wは、直線L31uvと軸方向に重なっている。
【0044】
また、各相の第2ラジアル部31の周方向の中心に位置するとともに径方向に延びる直線は、当該第2ラジアル部31と軸方向に重なる他の2相の第1ラジアル部21の周方向の中間に位置するとともに径方向に延びる直線と軸方向に重なっている。
【0045】
具体的には、U相の第2ラジアル部31uの周方向の中心に位置するとともに径方向に延びる直線は、コイル17の周方向においてV相の第1ラジアル部21vとW相の第1ラジアル部21wとの中間に位置するとともに径方向に延びる直線と軸方向に重なっている。V相の第2ラジアル部31vの周方向の中心に位置するとともに径方向に延びる直線をL31vとする。コイル17の周方向においてU相の第1ラジアル部21uとW相の第1ラジアル部21wとの中間に位置するとともに径方向に延びる直線をL21uwとする。直線L31vは、直線L21uwと軸方向に重なっている。W相の第2ラジアル部31wの周方向の中心に位置するとともに径方向に延びる直線をL31wとする。コイル17の周方向においてU相の第1ラジアル部21uとV相の第1ラジアル部21vとの中間に位置するとともに径方向に延びる直線をL21uvとする。直線L31wは、直線L21uvと軸方向に重なっている。
【0046】
図10及び
図11に示すように、時刻tのとき、U相の第1ラジアル部21u、V相の第2ラジアル部31v、及びW相の第2ラジアル部31wには、コイル17の径方向内側から外側に向かってU相電流Iu、V相電流Iv、及びW相電流Iwがそれぞれ流れる。U相の第2ラジアル部31u、V相の第1ラジアル部21v、及びW相の第1ラジアル部21wには、コイル17の径方向外側から内側に向かってU相電流Iu、V相電流Iv、及びW相電流Iwがそれぞれ流れる。
【0047】
U相の内側渡線43uには、第2ラジアル部31uから第1ラジアル部21uに向かって電流が流れる。U相の外側渡線44uには、第1ラジアル部21uから第2ラジアル部31uに向かって電流が流れる。V相の内側渡線43vには、第1ラジアル部21vから第2ラジアル部31vに向かって電流が流れる。V相の外側渡線44vには、第2ラジアル部31vから第1ラジアル部21vに向かって電流が流れる。W相の内側渡線部43wには、第1ラジアル部21wから第2ラジアル部31wに向かって電流が流れる。W相の外側渡線44wには、第2ラジアル部31wから第1ラジアル部21wに向かって電流が流れる。
【0048】
第1永久磁石14aは、U相の第1ラジアル部21u、V相の第2ラジアル部31vの一部、及びW相の第2ラジアル部31wの一部とコイル17の軸方向に重なっている。第1永久磁石14aの磁束は、U相の第1ラジアル部21u、V相の第2ラジアル部31vの一部、及びW相の第2ラジアル部31wの一部を第1ラジアル部21側から第2ラジアル部31側に向かって貫通している。
【0049】
第2永久磁石14bは、U相の第2ラジアル部31u、V相の第1ラジアル部21vの一部、及びW相の第1ラジアル部21wの一部とコイル17の軸方向に重なっている。第2永久磁石14bの磁束は、U相の第2ラジアル部31u、V相の第1ラジアル部21vの一部、及びW相の第1ラジアル部21wの一部を第2ラジアル部31側から第1ラジアル部21側に向かって貫通している。
【0050】
このとき、U相の第1ラジアル部21u、V相の第2ラジアル部31v、及びW相の第2ラジアル部31wを流れる電流と、第1永久磁石14aの磁力とによって、コイル17の周方向の一方側に向かうローレンツ力Fが発生する。また、U相の第2ラジアル部31u、V相の第1ラジアル部21v、及びW相の第1ラジアル部21wを流れる電流と、第2永久磁石14bの磁力とによって、コイル17の周方向の一方側に向かうローレンツ力Fが発生する。
【0051】
<従来技術>
従来技術のコイル201について詳述する。
上述したように、従来技術のコイル201において、各相のコイルループ261,262,263は、第1コイルループ要素261A及び第2コイルループ要素261Bの2つのコイルループ要素からなる。第1コイルループ要素261Aの中心方向直線部241dと、第2コイルループ要素261Bの中心方向直線部241dとは、回転軸の軸方向において重なっている。
【0052】
図20及び
図21に示すように、回転軸の軸方向に重なる2つの中心方向直線部241dのうち、一方側に位置する中心方向直線部241dを第1中心方向直線部241daといい、他方側に位置する中心方向直線部241dを第2中心方向直線部241dbという。第1コイルループ要素261Aの第1中心方向直線部241daと第2コイルループ要素261Bの第1中心方向直線部241daとは、回転軸の周方向において交互に並んでいる。第1コイルループ要素261Aの第2中心方向直線部241dbと第2コイルループ要素261Bの第2中心方向直線部241dbとは、回転軸の周方向において交互に並んでいる。第1中心方向直線部241daは、本実施形態の第1ラジアル部21に対応している。第2中心方向直線部241dbは、本実施形態の第2ラジアル部31に対応している。
【0053】
各コイルループ要素261A,261Bの複数の斜め方向部241eのうち、第1中心方向直線部241daに繋がる斜め方向部241eは、本実施形態の第1内側渡線部22に対応している。各コイルループ要素261A,261Bの複数の斜め方向部241eのうち、第2中心方向直線部241dbに繋がる斜め方向部241eは、本実施形態の第2内側渡線部32に対応している。斜め方向部241e及び接合部241fは、本実施形態の内側渡線43に対応している。
【0054】
各コイルループ要素261A,261Bの複数の斜め方向部241cのうち、第1中心方向直線部241daに繋がる斜め方向部241cは、本実施形態の第1外側渡線部23に対応している。各コイルループ要素261A,261Bの複数の斜め方向部241cのうち、第2中心方向直線部241dbに繋がる斜め方向部241cは、本実施形態の第2外側渡線部33に対応している。斜め方向部241c及び接合部241bは、本実施形態の外側渡線44に対応している。
【0055】
図21における「+」及び「-」は、各相のコイルループ261,262,263に正方向の電流を印加したときの中心方向直線部241dにおける電流の方向を示している。各相のコイルループ261,262,263に正方向の電流を印加したとき、径方向内側から外側に向かって電流が流れる中心方向直線部241dには、「+」を付している。一方、径方向外側から内側に向かって電流が流れる中心方向直線部241dには、「-」を付している。
【0056】
すなわち、U相のコイルループ261に正方向のU相電流Iuが印加されたとき、U相電流Iuは、第1コイルループ要素261Aの第1中心方向直線部241daを径方向内側から外側に向かって流れる。U相電流Iuは、第1コイルループ要素261Aの第2中心方向直線部241dbを径方向外側から内側に向かって流れる。U相電流Iuは、第2コイルループ要素261Bの第1中心方向直線部241daを径方向外側から内側に向かって流れる。U相電流Iuは、第2コイルループ要素261Bの第2中心方向直線部241dbを径方向内側から外側に向かって流れる。
【0057】
U相のコイルループ261に負方向のU相電流Iuが印加されたとき、U相電流Iuは、第1コイルループ要素261Aの第1中心方向直線部241daを径方向外側から内側に向かって流れる。U相電流Iuは、第1コイルループ要素261Aの第2中心方向直線部241dbを径方向内側から外側に向かって流れる。U相電流Iuは、第2コイルループ要素261Bの第1中心方向直線部241daを径方向内側から外側に向かって流れる。U相電流Iuは、第2コイルループ要素261Bの第2中心方向直線部241dbを径方向外側から内側に向かって流れる。
【0058】
V相のコイルループ262に正方向のV相電流Ivが印加されたとき、V相電流Ivは、第1コイルループ要素261Aの第1中心方向直線部241daを径方向外側から内側に向かって流れる。V相電流Ivは、第1コイルループ要素261Aの第2中心方向直線部241dbを径方向内側から外側に向かって流れる。V相電流Ivは、第2コイルループ要素261Bの第1中心方向直線部241daを径方向内側から外側に向かって流れる。V相電流Ivは、第2コイルループ要素261Bの第2中心方向直線部241dbを径方向外側から内側に向かって流れる。
【0059】
V相のコイルループ262に負方向のV相電流Ivが印加されたとき、V相電流Ivは、第1コイルループ要素261Aの第1中心方向直線部241daを径方向内側から外側に向かって流れる。V相電流Ivは、第1コイルループ要素261Aの第2中心方向直線部241dbを径方向外側から内側に向かって流れる。V相電流Ivは、第2コイルループ要素261Bの第1中心方向直線部241daを径方向外側から内側に向かって流れる。V相電流Ivは、第2コイルループ要素261Bの第2中心方向直線部241dbを径方向内側から外側に向かって流れる。
【0060】
W相のコイルループ263に正方向のW相電流Iwが印加されたとき、W相電流Iwは、第1コイルループ要素261Aの第1中心方向直線部241daを径方向外側から内側に向かって流れる。W相電流Iwは、第1コイルループ要素261Aの第2中心方向直線部241dbを径方向内側から外側に向かって流れる。W相電流Iwは、第2コイルループ要素261Bの第1中心方向直線部241daを径方向内側から外側に向かって流れる。W相電流Iwは、第2コイルループ要素261Bの第2中心方向直線部241dbを径方向外側から内側に向かって流れる。
【0061】
W相のコイルループ263に負方向のW相電流Iwが印加されたとき、W相電流Iwは、第1コイルループ要素261Aの第1中心方向直線部241daを径方向内側から外側に向かって流れる。W相電流Iwは、第1コイルループ要素261Aの第2中心方向直線部241dbを径方向外側から内側に向かって流れる。W相電流Iwは、第2コイルループ要素261Bの第1中心方向直線部241daを径方向外側から内側に向かって流れる。W相電流Iwは、第2コイルループ要素261Bの第2中心方向直線部241dbを径方向内側から外側に向かって流れる。
【0062】
従来技術では、第1永久磁石14a及び第2永久磁石14bは、回転軸の周方向に並ぶU相、V相、及びW相の中心方向直線部241dに対して、1つの永久磁石14a,14bが対応するように設けられている。したがって、従来技術のロータ14が有する第1永久磁石14a及び第2永久磁石14bの数はそれぞれ、実施形態のロータ14が有する第1永久磁石14a及び第2永久磁石14bの数の半分である。すなわち、従来技術のロータ14は、第1永久磁石14a及び第2永久磁石14bを5個ずつ有している。
【0063】
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用を説明する。
図20に示すように、従来技術のU相のコイルループ261の各コイルループ要素261A,261Bにおいて、周方向に隣り合う第1中心方向直線部241daと第2中心方向直線部241dbとの間隔は3相分である。上述したように、第1中心方向直線部241daは、本実施形態の第1ラジアル部21に対応するとともに、第2中心方向直線部241dbは、本実施形態の第2ラジアル部31に対応する。したがって、従来技術では、周方向に隣り合う第1ラジアル部21と第2ラジアル部31との間隔は3相分である。
【0064】
各コイルループ要素261A,261Bにおいて、第1中心方向直線部241daに対する斜め方向部241eの傾斜角度、及び第2中心方向直線部241dbに対する斜め方向部241eの傾斜角度をそれぞれθ20とする。また、各コイルループ要素261A,261Bにおいて、第1中心方向直線部241daに対する斜め方向部241cの傾斜角度、及び第2中心方向直線部241dbに対する斜め方向部241cの傾斜角度をそれぞれθ30とする。
【0065】
一方、上述したように、本実施形態では、U相の第1ラジアル部21uは、V相の第2ラジアル部31vの一部及びW相の第2ラジアル部31wの一部とコイル17の軸方向に重なっている。また、U相の第2ラジアル部31uは、V相の第1ラジアル部21vの一部及びW相の第1ラジアル部21wの一部とコイル17の軸方向に重なっている。
【0066】
この場合、
図12に示すように、U相のコイルループ17uにおいて、コイル17の周方向に隣り合う第1ラジアル部21uと第2ラジアル部31uとの間隔は1.5相分である。本実施形態における第1ラジアル部21uに対する第1内側渡線部22uの傾斜角度、及び第2ラジアル部31uに対する第2内側渡線部32uの傾斜角度をそれぞれθ2とする。また、第1ラジアル部21uに対する第1外側渡線部23uの傾斜角度、及び第2ラジアル部31uに対する第2外側渡線部33uの傾斜角度をそれぞれθ3とする。
【0067】
本実施形態では、U相のコイルループ17uにおいて、コイル17の周方向に隣り合う第1ラジアル部21uと第2ラジアル部31uとの間隔は、従来技術よりも狭くなっている。これにより、第1ラジアル部21uと第2ラジアル部31uとを接続する内側渡線43u及び外側渡線44の長さは、従来技術よりも短くなる。したがって、内側渡線43u及び外側渡線44の電気抵抗が低減される。
【0068】
また、コイル17の周方向に隣り合う第1ラジアル部21uと第2ラジアル部31uとの間隔が狭くなることにより、傾斜角度θ2は、傾斜角度θ20よりも小さくなる。このため、本実施形態では、第1内側渡線部22uの幅及び第2内側渡線部32uの幅を従来技術よりも大きくすることができる。同様に、傾斜角度θ3は、傾斜角度θ30よりも小さくなる。このため、本実施形態では、第1外側渡線部23uの幅及び第2外側渡線部33uの幅を従来技術よりも大きくすることができる。したがって、本実施形態における内側渡線43u及び外側渡線44uの幅を従来技術よりも大きくすることができる。これによっても、内側渡線43u及び外側渡線44uの電気抵抗が低減される。
【0069】
上記のことは、U相のコイルループ17uだけでなく、V相のコイルループ17v及びW相のコイルループ17wでも同様である。すなわち、コイル17の周方向に隣り合う同相の第1ラジアル部21と第2ラジアル部31との間隔が狭くなることにより、内側渡線43及び外側渡線44の長さが短くなる。また、第1ラジアル部21に対する第1内側渡線部22及び第1外側渡線部23の傾斜角度、及び第2ラジアル部31に対する第2内側渡線部32及び第2外側渡線部33の傾斜角度はそれぞれ小さくなる。このため、内側渡線43及び外側渡線44の幅を大きくすることができる。したがって、内側渡線43及び外側渡線44の電気抵抗が低減される。
【0070】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1)各相の第1ラジアル部21は、他の2相の第2ラジアル部31の一部とコイル17の軸方向に重なっている。また、各相の第2ラジアル部31は、他の2相の第1ラジアル部21の一部とコイル17の軸方向に重なっている。このため、周方向に隣り合う同相の第1ラジアル部21と第2ラジアル部31との間隔は、従来技術において周方向に隣り合う同相の中心方向直線部241d同士の間隔よりも狭くなる。
【0071】
周方向に隣り合う同相の第1ラジアル部21と第2ラジアル部31との間隔が狭くなることにより、内側渡線43及び外側渡線44の長さが短くなる。したがって、内側渡線43及び外側渡線44の電気抵抗が低減される。また、第1ラジアル部21に対する第1内側渡線部22の傾斜角度θ2及び第1ラジアル部21に対する第1外側渡線部23の傾斜角度θ3が小さくなる。このため、第1内側渡線部22及び第1外側渡線部23の幅を大きくすることができる。同様に、第2ラジアル部31に対する第2内側渡線部32の傾斜角度θ2及び第2ラジアル部31に対する第2外側渡線部33の傾斜角度θ3が小さくなる。このため、第2内側渡線部32及び第2外側渡線部33の幅を大きくすることができる。これによっても、内側渡線43及び外側渡線44の電気抵抗が低減される。よって、内側渡線43及び外側渡線44の電気抵抗を低減できる。その結果、コイル17で発生する銅損を低減できる。
【0072】
(2)各相の第1ラジアル部21の周方向の中心に位置するとともに径方向に延びる直線は、当該第1ラジアル部21と軸方向に重なる他の2相の第2ラジアル部31の周方向の中間に位置するとともに径方向に延びる直線と軸方向に重なっている。また、各相の第2ラジアル部31の周方向の中心に位置するとともに径方向に延びる直線は、当該第2ラジアル部31と軸方向に重なる他の2相の第1ラジアル部21の周方向の中間に位置するとともに径方向に延びる直線と軸方向に重なっている。この構成によれば、内側渡線43及び外側渡線44の電気抵抗を低減しつつ、トルクを効率良く発生させることができる。
【0073】
(3)本実施形態のロータ14が有する第1永久磁石14a及び第2永久磁石14bの数は、従来技術のロータ14が有する第1永久磁石14a及び第2永久磁石14bの数の2倍である。したがって、トルクを増大させることができる。
【0074】
(4)
図13は、従来技術のコイル201の一部を示している。第1永久磁石14aは、各相のコイルループ261,262,263の第1コイルループ要素261Aの第1中心方向直線部241da及び第2コイルループ要素261Bの第2中心方向直線部241dbと回転軸の軸方向に重なっている。第1永久磁石14aと重なる第1中心方向直線部241da及び第2中心方向直線部241dbには、回転軸の径方向内側から外側に向かって電流が流れている。第1永久磁石14aの磁束は、第1中心方向直線部241da及び第2中心方向直線部241dbをこの順に貫通している。この場合、第1永久磁石14aと重なる第1中心方向直線部241da及び第2中心方向直線部241dbを径方向内側から外側に向かって流れる電流と、第1永久磁石14aの磁力とによって、回転軸の周方向の一方側に向かうローレンツ力Fが発生する。
【0075】
第1永久磁石14aと重なるコイル201の大部分では、電流は径方向内側から外側に向かって流れるが、
図13において矢印で示すように、コイル201の一部分では、電流は径方向外側から内側に流れる。第1永久磁石14aと重なるコイル201において径方向外側から内側に向かって流れる電流は、回転軸の周方向の他方側に向かうローレンツ力を発生させる。つまり、
図13において矢印で示す電流は、負のトルクを発生させる電流である。
【0076】
従来技術のコイル201では、U相のコイルループ261の第1中心方向直線部241daに繋がる斜め方向部241cを流れる電流Iu10は、負のトルクを発生させる電流である。U相のコイルループ261の第2中心方向直線部241dbに繋がる斜め方向部241eを流れる電流Iu20は、負のトルクを発生させる電流である。V相のコイルループ262の第1中心方向直線部241daに繋がる斜め方向部241eを流れる電流Iv10は、負のトルクを発生させる電流である。V相のコイルループ262の第2中心方向直線部241dbに繋がる斜め方向部241cを流れる電流Iv20は、負のトルクを発生させる電流である。W相のコイルループ263の第1中心方向直線部241daに繋がる斜め方向部241cを流れる電流Iw10は、負のトルクを発生させる電流である。W相のコイルループ263の第2中心方向直線部241dbに繋がる斜め方向部241eを流れる電流Iw20は、負のトルクを発生させる電流である。
【0077】
図14は、本実施形態のコイル17の一部を示している。第1永久磁石14aは、U相の第1ラジアル部21u、V相の第2ラジアル部31v、及びW相の第2ラジアル部31wとコイル17の軸方向に重なっている。U相の第1ラジアル部21u、V相の第2ラジアル部31v、及びW相の第2ラジアル部31wには、コイル17の径方向内側から外側に向かって電流が流れている。第1永久磁石14aの磁束は、U相の第1ラジアル部21u、V相の第2ラジアル部31v、及びW相の第2ラジアル部31wを第1ラジアル部21側から第2ラジアル部31側に向かって貫通している。この場合、コイル17を径方向内側から外側に向かって流れる電流と、第1永久磁石14aの磁力とによって、コイル17の周方向の一方側に向かうローレンツ力Fが発生する。
【0078】
第1永久磁石14aと重なるコイル17の大部分では、電流は径方向内側から外側に向かって流れるが、
図14において矢印で示すように、コイル17の一部分では、電流は径方向外側から内側に向かって流れる。第1永久磁石14aと重なるコイル17において径方向外側から内側に向かって流れる電流は、コイル17の周方向の他方側に向かうローレンツ力を発生させる。つまり、
図14において矢印で示す電流は、負のトルクを発生させる電流である。本実施形態では、U相の第2外側渡線部33uを流れる電流Iu1、V相の第1外側渡線部23vを流れる電流Iv1、及びW相の第1内側渡線部22wを流れる電流Iw1が負のトルクを発生させる電流である。
【0079】
また、第2永久磁石14bは、U相の第2ラジアル部31u、V相の第1ラジアル部21v、及びW相の第1ラジアル部21wとコイル17の軸方向に重なっている。U相の第2ラジアル部31u、V相の第1ラジアル部21v、及びW相の第1ラジアル部21wには、コイル17の径方向外側から内側に向かって電流が流れている。第2永久磁石14bの磁束は、U相の第2ラジアル部31u、V相の第1ラジアル部21v、及びW相の第1ラジアル部21wを第2ラジアル部31側から第1ラジアル部21側に向かって貫通している。この場合、コイル17を径方向外側から内側に向かって流れる電流と、第2永久磁石14bの磁力とによって、コイル17の周方向の一方側に向かうローレンツ力Fが発生する。
【0080】
第2永久磁石14bと重なるコイル17の大部分では、電流は径方向外側から内側に向かって流れるが、
図14において矢印で示すように、コイル17の一部分では、電流は径方向内側から外側に向かって流れる。第2永久磁石14bと重なるコイル17において径方向内側から外側に向かって流れる電流は、コイル17の周方向の他方側に向かうローレンツ力を発生させる。つまり、
図14において矢印で示す電流は、負のトルクを発生させる電流である。本実施形態では、U相の第1内側渡線部22uを流れる電流Iu2、V相の第2内側渡線部32vを流れる電流Iv2、及びW相の第2外側渡線部33wを流れる電流Iw2が負のトルクを発生させる電流である。
【0081】
このように本実施形態では、従来技術よりも負のトルクを発生させる電流が少ない。したがって、本実施形態のコイル17では、従来技術のコイル201と比較して、トルクを効率良く発生させることができる。
【0082】
(5)本実施形態のステータ15は、プリント基板である。したがって、プレート16によって、第1導電部20と第2導電部30との絶縁を確保することができる。また、コイル17の製造が容易である。
【0083】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0084】
○ 回転電機10が備えるロータ14及びステータ15の数は適宜変更してもよい。
○ 上記実施形態では、ロータ14と2つのステータ15とが交互に積層されていたが、ロータ14と1つのステータ15とが交互に積層されていてもよいし、ロータ14と3つ以上のステータ15とが交互に積層されていてもよい。
【0085】
○ ステータ15のプレート16は省略されてもよい。つまり、ステータ15は、プリント基板ではなく、コイル17単体であってもよい。
○ 各相のコイルループ17u,17v,17wの各導電部20,30の数は、適宜変更されてもよい。また、各ロータ14の各永久磁石14a,14bの数は、各導電部20,30の数に応じて変更されてもよい。
【0086】
○
図15に示すように、各相のコイルループ17u,17v,17wは、第1ループ171及び第2ループ172によって構成されていてもよい。第1ループ171及び第2ループ172の構成は、上記実施形態のコイルループ17u,17v,17wの構成と同じである。第1ループ171と第2ループ172は、コイル17の周方向において間隔を空けて並んでいる。
【0087】
図16に示すように、第1ループ171及び第2ループ172のそれぞれにおいて、1つの第1導電部20の第1内側渡線部22aと、1つの第2導電部30の第2内側渡線部32aとは、内側接続部41によって接続されていない。第1ループ171の第1内側渡線部22aは、入力端子Tinと電気的に接続されている。第2ループ172の第2内側渡線部32aは、出力端子Toutと電気的に接続されている。第1ループ171の第2内側渡線部32aと、第2ループ172の第1内側渡線部22aとは、電気的に接続されている。つまり、第1ループ171と第2ループ172は直列接続されている。
【0088】
例えば、各相のコイルループ17u,17v,17wにおいて、正方向の電流が印加された場合、電流は、入力端子Tinから第1ループ171の第1内側渡線部22aに流入する。電流は、第1ループ171を一周した後、第1ループ171の第2内側渡線部32aから第2ループ172の第1内側渡線部22aに流入する。そして、電流は、第2ループ172を一周した後、第2ループ172の第2内側渡線部32aから出力端子Toutに流出する。第1ループ171を流れる電流の方向は、第2ループ172を流れる電流の方向と同じである。
【0089】
図17~
図19に示すように、U相の第1ループ171の第1ラジアル部21uは、V相の第2ループ172の第2ラジアル部31vとコイル17の軸方向に重なっている。U相の第2ループ172の第1ラジアル部21uは、W相の第2ループ172の第2ラジアル部31wとコイル17の軸方向に重なっている。したがって、U相の第1ラジアル部21uは、V相の第2ラジアル部31vの一部及びW相の第2ラジアル部31wの一部とコイル17の軸方向に重なっている。
【0090】
U相の第1ループ171の第2ラジアル部31uは、V相の第2ループ172の第1ラジアル部21vとコイル17の軸方向に重なっている。U相の第2ループ172の第2ラジアル部31uは、W相の第1ループ171の第1ラジアル部21wとコイル17の軸方向に重なっている。したがって、U相の第2ラジアル部31uは、V相の第1ラジアル部21vの一部及びW相の第1ラジアル部21wの一部とコイル17の軸方向に重なっている。
【0091】
同様に、V相の第1ラジアル部21uは、U相の第2ラジアル部31uの一部及びW相の第2ラジアル部31wの一部とコイル17の軸方向に重なっている。V相の第2ラジアル部31vは、U相の第1ラジアル部21uの一部及びW相の第1ラジアル部21wの一部とコイル17の軸方向に重なっている。
【0092】
同様に、W相の第1ラジアル部21wは、U相の第2ラジアル部31uの一部及びV相の第2ラジアル部31vの一部とコイル17の軸方向に重なっている。W相の第2ラジアル部31wは、U相の第1ラジアル部21uの一部及びV相の第1ラジアル部21vの一部とコイル17の軸方向に重なっている。
【0093】
つまり、各相のコイルループ17u,17v,17wの第1ラジアル部21は、他の2相のコイルループ17u,17v,17wの第2ラジアル部31とコイル17の軸方向に重なっている。各相のコイルループ17u,17v,17wの第2ラジアル部31は、他の2相のコイルループ17u,17v,17wの第1ラジアル部21とコイル17の軸方向に重なっている。
【0094】
各相のコイルループ17u,17v,17wは、3つ以上のループによって構成されていてもよい。各相のコイルループ17u,17v,17wが3つ以上のループによって構成される場合も、上述した方法と同様の方法で3つ以上のループは直列接続される。
【0095】
○ 上記実施形態では、各相のコイルループ17u,17v,17wにおいて、第1内側渡線部22aが入力端子Tinに接続されるとともに、第2内側渡線部32aが出力端子Toutに接続されていたが、これに限定されない。
【0096】
例えば、各相のコイルループ17u,17v,17wにおいて、第1内側渡線部22aが出力端子Toutに接続されるとともに、第2内側渡線部32aが入力端子Tinに接続されてもよい。
【0097】
この場合、各相のコイルループ17u,17v,17wにおいて、正方向の電流が印加されたとき、各第1ラジアル部21では、コイル17の径方向外側から内側に向かって電流が流れるのに対し、各第2ラジアル部31では、コイル17の径方向内側から外側に向かって流れる。一方、各相のコイルループ17u,17v,17wにおいて、負方向の電流が印加されたとき、各第1ラジアル部21では、コイル17の径方向内側から外側に向かって電流が流れるのに対し、各第2ラジアル部31では、コイル17の径方向外側から内側に向かって流れる。
【0098】
例えば、各相のコイルループ17u,17v,17wにおいて、1つの第1外側渡線部23が入力端子Tinに接続されるとともに、1つの第2外側渡線部33が出力端子Toutに接続されてもよい。
【0099】
この場合、各相のコイルループ17u,17v,17wにおいて、正方向の電流が印加されたとき、各第1ラジアル部21では、コイル17の径方向外側から内側に向かって電流が流れるのに対し、各第2ラジアル部31では、コイル17の径方向内側から外側に向かって流れる。一方、各相のコイルループ17u,17v,17wにおいて、負方向の電流が印加されたとき、各第1ラジアル部21では、コイル17の径方向内側から外側に向かって電流が流れるのに対し、各第2ラジアル部31では、コイル17の径方向外側から内側に向かって流れる。
【0100】
○ 各相の第1ラジアル部21の周方向の中心に位置するとともに径方向に延びる直線は、当該第1ラジアル部21と軸方向に重なる他の2相の第2ラジアル部31の周方向の中間に位置するとともに径方向に延びる直線と軸方向に重なっていなくてもよい。各相の第2ラジアル部31の周方向の中心に位置するとともに径方向に延びる直線は、当該第2ラジアル部31と軸方向に重なる他の2相の第1ラジアル部21の周方向の中間に位置するとともに径方向に延びる直線と軸方向に重なっていなくてもよい。
【符号の説明】
【0101】
10…回転電機、14…ロータ、15…ステータ、17…ステータ用コイルとしてのコイル、17u…(U相の)コイルループ、17v…(V相の)コイルループ、17w…(W相の)コイルループ、20…第1導電部、21…第1ラジアル部、22…第1内側渡線部、23…第1外側渡線部、30…第2導電部、31…第2ラジアル部、32…第2内側渡線部、33…第2外側渡線部、43…内側渡線、44…外側渡線。