(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154649
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/46 20200101AFI20241024BHJP
H05B 45/30 20200101ALI20241024BHJP
【FI】
H05B45/46
H05B45/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068588
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中小原 佑輔
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA10
3K273BA27
3K273CA02
3K273EA06
3K273EA07
3K273EA25
3K273EA36
3K273FA07
3K273FA12
3K273FA14
3K273FA30
3K273FA33
3K273FA38
3K273GA05
3K273GA10
3K273GA18
3K273GA28
3K273GA29
(57)【要約】
【課題】回路サイズの低減に寄与する発光装置を提供する。
【解決手段】各々が発光素子(LD[i,j])及び発光素子への供給用電荷を蓄積するコンデンサ(Cr[i,j])を有する第1~第L発光単位回路(U[i,j])と、第1~第M充電用スイッチ(SWc[1]~SWc[M])を有する充電切り替え回路(20)と、第1~第N発光用スイッチ(SWr[1]~SWr[N])を有する発光切り替え回路(30)と、各スイッチを制御する制御回路(40)と、備える。各充電用スイッチは、自身に対応付けられた2以上の発光単位回路中の各コンデンサに対する充電電流の供給又は非供給を切り替える。各発光用スイッチは、自身に対応付けられた複数の発光単位回路について、発光素子に対するコンデンサの蓄積電荷の供給又は非供給を切り替える。Lは4以上の整数を表し、M及びNは2以上の整数を表す。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が、電流の供給を受けて発光するよう構成された発光素子及び前記発光素子への供給用電荷を蓄積するよう構成されたコンデンサを有する第1~第L発光単位回路と、
第1~第M充電用スイッチを有し、各コンデンサへの充電電流の供給又は非供給を切り替えるよう構成された充電切り替え回路と、
第1~第N発光用スイッチを有し、各発光単位回路における前記コンデンサの蓄積電荷の前記発光素子への供給又は非供給を切り替えるよう構成された発光切り替え回路と、
各充電用スイッチ及び各発光用スイッチの状態を制御するよう構成された制御回路と、備え、
各充電用スイッチは、第1~第L発光単位回路の内、2以上の発光単位回路に対応付けられ、第1~第M充電用スイッチにおける2つの充電用スイッチの組み合わせの夫々について、一方の充電用スイッチに対応付けられる前記2以上の発光単位回路と、他方の充電用スイッチに対応付けられる前記2以上の発光単位回路と、は互いに異なり、
第1~第M充電用スイッチの夫々は、自身に対応付けられた前記2以上の発光単位回路中の各コンデンサに対する充電電流の供給又は非供給を切り替え、
各発光用スイッチは、第1~第L発光単位回路の内、複数の発光単位回路に対応付けられ、第1~第N発光用スイッチにおける2つの発光用スイッチの組み合わせの夫々について、一方の発光用スイッチに対応付けられる前記複数の発光単位回路と、他方の発光用スイッチに対応付けられる前記複数の発光単位回路と、は互いに異なり、
第1~第N発光用スイッチの夫々は、自身に対応付けられた前記複数の発光単位回路について、前記発光素子に対する前記コンデンサの蓄積電荷の供給又は非供給を切り替え、
Lは4以上の整数を表し、M及びNは2以上の整数を表す
、発光装置。
【請求項2】
各発光単位回路において前記コンデンサは第1端及び第2端を有し、
各発光単位回路において、前記充電切り替え回路を通じて充電電流が前記コンデンサに供給されるとき、前記コンデンサの第2端の電位から見て前記第コンデンサの第1端の電位が高まり、
各発光単位回路において、前記発光素子は第1端及び第2端を有し、前記発光素子の第1端から前記発光素子の第2端に向けて電流が流れることで前記発光素子が発光し、
各発光単位回路において、前記発光素子に対して保護ダイオードを含む並列回路が並列接続され、前記保護ダイオードの順方向は前記発光素子の第2端から前記発光素子の第1端に向かう向きであり、
各発光単位回路において、前記コンデンサの第1端と前記発光素子の第1端との間に逆流阻止ダイオードが挿入され、前記逆流阻止ダイオードの順方向は前記コンデンサの第1端から前記発光素子の第1端に向かう向きである
、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
各発光単位回路において、前記並列回路は前記保護ダイオードに直列接続された抵抗を含む
、請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
各発光単位回路は充電用ダイオードを有し、
各発光単位回路において、前記充電用ダイオードは前記コンデンサに直列接続され、前記充電用ダイオードは前記充電切り替え回路から前記コンデンサに向かう向きに順方向を有し、前記充電切り替え回路から前記コンデンサへの充電電流は前記充電用ダイオードを通じて前記コンデンサに供給される
、請求項2に記載の発光装置。
【請求項5】
各発光単位回路は第1種類の発光単位回路又は第2種類の発光単位回路であって、
第1~第L発光単位回路は第1種類の発光単位回路及び第2種類の発光単位回路を夫々に2以上含み、
第1種類の発光単位回路及び第2種類の発光単位回路の内、第1種類の発光単位回路のみに充電用ダイオードが設けられ、
2以上の第1種類の発光単位回路の夫々において、前記充電用ダイオードは前記コンデンサに直列接続され、前記充電用ダイオードは前記充電切り替え回路から前記コンデンサに向かう向きに順方向を有し、前記充電切り替え回路から前記コンデンサへの充電電流は前記充電用ダイオードを通じて前記コンデンサに供給される
、請求項2に記載の発光装置。
【請求項6】
各発光単位回路は直列抵抗を有し、
各発光単位回路において、前記直列抵抗は前記コンデンサに直列接続され、前記充電切り替え回路から前記コンデンサへの充電電流は前記直列抵抗を通じて前記コンデンサに供給される
、請求項2に記載の発光装置。
【請求項7】
L>M+Nが満たされる
、請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
第1~第N発光用スイッチに流れる電流を個別に検出するための第1~第Nシャント抵抗を更に備える
、請求項1に記載の発光装置。
【請求項9】
各発光単位回路は第1~第N発光グループの何れかに属し、
第j発光グループに属する各発光単位回路は第j発光用スイッチに対応付けられ、
各発光グループはM個の発光単位回路を含み、
第i充電用スイッチに対し、各発光グループにおける第i番目の発光単位回路が対応付けられ、
iはM以下の自然数を表し、jはN以下の自然数を表す
、請求項1~7の何れかに記載の発光装置。
【請求項10】
第1~第M充電用スイッチの第1端は、夫々、第1~第M入力配線に接続され、
第1~第M入力配線には夫々第1~第M入力電圧が加わり、
第1~第M充電用スイッチの第2端は、夫々、第1~第M充電用配線に接続され、
各発光グループにおける第i番目の発光単位回路は第i充電用配線に接続され、
第i充電用スイッチがオンであるとき、第i入力電圧に基づく充電電流が、第i充電用スイッチ及び第i充電用配線を通じ、各発光グループにおける第i番目の発光単位回路中の前記コンデンサに供給される充電動作が実行され、第i充電用スイッチがオフであるとき前記充電動作が非実行とされ、
第1~第N発光用スイッチの第1端は、夫々、第1~第N発光用配線に接続され、
第1~第N発光用スイッチの各第2端は基準電位を有する基準配線に接続され、
第j発光グループに属する各発光単位回路は第j発光用配線に接続され、
第j発光グループに属する各発光単位回路において前記コンデンサの蓄積電荷による放電電流は、第j発光用スイッチがオンであるときに、対応する前記発光素子と第j発光用配線及び第j発光用スイッチとを通じて流れる
、請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記制御回路は、第1~第M単位動作を含む発光制御を実行し、第i単位動作において、第i充電用スイッチを所定時間だけオンとした後、1以上の発光用スイッチをオンとする
、請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記制御回路は、第i単位動作において、第i充電用スイッチを前記所定時間だけオンとした後、第1~第N発光用スイッチを互いに異なるタイミングで順次オンとする
、請求項11に記載の発光装置。
【請求項13】
前記制御回路は、前記発光制御において、前記第1~第M単位動作を互いに異なるタイミングで順次実行する
、請求項11に記載の発光装置。
【請求項14】
前記制御回路は、前記発光制御において、第1~第M充電用スイッチの内、2以上の充電用スイッチを同時にオンさせる
、請求項11に記載の発光装置。
【請求項15】
第1~第M入力電圧は共通の入力電圧であり、
第1~第M入力配線は前記共通の入力電圧が加わる共通の入力配線である
、請求項10に記載の発光装置。
【請求項16】
互いに異なる2以上の入力電圧が第1~第M入力電圧に含まれる
、請求項10に記載の発光装置。
【請求項17】
第1~第Nシャント抵抗を更に備え、
第jシャント抵抗は第j発光用スイッチに対して直列接続され、
前記制御回路は、第1~第Nシャント抵抗で発生する電圧降下に基づき第1~第N発光用スイッチに流れる電流を個別に検出し、その検出結果に基づき第1~第M入力電圧の何れかを可変設定する
、請求項10に記載の発光装置。
【請求項18】
互いに異なる2以上の入力電圧が第1~第M入力電圧に含まれ、
前記制御回路は、第p入力電圧が第q入力電圧よりも高いとき、第p充電用スイッチのオンデューティを第q充電用スイッチのオンデューティよりも低く設定し、
p及びqはM以下の互いに異なる自然数を表す
、請求項10に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光装置は電流の供給を受けて発光する発光素子を備える。複数の発光素子を備え、複数の発光素子を個別に発光制御する発光装置もある。この種の発光装置の構成例として、下記特許文献1に記載の構成例が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の発光素子を備える発光装置を構成する際、発光素子ごとに周辺回路を追加すれば発光素子ごとの発光制御が可能となる。但し、発光素子の個数に合わせて単純に周辺回路を追加する方法では、発光装置の回路サイズが大きくなりやすい。回路サイズの増大はコスト増加に繋がる。
【0005】
本開示は、回路サイズの低減に寄与する発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る発光装置は、各々が、電流の供給を受けて発光するよう構成された発光素子及び前記発光素子への供給用電荷を蓄積するよう構成されたコンデンサを有する第1~第L発光単位回路と、第1~第M充電用スイッチを有し、各コンデンサへの充電電流の供給又は非供給を切り替えるよう構成された充電切り替え回路と、第1~第N発光用スイッチを有し、各発光単位回路における前記コンデンサの蓄積電荷の前記発光素子への供給又は非供給を切り替えるよう構成された発光切り替え回路と、各充電用スイッチ及び各発光用スイッチの状態を制御するよう構成された制御回路と、備え、各充電用スイッチは、第1~第L発光単位回路の内、2以上の発光単位回路に対応付けられ、第1~第M充電用スイッチにおける2つの充電用スイッチの組み合わせの夫々について、一方の充電用スイッチに対応付けられる前記2以上の発光単位回路と、他方の充電用スイッチに対応付けられる前記2以上の発光単位回路と、は互いに異なり、第1~第M充電用スイッチの夫々は、自身に対応付けられた前記2以上の発光単位回路中の各コンデンサに対する充電電流の供給又は非供給を切り替え、各発光用スイッチは、第1~第L発光単位回路の内、複数の発光単位回路に対応付けられ、第1~第N発光用スイッチにおける2つの発光用スイッチの組み合わせの夫々について、一方の発光用スイッチに対応付けられる前記複数の発光単位回路と、他方の発光用スイッチに対応付けられる前記複数の発光単位回路と、は互いに異なり、第1~第N発光用スイッチの夫々は、自身に対応付けられた前記複数の発光単位回路について、前記発光素子に対する前記コンデンサの蓄積電荷の供給又は非供給を切り替え、Lは4以上の整数を表し、M及びNは2以上の整数を表す。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、回路サイズの低減に寄与する発光装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る発光装置の全体構成図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係り、1つの発光単位回路の構成要素を示すと共に、1つの発光単位回路と周辺回路との関係を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、発光装置の構成図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、基本発光制御のフローチャートである。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、1つの充電用スイッチのオン期間における充電電流の流れを示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、1つの発光用スイッチのオン期間における放電電流の流れを示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、他の1つの発光用スイッチのオン期間における放電電流の流れを示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、基本発光制御のタイミングチャート図である。
【
図9】
図9は、参考構成に係る発光装置を示す図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、距離センサのブロック図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施形態に属する第2実施例に係り、発光装置の構成図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施形態に属する第3実施例に係り、発光装置の構成図である。
【
図13】
図13は、本開示の実施形態に属する第4実施例に係り、発光装置の構成図である。
【
図14】
図14は、本開示の実施形態に属する第5実施例に係り、発光装置の構成図である。
【
図15】
図15は、本開示の実施形態に属する第5実施例に係り、電源ブロックの構成図である。
【
図16】
図16は、本開示の実施形態に属する第6実施例に係り、電流検出に関わるサンプリング時刻を説明するための図である。
【
図17】
図17は、本開示の実施形態に属する第8実施例に係り、2つの充電用スイッチのオン期間における充電電流の流れを示す図である。
【
図18】
図18は、本開示の実施形態に属する第9実施例に係り、発光装置の構成図である。
【
図19】
図19は、本開示の実施形態に属する第10実施例に係り、発光装置の構成図である。
【
図20】
図20は、本開示の実施形態に属する第11実施例に係り、1つの発光用スイッチの構成図である。
【
図21】
図21は、本開示の実施形態に属する第11実施例に係り、発光装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“SWc”によって参照される充電用スイッチは(
図1参照)、充電用スイッチSWcと表記されることもあるし、スイッチSWcと略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0010】
まず、本開示の実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。グランドとは、基準となる0V(ゼロボルト)の電位を有する基準導電部を指す又は0Vの電位そのものを指す。基準導電部は金属等の導体を用いて形成されて良い。0Vの電位をグランド電位と称することもある。本開示の実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧はグランドから見た電位を表す。レベルとは電位のレベルを指し、任意の注目した信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。
【0011】
MOSFETを含むFET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通している状態を指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通となっている状態(遮断状態)を指す。FETに分類されないトランジスタについても同様である。MOSFETは、特に記述無き限り、エンハンスメント型のMOSFETであると解される。MOSFETは“metal-oxide-semiconductor field-effect transistor”の略称である。また、特に記述なき限り、任意のMOSFETにおいて、バックゲートはソースに短絡されていると考えて良い。
【0012】
任意のスイッチを1以上のFET(電界効果トランジスタ)にて構成することができ、或るスイッチがオン状態のときには当該スイッチの両端間が導通する一方で或るスイッチがオフ状態のときには当該スイッチの両端間が非導通となる。以下、任意のトランジスタ又はスイッチについて、オン状態、オフ状態を、単に、オン、オフと表現することもある。
【0013】
また、任意のトランジスタ又はスイッチについて、トランジスタ又はスイッチがオン状態となっている期間をオン期間と称し、トランジスタ又はスイッチがオフ状態となっている期間をオフ期間と称する。ハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる任意の信号について、当該信号のレベルがハイレベルとなる期間をハイレベル期間と称し、当該信号のレベルがローレベルとなる期間をローレベル期間と称する。ハイレベル又はローレベルの電圧レベルをとる任意の電圧についても同様である。
【0014】
任意の回路素子、配線(ライン)、ノードなど、回路を形成する複数の部位間についての接続とは、特に記述なき限り、電気的な接続を指すと解して良い。対比されるべき任意の2つの電圧が電圧v1及びv2であるとした場合、“v1>v2”は電圧v1が電圧v2よりも高いことを表し、“v1<v2”は電圧v1が電圧v2よりも低いことを表す。電圧以外の物理量を含む他の式についても同様である。
【0015】
図1に本開示の実施形態に係る発光装置1の全体構成を示す。発光装置1は、発光ブロック10と、充電切り替え回路20と、発光切り替え回路30と、制御回路40と、を備える。
【0016】
発光ブロック10は計L個の発光単位回路Uを備える。充電切り替え回路20はM個の充電用スイッチSWcを備える。発光切り替え回路30はN個の発光用スイッチSWrを備える。M及びNの夫々は2以上の任意の整数を表す。M及びNは互いに一致しても良いし、互いに相違しても良い。
【0017】
図2に、1つの発光単位回路Uの構成要素を示すと共に、1つの発光単位回路Uと充電切り替え回路20及び発光切り替え回路30との関係を概略的に示す。発光単位回路UはコンデンサCr及び発光素子LDを備える。発光単位回路UはコンデンサCr及び発光素子LD以外の回路素子を有し得るが、
図2では、発光単位回路Uの構成要素の内、コンデンサCr及び発光素子LDのみが示される。原則として計L個の発光単位回路Uは互いに同一の構成を持ち、以下では特に記述なき限り、計L個の発光単位回路Uは互いに同一の構成を持つものとする。
【0018】
発光素子LDは、電流の供給を受けて発光する任意の発光素子であり、ここではレーザダイオードである。コンデンサCrは発光素子LDへの供給用電荷を蓄積する。発光素子LDへの供給用電荷とは、発光素子LDに供給するためにコンデンサCrにて蓄積される電荷を指す。コンデンサCrの蓄積電荷が発光素子LDに供給される(即ち、コンデンサCrの蓄積電荷によるコンデンサCrの放電電流が発光素子LDに供給される)ことで発光素子LDが発光する。
【0019】
充電切り替え回路20は、制御回路40の制御の下、L個の発光単位回路Uの夫々について、コンデンサCrへの充電電流の供給又は非供給を切り替える。或る発光単位回路Uにおいて、コンデンサCrへ充電電流が供給されることで発光素子LDを発光させるための電荷がコンデンサCrにて蓄積される。発光切り替え回路30は、制御回路40の制御の下、L個の発光単位回路Uの夫々について、コンデンサCrの蓄積電荷の発光素子LDへの供給又は非供給を切り替える。
【0020】
M個の充電用スイッチSWcを記号SWc[1]~SWc[M]にて参照する。以下では、充電用スイッチSWc[1]~SWc[M]の何れかが充電用スイッチSWc[i]と表記されることがある。iは任意の自然数を表す。計M個の回路要素(例えば充電用スイッチSWc)を参照する際にiが用いられるとき、iはM以下の自然数を表すと解される。
【0021】
充電用スイッチSWc[1]~SWc[M]の夫々は、L個の発光単位回路Uの内、2以上の発光単位回路Uに対応付けられる。p及びqが“p≦M”及び“q≦N”を満たす互いに異なる任意の自然数であるとした場合、p及びqの組み合わせの夫々について、充電用スイッチSWc[p]に対応付けられる2以上の発光単位回路Uと、充電用スイッチSWc[q]に対応付けられる2以上の発光単位回路Uと、は互いに異なる。充電用スイッチSWc[1]~SWc[M]の夫々は、自身に対応付けられた2以上の発光単位回路UのコンデンサCrに対する充電電流の供給又は非供給を切り替える。
【0022】
N個の発光用スイッチSWrを記号SWr[1]~SWr[N]にて参照する。以下では、発光用スイッチSWr[1]~SWr[N]の何れかが発光用スイッチSWr[j]と表記されることがある。jは任意の自然数を表す。計N個の回路要素(例えば発光用スイッチSWr)を参照する際にjが用いられるとき、jはN以下の自然数を表すと解される。
【0023】
発光用スイッチSWr[1]~SWr[N]の夫々は、L個の発光単位回路Uの内、複数の発光単位回路Uに対応付けられる。p及びqが“p≦M”及び“q≦N”を満たす互いに異なる任意の自然数であるとした場合、p及びqの組み合わせの夫々について、発光用スイッチSWr[p]に対応付けられる複数の発光単位回路Uと、発光用スイッチSWr[q]に対応付けられる複数の発光単位回路Uと、は互いに異なる。発光用スイッチSWr[1]~SWr[N]の夫々は、自身に対応付けられた複数の発光単位回路Uについて、コンデンサCrの蓄積電荷の発光素子LDへの供給又は非供給を切り替える。
【0024】
任意の種類のスイッチング素子にて各スイッチSWc及びSWrを構成することができる。本実施形態では各スイッチSWc及びSWrがNチャネル型のMOSFETにて構成されるものとする。故に、各スイッチSWc及びSWrは、ドレイン、ソース及びゲートを有する。
【0025】
各充電用スイッチSWcのドレインは入力配線WRinに接続される。充電用スイッチSWc[i]のドレインが接続される入力配線WRinを入力配線WRin[i]と称する。故に、充電用スイッチSWc[1]~SWc[M]のドレインは夫々入力配線WRin[1]~WRin[M]に接続される。入力配線WRin[1]~WRin[M]には夫々入力電圧Vin[1]~Vin[M]が加わる。即ち入力配線WRin[1]には入力電圧Vin[1]が加わり、入力配線WRin[2]には入力電圧Vin[2]が加わる。入力配線WRin[3]等についても同様である。入力電圧Vin[1]~Vin[M]は正の直流電圧値を有する。
【0026】
入力配線WRin[1]~WRin[M]は共通の入力配線(即ち単一の入力配線)であって良い。この場合、入力電圧Vin[1]~Vin[M]は共通の入力電圧(即ち単一の入力電圧)であり、共通の入力電圧が充電用スイッチSWc[1]~SWc[M]の各ドレインに加わる。
【0027】
入力電圧Vin[1]~Vin[M]は互いに異なるM種類の入力電圧であっても良い。この場合、入力配線WRin[1]~WRin[M]は互いに分離されたM本の配線とされる。M種類未満の直流電圧により入力電圧Vin[1]~Vin[M]が構成されていても良い。例えば、“M=4”であるとき、入力電圧Vin[1]及びVin[2]は第1直流電圧であって且つ入力電圧Vin[3]及びVin[4]は第2直流電圧であっても良い。この際、第1及び第2直流電圧は2つの電圧源から出力される。
【0028】
各充電用スイッチSWcのソースは充電用配線WRcに接続される。充電用スイッチSWc[i]のソースが接続される充電用配線WRcを充電用配線WRc[i]と称する。故に、充電用スイッチSWc[1]~SWc[M]のソースは夫々充電用配線WRc[1]~WRc[M]に接続される。
【0029】
各発光用スイッチSWrのドレインは発光用配線WRrに接続される。発光用スイッチSWr[j]のドレインが接続される発光用配線WRrを発光用配線WRr[j]と称する。故に、発光用スイッチSWr[1]~SWr[N]のドレインは夫々発光用配線WRr[1]~WRr[N]に接続される。発光用スイッチSWr[1]~SWr[N]の各ソースはグランド配線WRgnd(基準配線)に接続される。グランド配線WRgndはグランド電位(基準電位)を有する。
【0030】
発光ブロック10におけるL個の発光単位回路Uは夫々にN個の発光グループGRPの何れかに属する。N個の発光グループGRPを記号GRP[1]~GRP[N]にて参照する。発光グループGRP[1]~GRP[N]は夫々発光用スイッチSWr[1]~SWr[N]に対応する。
【0031】
各発光グループGRPは2以上の発光単位回路Uを備える。本実施形態では特に記述なき限り、各発光グループGRPがM個の発光単位回路Uを備えるものとする。そうすると、発光単位回路Uの総数は(M×N)である。即ち“L=M×N”が成立する。ここでM及びNは2以上の整数を表すため、Lは4以上の整数を表す。但し、M個未満の発光単位回路Uを備える発光グループGRPが、発光グループGRP[1]~GRP[N]に含まれることもあり、この場合、“L<M×N”である。但し、何れにせよ“L>M+N”が成立すると良い。
【0032】
発光グループGRP[1]に設けられるM個の発光単位回路Uを記号U[1,1]~U[M,1]にて参照する。同様に、発光グループGRP[2]に設けられるM個の発光単位回路Uを記号U[1,2]~U[M,2]にて参照する。他の発光グループGRPについても同様である。自然数jを用いて一般化すると、発光グループGRP[j]に設けられるM個の発光単位回路Uは記号U[1,j]~U[M,j]にて参照される。発光単位回路U[i,j]は発光グループGRP[j]における第i番目の発光単位回路Uである。充電用スイッチSWc[i]に対し、各発光グループGRPにおける第i番目の発光単位回路Uが対応付けられる(即ち、発光単位回路U[i,1]~発光単位回路U[i,N]が対応付けられる)。
【0033】
各発光単位回路Uは入力ノードX及び出力ノードYを有する。発光単位回路U[i,j]における入力ノードXを記号X[i,j]にて参照し、発光単位回路U[i,j]における出力ノードYを記号Y[i,j]にて参照する。
【0034】
充電用配線WRc[1]は計N個の入力ノードX[1,1]~X[1,N]に接続され、従って計N個の発光単位回路U[1,1]~U[1,N]に接続される。同様に、充電用配線WRc[2]は計N個の入力ノードX[2,1]~X[2,N]に接続され、従って計N個の発光単位回路U[2,1]~U[2,N]に接続される。充電用配線WRc[3]等も同様である。自然数iを用いて一般化すると、充電用配線WRc[i]は計N個の入力ノードX[i,1]~X[i,N]に接続され、従って計N個の発光単位回路U[i,1]~U[i,N]に接続される。各発光グループGRPにおける第i番目の発光単位回路Uは充電用配線WRc[i]に接続されることになる。
【0035】
充電用スイッチSWc[i]がオンであるとき、入力電圧Vin[i]に基づく充電電流が、充電用スイッチSWc[i]及び充電用配線WRc[i]を通じ、各発光グループGRPにおける第i番目の発光単位回路U中のコンデンサCrに供給される充電動作が実行され、充電用スイッチSWc[i]がオフであれば当該充電動作が非実行とされる。
【0036】
発光用配線WRr[1]は計M個の出力ノードY[1,1]~Y[M,1]に接続され、従って計M個の発光単位回路U[1,1]~U[M,1]に接続される。同様に、発光用配線WRr[2]は計M個の出力ノードY[1,2]~Y[M,2]に接続され、従って計M個の発光単位回路U[1,2]~U[M,2]に接続される。発光用配線WRr[3]等も同様である。自然数jを用いて一般化すると、発光用配線WRr[j]は計M個の出力ノードY[1,j]~Y[M,j]に接続され、従って計M個の発光単位回路U[1,j]~U[M,j]に接続される。発光グループGRP[j]における全発光単位回路Uは発光用配線WRr[j]に接続されることを通じて発光用スイッチSWr[j]に対応付けられる。
【0037】
発光グループGRP[j]に属する各発光単位回路Uにおいて、コンデンサCrの蓄積電荷による放電電流は、発光用スイッチSWr[j]がオンであるときにのみ、対応する発光素子LDと発光用配線WRr[j]及び発光用スイッチSWr[j]とを通じて流れる。
【0038】
制御回路40は、充電用スイッチSWc[1]~SWc[M]及び発光用スイッチSWr[1]~SWr[N]の状態を個別に制御する。制御回路40は、充電用スイッチSWc[1]~SWc[M]のゲートに対し、夫々、ゲート信号Gc[1]~Gc[M]を供給する。制御回路40は、発光用スイッチSWr[1]~SWr[N]のゲートに対し、夫々、ゲート信号Gr[1]~Gr[N]を供給する。各ゲート信号はハイレベル又はローレベルを有する。制御回路40は、ゲート信号Gc[1]~Gc[M]を充電用スイッチSWc[1]~SWc[M]に供給するゲートドライブ回路(M個のゲートドライブ回路と考えて良い)と、ゲート信号Gr[1]~Gr[N]を発光用スイッチSWr[1]~SWr[N]に供給するゲートドライブ回路(N個のゲートドライブ回路と考えて良い)と、を備える。
【0039】
ゲート信号Gc[i]のハイレベル期間において充電用スイッチSWc[i]はオン状態であり、ゲート信号Gc[i]のローレベル期間において充電用スイッチSWc[i]はオフ状態である。ゲート信号Gr[j]のハイレベル期間において発光用スイッチSWr[j]はオン状態であり、ゲート信号Gr[j]のローレベル期間において発光用スイッチSWr[j]はオフ状態である。但し、ゲート信号Gc[i]のローレベルは充電用配線WRc[i]の電位と同電位を有し、ゲート信号Gc[i]のハイレベルは充電用配線WRc[i]の電位よりも第1所定電圧だけ高い。第1所定電圧は充電用スイッチSWc[i]のゲート閾電圧よりも大きい。ゲート信号Gr[j]のローレベルはグランド電位を有し、ゲート信号Gr[j]のハイレベルはグランド電位よりも第2所定電圧だけ高い。第2所定電圧は発光用スイッチSWr[j]のゲート閾電圧よりも大きい。
【0040】
1つの発光グループGRPに属する全発光素子LDをまとめたモジュールを形成しても良い。この場合、発光グループGRP[1]~GRP[N]に対応する第1~第Nモジュールが形成される。第iモジュールは発光単位回路U[i,1]~U[i,M]内の発光素子LDをまとめて備えた一体の部品である。第jモジュールはM個の発光素子LDのみを含むものであっても良いし、M個の発光単位回路U[1,j]~U[M,j]を全て含むものであっても良い。モジュールを形成することなく、発光装置1における複数の発光素子LDを別々のディスクリート部品として設置しても良い。
【0041】
以下、複数の実施例の中で、発光装置1に係る具体的な構成例、動作例、応用技術、変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0042】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。
図3に第1実施例に係る発光装置1である発光装置1Aの構成を示す。第1実施例では、“M=4”、“N=2”且つ“L=8”である。また第1実施例では、共通の入力配線(即ち単一の入力配線)が入力配線WRin[1]~WRin[4]として機能し、故に入力電圧Vin[1]~Vin[4]は共通の入力電圧Vin(即ち単一の入力電圧)であり、共通の入力電圧Vinが充電用スイッチSWc[1]~SWc[4]の各ドレインに加わる。発光装置1Aには8つの発光単位回路Uとして、発光単位回路U[1,1]~U[4,1]及びU[1,2]~U[4,2]が設けられる。4つの発光単位回路U[1,1]~U[4,1]は発光グループGRP[1]に属し、4つの発光単位回路U[1,2]~U[4,2]は発光グループGRP[2]に属する(
図1も参照)。
【0043】
電圧源VSが発光装置1Aに設けられる又は発光装置1Aに外部接続される。電圧源VSは負側出力端と正側出力端を有する。電圧源VSは負側出力端の電位を基準に正側出力端から正の直流電圧Vinを出力する。電圧源VSの負側出力端はグランド電位を有するグランド配線WRgndに接続される。尚、電圧源VSの負側出力端及び正側出力端間に入力コンデンサCinが接続される。電圧源VSの正側出力端は入力抵抗Rinを介して上記共通の入力配線に接続される(従って入力配線WRin[1]~WRin[4]に接続される)。入力抵抗Rinは、充電用スイッチSWc[i]のオン期間において充電用スイッチSWc[i]に流れる電流が過大にならないように当該電流に制限を加えるものである。入力抵抗Rinで生じる電圧降下は十分に小さいとして無視する。そうすると、入力電圧Vin[1]~Vin[4]は全て上記共通の入力電圧Vinである直流電圧Vinと一致する。尚、発光装置1Aにおいて、入力抵抗Rinの代わりに過渡電流を制限するためのインダクタLin(不図示)を設けても良いし、入力抵抗Rinの代わりに入力抵抗Rin及びインダクタLinの直列回路を設けても良い(入力抵抗が設けられる後述の他の任意の発光装置においても同様)。
【0044】
充電用スイッチSWc[1]~SWc[4]のソースは夫々充電用配線WRc[1]~WRc[4]に接続される。
充電用配線WRc[1]が入力ノードX[1,1]及びX[1,2]に接続されることで、充電用スイッチSWc[1]が発光単位回路U[1,1]及びU[1,2]に対応付けられる。
充電用配線WRc[2]が入力ノードX[2,1]及びX[2,2]に接続されることで、充電用スイッチSWc[2]が発光単位回路U[2,1]及びU[2,2]に対応付けられる。
充電用配線WRc[3]が入力ノードX[3,1]及びX[3,2]に接続されることで、充電用スイッチSWc[3]が発光単位回路U[3,1]及びU[3,2]に対応付けられる。
充電用配線WRc[4]が入力ノードX[4,1]及びX[4,2]に接続されることで、充電用スイッチSWc[4]が発光単位回路U[4,1]及びU[4,2]に対応付けられる。
【0045】
発光用スイッチSWr[1]及びSWr[2]のドレインは夫々発光用配線WRr[1]及びWRr[2]に接続される。発光用スイッチSWr[1]及びSWr[2]の各ソースはグランド配線WRgndに接続される。
発光用配線WRr[1]が出力ノードY[1,1]、Y[2,1]、Y[3,1]及びY[4,1]に接続されることで、発光用スイッチSWr[1]が発光単位回路U[1,1]、U[2,1]、U[3,1]及びU[4,1]に対応付けられる。
発光用配線WRr[2]が出力ノードY[1,2]、Y[2,2]、Y[3,2]及びY[4,2]に接続されることで、発光用スイッチSWr[2]が発光単位回路U[1,2]、U[2,2]、U[3,2]及びU[4,2]に対応付けられる。
【0046】
各発光単位回路Uは発光素子LD、コンデンサCr及び充電用ダイオードDを備える。発光単位回路U[i,j]における発光素子LD、コンデンサCr及び充電用ダイオードDを、夫々、発光素子LD[i,j]、コンデンサCr[i,j]及び充電用ダイオードD[i,j]と称する。発光装置1Aに設けられる8つの発光単位回路Uは互いに同じ構成を有するため、8つの発光単位回路Uの内、代表して発光単位回路U[i,j]の構成を説明する。
【0047】
充電用ダイオードD[i,j]はコンデンサCr[i,j]に対して直列接続され、充電切り替え回路20からコンデンサCr[i,j]に向かう向きに順方向を有する。具体的には、発光単位回路U[i,j]において、充電用ダイオードD[i,j]のアノードは入力ノードX[i,j]に接続され、充電用ダイオードD[i,j]のカソードはコンデンサCr[i,j]の第1端に接続される。コンデンサCr[i,j]の第2端はグランドに接続される(換言すればグランド配線WRgndに接続される)。コンデンサCr[i,j]の第1端は発光素子LD[i,j]の第1端に接続され、発光素子LD[i,j]の第2端は出力ノードY[i,j]に接続される。発光素子LD[i,j]の第1端、第2端は、夫々、発光素子LD[i,j]のアノード、カソードに相当し、発光素子LD[i,j]の第1端から第2端に向けて電流が流れることで発光素子LD[i,j]が発光する。
【0048】
充電切り替え回路20を通じ充電電流がコンデンサCr[i,j]に供給されることでコンデンサCr[i,j]に電荷が蓄積され、コンデンサCr[i,j]の第2端から見てコンデンサCr[i,j]の第1端の電位が、蓄積電荷に相当する分だけ高くなる。その後、対応する発光用スイッチSWr[j]がオンとされると、コンデンサCr[i,j]の蓄積電荷による放電電流が発光素子LD[i,j]及び発光用スイッチSWr[j]を通じて流れ、これによって発光素子LD[i,j]が発光する。コンデンサCr[i,j]を設けることで、発光素子LD[i,j]に対する供給電流の電路のインダクタンス成分を低減することができる。尚、以下の説明において、単に8つの発光素子LDと述べた場合、それは発光素子LD[1,1]~LD[4,1]及びLD[1,2]~LD[4,2]を指すものとする。
【0049】
図4は、発光装置1Aにおける制御回路40が実行可能な基本発光制御のフローチャートである。
図4を参照して、基本発光制御を説明する。尚、
図4の基本発光制御は“(M,N)=(4,2)”であるときに限定されず、2以上の任意の整数M及び2以上の任意の整数Nに対して広く適用できる。
【0050】
基本発光制御では、まずステップS11において制御回路40にて管理される変数i及びjに対し夫々1が代入される。ステップS11の後、ステップS12に進む。ステップS12において、制御回路40は、充電用スイッチSWc[1]~SWc[M]の内、充電用スイッチSWc[i]のみを所定時間tc_onだけオンに制御する。ステップS12において、充電用スイッチSWc[i]以外の充電用スイッチSWcはオフに維持される。ステップS12にて、充電用スイッチSWc[i]に対応する各発光単位回路UのコンデンサCr[i,1]~Cr[i,N]に対して入力電圧Vin[i]に基づく充電電流が充電用スイッチSWc[i]を通じて供給され、これによってコンデンサCr[i,1]~Cr[i,N]が充電される。ステップS12において、コンデンサCr[i,1]~Cr[i,N]の両端子間電圧が実質的に入力電圧Vin[i]にまで高まるよう、所定時間tc_onを設定しておくと良い(ここで充電用ダイオードDの順方向電圧を無視)。以下では特に記述無き限り、ステップS12において、コンデンサCr[i,1]~Cr[i,N]の両端子間電圧が入力電圧Vin[i]にまで高まるものとする。
【0051】
図5に、発光装置1Aに係り、“i=1”でのステップS12において充電用スイッチSWc[1]がオンであるときの様子を示す。“i=1”でのステップS12において充電用スイッチSWc[1]がオンであるとき、コンデンサCr[1,1]及びCr[1,2]に対して入力電圧Vin[1]に基づく充電電流が充電用スイッチSWc[1]を通じて供給され、これによってコンデンサCr[1,1]及びCr[1,2]が充電される。
【0052】
ステップS12において充電用スイッチSWc[i]が所定時間tc_on分、オンとされた後、充電用スイッチSWc[i]がオフに切り替えられるとステップS13に進む。
【0053】
ステップS13において、制御回路40は、発光用スイッチSWr[1]~SWr[N]の内、発光用スイッチSWr[j]のみを所定時間tr_onだけオンに制御する。ステップS13において、発光用スイッチSWr[j]以外の発光用スイッチSWrはオフに維持される。発光用スイッチSWr[j]が所定時間tr_on分、オンとされた後、発光用スイッチSWr[j]がオフに切り替えられるとステップS14に進む。ステップS14において制御回路40は“j=N”の成否を判断する(発光装置1Aでは“j=2”の成否を判断する)。“j=N”が成立する場合にはステップS14からステップS16に進み、“j=N”が不成立の場合にはステップS14からステップS15に進む。ステップS15において制御回路40は変数jに1を加算し、その後、ステップS13に戻る。
【0054】
図6に、発光装置1Aに係り、“(i,j)=(1,1)”でのステップS13において発光用スイッチSWr[1]がオンである期間の様子を示す。
図6の期間では、コンデンサCr[1,1]の蓄積電荷による放電電流が発光素子LD[1,1]及び発光用スイッチSWr[1]を通じてグランドに流れることにより、発光素子LD[1,1]が発光する。
【0055】
図7に、発光装置1Aに係り、“(i,j)=(1,2)”でのステップS13において発光用スイッチSWr[2]がオンである期間の様子を示す。
図7の期間では、コンデンサCr[1,2]の蓄積電荷による放電電流が発光素子LD[1,2]及び発光用スイッチSWr[2]を通じてグランドに流れることにより、発光素子LD[1,2]が発光する。
【0056】
図6の期間に対応する発光用スイッチSWr[1]のオン期間においてコンデンサCr[1,1]の蓄積電荷が概ね全て放電されるよう、且つ、
図7の期間に対応する発光用スイッチSWr[2]のオン期間においてコンデンサCr[1,2]の蓄積電荷が概ね全て放電されるよう、所定時間tr_onを設定しておくと良い。
【0057】
ステップS16において制御回路40は“i=M”の成否を判断する(発光装置1Aでは“i=4”の成否を判断する)。“i=M”が成立する場合にはステップS16からステップS11に戻る。この際、前回のステップS11の処理時刻と今回のステップS11の処理時刻との差の逆数が一定の周波数を有するよう、ステップS16からステップS11に戻るタイミング制御を行って良い。ステップS16において“i=M”が不成立の場合にはステップS16からステップS17に進む。ステップS17において制御回路40は変数iに1を加算し且つ変数jに1を代入する。その後、ステップS12に戻る。
【0058】
ステップS12~S15の処理にて単位動作が形成される。“i=1”であるときの単位動作を第1単位動作と称し、“i=2”であるときの単位動作を第2単位動作と称する。“i≧3”であるときも同様である。そうすると、基本発光制御は第1~第M単位動作を含む。
【0059】
図8に、基本発光制御における変数iの値と各スイッチの状態との関係を示す。発光装置1Aに係る制御回路40は、“i=1”であるときの単位動作において(即ち第1単位動作において)、充電用スイッチSWc[1]を所定時間tc_onだけオンとした後、発光用スイッチSWr[1]及びSWr[2]を互いに異なるタイミングで順次オンとし、これによって発光素子LD[1,1]及びLD[1,2]を順次発光させる。発光装置1Aに係る制御回路40は、“i=2”であるときの単位動作において(即ち第2単位動作において)、充電用スイッチSWc[2]を所定時間tc_onだけオンとした後、発光用スイッチSWr[1]及びSWr[2]を互いに異なるタイミングで順次オンとし、これによって発光素子LD[2,1]及びLD[2,2]を順次発光させる。“i≧3”であるときの各単位動作でも同様である。
【0060】
一般化すると、制御回路40は、第i単位動作において、充電用スイッチSWc[i]を所定時間tc_onだけオンとした後、発光用スイッチSWr[1]~SWr[N]を互いに異なるタイミングで順次オンとし、これによって発光素子LD[i,1]~LD[i,N]を順次発光させる。また制御回路40は基本発光制御において第1~第M単位動作(発光装置1Aでは第1~第4単位動作)を互いに異なるタイミングで順次実行する。
【0061】
ここで、参考構成に係る発光装置901を
図9に示す。発光装置901では、発光素子910ごとに、発光素子910への電流を供給又は遮断するスイッチ920とスイッチ920を駆動するドライブ回路930(ゲートドライブ回路)が必要である。また、発光素子910に対する供給電流の電路のインダクタンス成分を低減するべく、発光素子910とスイッチ920の組み合わせごとにコンデンサ940が設けられる。例えば、発光素子910が8つ設けられる場合にあっては、スイッチ920及びドライブ回路930の組が8つ必要となる。加えて、
図9に示す如く、スイッチ920としてのMOSFETのソースがグランドに接続されない場合には、スイッチ920のオン/オフ用のゲートレベルを得るための電源(専用電源)がスイッチ920ごとに必要となる。
【0062】
これに対し、
図3の発光装置1Aでは、8つの発光素子LDを個別に発光させるために必要なスイッチ数が6つで足る。発光装置1Aにおける制御回路40は、ゲート信号Gc[1]~Gc[4]を充電用スイッチSWc[1]~SWc[4]に供給する4つのゲートドライブ回路と、ゲート信号Gr[1]及びGr[2]を発光用スイッチSWr[1]及びSWr[2]に供給する2つのゲートドライブ回路と、を備える。つまり、
図3の発光装置1Aでは、ゲートドライブ回路の個数も6で足る。このように、
図3の発光装置1Aでは、
図9の発光装置901と比べて、スイッチの必要数及びゲートドライブ回路の必要数を低減することができ、以って回路サイズの低減が図られる。回路サイズの低減はコスト低下に繋がる。加えて、発光装置1Aでは発光用スイッチSWr[1]及びSWr[2]のソースがグランドに接続されるため、発光用スイッチSWr[1]及びSWr[2]を駆動するための専用電源も不要である。専用電源の不要化も回路サイズの低減に繋がる。
【0063】
図3の発光装置1Aでは“(M,N,L)=(4,2,8)”であることを想定しているが、これらの効果は発光素子LDの設置数が多いほど、顕著となる。
【0064】
例えば、発光装置901において発光素子910が16個設けられる場合にはスイッチ920及びドライブ回路930の組が16組必要となる。これに対し、本実施形態に係る発光装置1(
図1参照)において、発光素子LDの総数が16であるとき(即ち“L=16”であるとき)、“(M,N)=(4,4)”とすることができ、この際、スイッチの必要数は8となる(ゲートドライブ回路の必要数も同様)。尚、発光装置1では“L=M×N”を成立させるM及びNの任意の組み合わせを採用でき、発光素子LDの総数が16であるならば、例えば“(M,N)=(2,8)”又は“(M,N)=(8,2)”としても良い。
【0065】
また例えば、発光装置901において発光素子910が64個設けられる場合にはスイッチ920及びドライブ回路930の組が64組必要となる。これに対し、本実施形態に係る発光装置1(
図1参照)において、発光素子LDの総数が64であるとき(即ち“L=64”であるとき)、“(M,N)=(8,8)”とすることができ、この際、スイッチの必要数は16となる(ゲートドライブ回路の必要数も同様)。尚、発光装置1では“L=M×N”を成立させるM及びNの任意の組み合わせを採用でき、発光素子LDの総数が64であるならば、例えば“(M,N)=(16,4)”又は“(M,N)=(4,16)”としても良い。
【0066】
このように、発光装置1では充電用スイッチSWcの個数(M)と発光用スイッチSWrの個数(N)の積に相当する個数分の発光素子LDを個別に駆動することができる。但し、既に述べたように、発光グループGRP[1]~GRP[N]の内、何れかの発光グループGRPに設けられる発光単位回路Uの総数はM未満であっても良く、この場合、“L<M×N”である。例えば、発光装置1(
図1参照)において“L=15”であるとき、“(M,N)=(4,4)”とした上で、発光グループGRP[1]~GRP[3]に4つずつ発光単位回路Uを設け且つ発光グループGRP[4]には3つだけ発光単位回路Uを設けるようにしても良い。何れにせよ “L>M+N”が成立すると良く、これによってスイッチ数の削減効果が得られる。
【0067】
ここで充電用ダイオードD[i,j]の存在意義について説明する。仮に各発光単位回路Uにおいて充電用ダイオードDが設けられていない場合、
図5の状態にてコンデンサCr[1,1]及びCr[1,2]を充電した後、
図6の状態に遷移したとき、コンデンサCr[1,2]の蓄積電荷が充電用配線WRc[1]及び発光素子LD[1,1]を通じて放電され、結果、
図7の状態にて発光素子LD[1,2]を適正に発光させることができない。各発光単位回路Uに充電用ダイオードDを設けることで、このような現象を回避できる。
【0068】
図10に示す如く、発光装置1(本実施例では発光装置1A)を距離センサDSNSに利用することができる。距離センサDSNSは発光装置1、受光回路2及び検出回路3を備える。距離センサDSNSは基準物体に設置され、基準物体と他物体との距離を測定する。基準物体は任意であるが、例えば自動車等の車両であって良い。発光素子LDを微小時間だけ発光させることで生じた発光素子LDからの出射光は、他物体にて反射し、反射光が受光回路2にて受光される。検出回路3は、発光装置1に設けられる発光素子LDごとに、発光素子LDからの光の出射時刻(即ち発光素子LDの発光時刻)と受光回路2による反射光の受光時刻との差を求め、求めた差に基づき基準物体及び他物体間の距離を検出する。
【0069】
距離センサDSNSに発光装置1として発光装置1Aが設けられる場合、8つの発光素子LDの光の出射方向を互いに異ならせて良い。この場合、基準物体から見て計8方向における距離測定が可能である。8つの発光素子LDの光の出射方向の内、2以上の出射方向は互いに同じであっても良い。例えば、発光素子LD[1,1]の光の出射方向と発光素子LD[1,2]の光の出射方向とを互いに同じにしても良い。
【0070】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。
図11に第2実施例に係る発光装置1である発光装置1Bの構成を示す。発光装置1Bでは、
図3の発光装置1Aと同様に、“M=4”、“N=2”且つ“L=8”であることが想定されている。
図3の発光装置1Aから見て、発光装置1Bにおける各発光単位回路Uには保護ダイオードDp及び逆流阻止ダイオードDbが追加されている。保護ダイオードDp及び逆流阻止ダイオードDbの追加を除き発光装置1Bは発光装置1Aと同じ構成を有し、当該追加を除き第1実施例の記載が発光装置1Bにも適用される。
【0071】
発光装置1Bにおける各発光単位回路Uは、発光素子LD、コンデンサCr及び充電用ダイオードDに加えて、保護ダイオードDp及び逆流阻止ダイオードDbを備える。発光単位回路U[i,j]における保護ダイオードDp及び逆流阻止ダイオードDbを、夫々、保護ダイオードDp[i,j]及び逆流阻止ダイオードDb[i,j]と称する。発光装置1Bに設けられる8つの発光単位回路Uは互いに同じ構成を有するため、8つの発光単位回路Uの内、代表して発光単位回路U[i,j]の構成を説明する。
【0072】
まず第1実施例で述べたように、充電用ダイオードD[i,j]はコンデンサCr[i,j]に対して直列接続され、充電切り替え回路20からコンデンサCr[i,j]に向かう向きに順方向を有する。具体的には、発光単位回路U[i,j]において、充電用ダイオードD[i,j]のアノードは入力ノードX[i,j]に接続され、充電用ダイオードD[i,j]のカソードはコンデンサCr[i,j]の第1端に接続される。コンデンサCr[i,j]の第2端はグランドに接続される(換言すればグランド配線WRgndに接続される)。
【0073】
コンデンサCr[i,j]の第1端は逆流阻止ダイオードDb[i,j]を通じて発光素子LD[i,j]の第1端に接続される。より具体的には、コンデンサCr[i,j]の第1端は逆流阻止ダイオードDb[i,j]のアノードに接続され、逆流阻止ダイオードDb[i,j]のカソードが発光素子LD[i,j]の第1端に接続される。発光素子LD[i,j]の第2端は出力ノードY[i,j]に接続される。発光素子LD[i,j]の第1端、第2端は、夫々、発光素子LD[i,j]のアノード、カソードに相当し、発光素子LD[i,j]の第1端から第2端に向けて電流が流れることで発光素子LD[i,j]が発光する。
【0074】
保護ダイオードDp[i,j]は発光素子LD[i,j]に対して並列接続される。但し、保護ダイオードDp[i,j]の順方向と発光素子LD[i,j]の順方向は逆である。即ち、保護ダイオードDp[i,j]のアノードは発光素子LD[i,j]の第2端(カソード)に接続され、保護ダイオードDp[i,j]のカソードは発光素子LD[i,j]の第1端(アノード)に接続される。
【0075】
充電切り替え回路20を通じて充電電流がコンデンサCr[i,j]に供給されることでコンデンサCr[i,j]に電荷が蓄積され、コンデンサCr[i,j]の第2端から見てコンデンサCr[i,j]の第1端の電位が、蓄積電荷に相当する分だけ高くなる。その後、対応する発光用スイッチSWr[j]がオンとされると、コンデンサCr[i,j]の蓄積電荷による放電電流が逆流阻止ダイオードDb[i,j]、発光素子LD[i,j]及び発光用スイッチSWr[j]を通じて流れ、これによって発光素子LD[i,j]が発光する。
【0076】
図3の発光装置1Aでは、コンデンサCr[i,j]の放電後、発光素子LD[i,j]及びグランド配線WRgnd間のインダクタンス成分にて生じた逆起電力が逆バイアス電圧として発光素子LD[i,j]に加わる。過大な逆バイアス電圧が発光素子LD[i,j]に加わることは好ましくない。
図11の発光装置1Bの如く、保護ダイオードDp[i,j]を設けておくことで、過大な逆バイアス電圧が発光素子LD[i,j]に加わることが抑止される。但し、逆バイアス電圧に基づく電荷が保護ダイオードDp[i,j]を通じてコンデンサCr[i,j]に流入すると、その流入電荷に基づき発光素子LD[i,j]が再発光することがある。このような逆バイアス電圧に基づく電荷の流入及び発光素子LD[i,j]の再発光は、逆流阻止ダイオードDb[i,j]の設置により抑制される。
【0077】
再発光の抑制について説明を加える。例えば、充電用スイッチSWc[1]のオンによるコンデンサCr[1,1]の充電後、発光用スイッチSWr[1]をオンすることでコンデンサCr[1,1]の放電により発光素子LD[1,1]が発光する。コンデンサCr[1,1]の放電完了後、逆起電力による電荷が仮にコンデンサCr[1,1]に流入したならば、その流入により、充電用スイッチSWc[1]がオフに維持されていたとしてもコンデンサCr[1,1]が再充電され、その後のコンデンサCr[1,1]の再放電により発光素子LD[1,1]が再発光しうる。発光素子LD[i,j]の再発光は意図されない発光であり、距離センサDSNSへの利用を想定した場合には距離の検出精度に悪影響を与える。逆流阻止ダイオードDb[1,1]の設置により、出力ノードY[1,1]からコンデンサCr[1,1]に向かう電流が阻止されるため、発光素子LD[1,1]の再発光は抑制される。
【0078】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。
図12に第3実施例に係る発光装置1である発光装置1Cの構成を示す。発光装置1Cでは、
図3の発光装置1A及び
図11の発光装置1Bと同様に、“M=4”、“N=2”且つ“L=8”であることが想定されている。
図11の発光装置1Bから見て、発光装置1Cにおける各発光単位回路Uには抵抗Rpが追加されている。抵抗Rpの追加を除き発光装置1Cは発光装置1Bと同じ構成を有し、当該追加を除き第2実施例の記載が発光装置1Cにも適用される。換言すれば、
図3の発光装置1Aから見て、発光装置1Cにおける各発光単位回路Uには、抵抗Rp、保護ダイオードDp及び逆流阻止ダイオードDbが追加されている。抵抗Rp、保護ダイオードDp及び逆流阻止ダイオードDbの追加を除き発光装置1Cは発光装置1Aと同じ構成を有し、当該追加を除き第1実施例の記載が発光装置1Cにも適用される。
【0079】
発光装置1Cにおける各発光単位回路Uは、発光素子LD、コンデンサCr及び充電用ダイオードD、保護ダイオードDp及び逆流阻止ダイオードDbに加えて、抵抗Rpを備える。発光単位回路U[i,j]における抵抗Rpを抵抗Rp[i,j]と称する。発光装置1Cに設けられる8つの発光単位回路Uは互いに同じ構成を有するため、8つの発光単位回路Uの内、代表して発光単位回路U[i,j]の構成を説明する。
【0080】
発光単位回路U[i,j]において、抵抗Rp[i,j]は保護ダイオードDp[i,j]に直列接続され、抵抗Rp[i,j]及び保護ダイオードDp[i,j]の直列回路が、発光素子LD[i,j]に並列接続されている。換言すれば、発光装置1Cにおいて、発光素子LD[i,j]に対し並列回路が並列接続され、当該並列回路は保護ダイオードDp[i,j]と、保護ダイオードDp[i,j]に直列接続された抵抗Rp[i,j]を含む。
【0081】
より具体的には、保護ダイオードDp[i,j]のカソードは発光素子LD[i,j]の第1端(アノード)に接続される。保護ダイオードDp[i,j]のアノードは抵抗Rp[i,j]を介して発光素子LD[i,j]の第2端(カソード)に接続される。保護ダイオードDp[i,j]と抵抗Rp[i,j]との配置位置を逆にしても良い。充電用ダイオードD[i,j]、コンデンサCr[i,j]、逆流阻止ダイオードDb[i,j]及び発光素子LD[i,j]間の接続関係は第2実施例で述べた通りである。
【0082】
第2実施例で述べたように、逆流阻止ダイオードDb[i,j]の設置により、逆バイアス電圧に基づく電荷の流入及び発光素子LD[i,j]の再発光を抑制できる。但し、発光素子LD[i,j]に対する逆バイアス電圧の発生時において逆流阻止ダイオードDb[i,j]にも逆バイアス電圧が加わることで、逆流阻止ダイオードDb[i,j]でのリカバリ電流がコンデンサCr[i,j]の再充電に寄与するおそれがある。コンデンサCr[i,j]の再充電は、第2実施例で述べたように発光素子LD[1,1]の再発光を招き、距離センサDSNSへの利用を想定した場合には距離の検出精度に悪影響を与える。
【0083】
発光装置1Cでは抵抗Rp[i,j]が設けられることで、コンデンサCr[i,j]の再充電が発光装置1Bよりも更に強く抑制される。
【0084】
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。発光装置1において、各発光用スイッチSWrに対しシャント抵抗Rsを直列接続しても良い。シャント抵抗Rsを有する発光装置1の例として、
図13に発光装置1Dの構成を示す。
図13の発光装置1Dは、
図12の発光装置1Cに対してシャント抵抗Rsを追加したものである。但し、第1実施例の発光装置1A又は第2実施例の発光装置1Bに対してシャント抵抗Rsを追加するようにしても良い。
【0085】
発光装置1Dにおいてシャント抵抗Rsは発光用スイッチSWrごとに設けられる。発光用スイッチSWr[j]に対して設けられるシャント抵抗Rsをシャント抵抗Rs[j]と称する。シャント抵抗Rs[j]は発光用スイッチSWr[j]に直列接続され、発光用スイッチSWr[j]に流れる全電流が通過する位置にシャント抵抗Rs[j]が配置される。
【0086】
図13の発光装置1Dにおいて、シャント抵抗Rs[1]は発光用配線WRr[1]と発光用スイッチSWr[1]との間に直列に挿入され、シャント抵抗Rs[2]は発光用配線WRr[2]と発光用スイッチSWr[2]との間に直列に挿入される。即ち、シャント抵抗Rs[j]の第1端は発光用配線WRr[j]に接続され、シャント抵抗Rs[j]の第2端は発光用スイッチSWr[j]のドレインに接続される。発光用スイッチSWr[1]及びSWr[2]の各ソースはグランド配線WRgndに接続される。
【0087】
制御回路40は、シャント抵抗Rs[1]で発生する電圧降下(即ちシャント抵抗Rs[1]の両端間電圧)を検出することで発光用スイッチSWr[1]に流れる電流を検出することができ、シャント抵抗Rs[2]で発生する電圧降下(即ちシャント抵抗Rs[2]の両端間電圧)を検出することで発光用スイッチSWr[2]に流れる電流を検出することができる。制御回路40は、それらの電流の検出結果に基づき、各発光素子LDに適正な電流が供給されているか等を判断することができ、必要に応じて電圧源VSの出力電圧Vinを可変設定(変更)することもできる。
【0088】
本実施例に示す方法を
図1の発光装置1に適用する場合、特に図示しないが、“1≦j≦N”を満たす各整数jについて、発光用配線WRr[j]及び発光用スイッチSWr[j]間にシャント抵抗Rs[j]を挿入すれば良い。
【0089】
<<第5実施例>>
第5実施例を説明する。上述の第1~第4実施例において入力電圧Vin[1]~Vin[4]は互いに独立した4つの入力電圧であっても良い。
図14に第5実施例に係る発光装置1である発光装置1Eの構成を示す。
図13の発光装置1Dを基準に、入力電圧Vin[1]~Vin[4]を互いに独立した4つの入力電圧とする変形を施すことで、発光装置1Eが得られる。同様の変形を発光装置1A、1B又は1Cに適用しても良い。
図15は第5実施例に係る電源ブロックPBの構成図である。電源ブロックPBは発光装置1Eに設けられる又は発光装置1Eに対して外部接続される。
【0090】
電源ブロックPBは、互いに独立した4つの電圧源VS[1]~VS[4]を有し、電圧源VS[1]~VS[4]の夫々に対して、入力コンデンサCin及び入力抵抗Rinの組が設けられる。電圧源VS[i]に対して設けられる入力コンデンサCin及び入力抵抗Rinを夫々入力コンデンサCin[i]及び入力抵抗Rin[i]と称する。“1≦i≦4”満たす各整数iについて、電圧源VS[i]、入力コンデンサCin[i]及び入力抵抗Rin[i]の組より、入力電圧Vin[i]が出力される。
【0091】
電圧源VS[i]はグランドに接続された負側出力端と正側出力端とを有し、正側出力端から正の直流電圧を出力する。電圧源VS[i]の負側出力端及び正側出力端間に入力コンデンサCin[i]が接続される。電圧源VS[i]の正側出力端が入力抵抗Rin[i]を介して入力配線WRin[i]に接続される。入力抵抗Rin[i]は、充電用スイッチSWc[i]のオン期間において充電用スイッチSWc[i]に流れる電流が過大にならないように当該電流に制限を加えるものである。入力抵抗Rin[i]で生じる電圧降下は十分に小さいとして無視する。そうすると、電圧源VS[i]の出力電圧(即ち電圧源VS[i]の正側出力端における電圧)が入力電圧Vin[i]として充電用スイッチSWc[i]のドレインに印加される。
【0092】
発光装置1Eでは、入力電圧Vin[1]~Vin[4]の調整を通じて各発光素子LDの発光強度を調整することができる。例えば、“Vin[1]>Vin[2]”とした場合、充電用スイッチSWc[1]のオン期間におけるコンデンサCr[1,1]及びCr[1,2]の充電電圧は、充電用スイッチSWc[2]のオン期間におけるコンデンサCr[2,1]及びCr[2,2]の充電電圧よりも高まる。結果、発光素子LD[1,1]及びLD[1,2]の発光強度を、発光素子LD[2,1]及びLD[2,2]の発光強度よりも高めることができる。
【0093】
発光装置1Eを用いて距離センサDSNSを構成する場合にあっては、測定されるべき距離の範囲に応じて入力電圧Vin[1]~Vin[4]を調整すれば良い。より遠方までの距離を測定するために用いられる発光素子LDには、より高い入力電圧を対応付けるといった利用方法が考えられる。
【0094】
尚、入力電圧Vin[1]~Vin[4]を全て互いに独立させる必要は無い。例えば、電源ブロックPBに第1電圧原及び第2電圧源のみを設け、第1電圧源の出力電圧を入力電圧Vin[1]及びVin[2]として用いると共に第2電圧源の出力電圧を入力電圧Vin[3]及びVin[4]として用いるようにしても良い。
【0095】
<<第6実施例>>
第6実施例を説明する。第5実施例に係る発光装置1Eにおいて、制御回路40は、シャント抵抗Rs[1]及びRs[2]を用いて発光用スイッチSWr[1]及びSWr[2]に流れる電流を検出することができ、それらの電流検出結果に基づき入力電圧Vin[1]~Vin[4]の内、1以上の入力電圧を可変設定して良い。第6実施例では、電圧源VS[1]~VS[4]が可変電圧源であり、制御回路40の制御の下、入力電圧Vin[1]~Vin[4]を個別に変更できるよう電圧源VS[1]~VS[4]が構成されるものとする(他の実施例においても同様であって良い)。
【0096】
発光装置1Eに対して
図4の基本発光制御が適用されたことを想定して、第6実施例に係る入力電圧の設定方法を説明する。
図16を参照する。
【0097】
制御回路40は、“i=1”であるときの単位動作(即ち第1単位動作)において、発光用スイッチSWr[1]がオフ状態からオン状態に切り替えられてから所定微小時間ΔTが経過した時刻をサンプリング時刻Ts[1,1]に設定する。制御回路40は、サンプリング時刻Ts[1,1]においてシャント抵抗Rs[1]で発生する電圧降下をセンス電圧Vsns[1,1]として検出する。
制御回路40は、“i=1”であるときの単位動作(即ち第1単位動作)において、発光用スイッチSWr[2]がオフ状態からオン状態に切り替えられてから所定微小時間ΔTが経過した時刻をサンプリング時刻Ts[1,2]に設定する。制御回路40は、サンプリング時刻Ts[1,2]においてシャント抵抗Rs[2]で発生する電圧降下をセンス電圧Vsns[1,2]として検出する。
【0098】
同様に、制御回路40は、“i=2”であるときの単位動作(即ち第2単位動作)において、発光用スイッチSWr[1]がオフ状態からオン状態に切り替えられてから所定微小時間ΔTが経過した時刻をサンプリング時刻Ts[2,1]に設定する。制御回路40は、サンプリング時刻Ts[2,1]においてシャント抵抗Rs[1]で発生する電圧降下をセンス電圧Vsns[2,1]として検出する。
制御回路40は、“i=2”であるときの単位動作(即ち第2単位動作)において、発光用スイッチSWr[2]がオフ状態からオン状態に切り替えられてから所定微小時間ΔTが経過した時刻をサンプリング時刻Ts[2,2]に設定する。制御回路40は、サンプリング時刻Ts[2,2]においてシャント抵抗Rs[2]で発生する電圧降下をセンス電圧Vsns[2,2]として検出する。
“i=3”又は“i=4”であるときも同様である。
【0099】
一般化すると、制御回路40は、第i単位動作において、発光用スイッチSWr[j]がオフ状態からオン状態に切り替えられてから所定微小時間ΔTが経過した時刻をサンプリング時刻Ts[i,j]に設定する。制御回路40は、サンプリング時刻Ts[i,j]においてシャント抵抗Rs[j]で発生する電圧降下をセンス電圧Vsns[i,j]として検出する。第1~第4単位期間の組は周期的に発生する。第1~第4単位期間の組ごとに、8つのサンプリング時刻Tsが設定されて8つのセンス電圧Vsnsが検出される。8つのサンプリング時刻Tsとは、サンプリング時刻Ts[1,1]、Ts[1,2]、Ts[2,1]、Ts[2,2]、Ts[3,1]、Ts[3,2]、Ts[4,1]及びTs[4,2]を指す。8つのセンス電圧Vsnsとは、センス電圧Vsns[1,1]、Vsns[1,2]、Vsns[2,1]、Vsns[2,2]、Vsns[3,1]、Vsns[3,2]、Vsns[4,1]及びVsns[4,2]を指す。
【0100】
所定微小時間ΔTは上述の所定時間tr_onより短い(
図4のステップS13参照)。故に、サンプリング時刻Ts[i,j]は発光用スイッチSWr[j]のオン期間に属し、コンデンサCr[i,j]の蓄積電荷による放電電流が発光素子LD[i,j]及び発光用スイッチSWr[j]を通じて流れる期間に属する。センス電圧Vsns[i,j]は、サンプリング時刻Ts[i,j]にて発光用スイッチSWr[j]に流れる電流の検出値を表すと共に、発光素子LD[i,j]の発光期間中に発光素子LD[i,j]に流れる電流の検出値を表す。発光素子LD[i,j]に流れる電流の増大に伴って発光素子LD[i,j]の発光強度は増大するため、センス電圧Vsns[i,j]が大きいほど発光素子LD[i,j]の発光強度は大きい。
【0101】
制御回路40は、8つのセンス電圧Vsnsの全部又は一部に基づき、入力電圧Vin[1]~Vin[4]の内、1以上の入力電圧を可変設定できる。
【0102】
例えば制御回路40は第1電流指定制御を行うことができる。制御回路40は、第1電流指定制御において、センス電圧Vsns[i,1]が所定の指定電圧Vspcと一致するよう入力電圧Vin[i]を調整する。これにより、発光素子LD[i,1]の発光強度を指定強度にて発光させることができる。制御回路40は、“1≦i≦4”を満たす任意の整数iについて、第1電流指定制御を行うことができる。制御回路40は、第1電流指定制御において、“Vsns[i,1]<Vspc”であれば入力電圧Vin[i]を増大補正し、“Vsns[i,1]>Vspc”であれば入力電圧Vin[i]を減少補正すれば良い。
【0103】
或いは例えば制御回路40は第2電流指定制御を行うことができる。制御回路40は、第2電流指定制御において、センス電圧Vsns[i,2]が所定の指定電圧Vspcと一致するよう入力電圧Vin[i]を調整する。これにより、発光素子LD[i,2]の発光強度を指定強度にて発光させることができる。制御回路40は、“1≦i≦4”を満たす任意の整数iについて、第2電流指定制御を行うことができる。制御回路40は、第2電流指定制御において、“Vsns[i,2]<Vspc”であれば入力電圧Vin[i]を増大補正し、“Vsns[i,2]>Vspc”であれば入力電圧Vin[i]を減少補正すれば良い。
【0104】
更に或いは例えば制御回路40は第3電流指定制御を行うことができる。制御回路40は、第3電流指定制御において、センス電圧Vsns[i,1]及びVsns[i,2]の平均が所定の指定電圧Vspcと一致するよう入力電圧Vin[i]を調整する。これにより、発光素子LD[i,1]及びLD[i,2]の平均発光強度を指定強度とすることができる。制御回路40は、“1≦i≦4”を満たす任意の整数iについて、第3電流指定制御を行うことができる。制御回路40は、第3電流指定制御において、センス電圧Vsns[i,1]及びVsns[i,2]の平均が指定電圧Vspcより低ければ入力電圧Vin[i]を増大補正し、センス電圧Vsns[i,1]及びVsns[i,2]の平均が指定電圧Vspcより高ければ入力電圧Vin[i]を減少補正すれば良い。
【0105】
また例えば制御回路40は第1均等化制御を行うことができる。制御回路40は、第1均等化制御において、センス電圧Vsns[1,1]、Vsns[2,1]、Vsns[3,1]及びVsns[4,1]が均等(同一)になるよう、入力電圧Vin[1]~Vin[4]を調整する。これにより、発光素子LD[1,1]~LD[4,1]の発光強度を均等にすることができる。発光素子LD[1,1]~LD[4,1]をまとめたモジュールを形成する場合に第1均等化制御が採用されたとき、当該モジュールでの熱応力を低く抑えることができる。制御回路40は、第1均等化制御において、例えば、センス電圧Vsns[1,1]が他のセンス電圧Vsns[2,1]、Vsns[3,1]及びVsns[4,1]より低ければ入力電圧Vin[1]を増大補正し、センス電圧Vsns[1,1]が他のセンス電圧Vsns[2,1]、Vsns[3,1]及びVsns[4,1]より高ければ入力電圧Vin[1]を減少補正すれば良い。
【0106】
また例えば制御回路40は第2均等化制御を行うことができる。制御回路40は、第2均等化制御において、センス電圧Vsns[1,2]、Vsns[2,2]、Vsns[3,2]及びVsns[4,2]が均等(同一)になるよう、入力電圧Vin[1]~Vin[4]を調整する。これにより、発光素子LD[1,2]~LD[4,2]の発光強度を均等にすることができる。発光素子LD[1,2]~LD[4,2]をまとめたモジュールを形成する場合に第2均等化制御が採用されたとき、当該モジュールでの熱応力を低く抑えることができる。制御回路40は、第2均等化制御において、例えば、センス電圧Vsns[1,2]が他のセンス電圧Vsns[2,2]、Vsns[3,2]及びVsns[4,2]より低ければ入力電圧Vin[1]を増大補正し、センス電圧Vsns[1,2]が他のセンス電圧Vsns[2,2]、Vsns[3,2]及びVsns[4,2]より高ければ入力電圧Vin[1]を減少補正すれば良い。
【0107】
また例えば制御回路40は第3均等化制御を行うことができる。制御回路40は、第3均等化制御において、センス電圧Vsns[1,1]及びVsns[1,2]の平均である第1平均電圧と、センス電圧Vsns[2,1]及びVsns[2,2]の平均である第2平均電圧と、センス電圧Vsns[3,1]及びVsns[3,2]の平均である第3平均電圧と、センス電圧Vsns[4,1]及びVsns[4,2]の平均である第4平均電圧とを求め、第1~第4平均電圧が均等(同一)になるよう、入力電圧Vin[1]~Vin[4]を調整する。これにより、発光素子LD[1,1]及びLD[1,2]の平均発光強度と、発光素子LD[2,1]及びLD[2,2]の平均発光強度と、発光素子LD[3,1]及びLD[3,2]の平均発光強度と、発光素子LD[4,1]及びLD[4,2]の平均発光強度と、を均等にすることができる。これは発光装置1E内の発熱分布の均質化に繋がる。制御回路40は、第3均等化制御において、例えば、第1平均電圧が第2~第4平均電圧より低ければ入力電圧Vin[1]を増大補正し、第1平均電圧が第2~第4平均電圧より高ければ入力電圧Vin[1]を減少補正すれば良い。
【0108】
発光用スイッチSWr[1]及びSWr[2]に流れる電流を検出する代わりに、充電用スイッチSWc[1]~SWc[4]に流れる電流を個別に検出する第1変形検出方法が採用されても良い。この場合例えば、入力配線WRin[1]~WRin[4]の夫々にシャント抵抗(不図示)を挿入して、各シャント抵抗の電圧降下を検出すれば良い。そして、制御回路40は、充電用スイッチSWc[1]~SWc[4]に流れる電流の検出結果に基づき、入力電圧Vin[1]~Vin[4]の内、1以上の入力電圧を可変設定しても良い。この際、第1、第2若しくは第3電流指定制御、又は、第1、第2若しくは第3均等化制御と同等の作用が得られるよう、制御回路40は、充電用スイッチSWc[1]~SWc[4]に流れる電流の検出結果に基づき、入力電圧Vin[1]~Vin[4]の内、1以上の入力電圧を可変設定しても良い。
【0109】
発光用スイッチSWr[1]及びSWr[2]に流れる電流を検出する代わりに、8つの発光素子LDに流れる電流を個別に検出する第2変形検出方法が採用されても良い。この場合例えば、各発光単位回路Uにおいて、発光素子LD及び出力ノードY間に、又は、発光素子LD及び充電用ダイオードD間に、シャント抵抗(不図示)を挿入して、各シャント抵抗の電圧降下を検出すれば良い。そして、制御回路40は、8つの発光素子LDに流れる電流の検出結果に基づき、入力電圧Vin[1]~Vin[4]の内、1以上の入力電圧を可変設定しても良い。この際、第1、第2若しくは第3電流指定制御、又は、第1、第2若しくは第3均等化制御と同等の作用が得られるよう、制御回路40は、8つの発光素子LDに流れる電流の検出結果に基づき、入力電圧Vin[1]~Vin[4]の内、1以上の入力電圧を可変設定しても良い。
【0110】
各発光素子LDの発光強度を検出する光検出回路(不図示)を、発光装置1(ここでは発光装置1E)に設けておいても良い。そして、第1、第2若しくは第3電流指定制御、又は、第1、第2若しくは第3均等化制御と同等の作用が得られるよう、制御回路40は、光検出回路の検出結果に基づき、入力電圧Vin[1]~Vin[4]の内、1以上の入力電圧を可変設定しても良い。
【0111】
<<第7実施例>>
第7実施例を説明する。第5実施例に係る発光装置1Eにおいて、制御回路40は、入力電圧Vin[1]~Vin[4]間の高低関係に基づき、充電用スイッチSWc[1]~SWc[4]のオンデューティを可変設定することができる。これについて、以下、説明を加える。尚、充電用スイッチSWc[i]のオンデューティとは、充電用スイッチSWc[i]のオン期間と充電用スイッチSWc[i]のオフ期間との和に対する充電用スイッチSWc[i]のオン期間の割合を指す。
【0112】
第7実施例において制御回路40は上述の第1~第4単位動作を行うことができる(
図4及び8参照)。この際、制御回路40は第1~第4単位動作の夫々を周期的に実行することができる。
図4の基本発光制御では、第1単位動作の実行周期、第2単位動作の実行周期、第3単位動作の実行周期及び第4単位動作の実行周期は互いに等しく、基本発光制御の実行周期と一致する。
【0113】
これに対し、第7実施例に係る制御回路40は、第1単位動作の実行周期と、第2単位動作の実行周期と、第3単位動作の実行周期と、第4単位動作の実行周期と、を個別に設定及び変更できる。第i単位動作の実行周期の長さを記号“t
PERIOD[i]”にて表す。一方、1回分の第i単位動作において充電用スイッチSWc[i]のオン期間の長さは所定時間tc_onである(
図4参照)。即ち、制御回路40は、時間t
PERIOD[i]の内、所定時間tc_onだけ充電用スイッチSWc[i]をオン状態とする。すると、充電用スイッチSWc[i]のオンデューティは“tc_on/t
PERIOD[i]”である。
【0114】
第7実施例に係る制御回路40は、入力電圧Vin[p]が入力電圧Vin[q]よりも高いとき、充電用スイッチSWc[p]のオンデューティを充電用スイッチSWc[q]のオンデューティよりも低く設定する。ここにおけるp及びqはM以下の互いに異なる自然数を表し、発光装置1Eでは“M=4”である。具体的には例えば、“Vin[1]>Vin[2]”であるとき、制御回路40は、“tPERIOD[1]>tPERIOD[2]”とすることで、充電用スイッチSWc[1]のオンデューティを充電用スイッチSWc[2]のオンデューティよりも低く設定する。この際、“Vin[2]=Vin[3]=Vin[4]”の成否は問わない。
【0115】
“Vin[1]>Vin[2]”であるとき、入力電圧Vin[1]及び充電用スイッチSWc[1]に対応する発光素子LD(LD[1,1]及びLD[1,2])の発光強度が、入力電圧Vin[2]及び充電用スイッチSWc[2]に対応する発光素子LD(LD[2,1]及びLD[2,2])の発光強度よりも高くなり、その分、一度の発光あたりの発熱量は前者の発光素子LDにおいて後者の発光素子LDよりも大きくなる。この際、充電用スイッチSWc[1]のオンデューティを充電用スイッチSWc[2]のオンデューティよりも低く設定することで(換言すれば、第1単位動作の実行周期を第2単位動作の実行周期よりも低く設定することで)、複数の発光素子LD間の発熱量の差を低減することができる。
【0116】
例えば“Vin[1]>Vin[2]=Vin[3]=Vin[4]”であるときに、充電用スイッチSWc[1]のオンデューティを充電用スイッチSWc[2]~SWc[4]の各オンデューティよりも低く設定することで、発光素子LD[1,1]の発熱量と発光素子LD[2,1]~[4,1]の各発熱量との差を低減することができる。そうすると、発光素子LD[1,1]~LD[4,1]をまとめたモジュールを形成する場合に、当該モジュールでの熱応力を低く抑えることができる。発光素子LD[1,2]~LD[4,2]をまとめたモジュールを形成する場合も同様である。モジュールを形成しない場合においても、上述の方法によりオンデューティを設定することで複数の発光素子LD間の発熱量の差を低減することができるので、複数の発光素子LDが実装される基板での熱応力を低減することができる。
【0117】
尚、第7実施例で上述したオンデューティの設定方法の実施は任意である。従って例えば“Vin[1]>Vin[2]”であるとき、制御回路40は、充電用スイッチSWc[1]のオンデューティを充電用スイッチSWc[2]のオンデューティと一致させることも可能であるし、充電用スイッチSWc[1]のオンデューティを充電用スイッチSWc[2]のオンデューティよりも高く設定することも可能である。
【0118】
<<第8実施例>>
第8実施例を説明する。上述の基本発光制御(
図4参照)では第1~第4単位動作を互いに異なるタイミングで実行しているが、制御回路40は、複数の充電用スイッチSWcが同時にオンされる制御を含む発光制御を行うようにしても良い。
【0119】
例えば、上述の基本発光制御において第1単位動作と第3単位動作を同時に実行する変形がされても良い(
図8も参照)。当該変形された基本発光制御を第8実施例の発光制御と称する。第8実施例の発光制御では混合単位動作と第2及び第4単位動作が実行される。混合単位動作において、制御回路40は、充電用スイッチSWc[1]及びSWc[3]を同時に所定時間tc_onだけオンとし、充電用スイッチSWc[1]及びSWc[3]をオフに切り替えた後に発光用スイッチSWr[1]及びSWr[2]を順次所定時間tr_onだけオンとする。第8実施例の発光制御において、混合単位動作と第2単位動作と第4単位動作とは互いに異なるタイミングで実行される。但し、第2及び第4単位動作も同時に実行するようにしても良い。
【0120】
図17に、混合単位動作において充電用スイッチSWc[1]及びSWc[3]が同時にオンとされるときの充電電流の流れを示す。混合単位動作における充電用スイッチSWc[1]及びSWc[3]のオン期間において、コンデンサCr[1,1]、Cr[1,2]、Cr[3,1]及びCr[3,2]が同時に充電される。
【0121】
混合単位動作において、発光用スイッチSWr[1]のオン期間ではコンデンサCr[1,1]及びCr[3,1]の蓄積電荷に基づき発光素子LD[1,1]及びLD[3,1]が同時に発光し、発光用スイッチSWr[2]のオン期間ではコンデンサCr[1,2]及びCr[3,2]の蓄積電荷に基づき発光素子LD[1,2]及びLD[3,2]が同時に発光する。複数の発光素子LDの同時発光により高い発光強度を得ることができる。
【0122】
尚、
図17では例として、発光装置1Aにおける混合単位動作が示されているが、第8実施例の発光制御は発光装置1A~1Eの何れに対しても適用できるし、
図1の発光装置1に対して広く適用できる。
図1の発光装置1において、2以上且つM個以下の任意の個数の充電用スイッチSWcが同時にオンとされても良い。
【0123】
また、発光装置1において、2以上且つN個以下の任意の個数の発光用スイッチSWrが同時にオンとされても良い。
【0124】
<<第9実施例>>
第9実施例を説明する。発光装置1に設けられる全発光単位回路Uの内、一部の発光単位回路Uにおいて充電用ダイオードDは省略されても良い。一部の充電用ダイオードDの省略により部品点数の削減及びコストの低減が図られる。以下、便宜上、充電用ダイオードDを有する発光単位回路Uを第1種類の発光単位回路Uと称し、充電用ダイオードDを有さない発光単位回路Uを第2種類の発光単位回路Uと称する。
【0125】
図18に、第1種類の発光単位回路Uと第2種類の発光単位回路Uとを備える発光装置1の例として、発光装置1E_aを示す。発光装置1E_aは、第5実施例に係る発光装置1E(
図14参照)から充電用ダイオードD[1,1]、D[2,1]、D[3,1]及びD[4,1]を削除した構成を有し、当該削除を除き、発光装置1E_aは発光装置1Eと同じ構成を有する。但し、当該削除に伴い、“1≦i≦4”を満たす各整数iについて、コンデンサCr[i,1]の第1端は入力ノードX[i,1]に直接接続される(従って充電用配線WRc[i]に直接接続される)。尚、充電用ダイオードD[1,1]、D[2,1]、D[3,1]及びD[4,1]を削除する変形は、発光装置1A~1Dの何れに対しても適用できる。
【0126】
発光装置1E_aにおいて、発光単位回路U[1,2]~U[4,2]は第1種類の発光単位回路Uであり、発光単位回路U[1,1]~U[4,1]は第2種類の発光単位回路Uである。発光装置1E_aにおいて上述の基本発光制御(
図4及び
図8参照)が実行されることを考える。基本発光制御における第1単位動作において充電用スイッチSWc[1]が所定時間tc_onだけオンとされた後、発光用スイッチSWr[1]がオンとされたとき(
図5及び
図6参照)、発光装置1E_aでは、充電用ダイオードD[1,2]の存在によりコンデンサCr[1,2]の放電は抑止される。その後、発光用スイッチSWr[2]がオンとされると、
図7に示されるものと同様にコンデンサCr[1,2]の放電が行われる。つまり、発光装置1E_aでは充電用ダイオードD[1,1]が無くとも充電用ダイオードD[1,1]が設置された場合と同等の第1単位動作を実行できる。第2~第4単位動作についても同様である。
【0127】
<<第10実施例>>
第10実施例を説明する。上述の任意の発光装置1において各充電用ダイオードDを抵抗に置換する変形を施しても良い。当該変形が施された発光装置1の例として
図19に発光装置1E_bを示す。
【0128】
発光装置1E_bは、第5実施例に係る発光装置1E(
図14参照)を基準に各充電用ダイオードDを直列抵抗Raに置換した構成を持つ。当該置換を除き、発光装置1E_bは発光装置1Eと同じ構成を有する。発光装置1E_bにおいて発光単位回路U[i,j]における直列抵抗Raを直列抵抗Ra[i,j]と称する。発光装置1E_bでは、発光単位回路U[i,j]においてコンデンサCr[i,j]に対して直列抵抗Ra[i,j]が直列接続され、コンデンサCr[i,j]の第1端と入力ノードX[i,j]との間に(従ってコンデンサCr[i,j]の第1端と充電用配線WRc[i]との間に)直列抵抗Ra[i,j]が挿入される。このため、発光装置1E_bでは、充電切り替え回路20からコンデンサCr[i,j]への充電電流は直列抵抗Ra[i,j]を通じてコンデンサCr[i,j]に供給される。尚、充電用ダイオードDを直列抵抗Raに置換する変形は、発光装置1A~1Dの何れに対しても適用できる。
【0129】
発光装置1E_bにおいて上述の基本発光制御(
図4及び
図8参照)が実行されることを考える。基本発光制御における第1単位動作において充電用スイッチSWc[1]が所定時間tc_onだけオンとされた後、発光用スイッチSWr[1]がオンとされたとき(
図5及び
図6参照)、発光装置1E_bでは、コンデンサCr[1,1]だけでなくコンデンサCr[1,2]も発光素子LD[1,1]に向けて放電される。しかしながら、直列抵抗Ra[1,2]及びRa[1,1]の存在によりコンデンサCr[1,2]の放電電荷量は軽減され、第1単位動作にて発光用スイッチSWr[1]がオフとなった後もコンデンサCr[1,2]はある程度充電された状態にある。その後、発光用スイッチSWr[2]がオンとされると、
図7に示されるものと同様にコンデンサCr[1,2]の放電が行われる。但し、発光用スイッチSWr[1]のオン期間にてコンデンサCr[1,2]が放電された分だけ、コンデンサCr[1,2]の放電電荷量は少なくなり、結果、発光素子LD[1,1]と比べて発光素子LD[1,2]の発光強度は小さくなる。
【0130】
故に、発光素子LD[1,1]と比べて発光素子LD[1,2]の発光強度を小さくすることが希望される場合に、第10実施例に係る方法は好適である。各直列抵抗Raの値の調整を通じて、発光素子LD[1,1]及びLD[1,2]間の発光強度の差を任意に調整できる。発光素子LD[2,1]及びLD[2,2]の組み合わせ等についても同様である。
【0131】
<<第11実施例>>
第11実施例を説明する。各発光用スイッチSWrは複数のスイッチング素子の並列回路にて構成されていても良い。
図20に、1つの発光用スイッチSWr[j]が2つのスイッチング素子SWa及びSWbの並列回路にて構成される例を示す。発光用スイッチSWr[j]について以下に述べる内容は、“1≦j≦N”を満たす各整数jに対して適用される。
【0132】
スイッチング素子SWa及びSWbはNチャネルのMOSFETである。発光用スイッチSWr[j]において、スイッチング素子SWa及びSWbの各ドレインは発光用配線WRr[j]に接続され、スイッチング素子SWa及びSWbの各ソースはグランド配線WRgndに接続される。
図20には示されないが、スイッチング素子SWa及びSWbの各ドレインと発光用配線WRr[j]との間にシャント抵抗Rs[j]が挿入され得る。制御回路40は、スイッチング素子SWa及びSWbの各ゲートに対してハイレベル又はローレベルのゲート信号を供給することで、スイッチング素子SWa及びSWbを個別にオン又はオフに制御する。
【0133】
発光用スイッチSWr[j]がスイッチング素子SWa及びSWbの並列回路で構成される場合、発光用スイッチSWr[j]のオン状態とは、発光用スイッチSWr[j]のスイッチング素子SWa及びSWbの内、双方がオンとされる状態であっても良いし、何れか一方のみがオンとされる状態であっても良い。
【0134】
図21に第11実施例に係る発光装置1E_cを示す。各発光用スイッチSWをスイッチング素子SWa及びSWbにて構成する変形を
図14の発光装置1Eに適用することで発光装置1E_cが得られる。同様の変形を発光装置1A~1Dの何れかに適用しても良い。発光装置1E_cにおいて以下のような発光制御を行うことができる。
【0135】
即ち例えば、制御回路40は、第1及び第3単位動作において発光用スイッチSWr[1]をオンに制御するときには発光用スイッチSWr[1]のスイッチング素子SWaのみをオンとし、第2及び第4単位動作において発光用スイッチSWr[1]をオンに制御するときには発光用スイッチSWr[1]のスイッチング素子SWbのみをオンとする。これにより、発光素子LD[1,1]及びLD[3,1]に流れる電流は発光用スイッチSWr[1]のスイッチング素子SWaを通過し、発光素子LD[2,1]及びLD[4,1]に流れる電流は発光用スイッチSWr[1]のスイッチング素子SWbを通過する。結果、発光用スイッチSWr[1]での発熱をスイッチング素子SWa及びSWbにて分散することができる。
【0136】
また、発光用スイッチSWr[1]が単体のスイッチング素子で構成される場合、発光素子LD[1,1]~LD[4,1]と当該単体のスイッチング素子との配線長が比較的長くなる可能性がある。配線長の増大はインダクタンス成分の増大を招く。発光用スイッチSWr[1]を複数のスイッチング素子にて構成することは配線長の短縮に繋がる。発光用スイッチSWr[1]のスイッチング素子SWaを出力ノードY[1,1]及びY[3,1]の近辺に配置し、発光用スイッチSWr[1]のスイッチング素子SWbを出力ノードY[2,1]及びY[4,1]の近辺に配置するといったことが可能になるからである。
【0137】
発光用スイッチSWr[2]についても同様である。即ち制御回路40は、第1及び第3単位動作において発光用スイッチSWr[2]をオンに制御するときには発光用スイッチSWr[2]のスイッチング素子SWaのみをオンとし、第2及び第4単位動作において発光用スイッチSWr[2]をオンに制御するときには発光用スイッチSWr[2]のスイッチング素子SWbのみをオンとすることができる。
【0138】
発光用スイッチSWr[j]が2つのスイッチング素子SWa及びSWbの並列回路にて構成されるときの具体的動作例を説明したが、発光用スイッチSWr[j]は3以上のスイッチング素子の並列回路にて構成されていても良い。
【0139】
<<第12実施例>>
第12実施例を説明する。上述の各実施例では、基本的に充電用スイッチSWc[i]のオン期間においてコンデンサCr[i,1]~Cr[i,N]の両端子間電圧が入力電圧Vin[i]にまで高められることを想定している(充電用ダイオードDの順方向電圧を無視)。この想定の下、発光装置1Eの構成の採用により(
図14及び
図15)、入力電圧Vin[1]~Vin[M]を相違させることを通じて複数の発光素子LD間で発光強度を異ならせることができる。
【0140】
但し、入力電圧Vin[1]~Vin[M]が共通とされる発光装置1(例えば発光装置1A~1Dの何れか)において、以下の変形充電方法の採用により、複数の発光素子LD間で発光強度を異ならせても良い。発光装置1A~1Dを例にとり、変形充電方法を説明する(例えば
図3参照)。
【0141】
第i単位期間における充電用スイッチSWc[i]のオン時間を記号“tc_on[i]”にて表す。オン時間tc_on[i]は、第i単位期間にて充電用スイッチSWc[i]がオン状態に保たれる時間(時間の長さ)を表す。上述の第1実施例等では共通の所定時間tc_onがオン時間tc_on[1]~tc_on[4]に設定されることが想定されているが、変形充電方法に係る制御回路40は、オン時間tc_on[1]~tc_on[4]を個別に設定でき、オン時間tc_on[1]~tc_on[4]の内、2以上のオン時間を互いに異ならせることができる。
【0142】
例えば、発光装置1A~1Dにおいて変形充電方法に係る制御回路40は、充電用スイッチSWc[1]のオン期間にてコンデンサCr[1,1]及びCr[1,2]の両端子間電圧が入力電圧Vinにまで高められるよう、オン時間tc_on[1]を十分に長く設定する。これに対し、発光装置1A~1Dにおいて変形充電方法に係る制御回路40は、充電用スイッチSWc[2]のオン期間にてコンデンサCr[2,1]及びCr[2,2]の両端子間電圧が電圧(Vin/2)までしか高まらないよう、オン時間tc_on[2]をオン時間tc_on[1]よりも短く設定する。そうすると、各発光素子LDを発光させる際、発光素子LD[1,1]及びLD[1,2]の発光強度と比べて、発光素子LD[2,1]及びCr[2,2]の発光強度を低くすることができる。即ち、発光装置1Eにおいて“Vin[1]>Vin[2]”に設定したときと同様の効果が得られる。
【0143】
<<第13実施例>>
第13実施例を説明する。
【0144】
発光素子LDは電流の供給を受けて発光する任意の種類の発光素子であって良い。従って例えば、発光素子LDは発光ダイオード(LED)であっても良く、有機エレクトロルミネッセンスを実現する有機LEDでも良い。
【0145】
任意の信号又は電圧に関して、上述の主旨を損なわない形で、それらのハイレベルとローレベルの関係は上述したものの逆とされ得る。
【0146】
各実施形態に示されたFET(電界効果トランジスタ)のチャネルの種類は例示である。上述の主旨を損なわない形で、任意のFETのチャネルの種類はPチャネル型及びNチャネル型間で変更され得る。
【0147】
不都合が生じない限り、上述の任意のトランジスタは、任意の種類のトランジスタであって良い。例えば、MOSFETとして上述された任意のトランジスタを、不都合が生じない限り、接合型FET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はバイポーラトランジスタに置き換えることも可能である。任意のトランジスタは第1電極、第2電極及び制御電極を有する。FETにおいては、第1及び第2電極の内の一方がドレインで他方がソースであり且つ制御電極がゲートである。IGBTにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がゲートである。IGBTに属さないバイポーラトランジスタにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がベースである。
【0148】
また、充電用スイッチSWcについては高速動作の必要性が少ないため、半導体によるスイッチング素子ではなく、リレースイッチ(電磁リレー)を充電用スイッチSWcとして用いても良い。
【0149】
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【0150】
<<付記>>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
【0151】
本開示の一側面に係る発光装置(1;
図1及び
図2等参照)は、各々が電流の供給を受けて発光するよう構成された発光素子(LD)及び前記発光素子への供給用電荷を蓄積するよう構成されたコンデンサ(Cr)を有する第1~第L発光単位回路(L個の発光単位回路U)と、第1~第M充電用スイッチ(SWc[1]~SWc[M])を有し、各コンデンサへの充電電流の供給又は非供給を切り替えるよう構成された充電切り替え回路(20)と、第1~第N発光用スイッチ(SWr[1]~SWr[N])を有し、各発光単位回路における前記コンデンサの蓄積電荷の前記発光素子への供給又は非供給を切り替えるよう構成された発光切り替え回路(30)と、各充電用スイッチ及び各発光用スイッチの状態を制御するよう構成された制御回路(40)と、備え、各充電用スイッチは、第1~第L発光単位回路の内、2以上の発光単位回路に対応付けられ、第1~第M充電用スイッチにおける2つの充電用スイッチの組み合わせの夫々について、一方の充電用スイッチに対応付けられる前記2以上の発光単位回路と、他方の充電用スイッチに対応付けられる前記2以上の発光単位回路と、は互いに異なり、第1~第M充電用スイッチの夫々は、自身に対応付けられた前記2以上の発光単位回路中の各コンデンサに対する充電電流の供給又は非供給を切り替え、各発光用スイッチは、第1~第L発光単位回路の内、複数の発光単位回路に対応付けられ、第1~第N発光用スイッチにおける2つの発光用スイッチの組み合わせの夫々について、一方の発光用スイッチに対応付けられる前記複数の発光単位回路と、他方の発光用スイッチに対応付けられる前記複数の発光単位回路と、は互いに異なり、第1~第N発光用スイッチの夫々は、自身に対応付けられた前記複数の発光単位回路について、前記発光素子に対する前記コンデンサの蓄積電荷の供給又は非供給を切り替え、Lは4以上の整数を表し、M及びNは2以上の整数を表す構成(第1の構成)である。
【0152】
これにより、
図9に示すような構成との比較において、回路サイズを低減することができる。
【0153】
上記第1の構成に係る発光装置において(例えば第2実施例、
図11参照)、各発光単位回路において前記コンデンサは第1端及び第2端を有し、各発光単位回路において、前記充電切り替え回路を通じて充電電流が前記コンデンサに供給されるとき、前記コンデンサの第2端の電位から見て前記第コンデンサの第1端の電位が高まり、各発光単位回路において、前記発光素子は第1端及び第2端を有し、前記発光素子の第1端から前記発光素子の第2端に向けて電流が流れることで前記発光素子が発光し、各発光単位回路において、前記発光素子に対して保護ダイオード(Dp)を含む並列回路が並列接続され、前記保護ダイオードの順方向は前記発光素子の第2端から前記発光素子の第1端に向かう向きであり、各発光単位回路において、前記コンデンサの第1端と前記発光素子の第1端との間に逆流阻止ダイオード(Db)が挿入され、前記逆流阻止ダイオードの順方向は前記コンデンサの第1端から前記発光素子の第1端に向かう向きである構成(第2の構成)であっても良い。
【0154】
保護ダイオードの設置により、発光素子へ過大な逆バイアス電圧が印加されることが抑制される。逆流阻止ダイオードの設置により、保護ダイオードを通じた電荷のコンデンサへの流入が抑制される。
【0155】
上記第2の構成に係る発光装置において(例えば第3実施例、
図12参照)、各発光単位回路において、前記並列回路は前記保護ダイオードに直列接続された抵抗(Rp)を含む構成(第3の構成)であっても良い。
【0156】
これにより、保護ダイオードを通じた電荷のコンデンサへの流入を更に抑制することができる。
【0157】
上記第2又は第3の構成に係る発光装置において、各発光単位回路は充電用ダイオード(D)を有し、各発光単位回路において、前記充電用ダイオードは前記コンデンサに直列接続され、前記充電用ダイオードは前記充電切り替え回路から前記コンデンサに向かう向きに順方向を有し、前記充電切り替え回路から前記コンデンサへの充電電流は前記充電用ダイオードを通じて前記コンデンサに供給される構成(第4の構成)であっても良い。
【0158】
上記第2又は第3の構成に係る発光装置において(第9実施例、
図18参照)、各発光単位回路は第1種類の発光単位回路又は第2種類の発光単位回路であって、第1~第L発光単位回路は第1種類の発光単位回路及び第2種類の発光単位回路を夫々に2以上含み、第1種類の発光単位回路及び第2種類の発光単位回路の内、第1種類の発光単位回路のみに充電用ダイオード(D)が設けられ、2以上の第1種類の発光単位回路の夫々において、前記充電用ダイオードは前記コンデンサに直列接続され、前記充電用ダイオードは前記充電切り替え回路から前記コンデンサに向かう向きに順方向を有し、前記充電切り替え回路から前記コンデンサへの充電電流は前記充電用ダイオードを通じて前記コンデンサに供給される構成(第5の構成)であっても良い。
【0159】
上記第2又は第3の構成に係る発光装置において(第10実施例、
図19参照)、各発光単位回路は直列抵抗(Ra)を有し、各発光単位回路において、前記直列抵抗は前記コンデンサに直列接続され、前記充電切り替え回路から前記コンデンサへの充電電流は前記直列抵抗を通じて前記コンデンサに供給される構成(第6の構成)であっても良い。
【0160】
上記第1~第6の構成の何れかに係る発光装置において、L>M+Nが満たされる構成(第7の構成)であっても良い。
【0161】
これにより、
図9に示すような構成との比較において、スイッチの必要数などを低減することができる。
【0162】
上記第1~第7の構成の何れかに係る発光装置において、第1~第N発光用スイッチに流れる電流を個別に検出するための第1~第Nシャント抵抗(
図13ではRs[1]及びRs[2])を更に備える構成(第8の構成)であっても良い。
【0163】
上記第1~第7の構成の何れかに係る発光装置において(
図1参照)、各発光単位回路は第1~第N発光グループ(GRP[1]~GRP[N])の何れかに属し、第j発光グループに属する各発光単位回路は第j発光用スイッチ(SWr[j])に対応付けられ、各発光グループはM個の発光単位回路(U[1,j]~U[M,j])を含み、第i充電用スイッチに対し、各発光グループにおける第i番目の発光単位回路(U[i,j])が対応付けられ、iはM以下の自然数を表し、jはN以下の自然数を表す構成(第9の構成)であっても良い。
【0164】
上記第9の構成に係る発光装置において(
図1参照)、第1~第M充電用スイッチの第1端は、夫々、第1~第M入力配線(WRin[1]~WRin[M])に接続され、第1~第M入力配線には夫々第1~第M入力電圧(Vin[1]~Vin[M])が加わり、第1~第M充電用スイッチの第2端は、夫々、第1~第M充電用配線(WRc[1]~WRc[M])に接続され、各発光グループにおける第i番目の発光単位回路(U[i,j])は第i充電用配線(WRc[i])に接続され、第i充電用スイッチがオンであるとき、第i入力電圧に基づく充電電流が、第i充電用スイッチ及び第i充電用配線を通じ、各発光グループにおける第i番目の発光単位回路中の前記コンデンサに供給される充電動作が実行され、第i充電用スイッチがオフであるとき前記充電動作が非実行とされ、第1~第N発光用スイッチの第1端は、夫々、第1~第N発光用配線(WRr[1]~WRr[N])に接続され、第1~第N発光用スイッチの各第2端は基準電位を有する基準配線(WRgnd)に接続され、第j発光グループに属する各発光単位回路(U[1,j]~U[M,j])は第j発光用配線(WRr[j])に接続され、第j発光グループに属する各発光単位回路において前記コンデンサの蓄積電荷による放電電流は、第j発光用スイッチがオンであるときに、対応する前記発光素子と第j発光用配線及び第j発光用スイッチとを通じて流れる構成(第10の構成)であっても良い。
【0165】
上記第10の構成に係る発光装置において(
図4及び
図8参照)、前記制御回路は、第1~第M単位動作を含む発光制御を実行し、第i単位動作において、第i充電用スイッチを所定時間だけオンとした後、1以上の発光用スイッチをオンとする構成(第11の構成)であっても良い。
【0166】
上記第11の構成に係る発光装置において(
図4及び
図8参照)、前記制御回路は、第i単位動作において、第i充電用スイッチを前記所定時間だけオンとした後、第1~第N発光用スイッチを互いに異なるタイミングで順次オンとする構成(第12の構成)であっても良い。
【0167】
上記第11の構成に係る発光装置において(
図4及び
図8参照)、前記制御回路は、前記発光制御において、前記第1~第M単位動作を互いに異なるタイミングで順次実行する構成(第13の構成)であっても良い。
【0168】
上記第11又は第12の構成に係る発光装置において(第8実施例、
図17参照)、前記制御回路は、前記発光制御において、第1~第M充電用スイッチの内、2以上の充電用スイッチを同時にオンさせる構成(第14の構成)であっても良い。
【0169】
上記第10~第14の構成の何れかに係る発光装置において(例えば
図3参照)、第1~第M入力電圧は共通の入力電圧であり、第1~第M入力配線は前記共通の入力電圧が加わる共通の入力配線である構成(第15の構成)であっても良い。
【0170】
上記第10~第14の構成の何れかに係る発光装置において(例えば
図14及び
図15参照)、互いに異なる2以上の入力電圧が第1~第M入力電圧に含まれる構成(第16の構成)であっても良い。
【0171】
上記第10~第14の構成の何れかに係る発光装置において(第6実施例、
図14~
図16参照)、第1~第Nシャント抵抗(
図14ではRs[1]及びRs[2])を更に備え、第jシャント抵抗は第j発光用スイッチに対して直列接続され、前記制御回路は、第1~第Nシャント抵抗で発生する電圧降下に基づき第1~第N発光用スイッチに流れる電流を個別に検出し、その検出結果に基づき第1~第M入力電圧の何れかを可変設定する構成(第17の構成)であっても良い。
【0172】
これにより、任意の発光素子の発光強度を所望に制御する、又は、任意の複数の発光素子間で発光強度を均等にする、といったことが可能となる。
【0173】
上記第10~第14の構成の何れかに係る発光装置において(第7実施例参照)、互いに異なる2以上の入力電圧が第1~第M入力電圧に含まれ、前記制御回路は、第p入力電圧が第q入力電圧よりも高いとき、第p充電用スイッチのオンデューティを第q充電用スイッチのオンデューティよりも低く設定し、p及びqはM以下の互いに異なる自然数を表す構成(第18の構成)であっても良い。
【0174】
これにより、第p充電用スイッチ及び第q充電用スイッチに対応する複数の発光素子間で発熱量の差を低減することができる。
【符号の説明】
【0175】
1、1A~1E、1E_a~1E_c 発光装置
2 受光回路
3 検出回路
DSNS 距離センサ
10 発光ブロック
20 充電切り替え回路
30 発光切り替え回路
40 制御回路
Vin、Vin[1]~Vin[M] 入力電圧
WRin[1]~WRin[M] 入力配線
SWc[1]~SWc[M] 充電用スイッチ
Gc[1]~Gc[M] ゲート信号
WRc[1]~WRc[M] 充電用配線
GRP[1]~GRP[N] 発光グループ
WRr[1]~WRr[N] 発光用配線
SWr[1]~SWr[N] 発光用スイッチ
Gr[1]~Gr[N] ゲート信号
WRgnd グランド配線
U[1,1]~U[M,N] 単位発光回路
X[1,1]~X[M,N] 入力ノード
Y[1,1]~Y[M,N] 出力ノード
VS、VS[1]~VS[4] 電圧源
Cin、Cin[1]~Cin[4] 入力コンデンサ
Rin、Rin[1]~Rin[4] 入力抵抗
D[1,1]~D[4,2] 充電用ダイオード
Cr[1,1]~Cr[4,2] コンデンサ
LD[1,1]~LD[4,2] 発光素子
Db[1,1]~Db[4,2] 逆流阻止ダイオード
Dp[1,1]~Dp[4,2] 保護ダイオード
Rp[1,1]~Rp[4,2] 抵抗
PB 電源ブロック
Ts[1,1]~Ts[4,2] サンプリング時刻
Ra[1,1]~Ra[4,2] 直列抵抗
SWa、SWb スイッチング素子
901 発光装置
910 発光素子
920 スイッチ
930 ドライブ回路
940 コンデンサ