(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154650
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】シート後処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/10 20060101AFI20241024BHJP
B65H 33/06 20060101ALI20241024BHJP
B65H 31/34 20060101ALI20241024BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B65H31/10
B65H33/06
B65H31/34
B65H7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068590
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷井 英雄
(72)【発明者】
【氏名】間嶋 竜也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良典
(72)【発明者】
【氏名】天井 諒
【テーマコード(参考)】
3F048
3F054
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA29
3F048BB02
3F048DC13
3F048EB40
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BB05
3F054BB07
3F054BD02
3F054BD06
3F054BE02
3F054BE09
3F054BH08
3F054BH14
3F054BJ04
3F054BJ11
3F054CA16
3F054CA23
3F054DA06
3F054DA14
(57)【要約】
【課題】シートの排出に係る生産性の低下を抑制しつつ、多数のシートを排出トレイ上に整然と積載することが可能なシート後処理装置を提供する。
【解決手段】シート後処理装置1は、第1排出トレイ33と、シート揃え機構16と、トレイ昇降機構17と、後処理制御部12と、を備える。後処理制御部12は、ジョブの完了までの第1排出トレイ33の想定下降量を算出し、当該想定下降量に基づき、シート揃え機構16によってシートをシート幅方向に移動することなくシートの第1排出トレイ33への排出を行う第1排出モードと、シート揃え機構16によってシートをシート幅方向に交互に移動しながらシートの第1排出トレイ33への排出を行う第2排出モードと、を選択的に実行する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが積載される処理トレイと、
前記処理トレイ上に積載された前記シートに所定の処理を施す後処理部と、
前記処理トレイのシート排出方向下流側に配置された排出部と、
前記排出部によって排出された前記シートが積載される排出トレイと、
前記処理トレイ上の前記シートを前記シート排出方向と直交するシート幅方向に移動させて揃えるシート揃え機構と、
前記排出トレイを昇降させるトレイ昇降機構と、
前記排出トレイのシート積載面または前記排出トレイ上に積載された前記シートの上面を検知する上面検知センサーと、
前記排出部、前記シート揃え機構及び前記トレイ昇降機構の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記排出トレイに前記シートを排出するジョブ中に、前記シートを排出する毎に、前記上面検知センサーの検知結果に基づいて前記トレイ昇降機構によって前記排出トレイを下降させ、
前記ジョブの完了までの前記排出トレイの想定下降量を算出し、当該想定下降量に基づき、
前記シート揃え機構によって前記シートを前記シート幅方向に移動することなく前記シートの前記排出トレイへの排出を行う第1排出モードと、
前記シート揃え機構によって前記シートを前記シート幅方向に交互に移動しながら前記シートの前記排出トレイへの排出を行う第2排出モードと、
を選択的に実行することを特徴とするシート後処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記シートを排出する毎に下降される前記排出トレイの1回あたりの下降量と、前記ジョブ中に前記排出トレイに排出される前記シートの総量と、に基づいて前記想定下降量を算出することを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記想定下降量が、前記排出トレイ上に積載された前記シートの積載限界量より多い場合に、前記第2排出モードを選択することを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項4】
当該シート後処理装置の状態を報知する報知部と、
前記第1排出モードの実行時に、前記排出トレイが第1下限位置まで下降したことを検知する第1下限センサーと、
前記第2排出モードの実行時に、前記排出トレイが第2下限位置まで下降したことを検知する第2下限センサーと、
を備え、
前記制御部は、前記排出トレイが前記第1下限位置または前記第2下限位置まで下降したことが検知された場合に、前記排出トレイ上に前記シートが満杯であることを示す情報を、前記報知部を介して報知することを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【請求項5】
前記後処理部は、前記処理トレイ上に積載された複数枚の前記シートに綴じ処理を施すステープル部を含むことを特徴とする請求項1に記載のシート後処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置によって画像形成された後のシートに対して後処理を施すシート後処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の画像形成装置によって画像形成された後の複数枚のシートに綴じ処理等の後処理を施すシート後処理装置が知られている。ステープルによって綴じ処理が施されたシート束を排出トレイ上に排出して積載する場合、綴じ部分が厚くなるために複数のシート束を整然と積載することが困難であり、従来その対策がとられてきた。
【0003】
例えば、特許文献1に開示された従来のシート処理装置は、ステープルされたシート束を排出する際、決定された部数のシート束が排出トレイ上に積載される毎に、シート束の積載位置を変更する。この構成によれば、処理効率を劣化させることなく、ステープルされたシート束の積載性を十分確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術は、排出トレイ上に積載されたシート束の山が崩れる虞がない状況であるにもかかわらず、シート束の積載位置を変更する動作が行われることに課題があった。これにより、排出トレイ上へのシートの排出に係る生産性が低下することが懸念された。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、シートの排出に係る生産性の低下を抑制しつつ、多数のシートを排出トレイ上に整然と積載することが可能なシート後処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のシート後処理装置は、処理トレイと、処理部と、排出部と、排出トレイと、シート揃え機構と、トレイ昇降機構と、上面検知センサーと、制御部と、を備える。前記処理トレイは、シートが積載される。前記処理部は、前記処理トレイ上に積載された前記シートに所定の処理を施す。前記排出部は、前記処理トレイのシート排出方向下流側に配置される。前記排出トレイは、前記排出部によって排出された前記シートが積載される。前記シート揃え機構は、前記処理トレイ上の前記シートを前記シート排出方向と直交するシート幅方向に移動させて揃える。前記トレイ昇降機構は、前記排出トレイを昇降させる。前記上面検知センサーは、前記排出トレイのシート積載面または前記排出トレイ上に積載された前記シートの上面を検知する。前記制御部は、前記排出部、前記シート揃え機構、及び前記トレイ昇降機構の動作を制御する。前記制御部は、前記排出トレイに前記シートを排出するジョブ中に、前記シートを排出する毎に、前記上面検知センサーの検知結果に基づいて前記トレイ昇降機構によって前記排出トレイを下降させ、前記ジョブの完了までの前記排出トレイの想定下降量を算出し、当該想定下降量に基づき、前記シート揃え機構によって前記シートを前記シート幅方向に移動することなく前記シートの前記排出トレイへの排出を行う第1排出モードと、前記シート揃え機構によって前記シートを前記シート幅方向に交互に移動しながら前記シートの前記排出トレイへの排出を行う第2排出モードと、を選択的に実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、排出トレイの想定下降量、すなわち排出トレイ上へのシートの積載量に基づき、シート排出時にシートをシート幅方向に移動するか否かが選択される。これにより、排出トレイ上に積載されたシート束の山が崩れる虞がないと想定される場合、シート束の積載位置を変更する動作が行われない。したがって、シートの排出に係る生産性の低下を抑制しつつ、多数のシートを排出トレイ上に整然と積載することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態のシート後処理装置の概略断面正面図である。
【
図2】
図1のシート後処理装置の制御系構成を示すブロック図である。
【
図3】
図1のシート後処理装置の第1シート排出部周辺を示す部分断面正面図である。
【
図4】
図1のシート後処理装置におけるシート排出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0011】
図1は、一実施形態のシート後処理装置1の概略断面正面図である。
図2は、
図1のシート後処理装置1の制御系構成を示すブロック図である。シート後処理装置1は、例えば画像形成装置(不図示)の側面に対して着脱可能に連結される。シート後処理装置1は、画像形成装置によって画像形成(印刷)された後のシートに対して後処理を行う。
【0012】
シート後処理装置1は、
図1に示すように、シート搬入路2と、第1シート排出部(排出部)3と、第1シート排出路4と、第2シート排出部5と、第2シート排出路6と、第3シート排出部7と、第3シート排出路8と、後処理部11と、後処理制御部(制御部)12と、を備える。
【0013】
また、シート後処理装置1は、操作パネル1cを備える。操作パネル1cは、例えば本体の正面上部に配置され、液晶ディスプレイ等の表示部1dを含む。表示部1dは、例えばシート後処理装置1の状態や注意事項、エラーメッセージなどを表示することで、それらをユーザーに対して報知するための報知部としての役割も果たす。
【0014】
シート搬入路2は、シート搬入口2eを有する。シート搬入口2eは、シート後処理装置1の、画像形成装置(不図示)と対向する側面に設けられ、開口する。画像形成装置からシート後処理装置1に向けて搬送されたシートは、シート搬入口2e及びシート搬入路2を通ってシート後処理装置1の内部に搬入される。
【0015】
シート搬入路2は、シート搬入口2eから後述するシート折り部113まで、画像形成装置から離れる方向(
図1における左方向)に略水平方向に延びる。なお、この説明において、シート搬入口2eからシート後処理装置1の内部に向かう方向を、シート搬入路2におけるシート搬送方向と呼ぶ。シート搬入口2eは、シート搬入路2のシート搬送方向の上流端に位置する。
【0016】
シート搬入路2には、送りローラー対2rが配置される。送りローラー対2rは、搬送駆動部13から駆動力が付与されて回転する。送りローラー対2rは、シート搬入口2eからシート後処理装置1内に搬入されたシートを、シート搬入路2上においてシート搬送方向の下流側に向けて搬送する。
【0017】
シート搬入路2は、第1分岐部2aと、第2分岐部2bと、を有する。第1分岐部2aは、シート搬入路2のシート搬送方向に対し、第2分岐部2bの上流側に位置する。第2分岐部2bは、シート搬入路2のシート搬送方向の下流端部に位置する。
【0018】
第1分岐部2aは、シート搬入路2上においてシート搬入口2e側からシート搬送方向下流側に向かって搬送されるシートを、第1シート排出部3及び第2シート排出部5に導く方向と、第3シート排出部7に導く方向とに、シートの搬送方向を切り替える。第2分岐部2bは、シート搬入路2上においてシート搬入口2e側からシート搬送方向下流側に向かって搬送されるシートを、第1シート排出部3に導く方向と、第2シート排出部5に導く方向とに、シートの搬送方向を切り替える。
【0019】
第1シート排出部(排出部)3は、シート後処理装置1の、画像形成装置と対向する側面に対して反対側の側面1aに設けられる。第1シート排出部3は、第1排出口31と、第1排出ローラー対32と、第1排出トレイ(排出トレイ)33と、を有する。
【0020】
第1排出口31は、第1シート排出路4のシート排出方向の下流端に位置する。第1排出ローラー対32は、第1排出口31に配置される。第1排出トレイ33は、第1排出口31のシート排出方向の下流側に位置する。第1シート排出路4を搬送され、第1排出口31に到達したシートは、第1排出ローラー対32によって、第1排出口31を通して第1排出トレイ33上に排出される。なお、第1排出ローラー対32は、排出駆動部14から駆動力が付与されて回転する。第1排出トレイ33は、シート後処理装置1によって後処理が施されたシートの最終的な排出場所の1つである。
【0021】
第1シート排出路4は、シート搬入路2のシート排出方向の下流端から連続し、第1シート排出部3まで画像形成装置から離れる方向(
図1における左方向)に略水平方向に延びる。なお、この説明において、シート後処理装置1の内部から第1シート排出部3に向かう方向(
図1における左方向)を、第1シート排出路4におけるシート排出方向と呼ぶ。第1シート排出路4には、送りローラー対4rが配置される。送りローラー対4rは、搬送駆動部13から駆動力が付与されて回転する。送りローラー対4rは、シート搬入路2を通って第2分岐部2bに到達したシートを、第1シート排出路4上においてシート排出方向の下流側、すなわち第1シート排出部3に向けて搬送する。
【0022】
第2シート排出部5は、シート後処理装置1の、画像形成装置と対向する側面に対して反対側の側面1aであって、第1シート排出部3の上側に設けられる。第2シート排出部5は、第2排出口51と、第2排出ローラー対(排出ローラー対)52と、第2排出トレイ53と、を有する。
【0023】
第2排出口51は、第2シート排出路6のシート排出方向の下流端に位置する。第2排出ローラー対52は、第2排出口51に配置される。第2排出トレイ53は、第2排出口51のシート排出方向の下流側に位置する。第2シート排出路6を搬送され、第2排出口51に到達したシートは、第2排出ローラー対52によって、第2排出口51を通して第2排出トレイ53上に排出される。なお、第2排出ローラー対52は、排出駆動部14から駆動力が付与されて回転する。第2排出トレイ53は、シート後処理装置1によって後処理が施されたシートの最終的な排出場所の1つである。
【0024】
第2シート排出路6は、シート搬入路2のシート排出方向の下流部に位置する第2分岐部2bから分岐し、第2シート排出部5まで画像形成装置から離れる方向(
図1における左方向)に横方向に、且つ上方向に延びる。なお、この説明において、第2分岐部2bから第2シート排出部5に向かう方向(
図1における左上方向)を、第2シート排出路6におけるシート排出方向と呼ぶ。第2シート排出路6には、送りローラー対6rが配置される。送りローラー対6rは、搬送駆動部13から駆動力が付与されて回転する。送りローラー対6rは、シート搬入路2を通って第2分岐部2bに到達したシートを、第2シート排出路6上においてシート排出方向の下流側、すなわち第2シート排出部5に向けて搬送する。
【0025】
第3シート排出部7は、シート後処理装置1の、画像形成装置と対向する側面に対して反対側の側面1aであって、第1シート排出部3の下側に設けられる。言い換えれば、第3シート排出部7は、シート後処理装置1の底部付近に配置される。第3シート排出部7は、第3排出口71と、第3排出ローラー対72と、第3排出トレイ73と、を有する。
【0026】
第3排出口71は、第3シート排出路8のシート排出方向の下流端に位置する。第3排出ローラー対72は、第3排出口71に配置される。第3排出トレイ73は、第3排出口71のシート排出方向の下流側に位置する。第3シート排出路8を搬送され、第3排出口71に到達したシートは、第3排出ローラー対72によって、第3排出口71を通して第3排出トレイ73上に排出される。なお、第3排出ローラー対72は、排出駆動部14から駆動力が付与されて回転する。第3排出トレイ73は、シート後処理装置1によって後処理が施されたシートの最終的な排出場所の1つである。
【0027】
第3シート排出路8は、シート搬入路2のシート排出方向の下流部に位置する第1分岐部2aから分岐し、第3シート排出部7まで下方向に延びる。なお、この説明において、第1分岐部2aから第3シート排出部7に向かう方向を、第3シート排出路8におけるシート排出方向と呼ぶ。第3シート排出路8には、送りローラー対8rが配置される。送りローラー対8rは、搬送駆動部13から駆動力が付与されて回転する。送りローラー対8rは、シート搬入路2を通って第1分岐部2aに到達したシートを、第3シート排出路8上においてシート排出方向の下流側、すなわち第3シート排出部7に向けて搬送する。
【0028】
後処理部11は、画像形成装置によって画像形成され、シート後処理装置1内に搬入されたシートに対して所定の処理を施す。後処理部11は、穿孔部111と、ステープル部112と、シート折り部113と、製本部114と、を含む。
【0029】
穿孔部111は、シート搬入路2の、シート搬入口2eのすぐ下流側に配置される。穿孔部111は、シート搬入路2上を搬送されるシートに対して穿孔処理を施し、パンチ穴を形成することができる。
【0030】
ステープル部112は、第1シート排出路4の下方であって、第1シート排出部3の近傍に配置される。ステープル部112は、複数枚のシートをスタックして形成したシート束に対してステープル処理(綴じ処理)を施し、シート束を綴じることができる。
【0031】
シート折り部113は、シート搬入路2のシート搬送方向に対し、穿孔部111より下流側であって、ステープル部112より上流側に配置される。シート折り部113は、1枚のシートに対して折り処理を施し、折り目を形成することができる。
【0032】
製本部114は、第3シート排出路8のシート排出方向下流部であって、第3シート排出部7の近傍に配置される。製本部114は、複数枚のシートをスタックして形成したシート束に対し、シート排出方向の略中央部を折り曲げて綴じる中折り処理及び中綴じ処理を施し、冊子を形成することができる。
【0033】
後処理制御部12は、CPU、画像処理部、記憶部、並びにその他の電子回路及び電子部品を含む(いずれも不図示)。後処理制御部12は、画像形成装置(不図示)の本体制御部と通信可能に接続される。後処理制御部12は、本体制御部から指令を受け、CPUを用いて記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、シート後処理装置1に設けられた各構成要素の動作を制御してシート後処理装置1の機能に係る処理を行う。シート搬入路2、第1シート排出部3、第1シート排出路4、第2シート排出部5、第2シート排出路6、第3シート排出部7、第3シート排出路8、及び後処理部11のそれぞれは、後処理制御部12から個別に指令を受け、連動してシートに後処理を施す。なお、後処理制御部12の機能は、画像形成装置の本体制御部が有することにしても良い。
【0034】
続いて、第1シート排出部3周辺の構成について、
図3を用いて詳細に説明する。
図3は、
図1のシート後処理装置1の第1シート排出部3周辺を示す部分断面正面図である。
図3に示すシート排出方向Ddに関して、
図3における左側に対して右側(画像形成装置側)がシート排出方向Ddの「上流側」であり、
図3における右側に対して左側(第1シート排出部3側)がシート排出方向Ddの「下流側」である。また、シート排出方向Ddと直交する「シート幅方向」は、
図3の紙面に対して垂直な方向である。
【0035】
シート後処理装置1は、
図3に示すように、第1シート排出路4と、送りローラー対4rと、処理トレイ15と、シート揃え機構16と、ステープル部112と、第1排出口31と、第1排出ローラー対32と、第1排出トレイ33と、を備える。
【0036】
処理トレイ15は、第1シート排出路4のシート排出方向Ddの下流部の下方に配置される。詳細に言えば、処理トレイ15は、シート排出方向Ddに対し、第1シート排出路4の下流部に配置された送りローラー対4rよりも下流側であって、第1排出ローラー対32よりも上流側の直下に位置する。処理トレイ15のシート載置面15aは、シート排出方向Ddの下流側に向かうにつれて上昇する傾斜を有する。処理トレイ15は、第1シート排出路4を通して搬送されたシートShが積載され、シートShに所定の処理が施される。
【0037】
シート揃え機構16は、処理トレイ15に設けられる。シート揃え機構16は、一対のカーソル161と、カーソル駆動部162(
図2参照)と、を有する。
【0038】
一対のカーソル161は、処理トレイ15のシート載置面15a上に配置される。一対のカーソル161のそれぞれは、第1シート排出路4のシート幅方向の中央部に対し、シート幅方向の一端側及び他端側それぞれに配置され、シート幅方向に対向する。一対のカーソル161は、シート幅方向に延びるガイド部(不図示)に接続され、当該ガイド部の延伸方向、すなわちシート幅方向に沿って往復移動可能である。カーソル161は、処理トレイ15上に積載されたシートShの側端縁に接触する。
【0039】
カーソル駆動部162は、処理トレイ15のシート載置面15aよりも下側に配置される。カーソル駆動部162は、例えば駆動源であるモーターと、動力伝達機構である一対のプーリー及び当該プーリーに巻き掛けられるベルトと、を備える。なお、動力伝達機構は、ラックアンドピニオン機構等の他の機構であっても良い。カーソル駆動部162は、駆動源から供給された動力を、動力伝達機構を介して一対のカーソル161に伝達し、一対のカーソル161をシート幅方向に往復移動させる。
【0040】
シート揃え機構16は、処理トレイ15上に積載されたシートShをシート幅方向に移動させて揃える。さらに、シート揃え機構16は、揃えたシート束をまとめてシート幅方向の一端側、或いは他端側へシフト移動させることができる。第1シート排出路4のシート幅方向の中央部に対する一端側へのシフト移動量と、当該中央部に対する他端側へのシフト移動量とは、予め決定され、記憶部等に記憶されている。シート幅方向にシフト移動されたシート束は、そのまま第1排出トレイ33に排出される。シート後処理装置1は、シート束を一定数毎に、シート幅方向の一端側及び他端側へ交互にシフト移動させた状態にして、第1排出トレイ33上に積載することができる。
【0041】
ステープル部112は、シート排出方向Ddに対し、処理トレイ15の上流側に配置される。シート後処理装置1は、ステープル部112を用いて、処理トレイ15に積載されたシートShの束に対してステープル処理(綴じ処理)を施し、シート束を綴じることができる。
【0042】
第1排出口31は、シート排出方向Ddに対し、第1シート排出路4の下流端、且つ処理トレイ15の下流側に配置される。第1排出口31には、第1排出ローラー対32が配置される。処理トレイ15で所定の処理が完了したシートShは、第1排出口31を通して第1排出トレイ33に向けて排出される。
【0043】
第1排出ローラー対32は、第1排出口31に配置される。第1排出ローラー対32は、処理トレイ15上のシートShをシート排出方向Ddに排出し、さらにシートShを第1排出口31から第1排出トレイ33に排出する。第1排出ローラー対32の回転軸は、シート幅方向に沿って延びる。第1排出ローラー対32は、一対の下側排出ローラー32a及び上側排出ローラー32bを含む。
【0044】
下側排出ローラー32a及び上側排出ローラー32bは、排出駆動部14(
図2参照)に連結され、互いに独立して回転する。下側排出ローラー32a及び上側排出ローラー32bは、シートShを第1排出トレイ33側に排出する正回転と、シートShを処理トレイ15側に送る逆回転とが可能である。下側排出ローラー32a及び上側排出ローラー32bは、互いの周面が接触してニップ部32Nを形成し、当該ニップ部32Nに保持されたシートShを搬送する。
【0045】
第1排出ローラー対32の正回転によって第1排出口31から排出されたシートShは、第1排出トレイ33に積載される。また、第1排出ローラー対32のニップ部32NでシートShを保持し、当該シートShのシート排出方向Ddの上流端が送りローラー対4rのニップ部4Nを通過した状態において、第1排出ローラー対32を逆回転すると、当該シートShは処理トレイ15に搬送される。すなわち、後処理制御部12は、シートShを処理トレイ15に搬送する場合に、シートShのシート排出方向Ddの下流端部がシート排出口7を通過した後にシートShをスイッチバックさせて処理トレイ15に搬送する。
【0046】
第1排出トレイ33は、シート排出方向Ddに対し、第1排出口31の下流側の下方に配置される。第1排出トレイ33は、シート後処理装置1の側面1aの外側に、側面1aと対向して配置される。第1排出トレイ33のシート積載面33aは、シート排出方向Ddの下流側に向かうにつれて上昇する傾斜を有する。第1排出トレイ33のシート排出方向Ddの上流端は、第1排出トレイ33の下方に位置する。第1排出トレイ33には、第1排出ローラー対32によって第1排出口31から排出されたシートShが積載される。
【0047】
第1排出トレイ33は、上下方向に延びるガイド部(不図示)に接続され、当該ガイド部の延伸方向、すなわち上下方向に沿って往復移動可能である。第1排出トレイ33は、トレイ昇降機構17(
図2参照)に連結され、当該トレイ昇降機構17によって上下方向に往復移動、すなわち昇降される。トレイ昇降機構17は、昇降駆動部171(
図2参照)を有する。
【0048】
昇降駆動部171は、シート後処理装置1の側面1a周辺に配置される。昇降駆動部171は、例えば駆動源であるモーターと、動力伝達機構である一対のプーリー及び当該プーリーに巻き掛けられるベルトと、を備える。なお、動力伝達機構は、ラックアンドピニオン機構等の他の機構であっても良い。昇降駆動部171は、駆動源から供給された動力を、動力伝達機構を介して第1排出トレイ33に伝達し、第1排出トレイ33を上下方向に往復移動、すなわち昇降させる。
【0049】
第1排出トレイ33の昇降に関し、シート後処理装置1は、上面検知センサーSuと、第1下限センサーS1と、第2下限センサーS2と、を備える。
【0050】
上面検知センサーSuは、シート排出方向Ddに対し、第1排出トレイ33の上流部の上側に配置されている。上面検知センサーSuは、第1排出トレイ33のシート積載面33aまたは第1排出トレイ33上に積載されたシートShの上面を検知する光学センサーである。後処理制御部12は、上面検知センサーSuの検知結果に基づいてトレイ昇降機構17による第1排出トレイ33の昇降動作を制御する。
【0051】
詳細に言えば、後処理制御部12は、第1排出トレイ33にシートShを排出するジョブ中に、シートShを排出する毎に、上面検知センサーSuの検知結果に基づいてトレイ昇降機構17によって第1排出トレイ33を下降させる。第1排出トレイ33の昇降動作は、所定の枚数(例えば10枚)毎に、或いは所定の時間間隔(例えば数秒間隔)毎に実行される。これにより、シート積載面33a上のシートShの最上面は、一定の高さに維持される。
【0052】
第1下限センサーS1及び第2下限センサーS2は、上面検知センサーSuに対し、シート後処理装置1の側面1aの下方に配置されている。第1下限センサーS1は、第2下限センサーS2よりも上方に配置されている。第1下限センサーS1及び第2下限センサーS2は、上面検知センサーSuと同様の光学センサーで構成され、第1排出トレイ33の第1下限位置及び第2下限位置を検知する。第1下限センサーS1及び第2下限センサーS2は、第1排出トレイ33によって受光部の光路が遮蔽されたときに、第1排出トレイ33が第1下限位置または第2下限位置まで下降したことを検知する。
【0053】
そして、後処理制御部12は、第1排出トレイ33にシートShを排出するジョブの実行時に、当該ジョブの完了までの第1排出トレイ33の想定下降量を算出する。このとき、後処理制御部12は、シートShを排出する毎に下降される第1排出トレイ33の1回あたりの下降量と、ジョブ中に第1排出トレイ33に排出されるシートShの総量と、に基づいて想定下降量を算出する。
【0054】
第1排出トレイ33の1回あたりの下降量ついては、所定の枚数毎の下降量に係る情報が、或いは所定の時間間隔毎の下降量に係る情報が、記憶部等に予め記憶される。また、後処理制御部12は、ジョブ中に第1排出トレイ33に排出されるシートShの総量に係る情報を、画像形成装置の本体制御部から受信する。これにより、想定下降量を適正に算出することができる。
【0055】
そして、後処理制御部12は、算出した想定下降量に基づき、第1排出モードと、第2排出モードと、を選択的に実行する。第1排出モードでは、シート揃え機構16によってシートShをシート幅方向にシフト移動することなく、シートShの第1排出トレイ33への排出を行う。第2排出モードでは、シート揃え機構16によってシートShをシート幅方向に交互にシフト移動しながら、シートShの第1排出トレイ33への排出を行う。
【0056】
この構成によれば、第1排出トレイ33の想定下降量、すなわち第1排出トレイ33上へのシートShの積載量に基づき、シート排出時にシートShをシート幅方向に移動するか否かが選択される。これにより、第1排出トレイ33上に積載されたシート束の山が崩れる虞がないと想定される場合に、シート束の積載位置を変更する動作(シフト移動)が行われない。したがって、シートShの排出に係る生産性の低下を抑制しつつ、多数のシートShを第1排出トレイ33上に整然と積載することが可能になる。
【0057】
続いて、シート後処理装置1におけるシート排出処理の流れについて説明する。
図4は、
図1のシート後処理装置1におけるシート排出処理を示すフローチャートである。
【0058】
シート後処理装置1が第1排出トレイ33にシートShを排出するジョブを受信すると(
図4の「開始」)、後処理制御部12は、排出モードを第2排出モードに設定し(ステップS101)、シートShの排出を開始する(ステップS102)。第2排出モードが選択されることで、シートShは、第1排出トレイ33上のシート幅方向の一端側、或いは他端側に交互にシフト移動されながら排出される。
【0059】
次に、後処理制御部12は、受信したジョブに対し、シートShの排出が完了したか否かを判定する(ステップS103)。排出が完了した、すなわちジョブが完了した場合(ステップS103のYes)、後処理制御部12は
図4に係る処理を終了する。排出が完了していない、すなわちジョブが完了していない場合(ステップS103のNo)、ステップS104に移る。
【0060】
ジョブ中に、後処理制御部12は、上面検知センサーSuによって第1排出トレイ33上に積載されたシートShの上面を検知する(ステップS104)。そして、後処理制御部12は、上面検知センサーSuの検知結果に基づき、トレイ昇降機構17によって第1排出トレイ33を下降させる。
【0061】
次に、後処理制御部12は、当該ジョブの完了までの第1排出トレイ33の想定下降量を算出する(ステップS105)。
【0062】
そして、後処理制御部12は、算出した第1排出トレイ33の想定下降量が、第1排出トレイ33上に積載されたシートShの積載限界量より多いか否かを判定する(ステップS106)。なお、第1排出トレイ33に対するシートShの「積載限界量」は、第1排出トレイ33上に積載されたシート束の山が崩れないと想定される限界量である。当該積載限界量は、予め決定されて記憶部等に記憶されている。
【0063】
想定下降量が第1排出トレイ33の積載限界量より多い場合(ステップS106のYes)、ステップS107に移り、このまま第2排出モードが継続される。想定下降量が第1排出トレイ33の積載限界量以下である場合(ステップS106のNo)、ステップS109に移る。
【0064】
想定下降量が第1排出トレイ33の積載限界量より多い場合、後処理制御部12は、第1排出トレイ33上のシートShが無くなっていない、すなわち第1排出トレイ33上のシートShがユーザーによって取り去られていないか否かを判定する(ステップS107)。第1排出トレイ33上にシートShがまだ存在する場合(ステップS107のNo)、ステップS108に移る。第1排出トレイ33上のシートShが取り去られ、無くなっている場合(ステップS107のYes)、ステップS117に移る。
【0065】
第1排出トレイ33上にシートShがまだ存在する場合、後処理制御部12は、第2下限センサーS2の検知結果に基づき、第1排出トレイ33が第2下限位置まで下降したか否かを判定する(ステップS108)。第1排出トレイ33が第2下限位置まで下降していない場合(ステップS108のNo)、ステップS102に戻り、第2排出モードで、シートShの第1排出トレイ33への排出が継続される。第1排出トレイ33が第2下限位置まで下降した場合(ステップS108のYes)、ステップS115に移る。
【0066】
一方、ステップS106において、想定下降量が第1排出トレイ33の積載限界量以下である場合(ステップS106のNo)、後処理制御部12は、排出モードを第1排出モードに設定し(ステップS109)、シートShの排出を開始する(ステップS110)。第1排出モードが選択されることで、シートShは、第1排出トレイ33上においてシート幅方向へシフト移動されず、所定位置(例えばシート幅方向中央部)に継続して排出される。
【0067】
次に、後処理制御部12は、受信したジョブに対し、シートShの排出が完了したか否かを判定する(ステップS111)。排出が完了した、すなわちジョブが完了した場合(ステップS111のYes)、後処理制御部12は
図4に係る処理を終了する。排出が完了していない、すなわちジョブが完了していない場合(ステップS111のNo)、ステップS112に移る。
【0068】
ジョブ中に、後処理制御部12は、上面検知センサーSuによって第1排出トレイ33上に積載されたシートShの上面を検知する(ステップS112)。そして、後処理制御部12は、上面検知センサーSuの検知結果に基づき、トレイ昇降機構17によって第1排出トレイ33を下降させる。
【0069】
次に、後処理制御部12は、第1排出トレイ33上のシートShが無くなっていない、すなわち第1排出トレイ33上のシートShがユーザーによって取り去られていないか否かを判定する(ステップS113)。第1排出トレイ33上にシートShがまだ存在する場合(ステップS113のNo)、ステップS114に移る。第1排出トレイ33上のシートShが取り去られ、無くなっている場合(ステップS113のYes)、ステップS117に移る。
【0070】
第1排出トレイ33上にシートShがまだ存在する場合、後処理制御部12は、第1下限センサーS1の検知結果に基づき、第1排出トレイ33が第1下限位置まで下降したか否かを判定する(ステップS114)。第1排出トレイ33が第1下限位置まで下降していない場合(ステップS114のNo)、ステップS110に戻り、第1排出モードで、シートShの第1排出トレイ33への排出が継続される。第1排出トレイ33が第1下限位置まで下降した場合(ステップS114のYes)、ステップS115に移る。
【0071】
第1排出トレイ33が第1下限位置または第2下限位置まで下降したことが検知された場合、後処理制御部12は、第1排出トレイ33上にシートShが満杯であることを示す情報を、表示部1dを介してユーザーに報知する(ステップS115)。これにより、ユーザーは、直ちに第1排出トレイ33上からシート束を取り去ることができる。そして、シート後処理装置1は、第1排出トレイ33が空になることで、直ちにシートShの排出を継続することができる。したがって、シートShの排出に係る生産性を向上させることが可能である。なお、第1排出トレイ33上にシートShが満杯であることを、音声によってユーザーに報知することにしても良い。
【0072】
次に、後処理制御部12は、第1排出トレイ33上のシートShが無くなっていない、すなわち第1排出トレイ33上のシートShがユーザーによって取り去られていないか否かを判定する(ステップS116)。第1排出トレイ33上にシートShがまだ存在する場合(ステップS116のNo)、ステップS115に戻り、第1排出トレイ33上にシートShが満杯であることを示す報知が継続される。第1排出トレイ33上のシートShが取り去られ、無くなっている場合(ステップS116のYes)、ステップS117に移る。
【0073】
次に、後処理制御部12は、第1排出トレイ33を上昇させる(ステップS117)。上面検知センサーSuによって第1排出トレイ33のシート積載面33aが検知されると、後処理制御部12は、第1排出トレイ33の上昇を停止する。そして、ステップS101に戻り、後処理制御部12は、第2排出モードでシートShの排出を開始する。
【0074】
上記のように、後処理制御部12は、想定下降量が、第1排出トレイ33上に積載されたシートShの積載限界量より多い場合に、第2排出モードを選択する。この構成によれば、第1排出トレイ33上に積載されたシート束の山が崩れる虞があると想定される場合に、シート束の積載位置を変更する動作(シフト移動)が行われる。したがって、多数のシートShを第1排出トレイ33上に整然と積載することが可能である。
【0075】
また、後処理部11は、処理トレイ15上に積載された複数枚のシートShに綴じ処理を施すステープル部112を含む。この構成によれば、ステープルによって綴じ処理が施されたシート束を第1排出トレイ33上に排出して積載する場合に、綴じ部分が厚くなっても、シフト移動を行う第2排出モードの選択によって、複数のシート束を整然と積載することが可能になる。さらに、ステープルによる綴じ処理をシートShに施す場合でも、第1排出トレイ33上に積載されたシート束の山が崩れる虞がないと想定されるとき、シフト移動を行わない第1排出モードが選択される。したがって、シートShの排出に係る生産性を向上させることが可能である。
【0076】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、画像形成装置のシート後処理装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 シート後処理装置
1a 側面
1d 表示部(報知部)
3 第1シート排出部(排出部)
11 後処理部
12 後処理制御部(制御部)
15 処理トレイ
16 シート揃え機構
17 トレイ昇降機構
31 第1排出口
33 第1排出トレイ(排出トレイ)
33a シート積載面
112 ステープル部
Dd シート排出方向
S1 第1下限センサー
S2 第2下限センサー
Sh シート
Su 上面検知センサー