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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154652
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】電力変換装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H02M7/12 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068593
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】田中 翔大
(72)【発明者】
【氏名】越智 健次
(72)【発明者】
【氏名】畠中 健太
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006AA02
5H006CA02
5H006CB08
5H006CC01
5H006DA04
5H006DB01
5H006DC02
5H006DC05
(57)【要約】
【課題】構成部品を有効利用できる電力変換装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】電力変換装置10は、3相交流電源又は単相交流電源に対応可能である。電力変換装置10は、電力変換装置10の状態を第1状態又は第2状態に切り替える切替部として、接続経路44、切替経路45、及び第1~第3切替スイッチ61~63を備えている。第1状態は、第1直流側コンデンサ34A及び第2直流側コンデンサ34Bの直列接続体により高電位側経路30Hと低電位側経路30Lとが接続されるとともに、第1~第3コンデンサ51~53それぞれの接続点である中性点が第1直流側コンデンサ34A及び第2直流側コンデンサ34Bの接続点に電気的に接続された状態である。第2状態は、上記中性点が接続経路44に電気的に接続された状態である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1交流端子(Tac1)、第2交流端子(Tac2)、第3交流端子(Tac3)及び第4交流端子(Tac4)と、
高電位側直流端子(TdcH)及び低電位側直流端子(TdcL)と、
を備え、
3相の交流電流を流す3相交流部(200)が前記第1交流端子、前記第2交流端子及び前記第3交流端子に電気的に接続可能であり、単相交流電流を流す単相交流部(210)が前記第1交流端子及び前記第4交流端子に電気的に接続可能に構成された電力変換装置(10)において、
第1上アームスイッチ(S1H)及び第1下アームスイッチ(S1L)と、
第2上アームスイッチ(S2H)及び第2下アームスイッチ(S2L)と、
第3上アームスイッチ(S3H)及び第3下アームスイッチ(S3L)と、
前記第1,第2,第3上アームスイッチの高電位側端子及び前記高電位側直流端子を接続する高電位側経路(30H)と、
前記第1,第2,第3下アームスイッチの低電位側端子及び前記低電位側直流端子を接続する低電位側経路(30L)と、
前記第1上アームスイッチ及び前記第1下アームスイッチの接続点と前記第1交流端子とを接続する第1経路(41)と、
前記第2上アームスイッチ及び前記第2下アームスイッチの接続点と前記第2交流端子とを接続する第2経路(42)と、
前記第3上アームスイッチ及び前記第3下アームスイッチの接続点と前記第3交流端子とを接続する第3経路(43)と、
前記第1経路に設けられた第1インダクタ(31)と、
前記第2経路に設けられた第2インダクタ(32)と、
前記第3経路に設けられた第3インダクタ(33)と、
第1コンデンサ(51)、第2コンデンサ(52)及び第3コンデンサ(53)と、
第1直流側コンデンサ(34A)及び第2直流側コンデンサ(34B)と、
を備え、
前記第1コンデンサの第1端に、前記第1経路のうち前記第1インダクタよりも前記第1交流端子側の部分が接続されており、
前記第2コンデンサの第1端に、前記第2経路のうち前記第2インダクタよりも前記第2交流端子側の部分が接続されており、
前記第3コンデンサの第1端に、前記第3経路のうち前記第3インダクタよりも前記第3交流端子側の部分が接続されており、
前記第1コンデンサ、前記第2コンデンサ及び前記第3コンデンサそれぞれの第2端同士が接続されており、
前記電力変換装置の状態を第1状態又は第2状態に切り替える切替部(44,45,61~66)を備え、
前記第1状態は、前記第1直流側コンデンサ及び前記第2直流側コンデンサの直列接続体により前記高電位側経路と前記低電位側経路とが接続されるとともに、前記第1コンデンサ、前記第2コンデンサ及び前記第3コンデンサそれぞれの第2端同士の接続点である中性点が前記第1直流側コンデンサ及び前記第2直流側コンデンサの接続点に電気的に接続された状態であり、
前記第2状態は、前記中性点が前記第4交流端子に電気的に接続された状態である、電力変換装置。
【請求項2】
上アーム整流部(S4H,D4H)及び下アーム整流部(S4L,D4L)を備え、
前記上アーム整流部の高電位側端子は、前記高電位側経路に接続されており、
前記下アーム整流部の低電位側端子は、前記低電位側経路に接続されており、
前記切替部は、
前記上アーム整流部及び前記下アーム整流部の接続点と前記第4交流端子とを接続する接続経路(44)と、
切替経路(45)と、
第1切替スイッチ(61)、第2切替スイッチ(62)及び第3切替スイッチ(63)と、
を備え、
前記切替経路は、前記第2直流側コンデンサの第1端に接続されており、
前記第2直流側コンデンサの第2端は、前記低電位側経路に接続されており、
前記第1直流側コンデンサの第1端は、前記高電位側経路に接続されており、
前記第1切替スイッチは、前記第1直流側コンデンサの第2端と前記第2直流側コンデンサの第1端とを電気的に接続又は遮断するスイッチであり、
前記第2切替スイッチは、前記第3経路のうち前記第3インダクタよりも前記第3交流端子側の部分と前記切替経路とを電気的に接続又は遮断するスイッチであり、
前記第3切替スイッチは、前記中性点を前記接続経路又は前記切替経路に選択的に接続するスイッチである、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
上アーム整流部(S4H,D4H)及び下アーム整流部(S4L,D4L)を備え、
前記上アーム整流部の高電位側端子は、前記高電位側経路に接続されており、
前記下アーム整流部の低電位側端子は、前記低電位側経路に接続されており、
前記切替部は、
前記上アーム整流部及び前記下アーム整流部の接続点と前記第4交流端子とを接続する接続経路(44)と、
切替経路(45)と、
第1切替スイッチ(64)、第2切替スイッチ(62)及び第3切替スイッチ(63)と、
を備え、
前記切替経路は、前記第1直流側コンデンサの第2端に接続されており、
前記第2直流側コンデンサの第2端は、前記低電位側経路に接続されており、
前記第1直流側コンデンサの第1端は、前記高電位側経路に接続されており、
前記第1切替スイッチは、前記第1直流側コンデンサの第2端と前記第2直流側コンデンサの第1端とを電気的に接続又は遮断するスイッチであり、
前記第2切替スイッチは、前記第3経路のうち前記第3インダクタよりも前記第3交流端子側の部分と前記切替経路とを電気的に接続又は遮断するスイッチであり、
前記第3切替スイッチは、前記中性点を前記接続経路又は前記切替経路に選択的に接続するスイッチである、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
制御装置(100)を備え、
前記制御装置は、前記第1交流端子、前記第2交流端子及び前記第3交流端子に前記3相交流部が電気的に接続されていると判定した場合、前記第1直流側コンデンサの第2端と前記第2直流側コンデンサの第1端とが電気的に接続されるように前記第1切替スイッチを制御し、前記第3経路と前記切替経路とが電気的に遮断されるように前記第2切替スイッチを制御し、前記中性点と前記切替経路とが電気的に接続されるように前記第3切替スイッチを制御する、請求項2又は3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
制御装置(100)を備え、
前記制御装置は、前記第1交流端子及び前記第4交流端子に前記単相交流部が電気的に接続されていると判定した場合、前記第1直流側コンデンサの第2端と前記第2直流側コンデンサの第1端とが電気的に遮断されるように前記第1切替スイッチを制御し、前記第3経路と前記切替経路とが電気的に接続されるように前記第2切替スイッチを制御し、前記中性点と前記接続経路とが電気的に接続されるように前記第3切替スイッチを制御する、請求項2又は3に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記第1交流端子及び前記第4交流端子に前記単相交流部が電気的に接続されているとともに、前記第1上アームスイッチ及び前記第1下アームスイッチのスイッチング制御により前記高電位側直流端子及び前記低電位側直流端子と前記第1交流端子及び前記第4交流端子との間で電力が伝達されると判定した場合、前記高電位側直流端子及び前記低電位側直流端子を伝達される直流電力の脈動を低減すべく、前記第3上アームスイッチ及び前記第3下アームスイッチのスイッチング制御を行う、請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
電力変換装置(10)に適用されるコンピュータ(100a)により実行されるプログラムにおいて、
前記電力変換装置は、
第1交流端子(Tac1)、第2交流端子(Tac2)、第3交流端子(Tac3)及び第4交流端子(Tac4)と、
高電位側直流端子(TdcH)及び低電位側直流端子(TdcL)と、
を備え、
3相の交流電流を流す3相交流部(200)が前記第1交流端子、前記第2交流端子及び前記第3交流端子に電気的に接続可能であり、単相交流電流を流す単相交流部(210)が前記第1交流端子及び前記第4交流端子に電気的に接続可能に前記電力変換装置が構成されており、
前記電力変換装置は、
第1上アームスイッチ(S1H)及び第1下アームスイッチ(S1L)と、
第2上アームスイッチ(S2H)及び第2下アームスイッチ(S2L)と、
第3上アームスイッチ(S3H)及び第3下アームスイッチ(S3L)と、
上アーム整流部(S4H,D4H)及び下アーム整流部(S4L,D4L)と、
前記第1,第2,第3上アームスイッチの高電位側端子及び前記上アーム整流部の高電位側端子と前記高電位側直流端子とを接続する高電位側経路(30H)と、
前記第1,第2,第3下アームスイッチの低電位側端子及び前記下アーム整流部の低電位側端子と前記低電位側直流端子とを接続する低電位側経路(30L)と、
前記第1上アームスイッチ及び前記第1下アームスイッチの接続点と前記第1交流端子とを接続する第1経路(41)と、
前記第2上アームスイッチ及び前記第2下アームスイッチの接続点と前記第2交流端子とを接続する第2経路(42)と、
前記第3上アームスイッチ及び前記第3下アームスイッチの接続点と前記第3交流端子とを接続する第3経路(43)と、
前記第1経路に設けられた第1インダクタ(31)と、
前記第2経路に設けられた第2インダクタ(32)と、
前記第3経路に設けられた第3インダクタ(33)と、
第1コンデンサ(51)、第2コンデンサ(52)及び第3コンデンサ(53)と、
第1直流側コンデンサ(34A)及び第2直流側コンデンサ(34B)と、
前記上アーム整流部及び前記下アーム整流部の接続点と前記第4交流端子とを接続する接続経路(44)と、
切替経路(45)と、
第1切替スイッチ(61)、第2切替スイッチ(62)及び第3切替スイッチ(63)と、
を備え、
前記第1コンデンサの第1端に、前記第1経路のうち前記第1インダクタよりも前記第1交流端子側の部分が接続されており、
前記第2コンデンサの第1端に、前記第2経路のうち前記第2インダクタよりも前記第2交流端子側の部分が接続されており、
前記第3コンデンサの第1端に、前記第3経路のうち前記第3インダクタよりも前記第3交流端子側の部分が接続されており、
前記第1,第2,第3コンデンサそれぞれの第2端同士が接続されており、
前記切替経路は、前記第2直流側コンデンサの第1端に接続されており、
前記第2直流側コンデンサの第2端は、前記低電位側経路に接続されており、
前記第1直流側コンデンサの第1端は、前記高電位側経路に接続されており、
前記第1切替スイッチは、前記第1直流側コンデンサの第2端と前記第2直流側コンデンサの第1端とを電気的に接続又は遮断するスイッチであり、
前記第2切替スイッチは、前記第3経路のうち前記第3インダクタよりも前記第3交流端子側の部分と前記切替経路とを電気的に接続又は遮断するスイッチであり、
前記第3切替スイッチは、前記第1,第2,第3コンデンサそれぞれの第2端同士の接続点である中性点を、前記接続経路又は前記切替経路に選択的に接続するスイッチであり、
前記コンピュータに、前記第1交流端子、前記第2交流端子及び前記第3交流端子に前記3相交流部が電気的に接続されていると判定した場合、前記第1直流側コンデンサの第2端と前記第2直流側コンデンサの第1端とが電気的に接続されるように前記第1切替スイッチを制御し、前記第3経路と前記切替経路とが電気的に遮断されるように前記第2切替スイッチを制御し、前記中性点と前記切替経路とが電気的に接続されるように前記第3切替スイッチを制御する処理を実行させる、プログラム。
【請求項8】
電力変換装置(10)に適用されるコンピュータ(100a)により実行されるプログラムにおいて、
前記電力変換装置は、
第1交流端子(Tac1)、第2交流端子(Tac2)、第3交流端子(Tac3)及び第4交流端子(Tac4)と、
高電位側直流端子(TdcH)及び低電位側直流端子(TdcL)と、
を備え、
3相の交流電流を流す3相交流部(200)が前記第1交流端子、前記第2交流端子及び前記第3交流端子に電気的に接続可能であり、単相交流電流を流す単相交流部(210)が前記第1交流端子及び前記第4交流端子に電気的に接続可能に前記電力変換装置が構成されており、
前記電力変換装置は、
第1上アームスイッチ(S1H)及び第1下アームスイッチ(S1L)と、
第2上アームスイッチ(S2H)及び第2下アームスイッチ(S2L)と、
第3上アームスイッチ(S3H)及び第3下アームスイッチ(S3L)と、
上アーム整流部(S4H,D4H)及び下アーム整流部(S4L,D4L)と、
前記第1,第2,第3上アームスイッチの高電位側端子及び前記上アーム整流部の高電位側端子と前記高電位側直流端子とを接続する高電位側経路(30H)と、
前記第1,第2,第3下アームスイッチの低電位側端子及び前記下アーム整流部の低電位側端子と前記低電位側直流端子とを接続する低電位側経路(30L)と、
前記第1上アームスイッチ及び前記第1下アームスイッチの接続点と前記第1交流端子とを接続する第1経路(41)と、
前記第2上アームスイッチ及び前記第2下アームスイッチの接続点と前記第2交流端子とを接続する第2経路(42)と、
前記第3上アームスイッチ及び前記第3下アームスイッチの接続点と前記第3交流端子とを接続する第3経路(43)と、
前記第1経路に設けられた第1インダクタ(31)と、
前記第2経路に設けられた第2インダクタ(32)と、
前記第3経路に設けられた第3インダクタ(33)と、
第1コンデンサ(51)、第2コンデンサ(52)及び第3コンデンサ(53)と、
第1直流側コンデンサ(34A)及び第2直流側コンデンサ(34B)と、
前記上アーム整流部及び前記下アーム整流部の接続点と前記第4交流端子とを接続する接続経路(44)と、
切替経路(45)と、
第1切替スイッチ(61)、第2切替スイッチ(62)及び第3切替スイッチ(63)と、
を備え、
前記第1コンデンサの第1端に、前記第1経路のうち前記第1インダクタよりも前記第1交流端子側の部分が接続されており、
前記第2コンデンサの第1端に、前記第2経路のうち前記第2インダクタよりも前記第2交流端子側の部分が接続されており、
前記第3コンデンサの第1端に、前記第3経路のうち前記第3インダクタよりも前記第3交流端子側の部分が接続されており、
前記第1,第2,第3コンデンサそれぞれの第2端同士が接続されており、
前記切替経路は、前記第2直流側コンデンサの第1端に接続されており、
前記第2直流側コンデンサの第2端は、前記低電位側経路に接続されており、
前記第1直流側コンデンサの第1端は、前記高電位側経路に接続されており、
前記第1切替スイッチは、前記第1直流側コンデンサの第2端と前記第2直流側コンデンサの第1端とを電気的に接続又は遮断するスイッチであり、
前記第2切替スイッチは、前記第3経路のうち前記第3インダクタよりも前記第3交流端子側の部分と前記切替経路とを電気的に接続又は遮断するスイッチであり、
前記第3切替スイッチは、前記第1,第2,第3コンデンサそれぞれの第2端同士の接続点である中性点を、前記接続経路又は前記切替経路に選択的に接続するスイッチであり、
前記コンピュータに、前記第1交流端子及び前記第4交流端子に前記単相交流部が電気的に接続されていると判定した場合、前記第1直流側コンデンサの第2端と前記第2直流側コンデンサの第1端とが電気的に遮断されるように前記第1切替スイッチを制御し、前記第3経路と前記切替経路とが電気的に接続されるように前記第2切替スイッチを制御し、前記中性点と前記接続経路とが電気的に接続されるように前記第3切替スイッチを制御する処理を実行させる、プログラム。
【請求項9】
電力変換装置(10)に適用されるコンピュータ(100a)により実行されるプログラムにおいて、
前記電力変換装置は、
第1交流端子(Tac1)、第2交流端子(Tac2)、第3交流端子(Tac3)及び第4交流端子(Tac4)と、
高電位側直流端子(TdcH)及び低電位側直流端子(TdcL)と、
を備え、
3相の交流電流を流す3相交流部(200)が前記第1交流端子、前記第2交流端子及び前記第3交流端子に電気的に接続可能であり、単相交流電流を流す単相交流部(210)が前記第1交流端子及び前記第4交流端子に電気的に接続可能に前記電力変換装置が構成されており、
前記電力変換装置は、
第1上アームスイッチ(S1H)及び第1下アームスイッチ(S1L)と、
第2上アームスイッチ(S2H)及び第2下アームスイッチ(S2L)と、
第3上アームスイッチ(S3H)及び第3下アームスイッチ(S3L)と、
上アーム整流部(S4H,D4H)及び下アーム整流部(S4L,D4L)と、
前記第1,第2,第3上アームスイッチの高電位側端子及び前記上アーム整流部の高電位側端子と前記高電位側直流端子とを接続する高電位側経路(30H)と、
前記第1,第2,第3下アームスイッチの低電位側端子及び前記下アーム整流部の低電位側端子と前記低電位側直流端子とを接続する低電位側経路(30L)と、
前記第1上アームスイッチ及び前記第1下アームスイッチの接続点と前記第1交流端子とを接続する第1経路(41)と、
前記第2上アームスイッチ及び前記第2下アームスイッチの接続点と前記第2交流端子とを接続する第2経路(42)と、
前記第3上アームスイッチ及び前記第3下アームスイッチの接続点と前記第3交流端子とを接続する第3経路(43)と、
前記第1経路に設けられた第1インダクタ(31)と、
前記第2経路に設けられた第2インダクタ(32)と、
前記第3経路に設けられた第3インダクタ(33)と、
第1コンデンサ(51)、第2コンデンサ(52)及び第3コンデンサ(53)と、
第1直流側コンデンサ(34A)及び第2直流側コンデンサ(34B)と、
前記上アーム整流部及び前記下アーム整流部の接続点と前記第4交流端子とを接続する接続経路(44)と、
切替経路(45)と、
第1切替スイッチ(64)、第2切替スイッチ(62)及び第3切替スイッチ(63)と、
を備え、
前記第1コンデンサの第1端に、前記第1経路のうち前記第1インダクタよりも前記第1交流端子側の部分が接続されており、
前記第2コンデンサの第1端に、前記第2経路のうち前記第2インダクタよりも前記第2交流端子側の部分が接続されており、
前記第3コンデンサの第1端に、前記第3経路のうち前記第3インダクタよりも前記第3交流端子側の部分が接続されており、
前記第1,第2,第3コンデンサそれぞれの第2端同士が接続されており、
前記切替経路は、前記第1直流側コンデンサの第2端に接続されており、
前記第2直流側コンデンサの第2端は、前記低電位側経路に接続されており、
前記第1直流側コンデンサの第1端は、前記高電位側経路に接続されており、
前記第1切替スイッチは、前記第1直流側コンデンサの第2端と前記第2直流側コンデンサの第1端とを電気的に接続又は遮断するスイッチであり、
前記第2切替スイッチは、前記第3経路のうち前記第3インダクタよりも前記第3交流端子側の部分と前記切替経路とを電気的に接続又は遮断するスイッチであり、
前記第3切替スイッチは、前記第1,第2,第3コンデンサそれぞれの第2端同士の接続点である中性点を、前記接続経路又は前記切替経路に選択的に接続するスイッチであり、
前記コンピュータに、前記第1交流端子、前記第2交流端子及び前記第3交流端子に前記3相交流部が電気的に接続されていると判定した場合、前記第1直流側コンデンサの第2端と前記第2直流側コンデンサの第1端とが電気的に接続されるように前記第1切替スイッチを制御し、前記第3経路と前記切替経路とが電気的に遮断されるように前記第2切替スイッチを制御し、前記中性点と前記切替経路とが電気的に接続されるように前記第3切替スイッチを制御する処理を実行させる、プログラム。
【請求項10】
電力変換装置(10)に適用されるコンピュータ(100a)により実行されるプログラムにおいて、
前記電力変換装置は、
第1交流端子(Tac1)、第2交流端子(Tac2)、第3交流端子(Tac3)及び第4交流端子(Tac4)と、
高電位側直流端子(TdcH)及び低電位側直流端子(TdcL)と、
を備え、
3相の交流電流を流す3相交流部(200)が前記第1交流端子、前記第2交流端子及び前記第3交流端子に電気的に接続可能であり、単相交流電流を流す単相交流部(210)が前記第1交流端子及び前記第4交流端子に電気的に接続可能に前記電力変換装置が構成されており、
前記電力変換装置は、
第1上アームスイッチ(S1H)及び第1下アームスイッチ(S1L)と、
第2上アームスイッチ(S2H)及び第2下アームスイッチ(S2L)と、
第3上アームスイッチ(S3H)及び第3下アームスイッチ(S3L)と、
上アーム整流部(S4H,D4H)及び下アーム整流部(S4L,D4L)と、
前記第1,第2,第3上アームスイッチの高電位側端子及び前記上アーム整流部の高電位側端子と前記高電位側直流端子とを接続する高電位側経路(30H)と、
前記第1,第2,第3下アームスイッチの低電位側端子及び前記下アーム整流部の低電位側端子と前記低電位側直流端子とを接続する低電位側経路(30L)と、
前記第1上アームスイッチ及び前記第1下アームスイッチの接続点と前記第1交流端子とを接続する第1経路(41)と、
前記第2上アームスイッチ及び前記第2下アームスイッチの接続点と前記第2交流端子とを接続する第2経路(42)と、
前記第3上アームスイッチ及び前記第3下アームスイッチの接続点と前記第3交流端子とを接続する第3経路(43)と、
前記第1経路に設けられた第1インダクタ(31)と、
前記第2経路に設けられた第2インダクタ(32)と、
前記第3経路に設けられた第3インダクタ(33)と、
第1コンデンサ(51)、第2コンデンサ(52)及び第3コンデンサ(53)と、
第1直流側コンデンサ(34A)及び第2直流側コンデンサ(34B)と、
前記上アーム整流部及び前記下アーム整流部の接続点と前記第4交流端子とを接続する接続経路(44)と、
切替経路(45)と、
第1切替スイッチ(64)、第2切替スイッチ(62)及び第3切替スイッチ(63)と、
を備え、
前記第1コンデンサの第1端に、前記第1経路のうち前記第1インダクタよりも前記第1交流端子側の部分が接続されており、
前記第2コンデンサの第1端に、前記第2経路のうち前記第2インダクタよりも前記第2交流端子側の部分が接続されており、
前記第3コンデンサの第1端に、前記第3経路のうち前記第3インダクタよりも前記第3交流端子側の部分が接続されており、
前記第1,第2,第3コンデンサそれぞれの第2端同士が接続されており、
前記切替経路は、前記第1直流側コンデンサの第2端に接続されており、
前記第2直流側コンデンサの第2端は、前記低電位側経路に接続されており、
前記第1直流側コンデンサの第1端は、前記高電位側経路に接続されており、
前記第1切替スイッチは、前記第1直流側コンデンサの第2端と前記第2直流側コンデンサの第1端とを電気的に接続又は遮断するスイッチであり、
前記第2切替スイッチは、前記第3経路のうち前記第3インダクタよりも前記第3交流端子側の部分と前記切替経路とを電気的に接続又は遮断するスイッチであり、
前記第3切替スイッチは、前記第1,第2,第3コンデンサそれぞれの第2端同士の接続点である中性点を、前記接続経路又は前記切替経路に選択的に接続するスイッチであり、
前記コンピュータに、前記第1交流端子及び前記第4交流端子に前記単相交流部が電気的に接続されていると判定した場合、前記第1直流側コンデンサの第2端と前記第2直流側コンデンサの第1端とが電気的に遮断されるように前記第1切替スイッチを制御し、前記第3経路と前記切替経路とが電気的に接続されるように前記第2切替スイッチを制御し、前記中性点と前記接続経路とが電気的に接続されるように前記第3切替スイッチを制御する処理を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3相交流電源及び単相交流電源の双方に対応した電力変換装置が知られている。なお、このような電力変換装置の例として、特許文献1に開示された電力変換装置が挙げられる。
【0003】
電力変換装置は、3相それぞれに対応して設けられた上,下アームスイッチを備えている。各相の上アームスイッチの高電位側端子は、高電位側直流端子に接続され、各相の下アームスイッチの低電位側端子は、低電位側直流端子に接続されている。高電位側経路及び低電位側経路は平滑コンデンサによって接続されている。
【0004】
電力変換装置は、各相に対応して設けられたインダクタと、各相のうちいずれか1相に対応して設けられた補償用コンデンサ及び切替スイッチとを備えている。切替スイッチの操作により、補償用コンデンサは、1相分のインダクタ及び下アームスイッチの直列接続体に並列接続されたり、この直列接続体から切り離されたりする。
【0005】
入力側となる交流端子に単相交流電源が電気的に接続される場合、インダクタ及び下アームスイッチの直列接続体に補償用コンデンサが並列接続されるように切替スイッチが操作される。この操作状態において、補償用コンデンサが接続された相の上,下アームスイッチのスイッチング制御が行われる。これにより、交流端子から入力された交流電力を直流電力に変換して直流端子から出力する場合において、直流端子から出力される直流電力の脈動を低減できる。これにより、平滑コンデンサの静電容量を低減でき、平滑コンデンサの小型化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0261591号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
交流端子に3相交流電源が電気的に接続される場合、インダクタ及び下アームスイッチの直列接続体から補償用コンデンサが切り離されるように切替スイッチが操作される。この場合、補償用コンデンサが用いられなくなる。このため、電力変換装置の構成部品を有効利用することについては、未だ改善の余地を残すものとなっている。
【0008】
本開示は、構成部品を有効利用できる電力変換装置及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、第1交流端子、第2交流端子、第3交流端子及び第4交流端子と、
高電位側直流端子及び低電位側直流端子と、
を備え、
3相の交流電流を流す3相交流部が前記第1交流端子、前記第2交流端子及び前記第3交流端子に電気的に接続可能であり、単相交流電流を流す単相交流部が前記第1交流端子及び前記第4交流端子に電気的に接続可能に構成された電力変換装置において、
第1上アームスイッチ及び第1下アームスイッチと、
第2上アームスイッチ及び第2下アームスイッチと、
第3上アームスイッチ及び第3下アームスイッチと、
前記第1,第2,第3上アームスイッチの高電位側端子及び前記高電位側直流端子を接続する高電位側経路と、
前記第1,第2,第3下アームスイッチの低電位側端子及び前記低電位側直流端子を接続する低電位側経路と、
前記第1上アームスイッチ及び前記第1下アームスイッチの接続点と前記第1交流端子とを接続する第1経路と、
前記第2上アームスイッチ及び前記第2下アームスイッチの接続点と前記第2交流端子とを接続する第2経路と、
前記第3上アームスイッチ及び前記第3下アームスイッチの接続点と前記第3交流端子とを接続する第3経路と、
前記第1経路に設けられた第1インダクタと、
前記第2経路に設けられた第2インダクタと、
前記第3経路に設けられた第3インダクタと、
を備える。
【0010】
上,下アームスイッチのスイッチング制御が行われる場合におけるノイズ(具体的には例えばコモンモードノイズ)を低減するために、電力変換装置は、
第1コンデンサ、第2コンデンサ及び第3コンデンサと、
第1直流側コンデンサ及び第2直流側コンデンサと、
を備える。
【0011】
前記第1コンデンサの第1端に、前記第1経路のうち前記第1インダクタよりも前記第1交流端子側の部分が接続されており、
前記第2コンデンサの第1端に、前記第2経路のうち前記第2インダクタよりも前記第2交流端子側の部分が接続されており、
前記第3コンデンサの第1端に、前記第3経路のうち前記第3インダクタよりも前記第3交流端子側の部分が接続されており、
前記第1コンデンサ、前記第2コンデンサ及び前記第3コンデンサそれぞれの第2端同士が接続されている。
【0012】
本開示の電力変換装置は、電力変換装置の状態を第1状態又は第2状態に切り替える切替部を備える。
【0013】
第1状態は、第1直流側コンデンサ及び第2直流側コンデンサの直列接続体により高電位側経路と低電位側経路とが接続されるとともに、第1,第2,第3コンデンサそれぞれの第2端同士の接続点である中性点が第1直流側コンデンサ及び第2直流側コンデンサの接続点に電気的に接続された状態である。交流端子に3相交流部が電気的に接続される場合において電力変換装置の状態が第1状態とされることにより、上記ノイズを低減することができる。
【0014】
一方、第2状態は、上記中性点が第4交流端子に電気的に接続された状態である。交流端子に単相交流部が電気的に接続される場合において電力変換装置の状態が第2状態とされることにより、第1,第2直流側コンデンサのいずれかを、各直流端子の直流電力の脈動を低減するための補償用コンデンサとして用いることができる。つまり、電力変換装置の構成部品を有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る車載充電器の全体構成図。
図2】3相充放電時における車載充電器を示す図。
図3】単相充放電時における車載充電器を示す図。
図4】蓄電池の充放電制御の手順を示すフローチャート。
図5】3相充電制御時における電流,電圧の推移を示すタイムチャート。
図6】比較例に係る3相充電制御時における電流,電圧の推移を示すタイムチャート。
図7】単相充電制御時における脈動補償制御処理のブロック図。
図8】単相充電制御時における電流,電圧等の推移を示すタイムチャート。
図9】単相放電制御時における脈動補償制御処理のブロック図。
図10】第2実施形態に係る車載充電器の全体構成図。
図11】蓄電池の充放電制御の手順を示すフローチャート。
図12】第3実施形態に係る車載充電器の全体構成図。
図13】3相充放電時における車載充電器を示す図。
図14】単相充放電時における車載充電器を示す図。
図15】第4実施形態に係る3相充放電時における車載充電器を示す図。
図16】単相充放電時における車載充電器を示す図。
図17】蓄電池の充放電制御の手順を示すフローチャート。
図18】第5実施形態に係る車載充電器を示す図。
図19】第6実施形態に係る車載充電器を示す図。
図20】蓄電池の充放電制御の手順を示すフローチャート。
図21】第7実施形態に係る車載充電器を示す図。
図22】その他の実施形態に係る車載充電器の全体構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的に及び/又は構造的に対応する部分及び/又は関連付けられる部分には同一の参照符号、又は百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分及び/又は関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
【0017】
<第1実施形態>
以下、本発明に係る電力変換装置を具体化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電力変換装置は、電気自動車などの車両に備えられ、具体的には車載充電器を構成するAC-DCDCコンバータである。車載充電器は、オンボードチャージャとも呼ばれる。
【0018】
電力変換装置は、交流端子及び直流端子を備えている。電力変換装置は、車両外部の交流電源に接続された交流端子を介して入力された交流電力を直流電力に変換して直流端子から出力する機能を備えている。直流端子から出力された直流電力は、車両に備えられた蓄電池に供給される。また、電力変換装置は、直流端子から入力された直流電力を交流電力に変換して交流端子から出力する機能を備えている。交流端子から出力された交流電力は、外部の交流電源を介して外部の電力系統に供給される。電力変換装置は、3相交流電源又は単相交流電源に接続可能である。
【0019】
図1に示すように、電力変換装置10は、交流端子として第1交流端子Tac1、第2交流端子Tac2、第3交流端子Tac3及び第4交流端子Tac4を備えている。第1~第4交流端子Tac1~Tac4のうち第1~第3交流端子Tac1~Tac3は、図2に示すように、外部の3相交流電源200に接続可能である。第1~第4交流端子Tac1~Tac4のうち第1,第4交流端子Tac1,Tac4は、図3に示すように、外部の単相交流電源210に接続可能である。
【0020】
電力変換装置10は、直流端子として高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLを備えている。高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLは、車載充電器を構成するDCDCコンバータ24の入力部に接続されている。DCDCコンバータ24の出力部は、車両に搭載された充放電可能な蓄電池20に接続されている。DCDCコンバータ24は、高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから入力された直流電圧を変圧し、変圧した直流電圧を蓄電池20に供給する。また、DCDCコンバータ24は、蓄電池20から入力された直流電圧を変圧して高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLに供給する。DCDCコンバータ24は、例えば、入力部と出力部とが電気的に絶縁された絶縁型DCDCコンバータであり、入力部と出力部とを接続するトランスを備えている。
【0021】
電力変換装置10は、4相分の上,下アームスイッチとして、第1上アームスイッチS1H及び第1下アームスイッチS1Lの直列接続体と、第2上アームスイッチS2H及び第2下アームスイッチS2Lの直列接続体と、第3上アームスイッチS3H及び第3下アームスイッチS3Lの直列接続体と、第4上アームスイッチS4H(「上アーム整流部」に相当)及び第4下アームスイッチS4L(「下アーム整流部」に相当)の直列接続体とを備えている。本実施形態において、各上,下アームスイッチS1H~S4Lは、ボディダイオードを有するNチャネルMOSFETである。このため、各上,下アームスイッチS1H~S4Lにおいて、高電位側端子はドレインであり、低電位側端子はソースである。第1~第3相のうち、例えば、第1相がU相であり、第2相がV相であり、第3相がW相である。
【0022】
電力変換装置10は、第1,第2,第3,第4上アームスイッチS1H,S2H,S3H,S4Hの高電位側端子と高電位側直流端子TdcHとを接続する電気経路である高電位側経路30Hと、第1,第2,第3,第4下アームスイッチS1L,S2L,S3L,S4Lの低電位側端子と低電位側直流端子TdcLとを接続する電気経路である低電位側経路30Lとを備えている。高電位側経路30H及び低電位側経路30Lは、例えばバスバー等の導電部材である。
【0023】
電力変換装置10は、第1経路41、第2経路42及び第3経路43を備えている。第1経路41は、第1相に対応する電気経路であり、第1上アームスイッチS1Hの低電位側端子及び第1下アームスイッチS1Lの高電位側端子と、第1交流端子Tac1とを接続する。第2経路42は、第2相に対応する電気経路であり、第2上アームスイッチS2Hの低電位側端子及び第2下アームスイッチS2Lの高電位側端子と、第2交流端子Tac2とを接続する。第3経路43は、第3相に対応する電気経路であり、第3上アームスイッチS3Hの低電位側端子及び第3下アームスイッチS3Lの高電位側端子と、第3交流端子Tac3とを接続する。
【0024】
電力変換装置10は、第1経路41に設けられた第1インダクタ31、第2経路42に設けられた第2インダクタ32、及び第3経路43に設けられた第3インダクタ33を備えている。なお、各インダクタ31~33のインダクタンス値が同じ値であってもよく、各インダクタ31~33の定格電流(具体的には、温度上昇定格電流)が同じ値であってもよい。
【0025】
電力変換装置10は、3相充放電制御時におけるノイズ対策として、Xコンデンサである第1コンデンサ51、第2コンデンサ52及び第3コンデンサ53を備えている。各コンデンサ51~53は、例えばフィルムコンデンサである。第1コンデンサ51の第1端は、第1経路41のうち、第1インダクタ31よりも第1交流端子Tac1側の部分に接続されている。第2コンデンサ52の第1端は、第2経路42のうち、第2インダクタ32よりも第2交流端子Tac2側の間の部分に接続されている。第3コンデンサ53の第1端は、第3経路43のうち、第3インダクタ33よりも第3交流端子Tac3側の部分に接続されている。第1コンデンサ51、第2コンデンサ52及び第3コンデンサ53それぞれの第2端同士は接続されている。各コンデンサ51~53の第2端の接続点が中性点である。
【0026】
電力変換装置10は、3相充放電制御時におけるノイズ対策として、第1直流側コンデンサ34A及び第2直流側コンデンサ34Bを備えている。第1直流側コンデンサ34A及び第2直流側コンデンサ34Bは、例えばフィルムコンデンサである。第1直流側コンデンサ34Aの第1端には、高電位側経路30Hが接続されている。
【0027】
電力変換装置10は、平滑コンデンサ35を備えている。平滑コンデンサ35は、例えば電解コンデンサである。平滑コンデンサ35は、高電位側経路30Hと低電位側経路30Lとを接続する。
【0028】
電力変換装置10は、第4上アームスイッチS4Hの低電位側端子及び第4下アームスイッチS4Lの高電位側端子と、第4交流端子Tac4とを接続する電気経路である接続経路44を備えている。
【0029】
電力変換装置10は、切替経路45を備えている。切替経路45の第1端は、第2直流側コンデンサ34Bの第1端に接続されている。第2直流側コンデンサ34Bの第2端は、低電位側経路30Lに接続されている。
【0030】
電力変換装置10は、第1切替スイッチ61、第2切替スイッチ62及び第3切替スイッチ63を備えている。第1切替スイッチ61は、第1直流側コンデンサ34Aの第2端と第2直流側コンデンサ34Bの第1端とを電気的に接続する又は遮断するためのスイッチである。第1切替スイッチ61がオンされることにより、第1直流側コンデンサ34Aの第2端と、第2直流側コンデンサ34Bの第1端とが直列接続される。一方、第1切替スイッチ61がオフされることにより、第1直流側コンデンサ34Aの第2端と、第2直流側コンデンサ34Bの第1端とが電気的に遮断される。
【0031】
第2切替スイッチ62は、第3経路43のうち第3インダクタ33よりも第3交流端子Tac3側の部分と、切替経路45とを電気的に接続する又は遮断するためのスイッチである。第2切替スイッチ62がオンされることにより、第3経路43と切替経路45とが電気的に接続される。一方、第2切替スイッチ62がオフされることにより、第3経路43と切替経路45とが電気的に遮断される。
【0032】
第3切替スイッチ63は、各コンデンサ51~53の第2端を、接続経路44又は切替経路45に選択的に接続するためのスイッチである。第3切替スイッチ63が第1状態に制御されることにより、各コンデンサ51~53の第2端と切替経路45とが電気的に接続される。一方、第3切替スイッチ63が第2状態に制御されることにより、各コンデンサ51~53の第2端と接続経路44とが電気的に接続される。
【0033】
電力変換装置10は、第1~第3電流センサ71~73を備えている。第1電流センサ71は、第1インダクタ31に流れる電流を検出し、第2電流センサ72は、第2インダクタ32に流れる電流を検出し、第3電流センサ73は、第3インダクタ33に流れる電流を検出する。本実施形態において、第1,第2,第3電流センサ71,72,73により検出された電流(以下、第1,第2,第3電流検出値i1r,i2r,i3r)は、第1,第2,第3交流端子Tac1,Tac2,Tac3側から第1,第2,第3インダクタ31,32,33側に向かって流れる場合を正とする。
【0034】
電力変換装置10は、第1直流側電圧センサ81、第2直流側電圧センサ82及び交流側電圧センサ83を備えている。第1直流側電圧センサ81は、高電位側経路30H及び低電位側経路30Lの間の電圧差を検出する。第2直流側電圧センサ82は、第2直流側コンデンサ34Bの端子電圧を検出する。交流側電圧センサ83は、第1交流端子Tac1と第4交流端子Tac4との電圧差を検出する。各センサ71~73,81~83の検出値は、電力変換装置10が備える制御装置100に入力される。
【0035】
制御装置100は、マイコン100aを主体として構成される電子制御装置(Electronic Control Unit)である。制御装置100は、制御装置100よりも上位の上位制御装置101と情報のやり取りが可能になっている。上位制御装置101は、マイコン101aを主体として構成される電子制御装置(Electronic Control Unit)であり、電力変換装置10の外部に設けられている。
【0036】
各マイコン100a,101aは、CPU(Central Processing Unit)を備えている。各マイコン100a,101aが提供する機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、マイコン100a,101aがハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によって提供することができる。例えば、マイコン100a,101aは、自身が備える記憶部としての非遷移的実体的記録媒体(non-transitory tangible storage medium)に格納されたプログラムを実行する。プログラムには、例えば、後述する図4等に示す処理のプログラムが含まれる。プログラムを構成するインストラクションのセットが実行されることにより、プログラムに対応する方法が実行される。記憶部は、例えば不揮発性メモリである。なお、記憶部に記憶されたプログラムは、例えばOTA(Over The Air)等、インターネット等の通信ネットワークを介して更新可能である。
【0037】
制御装置100は、交流端子からの入力電力を電力変換装置10及びDCDCコンバータ24を介して蓄電池20に供給する充電制御、又は蓄電池20からの入力電力をDCDCコンバータ24及び電力変換装置10を介して交流端子から出力する放電制御を行う。この際、DCDCコンバータ24は、制御装置100によりスイッチング制御される。なお、電力変換装置10及びDCDCコンバータ24のそれぞれは、個別の制御装置により制御され得る。ただし、個別に制御されることは要部ではないため、図1には、電力変換装置10及びDCDCコンバータ24を制御する制御装置100が1つ示されている。
【0038】
電力変換装置10の外部には、第1遮断スイッチ92A、第2遮断スイッチ92B及び第3遮断スイッチ92Cが設けられている。本実施形態において、各遮断スイッチ92A~92Cはリレーである。各遮断スイッチ92A~92Cは、オンされている場合に双方向の電流の流通を許可し、オフされている場合に双方向の電流の流通を阻止する。第1~第3遮断スイッチ92A~92Cは、第1~第3交流端子Tac1~Tac3に接続されている。
【0039】
図2に示すように、第1~第3交流端子Tac1~Tac3には、第1~第3遮断スイッチ92A~92Cを介して3相交流電源200(「複数相交流部,3相交流部」に相当)が電気的に接続可能である。3相交流電源200は、例えば系統電源である。3相交流電源200において、3相の出力電圧の振幅及び周波数は同じであり、出力電圧及び出力電流の位相は各相で120°ずつずれている。図示しないが、第1~第3交流端子Tac1~Tac3には、第1~第3遮断スイッチ92A~92Cを介して3相交流負荷(「3相交流部」に相当)が電気的に接続可能である。
【0040】
図3に示すように、第1交流端子Tac1及び第4交流端子Tac4には、第1遮断スイッチ92Aを介して単相交流電源210(「単相交流部」に相当)が電気的に接続可能である。本実施形態において、単相交流電源210の出力電圧の振幅は3相交流電源200の出力電圧の振幅と同じである。また、単相交流電源210の出力電圧の周波数は3相交流電源200の出力電圧の周波数と同じである。図示しないが、第1交流端子Tac1及び第4交流端子Tac4には、第1遮断スイッチ92Aを介して単相交流負荷(「単相交流部」に相当)が電気的に接続可能である。
【0041】
制御装置100は、3相/単相充電制御又は3相/単相放電制御を行う。以下、図4のフローチャートを用いて、この制御について説明する。
【0042】
ステップS10では、3相充電制御又は3相放電制御の指示がなされているか否かを判定する。本実施形態では、上位制御装置101からCAN通信等を介して送信される指示を受信し、受信した指示に基づいて、3相充電制御又は3相放電制御の指示がなされているか否かを判定する。
【0043】
3相充電制御は、電力変換装置10及びDCDCコンバータ24それぞれのスイッチング制御により、3相交流電源200からの電力を蓄電池20に充電する制御である。
【0044】
3相放電制御は、DCDCコンバータ24及び電力変換装置10それぞれのスイッチング制御により、蓄電池20からの電力を車両外部の系統電源である3相交流電源200に供給する制御である。この制御は、V2G(Vehicle to Grid)とも呼ばれる。また、3相放電制御は、DCDCコンバータ24及び電力変換装置10それぞれのスイッチング制御により、蓄電池20からの電力を3相交流負荷に供給する制御である。3相交流負荷が住居等の建物の電気機器の場合、この制御は、V2H(Vehicle to Home)とも呼ばれる。
【0045】
3相充放電指示がなされている場合、図2に示すように、第1遮断スイッチ92A、第2遮断スイッチ92B及び第3遮断スイッチ92Cが上位制御装置101によってオンされる。
【0046】
ステップS10において肯定判定した場合には、ステップS11に進み、第1切替スイッチ61をオンする。これにより、第1直流側コンデンサ34A及び第2直流側コンデンサ34Bの直列接続体によって高電位側経路30Hと低電位側経路30Lとが接続される。
【0047】
ステップS12では、第2切替スイッチ62をオフする。なお、第4上アームスイッチS4H及び第4下アームスイッチS4Lもオフする。
【0048】
ステップS13では、各コンデンサ51~53の第2端同士の接続点である中性点と第2直流側コンデンサ34Bの第1端とが接続されるように第3切替スイッチ63を制御する(図2参照)。
【0049】
ステップS14では、3相充電制御又は3相放電制御を行う。まず、3相充電制御について説明すると、第1交流端子Tac1、第2交流端子Tac2及び第3交流端子Tac3から入力された交流電力を直流電力に変換して高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから出力すべく、第1,第2,第3上アームスイッチS1H,S2H,S3H及び第1,第2,第3下アームスイッチS1L,S2L,S3Lのスイッチング制御を行う。この際、第1直流側電圧センサ81により検出された電圧Vdcrを目標直流電圧VdcrefH(例えば800V)にフィードバック制御するように、各スイッチS1H,S2H,S3H,S1L,S2L,S3Lのスイッチング制御を行う。各相において、上アームスイッチと下アームスイッチとはデッドタイムを挟みつつ交互にオンされる。各相において、上,下アームスイッチの1スイッチング周期は同じである。
【0050】
続いて、3相放電制御について説明すると、高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから入力された直流電力を交流電力に変換して第1交流端子Tac1、第2交流端子Tac2及び第3交流端子Tac3から出力すべく、第1,第2,第3上アームスイッチS1H,S2H,S3H及び第1,第2,第3下アームスイッチS1L,S2L,S3Lのスイッチング制御を行う。各相において、上アームスイッチと下アームスイッチとはデッドタイムを挟みつつ交互にオンされる。各相において、上,下アームスイッチの1スイッチング周期は同じである。
【0051】
ステップS11~S13における第1~第3切替スイッチ61~63の制御により、電力変換装置10の状態が第1状態となる。第1状態は、第1直流側コンデンサ34A及び第2直流側コンデンサ34Bの直列接続体により高電位側経路30Hと低電位側経路30Lとが接続されるとともに、第1~第3コンデンサ51~53それぞれの第2端同士の接続点である中性点が第1直流側コンデンサ34A及び第2直流側コンデンサ34Bの接続点に電気的に接続された状態である。この場合、3相交流電源200の中性点の電圧(以下、グラウンド電圧)に対する各直流端子TdcH,TdcLの電圧である対地電圧が安定する。その結果、高電位側経路30H及び低電位側経路30Lとグラウンドとの間の浮遊容量等に起因するコモンモードノイズを低減できる。
【0052】
図5に、3相充電制御時における3相交流電源200の第1,第2、第3出力電圧V1,V2,V3、第1,第2,第3電流検出値i1r,i2r,i3r、高電位側対地電圧Vdcp及び低電位側対地電圧Vdcnの推移を示す。第1,第2、第3出力電圧V1,V2,V3は、3相交流電源200の中性点の電圧よりも第1,第2,第3交流端子Tac1,Tac2,Tac3の電圧が高い場合を正とする。高電位側対地電圧Vdcpは、上記グラウンド電圧に対する高電位側直流端子TdcHの電圧の差であり、低電位側対地電圧Vdcnは、グラウンド電圧に対する低電位側直流端子TdcLの電圧の差である。
【0053】
図5に示すように、第1,第2,第3出力電圧V1,V2,V3と、第1,第2,第3電流検出値i1r,i2r,i3rとの位相差が0(つまり、力率が1)になるような3相充電制御が実行されている。
【0054】
3相充電制御時において、高電位側対地電圧Vdcp及び低電位側対地電圧Vdcnが、第1~第3上,下アームスイッチS1H,S1L,S2H,S2L,S3H,S3Lの高周波のスイッチング周波数成分で振動していない。これは、Xコンデンサである第1~第3コンデンサ51~53の第2端側の接続点が仮想的な中性点として機能するためである。これにより、高電位側経路30H及び低電位側経路30Lとグラウンドとの間の浮遊容量等に起因するコモンモードノイズを低減できる。
【0055】
なお、図6には、比較例として、3相充電制御時において第1~第3コンデンサ51~52の第2端側が切替経路45から電気的に遮断される場合を示す。この場合、第1~第3コンデンサ51~53の第2端側の接続点と各直流側コンデンサ34A,34Bの接続点との間が電気的に遮断される。このため、高電位側対地電圧Vdcp及び低電位側対地電圧Vdcnが、高周波のスイッチング周波数成分で振動してしまう。
【0056】
図4の説明に戻り、ステップS10において否定判定した場合には、ステップS15に進み、上位制御装置101から受信した指示に基づいて、単相充電制御又は単相放電制御の指示がなされているか否かを判定する。
【0057】
単相充電制御は、電力変換装置10及びDCDCコンバータ24それぞれのスイッチング制御により、単相交流電源210からの電力を蓄電池20に充電する制御である。
【0058】
単相放電制御は、DCDCコンバータ24及び電力変換装置10それぞれのスイッチング制御により、蓄電池20からの電力を単相交流負荷に供給する制御である。単相交流負荷が住居等の建物の電気機器の場合、この制御は、V2Hとも呼ばれる。
【0059】
単相充放電指示がなされている場合、図3に示すように、第1遮断スイッチ92Aが上位制御装置101によってオンされ、第2遮断スイッチ92B及び第3遮断スイッチ92Cが上位制御装置101によってオフされる。
【0060】
ステップS15において肯定判定した場合には、ステップS16に進み、第1切替スイッチ61をオフする。ステップS17では、第2切替スイッチ62をオンする。これにより、第3経路43と切替経路45とが電気的に接続される。
【0061】
ステップS18では、各コンデンサ51~53の第2端が接続経路44に接続されるように第3切替スイッチ63を制御する(図3参照)。なお、第2上アームスイッチS2H及び第2下アームスイッチS2Lをオフする。これにより、第2直流側コンデンサ34Bは、後述する脈動補償制御に用いられる補償用コンデンサとなる。
ステップS16~S18における第1~第3切替スイッチ61~63の制御により、電力変換装置10の状態が第2状態となる。第2状態は、第1~第3コンデンサ51~53の上記中性点が接続経路44を介して第4交流端子Tac4に電気的に接続されるとともに、第3経路43が切替経路45に電気的に接続された状態である。
【0062】
ステップS19では、単相充電制御又は単相放電制御を行う。まず、単相充電制御について説明すると、第1交流端子Tac1及び第4交流端子Tac4から入力された交流電力を直流電力に変換して高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから出力すべく、第1上アームスイッチS1H及び第1下アームスイッチS1Lのスイッチング制御を行う。この際、第1直流側電圧センサ81により検出された電圧Vdcrを目標直流電圧VdcrefL(例えば、VdcrefHよりも低い400V)にフィードバック制御するように、各スイッチS1H,S1Lのスイッチング制御を行う。第1上アームスイッチS1Hと第1下アームスイッチS1Lとは、デッドタイムを挟みつつ、同期して交互にオンされる。第1上,下アームスイッチS1H,S1Lの1スイッチング周期は同じであり、3相充電制御時の1スイッチング周期と同じである。
【0063】
単相充電制御において、第4交流端子Tac4から単相交流電源210を介して第1交流端子Tac1へと向かう方向に電流が流れている第1期間において、第4下アームスイッチS4Lをオンするとともに第4上アームスイッチS4Hをオフする。一方、第1交流端子Tac1から単相交流電源210を介して第4交流端子Tac4へと向かう方向に電流が流れている第2期間において、第4上アームスイッチS4Hをオンするとともに第4下アームスイッチS4Lをオフする。現在のタイミングが第1期間及び第2期間のいずれに含まれているかは、例えば、第1電流センサ71の検出値に基づいて判定されればよい。
【0064】
続いて、単相放電制御について説明すると、高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから入力された直流電力を交流電力に変換して第1交流端子Tac1及び第4交流端子Tac4から出力すべく、第1上アームスイッチS1H及び第1下アームスイッチS1Lのスイッチング制御を行う。第1上アームスイッチS1Hと第1下アームスイッチS1Lとは、デッドタイムを挟みつつ、同期して交互にオンされる。第1上,下アームスイッチS1H,S1Lの1スイッチング周期は同じであり、3相放電制御時の1スイッチング周期と同じである。
【0065】
単相放電制御において、第4交流端子Tac4から単相交流電源210を介して第1交流端子Tac1へと向かう方向に電流が流れている第3期間において、第4上アームスイッチS4Hをオンするとともに第4下アームスイッチS4Lをオフする。一方、第1交流端子Tac1から単相交流電源210を介して第4交流端子Tac4へと向かう方向に電流が流れている第4期間において、第4下アームスイッチS4Lをオンするとともに第4上アームスイッチS4Hをオフする。現在のタイミングが第3期間及び第4期間のいずれに含まれているかは、例えば、第1電流センサ71の検出値に基づいて判定されればよい。
【0066】
なお、第4上,下アームスイッチS4H,S4Lの1スイッチング周期は、単相交流電源210の出力電圧1周期と同じ周期であり、3相充放電制御時における第1,第2,第3上、下アームスイッチS1H,S1L,S2H,S2L,S3H,S3Lの1スイッチング周期よりも長い。これは、第1~第3相については、インダクタ31~33に流れる電流のリプルを低減するための高周波数(例えば、数十kHz~数百kHz)のスイッチングが必要な一方、第4相については、単相交流電源210の出力電圧の基本周波数(例えば、50Hz又は60Hz)と同等の周波数のスイッチングで足りるためである。
【0067】
単相充電制御又は単相放電制御時においては、高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLを伝達される直流電力の脈動を低減するための第3上アームスイッチS3H及び第3下アームスイッチS3Lのスイッチング制御として、脈動補償制御を行う。第3上アームスイッチS3Hと第3下アームスイッチS3Lとは、デッドタイムを挟みつつ交互にオンされる。第3上,下アームスイッチS3H,S3Lの1スイッチング周期は同じであり、第1,第2上、下アームスイッチS1H,S1L,S2H,S2Lの1スイッチング周期と同じである。
【0068】
続いて、単相充電/放電制御における脈動補償制御について説明する。脈動補償制御は、電力変換装置10の直流電力Pdcの脈動を低減するための制御である。この制御により、平滑コンデンサ35の端子電圧の脈動を低減する。図7は、単相充電制御における脈動補償制御の一例を示すブロック図である。
【0069】
目標補償電圧算出部110は、直流電力Pdcの脈動を低減するための第2直流側コンデンサ34Bの端子電圧の目標値である目標補償電圧Vcprefを算出する。具体的には例えば、目標補償電圧算出部110は、脈動補償振幅Ppeakと、電気角θeと、下式(eq1)とに基づいて、目標補償電圧Vcprefを算出する。
【0070】
【数1】
脈動補償振幅Ppeak[W]は、単相交流電源210の出力電圧Vacの振幅に基づいて設定される値であり、具体的には出力電圧Vacの振幅と同等(例えば同じ)の値である。上式(eq1)において、ωは出力電圧Vacの角周波数[rad./sec]を示し、tは出力電圧Vacが負から正に切り替わるゼロアップクロスタイミングからの経過時間[sec.]を示し、電気角θeに基づいて把握することができる。また、「θe=ω×t」の関係がある。Ccprは第2直流側コンデンサ34Bの静電容量[F]を示す。Kは、1以上の実数であり、例えば1に設定されている。目標補償電圧算出部110は、脈動補償振幅Ppeak及び電気角θeと紐付けられて目標補償電圧Vcprefが規定されたマップ情報に基づいて、目標補償電圧Vcprefを算出すればよい。電気角θeは、交流側電圧センサ83により検出された電圧(以下、交流電圧検出値V1r)に基づいて算出されればよい。本実施形態では、交流電圧検出値V1rのゼロクロスタイミング(具体的には例えば、ゼロアップクロスタイミング)の電気角θeを0°とし、次のゼロアップクロスタイミングにおける電気角θeを360°とする。これにより、交流電圧検出値V1rの1周期が電気角1周期(0°~360°)に対応する。
【0071】
電圧制御部111は、補償電圧偏差算出部112と、補償電圧フィードバック制御部113とを備えている。補償電圧偏差算出部112は、目標補償電圧Vcprefから、第2直流側電圧センサ82により検出された第2直流側コンデンサ34Bの端子電圧(以下、補償電圧検出値Vcpr)を差し引くことにより、補償電圧偏差ΔVpを算出する。補償電圧フィードバック制御部113は、補償電圧偏差ΔVpを0にフィードバック制御するための操作量として目標フィードバック電流I3fbを算出する。補償電圧フィードバック制御部113におけるフィードバック制御は、例えば比例積分制御である。
【0072】
フィードフォワード電流算出部114は、脈動補償振幅Ppeakと、電気角θeと、下式(eq2)とに基づいて、目標フィードフォワード電流I3ffを算出する。
【0073】
【数2】
フィードフォワード電流算出部114は、脈動補償振幅Ppeak及び電気角θeと紐付けられて目標フィードフォワード電流I3ffが規定されたマップ情報に基づいて、目標フィードフォワード電流I3ffを算出すればよい。
【0074】
電流制御部115は、加算部116と、補償電流偏差算出部117と、補償電流フィードバック制御部118とを備えている。加算部116は、目標フィードバック電流I3fbに目標フィードフォワード電流I3ffを加えることにより、目標補償電流I3refを算出する。なお、フィードフォワード電流算出部114は必須ではない。この場合、「I3ref=I3fb」となる。
【0075】
補償電流偏差算出部117は、目標補償電流I3refから、第3電流センサ73により検出された第3電流検出値i3rを差し引くことにより、補償電流偏差ΔIpを算出する。補償電流フィードバック制御部118は、補償電流偏差ΔIpを0にフィードバック制御するための操作量として第3目標電圧Vleg1ref3を算出する。補償電流フィードバック制御部118におけるフィードバック制御は、例えば比例積分制御である。
【0076】
PWM生成部119は、第3目標電圧Vleg3refと、キャリア信号との大小比較に基づくパルス幅変調により、第3上,下アームスイッチS3H,S3Lのゲートに供給する第3上,下アーム駆動信号を生成する。第3上,下アームスイッチS3H,S3Lのゲートに第3上,下アーム駆動信号が供給されることにより、脈動低減制御が行われる。
【0077】
なお、本実施形態において、接続経路44、切替経路45及び第1~第3切替スイッチ61~63が「切替部」に相当する。
【0078】
図8に、単相充電制御時における補償電圧検出値Vcpr、単相交流電源210の出力電圧Vac,出力電流iac、第2直流側コンデンサ34Bに流れる電流icpr、第1電流検出値i1r、単相交流電源210の出力電力Pac、第2直流側コンデンサ34Bの電力Pcpr(=Vcpr×icpr)、及び各直流端子TdcH,TdcLから出力された直流電力Pdcの推移を示す。補償電圧検出値Vcprは、第2直流側コンデンサ34Bの両端のうち、切替経路45側の電圧よりも低電位側経路30L側の電圧が高い場合を正とする。単相交流電源210の出力電圧Vacは、第4交流端子Tac4側の電圧よりも第1交流端子Tac1側の電圧が高い場合を正とする。単相交流電源210の出力電流iacは、第4交流端子Tac4側から第1交流端子Tac1側に向かって流れる場合を正とする。第2直流側コンデンサ34Bに流れる電流icprは、第2直流側コンデンサ34Bの両端のうち、切替経路45側から低電位側経路30L側に向かって流れる場合を正とする。
【0079】
第1上,下アームスイッチS1H,S1Lの高周波スイッチング制御及び第4上,下アームスイッチS4H,S4Lの低周波のスイッチング制御により、図8に示すように、単相交流電源210の出力電圧Vacと、第1電流検出値i1rとの位相差が0(つまり、力率が1)になるような単相充電制御が実行されている。
【0080】
図8に示す例では、単相交流電源210の出力電力Pac(つまり、電力変換装置10の入力電力)は、単相交流電源210の出力電圧Vacの基本周波数の2倍の周波数で脈動する。この脈動成分を低減するための目標補償電圧Vcprefに補償電圧検出値Vcprが制御されるように、第3上,下アームスイッチS3H,S3Lがスイッチング制御される。これにより、入力電力の脈動成分が第2直流側コンデンサ34Bに無効電力として吸収され、各直流端子TdcH,TdcLへ伝達される直流電力Pdcは、概ね一定となる。その結果、平滑コンデンサ35の静電容量を低減でき、平滑コンデンサ35を小型化できる。
【0081】
続いて、図9を用いて、単相放電制御における脈動補償制御について説明する。単相放電制御の脈動低減制御においては、目標補償電圧算出部110に入力される電気角に関するパラメータは、θに代えて「θ+90°」となる。これは、第2直流側コンデンサ34Bの電力Pcpr(=Vcpr×icpr、図8参照)の正負を反転させるためである。
【0082】
以上説明した本実施形態によれば、第1,第4交流端子Tac1,Tac4に単相交流電源210が電気的に接続される場合、第1~第3切替スイッチ61~63の制御により、ノイズ対策用の第2直流側コンデンサ34Bを脈動補償制御用の補償用コンデンサとして用いることができる。つまり、電力変換装置10の構成部品を有効利用することができる。
【0083】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、制御装置100における3相/単相充放電制御指示の判定方法が変更されている。
【0084】
図10に、本実施形態に係る車載充電器の全体構成を示す。
【0085】
電力変換装置10は、電圧検出回路84を備えている。電圧検出回路84は、接続経路44の電圧を基準とした第1~第3経路41~43の電圧を検出する。電圧検出回路84の検出値は、制御装置100に入力される。
【0086】
図11に、制御装置100によって実行される3相/単相充放電制御のフローチャートを示す。
【0087】
ステップS20では、各遮断スイッチ92A~92Cがオンされている場合における電圧検出回路84の検出値を取得する。
【0088】
ステップS21では、電圧検出回路84の検出値に基づいて、3相充電制御又は3相放電制御の指示がなされているか否かを判定する。具体的には、第1~第3相のうち2相以上について交流電圧を検出したと判定した場合、3相充電制御又は3相放電制御の指示がなされていると判定する。
【0089】
ステップS22では、電圧検出回路84の検出値に基づいて、単相充電制御又は単相放電制御の指示がなされているか否かを判定する。具体的には、第1~第3相のうち第1相のみについて交流電圧を検出したと判定した場合、単相充電制御又は単相放電制御の指示がなされていると判定する。
【0090】
ちなみに、ステップS21,S22において、充電制御又は放電制御のいずれを行うかの指示は、例えば、上位制御装置101からCAN通信等を介して送信される準備指令を受信し、受信した準備指令に基づいて判定すればよい。放電制御が行われない仕様の電力変換装置10の場合、この準備指令に基づいて充電制御又は放電制御のいずれを行うかの判定処理は不要となり、制御装置100自身で充電制御が指示されているか否かを判定できる。
【0091】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図12に示すように、切替スイッチ及び切替経路等の接続関係が変更されている。
【0092】
切替経路45の第1端は、第1直流側コンデンサ34Aの第2端に接続されている。第1切替スイッチ64は、第2直流側コンデンサ34Bの第1端を、第1直流側コンデンサ34Aの第2端及び切替経路45に電気的に接続、又は第1直流側コンデンサ34Aの第2端及び切替経路45から電気的に遮断するためのスイッチである。
【0093】
制御装置100は、3相/単相充放電制御を行う。ただし、図4の処理のうち、以下に説明する点が変更されている。
【0094】
ステップS13では、図13に示すように、第2直流側コンデンサ34Bの第1端が、第1直流側コンデンサ34Aの第2端及び切替経路45に電気的に接続されるように第1切替スイッチ64をオンする。ステップS18では、図14に示すように、第2直流側コンデンサ34Bの第1端が、第1直流側コンデンサ34Aの第2端及び切替経路45から電気的に遮断されるように第1切替スイッチ64をオフする。
【0095】
本実施形態の第2直流側電圧センサ82は、第1直流側コンデンサ34Aの端子電圧を検出する。第2直流側電圧センサ82の検出値は、脈動補償制御において補償電圧検出値Vcprとして用いられる。
【0096】
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0097】
<第4実施形態>
以下、第4実施形態について、第3実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図15及び図16に示すように、第4上アームスイッチS4H及び第4下アームスイッチS4Lが電力変換装置10に備えられていない。
【0098】
本実施形態の接続経路44は、第2経路42のうち第2インダクタ32よりも第2交流端子Tac2側の部分と、第4交流端子Tac4とを接続する。
【0099】
電力変換装置10は、接続経路44に設けられた第4切替スイッチ65を備えている。第4切替スイッチ65は、オンされることにより、第2経路42と第4交流端子Tac4とを電気的に接続し、オフされることにより、第2経路42と第4交流端子Tac4とを電気的に遮断する。なお、本実施形態において、接続経路44、切替経路45、第1~第4切替スイッチ61~63,65が「切替部」に相当する。
【0100】
図17に、制御装置100によって実行される3相/単相充放電制御のフローチャートを示す。
【0101】
ステップS23では、図15に示すように、第2切替スイッチ62及び第4切替スイッチ65をオフする。
【0102】
ステップS24では、図16に示すように、第2切替スイッチ62及び第4切替スイッチ65をオンする。
【0103】
ステップS25では、単相充電制御又は単相放電制御を行う。まず、単相充電制御について説明すると、第1交流端子Tac1及び第4交流端子Tac4から入力された交流電力を直流電力に変換して高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから出力すべく、第1上アームスイッチS1H及び第1下アームスイッチS1Lのスイッチング制御を行う。この際、第1直流側電圧センサ81により検出された電圧Vdcrを目標直流電圧VdcrefLにフィードバック制御するように、各スイッチS1H,S1Lのスイッチング制御を行う。
【0104】
単相充電制御において、第4交流端子Tac4から単相交流電源210を介して第1交流端子Tac1へと向かう方向に電流が流れている第1期間において、第2下アームスイッチS2Lをオンするとともに第2上アームスイッチS2Hをオフする。一方、第1交流端子Tac1から単相交流電源210を介して第4交流端子Tac4へと向かう方向に電流が流れている第2期間において、第2上アームスイッチS2Hをオンするとともに第2下アームスイッチS2Lをオフする。
【0105】
続いて、単相放電制御について説明すると、高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから入力された直流電力を交流電力に変換して第1交流端子Tac1及び第4交流端子Tac4から出力すべく、第1上アームスイッチS1H及び第1下アームスイッチS1Lのスイッチング制御を行う。
【0106】
単相放電制御において、第4交流端子Tac4から単相交流電源210を介して第1交流端子Tac1へと向かう方向に電流が流れている第3期間において、第2上アームスイッチS2Hをオンするとともに第2下アームスイッチS2Lをオフする。一方、第1交流端子Tac1から単相交流電源210を介して第4交流端子Tac4へと向かう方向に電流が流れている第4期間において、第2下アームスイッチS2Lをオンするとともに第2上アームスイッチS2Hをオフする。
【0107】
単相充電制御又は単相放電制御時においては、高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLを伝達される直流電力の脈動を低減するための第3上アームスイッチS3H及び第3下アームスイッチS3Lのスイッチング制御として、脈動補償制御を行う。
【0108】
以上説明した本実施形態によれば、電力変換装置10を構成する脈動補償制御用の部品を削減することができる。
【0109】
<第5実施形態>
以下、第5実施形態について、第3,4実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、第4実施形態と同様に、図18に示すように、第4上アームスイッチS4H及び第4下アームスイッチS4Lが備えられていない。
【0110】
制御装置100は、3相/単相充放電制御を行う。ただし、図17の処理のうち、以下に説明する点が変更されている。ステップS11では、第1切替スイッチ64をオンする。ステップS16では、第1切替スイッチ61をオフする。
【0111】
本実施形態の第2直流側電圧センサ82は、第1直流側コンデンサ34Aの端子電圧を検出する。第2直流側電圧センサ82の検出値は、脈動補償制御において補償電圧検出値Vcprとして用いられる。
【0112】
以上説明した本実施形態によれば、第4実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0113】
<第6実施形態>
以下、第6実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図19に示すように、第1切替スイッチ66付近の構成が変更されている。
【0114】
電力変換装置10は、インダクタ36及び第1切替スイッチ66を備えている。インダクタ36の第1端は、第4上アームスイッチS4Hのソース及び第4下アームスイッチS4Lのドレインに接続されている。第1切替スイッチ66は、第2直流側コンデンサ34Bの第1端を、インダクタ36の第2端又は第1直流側コンデンサ34Aの第2端に選択的に接続する。
【0115】
切替経路45の第1端は、第1直流側コンデンサ34Aの第2端に接続されている。接続経路44は、第3経路43のうち第3インダクタ33よりも第3交流端子Tac3側の部分と、第4交流端子Tac4とを接続する。接続経路44には、第2切替スイッチ62が設けられている。なお、本実施形態において、接続経路44、切替経路45、第2切替スイッチ62、第3切替スイッチ63及び第1切替スイッチ66が「切替部」に相当する。
【0116】
続いて、図20を用いて、制御装置100によって実行される3相/単相充放電制御について説明する。
【0117】
ステップS26では、第2直流側コンデンサ34Bの第1端を第1直流側コンデンサ34Aの第2端に接続するように第1切替スイッチ66を制御する。
【0118】
ステップS27では、第2直流側コンデンサ34Bの第1端をインダクタ36の第2端に接続するように第1切替スイッチ66を制御する。
【0119】
ステップS28では、単相充電制御又は単相放電制御を行う。まず、単相充電制御について説明すると、第1交流端子Tac1及び第4交流端子Tac4から入力された交流電力を直流電力に変換して高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから出力すべく、第1上アームスイッチS1H及び第1下アームスイッチS1Lのスイッチング制御を行う。この際、第1直流側電圧センサ81により検出された電圧Vdcrを目標直流電圧VdcrefLにフィードバック制御するように、各スイッチS1H,S1Lのスイッチング制御を行う。
【0120】
単相充電制御において、第4交流端子Tac4から単相交流電源210を介して第1交流端子Tac1へと向かう方向に電流が流れている第1期間において、第3下アームスイッチS3Lをオンするとともに第3上アームスイッチS3Hをオフする。一方、第1交流端子Tac1から単相交流電源210を介して第4交流端子Tac4へと向かう方向に電流が流れている第2期間において、第3上アームスイッチS3Hをオンするとともに第3下アームスイッチS3Lをオフする。
【0121】
続いて、単相放電制御について説明すると、高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLから入力された直流電力を交流電力に変換して第1交流端子Tac1及び第4交流端子Tac4から出力すべく、第1上アームスイッチS1H及び第1下アームスイッチS1Lのスイッチング制御を行う。
【0122】
単相放電制御において、第4交流端子Tac4から単相交流電源210を介して第1交流端子Tac1へと向かう方向に電流が流れている第3期間において、第3上アームスイッチS3Hをオンするとともに第3下アームスイッチS3Lをオフする。一方、第1交流端子Tac1から単相交流電源210を介して第4交流端子Tac4へと向かう方向に電流が流れている第4期間において、第3下アームスイッチS3Lをオンするとともに第3上アームスイッチS3Hをオフする。
【0123】
なお、単相充電制御又は単相放電制御において、第2上アームスイッチS2H及び第2下アームスイッチS2Lをオフする。
【0124】
単相充電制御又は単相放電制御時において、高電位側直流端子TdcH及び低電位側直流端子TdcLを伝達される直流電力の脈動を低減するための第4上アームスイッチS4H及び第4下アームスイッチS4Lのスイッチング制御として、脈動補償制御を行う。本実施形態の第2直流側電圧センサ82は、第2直流側コンデンサ34Bの端子電圧を検出する。第2直流側電圧センサ82の検出値は、脈動補償制御において補償電圧検出値Vcprとして用いられる。
【0125】
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態の効果に準じた効果を奏することができる。
【0126】
<第7実施形態>
以下、第7実施形態について、第6実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、図21に示すように、第1切替スイッチ66付近の構成が変更されている。
【0127】
第1切替スイッチ66は、第1直流側コンデンサ34Aの第2端を、インダクタ60の第2端又は第2直流側コンデンサ34Bの第1端に選択的に接続する。切替経路45の第1端は、第2直流側コンデンサ34Bの第1端に接続されている。
【0128】
制御装置100は、3相/単相充放電制御を行う。ただし、図20の処理のうち、以下に説明する点が変更されている。ステップS26では、第1直流側コンデンサ34Aの第2端を第2直流側コンデンサ34Bの第1端に接続するように第1切替スイッチ66を制御する。ステップS27では、第1直流側コンデンサ34Aの第2端をインダクタ36の第2端に接続するように第1切替スイッチ66を制御する。
【0129】
本実施形態の第2直流側電圧センサ82は、第1直流側コンデンサ34Aの端子電圧を検出する。第2直流側電圧センサ82の検出値は、脈動補償制御において補償電圧検出値Vcprとして用いられる。
【0130】
以上説明した本実施形態によれば、第6実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0131】
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0132】
・第1上アームスイッチが複数のNチャネルMOSFETの並列接続体で構成されていてもよい。第1下アームスイッチ及び第2~第4上,下アームスイッチについても同様である。
【0133】
・上,下アームスイッチとしては、NチャネルMOSFETに限らず、例えば、フリーホイールダイオードが逆並列接続されたIGBTであってもよい。この場合、IGBTのコレクタが高電位側端子に相当し、エミッタが低電位側端子に相当する。
【0134】
・各直流側コンデンサは、図1等に示したように1つのコンデンサで構成されるものに限らず、複数のコンデンサの直列接続体で構成されるものであってもよい。
【0135】
・単相充電制御時において、双方向の電力変換を行わず、交流電力から直流電力へと単方向の電力変換のみ行う場合、第4上,下アームスイッチS4H,S4Lに代えて、図22に示すように、上,下アームダイオードD4H,D4L(「上,下アーム整流部」に相当)が設けられていてもよい。この場合、各ダイオードD4H,D4Lのカソードが高電位側端子に相当し、アノードが低電位側端子に相当する。
【0136】
・電力変換装置が搭載される移動体としては、車両に限らず、例えば、航空機又は船舶であってもよい。また、電力変換装置の搭載先は、移動体に限らず、定置式の装置であってもよい。
【0137】
・本開示に記載の制御装置及びその制御手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0138】
10…電力変換装置、31~33…第1~第3インダクタ、34A,34B…第1,第2直流側コンデンサ、51~53…第1~第3コンデンサ、61~63…第1~第3切替スイッチ、100…制御装置、S1H,S2H,S3H,S4H…第1~第4上アームスイッチ、S1L,S2L,S3L,S4L…第1~第4下アームスイッチ。
図1
図2
図3
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図5
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