(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154655
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】表面撥液性付与剤及びレジスト用樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 8/30 20060101AFI20241024BHJP
C08G 65/334 20060101ALI20241024BHJP
C09K 3/18 20060101ALI20241024BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C08F8/30
C08G65/334
C09K3/18 103
G03F7/038 501
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068596
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】荒木 孝之
(72)【発明者】
【氏名】茂原 健介
(72)【発明者】
【氏名】車 ユビン
(72)【発明者】
【氏名】李 ガヨン
【テーマコード(参考)】
2H225
4H020
4J005
4J100
【Fターム(参考)】
2H225AC42
2H225AC43
2H225AC47
2H225AC79
2H225AD19
2H225AE03P
2H225AE14P
2H225AF24P
2H225AF78P
2H225AN39P
2H225CA12
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC12
4H020BA13
4H020BA24
4H020BA26
4J005AA09
4J005BD06
4J100AL08P
4J100BA08P
4J100CA31
4J100FA03
4J100FA04
4J100FA19
4J100HA62
4J100HC51
4J100HC85
4J100HE05
4J100HG16
4J100HG18
4J100HG23
4J100JA38
(57)【要約】
【課題】高い撥インク性を有する隔壁パターンを形成することができる組成物の提供。
【解決手段】フルオロポリエーテル鎖(α)と、(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)とが、直接又は2価の有機基を介して結合しており、前記(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)の側鎖中に、式(β-1):-(R0O)n- (β-1)[式中、R0は、それぞれ独立して、C2-4アルキレン基であり、nは、3~20の整数である。]で表されるポリアルキレンオキサイド部位を有し、側鎖末端に炭素-炭素二重結合を有する含フッ素重合体を含む、表面撥液性付与剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロポリエーテル鎖(α)と、(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)とが、直接又は2価の有機基を介して結合しており、前記(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)の側鎖中に、式(β-1):
-(R0O)n- (β-1)
[式中、
R0は、それぞれ独立して、C2-4アルキレン基であり、
nは、3~20の整数である。]
で表されるポリアルキレンオキサイド部位を有し、側鎖末端に炭素-炭素二重結合を有する含フッ素重合体を含む、表面撥液性付与剤。
【請求項2】
nは、4~10の整数である、請求項1に記載の表面撥液性付与剤。
【請求項3】
前記フルオロポリエーテル鎖(α)は、下記式:
Rf1-RF-On-、又は、
-Rf2
m-RF-On-
[式中:
Rf1は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
Rf2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
RFは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
mは、0又は1であり;
nは、それぞれ独立して、0又は1である。]
で表される基である、請求項1に記載の表面撥液性付与剤。
【請求項4】
前記フルオロポリエーテル鎖(α)の分子量は、3,000以上である、請求項1に記載の表面撥液性付与剤。
【請求項5】
フルオロポリエーテル鎖(α)の末端に、前記(メタ)アクリレート系単量体がリビングラジカル重合した構造単位(β)が結合した重合体である、請求項1に記載の表面撥液性付与剤。
【請求項6】
前記含フッ素重合体は、末端に、
【化1】
[式中:
R
aは、それぞれ独立して、アルキル、フェニル、-SR
a1、-OR
a2、-NR
a3
2、
【化2】
であり;
R
a1、R
a2、R
a3、R
a4、R
a5及びR
a6は、それぞれ独立して、アルキル基又はフェニル基であり;
R
a7は、水素又はハロゲン原子である。]
で表される基を有する含フッ素重合体である、請求項1に記載の表面撥液性付与剤。
【請求項7】
前記含フッ素重合体は、下記式(1)又は(2):
【化3】
[式中:
R
F1は、Rf
1-R
F-O
n-であり;
R
F2は、-Rf
2
m-R
F-O
n-であり;
Rf
1は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり;
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり;
R
Fは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
mは、0又は1であり;
nは、それぞれ独立して、0又は1であり;
R
bは、各出現においてそれぞれ独立して、(メタ)アクリレート系単量体に由来するユニットであり;
R
bの少なくとも1つは、側鎖に、下記式(β-1):
-(R
0O)
n- (β-1)
[式中、
R
0は、それぞれ独立して、C
2-4アルキレン基であり、
nは、3~20の整数である。]
で示されるポリアルキレンオキサイド部位を有し、
R
bの少なくとも1つは、側鎖末端に炭素-炭素二重結合を有し;
αは、それぞれ独立して、1~100の整数であり;
X
aは、それぞれ独立して、2価の有機基であり;
X
bは、それぞれ独立して、2価の有機基であり;
R
aは、それぞれ独立して、アルキル、フェニル、-SR
a1、-OR
a2、-NR
a3
2、
【化4】
であり;
R
a1、R
a2、R
a3、R
a4、R
a5及びR
a6は、それぞれ独立して、アルキル基又はフェニル基であり;
R
a7は、水素又はハロゲン原子である。]
で表される含フッ素重合体である、請求項1に記載の表面撥液性付与剤。
【請求項8】
前記(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)の側鎖末端に、式:
-O(C=O)CR5=CH2
-(CH2)p11-O(C=O)CR5=CH2(式中、p11は1~6の整数である)、又は
-C(CH3)(C-CH2O(C=O)CR5=CH2)2(式中、R5は水素原子またはメチル基である)
で表される基を有する、請求項1に記載の表面撥液性付与剤。
【請求項9】
(A)フルオロポリエーテル鎖(α)と、(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)とが、直接又は2価の有機基を介して結合しており、前記(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)の側鎖中に、式(β-1):
-(R0O)n-
[式中、
R0は、それぞれ独立して、C2-4アルキレン基であり、
nは、3~20の整数である。]
で表されるポリアルキレンオキサイド部位を有し、側鎖末端に炭素-炭素二重結合を有する含フッ素重合体と、
(B)アルカリ可溶性樹脂と、
を含む、ネガ型レジスト用樹脂組成物。
【請求項10】
nは、4~10の整数である、請求項9に記載のネガ型レジスト用樹脂組成物。
【請求項11】
前記含フッ素重合体におけるフッ素含有率が25%以上である、請求項9に記載のネガ型レジスト用樹脂組成物。
【請求項12】
前記フルオロポリエーテル鎖(α)は、下記式:
Rf1-RF-On-、又は、
-Rf2
m-RF-On-
[式中:
Rf1は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
Rf2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
RFは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
mは、0又は1であり;
nは、それぞれ独立して、0又は1である。]
で表される基である、請求項9に記載のネガ型レジスト用樹脂組成物。
【請求項13】
前記フルオロポリエーテル鎖(α)の分子量は、3,000以上である、請求項9に記載のネガ型レジスト用樹脂組成物。
【請求項14】
フルオロポリエーテル鎖(α)の末端に、前記(メタ)アクリレート系単量体がリビングラジカル重合した構造単位(β)が結合した重合体である、請求項9に記載のネガ型レジスト用樹脂組成物。
【請求項15】
前記含フッ素重合体は、末端に、
【化5】
[式中:
R
aは、それぞれ独立して、アルキル、フェニル、-SR
a1、-OR
a2、-NR
a3
2、
【化6】
であり;
R
a1、R
a2、R
a3、R
a4、R
a5及びR
a6は、それぞれ独立して、アルキル基又はフェニル基であり;
R
a7は、水素又はハロゲン原子である。]
で表される基を有する含フッ素重合体である、請求項9に記載のネガ型レジスト用樹脂組成物。
【請求項16】
前記含フッ素重合体は、下記式(1)又は(2):
【化7】
[式中:
R
F1は、Rf
1-R
F-O
n-であり;
R
F2は、-Rf
2
m-R
F-O
n-であり;
Rf
1は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり;
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり;
R
Fは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
mは、0又は1であり;
nは、それぞれ独立して、0又は1であり;
R
bは、各出現においてそれぞれ独立して、(メタ)アクリレート系単量体に由来するユニットであり;
R
bの少なくとも1つは、側鎖に、下記式(β-1):
-(R
0O)
n- (β-1)
[式中、
R
0は、それぞれ独立して、C
2-4アルキレン基であり、
nは、3~20の整数である。]
で示されるポリアルキレンオキサイド部位を有し、
R
bの少なくとも1つは、側鎖末端に炭素-炭素二重結合を有し;
αは、それぞれ独立して、1~100の整数であり;
X
aは、それぞれ独立して、2価の有機基であり;
X
bは、それぞれ独立して、2価の有機基であり;
R
aは、それぞれ独立して、アルキル、フェニル、-SR
a1、-OR
a2、-NR
a3
2、
【化8】
であり;
R
a1、R
a2、R
a3、R
a4、R
a5及びR
a6は、それぞれ独立して、アルキル基又はフェニル基であり;
R
a7は、水素又はハロゲン原子である。]
で表される含フッ素重合体である、請求項9に記載のネガ型レジスト用樹脂組成物。
【請求項17】
前記(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)の側鎖末端に、式:
-O(C=O)CR5=CH2
-(CH2)p11-O(C=O)CR5=CH2(式中、p11は1~6の整数である)、又は
-C(CH3)(C-CH2O(C=O)CR5=CH2)2(式中、R5は水素原子またはメチル基である)
で表される基を有する、請求項9に記載のネガ型レジスト用樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表面撥液性付与剤及びレジスト用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
撥インク性を付与するためネガ型レジスト組成物として、特許文献1に記載のレジスト組成物が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成した場合、現像後、現像箇所に残るレジスト組成物の残渣により、現像部の濡れ性が低下し得る。現像部の濡れ性が低下すると、その後の処理、例えばインク充填時のインク充填性が低下し得る。本開示は、レジスト膜の隔壁パターンの形成において、現像部における濡れ性低下を抑制することができる表面撥液性付与剤及びレジスト用樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の態様を含む。
[1] フルオロポリエーテル鎖(α)と、(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)とが、直接又は2価の有機基を介して結合しており、前記(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)の側鎖中に、式(β-1):
-(R
0O)
n- (β-1)
[式中、
R
0は、それぞれ独立して、C
2-4アルキレン基であり、
nは、3~20の整数である。]
で表されるポリアルキレンオキサイド部位を有し、側鎖末端に炭素-炭素二重結合を有する含フッ素重合体を含む、表面撥液性付与剤。
[2] nは、4~10の整数である、上記[1]に記載の表面撥液性付与剤。
[3] 前記フルオロポリエーテル鎖(α)は、下記式:
Rf
1-R
F-O
n-、又は、
-Rf
2
m-R
F-O
n-
[式中:
Rf
1は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり;
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり;
R
Fは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
mは、0又は1であり;
nは、それぞれ独立して、0又は1である。]
で表される基である、上記[1]又は[2]に記載の表面撥液性付与剤。
[4] 前記フルオロポリエーテル鎖(α)の分子量は、3,000以上である、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の表面撥液性付与剤。
[5] フルオロポリエーテル鎖(α)の末端に、前記(メタ)アクリレート系単量体がリビングラジカル重合した構造単位(β)が結合した重合体である、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載の表面撥液性付与剤。
[6] 前記含フッ素重合体は、末端に、
【化1】
[式中:
R
aは、それぞれ独立して、アルキル、フェニル、-SR
a1、-OR
a2、-NR
a3
2、
【化2】
であり;
R
a1、R
a2、R
a3、R
a4、R
a5及びR
a6は、それぞれ独立して、アルキル基又はフェニル基であり;
R
a7は、水素又はハロゲン原子である。]
で表される基を有する含フッ素重合体である、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載の表面撥液性付与剤。
[7] 前記含フッ素重合体は、下記式(1)又は(2):
【化3】
[式中:
R
F1は、Rf
1-R
F-O
n-であり;
R
F2は、-Rf
2
m-R
F-O
n-であり;
Rf
1は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり;
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり;
R
Fは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
mは、0又は1であり;
nは、それぞれ独立して、0又は1であり;
R
bは、各出現においてそれぞれ独立して、(メタ)アクリレート系単量体に由来するユニットであり;
R
bの少なくとも1つは、側鎖に、下記式(β-1):
-(R
0O)
n- (β-1)
[式中、
R
0は、それぞれ独立して、C
2-4アルキレン基であり、
nは、3~20の整数である。]
で示されるポリアルキレンオキサイド部位を有し、
R
bの少なくとも1つは、側鎖末端に炭素-炭素二重結合を有し;
αは、それぞれ独立して、1~100の整数であり;
X
aは、それぞれ独立して、2価の有機基であり;
X
bは、それぞれ独立して、2価の有機基であり;
R
aは、それぞれ独立して、アルキル、フェニル、-SR
a1、-OR
a2、-NR
a3
2、
【化4】
であり;
R
a1、R
a2、R
a3、R
a4、R
a5及びR
a6は、それぞれ独立して、アルキル基又はフェニル基であり;
R
a7は、水素又はハロゲン原子である。]
で表される含フッ素重合体である、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の表面撥液性付与剤。
[8] 前記(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)の側鎖末端に、式:
-O(C=O)CR
5=CH
2
-(CH
2)
p11-O(C=O)CR
5=CH
2(式中、p11は1~6の整数である)、又は
-C(CH
3)(C-CH
2O(C=O)CR
5=CH
2)
2(式中、R
5は水素原子またはメチル基である)
で表される基を有する、上記[1]~[7]のいずれか1項に記載の表面撥液性付与剤。
[9] (A)フルオロポリエーテル鎖(α)と、(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)とが、直接又は2価の有機基を介して結合しており、前記(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)の側鎖中に、式(β-1):
-(R
0O)
n-
[式中、
R
0は、それぞれ独立して、C
2-4アルキレン基であり、
nは、3~20の整数である。]
で表されるポリアルキレンオキサイド部位を有し、側鎖末端に炭素-炭素二重結合を有する含フッ素重合体と、
(B)アルカリ可溶性樹脂と、
を含む、ネガ型レジスト用樹脂組成物。
[10] nは、4~10の整数である、上記[9]に記載のネガ型レジスト用樹脂組成物。
[11] 前記含フッ素重合体におけるフッ素含有率が25%以上である、上記[9]~[10]に記載のネガ型レジスト用樹脂組成物。
[12] 前記フルオロポリエーテル鎖(α)は、下記式:
Rf
1-R
F-O
n-、又は、
-Rf
2
m-R
F-O
n-
[式中:
Rf
1は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり;
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり;
R
Fは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
mは、0又は1であり;
nは、それぞれ独立して、0又は1である。]
で表される基である、上記[9]~[11]に記載のネガ型レジスト用樹脂組成物。
[13] 前記フルオロポリエーテル鎖(α)の分子量は、3,000以上である、上記[9]~[12]のいずれか1項に記載のネガ型レジスト用樹脂組成物。
[14] フルオロポリエーテル鎖(α)の末端に、前記(メタ)アクリレート系単量体がリビングラジカル重合した構造単位(β)が結合した重合体である、上記[9]~[13]のいずれか1項に記載のネガ型レジスト用樹脂組成物。
[15] 前記含フッ素重合体は、末端に、
【化5】
[式中:
R
aは、それぞれ独立して、アルキル、フェニル、-SR
a1、-OR
a2、-NR
a3
2、
【化6】
であり;
R
a1、R
a2、R
a3、R
a4、R
a5及びR
a6は、それぞれ独立して、アルキル基又はフェニル基であり;
R
a7は、水素又はハロゲン原子である。]
で表される基を有する含フッ素重合体である、上記[9]~[14]のいずれか1項に記載のネガ型レジスト用樹脂組成物。
[16] 前記含フッ素重合体は、下記式(1)又は(2):
【化7】
[式中:
R
F1は、Rf
1-R
F-O
n-であり;
R
F2は、-Rf
2
m-R
F-O
n-であり;
Rf
1は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり;
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり;
R
Fは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
mは、0又は1であり;
nは、それぞれ独立して、0又は1であり;
R
bは、各出現においてそれぞれ独立して、(メタ)アクリレート系単量体に由来するユニットであり;
R
bの少なくとも1つは、側鎖に、下記式(β-1):
-(R
0O)
n- (β-1)
[式中、
R
0は、それぞれ独立して、C
2-4アルキレン基であり、
nは、3~20の整数である。]
で示されるポリアルキレンオキサイド部位を有し、
R
bの少なくとも1つは、側鎖末端に炭素-炭素二重結合を有し;
αは、それぞれ独立して、1~100の整数であり;
X
aは、それぞれ独立して、2価の有機基であり;
X
bは、それぞれ独立して、2価の有機基であり;
R
aは、それぞれ独立して、アルキル、フェニル、-SR
a1、-OR
a2、-NR
a3
2、
【化8】
であり;
R
a1、R
a2、R
a3、R
a4、R
a5及びR
a6は、それぞれ独立して、アルキル基又はフェニル基であり;
R
a7は、水素又はハロゲン原子である。]
で表される含フッ素重合体である、上記[9]~[15]のいずれか1項に記載のネガ型レジスト用樹脂組成物。
[17] 前記(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)の側鎖末端に、式:
-O(C=O)CR
5=CH
2
-(CH
2)
p11-O(C=O)CR
5=CH
2(式中、p11は1~6の整数である)、又は
-C(CH
3)(C-CH
2O(C=O)CR
5=CH
2)
2(式中、R
5は水素原子またはメチル基である)
で表される基を有する、上記[9]~[16]のいずれか1項に記載のネガ型レジスト用樹脂組成物。
【発明の効果】
【0006】
本開示の組成物は、該組成物から形成されるレジスト膜の隔壁パターンにおいて現像部における濡れ性低下を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の表面撥液性付与剤は、含フッ素重合体含む。
【0008】
前記含フッ素重合体は、フルオロポリエーテル鎖(α)と、(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)とが、直接又は2価の有機基を介して結合しており、前記(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)の側鎖中に、式(a):
-(R0O)n-
[式中、
R0は、それぞれ独立して、C2-4アルキレン基であり、
nは、3~20の整数である。]
で表されるポリアルキレンオキサイド部位を有し、側鎖末端に炭素-炭素二重結合を有する。
【0009】
本開示の表面撥液性付与剤から得られる硬化膜は、撥インク性を有し、さらに、現像後の現像部における濡れ性の低下が抑制されている。
【0010】
<含フッ素重合体>
上記含フッ素重合体は、フルオロポリエーテル鎖(α)と、(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)とが、直接又は2価の有機基を介して結合しており、前記(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)の側鎖中に、式(a):
-(R0O)n-
[式中、
R0は、それぞれ独立して、C2-4アルキレン基であり、
nは、3~20の整数である。]
で表されるポリアルキレンオキサイド部位を有し、側鎖末端に炭素-炭素二重結合を有する。
【0011】
上記フルオロポリエーテル鎖(α)は、好ましくは、下記式:
Rf1-RF-On-、又は、
-Rf2
m-RF-On-
[式中:
Rf1は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
Rf2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
RFは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
mは、0又は1であり;
nは、それぞれ独立して、0又は1である。]
で表される基である。
【0012】
上記式において、Rf1は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基である。
【0013】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6アルキル基、特に直鎖のC1-3アルキル基である。
【0014】
Rf1は、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-16アルキル基であり、より好ましくはCF2H-C1-15ペルフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-16ペルフルオロアルキル基である。
【0015】
上記C1-16ペルフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-6ペルフルオロアルキル基、特にC1-3ペルフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6ペルフルオロアルキル基、特に直鎖のC1-3ペルフルオロアルキル基、具体的には-CF3、-CF2CF3、または-CF2CF2CF3である。
【0016】
上記式において、Rf2は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基である。
【0017】
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基における「C1-6アルキレン基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-3アルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3アルキレン基である。
【0018】
Rf2は、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-6アルキレン基であり、より好ましくはC1-6ペルフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-3ペルフルオロアルキレン基である。
【0019】
上記C1-6ペルフルオロアルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-3ペルフルオロアルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3ペルフルオロアルキル基、具体的には-CF2-、-CF2CF2-、または-CF2CF2CF2-である。
【0020】
上記式において、mは、0または1である。一の態様において、mは0である。別の態様においてmは1である。
【0021】
上記式において、nは、それぞれ独立して、0または1である。一の態様において、nは0である。別の態様においてnは1である。
【0022】
上記式において、RFは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基である。
【0023】
RFは、好ましくは、下記:
-(OCh1RFa
2h1)h3-(OCh2RFa
2h2-2)h4-
[式中:
RFaは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
h1は、1~6の整数であり、
h2は、4~8の整数であり、
h3は、0以上の整数であり、
h4は、0以上の整数であり、
だたし、h3とh4の合成は、1以上、好ましくは2以上、より好ましくは5以上であり、h3及びh4を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]
で表される基を含み得る。
【0024】
一の態様において、RFは、直鎖状、又は分枝鎖状であり得る。RFは、好ましくは、式:
-(OC6F12)a-(OC5F10)b-(OC4F8)c-(OC3RFa
6)d-(OC2F4)e-(OCF2)f-
[式中:
RFaは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、
a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は1以上である。a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である。
【0025】
RFaは、好ましくは、水素原子またはフッ素原子であり、より好ましくは、フッ素原子である。
【0026】
a、b、c、d、eおよびfは、好ましくは、それぞれ独立して、0~100の整数であってもよい。
【0027】
a、b、c、d、eおよびfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上または20以上であってもよい。a、b、c、d、eおよびfの和は、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは60以下であり、例えば50以下または30以下であってもよい。
【0028】
これら繰り返し単位は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよい。例えば、上記繰り返し単位は、-(OC6F12)-は、-(OCF2CF2CF2CF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF2CF2CF(CF3))-等であってもよい。-(OC5F10)-は、-(OCF2CF2CF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF2CF(CF3))-等であってもよい。-(OC4F8)-は、-(OCF2CF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2CF2)-、-(OCF2CF(CF3)CF2)-、-(OCF2CF2CF(CF3))-、-(OC(CF3)2CF2)-、-(OCF2C(CF3)2)-、-(OCF(CF3)CF(CF3))-、-(OCF(C2F5)CF2)-および-(OCF2CF(C2F5))-のいずれであってもよい。-(OC3F6)-(即ち、上記式中、RFaはフッ素原子である)は、-(OCF2CF2CF2)-、-(OCF(CF3)CF2)-および-(OCF2CF(CF3))-のいずれであってもよい。-(OC2F4)-は、-(OCF2CF2)-および-(OCF(CF3))-のいずれであってもよい。
【0029】
一の態様において、上記繰り返し単位は直鎖状である。
【0030】
一の態様において、上記繰り返し単位は分枝鎖状である。
【0031】
一の態様において、RFは、環構造を含み得る。
【0032】
上記環構造は、下記三員環、四員環、五員環、又は六員環であり得る。
【化9】
[式中、*は、結合位置を示す。]
【0033】
上記環構造は、好ましくは四員環、五員環、又は六員環、より好ましくは四員環、又は六員環であり得る。
【0034】
環構造を有する繰り返し単位は、好ましくは、下記の単位であり得る。
【化10】
[式中、*は、結合位置を示す。]
【0035】
一の態様において、R
Fは、それぞれ独立して、下記式(f1)~(f6)のいずれかで表される基である。
-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e- (f1)
[式中、dは、1~200の整数であり、eは、0又は1である。];
-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f2)
[式中、cおよびdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、eおよびfは、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、
c、d、eおよびfの和は2以上であり、
添字c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。];
-(R
6-R
7)
g- (f3)
[式中、R
6は、OCF
2またはOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10およびOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数である。];
-(R
6-R
7)
g-R
r-(R
7’-R
6’)
g’- (f4)
[式中、R
6は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
R
6’は、OCF
2又はOC
2F
4であり、
R
7’は、OC
2F
4、OC
3F
6、OC
4F
8、OC
5F
10及びOC
6F
12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
R
rは、
【化11】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、dおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、また、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC
6F
12)
a-(OC
5F
10)
b-(OC
4F
8)
c-(OC
3F
6)
d-(OC
2F
4)
e-(OCF
2)
f- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、dおよびeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、また、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
【0036】
上記式(f1)において、dは、好ましくは5~200、より好ましくは10~100、さらに好ましくは15~50、例えば25~35の整数である。一の態様において、eは0である。別の態様において、eは1である。上記式(f1)は、好ましくは、-(OCF2CF2CF2)d-(OCF2CF2)e-または-(OCF(CF3)CF2)d-(OCF(CF3))e-で表される基であり、より好ましくは、-(OCF2CF2CF2)d-(OCF2CF2)e-で表される基である。
【0037】
上記式(f2)において、eおよびfは、それぞれ独立して、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10~200の整数である。また、c、d、eおよびfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上または20以上であってもよい。一の態様において、上記式(f2)は、好ましくは、-(OCF2CF2CF2CF2)c-(OCF2CF2CF2)d-(OCF2CF2)e-(OCF2)f-で表される基である。別の態様において、式(f2)は、-(OC2F4)e-(OCF2)f-で表される基であってもよい。
【0038】
上記式(f3)において、R6は、好ましくは、OC2F4である。上記(f3)において、R7は、好ましくは、OC2F4、OC3F6およびOC4F8から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせであり、より好ましくは、OC3F6およびOC4F8から選択される基である。OC2F4、OC3F6およびOC4F8から独立して選択される2または3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば-OC2F4OC3F6-、-OC2F4OC4F8-、-OC3F6OC2F4-、-OC3F6OC3F6-、-OC3F6OC4F8-、-OC4F8OC4F8-、-OC4F8OC3F6-、-OC4F8OC2F4-、-OC2F4OC2F4OC3F6-、-OC2F4OC2F4OC4F8-、-OC2F4OC3F6OC2F4-、-OC2F4OC3F6OC3F6-、-OC2F4OC4F8OC2F4-、-OC3F6OC2F4OC2F4-、-OC3F6OC2F4OC3F6-、-OC3F6OC3F6OC2F4-、および-OC4F8OC2F4OC2F4-等が挙げられる。上記式(f3)において、gは、好ましくは3以上、より好ましくは5以上の整数である。上記gは、好ましくは50以下の整数である。上記式(f3)において、OC2F4、OC3F6、OC4F8、OC5F10およびOC6F12は、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、上記式(f3)は、好ましくは、-(OC2F4-OC3F6)g-または-(OC2F4-OC4F8)g-である。
【0039】
上記式(f4)において、R
6、R
7及びgは、上記式(f3)の記載と同意義であり、同様の態様を有する。R
6’、R
7’及びg’は、それぞれ、上記式(f3)に記載のR
6、R
7及びgと同意義であり、同様の態様を有する。R
rは、好ましくは、
【化12】
[式中、*は、結合位置を示す。]
であり、より好ましくは
【化13】
[式中、*は、結合位置を示す。]
である。
【0040】
上記式(f5)において、eは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、eおよびfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
【0041】
上記式(f6)において、fは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、eおよびfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
【0042】
一の態様において、上記RFは、上記式(f1)で表される基である。
【0043】
一の態様において、上記RFは、上記式(f2)で表される基である。
【0044】
一の態様において、上記RFは、上記式(f3)で表される基である。
【0045】
一の態様において、上記RFは、上記式(f4)で表される基である。
【0046】
一の態様において、上記RFは、上記式(f5)で表される基である。
【0047】
一の態様において、上記RFは、上記式(f6)で表される基である。
【0048】
上記RFにおいて、fに対するeの比(以下、「e/f比」という)は、0.1~10であり、好ましくは0.2~5であり、より好ましくは0.2~2であり、さらに好ましくは0.2~1.5であり、さらにより好ましくは0.2~0.85である。
【0049】
上記フルオロポリエーテル鎖(α)の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば500~30,000である。好ましい態様において、フルオロポリエーテル鎖(α)の数平均分子量は、3,000以上、より好ましくは4,000以上である。フルオロポリエーテル鎖(α)の数平均分子量は、好ましくは3,000~20,000、より好ましくは4,000~10,000である。本明細書において、フルオロポリエーテル鎖(α)の数平均分子量は、19F-NMRにより測定される値とする。フルオロポリエーテル鎖(α)の数平均分子量を3,000以上とすることにより、得られるレジストにおける撥インク性が向上する。
【0050】
上記(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)は、(メタ)アクリレート系単量体を重合して得られる。(メタ)アクリレート系単量体は、1種であっても、2種以上であってもよい。
【0051】
上記(メタ)アクリレート系単量体は、CHR31=CR32-CO-を有する単量体である。上記(メタ)アクリレート系単量体は、好ましくはアクリレート類、メタアクリレート類、アクリルアミド類、α-フルオロアクリレート類、α-クロロアクリレート類の中から選ばれる単量体であり得る。
【0052】
上記式中、R31は、水素原子、又はアルキル基、好ましくは水素原子であり、R32は、水素原子、塩素原子、フッ素原子、又はフッ素により置換されていてもよいアルキル基、好ましくは水素原子またはアルキル基であり、より好ましくは水素原子、又はメチル基である。
【0053】
上記構造単位(β)は、少なくとも1つの側鎖に、式(β-1):
-(R0O)n- (β-1)
[式中、
R0は、それぞれ独立して、C2-4アルキレン基であり、
nは、3~20の整数である。]
で表されるポリアルキレンオキサイド部位を有し、かつ、側鎖末端に炭素-炭素二重結合を有する。
【0054】
上記C2-4アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよい。
【0055】
上記C2-4アルキレン基は、好ましくはエチレン基、又はプロピレン基、より好ましくはエチレン基であり得る。
【0056】
(R0O)nにおけるR0は、同じであっても異なっていてもよい。一の態様において、(R0O)nにおけるR0は、同じである。別の態様において、(R0O)nにおけるR0は、異なっている。
【0057】
異なる側鎖間における-(R0O)n-は、同じであっても、異なっていてもよい。一の態様において、異なる側鎖間における-(R0O)n-は、同じである。別の態様において、異なる側鎖間における-(R0O)n-は、異なっている。
【0058】
一の態様において、含フッ素重合体におけるR0のうち、好ましくは50~100%、より好ましくは80~100%、特に好ましくは100%がエチレン基であり得る。
【0059】
エチレン基の割合を多くすることにより、親水基としての効果が高まり、現像欠陥が抑制され、開口部の親インク性が向上し得る。
【0060】
-(R0O)n-がオキシエチレン基とオキシエチレン基以外のオキシアルキレン基とを含む場合、オキシエチレン基と他のオキシアルキレン基とのブロック共重合鎖であることが好ましい。
【0061】
nは、3~20であり、好ましくは、4~10である。nが4以上であると、親水基としての効果が強くなり、現像欠陥を改善でき、開口部の親インク性がより改善される。
【0062】
構造単位(β)へのポリオキシアルキレン部位の導入は、通常、式(β-1)の部位を有する(メタ)アクリレート系単量体をブロック重合することによって得られる。
【0063】
ブロックポリマー分子中のオキシアルキレン基(例えばオキシエチレン(EO)基)の含有量(個数)はEA当量(オキシエチレンについてはEO当量)で表す。EA当量(例えばEO当量)は、構造単位βの側鎖に有するポリオキシアルキレン連鎖を構成するオキシアルキレン基(例えばオキシエチレン(EO)基)1個当たりのポリマー分子量であり、言い換えるとオキシアルキレン基1モル当たり必要となるブロックポリマーの重量(g数)を表す。
【0064】
本開示において、H-NMR、F-NMR、IRスペクトルよりブロックポリマーの分子構造、組成、比率を決定し、さらに一つのポリオキシアルキレン鎖中のオキシアルキレン個数とから、計算によりオキシアルキレン当量を算出することができる。
【0065】
上記含フッ素重合体におけるEA当量(典型的にはEO当量)の上限は、好ましくは1000であり得る。EA当量を1000以下とすることにより、含フッ素重合体1分子中のオキシアルキレンの含有率が高くなり、現像後の基板の濡れ性の悪化を抑制することができる。EA当量(典型的にはEO当量)の上限は、より好ましくは800、さらに好ましくは500であり得る。
【0066】
上記含フッ素重合体におけるEA当量(典型的にはEO当量)の下限は、特に限定されないが、例えば100であり得る。EA当量を100以上とすることにより、オキシアルキレンの含有率が高くなりすぎず、フッ素含有率も高くなり、表面へのフッ素部位の偏析が容易になる。その結果、レジスト被膜自体の撥液性が向上しやすくなる。EA当量(典型的にはEO当量)の下限は、好ましくは150、より好ましくは180であり得る。
【0067】
更にブロックポリマー中の構造単位(β)には、側鎖末端の一部またはすべてに炭素-炭素二重結合を有する基を有する。かかる炭素-炭素二重結合を有する基は、1種であっても、2種以上であってもよく、さらに、一つの側鎖末端に2個以上の炭素-炭素二重結合を有していてもよい。
【0068】
また、炭素-炭素二重結合を有する基は式(β-1)のポリオキシアルキレン側鎖を有する側鎖末端に結合していてもよく、またポリオキシアルキレン側鎖を含まない別の(メタ)アクレート単量体の側鎖末端に結合していてもよい。
【0069】
上記側鎖末端に位置する炭素-炭素二重結合を有する基は、具体的には、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、α-フルオロアクリロイル基、α-フルオロアクリロイルオキシ基、アリル基、ビニル基、又はビニルオキシ基であり得る。
【0070】
上記炭素-炭素二重結合を有する基は、好ましくは、CH2=CR5COO-(式中、R5は、水素原子、フッ素原子又はメチル基)であり、より好ましくは式中のR5が水素原子またはメチル基のものである。
【0071】
含フッ素重合体分子中の炭素-炭素二重結合の含有量(個数)は二重結合当量で表す。二重結合当量とは、二重結合1個当たりのポリマー分子量であり、言い換えると二重結合1モル当たり必要となるブロックポリマーの重量(g数)を表す。
【0072】
本開示において、H-NMR、F-NMR、IRスペクトルよりブロックポリマーの分子構造、組成、二重結合比率を決定した後、計算により二重結合当量を算出することができる。
【0073】
本開示において、含フッ素ポリマーの二重結合当量の上限は、好ましくは1600であり得る。二重結合当量を1600以下とすることにより、含フッ素重合体1分子中の二重結合の含有率が高くなり、現像後の撥液性の低下を抑制することができる。二重結合当量の上限は、より好ましくは1200、さらに好ましくは1100であり得る。
【0074】
含フッ素重合体の二重結合当量の下限は、特に限定されないが、例えば350であり得る。二重結合当量を350以上とすることにより、二重結合の含有率が高くなりすぎず、フッ素含有率も高くなり、表面へのフッ素部位の偏析(ブリーズアウト)が容易になる。その結果、レジスト被膜自体の撥液性が向上しやすくなる。二重結合当量の下限は、好ましくは400、より好ましくは450である。
【0075】
好ましい態様において、含フッ素重合体中の構造単位(β)は、下記式:
-M1
p1-M2
q1-M3
r3-
(式中:
M1は、各出現においてそれぞれ独立して、側鎖中に前述の式(β-1)で示されるポリオキシアルキレン部位を有し、かつ、その同じ側鎖末端に炭素-炭素二重結合を有する基Y1を有する基を有する(メタ)アクリレート系単量体に由来するユニットであり、
M2は、側鎖中に、上記式(β-1)で示されるポリオキシアルキレン部位を有し、かつ、その同じ側鎖末端に炭素-炭素二重結合を有しない(メタ)アクリレート系単量体に由来するユニットであり、
M3は、各出現においてそれぞれ独立して、M1又はM2と重合可能な他の単量体に由来るユニットであり;
p1は1~100の整数であり;
q1は0~100の整数であり;
r1は0~100の整数であり;
p1、q1及びr1の合計は、1~100の整数であり、
式中、各M1、M2及びM3の存在順序は任意である。]
で示される構造単位を有するものある。
【0076】
M
1は、好ましくは、式:
【化14】
[式中、
Y
1は、炭素-炭素二重結合を有する1価の有機基であり、
R
0は、それぞれ独立して、C
2-4アルキレン基であり、
nは、3~20の整数であり、
R
10は、水素原子またはメチル基であり、
R
11は、それぞれ独立して、2価以上の有機基であり、
n1は、0又は1である。]
で表される基である。
【0077】
R11における2価以上の有機基は、好ましくは、炭素原子だけでなく、酸素、窒素、硫黄などの原子を有していてもよい、主鎖原子数が1~25、好ましくは1~20のリンカーである。
【0078】
一の態様において、上記2価以上の有機基は、2価の有機基である。別の態様において、上記2価以上の有機基は、3~6価の有機基、好ましくは3価の有機基である。別の態様において、上記2価以上の有機基は、2価又は3価の有機基である。
【0079】
好ましい態様において、上記2価の有機基は、
-(CH2)p1-(p1は1~10の整数)、
-C2H4-O-C2H4-、
-C3H6-O-C3H6-、
-CH2CH(OH)CH2-
-(CH2)p2-OCONH-CH2CH2-(p2は1~10の整数)、
-C2H4OC2H4-OCONH-CH2CH2-、
-C3H6OC3H6-OCONH-CH2CH2-、
-CH2CH(OH)CH2-OCONH-CH2CH2-、又は
-CH2CH2-NHCOO-(CH2)p3-(p3は1~10の整数)
で表される基である。
【0080】
好ましい態様において、上記3価の有機基は、
-CH2CHCH2-、
-(CH2)p4-OCONH-C(CH3)(CH2-)2(p4は1~10の整数)、
-C2H4OC2H4OCONH-C(CH3)(CH2-)2、
-CH2CH(OCO-CH2CH2-)CH2-OCONH-CH2CH2-、又は
-CH2CH(OH)CH2-OCONH-C(CH3)(CH2-)2
で表される基である。
【0081】
好ましい態様において、上記5価の有機基は、
-CH2CH(OCONH-C(CH3)(CH2-)2)CH2-OCONH-C(CH3)(CH2-)2
で表される5価の有機基である。
【0082】
Y1は、末端に炭素-炭素二重結合を含むものであり、例えば、
-(C=O)CR5=CH2、
-(CH2)p11-O(C=O)CR5=CH2(p11は1~6の整数である)、又は
-O(C=O)CR5=CH2
(式中、R5は水素原子またはメチル基である。)
であり得る。
【0083】
M
1は、好ましくは、
【化15】
[式中、
R
10は、水素原子またはメチル基であり、
R
5は水素原子またはメチル基であり、
R
0は、それぞれ独立して、C
2-4アルキレン基であり、
nは、3~20の整数である。]
で表される基であり得る。
【0084】
M
2は、好ましくは、下記式:
【化16】
[式中、
R
10は、水素原子またはメチル基であり、
R
12は、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基であり、
R
0は、それぞれ独立して、C
2-4アルキレン基であり、
nは、3~20の整数である。]
で表される基であり得る。
【0085】
R12は、好ましくは水素原子または炭素数1~6のアルキル基、より好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0086】
別の好ましい態様において、含フッ素重合体中の構造単位(β)は、下記式:
-M4
p2-M5
q2-M6
r2-
(式中:
M4は、各出現においてそれぞれ独立して、炭素-炭素二重結合を有する基Y1を有する(メタ)アクリレート系単量体に由来するユニットであり、側鎖中に上記式(β-1)で表されるポリオキシアルキレン鎖を含まないユニットであり、
M5は、側鎖中に上記式(β-1)で表されるポリオキシアルキレン部位を有し、かつその同じ側鎖の末端に炭素-炭素二重結合を有しない(メタ)アクリレート系単量体に由来するユニットであり、
M6は、各出現においてそれぞれ独立して、M4又はM5と重合可能な他の単量体に由来
するユニットであり;
p2は1~100の整数であり;
q2は1~100の整数であり;
r2は0~100の整数であり;
p2、q2及びr2の合計は、1~100の整数であり、
式中、各M4~M6の存在順序は任意である。]
で示される構造単位を有するものある。
【0087】
M
4は、好ましくは、式:
【化17】
[式中、
Y
1は、炭素-炭素二重結合を有する1価の有機基であり、
R
10は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基であり、
R
13は、それぞれ独立して、2価以上の有機基であって、式(β-1)で表されるポリオキシアルキレン鎖を含まない基である。]
で表される基である。
【0088】
R13における2価以上の有機基は、好ましくは、炭素原子だけでなく、酸素、窒素、硫黄などの原子を有していてもよい、主鎖原子数が1~25、好ましくは1~20のリンカーである。
【0089】
一の態様において、上記2価以上の有機基は、2価の有機基である。別の態様において、上記2価以上の有機基は、3~6価の有機基、好ましくは3価の有機基である。別の態様において、上記2価以上の有機基は、2価又は3価の有機基である。
【0090】
好ましい態様において、R13における2価以上の有機基は、
-(CH2)m1-(m1は1~10の整数)
-C2H4OC2H4-、
-C3H6OC3H6-
-CH2CH(OH)CH2-、
-(CH2)m1O(C=O)NHCH2CH2-(m1は1~10の整数)
-(CH2)m1O(C=O)NHC(CH3)2CH2-
-C2H4OC2H4O(C=O)NHCH2CH2-
-C3H6OC3H6O(C=O)NHCH2CH2-
-C2H4OC2H4O(C=O)NHC(CH3)2CH2-
-CH2CH(OH)CH2O(C=O)NHCH2CH2-
-CH2CH2NH(C=O)O(CH2)m1-(m1は1~10の整数)
-CH2CHCH2-
-CH2CH(O(C=O)CH2CH2-)-CH2O(C=O)NH-CH2CH2-
-CH2CH(OH)CH2O(C=O)NHC(CH3)(CH2-)2
-CH2-CH(O(C=O)NHC(CH3)(CH2-)2)-CH2O(C=O)NHC(CH3)(CH2-)2
【0091】
M4におけるY1は、上記M1と同様に、末端に炭素-炭素二重結合を含むものであり、例えば、
-(C=O)CR5=CH2、又は
-O(C=O)CR5=CH2
(式中、R5は水素原子またはメチル基である。)
であり得、好ましくは-O(C=O)CR5=CH2である。
【0092】
M
5は、好ましくは、
【化18】
[式中、
R
0は、それぞれ独立して、C
2-4アルキレン基であり、
nは、3~20の整数であり、
R
10は、水素原子またはメチル基であり、
R
14は、水素原子または炭素数1~10の炭化水素基である。]
で表される基である。
【0093】
R14は、好ましくは、水素原子、又はC1-6アルキル基であり、より好ましくはメチル基である。R14の炭素数を6以下とすることにより、疎水性を抑制することができ、親水基のポリオキシアルキレン鎖の効果を効率的に発揮できる。
【0094】
構造単位(β)における炭素-炭素二重結合(具体的にはユニットM1、及びM4の側鎖末端の炭素-炭素二重結合)は、例えば、反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体(Mx)を重合したのち、その反応性基を、当該反応性基と結合し得る官能基と炭素-炭素二重結合とを有する化合物(My)と反応させることにより、炭素-炭素二重結合を有する基を側鎖に導入することができる。
【0095】
反応性基を有する単量体(Mx)としては、水酸基を有する単量体、炭素-炭素二重結合を有する酸無水物、カルボキシル基を有する単量体、エポキシ基を有する単量体等が
挙げられる
【0096】
反応性基を有する単量体(Mx)と、上記反応性基と結合し得る官能基とエチレン性二重結合とを有する化合物(My)の組み合わせとしては、例えば以下の組み合わせが挙げられる。
(1)水酸基を有する(メタ)アクリレート系単量体(Mx)に対し、炭素-炭素二重結合を有する酸無水物(My)、
(2)水酸基を有する(メタ)アクリレート系単量体(Mx)に対し、イソシアネート基と炭素-炭素二重結合を有する化合物(My)、
(3)水酸基を有する単量体(メタ)アクリレート系単量体(Mx)に対し、塩化アシル基と炭素-炭素二重結合を有する化合物(My)、
(4)エチレン性二重結合を有する酸無水物(Mx)に対し、水酸基と炭素-炭素二重結合を有する化合物(My)、
(5)カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート系単量体(Mx)に対し、エポキシ基と炭素-炭素二重結合を有する化合物(My)、
(6)エポキシ基を有する(メタ)アクリレート系単量体(Mx)に対し、カルボキシル基と炭素-炭素二重結合を有する化合物(My)
などの組み合わせの反応によって、炭素-炭素二重結合を有する基を側鎖に導入することができる。
【0097】
側鎖中にポリオキシアルキレン部位を有し、かつその同じ側鎖の末端に炭素-炭素二重結合を有するユニットM1を得るためには、例えば、末端が水酸基であるポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート系単量体(Mx)を予め重合し、のちに上記(1)、(2)または(3)の方法を用いて、末端に炭素-炭素二重結合を導入することができる。
【0098】
末端が水酸基であるポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート系単量体としては、
CH2=CHCOOC2H4O(C2H4O)mH、
CH2=C(CH3)COOC2H4O(C2H4O)mH、
CH2=CHCOOC2H4O(C2H4O)m(C3H6O)nH、
(ここで、mは0又は1~100の整数であり、nは1~100の整数であり、m+nは1~100である。以下同じ)、
CH2=C(CH3)COOC2H4O(C2H4O)m(C3H6O)nH、
等が挙げられる。
【0099】
炭素-炭素二重結合を末端に有するユニットM4を得るために、上記(1)~(6)の何れかの方法を用いることができる。かかる方法で用いる各種官能基を有する単量体(Mx)は、下記の通りであり得る。
【0100】
水酸基を有する(メタ)アクリレート系(Mx)単量体としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0101】
カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート系単量体(Mx)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
【0102】
エポキシ基を有する(メタ)アクリレート系単量体(Mx)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルが挙げられる。
【0103】
炭素-炭素二重結合を有する酸無水物(My)としては、例えば、無水アクリル酸が挙げられる。
【0104】
塩化アシル基とエチレン性二重結合を有する化合物(My)としては、例えば、(メタ)アクリロイルクロライドが挙げられる。
【0105】
イソシアネート基と炭素-炭素二重結合を有する化合物(My)としては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートなどが挙げられる。
【0106】
構造単位(β)には必要に応じて、ポリオキシアルキレン基を有するユニット(M1、M2、及びM5)、炭素-炭素二重結合を有するユニット(M1、及びM4)以外の(メタ)アクリレート系単量体に由来するユニットM3又はM6を加えてもよい。
【0107】
例えば、酸性や親水性の官能基を有する単量体の構造単位を加えることにより、アルカリ水溶液からなる各種現像液への溶解性が改善できる。
【0108】
上記酸性や親水性の官能基を有する単量体の構造単位としては、例えば、-COOH基、フェノール性OH基、ヘキサフルオロイソプロパノール基などを有する単量体の構造単位などが挙げられる。
【0109】
また、極性の官能基、例えば、OH基、エステル基、アミド基、等を有する単量体の構造単位を加えることにより、極性溶剤への溶解性や樹脂成分との相溶性が改善できる。
【0110】
また、加熱等により架橋可能な官能基、例えば、エポキシ基、グリシジル基、脂環式エポキシ基、オキセタニル基、ブロック化イソシアネート基等を有する単量体の構造単位を加えることにより、撥液機能の耐久性(耐熱性、耐溶剤性)が向上し、また、アウトガスの低減が可能になる。
【0111】
M3及びM6を構成する単量体としては、例えば、
CH2=CR5COOCH2CH2OH、
CH2=CR5COOCH2CH2CH2CH2OH、
CH2=CR5COOH、
CH2=CR5COOCH2CH2OCO-R12-COOH
(式中、R12は、-CH2CH2-、シクロへキシレン(好ましくは1,6-シクロへキシレン)、又はフェニレン(好ましくは1,6-フェニレン)である。)
CH2=CR5COO(CH2CH2O)q1-H(q1は2~10の整数)
CH2=CR5CONH2、
CH2=CR5COOCH2-エポキシ基
(式中、R5は水素原子またはメチル基である。)
で表される単量体が挙げられる。
【0112】
本開示の組成物に用いられるフルオロポリエーテル鎖(α)と構造単位(β)を含む含フッ素重合体は、ランダムポリマーに比べ、非フッ素の汎用溶剤への溶解性に優れ、レジスト用のアルカリ可溶性樹脂に添加した際の相溶性に優れることから、レジスト被膜とした場合に均質な外観が得られやすい。
【0113】
上記フルオロポリエーテル鎖(α)と構造単位(β)を含む含フッ素重合体は、ブロックポリマーであり、ランダムポリマーに比べ、非フッ素の汎用溶剤への溶解性、及びレジスト用のアルカリ可溶性樹脂に添加した際の相溶性に優れ、レジスト被膜とした場合に均質な外観が得られやすい。
【0114】
好ましい態様において、上記含フッ素重合体は、フルオロポリエーテル鎖(α)の末端、(例えば、片末端及び/又は両末端)に、(メタ)アクリル系単量体をリビングラジカル重合することによって構造単位(β)を形成したブロックポリマーであり得る。リビングラジカル重合を用いることにより、ポリマー組成分布及び分子量分布を狭くすることができ、溶剤への溶解性、アルカリ可溶性樹脂との相溶性に、より優れる。
【0115】
上記リビングラジカル重合の例としては、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加-開裂型ラジカル重合(RAFT)、ニトロキシドを介するラジカル重合(NMP)、有機テルルを用いるラジカル重合(TERP)等が挙げられる。
【0116】
好ましい態様において、上記含フッ素重合体は、リビングラジカル重合体、好ましくは可逆的付加-開裂連鎖移動重合(RAFT重合)によりリビングラジカル重合体である。RAFT法は、重合反応の制御が容易であること、金属系の触媒が不要で除去精製の必要がない点で好ましい。
【0117】
好ましい態様において、上記含フッ素重合体は、末端に、
【化19】
[式中:
R
aは、それぞれ独立して、アルキル、フェニル、-SR
a1、-OR
a2、-NR
a3
2、
【化20】
であり;
R
a1、R
a2、R
a3、R
a4、R
a5及びR
a6は、それぞれ独立して、アルキル基又はフェニル基であり;
R
a7は、水素又はハロゲン原子である。]
で表される基を有する。
【0118】
上記含フッ素重合体は、下記式(1)又は(2)
【化21】
[式中:
R
F1は、Rf
1-R
F-O
n-であり;
R
F2は、-Rf
2
m-R
F-O
n-であり;
Rf
1は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-16アルキル基であり;
Rf
2は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC
1-6アルキレン基であり;
R
Fは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり;
mは、0又は1であり;
nは、それぞれ独立して、0又は1であり;
R
bは、各出現においてそれぞれ独立して、(メタ)アクリレート系単量体に由来するユニットであり;
R
bの少なくとも1つは、側鎖に、下記式(β-1):
-(R
0O)
n- (β-1)
[式中、
R
0は、それぞれ独立して、C
2-4アルキレン基であり、
nは、3~20の整数である。]
で示されるポリアルキレンオキサイド部位を有し、
R
bの少なくとも1つは、側鎖末端に炭素-炭素二重結合を有し;
αは、それぞれ独立して、1~100の整数であり;
X
aは、それぞれ独立して、2価の有機基であり;
X
bは、それぞれ独立して、2価の有機基であり;
R
aは、それぞれ独立して、アルキル、フェニル、-SR
a1、-OR
a2、-NR
a3
2、
【化22】
であり;
R
a1、R
a2、R
a3、R
a4、R
a5及びR
a6は、それぞれ独立して、アルキル基又はフェニル基であり;
R
a7は、水素又はハロゲン原子である。]
で表される含フッ素重合体である。
【0119】
上記式中、RF1及びRF2は、フルオロポリエーテル鎖(α)であり、Rf1-RF-On-、及び-Rf2
m-RF-On-は、上記と同意義である。
【0120】
上記式中、[Rb
α]は、エチレン性単量体のブロック重合体構造単位(β)であり、Rbは、各出現においてそれぞれ独立して、エチレン性単量体に由来するユニットであり、αは、1~100の整数である。
【0121】
上記含フッ素重合体のフッ素原子含有量は、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上である。フッ素原子含有量を20%以上とすることにより、本開示の表面撥液性付与剤から得られる硬化膜の撥インク性が向上し、さらに現像後に隔壁パターン表面においても良好な撥インク性を付与できる。
【0122】
上記含フッ素重合体中のフッ素原子含有量は、F-NMRにより測定することができる。
【0123】
上記含フッ素重合体の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、2×102~1×105、好ましくは1×103~5×104、より好ましくは3×103~2×104であり得る。当該数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
【0124】
本開示は、ネガ型レジスト用組成物を提供する。
【0125】
本開示のネガ型レジスト用組成物は、
(A)フルオロポリエーテル鎖(α)と、(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)とが、直接又は2価の有機基を介して結合しており、前記(メタ)アクリレート系単量体の構造単位(β)の側鎖中に、式(β-1):
-(R0O)n-
[式中、
R0は、それぞれ独立して、C2-4アルキレン基であり、
nは、3~20の整数である。]
で表されるポリアルキレンオキサイド部位を有し、側鎖末端に炭素-炭素二重結合を有する含フッ素重合体と、
(B)アルカリ可溶性樹脂と、
を含む。
【0126】
本開示のネガ型レジスト用樹脂組成物おける含フッ素重合体(A)は、上記表面撥液性付与剤と同様のものが利用でき、レジスト被膜に優れた撥水性、撥油性、撥液性を付与できる。
【0127】
上記ネガ型レジスト用樹脂組成物おける含フッ素重合体(A)は、フッ素含有率が25重量%のものが、リソグラフィプロセスにけるアルカリ現像で形成される隔壁等のパターンに優れた撥インク性を付与できる点で特に好ましい。
【0128】
<アルカリ可溶性樹脂>
上記アルカリ可溶性樹脂(B)は、アルカリに可溶性の樹脂であれば特に限定されず、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、及びスルホン酸基からなる群から選ばれる少なくとも1つの酸性基又はその塩を有する樹脂が好ましい。
【0129】
上記アルカリ可溶性樹脂(B)は、1分子内に上記の酸性基とエチレン性二重結合とを有するアルカリ可溶性の感光性樹脂であることが好ましい。ただし、アルカリ可溶性樹脂(B)は実質的にフルオロポリエーテル基を含有しない。
【0130】
アルカリ可溶性樹脂(B)としては、例えば、酸性基を有する側鎖と、エチレン性二重結合を有する側鎖とを有する、エチレン性二重結合を有する単量体の2種以上の共重合体(B-1)、1分子内に酸性基とエチレン性二重結合とを有するノボラック樹脂誘導体(B-2)、1分子内に酸性基とエチレン性二重結合とを有するエポキシ樹脂誘導体(B-3)が挙げられる。
【0131】
共重合体(B-1)中の酸性基は、酸性基を有するエチレン性単量体(b1)を重合さすることによって得られる。
【0132】
酸性基としてカルボキシル基を有する単量体(b1)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、又はこれらの塩等が挙げられる。
【0133】
酸性基としてフェノール性水酸基を有する単量体(b1)としては、例えば、o-ヒドロキシスチレン、m-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシスチレン等が挙げられる。また、これらの単量体の芳香環に結合したフェノール性水酸基及びビニル基以外の1個以上の水素原子が、アルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミド基に置換された化合物等も挙げられる。
【0134】
酸性基としてスルホン酸基を有する単量体(b1)としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アリルオキシプロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸-2-スルホエチル、(メタ)アクリル酸-2-スルホプロピル、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロキシプロパンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
【0135】
共重合体(B-1)中のエチレン性二重結合を有する側鎖は、例えば、反応性基を有する単量体(b2)と酸性基を有する単量体(b1)とを共重合したのち、その反応性基が、後述する反応性基と結合し得る官能基とエチレン性二重結合とを有する化合物(b3)と反応することにより、エチレン性二重結合を有する側鎖を有する含フッ素重合体(B-1)が形成されることとなる。
【0136】
単量体(b2)由来の反応性基と結合し得る官能基とエチレン性二重結合とを有する化合物(b3)との具体的な組み合わせは、(メタ)アクリレート系単量体(β1)と官能基と炭素-炭素二重結合とを有する化合物(β2)の組み合わせと同様の組み合わせが適用できる。
【0137】
反応性基を有する単量体(b2)、及び官能基とエチレン性二重結合を有する化合物(b3)の具体例としては、好ましくは、上記した反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体(β1)、及び官能基と炭素-炭素二重結合とを有する化合物(β2)に例示したものと同様のものが挙げられる。
【0138】
上記反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体(β1)としては、水酸基を有する単量体、炭素-炭素二重結合を有する酸無水物、カルボキシル基を有する単量体、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート系単量体等が挙げられる。
【0139】
上記反応性基を有する(メタ)アクリレート系単量体(β1)と、上記反応性基と結合し得る官能基とエチレン性二重結合とを有する化合物(β2)の組み合わせとしては、例えば以下の組み合わせが挙げられる。
(1)水酸基を有する(メタ)アクリレート系単量体(β1)に対し、炭素-炭素二重結合を有する酸無水物(β2)、
(2)水酸基を有する(メタ)アクリレート系単量体(β1)に対し、イソシアネート基と炭素-炭素二重結合を有する化合物(β2)、
(3)水酸基を有する単量体(メタ)アクリレート系単量体(β1)に対し、塩化アシル基と炭素-炭素二重結合を有する化合物(β2)、
(4)カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート系単量体(β1)に対し、エポキシ基と炭素-炭素二重結合を有する化合物(β2)、
(5)エポキシ基を有する(メタ)アクリレート系単量体(β1)に対し、カルボキシル基と炭素-炭素二重結合を有する化合物(β2)
などの組み合わせの反応によって、炭素-炭素二重結合を有する基を側鎖に導入することができる。
【0140】
上記水酸基を有する(メタ)アクリレート系(β1)単量体の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0141】
また、上記水酸基を有する(メタ)アクリレート系(β1)単量体は、末端が水酸基であるポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート系単量体であってもよい。かかる単量体としては、例えば、
CH2=CHCOOC2H4O(C2H4O)mH、
CH2=C(CH3)COOC2H4O(C2H4O)mH、
CH2=CHCOOC2H4O(C2H4O)m(C3H6O)nH、
CH2=C(CH3)COOC2H4O(C2H4O)m(C3H6O)nH、
[式中、
mは0又は1~100の整数であり、
nは1~100の整数であり、
m+nは1~100である。]
等が挙げられる。
【0142】
上記カルボキシル基を有する(メタ)アクリレート系単量体(β1)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
【0143】
上記エポキシ基を有する(メタ)アクリレート系単量体(β1)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0144】
上記炭素-炭素二重結合を有する酸無水物(β2)としては、例えば、無水アクリル酸などが挙げられる。
【0145】
上記塩化アシル基とエチレン性二重結合を有する化合物(β2)としては、例えば、(メタ)アクリロイルクロライドなどが挙げられる。
【0146】
上記イソシアネート基と炭素-炭素二重結合を有する化合物(β2)としては、例えば、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1-(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートなどが挙げられる。
【0147】
ノボラック樹脂誘導体(B-2)におけるノボラック樹脂は、フェノール類をアルデヒド類と重縮合して得られるものであり得る。
【0148】
上記フェノール類の具体例としては、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,3- キシレノール、2,5-キシレノール、3,5-キシレノール、2,3,5-トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ピロガロール、フロログリシノール等が挙げられる。
【0149】
上記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒドが挙げられる。
【0150】
ノボラック樹脂としては、例えば、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、フェノール・クレゾール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂等が挙げられる。特に、現像により樹脂を除去した基材表面のインクに対する濡れ性が良好であることから、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂型の感光性樹脂が好ましい。
【0151】
上記樹脂に、エチレン性二重結合を導入する方法としては、例えば、フェノール性水酸基の一部をエポキシ基とエチレン性二重結合を有する化合物と反応させる方法が挙げられる。また、フェノール性水酸基の一部又はすべてをエピクロロヒドリンと反応させて、ノボラック樹脂にエポキシ基を導入した後に、該エポキシ基にカルボキシル基とエチレン性二重結合を有する化合物を反応させる方法が挙げられる。さらに、この反応で生成した水酸基と酸無水物とを反応させ、分子内にカルボキシル基を導入することができる。
【0152】
エポキシ樹脂誘導体(B-3)は、好ましくは、式(3):
【化23】
[式中、
R
7及びR
8は、独立して、水素原子、炭素数1~5のアルキル基又はハロゲン原子のいずれかであり、
Yは-CO-、-SO
2-、-C(CF
3)
2-、-Si(CH
3)
2-、-CH
2-、-C(CH
3)
2-、-O-、又は9,9-フルオレニル基又は単結合であり、
nは0~10の整数である。]
で表されるビスフェノール類エポキシ化合物から誘導される。
【0153】
好ましいエポキシ樹脂誘導体(B-3)を与えるビスフェノール類エポキシ化合物としては、次のようなものが挙げられる。
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3、5-ジメチルフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)エーテル等を含む化合物、Yが9,9-フルオレニル基である9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フルオロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)フルオレン等、及び、4,4’-ビフェノール、3,3’-ビフェノール等の化合物が挙げられる。
【0154】
上記樹脂に、エチレン性二重結合基を導入する方法としては、例えば、ビスフェノール類エポキシ化合物のエポキシ基に、カルボキシル基とエチレン性二重結合とを有する化合物のカルボキシル基を反応させる方法が挙げられる。さらに、この反応で生成した水酸基と酸無水物とを反応させ、分子内にカルボキシル基を導入することができる。
【0155】
アルカリ可溶性樹脂(B)の酸価は、好ましくは10~300mgKOH/gであり、より好ましくは30~150mgKOH/gである。酸化をこの範囲とすることにより、アルカリ溶解性、及び現像性がより良好になる。
【0156】
アルカリ可溶性樹脂(B)は、好ましくは1分子内に3個以上のエチレン性二重結合を有し、より好ましくは1分子内に6個以上のエチレン性二重結合を有する。これにより、露光部分と未露光部分とのアルカリ溶解度に差がつきやすく、より少ない露光量で微細なパターン形成が可能となる。
【0157】
アルカリ可溶性樹脂(B)の数重量平均分子量は、好ましくは1,000以上100,000以下であり、より好ましくは4,000以上60,000以下である。数重量平均分子量をこの範囲とすることにより、アルカリ溶解性、及び現像性がより良好になる。
【0158】
アルカリ可溶性樹脂(B)は、さらに、架橋反応しうる基としてカルボキシル基及び/又は水酸基を有し得る。本開示のネガ型感光性組成物が、カルボキシル基及び/又は水酸基と反応し得る基を2つ以上有する化合物である熱硬化剤(G)をさらに含む場合、現像後の加熱処理によりアルカリ可溶性樹脂(B)と架橋反応し、塗膜の架橋密度が増大し、耐熱性が向上し得る。酸性基であるカルボキシル基、及びフェノール性水酸基は、架橋反応しうる基でもある。アルカリ可溶性樹脂(B)が、酸性基としてスルホン酸基、又はリン酸基を有している場合は、架橋反応しうる基としてカルボキシル基、フェノール性水酸基、又はアルコール性水酸基のいずれか1以上を有することが好ましい。
【0159】
本開示のネガ型レジスト用樹脂組成物は、好ましくは、光重合開始剤(C)を含有し得る。光重合開始剤(C)は、光によりラジカルを発生する化合物であり得る。
【0160】
光重合開始剤(C)としては、例えば、ベンジル、ジアセチル、メチルフェニルグリオキシレート、9,10-フェナンスレンキノン等のα-ジケトン類;ベンゾイン等のアシロイン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類;チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、チオキサントン-4-スルホン酸等のチオキサントン類;ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2-(4-トルエンスルホニルオキシ)-2-フェニルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、2,2’-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、p-メトキシアセトフェノン、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン類;アントラキノン、2-エチルアントラキノン、カンファーキノン、1,4-ナフトキノン等のキノン類;2-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル等のアミノ安息香酸類;フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン等のハロゲン化合物;アシルホスフィンオキシド類;ジ-t-ブチルパーオキサイド等の過酸化物;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(o-ベンゾイルオキシム)、エタノン1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾイル-3-イル]-1-(o-アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;2,2-ビス(2-クロロフェニル)-4,5,4’,5’-テトラフェニル-1、2’-ビイミダゾール等のイミダゾール類;o-ベンゾイル安息香酸メチル等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0161】
本開示におけるネガ型レジスト用樹脂組成物は、さらに、ラジカル架橋剤(D)を含有することが好ましい。これにより、光照射による硬化を促進して比較的短時間での硬化が可能となる。ラジカル架橋剤(D)としては、アルカリ不溶であり、2個以上の炭素-炭素二重結合を有する基を有する化合物であることが好ましい。特に、2個以上の(メタ)アクリレート基を有する化合物であることが好ましい。
【0162】
本開示におけるネガ型レジスト用樹脂組成物には、必要に応じて、熱硬化剤(E)、シランカップリング剤(F)、希釈用溶剤(G)、着色剤(H)を使用することができる。
【0163】
上記着色剤(H)を使用することによって、隔壁に着色することが可能となる。ブラックマトリックス(BM)を形成するための黒色感光性着色組成物には、例えばカーボンブラック、アニリンブラック、アントラキノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料、具体的には、C.I.ピグメントブラック1、6、7、12、20、31等を用いることができる。黒色感光性着色組成物には、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料等の有機顔料や無機顔料の混合物を用いることもできる。
【0164】
本開示のネガ型レジスト用樹脂組成物においては、必要に応じて硬化促進剤、増粘剤、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、ハジキ防止剤、紫外線吸収剤等を使用することができる。
【0165】
本開示のネガ型レジスト用樹脂組成物における含フッ素重合体(A)の割合は、全固形分に対して0.05~20重量%が好ましい。該割合が高いと、含フッ素重合体(A)は形成される隔壁の表面張力を下げる効果に優れ、隔壁に高い撥水撥油性、撥インク性を付与できが、一方、該割合が高すぎると、レジスト被膜の透明性を低下させたり、現像性を悪化させたり、隔壁と基材との密着性が低くなるおそれがある。組成物の全固形分における含フッ素重合体(A)の割合は、下限は0.1重量%が好ましく、上限は10質量%が好ましい。
【0166】
以上、本開示の表面撥液性付与剤及びネガ型レジスト用樹脂組成物について詳述した。なお、本開示の表面撥液性付与剤及びネガ型レジスト用樹脂組成物の用途、使用方法ないし物品の製造方法などは、上記で例示したものに限定されない。
【実施例0167】
以下、本開示について、実施例において説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において、以下に示されるポリマーの化学式はすべて平均組成を示す。
【0168】
合成例1
連鎖移動剤(A-1)の合成
攪拌機、滴下ロート、還流冷却器及び温度計を備えた100mL4つ口フラスコ中に、化学式HOCF2CF2-(OCF2)m(OCF2CF2)nO-CF2CF2OH(式中、m=22、n=21、数平均分子量:約4000)で表されるペルフルオロポリエーテル含有アルコール(A)20g、2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸4.6g、及び4-ジメチルアミノピリジン0.2gを、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン50.6g、及びテトラヒドロフラン13.4gに溶解した。充分に系内を窒素置換したのち、50℃に昇温し、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩2.68gを加え、4時間反応させた。反応終了後、分液操作によって有機層を分離して減圧留去することによって、ペルフルオロポリエーテル含有アルコールと2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸との脱水縮合反応物である目的物(A-1)23.12gを得た。
【0169】
合成例4
アクリル基を有するPFPEブロックポリマー(P-1)の合成
トルエンをメチルエチルケトンに変更する以外は合成例3と同様に実施することで、ブロックポリマー(P-1)を回収した。1H-NMR測定によりAE-200の重合度は4.7と算出された。
【0170】
合成例5
アクリル基を有するPFPEブロックポリマー(P-2)の合成
攪拌機、滴下ロート、還流冷却器及び温度計を備えた100mL4つ口フラスコ中に、連鎖移動剤(A-1)2g、ポリエチレングリコール-モノアクリレート(日油製ブレンマーAE-200)1.00g、及びN,N’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)70mgを加え、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン3.0g、及びメチルエチルケトン4.0gに溶解した。充分に系内を窒素置換したのち、75℃で6時間加熱した。その後さらに反応液を45℃に冷却し、ジブチルヒドロキシトルエン0.02g、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート1.03g、及びジブチル錫ジラウレート0.03gを加え、4時間加熱し、反応液をメタノールに滴下してブロックポリマー(P-2)を沈殿させて回収した。1H-NMR測定によりAE-200の重合度は5.0と算出された。
【0171】
合成例6
アクリル基を有するPFPEブロックポリマー(P-3)の合成
メチルエチルケトンを1,2,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロシクロペンタンに変更する以外は合成例5と同様に実施することで、ブロックポリマー(P-3)を回収した。1H-NMR測定によりAE-200の重合度は5.1と算出された。
【0172】
合成例7
アクリル基を有するPFPEブロックポリマー(P-4)の合成
攪拌機、滴下ロート、還流冷却器及び温度計を備えた100mL4つ口フラスコ中に、連鎖移動剤(A-1)2g、ポリエチレングリコール-モノアクリレート(日油製ブレンマーAE-200)1.00g、及びN,N’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)100mgを加え、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン3.0g、及びメチルエチルケトン4.0gに溶解した。充分に系内を窒素置換したのち、75℃で2時間経過時にAIBN50mgをさらに加え、計6時間加熱した。その後さらに反応液を45℃に冷却し、ジブチルヒドロキシトルエン0.02g、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート1.03g、及びジブチル錫ジラウレート0.03gを加え、4時間加熱し、反応液をメタノールに滴下してブロックポリマー(P-4)を沈殿させて回収した。1H-NMR測定によりAE-200の重合度は5.5と算出された。
【0173】
合成例8
アクリル基を有するPFPEブロックポリマー(P-5)の合成
攪拌機、滴下ロート、還流冷却器及び温度計を備えた100mL4つ口フラスコ中に、連鎖移動剤(A-1)2g、ポリエチレングリコール-モノアクリレート(日油製ブレンマーAE-200)1.25g、及びN,N’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)100mgを加え、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン3.0g、及びメチルエチルケトン4.0gに溶解した。充分に系内を窒素置換したのち、75℃で2時間経過時にAIBN50mgをさらに加え、計6時間加熱した。その後さらに反応液を45℃に冷却し、ジブチルヒドロキシトルエン0.02g、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート1.23g、及びジブチル錫ジラウレート0.03gを加え、4時間加熱し、反応液をメタノールに滴下してブロックポリマー(P-5)を沈殿させて回収した。1H-NMR測定によりAE-200の重合度は6.7と算出された。
【0174】
合成例9
アクリル基を有するPFPEブロックポリマー(P-6)の合成
75℃で4時間経過後にAIBN30mgを加えること以外は合成例8と同様に実施することで、ブロックポリマー(P-6)を回収した。1H-NMR測定によりAE-200の重合度は7.2と算出された。
【0175】
合成例10
アクリル基を有するPFPEブロックポリマー(P-7)の合成
攪拌機、滴下ロート、還流冷却器及び温度計を備えた100mL4つ口フラスコ中に、連鎖移動剤(A-1)2g、ポリエチレングリコール-モノアクリレート(日油製ブレンマーAE-200)1.50g、及びN,N’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)100mgを加え、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン4.0g、及びメチルエチルケトン5.0gに溶解した。充分に系内を窒素置換したのち、75℃で2時間経過時にAIBN50mgをさらに加え、計6時間加熱した。その後さらに反応液を45℃に冷却し、ジブチルヒドロキシトルエン0.02g、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート1.44g、及びジブチル錫ジラウレート0.03gを加え、4時間加熱し、反応液をメタノールに滴下してブロックポリマー(P-7)を沈殿させて回収した。1H-NMR測定によりAE-200の重合度は8.5と算出された。
【0176】
合成例11
アクリル基を有するPFPEブロックポリマー(P-8)の合成
75℃で4時間経過後にAIBN30mgを加えること以外は合成例10と同様に実施することで、ブロックポリマー(P-8)を回収した。1H-NMR測定によりAE-200の重合度は9.3と算出された。
【0177】
合成例12
アクリル基を有するPFPEブロックポリマー(P-9)の合成
攪拌機、滴下ロート、還流冷却器及び温度計を備えた100mL4つ口フラスコ中に、連鎖移動剤(A-1)2g、ポリエチレングリコール-モノアクリレート(日油製ブレンマーAE-200)1.88g、及びN,N’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)100mgを加え、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン4.0g、及びメチルエチルケトン5.0gに溶解した。充分に系内を窒素置換したのち、75℃で2時間経過時にAIBN50mgをさらに加え、計6時間加熱した。その後さらに反応液を45℃に冷却し、ジブチルヒドロキシトルエン0.02g、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート1.84g、及びジブチル錫ジラウレート0.05gを加え、4時間加熱し、反応液をメタノールに滴下してブロックポリマー(P-9)を沈殿させて回収した。1H-NMR測定によりAE-200の重合度は11.6と算出された。
【0178】
合成例13
アクリル基を有するPFPEブロックポリマー(P-10)の合成
75℃で4時間経過後にAIBN30mgを加えること以外は合成例11と同様に実施することで、ブロックポリマー(P-10)を回収した。1H-NMR測定によりAE-200の重合度は12.5と算出された。
【0179】
合成例14(比較例1)
アクリル基を有するPFPEブロックポリマー(P-11)の合成
攪拌機、滴下ロート、還流冷却器及び温度計を備えた100mL4つ口フラスコ中に、連鎖移動剤(A-1)5g、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)1.25g、及びN,N’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)106mgを加え、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン6.25g、及び1,2,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロシクロペンタン6.25gに溶解した。充分に系内を窒素置換したのち、75℃で6時間加熱した。その後さらに反応液を40℃に冷却し、ジブチルヒドロキシトルエン0.05g、2-アクリロイルオキシエチルイソシアネート1.9g、及びジブチル錫ジラウレート0.09gを加え、4時間加熱し、反応液をメタノールに滴下してブロックポリマー(P-11)を沈殿させて回収した。1H-NMR測定によりHEAの重合度は10と算出された。
【0180】
合成例15(比較例2)
アクリル基を有するPFPEブロックポリマー(P-12)の合成
攪拌機、滴下ロート、還流冷却器及び温度計を備えた100mL4つ口フラスコ中に、連鎖移動剤(A-1)5g、4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)1.01g、及びN,N’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)106mgを加え、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン6.25g、及び1,2,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロシクロペンタン6.25gに溶解した。充分に系内を窒素置換したのち、75℃で6時間加熱した。その後さらに反応液を40℃に冷却し、ジブチルヒドロキシトルエン0.05g、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート2.3g、及びジブチル錫ジラウレート0.07gを加え、4時間加熱し、反応液をメタノールに滴下してブロックポリマー(P-12)を沈殿させて回収した。1H-NMR測定によりHBAの重合度は6.5と算出された。
【0181】
合成例16(比較例3)
アクリル基を有するPFPEブロックポリマー(P-13)の合成
攪拌機、滴下ロート、還流冷却器及び温度計を備えた100mL4つ口フラスコ中に、連鎖移動剤(A-1)5g、4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)2.63g、及びN,N’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)140mgを加え、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン7.0g、及び1,2,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロシクロペンタン10.5gに溶解した。充分に系内を窒素置換したのち、75℃で6時間加熱した。その後さらに反応液を40℃に冷却し、ジブチルヒドロキシトルエン0.05g、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート4.9g、及びジブチル錫ジラウレート0.13gを加え、4時間加熱し、反応液をメタノールに滴下してブロックポリマー(P-13)を沈殿させて回収した。1H-NMR測定によりHBAの重合度は17と算出された。
【0182】
【0183】
(溶解性試験)
上記で得られたブロックポリマーを固形分濃度が20wt%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセトン、酢酸エチル、及び酢酸ブチル中にそれぞれ加え、ミックスローターで2時間撹拌して溶解させ、溶液状態を目視で確認した。評価基準は以下の通りとした。
G 透明かつ均一に溶解した
NG 濁りが認められる
【0184】
(ネガ型感光性樹脂組成物の調製)
ブロックポリマー(P-1)の20wt%PGMEA溶液0.4g、ポリ[(о-クレシルグリシジルエーテル)-cо-ホルムアルデヒド](シグマアルドリッチ、Mn約1080)91.0重量部、2,4,6-トリス[ビス(メトキシメチル)アミノ]-1,3,5-トリアジン2.0重量部、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩7.0重量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100重量部を、攪拌機を備えた500mL4つ口フラスコ中に入れ、30分間撹拌することにより、ネガ型感光性樹脂組成物(PR-1)を調製した。
【0185】
ブロックポリマー(P-2)~(P-13)についても、上記と同様にして、ネガ型感光性樹脂組成物(PR-2)~(PR-13)を調製した。
【0186】
(硬化膜作製)
硬化膜作成A
硬化膜作製用基板として、シリコンウェハを使用した。スピンコーターを用いてネガ型感光性樹脂組成物(PR-1)をシリコンウェハに塗布した後、真空乾燥を30秒、ホットプレート上で90℃で2分間の乾燥処理を行い、膜厚10μmの乾燥膜を形成した。次いで、得られた乾燥膜に、開口パターン(2cm×4cm)を有するフォトマスクを介し高圧水銀ランプにより積算光量50mJ/cm2を照射した。次いで、露光処理されたシリコンウェハ基板を0.04wt%水酸化カリウム水溶液に60秒間浸漬して現像し、未露光部分の乾燥膜を蒸留水により洗い流したのち、ホットプレート上で100℃で20分加熱した。次いで、さらに高圧水銀ランプで積算光量1000mJ/cm2を照射することにより、開口部の領域にネガ型感光性樹脂組成物(PR-1)からなる隔壁が形成されたシリコンウェハ基板(S-1A)を得た。
【0187】
ネガ型感光性樹脂組成物(PR-2)~(PR-15)についても、上記と同様にして、ネガ型感光性樹脂組成物(S-2A)~(S-15A)を調製した。
【0188】
(評価)
得られた隔壁が形成されたシリコンウェハ基板の隔壁表面の水とジヨードメタンに対する接触角を測定することで表面自由エネルギーを測定し、現像により乾燥膜が除去されたガラス基板表面の1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)に対する接触角を測定することでインクの塗布性について評価を行った。
【0189】
【0190】
シリコンウェハ基板の評価結果
【表3】
本開示の実施例である、SA-1~SA-10は、隔壁表面の表面自由エネルギーが低く、かつ、現像により乾燥膜が除去されたガラス基板表面のHDDA接触角が小さいことが確認された。