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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015466
(43)【公開日】2024-02-02
(54)【発明の名称】樹脂成形品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/32 20060101AFI20240126BHJP
   B65D 1/36 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
B65D85/32 150
B65D1/36
B65D85/32 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117615
(22)【出願日】2022-07-23
(71)【出願人】
【識別番号】592256140
【氏名又は名称】兼子電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119792
【弁理士】
【氏名又は名称】熊崎 陽一
(72)【発明者】
【氏名】兼子 敏
【テーマコード(参考)】
3E033
3E096
【Fターム(参考)】
3E033AA09
3E033AA10
3E033BA13
3E033DA08
3E033DE20
3E033EA03
3E033FA04
3E033GA03
3E096AA09
3E096BA26
3E096CA01
3E096EA02X
(57)【要約】
【課題】樹脂資源の再利用に適合する樹脂成形品およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】真空成形または圧空成形により成形された熱可塑性樹脂製の容器本体1aと、容器本体1aから突出形成された突出部90と、突出部90を挿通させるための挿通孔101が形成されたシート状の印刷物100と、を備えており、印刷物100の挿通孔101には突出部90が挿通されており、印刷物100は容器本体1aに貼着されておらず、突出部90は、自身の突出方向と直交する方向の断面が環状に形成されており、突出部90の先端94は外方に屈曲しており、かつ、挿通孔101よりも大径である。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空成形または圧空成形により成形された熱可塑性樹脂製の容器本体と、
前記容器本体から突出形成された突出部と、
前記突出部を挿通させるための挿通部が形成されたシート状の印刷物と、を備えており、
前記突出部が前記印刷物の前記挿通部に挿通されており、
前記印刷物は前記容器本体に貼着されておらず、
前記突出部の先端の少なくとも一部は、塑性変形して印刷物の上方に張り出していることを特徴とする樹脂成形品。
【請求項2】
前記挿通部は、前記突出部を挿通させるために前記印刷物に貫通形成された挿通孔であり、
前記突出部は、自身の突出方向と直交する方向の断面が環状に形成されており、
前記先端の径は、前記挿通孔の径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品。
【請求項3】
前記樹脂成形品は鶏卵容器であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂成形品。
【請求項4】
真空成形または圧空成形により成形された熱可塑性樹脂製の容器本体と、
前記容器本体から突出形成された突出部と、
前記突出部を挿通させるための挿通部が形成されたシート状の印刷物と、を備えており、
前記突出部が前記印刷物の前記挿通部に挿通されており、
前記印刷物は前記容器本体に貼着されておらず、
前記突出部の先端の少なくとも一部は、塑性変形して印刷物の上方に張り出している樹脂成形品の製造方法であって、
前記挿通部に挿通された前記突出部の先端から弾性部材を圧入し、その圧入により変形した前記弾性部材の圧力によって前記突出部の先端の少なくとも一部を塑性変形させて印刷物の上方に張り出させることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
【請求項5】
前記弾性部材は、ゴム性材料により形成されていることを特徴とする請求項4に記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂成形品は鶏卵容器であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ラベルなどの印刷物が設けられた樹脂成形品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の樹脂成形品として、例えば、鶏卵容器などの食品包装容器、日用品などをパック詰めするためのブリスターパックなどが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-51627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カーボンニュートラルの目標を達成するための取り組みが国際的に行われており、その一環として、樹脂資源(プラスチック資源)の再利用が推進されている。
しかし、前述したような従来の樹脂成形品は、内容物の説明などが記載された印刷物が容器本体に貼着されており、そのまま廃棄すると、印刷物が不純物になるため、樹脂資源の再利用に適合しないという問題がある。また、印刷物を完全に剥がすことができず、剥がし残しが発生した場合でも同様の問題がある。特許文献1には、鶏卵容器にラベルを貼り付ける鶏卵容器用ラベル貼付装置が記載されている。
なお、印刷物が貼着されている部分を切り取り、残った部分を樹脂資源にする方法も考えられるが、切り取るための道具を必要とし、手間も掛かるため、そのような方法は普及し難い。
【0005】
そこで、本願発明は、上記の問題を解決するために創出されたものであって、樹脂資源の再利用に適合する樹脂成形品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1発明)
上述した目的を達成するため、本願の第1発明に係る樹脂成形品(1:図1)は、
真空成形または圧空成形により成形された熱可塑性樹脂製の容器本体(1a)と、
容器本体(1a)から突出形成された突出部(90:図1図3、700:図17)と、
突出部(90)を挿通させるための挿通部(101:図5、103:図17)が形成されたシート状の印刷物(100:図5図17)と、を備えており、
突出部(90,700)が印刷物(100)の挿通部(101,103)に挿通されており、
印刷物(100)は容器本体(1a)に貼着されておらず、
突出部(90,700)の先端(94,704)の少なくとも一部は、塑性変形して印刷物(100)の上方に張り出していることを特徴とする。
【0007】
(第1発明の効果)
本願の第1発明に係る樹脂成形品は、印刷物に形成された挿通部に挿通された突出部の先端の少なくとも一部が塑性変形して印刷物の上方に張り出しているため、印刷物が突出部に係止された状態になり、印刷物の挿通部から突出部が抜けないので、印刷物が容器本体から外れるおそれがない。
しかも、印刷物は容器本体に貼着されていないため、容器本体を廃棄するときに印刷物を容器本体から容易に外すことができるので、容器本体を樹脂資源として再利用することができる。
また、突出部の先端の少なくとも一部は、塑性変形して印刷物の上方に張り出しているため、プレス加工によって突出部の先端を塑性変形させる方法を用いることができる。
従って、突出部の先端を加熱して変形させる方法よりも変形に要する時間が短いため、樹脂成形品の製造効率を高めることができる。
【0008】
(第2発明)
本願の第2発明に係る樹脂成形品は、前述した第1発明に係る樹脂成形品において、
挿通部(101,103)は、突出部(90,700)を挿通させるために印刷物(100)に貫通形成された挿通孔(101)であり、
突出部(90,700)は、自身の突出方向と直交する方向の断面が環状に形成されており、
先端(94,704)の径は、挿通孔(101)の径よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
(第2発明の効果)
本願の第2発明に係る樹脂成形品は、突出部の先端の径が挿通孔の径よりも大きいため、突出部が印刷物の挿通孔から抜けないので、印刷物が容器本体から外れるおそれがない。
【0010】
(第3発明)
本願の第3発明に係る樹脂成形品は、前述した第1または第2発明に係る樹脂成形品において、
樹脂成形品(1)は鶏卵容器であることを特徴とする。
【0011】
(第3発明の効果)
家庭や飲食店などにおける鶏卵の消費量を考えると、鶏卵容器の廃棄量は、他の食品の包装容器と異なって莫大であり、再利用可能な樹脂資源としての割合が大きい。
しかし、前述したように、従来の鶏卵容器は、内容物の説明などが記載された印刷物が容器本体に貼着されており、そのまま廃棄すると、印刷物が不純物になるため、樹脂資源の再利用に適合しないという問題がある。また、印刷物を完全に剥がすことができず、剥がし残しが発生した場合でも同様の問題がある。さらに、印刷物が貼着されている部分を切り取り、残った部分を樹脂資源にする方法も考えられるが、切り取るための道具を必要とし、手間も掛かるため、そのような方法は普及し難い。
そこで、本願の第1または第2発明によれば、シート状の印刷物が容器本体に貼着されていないため、鶏卵容器を廃棄するときに印刷物を完全に除去することができるので、容器本体のみを廃棄することができる。
従って、鶏卵容器の樹脂資源としての再利用率を飛躍的に高めることができる。
【0012】
(第4発明)
前述した目的を達成するため、本願の第1発明に係る樹脂成形品の製造方法は、
真空成形または圧空成形により成形された熱可塑性樹脂製の容器本体(1a)と、
容器本体(1a)から突出形成された突出部(90:図1図3、700:図17)と、
突出部(90)を挿通させるための挿通部(101:図5,103:図17)が形成されたシート状の印刷物(100:図5図17)と、を備えており、
突出部(90,700)が印刷物(100)の挿通部(101,103)に挿通されており、
印刷物(100)は容器本体(1a)に貼着されておらず、
突出部(90,700)の先端(94,704)の少なくとも一部は、塑性変形して印刷物(100)の上方に張り出している樹脂成形品(1:図1)の製造方法であって、
挿通部(101,103)に挿通された突出部の先端(94,704)から弾性部材(400:図7(A),600:図15)を圧入し、その圧入により変形した弾性部材(400,600)の圧力によって突出部(90,700)の先端(94,704)の少なくとも一部を塑性変形させて印刷物(100)の上方に張り出させることを特徴とする。
なお、上記の「弾性部材」とは、単一の弾性部材の他に、複数の弾性部材から成る集合体を含む意味である。
【0013】
(第4発明の効果)
金属などの非弾性部材を用いて突出部の先端を加圧すると、先端は塑性変形して潰れるが、先端を印刷物の上方に正確に張り出させることが困難であった。
しかし、本願の第4発明に係る樹脂成形品の製造方法は、印刷物の挿通部に挿通された突出部の先端から弾性部材を圧入し、その圧入により変形した弾性部材の圧力によって突出部の先端の少なくとも一部を塑性変形させて印刷物の上方に張り出させ、印刷物が突出部に係止された状態にすることができる。
従って、本願の第4発明に係る樹脂成形品の製造方法によれば、印刷物の挿通部から突出部が抜けないため、印刷物が容器本体から外れるおそれがない。
しかも、印刷物は容器本体に貼着されていないため、容器本体を廃棄するときに印刷物を容器本体から容易に外すことができるので、容器本体を樹脂資源として再利用することができる。
【0014】
(第5発明)
本願の第5発明に係る樹脂成形品の製造方法は、前述した第4発明に係る樹脂成形品の製造方法において、
弾性部材(400)は、ゴム性材料により形成されていることを特徴とする。
【0015】
(第5発明の効果)
本願の第5発明に係る樹脂成形品の製造方法は、弾性部材はゴム性材料により形成されているため、弾性部材が変形し易いので、突出部の先端を外方に屈曲させ易い。また、弾性部材を突出部の形状や大きさに応じて加工し易いし、加工費用を低くすることもできる。
【0016】
(第6発明)
本願の第6発明に係る樹脂成形品の製造方法は、前述した第4または第5発明に係る樹脂成形品の製造方法において、
樹脂成形品(1)は鶏卵容器であることを特徴とする。
【0017】
(第6発明の効果)
家庭や飲食店などにおける鶏卵の消費量を考えると、鶏卵容器の廃棄量は、他の食品の包装容器と異なって莫大であり、再利用可能な樹脂資源としての割合が大きい。
しかし、前述したように、従来の鶏卵容器は、内容物の説明などが記載された印刷物が容器本体に貼着されており、そのまま廃棄すると、印刷物が不純物になるため、樹脂資源の再利用に適合しないという問題がある。また、印刷物を完全に剥がすことができず、剥がし残しが発生した場合でも同様の問題がある。さらに、印刷物が貼着されている部分を切り取り、残った部分を樹脂資源にする方法も考えられるが、切り取るための道具を必要とし、手間も掛かるため、そのような方法は普及し難い。
そこで、本願の第4または第5発明によれば、シート状の印刷物が容器本体に貼着されていないため、鶏卵容器を廃棄するときに印刷物を突出部から完全に除去することができるので、容器本体のみを廃棄することができる。
従って、鶏卵容器の樹脂資源としての再利用率を飛躍的に高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本願発明によれば、樹脂資源の再利用に適合する樹脂成形品およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る鶏卵容器の斜視図である。
図2】(A)は図1に示す鶏卵容器の展開図であり、(B)は(A)を前方から見た説明図である。
図3】(A)は第1容器部を第2容器部に被せる様子を示す説明図であり、(B)は第1容器部を第2容器部に被せた状態を示す説明図である。
図4】成形前の係止用突出部の説明図であり、(A)は図1に示す容器本体から突出形成された係止用突出部の拡大平面図、(B)は(A)のA-A矢視断面図である。
図5図1に示す容器本体に設けられた印刷物の平面図である。
図6図4に示す係止用突出部を成形するための成形装置の説明図であり、(A)は底面図、(B)は正面図である。
図7図6に示す成形装置を用いて係止用突出部を成形する様子を示す説明図であり、(A)は成形装置の弾性部材が係止用突出部の先端から圧入される様子を示す縦断面説明図、(B)は係止用突出部に圧入された弾性部材が変形した状態を示す縦断面説明図である。
図8】成形後の係止用突出部の説明図であり、(A)は先端が変形した係止用突出部の拡大平面図、(B)は(A)のB-B矢視断面図である。
図9】封緘工程を示す説明図であり、(A)は加圧ローラおよび受け部材と鶏卵容器の配置関係を後方から見た説明図、(B)は加圧ローラおよび受け部材と鶏卵容器の配置関係を右方から見た説明図である。
図10】(A)は相互に嵌合された第1突出部および第2突出部を上方から見た拡大図であり、(B)は(A)のA-A矢視断面図である。
図11】(A)は図10(A)のB-B矢視断面図のうち、第1突出部の断面図、(B)は第2突出部の断面図、(C)は相互に嵌合された第1突出部および第2突出部の断面図、(D)は塑性変形した部分同士が相互に嵌合された状態を示す断面図である。
図12】(A)は実験方法を示す説明図であり、(B)は相互に嵌合された第1突出部および第2突出部の拡大平面図、(C)は(B)のC-C矢視断面の拡大図である。
図13】(A)は測定方法を示す平面図であり、(B)は測定方法を側面から見た模式図である。
図14】容器本体から印刷物を除去する様子を示す説明図であり、(A)は全体図、(B)は係止用突出部の外壁および内壁が内側に撓んだ状態を示す断面説明図である。
図15】本発明の第2実施形態に係る成形装置を用いて係止用突出部を成形する様子を示す説明図であり、(A)は成形装置の弾性部材が係止用突出部の先端から圧入される様子を示す一部縦断面説明図、(B)は弾性部材の底面図である。
図16】係止用突出部に圧入された弾性部材が変形した状態を示す縦断面説明図である。
図17】本発明の第3実施形態に係る樹脂成形品の説明図であり、(A)は印刷物の平面図、(B)は係止用突出部の拡大平面図、(C)は(B)のC-C矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〈第1実施形態〉
本発明に係る樹脂成形品の第1実施形態について鶏卵容器を例に挙げて図を参照しつつ説明する。
[鶏卵容器の構造]
図1に示すように、鶏卵容器1は、容器本体1aと、印刷物100とを備える。容器本体1aは、第1容器部20と、第2容器部30とを備える。鶏卵容器1は、熱可塑性樹脂製シートを真空成形または圧空成形することにより成形されており、第1容器部20および第2容器部30は、連続成形されている。第2容器部30には、鶏卵5(図3)を収容するための収容部31が形成されている。図示の例では、第2容器部30には、2個の鶏卵を5列収容するための10個の収容部31が形成されている。第1容器部20は、上壁21と、左側壁22(図2)と、右側壁23と、後壁24と、前壁25とを有し、前後に長い箱状に形成されている。上壁21の表面には、印刷物100が配置されている。図3(A)に示すように、第2容器部30の各収容部31に鶏卵5を収容すると、鶏卵5の上部が第2容器部30から突出するが、同図(B)に示すように、第1容器部20を第2容器部30に被せることにより、第2容器部30から突出した各鶏卵5が第1容器部20によって覆われ、包装された状態になる。
【0021】
図2に示すように、第1容器部20の周縁からフランジ形状の第1フランジ26が張り出しており、第2容器部30の周縁からフランジ形状の第2フランジ36が張り出している。第1フランジ26および第2フランジ36は、長手方向の左端同士が接続されており、その接続された部分が回動部2を形成している。図3に示すように、回動部2はヒンジの役割をしており、回動部2を回動中心にして第1容器部20を回動させることにより、第1容器部20を第2容器部30の上に被せることができる。このとき、第1フランジ26および第2フランジ36は相互に対向した状態になる。
【0022】
図1ないし図3に示すように、第1フランジ26の上面から中空の複数の第1突出部27が突出しており、図2および図3に示すように、第2フランジ36の上面から中空の複数の第2突出部37が突出している。各第1突出部27は、第1フランジ26と第1容器部20との境界である第1境界20aに沿って配置されており、各第2突出部37は、第2フランジ36と第2容器部30との境界である第2境界30aに沿って配置されている。図3(A)に示すように、第1容器部20を第2容器部30の上方に回動させた状態において、各第1突出部27および各第2突出部37は、相互に対向した位置に形成されている。図3(B)に示すように、各第2突出部37は、それぞれ対向する第1突出部27に挿入されることにより、各第1突出部27および各第2突出部37は相互に嵌合された状態になる。鶏卵容器1は本発明の樹脂成形品の一例である。
【0023】
[印刷物の係止構造]
次に、印刷物100の係止構造について図を参照しつつ説明する。
図5に示すように、印刷物100は、紙製で矩形のシート状に形成されており、四隅および各辺の中央には、それぞれ係止用突出部90(図4)を挿通させるための挿通孔101が貫通形成されている。印刷物100には、収容物が鶏卵であることを表示する「たまご」と、鶏卵の大きさを表示する「L」と、鶏卵の個数を表示する「10コ」と、鶏卵の賞味期限を表示する「賞味期限22.07.15」と、鶏卵容器1が再生可能な樹脂資源であることを表示するリサイクルマークと、印刷物100が再生可能な紙資源であることを表示するリサイクルマークと、商品を特定するためのバーコードとが印刷されている。挿通孔101は本発明の挿通部の一例である。
【0024】
図1および図3(B)に示すように、容器本体1aの第1容器部20の上壁21からは、印刷物100(図5)を係止するための複数の係止用突出部90が上方に向けて突出形成されている。
図4は、成形前の係止用突出部90の構造を示す説明図である。同図(A)に示すように、係止用突出部90は、自身の突出方向と直交する方向の断面が環状に形成されている。係止用突出部90は、上方から見て円形の底壁91と、この底壁91の周縁から立ち上がり形成された内壁92と、この内壁92の外周を囲むように形成された外壁93とを有する。内壁92および外壁93は、それぞれ円筒形状に形成されており、自身の突出方向と直交する方向の断面が環状である。内壁92および外壁93は、相互に離間して形成されており、かつ、係止用突出部90の先端94を通じて連続形成されている。
【0025】
外壁93は、上壁21から上方に向けて立ち上がり形成されている。また、外壁93は、上壁21から鉛直に立ち上がり形成されているのではなく、角度θ1にて内壁92の方に傾斜している。鶏卵容器1は、熱可塑性樹脂製シートを真空成形または圧空成形することにより成形されており、角度θ1は、成形型から鶏卵容器1を離型するために必要な抜き勾配である。例えば、外壁93の内径φ1は4.7mmであり、内壁の径φ2は3.2mmであり、係止用突出部90の高さh1は2.7mmであり、抜き勾配θ1は3.0度である。また、例えば、底壁91、内壁92および外壁93の肉厚はそれぞれ0.5mm以下、例えば0.1mmであり、鶏卵容器以外の樹脂製容器と比較して肉厚が非常に薄い。係止用突出部90は、印刷物100の挿通孔101に挿通されている。係止用突出部90の外径は、係止用突出部90を印刷物100の挿通孔101に挿通させるために挿通孔101の径よりも小径である。
【0026】
図8は、成形後の係止用突出部90の構造を示す説明図である。同図に示すように、内壁92および外壁93は、外方に屈曲するように塑性変形し、先端94が、印刷物100の上方に張り出している。内壁92の先端の径φ3は成形前の径φ2(図4(B))よりも大径に変化しており、自身が挿通されている印刷物100の挿通孔101よりも大径である(φ3>φ2)。これにより、印刷物100が係止用突出部90に係止された状態になるため、印刷物100の挿通孔101から係止用突出部90が抜けてしまい、印刷物100が容器本体1aの上壁21から外れるおそれがない。係止用突出部90は、本発明の突出部の一例である。
【0027】
[係止用突出部の成形方法]
次に、係止用突出部90の成形方法について図を参照しつつ説明する。
図6は、係止用突出部90を成形するための成形装置の説明図であり、(A)は底面図、(B)は正面図である。同図(A)に示すように、成形装置200は、加圧部材201と、この加圧部材201の底面201aから突出した複数の弾性部材400とを備える。加圧部材201は、所定の昇降装置(例えば、油圧シリンダ、エアシリンダなど)に接続されており、昇降可能になっている。各弾性部材400は、係止用突出部90の先端94を外方に塑性変形させ、先端94を印刷物100の上方に張り出させるための部材であり、容器本体1aの上壁21から突出形成された各係止用突出部90(図1図2)の各底壁91と対向する位置にそれぞれ配置されている。
【0028】
図7(A)に示すように、弾性部材400は、側面から見て、円錐台を上下逆にした形状(逆円錐台)を呈している。弾性部材400を係止用突出部90に圧入するために、弾性部材400の底面402は、成形前における係止用突出部90の内壁92の先端の径φ2(図4(B))よりも小径になっている。弾性部材400の周面401は、テーパ面を呈しており、底面402の周縁から斜め外方に傾斜した状態で加圧部材201の底面201aまで延びている。また、弾性部材400の高さh2は、係止用突出部90の高さh1(図4(B))よりも高い。つまり、弾性部材400は、成形前の係止用突出部90に圧入可能な形状に形成されており、かつ、弾性部材400の体積は、係止用突出部90の容積よりも十分大きい。言い換えると、弾性部材400は、係止用突出部90に圧入することにより、係止用突出部90の先端94を外方に屈曲させることができる形状に変化させることができる形状および体積に形成されている。
【0029】
図6(B)に示すように、展開された状態の容器本体1aの上壁21を、各係止用突出部90が上方を向いた状態にして基台202の上に配置する。基台202の上面は平坦に形成されており、上壁21を乗せるために十分な大きさを有する。各弾性部材400が各係止用突出部90と対向するように加圧部材201を配置し、昇降装置を駆動し、加圧部材201を下降させる。すると、図7(B)に示すように、係止用突出部90の先端94から内壁92間に圧入された弾性部材400は、弾性変形し、上下方向に圧縮された分、周方向に膨張し、内壁92を外方に広げるように塑性変形する。また、外壁93は、外方に広がる内壁92の押圧力によって外方に広がるように塑性変形し、内壁92および外壁93は、相互に密着し、上下方向の途中から外方に腰折れした状態になる。これにより、図8(B)に示したように、内壁92の先端の径φ3は成形前の径φ2(図4(B))よりも大径に変化する。このため、印刷物100が上昇しても、印刷物100の挿通孔101が係止用突出部90の外壁93に係止され、挿通孔101から係止用突出部90が抜けないため、印刷物100が容器本体1aの上壁21から外れるおそれがない。
また、昇降装置を駆動し、加圧部材201を上昇させると、各弾性部材400は、それぞれ自身の復元力によって変形前の形状に復帰する。
【0030】
ところで、前述したように、係止用突出部90を構成する底壁91、内壁92および外壁93の肉厚は、それぞれ非常に薄いため、係止用突出部90を上方から加圧すると、先端94は容易に塑性変形して潰れるが、先端94の径φ2(図4(B))が印刷物100の挿通孔101の径よりも大きくなるように塑性変形させて外方に広げることが困難であった。
そこで、本願発明者は、鋭意研究の結果、弾性部材400を係止用突出部90の先端94から圧入し、弾性部材400を内壁92間において外方に膨張させることにより、先端94を塑性変形させて外方に広げることに成功した。弾性部材400の大きさおよび形状は、係止用突出部90の大きさおよび形状、さらには、成形後の先端94の径φ3(図8(B))に応じて変更することができる。
特に、弾性部材400は、金属などの非弾性部材と比較して、成形が容易であり、かつ、製造コストが低いという利点がある。例えば、弾性部材400をウレタンゴムにより成形することができる。ウレタンゴムによって弾性部材400を成形すれば、弾性部材400の圧縮永久歪みを小さくすることができるので、圧入回数の増加に伴って係止用突出部90の先端94の屈曲精度が低下するという事態が発生し難い。
【0031】
[第1突出部および第2突出部の構造]
次に、第1突出部27および第2突出部37の構造について図を参照しつつ説明する。
図10に示すように、第1突出部27および第2突出部37は、それぞれ水平断面形状が長孔に形成されている。図10(A)に示すように、第1突出部27は、水平断面形状が長孔の第1周壁27aを有する。第1周壁27aは、第1フランジ26に形成された長孔形状の第1孔27kの周縁から上方に立ち上がり形成されている。図10(A)および図11(A)に示すように、第1周壁27aは、左右に相対向する平板状の一対の第1長側壁27b,27cと、前後に相対向する円弧状の一対の第1短側壁27d,27e(図10(A))と、第1周壁27aの先端を塞ぐように形成された第1天壁27f(図11(A))とを有する。
【0032】
図10(A)に示すように、第2突出部37は、水平断面形状が長孔の第2周壁37aを有する。第2周壁37aは、第2フランジ36に形成された長孔形状の第2孔37kの周縁から上方に立ち上がり形成されている。図10(A)および図11(B)に示すように、第2周壁37aは、左右に相対向する平板状の一対の第2長側壁37b,37cと、前後に相対向する円弧状の一対の第2短側壁37d,37e(図10(A))と、第2周壁37aの先端を塞ぐように形成された第2天壁37f(図11(B))とを有する。第1周壁27aおよび第2周壁37aは、それぞれ第1フランジ26および第2フランジ36に対してθ2度内側に傾斜している。このように、第1周壁27aおよび第2周壁37aがそれぞれ内側に傾斜しているため、第2突出部37を上端から第1突出部27の第1孔27kに容易に挿入することができるので、第1突出部27および第2突出部37を相互に容易に嵌合することができる。
また、第1突出部27を形成している一対の第1長側壁27b,27cと第1フランジ26との各境界は、それぞれ第1フランジ26と第1容器部20との第1境界20a(図2(A)、図10(A))に対して平行である。また、第2突出部37を形成している一対の第2長側壁37b,37cと第2フランジ36との各境界は、それぞれ第2フランジ36と第2容器部30との第2境界30a(図2(A))に対して平行である。
【0033】
図2(A)に示すように、第1フランジ26のうち、第1境界20aと各第1突出部27との間には、封緘された鶏卵容器1を開封する際に第1フランジ26を破断するための第1破断線3が第1フランジ26の長手方向に沿って形成されている。また、第2フランジ36のうち、第2境界30aと各第2突出部37との間には、封緘された鶏卵容器1を開封する際に第2フランジ36を破断するための第2破断線4が第2フランジ36の長手方向に沿って形成されている。第1破断線3および第2破断線4は、鶏卵容器1を封緘した際に相対向する位置に形成されている。封緘された鶏卵容器1を開封するときは、相互に重なった第1フランジ26および第2フランジ36の長手方向の一端を摘まみ、その摘まんだ部分を他端へ引くようにすると、第1フランジ26および第2フランジ36が、第1破断線3および第2破断線4に沿って破断され、鶏卵容器1が開封される。
【0034】
また、印刷物100は容器本体1aに貼着されていないため、印刷物100を完全に容器本体1aから除去することができる。例えば、図14(A)に示すように、印刷物100の角部102を摘まんでめくり、そのままめくった方向(同図(B)において矢印F3にて示す方向)に印刷物100を引っ張れば、同図(B)に示すように、係止用突出部90の係止されていた印刷物100の挿通孔101の周縁が、係止用突出部90の外壁93に当接し、さらに印刷物100を引っ張ると、同図に示すように、挿通孔101の周縁が当接した外壁93および内壁92が内側に撓み、挿通孔101から係止用突出部90が抜ける。印刷物100をめくって引っ張ることにより、上記の現象が印刷物100の各挿通孔101および係止用突出部90において生じるため、印刷物100を容器本体1aから容易に除去することができる。
また、印刷物100の挿通孔101の周縁が当接した外壁93および内壁92が内側に撓むか否かは、印刷物100の強度および係止用突出部90の剛性によって決まるが、印刷物100の強度が低い場合は、外壁93に当接した挿通孔101の周縁に亀裂が生じ、その部分から係止用突出部90が抜けることにより、印刷物100を容器本体1aから容易に除去することができる。また、印刷物100の強度および係止用突出部90の剛性によっては、外壁93および内壁92が内側に撓む現象と、挿通孔101の周縁に亀裂が生じる現象とが発生する。
【0035】
[鶏卵容器の封緘方法]
次に、鶏卵容器1の封緘方法について図を参照しつつ説明する。
図9に示すように、本実施形態の封緘方法は、加圧ローラ51、受け部材52およびベルトコンベア53を備えた封緘装置50を用いて鶏卵容器1を封緘する。加圧ローラ51の外周面51aは、平坦に形成されており、第1フランジ26の短手方向の幅D(図11(A))相当の幅、あるいは、その幅Dよりも充分に広い幅を有する。受け部材52の上面52aは、平坦に形成されており、少なくとも、加圧ローラ51の外周面51aの幅を有し、その全長は、第1フランジ26の長手方向の幅W(図9(B))よりも充分に長い。加圧ローラ51の外周面51aおよび受け部材52の上面52aは相対向しており、加圧ローラ51の外周面51aと受け部材52の上面52aとの間には、相互に重なった第1フランジ26および第2フランジ36の厚さ程度の隙間が形成されている。
加圧ローラ51からの圧力を受ける受け部材52は固定されており、加圧ローラ51は、モータ(図示せず)によって図9(B)において矢印F1にて示す方向に回転する。ベルトコンベア53は、受け部材52の長手方向に沿って設けられており、鶏卵容器1を矢印F2で示す方向、つまり、加圧ローラ51による加圧位置へ搬送する。
【0036】
(印刷物配置工程)
容器本体1aの上壁21から突出形成された各係止用突出部90を印刷物100の各挿通孔101を挿通し、印刷物100を上壁21に配置する(図2(A))。
(係止用突出部成形工程)
前述した成形方法により、各係止用突出部90の先端94を塑性変形させて外方に広げ、先端94を印刷物100の上方に張り出させる。つまり、印刷物100の各挿通孔101の各周縁が各係止用突出部90に係止された状態にする(図6図7)。
【0037】
(収容工程)
図3(A)に示すように、第2容器部30の各収容部31に鶏卵5を収容する。鶏卵5の収容は、機械によって自動的に行っても良いし、人が手作業で行っても良い。
(嵌合工程)
図3に示すように、回動部2を回動中心にして第1容器部20を回動させ、相対向する各第1突出部27および各第2突出部37を相互に嵌合させる(図11(C))。これにより、各鶏卵5が鶏卵容器1に包装(パッケージング)された状態になる。
【0038】
(封緘工程)
図9(B)に示すように、嵌合工程の後に、鶏卵容器1は、ベルトコンベア53により、第2フランジ36の下面を受け部材52の上面52aと対向させた状態で、矢印F2で示す方向に搬送される。そして、相互に重なった第1フランジ26および第2フランジ36は、加圧ローラ51の外周面51aおよび受け部材52の上面52aによって挾持されながら矢印F2にて示す方向へ搬送され、相互に嵌合された各第1突出部27および各第2突出部37は、前方に配置されているものから順番に、加圧ローラ51の外周面51aから受ける圧力によって押し潰されて塑性変形し、図11(D)に示すように、塑性変形した部分同士が相互に嵌合された状態になる。
【0039】
塑性変形した部分同士が相互に嵌合された状態とは、図11(D)に示すように、第1突出部27の一対の第1長側壁27b,27cおよび第2突出部37の一対の第2長側壁37b,37cがそれぞれ外方に屈曲し、かつ、当該屈曲した一対の第1長側壁27b,27cのうち、第1フランジ26との境界部分が屈曲して形成された第1屈曲部27g,27hが、当該屈曲した第2長側壁37b,37cのうち、第2フランジ36との境界部分が屈曲して形成された第2屈曲部37g,37hに嵌合している(食い込んでいる)状態である。さらに、当該屈曲した一対の第2長側壁37b,37cのうち、第2天壁37fとの境界部分が屈曲して形成された第3屈曲部37i,37jが、当該屈曲した一対の第1長側壁27b,27cのうち、第1天壁27fとの境界部分が屈曲して形成された第4屈曲部27i,27jに嵌合している(食い込んでいる)状態である。換言すると、加圧によって塑性変形した第1突出部27および第2突出部37は、塑性変形した部分が外方に広がった形状、いわゆる茸形状を呈しており、屈曲した部分同士が相互に強力に食い込んだ状態である。
このように、相互に嵌合された第1突出部27および第2突出部37を加圧ローラ51によって押し潰して塑性変形させることにより、第1突出部27および第2突出部37の嵌合状態を解除し難くなり、鶏卵容器1の封緘が完了する。なお、加圧ローラ51の回転速度を調節することにより、封緘速度を調節することができる。また、加圧ローラ51の外周面51aと受け部材52の上面52aとの間に形成された隙間の大きさを調節することにより、加圧ローラ51による加圧力を調節することができる。
【0040】
[実験]
次に、本願発明者が行った容器の封緘に関する実験について図12および図13を参照しつつ説明する。以下、相互に嵌合された第1突出部27および第2突出部37を押し潰して塑性変形させる部位を封緘部位という。
最初に、本願発明者は、第1突出部27および第2突出部37の形状の違いが、第1突出部27および第2突出部37の嵌合状態、つまり、封緘状態に与える影響について実験した。先ず、図12に示すように、第1突出部27および第2突出部37の水平断面形状がそれぞれ円形である場合の実験を行った。第1フランジ26および第2フランジ36の板厚は、0.14mmであり、第1突出部27および第2突出部37の肉厚も0.14mmである。また、図12(C)に示す第1突出部27の内壁の高さHは3.0mmであり、内壁下端の直径φ4は3.0mmである。第2突出部の内壁の高さは3.0mmであり、内壁下端の直径は2.72mm(=3.0mm-0.14mm×2)である。また、第1突出部27および第2突出部37の第1フランジ26および第2フランジ36に対する傾き角θは、それぞれ3度である。
【0041】
図12(A)に示すように、第1突出部27および第2突出部37を相互に嵌合し、相互に重なった第1フランジ26および第2フランジ36を受け部材52の上面52aに乗せ、平坦な加圧面60aを有する平板60を受け部材52に向けて下降させ、相互に嵌合された第1突出部27および第2突出部37を加圧して塑性変形させた。その結果、第1突出部27および第2突出部37は、上下方向の2箇所で屈曲(二段折れ)し、かつ、相互に嵌合された位置が一定しなかった。さらに、1つの屈曲が小さいため、相互に嵌合された部分の径方向の長さが短くなり、第1フランジ26を第2フランジ36から剥離すると、比較的容易に第1突出部27および第2突出部37の嵌合状態が解除された。つまり、封緘の効果が小さかった。
【0042】
次に、本願発明者は、図10に示したように、第1突出部27および第2突出部37の水平断面形状をそれぞれ長孔に成形して上記の実験を行った結果、第1突出部27および第2突出部37が上下方向の2箇所で屈曲(二段折れ)することなく、かつ、相互に嵌合された部分が一定した。しかも、1つの屈曲が大きいため、相互に嵌合された部分の径方向の長さが長くなり、第1フランジ26を第2フランジ36から剥離しても、容易に第1突出部27および第2突出部37の嵌合状態が解除されなかった。つまり、封緘の効果が大きかった。この結果から、本願発明者は、第1突出部27および第2突出部37の水平断面形状が円形よりも長孔の方が封緘に適していることが分かった。また、第1突出部27および第2突出部37が、それぞれ相対向する一対の平板形状の側壁を有することが、封緘の効果を高めていると推測した。
しかし、第1フランジ26および第2フランジ36の長手方向に沿って配置された複数の封緘部位のうち、長手方向の中央付近において嵌合力が不足する封緘部位が発生した。これは、平板60を下降させる際に平板60の前後を押圧したために、平板60が下死点近くで僅かに上方に撓み、各第1突出部27および第2突出部37を均一に加圧できなかったことが原因であると推測した。
【0043】
そこで、本願発明者は、前述したように、加圧ローラ51およぶ受け部材52を用いて、相互に嵌合された第1突出部27および第2突出部37を加圧すると、各封緘部位において各第1突出部27および第2突出部37を均一に加圧することができるため、嵌合力が不足する封緘部位が発生することはなかった。
【0044】
本願発明者は、封緘の効果を数値化するための測定を行った。以下の説明では、相互に嵌合された第1突出部27および第2突出部37の嵌合状態を解除するために必要な力を封緘力と称する。
この測定では、測定装置として図13に示す係止部材70および手動バネ秤80を用いた。係止部材70は、剛性の高い板状に形成されており、凹形状の係止部71と、係止孔73とを有する。この実験では、係止部材70は、バネ用ステンレス鋼の一種であるSUS301製で厚さ0.25mmである。
図13(B)に示すように、加圧によって塑性変形した第1突出部27と第2突出部37の周縁における第1フランジ26と第2フランジ36との間に係止部材70の係止部71を挿入した。そして、係止部材70の係止孔73に手動バネ秤80のフック81を挿通し、そのフック81の先端を係止部材70の下面74に係止した。続いて、手動バネ秤80を上方に引っ張り、第1フランジ26が第2フランジ36から剥離され、第1突出部27および第2突出部37の嵌合状態が解除された、つまり、封緘が解かれた瞬間に手動バネ秤80が示した重さを封緘力として記録した。
【0045】
この測定で用いた試験片は、鶏卵容器1と同じ材質であり、板厚は0.14mmであり、第1突出部27および第2突出部37の肉厚も0.14mmである。また、第1突出部27および第2突出部37の第1フランジ26および第2フランジ36に対する傾き角θは、それぞれ3度である。また、第1突出部27および第2突出部37の水平断面形状がそれぞれ円形の場合の第1突出部27の内壁の高さH(図12(C))は3.0mmであり、内壁下端の直径φ1は3.0mmである。第2突出部の内壁の高さは3.0mmであり、内壁下端の直径は2.72mm(=3.0mm-0.14mm×2)である。
また、図10(A)に示すように、第1突出部27および第2突出部37の水平断面形状がそれぞれ長孔の場合において、第1長側壁27b,27cおよび第2長側壁37b,37cの長さ、つまり、長孔の直線部の長さをLとする。また、第1短側壁27d,27eの各径をφ4とする。
【0046】
(測定結果)
1.第1突出部27および第2突出部37の水平断面形状がそれぞれ円形の場合。
第1突出部27および第2突出部37の加圧を10回行った。その結果、前述したように、第1突出部27および第2突出部37は、上下方向の2箇所で屈曲(二段折れ)し、かつ、相互に嵌合された位置が一定しなかった。各回の測定結果は、400g~800g、平均値600gであった。
【0047】
2.第1突出部27および第2突出部37の水平断面形状がそれぞれ長孔の場合。
(1)L=2.0mm、φ4=3.0mmの場合。
第1突出部27および第2突出部37の加圧を10回行い、各回の測定結果は、600g~850g、平均値725gであった。
(3)L=4.0mm、φ4=3.0mmの場合。
第1突出部27および第2突出部37の加圧を10回行い、各回の測定結果は、500g~1.2kg、平均値850gであった。
(4)L=6.0mm、φ4=3.0mmの場合。
第1突出部27および第2突出部37の加圧を5回行い、各回の測定結果は、900g~1.2kg、平均値1.05kgであった。
(5)L=6.0mm、φ4=3.5~3.6mm(平均値3.55mm)の場合。
φ4を3.5~3.6mmの範囲で変更しながら、第1突出部27および第2突出部37の加圧を5回行い、各回の測定結果は、900g~1.0kg、平均値950gであった。
(6)L=8.0mm、φ4=3.0~3.5mm(平均値3.25mm)の場合。
φ4を3.0~3.5mmの範囲で変更しながら、第1突出部27および第2突出部37の加圧を10回行い、各回の測定結果は、900g~1.3kg、平均値1.1kgであった。
(7)L=10.0mm、φ4=3.0~3.8mmの場合。
φ4を3.0~3.8mmの範囲で変更しながら、第1突出部27および第2突出部37の加圧を10回行い、各回の測定結果は、1.0kg~1.2kg、平均値1.1kgであった。
(8)L=12.0mm、φ4=3.4~3.6mmの場合。
φ4を3.4~3.6mmの範囲で変更しながら、第1突出部27および第2突出部37の加圧を10回行い、各回の測定結果は、700g~1.2kg、平均値950ggであった。
【0048】
(結論)
上記の測定結果から、封緘力は、第1突出部27および第2突出部37の水平断面形状が長孔の方が円形よりも高いことが分かった。また、封緘力は、長孔の直線部の長さLが長い方が高いことも分かった。一方、直線部の長さLが10mmになるまでは、長さLに比例して封緘力が増加したが、長さLが12mmになったときは、10mmのときよりも封緘力がやや減少した。また、直線部の長さLが10mmの場合にφ4を3.0~3.8mmの範囲で変更した場合でも、封緘力の変化が小さかった。これらから、(L/φ4)=2.6~3.3の範囲の長孔が形成されるように第1突出部27および第2突出部37を成形することにより、高い封緘力を得ることができると結論した。
【0049】
上述した鶏卵容器の封緘方法には、以下の発明が開示されている。以下の説明では、各実施形態における対応する構成の名称や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。ただし、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
(発明A)
熱可塑性樹脂により成形された第1容器部(20:図2)と、
熱可塑性樹脂により成形された第2容器部(30)と、
第1容器部(20)の周縁(20a)から張り出した第1フランジ(26)と、
第2容器部(30)の周縁(30a)から張り出した第2フランジ(36)と、
第1フランジ(26)から突出した中空の第1突出部(27)と、
第2フランジ(36)から突出した中空の第2突出部(37)と、を備えており、
第2突出部(37)および第2突出部(37)を相互に嵌合することにより、第1容器部(20)および第2容器部(30)を封緘する鶏卵容器(1)の封緘方法であって、
加圧ローラ(51:図9))および受け部材(52)を相対向させて配置し、
第1突出部(27)および第2突出部(37)を相互に嵌合する嵌合工程と、
嵌合工程の後に、第1フランジ(26)が加圧ローラ(51)の外周面(51a:図9(B))と対向しており、第2フランジ(36)が受け部材(52)と対向した状態にて、加圧ローラ(51)によって第1フランジ(26)を加圧しながら当該加圧ローラ(51)を当該第1フランジ(26)の長手方向に沿って相対的に転動させることにより、相互に嵌合された第1突出部(27)および第2突出部(37)を押し潰して塑性変形させ、その塑性変形した部分同士が相互に嵌合された状態にする封緘工程と、
を有することを特徴とする。
【0050】
(発明Aの効果)
上述した発明Aによれば、封緘工程では、相互に嵌合された第1突出部および第2突出部を押し潰して塑性変形させ、その塑性変形した部分同士が相互に嵌合された状態にすることができるため、封緘部分が剥がれ難い鶏卵容器の封緘方法を提供することができる。
しかも、本願の第1発明によれば、加圧ローラによって第1フランジを加圧しながら当該加圧ローラを当該第1フランジの長手方向に沿って相対的に転動させることにより、相互に嵌合された第1突出部および第2突出部を押し潰して塑性変形させ、その塑性変形した部分同士が相互に嵌合された状態にすることができるため、封緘速度が速く、装置のコストを低減することができる鶏卵容器の封緘方法を提供することができる。
さらに、本願の第1発明によれば、ステープラや封緘テープを用いない鶏卵容器の封緘方法を提供することができる。
【0051】
(発明B)
前述した発明Aに係る鶏卵容器の封緘方法において、
第1突出部(27)は、
第1フランジ(26)から突出した相対向する平板状の一対の第1側壁(27b,27c:図10(A)、図11(A))と、
一対の第1側壁(27b,27c)の先端間に形成された第1天壁(27f)と、を有し、
第2突出部(37)は、
第2フランジ(36)から突出した相対向する平板状の一対の第2側壁(37b,37c:図10(A)、図11(B))と、
一対の第2側壁(37b,37c)の先端間に形成された第2天壁(37f:図11(B))と、を有し、
一対の第1側壁(27b,27c)と第1フランジ(26)との各境界は、それぞれ第1フランジ(26)と第1容器部(20)との第1境界(20a:図2(A))に対して平行であり、
一対の第2側壁(37b,37c)と第2フランジ(36)との各境界は、それぞれ第2フランジ(36)と第2容器部(30)との第2境界(30a:図2(A))に対して平行であり、
塑性変形した部分同士が相互に嵌合された状態は、
一対の第1側壁(27b,27c)および一対の第2側壁(37b,37c)がそれぞれ外方に屈曲し、かつ、当該屈曲した一対の第1側壁(27b,27c)のうち、第1フランジ(26)との境界部分が屈曲した第1屈曲部(27g,27h:図11(D))が、当該屈曲した第2側壁(37b,37c)のうち、第2フランジ(36)との境界部分が屈曲した第2屈曲部(37g,37h:図11(D)))に嵌合しており、
さらに、当該屈曲した一対の第2側壁(37b,37c)のうち、第2天壁(37f)との境界部分が屈曲した第3屈曲部(37i,37j:図11(D))が、当該屈曲した一対の第1側壁(27b,27c)のうち、第1天壁(27f)との境界部分が屈曲した第4屈曲部(27i,27j:図11(D))に嵌合している状態であることを特徴とする。
【0052】
(発明Bの効果)
上述した発明Bによれば、塑性変形した部分同士が相互に嵌合された状態は、一対の第1側壁および一対の第2側壁がそれぞれ外方に屈曲し、かつ、当該屈曲した一対の第1側壁のうち、第1フランジとの境界部分が屈曲した第1屈曲部が、当該屈曲した第2側壁のうち、第2フランジとの境界部分が屈曲した第2屈曲部に嵌合しており、さらに、当該屈曲した一対の第2側壁のうち、第2天壁との境界部分が屈曲した第3屈曲部が、当該屈曲した一対の第1側壁のうち、第1天壁との境界部分が屈曲した第4屈曲部に嵌合している状態であるため、第1突出部および第2突出部の相互の嵌合力を強くすることができるので、封緘部分が、より一層剥がれ難い鶏卵容器の封緘方法を提供することができる。
【0053】
(発明C)
前述した発明Bに係る鶏卵容器の封緘方法において、
第1フランジ(26)のうち、第1境界(20a:図2(A))と第1突出部(27)との間には、第1フランジ(26)を破断するための第1破断線(3:図2(A))が第1フランジ(26)の長手方向に沿って形成されており、
第2フランジ(36)のうち、第2境界(30a:図2(A))と第2突出部(37)との間には、第2フランジ(36)を破断するための第2破断線(4:図2(A))が第2フランジ(36)の長手方向に沿って形成されていることを特徴とする。
【0054】
(発明Cの効果)
上述した発明Cによれば、第1フランジのうち、第1フランジと第1容器部との第1境界と第1突出部との間には、第1フランジを破断するための第1破断線が第1フランジの長手方向に沿って形成されており、第2フランジのうち、第2フランジと第2容器部との第2境界と第2突出部との間には、第2フランジを破断するための第2破断線が第2フランジの長手方向に沿って形成されているため、第1突出部および第2突出部の相互に嵌合された封緘部分を破壊しなくても、第1破断線および第2破断線に沿って第1フランジおよび第2フランジを破断すれば、鶏卵容器を容易に開封することができる。
【0055】
[第1実施形態の効果]
(1)前述した第1実施形態に係る樹脂成形品およびその製造方法によれば、印刷物100に形成された挿通孔101に挿通された係止用突出部90の先端94は塑性変形して印刷物100の上方に張り出し、印刷物100が係止用突出部90に係止された状態になるため、容器本体1aに貼着されていない印刷物100が容器本体1aから外れるおそれがない。
しかも、前述した第1実施形態に係る樹脂成形品およびその製造方法によれば、印刷物100は容器本体1aに貼着されていないため、容器本体1aを廃棄するときに印刷物100を容器本体1aから容易に外すことができる。
【0056】
(2)また、前述した第1実施形態に係る樹脂成形品およびその製造方法によれば、プレス加工により、係止用突出部90先端94を塑性変形させて外方に屈曲させ、印刷物100の上方に張り出させることができる。
従って、先端94を加熱して変形させる方法よりも成形に要する時間が短いため、樹脂成形品の製造効率を高めることができる。
【0057】
(3)さらに、前述した第1実施形態に係る樹脂成形品およびその製造方法によれば、印刷物100を容器本体1aに貼着する必要がないため、接着層を有する印刷物(シール)を使用しなくても良いので、鶏卵容器1の製造コストを低減することができる。
【0058】
(4)さらに、前述した第1実施形態に係る樹脂成形品の製造方法によれば、弾性部材400はゴム性材料により形成されているため、金属などと比較して、弾性部材400を係止用突出部90の形状や大きさに応じて加工し易いし、加工費用を低くすることもできる。
【0059】
(5)家庭や飲食店などにおける鶏卵の消費量を考えると、鶏卵容器1の廃棄量は、他の食品の包装容器と異なって莫大であり、再利用可能な樹脂資源としての割合が大きい。
しかし、前述したように、従来の鶏卵容器は、内容物の説明などが記載された印刷物が容器本体に貼着されており、そのまま廃棄すると、印刷物が不純物になるため、樹脂資源の再利用に適合しないという問題がある。また、印刷物を剥がそうとして、剥がし残りが発生した場合でも同様の問題がある。さらに、印刷物が貼着されている部分を切り取り、残った部分を樹脂資源にする方法も考えられるが、切り取るための道具を必要とし、手間も掛かるため、そのような方法は普及し難い。
そこで、前述した第1実施形態に係る樹脂成形品およびその製造方法によれば、紙製の印刷物100が容器本体1aに貼着されていないため、鶏卵容器1を廃棄するときに印刷物100を係止用突出部90から完全に除去することができるので、容器本体1aのみを廃棄することができる。
従って、鶏卵容器の樹脂資源としての再利用率を飛躍的に高めることができる。
【0060】
(6)つまり、前述した第1実施形態に係る樹脂成形品およびその製造方法によれば、樹脂資源の再利用に適合する樹脂成形品およびその製造方法を提供することができる。
【0061】
〈第2実施形態〉
次に、本発明の第2実施形態に係る樹脂成形品の製造方法について、図15および図16を参照しつつ説明する。
図15に示すように、本実施形態の樹脂成形品の製造方法において用いる成形装置500は、加圧部材501と、この加圧部材501の底面501aから下方に突出した弾性部材600とを備える。なお、図6に示した弾性部材400と同じように、加圧部材501の底面501aからは、複数の弾性部材600が下方に突出しており、各弾性部材600は、自身の底面が各係止用突出部90の各底壁91と対向するように配置されている。弾性部材600は、加圧部材501の底面501aから下方に突出した基部601と、この基部601から下方に突出した複数のバネ部602とを有する。
【0062】
弾性部材600は、円錐台を上下逆にした形状(逆円錐台)を呈している。図15(B)に示すように、基部601の底面は下方から見て環状を呈しており、その基部601の周縁から複数のバネ部602が下方に突出している。各バネ部602は、相互に一定の間隔を置いて配置されており、各バネ部602が弾性部材600の周壁を構成している。各バネ部602の下端は、自身の上端よりも内側(弾性部材600の上下方向の中心軸に近い側)に位置している。図16に示すように、各バネ部602は、薄肉の細長い板バネに形成されている。各バネ部602は、ステンレス、あるいは、ピアノ線材などの鋼材により形成することができる。また、弾性部材600の底面の径は、係止用突出部90の内壁の径φ2(図4(B))よりも小径である。
【0063】
図15に示すように、昇降装置を駆動して加圧部材501を下降させ、弾性部材600を係止用突出部90の先端94から内壁92間に圧入すると、図16に示すように、各バネ部602が外方に撓み、内壁92を外方に広がるように塑性変形させる。また、外壁93は、外方に広がる内壁92の押圧力によって外方に広がるように塑性変形し、内壁92および外壁93は、相互に密着し、自身の基部から外方に腰折れした状態になる。これにより、係止用突出部90の先端94は、印刷物100の上方に張り出し、内壁92の先端の径は成形前の径φ2(図4(B))よりも大径に変化する。つまり、印刷物100の挿通孔101が係止用突出部90に係止された状態になり、挿通孔101から係止用突出部90が抜けるおそれがなくなる。
また、昇降装置を駆動し、加圧部材501を上昇させると、各バネ部602は、それぞれ自身の復元力によって変形前の形状に復帰し、弾性部材600は変形前の形状に復帰する。
上述した第2実施形態に係る樹脂成形品の製造方法によれば、前述した第1実施形態に係る樹脂成形品の製造方法と同じ効果を奏することができる。また、各バネ部602の形状、数および材質は、係止用突出部90の大きさおよび剛性などに応じて変更することができる。
【0064】
〈第3実施形態〉
次に、本発明の第3実施形態に係る樹脂成形品の製造方法について図17を参照しつつ説明する。
図17(A)に示すように、矩形でシート状の印刷物100の四隅および各辺には、半円形の切欠部103がそれぞれ形成されている。また、同図(B),(C)に示すように、容器本体1aの上壁21には、係止用突出部700が上方に突出形成されている。また、係止用突出部700の先端704は、前述した成形方法により、塑性変形して外方に広がっており、内壁702および外壁703が密着し、先端704の径が、印刷物100の切欠部103の径よりも大径になっている。これにより、印刷物100の各切欠部103の各周縁が、各係止用突出部700に係止された状態になっており、印刷物100が各係止用突出部700から外れないようになっている。
上述した第3実施形態に係る樹脂成形品の製造方法によれば、前述した第1実施形態に係る樹脂成形品の製造方法と同じ効果を奏することができる。なお、前述した第1実施形態における係止用突出部90を容器本体1aの上壁21に形成し、印刷物100の各切欠部103を各係止用突出部90に係止する構成でも良い。切欠部103は本発明の挿通部の一例である。
【0065】
〈他の実施形態〉
(1)印刷物100の挿通孔101(図5)の数は変更可能であり、それに応じて係止用突出部90の数も変更可能である。また、印刷物100の切欠部103(図17(A))の数は変更可能であり、それに応じて係止用突出部700の数も変更可能である。また、印刷物100において挿通孔101および切欠部103の両方を混在させることもでき、それに応じて係止用突出部90および係止用突出部700を形成することもできる。
【0066】
(2)係止用突出部90の先端94の一部が印刷物100の上方に張り出している構造でも良い。例えば、弾性部材400の形状の横断面形状を楕円に形成し、その楕円の長軸方向に弾性部材400を変形させ、先端94のうち、弾性部材400が変形した方向に対応する部分のみを印刷物100の上方に張り出させる。
(3)印刷物100の挿通孔101または切欠部103を楕円に形成し、係止用突出部90の先端94の一部が印刷物100の上方に張り出している構造にすることもできる。
【0067】
(4)印刷物100の配置箇所は、任意であり、例えば、容器の側壁、底壁などでも良い。また、容器の内側や裏面でも良い。
(5)印刷物100は、各係止用突出部90から外すことができれば原材料は問わない。例えば、100%紙製でなくても良く、樹脂成分が配合されていても良い。また、樹脂製でも良いし、樹脂によって被覆された紙でも良い。
【0068】
(6)前述した実施形態では、回転する加圧ローラ51の外周面51aと、受け部材52の上面52aとの間で、第1突出部27および第2突出部37を押し潰して塑性変形させたが、第1フランジ26および第2フランジ36を受け部材52の上面52aに配置し、第1フランジ26の上を長手方向に沿って加圧ローラ51を転動させることにより、第1突出部27および第2突出部37を押し潰して塑性変形させることもできる。この方法を実施する場合は、加圧ローラ51を転動させながら移動させる装置を用いる。また、複数個の鶏卵容器1を長手方向に沿って配置し、各鶏卵容器1の第1フランジ26および第2フランジ36を配置することができる長さの上面52aを有する受け部材52を用意し、加圧ローラ51を各第1フランジ26の長手方向に沿って転動させることにより、1回の工程で、複数の鶏卵容器1を効率良く封緘することができる。
このように、加圧ローラ51を第1フランジ26を加圧しながら当該第1フランジ26の長手方向に沿って相対的に転動させることができれば、前述した実施形態の封緘方法でも良いし、上記の封緘方法でも良い。
【0069】
(7)第1容器部20および第2容器部30の境界に形成された回動部2の長手方向に沿って破断線を形成しても良い。
(8)本発明に係る樹脂成形品およびその製造方法は、鶏卵容器以外の容器、例えば、総菜、野菜、魚介類、弁当、ピザ、菓子、文房具、日用品、電気部品、電気機器などを収容する容器についても適用することができる。また、ブリスターパックにも適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 鶏卵容器
1a 容器本体
5 鶏卵
21 上壁
90 突出部(係止用突出部)
94 先端
100 印刷物
101 挿通孔
103 切欠部
200 成形装置
400 弾性部材
600 弾性部材
700 突出部(係止用突出部)
704 先端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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