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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154667
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】固定子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/12 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H02K15/12 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068619
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】生沼 千広
(72)【発明者】
【氏名】小西 裕希
(72)【発明者】
【氏名】鳥羽 明
(72)【発明者】
【氏名】中野 健太郎
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB05
5H615BB14
5H615PP13
5H615PP14
5H615QQ03
5H615QQ06
5H615QQ12
5H615RR04
5H615RR07
5H615SS42
(57)【要約】
【課題】導体と絶縁紙の間及び絶縁紙とコアの間に樹脂を安定的に含浸させることができる固定子の製造方法を提供する。
【解決手段】固定子コイル110は、断面が矩形状の導体であって、スロット200内の直線部110cと、固定子鉄心111より突出するコイルエンド110a(エンド部)とを備える。コイルエンド110aは、周方向に傾斜した傾斜部110dと、傾斜部110dと直線部110cとを接続する遷移部110eと、を備える。絶縁紙300は、遷移部110eの一部と、直線部110cとを筒状に包囲する。固定子112の中心軸を、鉛直方向に対し傾斜させる。遷移部110eのうち、中心軸より鉛直方向上側であって、且つ、絶縁紙300に包囲されていない部分にワニス113(樹脂)を滴下する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子の製造方法であって、
前記固定子は、
環状のコアと、
前記コアに設けられるスロットと、
断面が矩形状の導体であって、前記スロット内の直線部と、前記コアより突出するエンド部とを備え、前記エンド部が、周方向に傾斜した傾斜部と、前記傾斜部と前記直線部とを接続する遷移部と、を備える導体と、
前記遷移部の一部と、前記直線部とを筒状に包囲する絶縁紙と、を備え、
前記固定子の中心軸を、鉛直方向に対し傾斜させ、
前記遷移部のうち、前記中心軸より鉛直方向上側であって、且つ、前記絶縁紙に包囲されていない部分に樹脂を滴下する、固定子の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の固定子の製造方法であって、
前記樹脂を、前記コアの径方向に沿って配置された前記遷移部のうち最も外側にある前記遷移部に滴下する
ことを特徴とする固定子の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の固定子の製造方法であって、
前記遷移部への前記樹脂の進入角は鋭角である
ことを特徴とする固定子の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の固定子の製造方法であって、
前記遷移部への前記樹脂の進入角は45°以下である、固定子の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の固定子の製造方法であって、
前記樹脂を、前記遷移部の傾斜方向に沿って滴下する
ことを特徴とする固定子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワニスに対する要求性能を満たしつつ、付着禁止エリアへのワニスの付着を防止する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、「固定子コアにコイルが巻回される回転電機の固定子の製造方法であって、前記コイルが前記固定子コアから突出しているコイルエンド部のうち、最外周又は最内周に配置され、前記固定子コアに近接した位置のコイルにワニスを滴下して第1ワニス部を形成する第1ワニス工程と、前記第1ワニス工程より前記固定子コアから遠い位置にワニスを滴下して、前記第1ワニス部と第2ワニス部の間にワニスが塗布されていない非存在領域を設けるように、第2ワニス部を形成する第2ワニス工程と、を備える。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2021/192531号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような技術では、U字形状導体(コイル)の上部からワニスを塗布していた為、次のような原因により固定不足が発生していた。
【0006】
第1に、導体形状とワニスの流動ばらつきにより、ワニスの流れ方が安定せず目的箇所(導体-絶縁紙間、絶縁紙-コア間)へのワニスの含浸にばらつきが生じる。第2に、U字形状導体の上部にワニスが付着する為、目的箇所にワニスが含浸しにくい。第3に、必要量以上にワニスを塗布する必要があり、ワニス使用量が増大し、ワニスの溢れ/ダマのリスクが高まる。
【0007】
本発明の目的は、導体と絶縁紙の間及び絶縁紙とコアの間に樹脂を安定的に含浸させることができる固定子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は固定子の製造方法であって、前記固定子は、環状のコアと、前記コアに設けられるスロットと、断面が矩形状の導体であって、前記スロット内の直線部と、前記コアより突出するエンド部とを備え、前記エンド部が、周方向に傾斜した傾斜部と、前記傾斜部と前記直線部とを接続する遷移部と、を備える導体と、前記遷移部の一部と、前記直線部とを筒状に包囲する絶縁紙と、を備え、前記固定子の中心軸を、鉛直方向に対し傾斜させ、前記遷移部のうち、前記中心軸より鉛直方向上側であって、且つ、前記絶縁紙に包囲されていない部分に樹脂を滴下する、固定子の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、導体と絶縁紙の間及び絶縁紙とコアの間に樹脂を安定的に含浸させることができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】回転電機の断面図である。
図2図1に示す回転子の構成図である。
図3図1に示す固定子の斜視図である。
図4】ワニスを塗布する固定子鉄心内の固定子コイルの概略図である。
図5】傾斜させた固定子を示す図である。
図6】固定子のスロットに格納される固定子コイルを示す図である。
図7】固定子コイルのコイルエンドの構成図である。
図8】滴下装置から滴下されたワニスの流れを示す図である。
図9】スロット間の空間を外側から内側に向かって流れるワニスを示す図である。
図10】コイルエンドの遷移部へのワニスの進入角を示す図である。
図11】本実施形態の方法により製造された固定子のコイルエンドの近傍を示す斜視図である。
図12図11に示す固定子のコイルエンドを別の方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態による固定子の製造方法を説明する。なお、各図において、同一符号は同一部分を示す。
【0012】
(回転電機の構成)
図1は本発明の実施形態に係る回転電機100の断面図である。この回転電機100は、永久磁石内蔵型の三相電機モータである。回転電機100は、固定子コイル110(導体)が固定子鉄心111(コア)に巻回され、固定子コイル110に三相交流電流が供給されると回転子120が回転する電動機として作動する。回転電機100は、またエンジン等によって回転電機100が駆動されると、三相交流を発電する発電機として作動する。
【0013】
図1に示すように回転電機100はハウジング130とハウジング130に固定されている固定子112を有する。この固定子112は前述のように固定子コイル110と固定子鉄心111を備えている。この固定子鉄心111の径方向の内側には、回転子120が空隙140を介して回転自在に配設されている。回転子120は回転子鉄心121と永久磁石150と、非磁性体の当て板160とを備えている。回転子鉄心121は円柱状のシャフト170に固定されている。
【0014】
ハウジング130は軸受10A、10Bが設けられたエンドブラケット180を有し、シャフト170はこれらの軸受け10A、10Bにより回転自在に保持されている。シャフト170には、回転子120の極の位置や回転速度を検出するレゾルバ190が設けられている。
【0015】
(回転子の構成)
図2は回転子120の構成図である。回転子鉄心121には、直方体形状の磁石挿入孔が外周部近傍において周方向に等間隔で配置されている。各磁石挿入孔には、永久磁石150が埋め込まれ、接着剤などで固定されている。磁石挿入孔の周方向の幅は、永久磁石150の周方向の幅よりも大きく形成されており、永久磁石150の両側には磁気的空隙151が形成されている。この磁気的空隙151には接着剤を埋め込んでもいいし、樹脂で永久磁石150と一体に固めても良い。
【0016】
永久磁石150の磁化方向は径方向を向いており、界磁極ごとに磁化方向の向きが反転している。すなわち、ある磁極を形成するための永久磁石150の固定子112の側の面がN極、シャフト170の側の面がS極であったならば、隣の磁極を形成する永久磁石150の固定子112の側の面はS極、シャフト170の側の面はN極となっている。本実施形態では、8個の永久磁石150が周方向に等間隔で磁極毎に交互に磁化方向が変わるように磁化されて配置されており、回転子120は8極を形成している。
【0017】
回転子鉄心121は固定子112の内側に配置され、回転子120の内側にはシャフト170が配置される。固定子112はケイ素鋼板500(電磁鋼板)の積層体であり、スロット200を有する。
【0018】
(固定子の構成)
図3は固定子112の斜視図である。固定子112はハウジング130(図1)の内周側に固定され、円筒状の固定子鉄心111と、この固定子鉄心111に装着される固定子コイル110と、を有している。固定子鉄心111の軸方向一方の側には、複数の固定子コイル110のU字部により構成されるコイルエンド110aが形成される。一方、反対側には固定子コイル110同士の溶接部分が円状に並んだ溶接側コイルエンド群110bが形成される。なお、図面を見やすくするため、出力取出し線、中性線は図示せず省略した。
【0019】
本実施形態では、一例として、固定子鉄心111は積層されたケイ素鋼板500からなり、ケイ素鋼板500は厚さが0.05~1mm程度で打ち抜き加工またはエッチング加工で成形され、積層されたのちに溶接により固定されている。この溶接によって積層されたケイ素鋼板500は接合され、ハウジング130への圧入時の締付力によるケイ素鋼板500の変形を抑制する。
【0020】
(固定子コイルの構成)
図4にワニス(樹脂)を塗布する固定子鉄心111内の固定子コイル110の概略図(模式図)を示す。
【0021】
固定子コイル110には平角線が用いられ、固定子コイル110は分布巻の方式で巻かれている。分布巻とは、複数のスロット200を跨いで離間したスロット200に固定子コイル110が収納される巻線方式である。固定子コイル110は、断面が矩形状の平角線を、予めフォーム成型などを用いてU字形状に成型したコイル片から構成される。コイル片の直線部110cは、絶縁紙300が設けられ離間した2つのスロット200に挿入される。
【0022】
その後、固定子鉄心111の軸方向反対側に突出したコイル片の直線部を捻り成形し、その端部を同様に捻り成形した他のコイルの端部と溶接する。このように複数のコイル片を固定子鉄心111のスロット200に挿入し、それらを接続することで1つの相巻線(固定子コイル110)が形成される。
【0023】
ワニスは固定子コイル110の直線部110c(スロット200内)、固定子コイル110の直線部110cと絶縁紙300との空隙、絶縁紙300と固定子鉄心111との間に塗布される。
【0024】
(ワニスの塗布方法)
次に本実施形態のワニスの塗布方法を詳細に説明する。
【0025】
図5に示す固定子112は、図6に示すように、環状の固定子鉄心111(コア)と、固定子鉄心111に設けられるスロット200と、固定子コイル110(導体)と、絶縁紙300と、を備える。
【0026】
図6に示す固定子コイル110は、断面が矩形状の導体であって、図4に示すように、スロット200内の直線部110cと、固定子鉄心111より突出するコイルエンド110a(エンド部)とを備える。
【0027】
コイルエンド110aは、図7に示すように、周方向に傾斜した傾斜部110dと、傾斜部110dと直線部110cとを接続する遷移部110eと、を備える。絶縁紙300は、遷移部110eの一部と、直線部110cとを筒状に包囲する。
【0028】
本実施形態では、図5に示すように、固定子112の中心軸を、鉛直方向に対しα°(ただしα>0)傾斜させる。そして、遷移部110eのうち、中心軸より鉛直方向上側(図5)であって、且つ、絶縁紙300に包囲されていない部分にワニス113(樹脂)を滴下する(図8)。
【0029】
鉛直方向に対しα°傾斜させた固定子112おいて、絶縁紙300に包囲されていない遷移部110eにワニス113を滴下することで、周方向に隣接する2つの遷移部110eの間の空間(スロット間の空間)にワニス113が充填される。そして、固定子コイル110(導体)と絶縁紙300の間、絶縁紙300と固定子鉄心111(コア)の間の隙間に安定的にワニス113を含浸させることができる。
【0030】
本実施形態では、図8に示すように、ワニス113(樹脂)を、固定子鉄心111(コア)の径方向に沿って配置された遷移部110eのうち最も外側にある遷移部110eに滴下する。
【0031】
最も外側にある遷移部110eにワニス113(樹脂)を滴下することで、図9に示すように、スロット間の空間を外側から内側に向かってワニス113が流れ、固定子コイル110(導体)と絶縁紙300の間、絶縁紙300と固定子鉄心111(コア)の間の隙間に安定的にワニス113を含浸させることが出来る。また、固定子鉄心111(コア)の内側へ溢れ出た樹脂が、固定子鉄心111(コア)の内周面を覆う。
【0032】
図10に示すように、遷移部110eへのワニス113(樹脂)の進入角θは鋭角である。遷移部110eへのワニス113の進入角θは45°以下(0°<θ≦45°)であることが好ましい。より詳細には、ワニス113(樹脂)を、遷移部110eの傾斜方向に沿って滴下する。このとき、ワニス113の進入角θは所定の閾値より小さくなる。
【0033】
進入角θが小さくなるほどスロット間の空間が水平になるので、スロット間の空間にワニス113が充填されている時間が長くなり、固定子コイル110(導体)と絶縁紙300の間、絶縁紙300と固定子鉄心111(コア)の間の隙間に安定的にワニス113を含浸させることが出来る。
【0034】
本実施形態では、固定子鉄心111(コア)を、コイルエンド110a(エンド部)の側から見て時計回りに回転させる。固定子鉄心111が回転し、ワニス113が充填されたスロット間の空間が垂直になるにつれ、スロット間の空間を外側から内側に向かってワニス113が流れ易くなる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によれば、固定子コイル110(導体)と絶縁紙300の間、絶縁紙300と固定子鉄心111(コア)の間の隙間に安定的にワニス113を含浸させることができる。
【0036】
ワニス113を遷移部110eに滴下することで、導体形状ばらつき、流動ばらつきの影響が小さくなり、目的箇所(導体-絶縁紙間、絶縁紙-コア間)へのワニス113の含浸のばらつきが低減する。U字形状導体の上部にワニス113が付着しない為、目的箇所に効率的にワニス113を含浸させることができる。必要量以上にワニス113を塗布する必要がなくなり、ワニス113の使用量を低減し、ワニス113の溢れ/ダマのリスクを低減することができる。
【0037】
その結果、固定子コイル110が必要量のワニス113で固定子鉄心のスロット200に確実に固定されるので、固定品質向上、信頼性向上、材料使用量削減、耐震性能向上を実現することができる。
【0038】
本実施形態の製造方法で製造された固定子112のコイルエンド110aのワニス非存在領域は、図11に示すように、従来技術と比較して広く、ワニス付着部が固定子鉄心111のスロット200の近傍に位置する。図12に示すように、ワニス滴下位置より上部の固定子コイル110(導体)にはワニス113が付着しない。ワニス非存在領域が拡大することで、材料使用量が削減され、固定子112を含む回転電機100の製造コストが低減される。また、安定的に導体-絶縁紙間、絶縁紙-コア間の隙間にワニスを含浸させることができるので、固定子112を含む回転電機100の品質向上、信頼性向上、耐震性能向上等を実現することができる。
【0039】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0040】
本実施形態では、ワニス113を滴下する滴下装置400(図5)は、例えば、アクチュエータにより駆動される。プロセッサがアクチュエータを制御することで、滴下装置400の位置が制御される。また、ワニス113を滴下するとき、例えば、モータにより固定子鉄心111(コア)を回転させる。プロセッサがモータを制御することで、固定子鉄心111の回転が制御される。なお、ユーザ(人間)が滴下装置400を手動で移動してもよく、固定子鉄心111(コア)を手動で回転させてもよい。
【0041】
本発明の実施形態は、以下の態様であってもよい。
【0042】
(1).固定子の製造方法であって、前記固定子は、環状のコアと、前記コアに設けられるスロットと、断面が略矩形の導体であって、前記スロット内の直線部と、前記コアより突出するエンド部とを備え、前記エンド部が、周方向に傾斜した傾斜部と、前記傾斜部と前記直線部とを接続する遷移部と、を備える導体と、前記直線部と、前記遷移部の一部とを筒状に包囲する絶縁紙と、を備え、前記固定子の中心軸を、鉛直方向に対しα°(ただしα>0)傾斜させ、前記遷移部のうち、前記中心軸より鉛直方向上側であって、且つ、前記絶縁紙に包囲されていない領域に、樹脂を滴下する、固定子の製造方法。
【0043】
鉛直方向に対しα°傾斜させた固定子の導体と絶縁紙に包囲されている部分よりも突き出し方向で上側に樹脂を滴下することで、スロット間の空間に樹脂を充填させることで、導体-絶縁紙間、絶縁紙-コア間の隙間に樹脂を含浸させる。これにより、品質向上、信頼性向上、材料使用量削減、耐震性能向上等を実現することができる。
【0044】
(2).(1)に記載の固定子の製造方法であって、前記樹脂を、径方向に沿って配置された前記導体のうち最も外側にある前記導体に滴下する、固定子の製造方法。
【0045】
最も外側にある導体に滴下することで、スロット間の空間を外側から内側に向かって樹脂が流れ、導体-絶縁紙間の全ての隙間に安定的に含浸させることが出来る。また、内側からコア内径へ溢れ出た樹脂が、コアへと含浸される。これにより、品質向上、信頼性向上、耐震性向上等を実現することができる。
【0046】
(3).(1)に記載の固定子の製造方法であって、前記樹脂を、前記傾斜部の傾斜方向に沿って滴下する、固定子の製造方法。
【0047】
傾斜部の傾斜方向に沿って滴下することで、スロット間の空間に樹脂が充填されている時間が長くなり、導体-絶縁紙間の全ての隙間に安定的に含浸させることが出来る。これにより、品質向上、信頼性向上、耐震性向上等を実現することができる。
【符号の説明】
【0048】
10A…軸受
10B…軸受
100…回転電機
110…固定子コイル
110a…コイルエンド
110b…溶接側コイルエンド群
110c…直線部
110d…傾斜部
110e…遷移部
111…固定子鉄心
112…固定子
113…ワニス
120…回転子
121…回転子鉄心
130…ハウジング
140…空隙
150…永久磁石
151…磁気的空隙
160…当て板
170…シャフト
180…エンドブラケット
190…レゾルバ
200…スロット
300…絶縁紙
400…滴下装置
500…ケイ素鋼板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12