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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154674
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】アンテナ取付装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/12 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H01Q1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068630
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000227892
【氏名又は名称】日本アンテナ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 保男
(74)【代理人】
【識別番号】110002767
【氏名又は名称】弁理士法人ひのき国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 康平
(72)【発明者】
【氏名】森澤 大輔
【テーマコード(参考)】
5J047
【Fターム(参考)】
5J047AA09
5J047AA17
5J047BG01
5J047BG10
(57)【要約】
【課題】 簡易な構成とすることができるアンテナ取付装置を提供する。
【解決手段】 アンテナ本体10に一体に形成された取付部12と、取付部12に組み付けられる取付金具20とで本発明のアンテナ取付装置1は構成されている。取付部12の左右には、第1挿入溝13aおよび第2挿入溝13bがそれぞれ形成され、取付金具20の上下にはボルト24が挿入される幅狭部が形成された2つのボスが設けられている。第1挿入溝13aを通過されて第1ボス収納孔13cに位置されたボスは、第1ボス収納孔13cに位置された2つのボスは、幅狭部と第1挿入溝13aの幅の作用で第1ボス収納孔13cから抜け出ない構成とされている。これにより、作業者の不用意によってアンテナ本体10が落下しないと共に、簡易な構成のアンテナ取付装置1とすることができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ本体の背面から突出するよう一体的に形成されている取付部と、該取付部に組み付けられるとともに、前記アンテナ本体の被取付体に固着されて前記アンテナ本体を支持する取付金具とを備えるアンテナ取付装置であって、
前記取付金具は、前記被取付体に固着可能なベース部と、該ベース部の両端が対面されるように折曲されて形成された一対の折曲部と、該一対の折曲部のそれぞれに直立されて設けられた所定の径の一対のボスと、該一対のボスに挿通されるボルトとを備え、
前記取付部は、一側の上下にそれぞれ形成され、前記一対のボスが挿入可能な一対の第1挿入溝と、他側の上下に前記第1挿入溝と対称の形状にそれぞれ形成され、前記一対のボスが挿入可能な一対の第2挿入溝と、前記一対の第1挿入溝に連通されてそれぞれに形成された所定の径の前記ボスが回転可能な一対の第1ボス収納孔と、前記一対の第2挿入溝に連通されてそれぞれに形成された所定の径の前記ボスが回転可能な一対の第2ボス収納孔とを備え、
前記取付金具における前記一対のボスのそれぞれには、長軸方向に平端とされて前記所定の径が狭められた幅狭部が形成されており、前記取付部における前記第1挿入溝および前記第2挿入溝は外側に拡がるテーパ状に形成され、前記第1挿入溝および前記第2挿入溝の幅は前記ボスの前記幅狭部は通過できるが前記幅狭部の幅を超える前記ボスの部分は通過できない幅とされ、前記第1挿入溝あるいは前記第2挿入溝を通過された前記ボスは、前記第1ボス収納孔あるいは前記第2ボス収納孔に位置されて前記第1ボス収納孔あるいは前記第2ボス収納孔に対し回転可能とされて、前記アンテナ本体の向きを調整可能とされることを特徴とするアンテナ取付装置。
【請求項2】
前記第1挿入溝および前記第2挿入溝の入口の一側に延伸部が形成されており、該延伸部は、前記第1挿入溝および前記第2挿入溝の開口面を覆う形状に曲げられていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ取付装置。
【請求項3】
前記取付部の中央部の上下にそれぞれ形成されると共に、前記一対のボスが挿入可能な一対のU字状溝と、前記一対のU字状溝のそれぞれに形成された前記ボルトが挿通される一対の貫通孔とをさらに備え、
前記一対のボスが前記一対のU字状溝に挿入された際には、一方の前記ボスに挿入された前記ボルトが前記一対の貫通孔に挿通されて他方の前記ボスに締着されることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ取付装置。
【請求項4】
前記取付金具の前記ベース部には、前記取付金具を壁面などの平坦面に取り付けるための複数のネジ挿通孔が形成されていると共に、前記取付部をマストに取り付けるための一対のネジ穴が設けられており、前記ベース部の背面にはマストが接することができる凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ取付装置。
【請求項5】
前記アンテナ本体は、縦方向および横方向の長さに比べて厚さが数分の1以上薄くされた直方体状とされており、内部に地上デジタル放送用のアンテナが収納されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のアンテナ取付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを壁面やマストに取り付けられるアンテナ取付装置に関し、簡易な構成とすることができるアンテナ取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地上デジタルテレビ放送を受信する従来の地デジアンテナとして、八木アンテナや平面アンテナが知られている。地デジアンテナは厚みの薄いケースを備えており、一般的には平面状とされたアンテナ素子がケース内に内蔵されている。この地デジアンテナは、マストに取り付けるだけではなく、ベランダや壁面などの設置場所に設置することが望まれており、住宅等の外壁やベランダに設置しても違和感がないような良好なデザインとされている。このため、地デジアンテナを取り付けるためのアンテナ取付装置には、壁面やマストなどへの地デジアンテナの取り付けを可能とすることができると共に、地デジアンテナを電波到来方向へ向ける方向調整を行えることが望まれている。
【0003】
地デジアンテナを取り付け可能な従来のアンテナ取付装置(特許文献1参照)の構成を図33(a)(b),図34に示す。図33(a)は従来のアンテナ取付装置の第2取付金具を第1取付金具に組み付ける工程を示す背面側の斜視図、図33(b)は従来のアンテナ取付装置の第2取付金具を第1取付金具に組み付ける工程を示す上面図、図34は組み付けた構成を示す上面図である。
これらの図に示すように、従来のアンテナ取付装置100は、アンテナ本体110の後ケース111bの下部に取り付けられた第2取付金具130と、壁面やマストに取り付けられる第1取付金具120から構成されている。第1取付金具120の第1取付足122と第2取付足123との間に軸ボルト124が予め装着されている。壁面やマストに取り付けられている第1取付金具120にアンテナ本体110の後ケース111bに組み付けられた第2取付金具130を組み付ける時には、アンテナ本体110を把持して、第1取付金具120に対して斜めになるよう配置する。この状態において第1取付金具120に装着された軸ボルト124に第2取付金具130の右側を相対させて、軸ボルト124に折曲部133aを位置合わせする。そして、第2取付金具130の右側の折曲部133aから切欠部133bに軸ボルト124が導入されるようにアンテナ本体110を移動させていく。次いで、切欠部133bに続く連通溝131d内に軸ボルト124が導入されるようアンテナ本体110をさらに移動させていく。
【0004】
連通溝131dは第2取付金具130の上下に形成されており、切欠部133bから第2取付金具130の連通溝131d内に軸ボルト124が導入される経路が図33(b)に2点鎖線の矢印線で示されている。このとき、アンテナ本体110を移動させながら、軸ボルト124を連通溝131dに形成されている3つのU字状の溝のいずれかに挿通していくことができる。軸ボルト124を中央のU字状溝に挿入した状態が図34に示されている。軸ボルト124を中央のU字状溝に挿入した状態において、アンテナ本体110を所定角度範囲内で方向調整することができる。また、軸ボルト124を右側のU字状溝に挿入した場合には、アンテナ本体110を右方向に大きく方向調整することができ、軸ボルト124を左側のU字状溝に挿入した場合には、アンテナ本体110を左方向に大きく方向調整することができる。アンテナ本体110の方向調整を行ったら、軸ボルト124をナット125に締め付けて、アンテナ本体110を第1取付金具120に固着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-115804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アンテナの取付作業においては、作業者の不用意によってアンテナが落下しないことを求められている。従来のアンテナ取付装置においては、壁面等に取り付けられた第1取付金具120にアンテナ本体110を取り付ける際のアンテナ本体110の方向調整や軸ボルト124の締め付け作業時に、作業者の不用意によってアンテナ本体110から手を離しても軸ボルト124は連通溝131dから抜け出ないことから、アンテナ本体110が脱落して落下することが防止されている。
【0007】
しかしながら、従来のアンテナ取付装置においては、第1取付金具120と第2取付金具130とを必要とし、アンテナ取付装置の構造が複雑になってしまうという問題点があった。
そこで、本発明は、作業者の不用意によってアンテナが落下しないアンテナ取付装置とされていても、簡易な構成とすることができるアンテナ取付装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成することができる本発明のアンテナ取付装置は、アンテナ本体の背面から突出するよう一体的に形成されている取付部と、該取付部に組み付けられるとともに、前記アンテナ本体の被取付体に固着されて前記アンテナ本体を支持する取付金具とを備えるアンテナ取付装置であって、前記取付金具は、前記被取付体に固着可能なベース部と、該ベース部の両端が対面されるように折曲されて形成された一対の折曲部と、該一対の折曲部のそれぞれに直立されて設けられた所定の径の一対のボスと、該一対のボスに挿通されるボルトとを備え、前記取付部は、一側の上下にそれぞれ形成され、前記一対のボスが挿入可能な一対の第1挿入溝と、他側の上下に前記第1挿入溝と対称の形状にそれぞれ形成され、前記一対のボスが挿入可能な一対の第2挿入溝と、前記一対の第1挿入溝に連通されてそれぞれに形成された所定の径の前記ボスが回転可能な一対の第1ボス収納孔と、前記一対の第2挿入溝に連通されてそれぞれに形成された所定の径の前記ボスが回転可能な一対の第2ボス収納孔とを備え、前記取付金具における前記一対のボスのそれぞれには、長軸方向に平端とされて前記所定の径が狭められた幅狭部が形成されており、前記取付部における前記第1挿入溝および前記第2挿入溝は外側に拡がるテーパ状に形成され、前記第1挿入溝および前記第2挿入溝の幅は前記ボスの前記幅狭部は通過できるが前記幅狭部の幅を超える前記ボスの部分は通過できない幅とされ、前記第1挿入溝あるいは前記第2挿入溝を通過された前記ボスは、前記第1ボス収納孔あるいは前記第2ボス収納孔に位置されて前記第1ボス収納孔あるいは前記第2ボス収納孔に対し回転可能とされて、前記アンテナ本体の向きを調整可能とされることを主要な特徴としている。
【0009】
上記した本発明のアンテナ取付装置において、前記第1挿入溝および前記第2挿入溝の入口の一側に延伸部が形成されており、該延伸部は、前記第1挿入溝および前記第2挿入溝の開口面を覆う形状に曲げられていてもよい。
また、上記した本発明のアンテナ取付装置において、前記取付部の中央部の上下にそれぞれ形成されると共に、前記一対のボスが挿入可能な一対のU字状溝と、前記一対のU字状溝のそれぞれに形成された前記ボルトが挿通される一対の貫通孔とをさらに備え、前記一対のボスが前記一対のU字状溝に挿入された際には、一方の前記ボスに挿入された前記ボルトが前記一対の貫通孔に挿通されて他方の前記ボスに締着される。
さらに、上記した本発明のアンテナ取付装置において、前記取付金具の前記ベース部には、前記取付金具を壁面などの平坦面に取り付けるための複数のネジ挿通孔が形成されていると共に、前記取付部をマストに取り付けるための一対のネジ穴が設けられており、前記ベース部の背面にはマストが接することができる凹部が形成されている。
さらにまた、上記した本発明のアンテナ取付装置において、前記アンテナ本体は、縦方向および横方向の長さに比べて厚さが数分の1以上薄くされた直方体状とされており、内部に地上デジタル放送用のアンテナが収納されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアンテナ取付装置では、2つのボスのそれぞれには、長軸方向に平端とされて所定の径が狭められた幅狭部が形成されており、第1挿入溝および第2挿入溝の幅はボスの幅狭部は通過できるが所定の径が狭められていないボスの部分は通過できない幅とされていることから、第1挿入溝あるいは第2挿入溝を通過されて第1ボス収納孔あるいは第2ボス収納孔に位置されたボスは、アンテナ本体の向きを変えることでボスが第1ボス収納孔あるいは第2ボス収納孔から抜け出ないようになる。これにより、本発明のアンテナ取付装置は、作業者の不用意によってアンテナが落下しないアンテナ取付装置とされている。また、アンテナ本体に一体に形成された取付部と、この取付部に組み付けられる取付金具とで本発明のアンテナ取付装置を構成できることから、本発明のアンテナ取付装置を簡易な構成とすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例のアンテナ取付装置の構成を示す背面側の斜視図である。
図2】本発明の実施例のアンテナ取付装置の構成を示す正面側の斜視図である。
図3】本発明の実施例のアンテナ取付装置において、アンテナ本体の向きを調整した構成を示す背面側の斜視図である。
図4】本発明の実施例にかかるアンテナ取付装置において、アンテナ本体の向きを調整した構成を示す正面側の斜視図である。
図5】本発明の実施例のアンテナ取付装置において、アンテナ本体の向きを調整する様子の構成を示す下面図、調整する部位の構成を示す拡大図、調整する部位の構成を示す他の拡大図である。
図6】本発明の実施例のアンテナ取付装置において、アンテナ本体の向きを調整する他の様子の構成を示す下面図、調整する部位の構成を示す拡大図、調整する部位の構成を示す他の拡大図である。
図7】本発明の実施例のアンテナ取付装置におけるアンテナ本体の構成を示す正面図である。
図8】本発明の実施例のアンテナ取付装置におけるアンテナ本体の構成を示す背面図である。
図9】本発明の実施例のアンテナ取付装置におけるアンテナ本体の構成を示す上面図、右側面図、下面図である。
図10】本発明の実施例のアンテナ取付装置におけるアンテナ本体の構成を示す正面側の斜視図である。
図11】本発明の実施例のアンテナ取付装置におけるアンテナ本体の構成を示す背面側の斜視図である。
図12】本発明の実施例のアンテナ取付装置におけるアンテナ本体の取付部の構成を示す背面側の斜視図である。
図13】本発明の実施例のアンテナ取付装置におけるアンテナ本体の取付部の構成を示す後ケースの断面図である。
図14】本発明の実施例のアンテナ取付装置におけるアンテナ本体の取付部の一部の構成を拡大して示す断面図である。
図15】本発明の実施例のアンテナ取付装置における取付金具の構成を示す背面図、正面図、下面図である。
図16】本発明の実施例のアンテナ取付装置における取付金具の構成を示す右側面図、上面図である。
図17】本発明の実施例のアンテナ取付装置における取付金具の構成を拡大して示す断面図である。
図18】本発明の実施例のアンテナ取付装置における取付金具において、ボルトを組み付ける様子を示す正面側の斜視図である。
図19】本発明の実施例のアンテナ取付装置における取付金具を壁部に固着する構成を示す正面側の斜視図である。
図20】本発明の実施例のアンテナ取付装置において、壁部に固着した取付金具にアンテナ本体を組み付ける第1工程を示す背面側の斜視図である。
図21】本発明の実施例のアンテナ取付装置において、壁部に固着した取付金具にアンテナ本体を組み付ける第1工程を示す正面側の斜視図である。
図22】本発明の実施例のアンテナ取付装置において、壁部に固着した取付金具にアンテナ本体を組み付ける第1工程を示す下面図、一部拡大図である。
図23】本発明の実施例のアンテナ取付装置において、壁部に固着した取付金具にアンテナ本体を組み付ける第2工程を示す背面側の斜視図である。
図24】本発明の実施例のアンテナ取付装置において、壁部に固着した取付金具にアンテナ本体を組み付ける第2工程を示す正面側の斜視図である。
図25】本発明の実施例のアンテナ取付装置において、壁部に固着した取付金具にアンテナ本体を組み付ける第2工程を示す下面図、一部拡大図である。
図26】本発明の実施例のアンテナ取付装置におけるアンテナ本体の取付部の挿入溝の変形例の構成を拡大して示す断面図である。
図27】本発明の実施例のアンテナ取付装置における取付金具をマストに固着した構成を示す背面側の斜視図である。
図28】本発明の実施例のアンテナ取付装置における取付金具をマストに固着した構成を示す正面図、下面図である。
図29】本発明の実施例のアンテナ取付装置において、取付金具をアンテナ本体に組み付ける第1工程を示す背面側の斜視図である。
図30】本発明の実施例のアンテナ取付装置において、取付金具をアンテナ本体に組み付ける第2工程を示す背面側の斜視図である。
図31】本発明の実施例のアンテナ取付装置において、取付金具をアンテナ本体に組み付ける第3工程を示す背面側の斜視図である。
図32】本発明の実施例のアンテナ取付装置において、アンテナ本体に組み付けた取付金具をマストに固着する第4工程を示す背面側の斜視図である。
図33】従来のアンテナ取付装置において第2取付金具を第1取付金具を組み付ける過程を示す背面側の斜視図、上面図である。
図34】従来のアンテナ取付装置において第2取付金具を第1取付金具を組み付け構成を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<本発明の実施例のアンテナ取付装置の概要>
本発明の実施例にかかるアンテナ取付装置1の構成を図1ないし図6に示す。図1は本発明にかかるアンテナ取付装置1の構成を示す背面側の斜視図であり、図2は本発明にかかるアンテナ取付装置1の構成を示す正面側の斜視図であり、図3は本発明にかかるアンテナ本体10の向きを調整した構成を示す背面側の斜視図であり、図4は本発明にかかるアンテナ本体10の向きを調整した構成を示す正面側の斜視図であり、図5(a)は本発明にかかるアンテナ本体10の向きを調整する様子の構成を示す下面図、図5(b)は調整する部位の構成を示す拡大図、図5(c)は調整する部位の構成を示す他の拡大図であり、図6(a)は本発明にかかるアンテナ本体10の向きを調整する他の様子の構成を示す下面図、図6(b)は調整する部位の構成を示す拡大図、図6(c)は調整する部位の構成を示す他の拡大図である。
【0013】
これらの図を参照しながら、本発明の実施例のアンテナ取付装置1の概要を説明する。
図1ないし図6においては、本発明にかかるアンテナ取付装置1が壁部30にアンテナ本体10を取り付けるようにしているが、これは一例であり本発明にかかるアンテナ取付装置1では、後述するマスト40にアンテナ本体10を取り付けることができる。
本発明にかかるアンテナ取付装置1は、図1ないし図6に示すように、アンテナ本体10の背面から突出するよう一体的に形成されている取付部12と、取付部12に組み付けられるとともに、アンテナ本体10の被取付体とされる例えば壁部30に固着されてアンテナ本体10を支持する取付金具20とから構成されている。アンテナ本体10の構成については後述するが、アンテナ本体10は、前ケース11aと後ケース11bとからなるアンテナケース11を備えている。アンテナケース11は、縦方向および横方向の長さに比べて厚さが数分の1以上薄くされた直方体状とされており、内部に地上デジタルテレビ放送を受信可能な地デジアンテナが収納されている。後ケース11bの背面の下部から突出するよう取付部12が一体的に形成され、中央部から突出するよう給電部11cが一体的に形成されている。給電部11cには地デジアンテナが受信した受信信号を出力する同軸端子が備えられている。
【0014】
取付金具20は、図示する場合は壁部30に固着されており、壁部30に固着された取付金具20にアンテナ本体10は組み付けられている。この場合、ボルト24を緩めることでアンテナ本体10の向きを調整することができる。例えば、図3,4に示すように壁部30に対して左方向に大きくアンテナ本体10を傾けるようアンテナ本体10の向きを最適方向へ調整することができる。方向調整を行ったらボルト24を締着することでアンテナ本体10を取付金具20に取付方向を固定できるよう確実に固着することができる。図5(a)にアンテナ本体10の向きを調整する様子が示されており、図5(a)に示すように取付金具20のボルト24を回転軸としてアンテナ本体10を壁部30に固着された取付金具20に対して破線で示すように回転することができる。
【0015】
取付部12には向かって左側に第1挿入溝13aが形成され、向かって右側に第2挿入溝13bが形成されており、第1挿入溝13aに連通して断面円形の第1ボス収納孔13cが形成され、第2挿入溝13bに連通して断面円形の第2ボス収納孔13dが形成されている。第1挿入溝13a,第2挿入溝13bと第1ボス収納孔13c,第2ボス収納孔13dの詳細は後述するが、第1挿入溝13a,第2挿入溝13bは取付金具20が備える後述する第1ボス22cおよび第2ボス23cが挿通可能とされ、第1挿入溝13aあるいは第2挿入溝13bを通過した第1ボス22cおよび第2ボス23cは第1ボス収納孔13cあるいは第2ボス収納孔13dにそれぞれ位置して、第1ボス収納孔13cあるいは第2ボス収納孔13dに対して第1ボス22cおよび第2ボス23cは回転可能とされる。
図5(a)には、取付部12の第1挿入溝13aから挿入した取付金具20の第2ボス23cを第1ボス収納孔13cに組み付けた図が示されており、組み付けた部分を拡大して図5(b)に示している。また、図5(a)に破線で示すようにアンテナ本体10を壁部30に固着された取付金具20に対して左方向に大きく回転させた状態における組み付けた部分を拡大して図5(c)に示している。このように、取付部12の第1挿入溝13aから挿入した取付金具20の第2ボス23cを第1ボス収納孔13cに組み付けた場合は、図5(a)(b)(c)に示すように、取付金具20のボルト24を回転軸としてアンテナ本体10を壁部30に固着された取付金具20に対して実線ないし破線で示す角度まで回転することができ、これにより、アンテナ本体10が最適方向へ向くよう方向調整を行える。方向調整を行える角度範囲は、アンテナ本体10が壁部30に当接するまでの壁部30に対して左方向に大きい所定角度範囲とされる。
なお、取付部12の第1挿入溝13aから挿入した取付金具20の第2ボス23cを第1ボス収納孔13cに組み付けた場合は、図示しないが取付金具20の第1ボス22cも取付部12の第1挿入溝13aから挿入されて、第1ボス22cは第1ボス収納孔13cに組み付けられる。
【0016】
また、図6(a)に示す場合は、取付部12の第2挿入溝13bから挿入した取付金具20の第2ボス23cを第2ボス収納孔13dに組み付けた場合であり、組み付けた部分を拡大して図6(b)に示している。また、図6(a)に破線で示すようにアンテナ本体10を壁部30に固着された取付金具20に対して右方向に大きく回転させた状態における組み付けた部分を拡大して図6(c)に示している。このように、取付部12の第2挿入溝13bから挿入した取付金具20の第2ボス23cを第2ボス収納孔13dに組み付けた場合は、図6(a)(b)(c)に示すように、取付金具20のボルト24を回転軸としてアンテナ本体10を壁部30に固着された取付金具20に対して実線ないし破線で示す角度まで回転することができ、これにより、アンテナ本体10が最適方向へ向くよう方向調整を行える。方向調整を行える角度範囲は、アンテナ本体10が壁部30に当接するまでの壁部30に対して右方向に大きい所定角度範囲とされる。
なお、取付部12の第2挿入溝13bから挿入した取付金具20の第2ボス23cを第2ボス収納孔13dに組み付けた場合は、図示しないが取付金具20の第1ボス22cも取付部12の第2挿入溝13bから挿入されて、第1ボス22cは第2ボス収納孔13dに組み付けられる。
【0017】
ここで、第2ボス23cの詳細は後述するが、第2ボス23cは所定の径の円筒状とされ、長軸方向に平端とされた第2幅狭部23dが形成されている。当然のことながら、第2幅狭部23dの幅は所定の径より狭くなっている。第1挿入溝13a,第2挿入溝13bは外側に拡がるテーパ状に形成され、最も狭い部分の幅は、第2ボス23cの第2幅狭部23dは通過できるが、第2幅狭部23dの幅を超える第2ボス23cは通過することができない幅とされている。なお、図示しないが第1ボス22cの構成も第2ボス23cと同様とされ、第1ボス22cは所定の径の円筒状とされ、長軸方向に平端とされた第1幅狭部22dが形成されている。
これにより、図5(b)(c)および図6(b)(c)に示すように、第1ボス収納孔13cあるいは第2ボス収納孔13dに組み付けられた第2ボス23cは第1挿入溝13aあるいは第2挿入溝13bに抜け出ることが防止されることから、本発明にかかるアンテナ取付装置1は作業者の不用意によってアンテナ本体10が落下しないアンテナ取付装置とすることができる。なお、第2ボス23cが第1ボス収納孔13cあるいは第2ボス収納孔13dに組み付けられた場合は、図示しないが第1ボス22cも第1ボス収納孔13cあるいは第2ボス収納孔13dに組み付けられ、第1ボス22cは第1挿入溝13aあるいは第2挿入溝13bに抜け出ることが防止される。
この場合、本発明にかかるアンテナ取付装置1においては、取付部12に第1挿入溝13a,第2挿入溝13bおよび第1ボス収納孔13c,第2ボス収納孔13dを形成すると共に、取付金具20に第1ボス22cおよび第2ボス23cを設けるだけでよいことから、本発明にかかるアンテナ取付装置1の構成を簡易な構成とすることができる。
【0018】
<アンテナ本体の構成>
次に、アンテナ本体10の構成を図7ないし図14を参照して説明する。図7はアンテナ本体10の構成を示す正面図であり、図8はアンテナ本体10の構成を示す背面図であり、図9(a)はアンテナ本体10の構成を示す上面図、図9(b)はその右側面図、図9(c)はその下面図であり、図10はアンテナ本体10の構成を示す正面側の斜視図であり、図11はアンテナ本体10の構成を示す背面側の斜視図であり、図12図11に示すアンテナ本体10の構成を示す背面側の斜視図の破線で示す一部の拡大図であり、図13はアンテナ本体10の構成を示す後ケース11bのa-a線断面図であり、図14はアンテナ本体10の取付部12の構成を拡大して示すb-b線断面図である。
【0019】
図7ないし図11に示すように、アンテナ本体10は前ケース11aと後ケース11bとからなる合成樹脂製のアンテナケース11を備えている。前ケース11aと後ケース11bとからなるアンテナケース11は、縦方向および横方向の長さに比べて厚さが数分の1以上薄くされた直方体状とされている。前ケース11aは、長軸方向の中心線に対して左右対称の形状とされており、背面側が開口面とされた箱状に形成されている。また、後ケース11bも長軸方向の中心線に対して左右対称の形状とされており、前面側が開口面とされた箱状に形成されている。前ケース11aの開口面と後ケース11bの開口面とを対面させて、両開口面を閉塞するよう前ケース11aと後ケース11bとが嵌合されており、内部は収納空間とされている。アンテナケース11の収納空間には、例えば地上デジタルテレビ放送を受信可能な地デジアンテナが収納されており、ブースターを収納空間に収納することもできる。
後ケース11bの背面の中央部には、収納空間に収納された地デジアンテナで受信された受信信号を出力する同軸端子を備える給電部11cが突出するよう一体的に形成されている。また、後ケース11bの背面の下部には、本発明にかかるアンテナ取付装置1を構成する取付部12が突出するよう一体的に形成されている。
【0020】
取付部12について説明すると、取付部12は縦方向に若干長い直方体状とされ、長軸方向の中心線に対して左右対称の形状とされている。取付部12の向かって左側の上下にそれぞれ第1挿入溝13aが形成されており、一対の第1挿入溝13aの間に第1切欠部14aが形成されている。また、向かって右側の上下にそれぞれ第2挿入溝13bが形成されており、一対の第2挿入溝13bの間に第2切欠部14bが形成されている。さらに、第1挿入溝13aと第2挿入溝13bとのほぼ中間の上下にそれぞれU字状溝15が形成されており、一対のU字状溝15の間に長溝15bが形成されている。U字状溝15と長溝15bとは図9(c)に示すように円形の貫通孔15aで連通されている。
第1挿入溝13aは、外側に拡がるテーパ状に形成されている。すなわち、奥に行くにつれて幅が狭くなるよう形成されており、第1挿入溝13aに連通して第1ボス収納孔13cが形成されている。第1ボス収納孔13cは、断面円形に形成されている。取付部12の左側の上下にそれぞれ形成された一対の第1挿入溝13aおよび第1ボス収納孔13cの間の取付部12の部位が切り欠かれて第1切欠部14aが形成されている。また、第2挿入溝13bは第1挿入溝13aと対称の形状とされて、外側に拡がるテーパ状に形成されている。すなわち、奥に行くにつれて幅が狭くなるよう形成されており、第2挿入溝13bに連通して第1ボス収納孔13cと対称の形状とされた第2ボス収納孔13dが形成されている。第2ボス収納孔13dは、断面円形に形成されている。取付部12の右側の上下にそれぞれ形成された一対の第2挿入溝13bおよび第2ボス収納孔13dの間の取付部12の部位が切り欠かれて第2切欠部14bが形成されている。
これらの構成が図13にa-a線断面図として示されている。また、第2切欠部14bには、図14のb-b線断面図に示すようにボルト24が挿通される半円状のボルト収納孔14dが形成されている。図示しないが、第1切欠部14aにも、ボルト24が挿通される半円状のボルト収納孔14dと同様のボルト収納孔14cが形成されている。
【0021】
<取付金具の構成>
次に、取付金具20の構成を図15ないし図19を参照して説明する。図15(a)は取付金具20の構成を示す背面図であり、図15(b)はその正面図、図15(c)はその下面図であり、図16(a)は取付金具20の構成を示す右側面図、図16(b)はその上面図であり、図17は取付金具20の構成を拡大して示すc-c線断面図であり、図18(a)は取付金具20の構成を示す前面側の斜視図、図18(b)は前面側の他の斜視図であり、図19は取付金具20を壁部30に固着する構成を示す正面側の斜視図である。
【0022】
これらの図に示す取付金具20は、金属板を加工して作成されており、縦に長い矩形状のベース21と、ベース21の上側を前面側へ折り曲げた三角形状の第1折曲部22aと、ベース21の下側を前面側へ第1折曲部22aと対面するよう折り曲げた三角形状の第2折曲部23aとを備えている。
第1折曲部22aの両辺は細い幅で上方へ折り曲げられた第1起立部22bが形成されて、第1折曲部22aの機械的強度が強固にされている。また、第1折曲部22aの幅が狭くなっている先端側の内側に第1ボス22cが直立するよう固着されている。第1ボス22cは円筒状とされて、その内周面にはボルト24が螺合可能なネジが形成されている。この第1ボス22cの外周面の両側は、図18(a)(b)に示すように長軸方向に削られて平坦面とされた第1幅狭部22dが形成されている。1幅狭部22dの幅は、円筒状の第1ボス22cの径よりかなり狭くされている。
また、第2折曲部23aの両辺は細い幅で下方へ折り曲げられた第2起立部23bが形成されて、第2折曲部23aの機械的強度が強固にされている。また、第2折曲部23aの幅が狭くなっている先端側の内側に第2ボス23cが直立するよう固着されている。第2ボス23cは円筒状とされて、その内周面はボルト24が挿通可能な挿通孔とされている。この第2ボス23cの外周面の両側が長軸方向に削られて平坦面とされた第2幅狭部23dが形成されている。第2幅狭部23dの幅は、円筒状の第2ボス23cの径よりかなり狭くされている。
【0023】
上記したように、第1折曲部22aと第2折曲部23aとは対称の形状とされている。また、第1ボス22cと第2ボス23cとの径は同じとされ、外周の形状も同じとされている。また、取付金具20には、図18(a)(b)に示すようにボルト24が締着されている。この場合、図18(b)に示すようにボルト24を第2折曲部23aの下側から第2ボス23cに挿通して、ボルト24の先端を第1折曲部22aの第1ボス22cの下端から第1ボス22cに螺合させて、ボルト24を取付金具20に締着させる。このように、ボルト24は取付金具20の前側に位置するようになり、ボルト24の上端部に第1ボス22cが配置され、下端部に第2ボス23cが配置されるようになる。
なお、第1ボス22cに形成されている第1幅狭部22dと第2ボス23cに形成されている第2幅狭部23dとの幅は同じとされてり、この幅は上記した取付部12の両側に形成されている第1挿入溝13a,第2挿入溝13bの最も狭い幅の部分を通過できる幅とされている。この場合、第1ボス22cと第2ボス23cとの径では第1挿入溝13a,第2挿入溝13bの最も狭い幅の部分を通過することができない。
【0024】
取付金具20の矩形状とされたベース21には、両側に細い幅で前方へ折り曲げられた起立部21eがそれぞれ形成されて、ベース21の機械的強度が強固にされている。また、図15(a)(b)に示すようにベース21の上部の両側にそれぞれネジ挿通孔21bが形成されている。一対のネジ挿通孔21bは、ネジの頭部を挿入可能な大きい円形の孔と、この孔に連通するネジが挿通可能な円形の孔とから構成されている。さらに、ベース21の中央部の両側にそれぞれネジ孔21cが形成されている。一対のネジ孔21cには、取付金具20をマストに固着する際に固定用のボルトが螺合されて取付金具20がマストに取り付けられるようになる。さらに、ベース21の下部の両側にそれぞれネジ挿通孔21dが形成されている。一対のネジ挿通孔21dは、ネジが挿通可能な円形の孔から構成されている。
取付金具20が壁部30に固着される構成が図19に示されている。この図に示すように、取付金具20のベース21の背面を壁部30の面に当接し上部の一対のネジ挿通孔21dのそれぞれにネジ31aをそれぞれねじ込むと共に、下部のネジ挿通孔21dのそれぞれにネジ31bをそれぞれねじ込む。これにより、取付金具20が壁部30に固着されるようになる。
【0025】
<本発明の実施例のアンテナ取付装置の取付工程>
本発明の実施例のアンテナ取付装置1により壁部30にアンテナ本体10を取り付ける場合の取付工程を図20ないし図25に示す。図20は壁部30に固着した取付金具20にアンテナ本体10を組み付ける第1工程を示す背面側の斜視図であり、 図21は壁部30に固着した取付金具20にアンテナ本体10を組み付ける第1工程を示す前面側の斜視図であり、図22(a)は壁部30に固着した取付金具20にアンテナ本体10を組み付ける第1工程を示す下面図、図22(b)はその一部拡大図であり、図23は壁部30に固着した取付金具20にアンテナ本体10を組み付ける第2工程を示す背面側の斜視図であり、図24は壁部30に固着した取付金具20にアンテナ本体10を組み付ける第2工程を示す前面側の斜視図であり、図25(a)は壁部30に固着した取付金具20にアンテナ本体10を組み付ける第2工程を示す下面図、図25(b)はその一部拡大図である。ただし、図20図21図23図24においては壁部30が省略されて示されている。
【0026】
壁部30にアンテナ本体10を取り付ける場合は、第2ボス23cに挿通され第1ボス22cに螺合しているボルト24を取付金具20に対して若干緩めて、図19に示すように壁部30に取付金具20を固着しておく。図20ないし図25には、アンテナ本体10の取付部12の向かって左側に形成された第1挿入溝13aを取付金具20に組み付ける工程が示されている。図20ないし図22に示す第1工程を説明する。第1工程では、壁部30に固着された取付金具20における上下の第1折曲部22aと第2折曲部23aとの間に取付部12が挿入されると共に、第1折曲部22a,第2折曲部23aにそれぞれ立設された第1ボス22c,第2ボス23cが取付部12の上下に形成された一対の第1挿入溝13aにそれぞれ挿入されるように位置合わせする。この場合、アンテナ本体10を把持して、アンテナ本体10を移動させて位置合わせを行う。次いで、図22(a)(b)に示すように、一対の第1挿入溝13aを位置合わせされた取付金具20の第1ボス22cおよび第2ボス23cに近づけるようアンテナ本体10を把持したまま移動させていく。
【0027】
次に、図23ないし図25に示す第2工程を説明する。第2工程では、把持したアンテナ本体10をさらに移動させて、位置合わせされた取付金具20の第1ボス22cおよび第2ボス23cが一対の第1挿入溝13aの内部にそれぞれ挿入される。この場合、図22(b)に示すように第1ボス22c,第2ボス23cの第1幅狭部22d,第2幅狭部23dが一対の第1挿入溝13aの奥の最も幅が狭い部分を通過できるよう把持したアンテナ本体10の角度を調整する。例えば、この時のアンテナ本体10の壁部30の面に対する角度を約15°とすることができ、第1挿入溝13aの奥の最も狭い幅を約10.3mmと、第1ボス22c,第2ボス23cの径φを約14mmと、第1ボス22c,第2ボス23cの第1幅狭部22d,第2幅狭部23dの幅を約10mmとすることができる。第2工程において、把持したアンテナ本体10をさらに移動させていくと、第1ボス22c,第2ボス23cの第1幅狭部22d,第2幅狭部23dが一対の第1挿入溝13aの奥の最も幅が狭い部分をそれぞれ通過して、一対の第1挿入溝13aにそれぞれ連通されている一対の第1ボス収納孔13cにそれぞれ収納されるようになる。この状態が図25(b)に示されている。第2工程が終了した状態では、第1ボス22c,第2ボス23cに挿通されて取付金具20に固着されたボルト24が第1切欠部14aに位置され、第1切欠部14aに形成されているボルト収納孔14cに位置するようになる。
【0028】
また、第2工程が終了した状態では、一対の第1ボス収納孔13cに収納された第1ボス22cおよび第2ボス23cを回転軸として把持したアンテナ本体10を所定角度範囲で回転できるようになる。把持したアンテナ本体10を回転した状態が前記した図5(a)(b)(c)に示されている。図5(a)では、取付金具20が固着されている壁部30の面にほぼ平行になるようアンテナ本体10を回転した状態が実線で示されており、この回転状態における第1ボス22c,第2ボス23cと挿通溝13aとの状態が図5(b)に示されている。図5(b)を参照すると、アンテナ本体10が回転されて一対の第1挿入溝13aが第1ボス22c,第2ボス23cに対して回転されたことで、第1ボス22c,第2ボス23cの第1幅狭部22d,第2幅狭部23dが一対の第1挿入溝13aの奥の最も幅が狭い部分を通過できない状態になったことが分かる。このように、一対の第1挿入溝13aから第1ボス22c,第2ボス23cが抜け出られないことから、本発明にかかるアンテナ取付装置1は作業者の不用意によってアンテナが落下しないアンテナ取付装置とされている。また、本発明にかかるアンテナ取付装置1は簡易な構成とされている。
【0029】
図5(a)において、破線で示す状態はアンテナ本体10が取付金具20に対して左側に大きく回転された状態を示している。この回転状態における第1ボス22c,第2ボス23cと挿通溝13aとの状態が図5(c)に示されている。図5(c)を参照すると、アンテナ本体10が左側に大きく回転されて一対の第1挿入溝13aが第1ボス22c,第2ボス23cに対して回転されたことで、第1ボス22c,第2ボス23cの第1幅狭部22d,第2幅狭部23dが一対の第1挿入溝13aの奥の最も幅が狭い部分を通過できない状態になっていることが分かる。このように、一対の第1挿入溝13aから第1ボス22c,第2ボス23cが抜け出られないことから、本発明にかかるアンテナ取付装置1は作業者の不用意によってアンテナが落下しないアンテナ取付装置とされている。また、本発明にかかるアンテナ取付装置1は簡易な構成とされている。
なお、アンテナ本体10は、アンテナ本体10の背面が取付金具20あるいは壁部30に当接するまでの所定角度範囲で回転することができる。すなわち、第1挿入溝13aを利用してアンテナ本体10を取付金具20に組み付けた場合は、アンテナ本体10を図5(a)の実線で示すアンテナ本体10の組み付け状態から破線で示すアンテナ本体10の組み付け状態までの所定角度範囲で、アンテナ本体10が最適方向へ向くよう方向調整を行うことができる。方向調整を行った後は、ボルト24を締着することで、アンテナ本体10を取付金具20に取付方向を固定できるよう確実に組み付けられるようになる。
【0030】
一対の第1挿入溝13aを利用してアンテナ本体10を取付金具20に組み付ける場合に替えて、取付部12の右側に形成されている一対の第2挿入溝13bを利用してアンテナ本体10を取付金具20に組み付けることもできる。この場合は、一対の第1挿入溝13aを一対の第2挿入溝13bに置き換えて上記説明した第1工程および第2工程を行えばよい。一対の第2挿入溝13bを利用してアンテナ本体10を取付金具20に組み付ける場合において、第2工程が終了した状態においては、一対の第2ボス収納孔13dに収納された第1ボス22cおよび第2ボス23cを回転軸として把持したアンテナ本体10を所定角度範囲で回転できるようになる。把持したアンテナ本体10を回転した状態が前記した図6(a)(b)(c)に示されている。図6(a)では、取付金具20が固着されている壁部30の面にほぼ平行になるようアンテナ本体10を回転した状態が実線で示されており、この回転状態における第1ボス22c,第2ボス23cと第2挿入溝13bとの状態が図6(b)に示されている。図6(b)を参照すると、アンテナ本体10が回転されて一対の第2挿入溝13bが第1ボス22c,第2ボス23cに対して回転されたことで、第1ボス22c,第2ボス23cの第1幅狭部22d,第2幅狭部23dが一対の第2挿入溝13bの奥の最も幅が狭い部分を通過できない状態になったことが分かる。
【0031】
図6(a)において、破線で示す状態はアンテナ本体10が取付金具20に対して右側に大きく回転された状態を示している。この回転状態における第1ボス22c,第2ボス23cと挿通溝13aとの状態が図6(c)に示されている。図6(c)を参照すると、アンテナ本体10が右側に大きく回転されて一対の第2挿入溝13bが第1ボス22c,第2ボス23cに対して回転されたことで、第1ボス22c,第2ボス23cの第1幅狭部22d,第2幅狭部23dが一対の第2挿入溝13bの奥の最も幅が狭い部分を通過できない状態になっていることが分かる。このように、一対の第1挿入溝13aから第1ボス22c,第2ボス23cが抜け出られないことから、本発明にかかるアンテナ取付装置1は作業者の不用意によってアンテナが落下しないアンテナ取付装置とされている。また、本発明にかかるアンテナ取付装置1は簡易な構成とされている。
なお、第2挿入溝13bを利用してアンテナ本体10を取付金具20に組み付けた場合は、アンテナ本体10を図6(a)の実線で示すアンテナ本体10の組み付け状態から破線で示すアンテナ本体10の組み付け状態までの所定角度範囲で、アンテナ本体10の方向調整を行うことができる。方向調整を行った後は、ボルト24を締着することで、アンテナ本体10を取付金具20に取付方向を固定できるよう確実に組み付けられるようになる。
【0032】
<挿入溝の変形例>
本発明の実施例のアンテナ取付装置1における第1挿入溝13aおよび第2挿入溝13bの変形例の構成を図26に示す。図26は本発明にかかるアンテナ取付装置1におけるアンテナ本体10の取付部12に形成されている第2挿入溝13b’の変形例の構成を拡大して示す断面図である。
図26においては変形例の第2挿入溝13b’の構成が示されているが、第1挿入溝13aも同様に変形されており、その構成は第2挿入溝13b’と同様とされている。図26に示す変形例の第2挿入溝13b’は、図14に示す第2挿入溝13bと対比すると分かるように、外側に拡がるテーパ状に替えて開放端に半円状の断面形状の爪部13eが形成された構成とされている。すなわち、第2挿入溝13b’の入口の一側に延伸された爪部13eが形成されており、爪部13eは、第2挿入溝13b’の入口である開口面を覆う半円状の断面形状に形成されている。爪部13eを備えた第2挿入溝13b’では、第2ボス23cが第2ボス収納孔13dから第2挿入溝13b’へ抜け出た場合であっても、抜け出た第2ボス23cは図26に示すように半円状の爪部13eに当接するようになる。これにより、第2挿入溝13b’から第2ボス23c’が脱落することを防止することができるようになる。変形された第1挿入溝13a’においても同様の機能を奏するようになる。
【0033】
<アンテナ本体をマストに取り付ける本発明の実施例のアンテナ取付装置>
上記の説明においては、本発明の実施例のアンテナ取付装置1によりアンテナ本体10を壁部30に取り付けるようにしていた。本発明の実施例のアンテナ取付装置1によりアンテナ本体10をマスト40に取り付けることができ、この場合の本発明の実施例にかかるアンテナ取付装置1の構成を図27ないし図32に示す。図27はアンテナ本体10をマスト40に取り付ける本発明にかかるアンテナ取付装置1の構成を示す背面側の斜視図であり、図28(a)はアンテナ本体10をマスト40に取り付ける本発明にかかるアンテナ取付装置1の構成を示す正面図、図28(b)はその下面図であり、図29はアンテナ本体10をマスト40に取り付ける本発明にかかるアンテナ取付装置1において取付金具20をアンテナ本体10に組み付ける第1工程を示す背面側の斜視図であり、図30はアンテナ本体10をマスト40に取り付ける本発明にかかるアンテナ取付装置1において取付金具20をアンテナ本体10に組み付ける第2工程を示す背面側の斜視図であり、図31はアンテナ本体10をマスト40に取り付ける本発明にかかるアンテナ取付装置1において取付金具20をアンテナ本体10に組み付ける第3工程を示す背面側の斜視図であり、図32はアンテナ本体10をマスト40に取り付ける本発明にかかるアンテナ取付装置1においてアンテナ本体10に組み付けた取付金具20をマスト40に固着する第4工程を示す背面側の斜視図ある。
【0034】
図27ないし図28(a)(b)に示すように、本発明の実施例のアンテナ取付装置1によりアンテナ本体10をマスト40に取り付ける場合は、最初に取付金具20をアンテナ本体10に組み付けておき、この状態の取付金具20をマスト40に取り付けるようにする。この場合、アンテナ本体10に形成された取付部12の一対のU字状溝15に組み付けられている取付金具20が、2本の取付用のボルト42とマスト取付金具41によりマスト40に固着される。マスト取付金具41は、金属板を加工して作成されておりコの字状の断面形状とされていると共に、中央部がくの字状に折曲された折曲部が形成されている。この折曲部のコの字状の上下の先端に前方へ尖っている鋸歯状部が形成されている。マスト取付金具41がマスト40に当接されて、マスト取付金具41の両側に形成されたボルト挿通孔にそれぞれボルト42が挿通され、ボルト42を取付金具20のベース21の中央部に形成された一対のネジ孔21cにそれぞれ締着した際に、マスト取付金具41の鋸歯状部がマスト40の外周面に喰い込んで、取付金具20を確実にマスト40に固着することができるようになる。
【0035】
ここで、取付金具20をアンテナ本体10に組み付ける第1工程ないし第3工程を図29ないし図31を参照して説明する。本発明の実施例のアンテナ取付装置1によりアンテナ本体10をマスト40に取り付ける場合は、第1工程ないし第3工程により取付金具20がアンテナ本体10に形成された取付部12の一対のU字状溝15に組み付けられる。第1工程では、図29に示すようにボルト24を第1ボス22cから抜いた状態として、取付金具20における上下の第1折曲部22aと第2折曲部23aとの間に取付部12が挿入されると共に、取付部12の上下に形成された一対のU字状溝15に第1折曲部22aおよび第2折曲部23aにそれぞれ立設された第1ボス22cおよび第2ボス23cがそれぞれ挿入されるように位置合わせする。この場合、取付金具20を把持して移動させることにより位置合わせを行う。次いで第2工程を行う。第2工程では、図30に示すように、取付金具20を把持したまま移動させて一対のU字状溝15に取付金具20の第1ボス22cおよび第2ボス23cを挿入する。次いで、第3工程を行う。第3工程では、図31に示すように第2ボス23cに挿通されたボルト24を取付部12の下側に形成されているU字状溝15の貫通孔15aを貫通させて長溝15bに挿入していき、さらに取付部12の上側に形成されているU字状溝15の貫通孔15aを貫通させて第1ボス22cに螺合する。以上説明した第1工程ないし第3工程により取付金具20をアンテナ10の取付部12に組み付けることができる。
【0036】
次に、アンテナ本体10に組み付けられた取付金具20をマスト40に取り付ける第4工程を図32を参照して説明する。第4工程では、図32に示すようにアンテナ本体10に組み付けられた取付金具20のベース21の背面とマスト取付金具41との間にマスト40を配置させる。そして、マスト取付金具41を取付金具20に形成されている一対のネジ孔21cに位置合わせすると共に、ベース21の背面に形成された凹部21aにマスト40を位置合わせして、マスト取付金具41のボルト挿通孔に挿通された2本のボルト42を、それぞれ取付金具20の一対のネジ孔21cに螺合する。これにより、マスト40はベース21の凹部21aとマスト取付金具41の折曲部との間に挟持されるようになる。次いで、アンテナ本体10を把持してマスト40を回転軸として最適の方向にアンテナ本体10を向ける粗調整を行い、2本のボルト42を締着してマスト40に取付金具20を固着する。この状態において、アンテナ本体10を把持してボルト24を回転軸としてアンテナ10が最適方向へ向くよう微調整を行いボルト24を締着してアンテナ本体10の方向調整を終了する。
以上説明したようにして、本発明の実施例のアンテナ取付装置1によりアンテナ本体10を取付金具20に取付方向を最適化して固定できるように取り付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上説明した本発明のアンテナ取付装置で取り付けられるアンテナ本体は、縦方向および横方向の長さに比べて厚さが数分の1以上薄くされているとしたが、これに限ることはなく本発明のアンテナ取付装置を構成する取付部を形成することができれば、当該アンテナ本体を取り付けることができる。また、アンテナ本体の内部に収納されるアンテナは地デジアンテナに限ることはなく、他の放送や通信のアンテナとすることができる。
以上説明した本発明のアンテナ取付装置によりアンテナ本体を壁部に固着された取付金具に取り付けると、取付部には左右に挿入溝が形成されていることから、挿入溝を択一的に選ぶことで広い角度範囲でアンテナ本体の角度調整を行うことができるようになる。
以上説明した本発明のアンテナ取付装置は、取付部が一体に形成されているアンテナ本体と取付金具との2つで構成することができることから、アンテナ取付装置の構成を簡易な構成とすることができる。
以上説明した本発明のアンテナ取付装置における取付金具の2つの折曲部にそれぞれ備えられるボスは、折曲部に装着用の孔を設けて該孔にボスを圧入したり溶接したりすることにより一体になるよう固着することができる。あるいは、折曲部に深絞り加工等を施して折曲部にボスを一体に形成する構造としてもよい。また、以上説明した本発明のアンテナ取付装置では、2つのボスにおいて、一方のボスの内周面にはネジが形成され、他方のボスの内周面には挿通孔が形成されて、他方のボスに挿通したボルトを一方のボスに螺合するようにしていたが、これに限ることはなく、2つのボスの内周面を挿通孔として他方のボスから挿通したボルトを一方のボスに挿通して用意したナットをボルトに螺合するようにして取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 アンテナ取付装置、10 アンテナ本体、11 アンテナケース、11a 前ケース、11b 後ケース、11c 給電部、12 取付部、13a 第1挿入溝、13b 第2挿入溝、13c 第1ボス収納孔、13d 第2ボス収納孔、13e 爪部、14a 第1切欠部、14b 第2切欠部、14c 第1ボルト収納孔、14d 第2ボルト収納孔、15 U字状溝、15a 貫通孔、15b 長溝、20 取付金具、21 ベース、21b ネジ挿通孔、21c ネジ孔、21d ネジ挿通孔、21e 起立部、22a 第1折曲部、22b 第1起立部、22c 第1ボス、22d 第1幅狭部、23a 第2折曲部、23b 第2起立部、23c 第2ボス、23d 第2幅狭部、24 ボルト、30 壁部、31a ネジ、31b ネジ、40 マスト、41 マスト取付金具、42 ボルト、100 アンテナ取付装置、110 アンテナ本体、111a 前ケース、111b 後ケース、120 第1取付金具、121 取付面板、122 第1取付足、123 第2取付足、124 軸ボルト、125 ナット、130 第2取付金具、131 上板、131d 連通溝、133 右側板、133a 折曲部、133b 切欠部、151 固定ネジ
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