(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154688
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】通信装置、通信装置の管理方法、及び管理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 61/5014 20220101AFI20241024BHJP
H04L 61/5092 20220101ALI20241024BHJP
【FI】
H04L61/5014
H04L61/5092
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068657
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱田 洋平
(57)【要約】
【課題】ZTPを実行した後に、通信装置と管理端末とのIPネットワークによる接続を維持する。
【解決手段】
通信装置は、対向装置と通信を行う通信装置であって、管理端末との接続に用いられる通信部と、ZTPが開始される前に、前記通信装置におけるIPアドレスに第1アドレスを設定する設定部と、ZTPが開始された場合に、DHCPサーバから前記通信部が受信したIPアドレスである第2アドレスを取得する取得部と、前記第1アドレスにおけるネットワーク部である第1ネットワーク部と、前記取得部によって取得された前記第2アドレスにおけるネットワーク部である第2ネットワーク部とが一致するか否かを判定する判定部と、を備え、前記判定部によって前記第1ネットワーク部と前記第2ネットワーク部とが一致すると判定された場合に、前記設定部は、前記通信装置に設定されるIPアドレスを、前記第1アドレスに維持する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向装置と通信を行う通信装置であって、
管理端末との接続に用いられる通信部と、
ゼロタッチプロビジョニングが開始される前に、前記通信装置におけるInternet Protocolアドレスを第1アドレスに設定する設定部と、
ゼロタッチプロビジョニングが開始された場合に、Dynamic Host Configuration Protocolサーバから前記通信部が受信したInternet Protocolアドレスである第2アドレスを取得する取得部と、
前記第1アドレスにおけるネットワーク部である第1ネットワーク部と、前記取得部によって取得された前記第2アドレスにおけるネットワーク部である第2ネットワーク部とが一致するか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記判定部によって前記第1ネットワーク部と前記第2ネットワーク部とが一致すると判定された場合に、前記設定部は、前記通信装置に設定されるInternet Protocolアドレスを、前記第1アドレスに維持する、
通信装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記判定部によって前記第1ネットワーク部と前記第2ネットワーク部とが一致しないと判定された場合に、前記通信装置に設定されるInternet Protocolアドレスを、前記第1アドレスから前記第2アドレスへ変更する、
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信装置は、前記判定部によって前記第1ネットワーク部と前記第2ネットワーク部とが一致しないと判定された場合に、前記通信装置に設定されるInternet Protocolアドレスが、前記第1アドレスから前記第2アドレスへ前記設定部によって変更される前に、前記通信部に、前記第2アドレスを通知するための通知情報を前記管理端末へ送信させる通知部をさらに備える、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記ゼロタッチプロビジョニングが開始される前に、前記第1アドレスのサブネットマスクである第1サブネットマスクを前記通信装置に設定し、
前記取得部は、前記Dynamic Host Configuration Protocolサーバから前記通信部が受信した前記第2アドレスのサブネットマスクである第2サブネットマスクを取得し、
前記判定部は、前記第1サブネットマスクと前記第2サブネットマスクとが一致しない場合に、前記第1ネットワーク部と前記第2ネットワーク部とが一致しないと判定する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
対向装置と通信を行う通信装置の管理方法であって、
ゼロタッチプロビジョニングが開始される前に、前記通信装置におけるInternet Protocolアドレスを第1アドレスに設定するステップと、
前記ゼロタッチプロビジョニングが開始された場合に、Dynamic Host Configuration Protocolサーバから、管理端末との接続に用いられる通信部によって受信されたInternet Protocolアドレスである第2アドレスを取得するステップと、
前記第1アドレスにおけるネットワーク部である第1ネットワーク部と、取得された前記第2アドレスにおけるネットワーク部である第2ネットワーク部とが一致するか否かを判定するステップと、
前記第1ネットワーク部と前記第2ネットワーク部とが一致すると判定された場合に、前記通信装置に設定されるInternet Protocolアドレスを、前記第1アドレスに維持するステップと、
を含む、
通信装置の管理方法。
【請求項6】
対向装置と通信を行う通信装置において用いられる管理プログラムであって、
コンピュータに、
ゼロタッチプロビジョニングが開始される前に、前記通信装置におけるInternet Protocolアドレスを第1アドレスに設定するステップと、
前記ゼロタッチプロビジョニングが開始された場合に、Dynamic Host Configuration Protocolサーバから、管理端末との接続に用いられる通信部によって受信されたInternet Protocolアドレスである第2アドレスを取得するステップと、
前記第1アドレスにおけるネットワーク部である第1ネットワーク部と、取得された前記第2アドレスにおけるネットワーク部である第2ネットワーク部とが一致するか否かを判定するステップと、
前記第1ネットワーク部と前記第2ネットワーク部とが一致すると判定された場合に、前記通信装置に設定されるInternet Protocolアドレスを、前記第1アドレスに維持するステップと、
を実行させるための、
管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信装置、通信装置の管理方法、及び管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信装置のネットワーク設定を自動化するための技術としてゼロタッチプロビジョニング(ZTP)が知られている(例えば、特許文献1)。ZTPが開始されると、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバから通信装置にIP(Internet Protocol)アドレス(「Internet」は登録商標)が払い出され、通信装置はIPネットワーク経由でFTP(File Transfer Protocol)サーバ等からファームウェア及び構成定義ファイルを取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信装置の保守管理を行うために、管理者は管理端末からTELNET又はSSH等の遠隔制御プロトコルによって通信装置に接続し、通信装置を遠隔操作する。遠隔制御プロトコルによって通信装置が管理端末に接続されている状態でZTPが実行されると、通信装置のIPアドレスがDHCPサーバから払い出された新しいIPアドレスに書き換えられる。このため、通信装置と管理端末とのIPネットワークによる接続が切断され、管理者が通信装置の動作状況を確認できなくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る通信装置は、対向装置と通信を行う通信装置であって、管理端末との接続に用いられる通信部と、ゼロタッチプロビジョニングが開始される前に、前記通信装置におけるInternet Protocolアドレスを第1アドレスに設定する設定部と、ゼロタッチプロビジョニングが開始された場合に、Dynamic Host Configuration Protocolサーバから前記通信部が受信したInternet Protocolアドレスである第2アドレスを取得する取得部と、前記第1アドレスにおけるネットワーク部である第1ネットワーク部と、前記取得部によって取得された前記第2アドレスにおけるネットワーク部である第2ネットワーク部とが一致するか否かを判定する判定部と、を備え、前記判定部によって前記第1ネットワーク部と前記第2ネットワーク部とが一致すると判定された場合に、前記設定部は、前記通信装置に設定されるInternet Protocolアドレスを、前記第1アドレスに維持する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、ZTPを実行した後に、通信装置と管理端末とのIPネットワークによる接続を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る管理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る通信装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る制御モジュールのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る通信装置の機能の一例を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、通信インタフェースに設定されているIPアドレスの一例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、DHCPサーバから払い出されたIPアドレスの一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、DHCPサーバから払い出されたIPアドレスの他の例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る通信装置の管理処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係る管理システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る管理システムの動作の他の例を示すシーケンス図である。
【
図11】
図11は、変形例に係る通信装置10の管理処理の一部を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本開示の実施形態の概要>
以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
【0009】
(1) 本実施形態に係る通信装置は、対向装置と通信を行う通信装置であって、管理端末との接続に用いられる通信部と、ゼロタッチプロビジョニングが開始される前に、前記通信装置におけるInternet Protocolアドレスを第1アドレスに設定する設定部と、ゼロタッチプロビジョニングが開始された場合に、Dynamic Host Configuration Protocolサーバから前記通信部が受信したInternet Protocolアドレスである第2アドレスを取得する取得部と、前記第1アドレスにおけるネットワーク部である第1ネットワーク部と、前記取得部によって取得された前記第2アドレスにおけるネットワーク部である第2ネットワーク部とが一致するか否かを判定する判定部と、を備え、前記判定部によって前記第1ネットワーク部と前記第2ネットワーク部とが一致すると判定された場合に、前記設定部は、前記通信装置に設定されるInternet Protocolアドレスを、前記第1アドレスに維持する。これにより、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部が一致する場合には、通信部におけるIPアドレスが変更されず、通信装置と管理端末とのIPネットワークによる接続が維持される。
【0010】
(2) 上記(1)において、前記設定部は、前記判定部によって前記第1ネットワーク部と前記第2ネットワーク部とが一致しないと判定された場合に、前記通信装置に設定されるInternet Protocolアドレスを、前記第1アドレスから前記第2アドレスへ変更してもよい。これにより、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部が一致しない場合には、正しいネットワークアドレス部を含む第2アドレスに通信部のIPアドレスの設定を変更することができる。
【0011】
(3) 上記(2)において、前記通信装置は、前記判定部によって前記第1ネットワーク部と前記第2ネットワーク部とが一致しないと判定された場合に、前記通信装置に設定されるInternet Protocolアドレスが、前記第1アドレスから前記第2アドレスへ前記設定部によって変更される前に、前記通信部に、前記第2アドレスを通知するための通知情報を前記管理端末へ送信させる通知部をさらに備えてもよい。これにより、管理者は第2アドレスを容易に確認することができ、通信装置と管理端末とのIPネットワークによる接続を再開させることができる。
【0012】
(4) 上記(1)から(3)のいずれか1つにおいて、前記設定部は、前記ゼロタッチプロビジョニングが開始される前に、前記第1アドレスのサブネットマスクである第1サブネットマスクを前記通信装置に設定し、前記取得部は、前記Dynamic Host Configuration Protocolサーバから前記通信部が受信した前記第2アドレスのサブネットマスクである第2サブネットマスクを取得し、前記判定部は、前記第1サブネットマスクと前記第2サブネットマスクとが一致しない場合に、前記第1ネットワーク部と前記第2ネットワーク部とが一致しないと判定してもよい。これにより、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが一致するか否かを正確に判定することができる。
【0013】
(5) 本実施形態に係る通信装置の管理方法は、対向装置と通信を行う通信装置の管理方法であって、ゼロタッチプロビジョニングが開始される前に、前記通信装置におけるInternet Protocolアドレスを第1アドレスに設定するステップと、前記ゼロタッチプロビジョニングが開始された場合に、Dynamic Host Configuration Protocolサーバから、管理端末との接続に用いられる通信部によって受信されたInternet Protocolアドレスである第2アドレスを取得するステップと、前記第1アドレスにおけるネットワーク部である第1ネットワーク部と、取得された前記第2アドレスにおけるネットワーク部である第2ネットワーク部とが一致するか否かを判定するステップと、前記第1ネットワーク部と前記第2ネットワーク部とが一致すると判定された場合に、前記通信装置に設定されるInternet Protocolアドレスを、前記第1アドレスに維持するステップと、を含む。これにより、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部が一致する場合には、通信部におけるIPアドレスが変更されず、通信装置と管理端末とのIPネットワークによる接続が維持される。
【0014】
(6) 本実施形態に係る管理プログラムは、対向装置と通信を行う通信装置において用いられる管理プログラムであって、コンピュータに、ゼロタッチプロビジョニングが開始される前に、前記通信装置におけるInternet Protocolアドレスを第1アドレスに設定するステップと、前記ゼロタッチプロビジョニングが開始された場合に、Dynamic Host Configuration Protocolサーバから、管理端末との接続に用いられる通信部によって受信されたInternet Protocolアドレスである第2アドレスを取得するステップと、前記第1アドレスにおけるネットワーク部である第1ネットワーク部と、取得された前記第2アドレスにおけるネットワーク部である第2ネットワーク部とが一致するか否かを判定するステップと、前記第1ネットワーク部と前記第2ネットワーク部とが一致すると判定された場合に、前記通信装置に設定されるInternet Protocolアドレスを、前記第1アドレスに維持するステップと、を実行させる。これにより、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部が一致する場合には、通信部におけるIPアドレスが変更されず、通信装置と管理端末とのIPネットワークによる接続が維持される。
【0015】
本開示は、上記のような特徴的な構成を備える通信装置、特徴的な処理をステップとする通信装置の管理方法、及び通信装置に特徴的な処理を実行させる管理プログラムとして実現することができるだけでなく、通信装置を備える通信システムとして実現したり、通信装置の一部又は全部を半導体集積回路として実現したりすることができる。
【0016】
<本開示の実施形態の詳細>
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0017】
[1.管理システム]
図1は、実施形態に係る管理システムの構成の一例を示す図である。管理システム1は、通信装置10を管理するためのシステムである。管理システム1は、通信装置10と、管理端末30と、DHCPサーバ40と、TFTP(Trivial File Transfer Protocol)サーバ50とを含む。
【0018】
通信装置10、管理端末30、DHCPサーバ40、及びTFTPサーバ50のそれぞれは、IPネットワーク20に接続されている。通信装置10は、通信サービスを提供するために通信事業者によって運用される。IPネットワーク20は、通信事業者が保有するネットワークであり、通信装置10を管理するためのネットワークである。管理端末30は、通信事業者に所属する管理者によって、通信装置10を管理するために用いられる。
【0019】
例えば、管理端末30は、通信装置10の遠隔地に配置されている。具体的な一例では、管理端末30は、通信事業者の事業所である局センタに配置され、通信装置10は局センタから離れた事業所であるサブセンタに配置されている。
【0020】
管理端末30は、管理者が使用する端末であり、ユーザインタフェース装置である。例えば、管理端末30は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション等のコンピュータである。他の例として、管理端末30は、タブレット、スマートフォン等の携帯情報端末であってもよい。
【0021】
例えば、管理端末30は、キーボード及びマウス等のポインティングデバイスを含む入力装置と、例えば液晶パネル又はOEL(有機エレクトロルミネッセンス)パネルを含む表示装置とを備える。入力装置は、表示装置の画面に重ねられた静電容量式又は感圧式のタッチパッドであってもよい。管理端末30は、入力装置にユーザから入力されるデータを受け付け、通信装置10の状態等の情報を表示装置によって表示することができる。
【0022】
管理者は、管理端末30を用いて、通信装置10の状態を閲覧したり、通信装置10に各種の指示を入力したりすることができる。具体的には、管理端末30は、TELNET又はSSH等の遠隔制御プロトコルによって通信装置10と接続される。管理者は、遠隔制御プロトコルを用いて、通信装置10の設定内容を確認したり、変更したりすることができる。以下、遠隔制御プロトコルをTELNETとして説明する。
【0023】
DHCPサーバ40は、通信装置10からの要求に応じて、IPアドレスを払い出す。DHCPサーバ40から払い出されるIPアドレスは、IPネットワーク20のネットワークアドレスに対応している。通信装置10は、DHCPサーバ40から払い出されたIPアドレスを自装置に設定することができる。
【0024】
TFTPサーバ50は、通信装置10用のファームウェア及び構成定義ファイルを格納している。構成定義ファイルは、通信装置10の通信機能の設定に用いられる設定パラメータを格納するファイルである。例えば、設定パラメータとしては、主信号疎通設定(VLAN(Virtual Local Area Network),QoS(Quality of Service),ポートインタフェース等)、監視保守設定(NTP(Network Time Protocol),警報発出条件,システムログ設定等)等がある。通信装置10は、TFTPサーバ50から、ファームウェア及び構成定義ファイルをダウンロードする。なお、TFTPサーバ50に代えて、FTPサーバからファームウェア及び構成定義ファイルをダウンロードしてもよい。
【0025】
[2.通信装置の構成]
図2は、実施形態に係る通信装置の構成の一例を示す図である。
【0026】
通信装置10は、制御モジュール100と、通信モジュール200_1,200_2とを含む。
【0027】
通信モジュール200_1,200_2は、対向装置との通信を実行するモジュールである。例えば、通信モジュール200_1,200_2は、通信装置10とは異なる外部の複数の通信装置間の通信を中継する中継モジュールである。通信モジュール200_1は、外部の通信装置と通信するための通信線22_11,22_12が接続されている。通信モジュール200_2は、外部の通信装置と通信するための通信線22_21,22_22が接続されている。以下、通信モジュール200_1,200_2を「通信モジュール200」と総称することがある。
【0028】
通信モジュール200は、例えば、イーサネット(登録商標)用の通信モジュールである。他の例として、通信モジュール200は、OTN(Optical Transport Network)用の通信モジュールであってもよい。通信モジュール200は、PON(Passive Optical Network)用の通信モジュールであってもよい。具体的には、通信モジュール200は、G-PON(Gigabit PON)用の通信モジュールであってもよいし、GE-PON(Gigabit Ethernet PON)用の通信モジュールであってもよいし、10G-EPON(10Gigabit Ethernet PON)用の通信モジュールであってもよい。通信モジュール200は、上記以外の通信規格用の通信モジュールであってもよい。
【0029】
制御モジュール100は、通信モジュール200_1,200_2を制御するためのモジュールである。制御モジュール100と通信モジュール200_1,200_2とは図示しない信号線により接続されている。
【0030】
通信装置10は、筐体11に制御モジュール100及び通信モジュール200_1,200_2が収容されて構成される。例えば、通信装置10は、筐体に制御モジュール100及び通信モジュール200_1,200_2を着脱可能なフレーム型の通信装置である。
【0031】
図1の例では、通信装置10に2つの通信モジュール200_1,200_2が取り付けられているが、これに限定されない。例えば、通信装置10に1つの通信モジュールだけが設けられていてもよいし、3つ以上の通信モジュールが設けられていてもよい。
【0032】
制御モジュール100は、イーサネットの通信インタフェース(後述)を備え、当該通信インタフェースに接続された通信線21を介してIPネットワーク20に接続されている。
【0033】
[3.制御モジュールの構成]
図3は、実施形態に係る制御モジュールのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
制御モジュール100は、プロセッサ101と、不揮発性メモリ102と、揮発性メモリ103と、通信インタフェース(以下、「通信I/F」ともいう)104と、入出力インタフェース(以下、「I/O」ともいう)105とを含む。
【0035】
揮発性メモリ103は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリである。不揮発性メモリ102は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、PROM(Programmable Read Only Memory)、EPROM(Erasable PROM)、EEPROM(Electrically Erasable PROM)等の書き換え可能な不揮発性メモリである。不揮発性メモリ102には、コンピュータプログラムである管理プログラム110、及び管理プログラム110の実行に使用されるデータが格納される。制御モジュール100の各機能は、管理プログラム110がプロセッサ101によって実行されることで発揮される。
【0036】
プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。ただし、プロセッサ101は、CPUに限られない。プロセッサ101は、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。具体的な一例では、プロセッサ101は、マルチコアプロセッサである。プロセッサ101は、シングルコアプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、コンピュータプログラムを実行可能に構成される。ただしプロセッサ101は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってもよいし、ゲートアレイ、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスであってもよい。この場合、ASIC又はプログラマブルロジックデバイスは、管理プログラム110と同じ機能を実行可能に構成される。
【0037】
通信I/F104は、イーサネットインタフェースである。通信I/F104は、通信線(イーサネットケーブル)21を介してIPネットワーク20に接続されている。通信I/F104は、通信装置10の管理用の通信インタフェースである。
【0038】
I/O105は、制御モジュール100と外部とのデータの入出力を行う。具体的な一例では、I/O105は、通信モジュール200_1,200_2に接続されている。
【0039】
管理プログラム110は、通信装置10を管理するためのプログラムである。さらに具体的には、管理プログラム110は、通信装置10のIPアドレスの設定を管理するためのプログラムである。
【0040】
不揮発性メモリ102には、通信制御プログラム111が格納されている。通信制御プログラム111は、通信I/F104を通じて、OSI参照モデルにおけるネットワーク層(レイヤ3)以上のプロトコルによって通信を行うためのプログラムである。
【0041】
通信装置10は、TFTPサーバ50から、ファームウェア及び構成定義ファイルをダウンロードする。ダウンロードされたファームウェア113及び構成定義ファイル114は、不揮発性メモリ102に格納される。
【0042】
[4.通信装置の機能]
図4は、実施形態に係る通信装置の機能の一例を示す機能ブロック図である。
【0043】
プロセッサ101が通信制御プログラム111を実行することにより、通信部120(
図5参照)が実現される。さらに具体的には、通信部120は、通信I/F104と、通信制御プログラム111を実行したプロセッサ101によって実現される。通信部120は、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)のパケットを送受信することができる。さらに具体的には、通信部120は、TCPパケットだけでなく、UDP(User Datagram Protocol)パケットを送受信することもできる。
【0044】
通信装置10には、IPアドレスが予め設定されている。例えば、通信装置10に予め設定されたIPアドレスは、通信装置10の起動時において設定されるデフォルトのIPアドレスであってもよいし、管理者が管理端末30によって通信装置10に設定したIPアドレスであってもよい。通信装置10におけるIPアドレスの設定値は、不揮発性メモリ102に格納されている。不揮発性メモリ102に格納されているIPアドレス112は、ZTPが実行される前から通信I/F104に設定されているIPアドレスである。以下、ZTPが実行される前に通信I/F104に設定されているIPアドレス112を「第1アドレス」ともいう。
【0045】
図5は、通信装置10に設定されているIPアドレスの一例を説明するための図である。第1アドレス112が10進数表記で「192.168.1.1」である場合を考える。第1アドレス112を2進数表記に変換すると「11000000 10101000 00000001 00000001」である。
【0046】
通信装置10には、サブネットマスクも設定されている。以下、通信装置10に設定されたサブネットマスクを、「第1サブネットマスク」ともいう。
図5の例では、第1サブネットマスクは、10進数表記で「255.255.255.0」である。第1サブネットマスクを2進数表記に変換すると「11111111 11111111 11111111 00000000」である。
【0047】
サブネットマスクは、IPアドレスのネットワーク部とホスト部との区分を示す。すなわち、2進数表記のサブネットマスクにおいて「1」が連続する部分がネットワーク部に対応し、「0」が連続する部分がホスト部に対応する。第1サブネットマスクでは、上位24桁がネットワーク部に対応し、下位8桁がホスト部に対応する。したがって、第1アドレス112において、「192.168.1」(11000000 10101000 00000001)の部分がネットワーク部であり、末尾の「1」(00000001)の部分がホスト部である。以下、第1アドレス112のネットワーク部を「第1ネットワーク部」ともいう。
【0048】
IPアドレスにおけるホスト部の値を「0」に変更したアドレスはネットワークアドレスである。すなわち、第1アドレス112に対応するネットワークアドレスは、10進数表記において「192.168.1.0」、2進数表記において「11000000 10101000 00000001 00000000」である。以下、第1アドレス112に対応するネットワークアドレスを「第1ネットワークアドレス」ともいう。第1ネットワークアドレスは、第1アドレスが設定されているホスト(通信装置10)が属するネットワークを示す。
【0049】
図4に戻り、制御モジュール100は、上述した通信部120に加え、取得部121と、判定部122と、設定部123と、通知部124との各機能を有する。取得部121、判定部122、設定部123、及び通知部124の各機能は、プロセッサ101が管理プログラム110を実行することにより実現される。
【0050】
上述したように、通信装置10には第1アドレス112が予め設定されている。すなわち、通信装置10がZTPを開始する前に、設定部123は、通信装置10のIPアドレスに第1アドレス112を設定する。
【0051】
通信装置10がZTPを実行すると、通信装置10はDHCPサーバ40に対してIPアドレスの払い出しを要求する。DHCPサーバ40は要求に応じてIPアドレスを払い出し、払い出したIPアドレスを通信装置10へ送信する。通信部120は、DHCPサーバ40から送信されたIPアドレスを受信する。以下、ZTPが実行されることによってDHCPサーバ40から払い出されたIPアドレスを「第2アドレス」ともいう。
【0052】
取得部121は、通信部120がDHCPサーバ40から受信した第2アドレスを取得する。
【0053】
判定部122は、第1アドレス112における第1ネットワーク部と、取得部121によって取得された第2アドレスにおけるネットワーク部とが一致するか否かを判定する。以下、第2アドレスのネットワーク部を「第2ネットワーク部」ともいう。
【0054】
図6は、DHCPサーバから払い出されたIPアドレスの一例を説明するための図である。第2アドレスが10進数表記で「192.168.10.3」である場合を考える。第2アドレスを2進数表記に変換すると「11000000 10101000 00001010 00000011」である。
【0055】
DHCPサーバ40からは、サブネットマスクも送信される。通信部120は、DHCPサーバから送信されたサブネットマスクを受信し、取得部121は、通信部120が受信したサブネットマスクを取得する(
図5参照)。以下、DHCPサーバ40から払い出されたサブネットマスクを、「第2サブネットマスク」ともいう。
図6の例では、第2サブネットマスクは、10進数表記で「255.255.255.0」である。第2サブネットマスクを2進数表記に変換すると「11111111 11111111 11111111 00000000」である。
【0056】
第2サブネットマスクでは、上位24桁がネットワーク部に対応し、下位8桁がホスト部に対応する。したがって、第2アドレスにおいて、「192.168.10」(11000000 10101000 00001010)の部分がネットワーク部(第2ネットワーク部)であり、末尾の「3」(00000011)の部分がホスト部である。
【0057】
第2アドレスに対応するネットワークアドレスは、10進数表記において「192.168.10.0」、2進数表記において「11000000 10101000 00001010 00000000」である。以下、第2アドレスに対応するネットワークアドレスを「第2ネットワークアドレス」ともいう。
【0058】
例えば、DHCPサーバ40からは、IPネットワーク20(又はそのサブネットワーク)を示すネットワーク部を含むIPアドレスが払い出される。すなわち、第2ネットワーク部は、IPネットワーク20(又はそのサブネットワーク)に対応しており、第2ネットワークアドレスは、IPネットワーク20(又はそのサブネットワーク)のネットワークアドレスである。
【0059】
図4に戻り、
図5に示す第1アドレス112における第1ネットワーク部(11000000 10101000 00000001)と、
図6に示す第2アドレスにおける第2ネットワーク部(11000000 10101000 00001010)とは一致しない。すなわち、
図5に示す第1ネットワークアドレス(11000000 10101000 00000001 00000000)と、
図6に示す第2ネットワークアドレス(11000000 10101000 00001010 00000000)とは相違する。したがって、この場合、判定部122は、第1ネットワーク部と、第2ネットワーク部とは一致しないと判定する。
【0060】
図7は、DHCPサーバから払い出されたIPアドレスの他の例を説明するための図である。第2アドレスが10進数表記で「192.168.1.3」である場合を考える。第2アドレスを2進数表記に変換すると「11000000 10101000 00000001 00000011」である。
【0061】
図7の例では、第2サブネットマスクは、10進数表記で「255.255.255.0」である。第2サブネットマスクを2進数表記に変換すると「11111111 11111111 11111111 00000000」である。
【0062】
第2サブネットマスクでは、上24桁がネットワーク部に対応し、下8桁がホスト部に対応する。したがって、第2アドレスにおいて、「192.168.1」(11000000 10101000 00000001)の部分がネットワーク部(第2ネットワーク部)であり、末尾の「3」(00000011)の部分がホスト部である。
【0063】
第2ネットワークアドレスは、10進数表記において「192.168.1.0」、2進数表記において「11000000 10101000 00000001 00000000」である。この場合、IPネットワーク20(又はそのサブネットワーク)のネットワークアドレスは、「11000000 10101000 00000001 00000000」である。
【0064】
図4に戻り、
図5に示す第1アドレス112における第1ネットワーク部(11000000 10101000 00000001)と、
図7に示す第2アドレスにおける第2ネットワーク部(11000000 10101000 00000001)とは一致する。すなわち、
図5に示す第1ネットワークアドレス(11000000 10101000 00000001 00000000)と、
図7に示す第2ネットワークアドレス(11000000 10101000 00000001 00000000)とは同一である。したがって、この場合、判定部122は、第1ネットワーク部と、第2ネットワーク部とは一致すると判定する。
【0065】
設定部123は、判定部122によって第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが一致すると判定された場合に、通信装置10に設定されるIPアドレスを、第1アドレス112に維持する。すなわち、この場合、設定部123は、通信装置10に設定されるIPアドレスを第1アドレス112から第2アドレスへ変更しない。これにより、例えば、ZTPの実行前に管理端末30が通信装置10とTELNETによって接続していた場合に、通信装置10のIPアドレスが変更されることによる管理端末30と通信装置10との接続の切断が発生することを防止することができる。したがって、管理者は、ZTPの開始後に、引き続き通信装置10の状態を確認したり、通信装置10の設定を変更したりすることができる。
【0066】
設定部123は、判定部122によって第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが一致しないと判定された場合に、通信装置10に設定されるIPアドレスを、第1アドレス112から第2アドレスへ変更する。これにより、例えば、第1アドレスの第1ネットワーク部がIPネットワーク20(又はそのサブネットワーク)に対応していない、すなわち、第1ネットワークアドレスがIPネットワーク20(又はそのサブネットワーク)のネットワークアドレスと異なっている場合に、正しいネットワークアドレス、すなわち、IPネットワーク20(又はそのサブネットワーク)に対応した第2ネットワーク部を含む第2アドレスに、通信装置10のIPアドレスを変更することができる。
【0067】
DHCPサーバ40からは、上述したIPアドレス(第2アドレス)の他、付帯情報としてTFTPサーバ50のアドレスが通信装置10へ送信される。取得部121は、DHCPサーバ40から送信されたTFTPサーバ50のアドレスを用いて、通信部120によってTFTPサーバ50にアクセスする。取得部121は、通信部120を通じてTFTPサーバ50に対してファームウェア113及び構成定義ファイル114の送信を要求する。TFTPサーバ50は、通信装置10用のファームウェア113及び構成定義ファイル114を通信装置10へ送信し、通信部120はTFTPサーバ50から送信されたファームウェア113及び構成定義ファイル114を受信する。
【0068】
取得部121は、通信部120がTFTPサーバ50から受信したファームウェア113及び構成定義ファイル114を取得する。設定部123は、取得部121によって取得されたファームウェア113によって通信装置10(制御モジュール100)のファームウェアを更新する。設定部123は、取得部121によって取得された構成定義ファイル114によって通信装置10の設定パラメータを設定し、通信装置10の設定内容に構成定義ファイル114を反映させる。
【0069】
通知部124は、判定部122によって第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが一致しないと判定された場合に、通信部120に通知情報を管理端末30へ送信させる。通知情報は、第2アドレスを管理者に通知するための情報である。
【0070】
通信部120によって送信された通知情報は、管理端末30によって受信される。管理端末30は、例えば、受信した通知情報に基づいて、第2アドレスを管理者に通知するための通知画面を表示する。これにより、管理者は、通信装置10に新たに設定されるIPアドレスが第2アドレスであることを認識することができる。
【0071】
具体的な一例では、設定部123は、通知部124が通知情報を管理端末30へ送信することを確認した後に、通信装置10のIPアドレスを、第1アドレス112から第2アドレスへ変更する。これにより、通信装置10のIPアドレスの設定が変更される前に、設定変更後のIPアドレス(第2アドレス)を管理者に通知することができる。管理者は、通信装置10と管理端末30とのTELNETによる接続が切断された場合に、第2アドレスによって迅速に通信装置10と管理端末30とを再接続することができる。
【0072】
[5.管理システムの動作]
以下、実施形態に係る管理システムの動作について説明する。
【0073】
ZTPが実行される前に、通信装置10は、IPネットワーク20に接続され、通信装置10にIPアドレス(第1アドレス)が設定される。例えば、第1アドレスが未設定の通信装置10が起動された場合には、デフォルトのIPアドレスが第1アドレスとして通信装置10に設定される。他の例では、管理者又は他の保守員によって、第1アドレスが通信装置10に設定される。
【0074】
通信装置10のプロセッサ101が管理プログラム110を実行することにより、プロセッサ101は以下のような管理処理を開始する。
図8は、実施形態に係る通信装置の管理処理の一例を示すフローチャートである。
【0075】
管理者は、管理端末30を操作して、TELNETによって管理端末30を通信装置10に接続する。この状態において、管理者は、管理端末30によって通信装置10の動作状態又は設定内容を確認したり、設定を変更したりすることができる。例えば、通信装置10が最初に起動されたときに(デフォルトの第1アドレスが設定された後)、ZTPが自動で実行されるように通信装置10は予め設定されている。他の例では、通信装置10が再起動されときに、ZTPが自動で実行されるように通信装置10は予め設定されている。さらに他の例では、管理者は、TELNETによって、管理端末30から通信装置10にZTPの実行指示を入力することができる。さらに他の例では、管理者は、通信装置10の筐体にZTP実行用のボタンスイッチが設けられており、通信装置10の近くにいる管理者又は保守員がボタンスイッチを押下することにより、ZTPの実行指示を通信装置10に入力することができる。
【0076】
プロセッサ101は、ZTPの実行指示を受け付ける(ステップS101)。
【0077】
ZTPを開始すると、プロセッサ101は、DHCPサーバ40へIPアドレスの付与を要求する。具体的には、プロセッサ101は、DHCP DiscoverメッセージをIPネットワーク20にブロードキャストする。DHCPサーバ40は、要求に応じてアドレスプールからIPアドレスを選択し、選択したIPアドレスを提案するメッセージ(DHCP Offer)を送信する。DHCPクライアントである通信装置10のプロセッサ101は、IPアドレスの提案を受け入れることを通知するメッセージであるDHCP Requestを送信する。DHCPサーバ40は、通信装置10が使用するIPアドレス(第2アドレス)及び付帯情報を含むDHCP Ackを送信する。付帯情報には、サブネットマスク(第2サブネットマスク)及びTFTPサーバ50のアドレスが含まれる。例えば、付帯情報には、デフォルトゲートウェイのアドレス、IPアドレスのリース期間、DNS(Domain Name System)サーバのアドレスがさらに含まれる。通信装置10がDHCP Ackを受信することで、プロセッサ101は第2アドレスを取得する(ステップS102)。
【0078】
プロセッサ101は、通信装置10に設定されている第1アドレスの第1ネットワーク部を特定し、受信した第2アドレスの第2ネットワーク部を特定する。例えば、プロセッサ101は、第1アドレスと第1サブネットマスクから第1ネットワーク部を特定し、第2アドレスと第2サブネットマスクから第2ネットワーク部を特定する。プロセッサ101は、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部との同一性を判定する(ステップS103)。すなわち、プロセッサ101は、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とを比較することにより、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが一致するか否かを判定する。
【0079】
第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが一致しない場合(ステップS103において「同一ではない」)、プロセッサ101は、DHCPサーバ40から払い出された第2アドレスを通知するための通知情報を、管理端末30へ送信する(ステップS104)。
【0080】
プロセッサ101は、通信装置10のIPアドレスを、第1アドレスからDHCPサーバ40から払い出された第2アドレスに変更する(ステップS105)。この場合、プロセッサ101は、通信装置10に設定されているサブネットマスクを、第1サブネットマスクから、DHCPサーバ40から払い出された第2サブネットマスクに変更し、IPアドレスのリース期間の設定を更新する。さらに、プロセッサ101は、DHCPサーバ40から通知されたデフォルトゲートウェイのアドレス、DNSサーバのアドレスを通信I/F104の設定に反映させる。その後、プロセッサ101は、ステップS106に進む。
【0081】
第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが一致している場合(ステップS103において「同一」)、プロセッサ101は、通信装置10のIPアドレスを第1アドレスに維持したまま、ステップS106に進む。この場合、プロセッサ101は、通信装置10に設定されているサブネットマスクを第1サブネットマスクに維持し、IPアドレスのリース期間を設定しない。プロセッサ101は、DHCPサーバ40から通知されたデフォルトゲートウェイのアドレス、DNSサーバのアドレスを通信装置10の設定に反映させてもよい。
【0082】
プロセッサ101は、DHCPサーバ40から通知されたTFTPサーバ50のアドレスを用いて、TFTPサーバ50にアクセスし、ファームウェア113及び構成定義ファイル114をTFTPサーバ50から受信する(ステップS106)。具体的には、プロセッサ101は、TFTPサーバ50にファームウェア113及び構成定義ファイル114のGETのリクエスト(GETコマンド)を送信する。TFTPサーバ50は、リクエストに応じてファームウェア113及び構成定義ファイル114を通信装置10へ送信する。プロセッサ101は、ファームウェア113及び構成定義ファイル114の受信を完了するとTFTPサーバ50へAckを送信する。
【0083】
次にプロセッサ101は、受信した新たなファームウェア113を用いて、ファームウェアの更新を実行し(ステップS107)、通信装置10(又は制御モジュール100)を再起動する(ステップS108)。さらにプロセッサ101は、構成定義ファイル114を用いて設定パラメータを設定し、構成定義ファイル114を通信装置10の設定に反映させる(ステップS109)。以上で、管理処理が終了する。
【0084】
図9は、実施形態に係る管理システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【0085】
管理者は、管理端末30を操作し、TELNETによって管理端末30を通信装置10に接続させる(ステップS11)。この状態で、例えば管理者が通信装置10にZTPの実行指示を入力することにより、ZTPが開始される。
【0086】
通信装置10は、IPアドレスの付与を要求するDHCP Discoverを送信する(ステップS12)。DHCPサーバ40は、DHCP Discoverを受信すると、アドレスプールからIPアドレスを選択し、選択したIPアドレスを提案するDHCP Offerを送信する(ステップS13)。通信装置10は、DHCP Offerを受信すると、DHCP Requestを送信する(ステップS14)。DHCPサーバ40は、DHCP Requestを受信すると、第2アドレスを含むDHCP Ackを送信する(ステップS15)。
【0087】
通信装置10は、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部との同一性を判定する(ステップS16)。
【0088】
図9には、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが同一である場合の例を示している。この場合、通信装置10は、通信装置10のIPアドレスを、第1アドレスに維持する。この結果、管理端末30と通信装置10とのTELNETによる接続は切断されない。
【0089】
通信装置10は、DHCPサーバ40から受信した付帯情報に基づいて、通信装置10の設定を行う。
【0090】
通信装置10は、DHCPサーバ40から受信したTFTPサーバ50のアドレスを用いて、TFTPサーバ50へファームウェア113及び構成定義ファイル114を要求するGET Requestを生成し、生成したGET Requestを送信する(ステップS17)。TFTPサーバ50は、GET Requestを受信すると、ファームウェア113及び構成定義ファイル114を通信装置10へ送信する(ステップS18)。ファームウェア113及び構成定義ファイル114は、複数のデータに分割されてTFTPサーバ50から送信される。通信装置10は、ファームウェア113及び構成定義ファイル114の各分割データの受信が完了する度に、受信完了を通知するメッセージであるTFTP AckをTFTPサーバ50へ送信する(ステップS19)。
【0091】
通信装置10は、受信したファームウェア113によってファームウェア更新を実行し(ステップS20)、通信装置10(又は制御モジュール100)の再起動を実行する(ステップS21)。さらに通信装置10は、構成定義ファイル114を通信装置10の設定に反映させる(ステップS22)。
【0092】
図10は、実施形態に係る管理システムの動作の他の例を示すシーケンス図である。
【0093】
ステップS11からS16は、
図9と同様であるので説明を省略する。
【0094】
図10には、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが同一でない場合の例を示している。この場合、通信装置10は、第2アドレスの通知情報を管理端末30へ送信する(ステップS31)。その後、通信装置10は、通信装置10のIPアドレスを、第1アドレスから第2アドレスへ変更する(ステップS32)。この結果、管理端末30と通信装置10とのTELNETによる接続が切断される。
【0095】
管理端末30は、通知情報に基づいて、第2アドレスの通知画面を表示する(ステップS33)。これにより、管理者は第2アドレスを知ることができる。管理者は、管理端末30を操作し、第2アドレスによって管理端末30を通信装置10に再接続させる(ステップS34)。
【0096】
ステップS17からS22は、
図9と同様であるので説明を省略する。ただし、ステップS34の管理端末30と通信装置10との再接続は、任意のタイミングで実行される。すなわち、
図10においては、ステップS17~S22の前に、ステップS34が実行される例が示されているが、これに限定されない。ステップS34は、ステップS17~S22とは関係ないタイミングにおいて実行可能である。
【0097】
[6.変型例]
図5を参照する。実施形態に係る通信装置10の1つの変形例では、判定部122は、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部との同一性判定において、第1サブネットマスクと第2サブネットマスクとが一致するか否かを判定する。
【0098】
具体的な一例では、判定部122による第1ネットワーク部と第2ネットワーク部との同一性判定は、第1サブネットマスクと第2サブネットマスクとの同一性を判定するサブネットマスクの同一性判定と、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部との同一性を判定するネットワーク部の同一性判定とを含む。
【0099】
サブネットマスクの同一性判定においては、判定部122は、第1サブネットマスクと第2サブネットマスクとを比較し、第1サブネットマスクと第2サブネットマスクとが一致するか否かを判定する。第1サブネットマスクと第2サブネットマスクとが一致しない場合、判定部122は、ネットワーク部の同一性判定を実行せずに、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが一致しないと判定する。
【0100】
第1サブネットマスクと第2サブネットマスクとが一致する場合、判定部122は、ネットワーク部の同一性判定を実行する。すなわち、判定部122は、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とを比較し、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが一致するか否かを判定する。第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが一致する場合、判定部122は、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが一致すると判定する。第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが一致しない場合、判定部122は、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが一致しないと判定する。
【0101】
図11は、変形例に係る通信装置10の管理処理の一部を示すフローチャートである。
図11には、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部との同一性判定(
図8におけるS103)の部分のみが示されている。
【0102】
通信装置10がDHCPサーバ40から払い出された第2アドレスを受信した後、プロセッサ101は、第1サブネットマスクと第2サブネットマスクとを比較し、第1サブネットマスクと第2サブネットマスクとが一致するか否かを判定する(ステップS103_1)。
【0103】
第1サブネットマスクと第2サブネットマスクとが一致していない場合(ステップS103_1においてNO)、プロセッサ101は、ステップS104に進む。
【0104】
第1サブネットマスクと第2サブネットマスクとが一致している場合(ステップS103_1においてYES)、プロセッサ101は、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とを比較し、第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが一致するか否かを判定する(ステップS103_2)。
【0105】
第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが一致していない場合(ステップS103_2においてNO)、プロセッサ101は、ステップS104に進む。
【0106】
第1ネットワーク部と第2ネットワーク部とが一致している場合(ステップS103_2においてYES)、プロセッサ101は、ステップS106に進む。
【0107】
[7.補記]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的ではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及びその範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0108】
1 管理システム
10 通信装置
20 IPネットワーク
21,22_11,22_12,22_21,22_22 通信線
30 管理端末
40 DHCPサーバ
50 TFTPサーバ
100 制御モジュール
101 プロセッサ
102 不揮発性メモリ
103 揮発性メモリ
104 通信インタフェース(通信I/F)
105 入出力インタフェース(I/O)
110 管理プログラム
112 IPアドレス(第1アドレス,第2アドレス)
113 ファームウェア
114 構成定義ファイル
120 通信部
121 取得部
122 判定部
123 設定部
124 通知部
200,200_1,200_2 通信モジュール