(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154702
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】アクティブマトリクス基板、それを備えた液晶表示装置及びアクティブマトリクス基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1368 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
G02F1/1368
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068674
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】美崎 克紀
【テーマコード(参考)】
2H192
【Fターム(参考)】
2H192BB52
2H192BC11
2H192BC32
2H192BC35
2H192CB05
2H192CB35
2H192CB81
2H192CC02
2H192CC42
2H192EA42
2H192EA56
2H192EA62
2H192EA66
2H192EA74
2H192HA14
2H192HA32
2H192JA32
(57)【要約】
【課題】透明電極に形成されたスリットの端部における焼き付きや残像の発生を抑制する。
【解決手段】ベース基板と、ベース基板上に複数のサブ画素Pに対応して設けられた複数のTFT5と、各TFT5上に設けられ、各サブ画素Pに対応して所定色の着色層が配置されたカラーフィルタと、カラーフィルタの上側に設けられた第1透明電極18aと、第1透明電極18a上に無機絶縁膜からなる無機保護膜を介して設けられ、帯状のスリットSaが形成された第2透明電極23aと、無機保護膜上に互いに異なる色の着色層の境界部分に帯状に設けられ、第1金属層、中間層、第2金属層が順に積層された反射抑制層Bとを備え、反射抑制層Bには、スリットSaの端部と重ならないように切り欠き部Cが設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
上記ベース基板上に複数のサブ画素に対応して設けられた複数の薄膜トランジスタと、
上記各薄膜トランジスタ上に設けられ、上記各サブ画素に対応して所定色の着色層が配置されたカラーフィルタと、
上記カラーフィルタの上側に設けられた第1透明電極と、
上記第1透明電極上に無機絶縁膜からなる無機保護膜を介して設けられ、帯状のスリットが形成された第2透明電極と、
上記無機保護膜上に互いに異なる色の上記着色層の境界部分に帯状に設けられ、第1金属層、中間層、第2金属層が順に積層された反射抑制層とを備え、
上記反射抑制層には、上記スリットの端部と重ならないように切り欠き部が設けられていることを特徴とするアクティブマトリクス基板。
【請求項2】
請求項1に記載されたアクティブマトリクス基板において、
上記切り欠き部の端面と、該切り欠き部に対応する上記スリットの端部の端面とは、面一に設けられていることを特徴とするアクティブマトリクス基板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたアクティブマトリクス基板において、
上記第1透明電極は、上記各サブ画素に対応して設けられ、上記各薄膜トランジスタに電気的に接続された画素電極であり、
上記第2透明電極は、上記複数のサブ画素に共通して設けられた共通電極であることを特徴とするアクティブマトリクス基板。
【請求項4】
請求項1又は2に記載されたアクティブマトリクス基板において、
上記第1透明電極は、上記複数のサブ画素に共通して設けられた共通電極であり、
上記第2透明電極は、上記各サブ画素に対応して設けられ、上記各薄膜トランジスタに電気的に接続された画素電極であることを特徴とするアクティブマトリクス基板。
【請求項5】
請求項1又は2に記載されたアクティブマトリクス基板において、
上記中間層は、透明導電膜により形成されていることを特徴とするアクティブマトリクス基板。
【請求項6】
請求項1又は2に記載されたアクティブマトリクス基板において、
上記中間層は、無機絶縁膜により形成されていることを特徴とするアクティブマトリクス基板。
【請求項7】
請求項1又は2に記載されたアクティブマトリクス基板と、
上記アクティブマトリクス基板に対向するように設けられた対向基板と、
上記アクティブマトリクス基板及び上記対向基板の間に設けられた液晶層とを備えていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
ベース基板上に複数のサブ画素に対応して複数の薄膜トランジスタを形成する薄膜トランジスタ形成工程と、
上記各薄膜トランジスタ上に上記各サブ画素に対応して所定色の着色層が配置されたカラーフィルタを形成するカラーフィルタ形成工程と、
上記カラーフィルタの上側に第1透明導電膜を成膜した後に、該第1透明導電膜をパターニングして第1透明電極を形成する第1透明電極形成工程と、
上記第1透明電極を覆うように無機絶縁膜、第1金属膜、中間膜及び第2金属膜を成膜した後に、該第1金属膜、該中間膜及び該第2金属膜をパターニングして、第1金属層、中間層、第2金属層をそれぞれ形成し、該第1金属層、該中間層、該第2金属層が順に積層された反射抑制形成層を互いに異なる色の上記着色層の境界部分に重なるように帯状に形成する反射抑制形成層形成工程と、
上記反射抑制形成層から露出する上記無機絶縁膜をパターニングして、無機保護膜を形成する無機保護膜形成工程と、
上記無機保護膜上の上記反射抑制形成層を覆うように第2透明導電膜を成膜した後に、該第2透明導電膜をパターニングして、端部が上記反射抑制形成層と重なる帯状のスリットを有する第2透明電極を形成する第2透明電極形成工程とを備え、
上記第2透明電極形成工程では、上記スリットから露出する上記反射抑制形成層を除去して、切り欠き部を有する反射抑制層を形成することを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載されたアクティブマトリクス基板の製造方法において、
上記第1透明電極は、上記各サブ画素に対応して設けられ、上記各薄膜トランジスタに電気的に接続された画素電極であり、
上記第2透明電極は、上記複数のサブ画素に共通して設けられた共通電極であることを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載されたアクティブマトリクス基板の製造方法において、
上記第1透明電極は、上記複数のサブ画素に共通して設けられた共通電極であり、
上記第2透明電極は、上記各サブ画素に対応して設けられ、上記各薄膜トランジスタに電気的に接続された画素電極であることを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項11】
請求項8~10の何れか1つに記載されたアクティブマトリクス基板の製造方法において、
上記中間膜は、透明導電膜により形成されていることを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項12】
請求項8~10の何れか1つに記載されたアクティブマトリクス基板の製造方法において、
上記中間膜は、無機絶縁膜により形成されていることを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項13】
請求項8~10の何れか1つに記載されたアクティブマトリクス基板の製造方法において、
上記カラーフィルタ形成工程では、上記各薄膜トランジスタに電気的に接続するためのコンタクトホールを有する上記カラーフィルタを形成することを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載されたアクティブマトリクス基板の製造方法において、
上記カラーフィルタ形成工程では、上記カラーフィルタ上に上記コンタクトホールを有する有機絶縁膜からなる有機保護膜を形成することを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス基板、それを備えた液晶表示装置及びアクティブマトリクス基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置では、アクティブマトリクス基板(アレイ基板)上にカラーフィルタを設け、対向基板とのアライメントが不要になるカラーフィルタオンアレイ(color filter on array、以下、COAとも称する)構造がよく用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、COA構造を有する基板に画素電極及び共通電極が設けられ、横電界駆動方式の1つのFFS(Fringe Field Switching)モードを利用した液晶表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画素電極又は共通電極に液晶配向用のスリットが形成されたCOA構造を有するアクティブマトリクス基板を備えた横電界駆動方式の液晶表示装置では、例えば、ヘッドマウントディスプレイ用途等の1000~1200ppi(pixel per inch)以上の超高精細な画素サイズになると、画素電極又は共通電極の透明電極に形成されたスリットの端部がカラーフィルタの各着色層の間に配置する金属層を含む反射抑制層に重なる構造を取ることが多くなる。そうなると、電気的にフローティングな反射抑制層とスリットの端部とが重なった部分では、液晶層の配向乱れが発生することにより、焼き付きや残像が発生するので、表示品位が低下してしまう。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、透明電極に形成されたスリットの端部における焼き付きや残像の発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るアクティブマトリクス基板は、ベース基板と、上記ベース基板上に複数のサブ画素に対応して設けられた複数の薄膜トランジスタと、上記各薄膜トランジスタ上に設けられ、上記各サブ画素に対応して所定色の着色層が配置されたカラーフィルタと、上記カラーフィルタの上側に設けられた第1透明電極と、上記第1透明電極上に無機絶縁膜からなる無機保護膜を介して設けられ、帯状のスリットが形成された第2透明電極と、上記無機保護膜上に互いに異なる色の上記着色層の境界部分に帯状に設けられ、第1金属層、中間層、第2金属層が順に積層された反射抑制層とを備え、上記反射抑制層には、上記スリットの端部と重ならないように切り欠き部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る液晶表示装置は、上述したアクティブマトリクス基板と、上記アクティブマトリクス基板に対向するように設けられた対向基板と、上記アクティブマトリクス基板及び上記対向基板の間に設けられた液晶層とを備えていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るアクティブマトリクス基板の製造方法は、ベース基板上に複数のサブ画素に対応して複数の薄膜トランジスタを形成する薄膜トランジスタ形成工程と、上記各薄膜トランジスタ上に上記各サブ画素に対応して所定色の着色層が配置されたすカラーフィルタを形成するカラーフィルタ形成工程と、上記カラーフィルタの上側に第1透明導電膜を成膜した後に、該第1透明導電膜をパターニングして第1透明電極を形成する第1透明電極形成工程と、上記第1透明電極を覆うように無機絶縁膜、第1金属膜、中間膜及び第2金属膜を成膜した後に、該第1金属膜、該中間膜及び該第2金属膜をパターニングして、第1金属層、中間層、第2金属層をそれぞれ形成し、該第1金属層、該中間層、該第2金属層が順に積層された反射抑制形成層を互いに異なる色の上記着色層の境界部分に重なるように帯状に形成する反射抑制形成層形成工程と、上記反射抑制形成層から露出する上記無機絶縁膜をパターニングして、無機保護膜を形成する無機保護膜形成工程と、上記無機保護膜上の上記反射抑制形成層を覆うように第2透明導電膜を成膜した後に、該第2透明導電膜をパターニングして、端部が上記反射抑制形成層と重なる帯状のスリットを有する第2透明電極を形成する第2透明電極形成工程とを備え、上記第2透明電極形成工程では、上記スリットから露出する上記反射抑制形成層を除去して、切り欠き部を有する反射抑制層を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、透明電極に形成されたスリットの端部における焼き付きや残像の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の平面図である。
【
図2】
図1中のII-II線に沿ったアクティブマトリクス基板及びそれを備えた液晶表示装置の断面図である。
【
図3】
図1中のIII-III線に沿ったアクティブマトリクス基板及びそれを備えた液晶表示装置の断面図である。
【
図4】
図1中のIV-IV線に沿ったアクティブマトリクス基板及びそれを備えた液晶表示装置の断面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の製造工程の一部を示す第1の断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の製造工程の一部を示す
図5に続く第2の断面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の製造工程の一部を示す
図6に続く第3の断面図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の製造工程の一部を示す
図7に続く第4の断面図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の製造工程の一部を示す
図8に続く第5の断面図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の製造工程の一部を示す
図9に続く第6の断面図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の製造工程の一部を示す
図10に続く第7の断面図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の製造工程の一部を示す
図11に続く第8の断面図である。
【
図13】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の製造工程の一部を示す
図12に続く第9の断面図である。
【
図14】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の製造工程の一部を示す
図13に続く第10の断面図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の平面図である。
【
図16】
図15中のXVI-XVI線に沿ったアクティブマトリクス基板の断面図である。
【
図17】
図15中のXVII-XVII線に沿ったアクティブマトリクス基板の断面図である。
【
図18】
図15中のXVIII-XVIII線に沿ったアクティブマトリクス基板の断面図である。
【
図19】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の変形例の平面図である
【
図20】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の製造工程の一部を示す第1の断面図である。
【
図21】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の製造工程の一部を示す
図20に続く第2の断面図である。
【
図22】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の製造工程の一部を示す
図21に続く第3の断面図である。
【
図23】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の製造工程の一部を示す
図22に続く第4の断面図である。
【
図24】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の製造工程の一部を示す
図23に続く第5の断面図である。
【
図25】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板の製造工程の一部を示す
図24に続く第6の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
【0013】
《第1の実施形態》
図1~
図14は、本発明に係るアクティブマトリクス基板、それを備えた液晶表示装置及びアクティブマトリクス基板の製造方法の第1の実施形態を示している。ここで、
図1は、本実施形態の液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板30aの平面図である。また、
図2、
図3及び
図4は、
図1中のII-II線、III-III線及びIV-IV線に沿った液晶表示装置50の断面図である。
【0014】
液晶表示装置50は、
図2~
図4に示すように、COA構造を有するアクティブマトリクス基板30aと、アクティブマトリクス基板30aに対向するように設けられた対向基板40と、アクティブマトリクス基板30a及び対向基板40の間に設けられた液晶層45とを備えている。また、液晶表示装置50において、画像表示を行う表示領域には、複数のサブ画素P(
図1参照)がマトリクス状に設けられている。ここで、表示領域には、
図2~
図4に示すように、赤色層16rが配置されて赤色の階調表示を行うためのサブ画素P、緑色層16gが配置されて緑色の階調表示を行うためのサブ画素P、青色層(不図示)が配置されて青色の階調表示を行うためのサブ画素Pが互いに隣り合うように設けられている。なお、表示領域では、赤色、緑色及び青色の階調表示を行うための互いに隣り合う3つのサブ画素Pにより、1つの画素が構成されている。
【0015】
アクティブマトリクス基板30aは、
図2~
図4に示すように、ガラス基板等のベース基板10aと、ベース基板10a上に複数のサブ画素Pに対応して設けられた複数の薄膜トランジスタ(thin film transistor、以下、TFTとも称する)5と、各TFT5上に設けられたカラーフィルタ16と、カラーフィルタ16上に設けられた有機保護膜17と、有機保護膜17上に第1透明電極としてそれぞれ設けられた複数の画素電極18aと、各画素電極18a上に設けられた無機保護膜19aと、無機保護膜19a上に第2透明電極として設けられた共通電極23aと、共通電極23a上に設けられた表面保護膜25と、表面保護膜25上に設けられた配向膜26とを備えている。また、アクティブマトリクス基板30aは、
図1に示すように、ベース基板10a上に、表示領域において、図中のY方向に互いに平行に延びるように設けられた複数のゲート線11と、ゲート絶縁膜12を介して各ゲート線11と交差するように、図中のX方向に互いに平行に延びるように設けられた複数のソース線14とを備えている。
【0016】
TFT5は、
図2に示すように、ベース基板10a上に設けられたゲート電極11aと、ゲート電極11aを覆うように設けられたゲート絶縁膜12と、ゲート絶縁膜12上にゲート電極11aに重なるように島状に設けられた半導体層13と、半導体層13上に互いに離間するように設けられたソース電極14a及びドレイン電極14bとを備えている。また、TFT5は、ゲート線11及びソース線14の交差する部分毎、すなわち、サブ画素P毎に設けられている。ここで、ゲート電極11aは、
図1に示すように、ゲート線11の幅広に形成された部分である。また、半導体層13は、例えば、ゲート絶縁膜12側に設けられた真性アモルファスシリコン層と、真性アモルファスシリコン層上に設けられ、真性アモルファスシリコン層のチャネル領域が露出すると共に互いに離間するように配置された一対のn
+アモルファスシリコン層とを備えている。また、ソース電極14aは、
図1に示すように、ソース線14の側方にL字状に突出した部分であり、半導体層13の一方のn
+アモルファスシリコン層に接するように設けられている。また、ドレイン電極14bは、半導体層13の他方のn
+アモルファスシリコン層に接するように設けられ、
図2に示すように、カラーフィルタ16及び有機保護膜17に形成されたコンタクトホールHを介して画素電極18aに電気的に接続されている。なお、本実施形態では、真性アモルファスシリコン層を備えた半導体層13を例示したが、半導体層13は、例えば、LTPS(low temperature polysilicon)のポリシリコン、In-Ga-Zn-O系の酸化物半導体等により構成されていてもよい。
【0017】
カラーフィルタ16は、各サブ画素Pに対応して所定色の着色層が配置されるように設けられ、具体的には、
図2~
図4に示すように、赤色の階調表示用のサブ画素Pに着色層として設けられた赤色層16rと、緑色の階調表示用のサブ画素Pに着色層として設けられた緑色層16gと、青色の階調表示用のサブ画素Pに着色層として設けられた青色層(不図示)とを備えている。なお、TFT5及びカラーフィルタ16の間には、層間絶縁膜15が設けられている。ここで、ゲート絶縁膜12、層間絶縁膜15、無機保護膜19a及び表面保護膜25は、例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン等の無機絶縁膜の単層膜又は積層膜により構成されている。
【0018】
有機保護膜17は、例えば、アクリル樹脂等の透明な有機樹脂材料により構成されている。
【0019】
画素電極18aは、
図1~
図4に示すように、有機保護膜17上に矩形状に設けられている。ここで、複数の画素電極18aは、
図1に示すように、複数のサブ画素Pに対応してマトリクス状に設けられている。また、画素電極18aは、共通電極23a、及び共通電極23aとの間に設けられた無機保護膜19aと共に、各サブ画素Pの補助容量を構成している。
【0020】
共通電極23aは、
図1に示すように、複数のサブ画素Pに共通して設けられている。また、共通電極23aには、
図1及び
図4に示すように、液晶層45を配向させるためのスリットSaが共通電極23aを貫通するように帯状に設けられている。ここで、スリットSaの両端部は、
図1に示すように、後述する反射抑制形成層Bpと交差するように設けられている。また、共通電極23aには、
図1及び
図2に示すように、コンタクトホールHと重なるように開口部Mが共通電極23aを貫通するように矩形状に設けられている。さらに、共通電極23aの開口部Mの内部には、
図1及び
図2に示すように、コンタクトホールHの底面及び側面と重なるように、共通電極23aと同一材料により同一層に形成された透明導電層23bが共通電極23aと離間して凹状に設けられている。なお、透明導電層23bと表面保護膜25との間には、
図2に示すように、樹脂充填層24が設けられている。また、共通電極23aと無機保護膜19aとの間において、無機保護膜19a上には、
図1、
図3及び
図4に示すように、互いに異なる色の着色層の境界部分Lにその境界部分Lと重なるように反射抑制層Bが設けられている。
【0021】
反射抑制層Bは、
図1に示すように、各ソース線14に重なるように表示領域にわたって帯状に設けられている。また、反射抑制層Bは、
図3及び
図4に示すように、無機保護膜19a上に順に積層された第1金属層20a、中間層21a及び第2金属層22aを備え、液晶層45側から入射する光を第2金属層22aで反射し、第2金属層22aで反射せずに第2金属層22aを透過した光を第1金属層20aで反射し、第2金属層22aで反射した光と第1金属層20aで反射した光とが互いに打ち消し合うことにより、液晶層45側から入射する光の反射を抑制するように構成されている。ここで、第1金属層20aは、例えば、厚さ60nm以上程度のタングステン膜、モリブデン膜、モリブデン-タングステン合金等の金属膜により構成されている。また、中間層21a、例えば、屈折率1.8~2.1程度であり、厚さ40nm~90nm程度の窒化シリコン膜等の無機絶縁膜、ITO(Indium Tin Oxide)膜やIZO(Indium Zinc Oxide)膜等の透明導電膜により構成されている。また、第2金属層22aは、例えば、厚さ2nm~15nm程度のタングステン膜、モリブデン膜等の金属膜により構成されている。
【0022】
また、反射抑制層Bには、
図1及び
図4に示すように、スリットSaの両端部と重ならないように切り欠き部Cが設けられている。ここで、切り欠き部Cの端面と、その切り欠き部Cに対応するスリットSaの端部の端面とは、面一に設けられている。なお、本明細書において、端面が面一とは、2つの端面同士が厳密に段差無く揃う場合だけでなく、例えば、0.8μm程度以内の僅かな段差を生じる場合を含む。
【0023】
配向膜26及び後述する配向膜31は、例えば、ラビング処理が表面に行われたポリイミド樹脂により構成されている。
【0024】
対向基板40は、
図2~
図4に示すように、ガラス基板等のベース基板10bと、ベース基板10b上に設けられた配向膜31とを備えている。
【0025】
液晶層45は、例えば、電気光学特性を有するネマチック液晶材料により構成されている。ここで、液晶層45は、アクティブマトリクス基板30a及び対向基板40を表示領域の周囲の額縁領域で互いに接着する枠状のシール材により、アクティブマトリクス基板30a及び対向基板40の間に封入されている。
【0026】
上記構成の液晶表示装置50は、各画素電極18aと共通電極23aとの間に配置する液晶層45及び補助容量に所定の電圧を印加して、基板表面に沿う方向、すなわち、横方向に生じる電界によって、液晶層45の配向状態を変えることにより、各サブ画素Pのパネル内を透過する光の透過率を調整して、画像表示を行うようになっている。
【0027】
次に、本実施形態の液晶表示装置50の製造方法について、アクティブマトリクス基板30aの製造方法を中心に説明する。ここで、
図5~
図14は、アクティブマトリクス基板30aの製造工程の一部を連続的に示す第1~第10の断面図である。なお、
図5~
図14の各断面図では、破断線を挟んで、図中の右側部分、中央部分及び左側部分が
図2、
図3及び
図4の断面図に対応する部分をそれぞれ示している。また、アクティブマトリクス基板30aの製造工程は、TFT形成工程、カラーフィルタ形成工程、第1透明電極形成工程、反射抑制形成層形成工程、無機保護膜形成工程及び第2透明電極形成工程を備える。
【0028】
まず、ガラス基板等のベース基板10a上に、例えば、スパッタリング法により、アルミニウム膜(厚さ300nm程度)及びモリブデンニオブ膜(厚さ50nm程度)を順に成膜して、金属積層膜を形成した後に、その金属積層膜に対して、フォトリソグラフィ、エッチング及びレジストの剥離洗浄を行うことにより、ゲート電極11aを含むゲート線11を形成する。
【0029】
続いて、ゲート線11が形成された基板表面に、例えば、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜等の無機絶縁膜(厚さ350nm程度)、真性アモルファスシリコン膜(厚さ120nm程度)及びリンがドープされたn+アモルファスシリコン膜(厚さ30nm程度)を順に成膜した後に、真性アモルファスシリコン膜及びn+アモルファスシリコン膜の積層膜に対して、フォトリソグラフィ、エッチング及びレジストの剥離洗浄を行うことにより、ゲート絶縁膜12及び半導体形成層を形成する。
【0030】
その後、ゲート絶縁膜12及び半導体形成層が形成された基板表面に、例えば、スパッタリング法により、チタン膜(厚さ30nm程度)、アルミニウム膜(厚さ300nm程度)及びチタン膜(厚さ50nm程度)を順に成膜して、金属積層膜を形成した後に、その金属積層膜に対して、フォトリソグラフィ、エッチング及びレジストの剥離洗浄を行うことにより、ソース線14、ソース電極14a及びドレイン電極14bを形成する。
【0031】
さらに、ソース電極14a及びドレイン電極14bをマスクとして、上記半導体形成層のn+アモルファスシリコン膜をエッチングにより除去することにより、半導体層13及びそれを備えたTFT5を形成する(TFT形成工程)。
【0032】
続いて、TFT5が形成された基板表面に、例えば、プラズマCVD法により、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜等の無機絶縁膜(厚さ750nm程度)を成膜することにより、層間絶縁膜15を形成した後に、例えば、スピンコート法又はスリットコート法により、赤、緑又は青に着色されたアクリル系の感光性樹脂(厚さ1.6μm程度)を塗布し、その塗布された感光性樹脂を部分的に露光した後に、現像することによりパターニングして、選択した色の着色層(例えば、赤色層16r)を形成する。さらに、他の2色についても同様な工程を繰り返して、他の2色の着色層(例えば、緑色層16g及び青色層)を形成して、
図5に示すように、コンタクトホールHを有するカラーフィルタ16を形成する(カラーフィルタ形成工程)。
【0033】
その後、カラーフィルタ16が形成された基板表面に、例えば、スピンコート法又はスリットコート法により、アクリル系の感光性樹脂(厚さ2.0μm程度)を塗布し、その塗布された感光性樹脂を部分的に露光した後に、現像することによりパターニングして、
図6に示すように、コンタクトホールHを有する有機保護膜17を形成する。
【0034】
さらに、コンタクトホールHから露出する層間絶縁膜15をエッチングして、
図7に示すように、層間絶縁膜15にコンタクトホールHを形成することにより、コンタクトホールHからドレイン電極14bを露出させる。
【0035】
続いて、層間絶縁膜15にコンタクトホールHが形成された基板表面に、例えば、スパッタリング法により、
図8に示すように、厚さ70nm程度のITO膜又はIZO膜の第1透明導電膜18を成膜した後に、第1透明導電膜18に対して、フォトリソグラフィ、エッチング及びレジストの剥離洗浄を行うことにより、
図9に示すように、画素電極18aを形成する(第1透明電極形成工程)。
【0036】
その後、画素電極18aが形成された基板表面に、例えば、プラズマCVD法により、厚さ100nm程度の窒化シリコン膜等の無機絶縁膜19を成膜し、スパッタリング法により、厚さ60nm程度のモリブデン-タングステン合金膜等の第1金属膜20、厚さ60nm程度のIZO膜等の中間膜21及び厚さ6nm程度のモリブデン膜等の第2金属膜22を成膜した後に、
図10に示すように、その基板表面に、フォトリソグラフィによりレジストRaを形成する。
【0037】
さらに、レジストRaから露出する第1金属膜20、中間膜21及び第2金属膜22に対して、リン酸、硝酸及び酢酸の混酸液を用いたウエットエッチングを行うことにより、
図11に示すように、第1金属層20ap、中間層21ap及び第2金属層22apが積層された反射抑制形成層Bpを形成する(反射抑制形成層形成工程)。
【0038】
続いて、レジストRaの剥離洗浄を行った後に、無機絶縁膜19に対して、フォトリソグラフィ、エッチング及びレジストの剥離洗浄を行うことにより、
図12に示すように、無機保護膜19aを形成する(無機保護膜形成工程)。
【0039】
その後、無機保護膜19aが形成された基板表面に、例えば、スパッタリング法により、厚さ70nm程度のITO膜又はIZO膜の第2透明導電膜23を成膜した後に、
図13に示すように、その基板表面にフォトリソグラフィによりレジストRbを形成する。
【0040】
さらに、レジストRaから露出する第2透明導電膜23及び反射抑制形成層Bpに対して、リン酸、硝酸及び酢酸の混酸液を用いたウエットエッチングを行うことにより、
図14に示すように、スリットSa及び開口部Mを有する共通電極23a、透明導電層23b、並びに第1金属層20a、中間層21a及び第2金属層22aが積層され、切り欠き部Cを有する反射抑制層Bを形成する(第2透明電極形成工程)。
【0041】
続いて、共通電極23a等が形成された基板表面に、例えば、スピンコート法又はスリットコート法により、アクリル系の感光性樹脂(厚さ2.5μm程度)を塗布し、その塗布された感光性樹脂を部分的に露光した後に、現像することによりパターニングして、充填樹脂層24を形成する。
【0042】
さらに、充填樹脂層24が形成された基板表面に、例えば、プラズマCVD法により、窒化シリコン膜等の無機絶縁膜(厚さ30nm程度)を成膜することにより、表面保護膜25を形成する。
【0043】
最後に、表面保護膜25が形成された基板全体に、例えば、印刷法によりポリイミドの樹脂膜を塗布した後に、その樹脂膜に対して、ベーキング及びラビング処理を行うことにより、配向膜26を形成する。
【0044】
以上のようにして、アクティブマトリクス基板30aを製造することができる。
【0045】
さらに、上記のように製造されたアクティブマトリクス基板30aと対向基板40とをシール材を介して貼り合わせ、アクティブマトリクス基板30a及び対向基板40の間に液晶材料を封入することにより、液晶層45を形成することにより、液晶表示装置50を製造することができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態のアクティブマトリクス基板30a、それを備えた液晶表示装置50及びアクティブマトリクス基板30aの製造方法によれば、第2透明電極形成工程において、共通電極23aのスリットSaから露出する反射抑制形成層Bpを除去して、スリットSaの両端部と重ならないように切り欠き部Cが設けられた反射抑制層Bを形成する。これにより、共通電極23aのスリットSaから反射抑制層Bが露出することがないので、液晶層45の配向乱れが抑制され、共通電極23aに形成されたスリットSaの端部における焼き付きや残像の発生を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態のアクティブマトリクス基板30a、それを備えた液晶表示装置50及びアクティブマトリクス基板30aの製造方法によれば、共通電極23aのスリットSaの両端部が反射抑制層Bとなる反射抑制形成層Bpと重なっているので、例えば、ヘッドマウントディスプレイ用途等の1000~1200ppi以上の超高精細な画素サイズを実現することができる。
【0048】
また、本実施形態のアクティブマトリクス基板30a、それを備えた液晶表示装置50及びアクティブマトリクス基板30aの製造方法によれば、第1金属層20a、中間層21a及び第2金属層22aが順に積層された反射抑制層B上に共通電極23aが設けられているので、製造工程を追加することなく、液晶層45側から入射する光の反射を効果的に抑制することができる。
【0049】
《第2の実施形態》
図15~
図25は、本発明に係るアクティブマトリクス基板、それを備えた液晶表示装置及びアクティブマトリクス基板の製造方法の第2の実施形態を示している。ここで、
図15は、本実施形態の液晶表示装置を構成するアクティブマトリクス基板30bの平面図である。また、
図16、
図17及び
図18は、
図15中のXVI-XVI線、XVII-XVII線及びXVIII-XVIII線に沿ったアクティブマトリクス基板30bの断面図である。また、
図19は、アクティブマトリクス基板30bの変形例としてのアクティブマトリクス基板30cの平面図である。なお、以下の実施形態において、
図1~
図14と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0050】
上記第1の実施形態では、画素電極18aの上側に共通電極23aが設けられ、共通電極23aにスリットSaが形成されたアクティブマトリクス基板30aを備えた液晶表示装置50を例示したが、本実施形態では、共通電極18baの上側に画素電極23bが設けられ、画素電極23bにスリットSbが形成されたアクティブマトリクス基板30bを備えた液晶表示装置を例示する。
【0051】
本実施形態の液晶表示装置は、COA構造を有するアクティブマトリクス基板30bと、アクティブマトリクス基板30bに対向するように設けられた対向基板40(
図2~
図4参照)と、アクティブマトリクス基板30b及び対向基板40の間に設けられた液晶層45(
図2~
図4参照)とを備えている。また、本実施形態の液晶表示装置において、表示領域には、上記第1の実施形態の液晶表示装置50と同様に、複数のサブ画素Pがマトリクス状に設けられている。なお、表示領域には、上記第1の実施形態の液晶表示装置50と同様に、赤色層16rが配置されたサブ画素P、緑色層16gが配置されたサブ画素P、青色層が配置されたサブ画素Pが互いに隣り合うように設けられている。
【0052】
アクティブマトリクス基板30bは、
図16~
図18に示すように、ガラス基板等のベース基板10aと、ベース基板10a上に複数のサブ画素Pに対応して設けられた複数のTFT5と、各TFT5上に設けられたカラーフィルタ16と、カラーフィルタ16上に設けられた有機保護膜17と、有機保護膜17上に第1透明電極として設けられた共通電極18baと、共通電極18ba上に設けられた無機保護膜19bと、無機保護膜19b上に第2透明電極としてそれぞれ設けられた複数の画素電極23bと、各画素電極23b上に設けられた表面保護膜25と、表面保護膜25上に設けられた配向膜26とを備えている。また、アクティブマトリクス基板30bは、上記第1の実施形態のアクティブマトリクス基板30aと同様に、複数のゲート線11及び複数のソース線14を備えている。
【0053】
共通電極18baは、
図15に示すように、有機保護膜17上に複数のサブ画素Pに共通して設けられている。また、共通電極18baには、
図15及び
図16に示すように、コンタクトホールHと重なるように開口部Mが共通電極18baを貫通するように矩形状に設けられている。さらに、共通電極18baの開口部Mの内部には、
図15及び
図16に示すように、コンタクトホールHの底面及び側面と重なるように、共通電極18baと同一材料により同一層に形成された透明導電層18bbが共通電極18baと離間して凹状に設けられている。
【0054】
画素電極23bは、
図15に示すように、矩形状に設けられている。ここで、複数の画素電極23bは、複数のサブ画素Pに対応してマトリクス状に設けられている。また、画素電極23bは、共通電極18ba、及び共通電極18baとの間に設けられた無機保護膜19bと共に、各サブ画素Pの補助容量を構成している。また、画素電極23bは、
図16に示すように、コンタクトホールHに設けられた透明導電層18bbを介して、TFT5のドレイン電極14bに電気的に接続されている。また、画素電極23bには、
図15及び
図18に示すように、液晶層45を配向させるためのスリットSbが画素電極23bを貫通するように帯状に設けられている。なお、スリットSbの一方(
図15中の左下側)の端部は、後述する反射抑制形成層Bpと交差するように設けられている。また、画素電極23bと表面保護膜25との間には、
図16に示すように、樹脂充填層24が設けられている。また、画素電極23bと無機保護膜19bとの間において、無機保護膜19b上には、
図15、
図17及び
図18に示すように、互いに異なる色の着色層の境界部分Lにその境界部分Lと重なるように反射抑制層Bが設けられている。
【0055】
反射抑制層Bは、
図15に示すように、各ソース線14に重なるようにサブ画素P毎に途切れ途切れに帯状に設けられている。また、反射抑制層Bは、
図17及び
図18に示すように、無機保護膜19b上に順に積層された第1金属層20b、中間層21b及び第2金属層22bを備え、液晶層45側から入射する光を第2金属層22bで反射し、第2金属層22bで反射せずに第2金属層22bを透過した光を第1金属層20bで反射し、第2金属層22bで反射した光と第1金属層20bで反射した光とが互いに打ち消し合うことにより、液晶層45側から入射する光の反射を抑制するように構成されている。ここで、第1金属層20bは、例えば、厚さ60nm以上程度のタングステン膜、モリブデン膜、モリブデン-タングステン合金等の金属膜により構成されている。また、中間層21bは、例えば、屈折率1.8~2.1程度であり、厚さ40nm~90nm程度の窒化シリコン膜等の無機絶縁膜、ITO膜やIZO膜等の透明導電膜により構成されている。また、第2金属層22bは、例えば、厚さ2nm~15nm程度のタングステン膜、モリブデン膜等の金属膜により構成されている。また、反射抑制層Bには、
図15及び
図18に示すように、スリットSbの一方(
図15中の左下側)の端部と重ならないように切り欠き部Cが設けられている。ここで、切り欠き部Cの端面と、その切り欠き部Cに対応するスリットSaの端部の端面とは、面一に設けられている。
【0056】
なお、本実施形態では、各サブ画素Pにおいて、反射抑制層Bの長さ方向(
図15中のX方向)の両端面が画素電極23bの長さ方向(
図15中のX方向)の両端面よりも内側に配置するアクティブマトリクス基板30bを例示したが、
図19に示すようなアクティブマトリクス基板30cであってもよい。具体的にアクティブマトリクス基板30cでは、
図19に示すように、反射抑制層Bの長さ方向(図中のX方向)の両端面が画素電極23bの長さ方向(図中のX方向)の両端面と面一になっている。
【0057】
本実施形態の液晶表示装置は、上記第1の実施形態の液晶表示装置50と同様に、各画素電極23bと共通電極18baとの間に配置する液晶層45及び補助容量に所定の電圧を印加して、基板表面に沿う方向、すなわち、横方向に生じる電界によって、液晶層45の配向状態を変えることにより、各サブ画素Pのパネル内を透過する光の透過率を調整して、画像表示を行うように構成されている。
【0058】
次に、本実施形態の液晶表示装置の製造方法について、アクティブマトリクス基板30bの製造方法を中心に説明する。ここで、
図20~
図25は、アクティブマトリクス基板30bの製造工程の一部を連続的に示す第1~第6の断面図である。なお、
図20~
図25の断面図では、破断線を挟んで、図中の右側部分、中央部分及び左側部分が
図16、
図17及び
図18の断面図に対応する部分をそれぞれ示している。
【0059】
まず、上記第1の実施形態のアクティブマトリクス基板30aの製造方法において、層間絶縁膜15にコンタクトホールHが形成された基板表面に、例えば、スパッタリング法により、ITO膜又はIZO膜の第1透明導電膜18(
図8参照)を成膜した後に、第1透明導電膜18に対して、フォトリソグラフィ、エッチング及びレジストの剥離洗浄を行うことにより、
図20に示すように、開口部Mを有する共通電極18ba、及び透明導電層18bbを形成する(第1透明電極形成工程)。
【0060】
続いて、共通電極18ba等が形成された基板表面に、例えば、プラズマCVD法により、厚さ100nm程度の窒化シリコン膜等の無機絶縁膜19を成膜し、スパッタリング法により、厚さ60nm程度のモリブデン-タングステン合金膜等の第1金属膜20、厚さ60nm程度の窒化シリコン膜等の中間膜21及び厚さ6nm程度のモリブデン膜等の第2金属膜22を成膜した後に、
図21に示すように、その基板表面に、フォトリソグラフィによりレジストRcを形成する。
【0061】
その後、レジストRcから露出する第1金属膜20、中間膜21及び第2金属膜22に対して、フッ素系ガスを用いたドライエッチングを行うことにより、
図22に示すように、第1金属層20bp、中間層21bp及び第2金属層22bpが積層された反射抑制形成層Bpを形成する(反射抑制形成層形成工程)。
【0062】
さらに、レジストRcの剥離洗浄を行った後に、無機絶縁膜19に対して、フォトリソグラフィ、エッチング及びレジストの剥離洗浄を行うことにより、
図23に示すように、無機保護膜19bを形成する(無機保護膜形成工程)。
【0063】
続いて、無機保護膜19bが形成された基板表面に、例えば、スパッタリング法により、厚さ70nm程度のITO膜又はIZO膜の第2透明導電膜23を成膜した後に、
図24に示すように、その基板表面にフォトリソグラフィによりレジストRdを形成する。
【0064】
さらに、レジストRdから露出する第2透明導電膜23及び反射抑制形成層Bpに対して、フッ素系ガスを用いたドライエッチングを行うことにより、
図25に示すように、スリットSbを有する画素電極23b、並びに第1金属層20b、中間層21b及び第2金属層22bが積層され、切り欠き部Cを有する反射抑制層Bを形成する(第2透明電極形成工程)。
【0065】
続いて、画素電極23b等が形成された基板表面に、例えば、スピンコート法又はスリットコート法により、アクリル系の感光性樹脂(厚さ2.5μm程度)を塗布し、その塗布された感光性樹脂を部分的に露光した後に、現像することによりパターニングして、充填樹脂層24を形成する。
【0066】
さらに、充填樹脂層24が形成された基板表面に、例えば、プラズマCVD法により、窒化シリコン膜等の無機絶縁膜(厚さ30nm程度)を成膜することにより、表面保護膜25を形成する。
【0067】
最後に、表面保護膜25が形成された基板全体に、例えば、印刷法によりポリイミドの樹脂膜を塗布した後に、その樹脂膜に対して、ベーキング及びラビング処理を行うことにより、配向膜26を形成する。
【0068】
以上のようにして、アクティブマトリクス基板30bを製造することができる。
【0069】
さらに、上記のように製造されたアクティブマトリクス基板30bと対向基板40とをシール材を介して貼り合わせ、アクティブマトリクス基板30b及び対向基板40の間に液晶材料を封入することにより、液晶層45を形成することにより、本実施形態の液晶表示装置を製造することができる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態のアクティブマトリクス基板30b、それを備えた液晶表示装置及びアクティブマトリクス基板30bの製造方法によれば、第2透明電極形成工程において、画素電極23bのスリットSbから露出する反射抑制形成層Bpを除去して、スリットSbの一方の端部と重ならないように切り欠き部Cが設けられた反射抑制層Bを形成する。これにより、画素電極23bのスリットSbから反射抑制層Bが露出することがないので、液晶層45の配向乱れが抑制され、画素電極23bに形成されたスリットSbの端部における焼き付きや残像の発生を抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態のアクティブマトリクス基板30b、それを備えた液晶表示装置及びアクティブマトリクス基板30bの製造方法によれば、画素電極23bのスリットSbの一方の端部が反射抑制層Bとなる反射抑制形成層Bpと重なっているので、例えば、ヘッドマウントディスプレイ用途等の1000~1200ppi以上の超高精細な画素サイズを実現することができる。
【0072】
また、本実施形態のアクティブマトリクス基板30b、それを備えた液晶表示装置及びアクティブマトリクス基板30bの製造方法によれば、第1金属層20b、中間層21b及び第2金属層22bが順に積層された反射抑制層B上に画素電極23bが設けられているので、製造工程を追加することなく、液晶層45側から入射する光の反射を効果的に抑制することができる。
【0073】
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、画素電極に接続されたTFTの電極をドレイン電極としたアクティブマトリクス基板を備えた液晶表示装置を例示したが、本発明は、画素電極に接続されたTFTの電極をソース電極と呼ぶアクティブマトリクス基板を備えた液晶表示装置にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上説明したように、本発明は、カラーフィルタオンアレイ構造を有するアクティブマトリクス基板を備えた横電界駆動方式の液晶表示装置について有用である。
【符号の説明】
【0075】
B 反射抑制層
Bp 反射抑制形成層
C 切り欠き部
H コンタクトホール
L 境界部分
P サブ画素
Sa,Sb スリット
5 TFT(薄膜トランジスタ)
10a ベース基板
16 カラーフィルタ
16g 緑色層(着色層)
16r 赤色層(着色層)
17 有機保護膜
18 第1透明導電膜
18a 画素電極(第1透明電極)
18ba 共通電極(第1透明電極)
19 無機絶縁膜
19a,19b 無機保護膜
20 第1金属膜
20a,20ap,20b,20bp 第1金属層
21 中間膜
21a,20ap,21b,21bp 中間層
22 第2金属膜
22a,22ap,22b,22bp 第2金属層
23 第2透明導電膜
23a 共通電極(第2透明電極)
23b 画素電極(第2透明電極)
30a,30b,30c アクティブマトリクス基板
40 対向基板
45 液晶層
50 液晶表示装置