(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154709
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】プランター
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20180101AFI20241024BHJP
【FI】
A01G9/02 101G
A01G9/02 101J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068684
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】516383899
【氏名又は名称】株式会社木風
(71)【出願人】
【識別番号】518346292
【氏名又は名称】株式会社ペッカー精工
(71)【出願人】
【識別番号】592105804
【氏名又は名称】下田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230117846
【弁護士】
【氏名又は名称】長友 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100217032
【弁理士】
【氏名又は名称】常本 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】後藤 瑞穂
(72)【発明者】
【氏名】小泉 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】澤田 賢二
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327ND01
2B327QB04
2B327QB22
2B327QC03
2B327RA02
2B327RA05
2B327RA14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】上容器の重量を中央付近と周壁部でバランスよく支持するとともに、嵌合した後に十分な大きさの空気穴を形成すると共に、勘合部分が略面一で、あたかも一体型のプランターに見える容器を提供する。
【解決手段】底面に水抜き等のための孔部を備えた上容器と上容器からもれた水分を受ける手段を備えた下容器とを嵌合して構成する上下二分割構造のプランターであって、上容器の荷重を支持するために、上容器の底面の中央付近に凹部を備えると共に下容器の中央付近に凸部を備えて、両者を嵌合させることによって上容器と下容器を嵌合させる第1の嵌合手段と、上容器を横方向から支持するために、上容器の周壁部の下部の形状の一部と下容器の周壁部の上部の形状の一部において、相互に略同一のラインを形成する嵌合用ラインを備えることにより、上容器と下容器の周壁部分の少なくとも一部において略面一で嵌合させる第2の嵌合手段とを備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に水抜き及び通気性確保のための孔部を備えた上容器と、上容器の底面から排水された水分を受ける手段を備えた下容器と、を嵌合して構成する、植物及び土を収容するための、上下二分割構造のプランターであって、
植物及び土を収容した前記上容器の鉛直荷重を支持するために、
前記上容器の底面の中央付近に中央凹部又は中央凸部を備えるとともに、前記下容器の中央付近に中央凸部又は中央凹部を備えて、当該上容器と下容器の中央凸部と中央凹部とを嵌合させることにより、
前記上容器と前記下容器を嵌合させる第1の嵌合手段と、
植物及び土を収容した前記上容器が水平方向に傾くのを支持するために、
少なくとも、前記上容器の周壁部の下部の形状の一部と、前記下容器の周壁部の上部の形状の一部において、相互に略同一のラインを形成する嵌合用ラインを備えることにより、
前記上容器と前記下容器の周壁部分の少なくとも一部において略面一で嵌合させる第2の嵌合手段とを備え、
前記第1の嵌合手段と、前記第2の嵌合手段によって、上容器と下容器の嵌合を行うこと、
を特徴とするプランター。
【請求項2】
請求項1に記載のプランターにおいて、
前記第2の嵌合手段が、一方の容器の窪んだ領域で形成された周壁凹部と、他方の容器の突起状に形成された周壁凸部とが重なり合うように構成された周壁凹部凸部重合手段によって構成されたこと、
を特徴とするプランター。
【請求項3】
請求項2に記載のプランターにおいて、
前記第2の嵌合手段における前記周壁凹部凸部重合手段が、周壁部の面で略面一に構成されたこと、
を特徴とするプランター。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一つに記載のプランターにおいて、
前記第2の嵌合手段における前記嵌合用ラインが山型状の形状であること、
を特徴とするプランター。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一つに記載のプランターにおいて、
さらに、前記上容器の周壁部の下部の形状と、前記下容器の周壁部の上部の形状とが、略面一にならず所定の距離を置く形状となっている空気穴形成用ラインを備え、
前記上容器と前記下容器を嵌合させた後に、前記上容器の周壁部の下部の形状と、前記下容器の周壁部の形状で構成される前記空気穴形成用ラインと、によって所定の空気穴を形成する嵌合後空気穴形成手段を備え、
前記嵌合後空気穴形成手段によって周囲の空間から取り込んだ空気を、前記上容器と下容器とを嵌合させた際に前記上容器の底部と前記下容器との間に形成される空間に導入すること、
を特徴とするプランター。
【請求項6】
請求項5に記載のプランターにおいて、
前記嵌合後空気穴形成手段における前記空気穴形成用ラインが、谷型状の形状であること、
を特徴とするプランター。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか一つに記載のプランターにおいて、
前記第2の嵌合手段における前記嵌合用ラインが山型状の形状であって、
さらに、前記上容器の周壁部の下部の形状と、前記下容器の周壁部の上部の形状とが、略面一にならず所定の距離を置く形状となっている空気穴形成用ラインを備え、
前記上容器と前記下容器を嵌合させた後に、前記上容器の周壁部の下部の形状と、前記下容器の周壁部の形状で構成される前記空気穴形成用ラインと、によって所定の空気穴を形成する嵌合後空気穴形成手段を備え、
前記嵌合後空気穴形成手段における前記空気穴形成用ラインが、谷型状の形状であることにより、
前記第2の嵌合手段における山型状の前記嵌合用ラインと当該谷型状の空気穴形成用ラインとが滑らかに連続するラインを形成すること、
を特徴とするプランター。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一つに記載のプランターにおいて、
前記第2の嵌合手段における前記嵌合用ラインが、曲線又は角の数が三以上の多角形で構成されること、
を特徴とするプランター。
【請求項9】
請求項1~3いずれか一つに記載のプランターにおいて、
前記上容器及び前記下容器の断面が円形、楕円形、角の数が三以上の多角形で構成されること、
を特徴とするプランター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プランターなどの鉢植え容器に関するものであり、より具体的には、上下2分割構造の容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
室内で植物を植える場合、プランターなどの鉢植え容器が利用される。プランターなどの鉢植え容器には、底に小さな孔が複数設けられており、余分な水分を排水するほか、根から空気を取り込むといった通気性確保の機能を備えている。このため、プランターの底部に、別途受け皿を配置して、排水された水分やこぼれ落ちる土を受け止めるようにすることが多い。
このような、従来技術の一例を示したものが
図1である。
図1に示すように、プランターなどの鉢植え容器の底に小さな孔が複数設けられており(図示せず)、下部の側方には、空気穴が設けられている。
【0003】
しかし、受け皿は、プランターなどの鉢植え容器の底面積よりも広いものを用いる必要があるため、多くの専有面積を必要とするほか、見栄えが良くないなどの欠点があった(・・・欠点A)。
また、空気穴が下部の側方に設けられているが、空気穴の面積を大きくとることができないので、容器の下部から排水された水分が受け皿に溜って、鉢植え容器の底の孔を塞いでしまい、鉢植え容器の底に設けられた孔を通じた植物の根の呼吸を妨げるといった欠点があった(・・・欠点B)。
また、鉢植え容器の底と受け皿との間に空間がないので、湿気が停滞しやすく、植物の根腐れなどを誘発するといった不都合もあった(・・・欠点C)。
【0004】
そこで、受け皿ではなく、容器を上下二分割構造にする技術が採用されるようになった。
例えば、特許文献1の「栽培鉢」では、上容器と下容器の分割構造を採用し、上容器の全周に渡って設けられた係合部(全周係合部(上))を、下容器の全周に渡って設けられた係合部(全周係合部(下))で支持しつつ、上容器の下部に、水注入口及び凹所で構成される開口部を備えた容器が開示されている(
図2参照)。
【0005】
また、特許文献2の「組合せ鉢」では、上容器と下容器の分割構造を採用し、上容器の全周に渡って設けられた係合部(全周係合部(上))を、下容器の全周に渡って設けられた係合部(全周係合部(下))で支持しつつ、下容器の上部の周囲の一部に切欠部を設けて、上容器の底部と下容器の切欠部との隙間(空気穴)ができるように構成した容器が開示されている(
図3参照)。
【0006】
また、特許文献3の「鉢構造」では、上容器と下容器の分割構造を採用し、下容器の中央付近に上容器を支持するための突起として支持用突起を備えた容器が開示されている(
図4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実全昭60-012953号公報
【特許文献2】特開昭52-102132号公報
【特許文献3】実登3215545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(1)特許文献1について
確かに、特許文献1に記載の技術によれば、受け皿のように広い面積を確保せずとも、上容器の断面積と同程度の面積で設置することが可能となり、見栄えもある程度改善された(・・・欠点Aの解消)。また、上容器の底部分に孔を設けたうえで、孔から漏れてきた余分な水分を下容器で受けるとともに、上容器の底と下容器の間に形成された空間を利用して、植物の根に対する、ある程度の通気性確保することができるようになった(・・・欠点Bの解消)。
しかし、特許文献1に記載の技術では、上容器の下端の全周係合部(上)と、下容器の上端の全周係合部(下)とを嵌合させることにより、上容器と下容器を嵌合させる構造となっており、上容器に搭載された植物や土の重さに耐えるために、全周の大部分で嵌合させる必要があり、上容器の下部において、全周の一部を切り欠いて、数少ない空気穴等(特許文献1の場合は水注入口又は凹所)を設ける程度に留めるしかなかった(
図2参照)。
【0009】
このため、上容器の底に設けられた孔を通して漏れてきた水分が、下容器に溜まり、湿気が停滞しやすく、植物の根腐れなどを誘発するといった不都合は解消されないままであった(・・・欠点Cの未解消)。
また、
図1の従来技術の場合、植物に水を与えすぎた際は、受け皿に水があふれだしてくるのを視認することができ適切な水分量を調整することができたが、特許文献1に記載の技術の場合、上容器から漏れだしてくる水分の量を視認することが難しく、水を多く与えすぎて、土や土中の養分が流れ出してくるのを防止することができないという新たな欠点(欠点D)が生じた(・・・欠点Dの発生)。
【0010】
(2)特許文献2について
また、特許文献2に記載の技術でも、上容器の下端の全周係合部(上)と、下容器の上端の全周係合部(下)とを嵌合させることで、上容器と下容器を嵌合させる構造となっており、上容器に搭載された植物や土の重さに耐えるために、強度を低下させる周壁部の切り欠きをできる限り設けることなく、全周の大部分で嵌合させる必要があり、下容器の上部において、全周の一部を切り欠いて(切り欠き部を参照)、上容器の底部との間にできた隙間を利用するなどして、数少ない、小さな空気穴を設ける程度に留めるしかなかった(
図3参照)。
【0011】
このため、下容器に溜まった水分や、上容器の底の孔から発生する水蒸気などによる湿気の換気を十分に行うことができず、植物の根腐れを誘発するといった欠点は解消されないままであった(・・・欠点Cの未解消)
また、数少ない、小さな空気穴を設ける程度に留めるしかなく、上容器から漏れだしてくる水分の量を視認することが難しく、水を多く与えすぎて、土や土中の養分が流れ出してくるのを防止することができないという新たな欠点(欠点D)が生じる点は、特許文献1と同様であった(・・・欠点Dの発生)。
【0012】
(3)特許文献3について
また、特許文献3に記載の技術では、
図4に示すように、支持用突起が中央付近で支えるものの、結局のところ、下容器は受け皿として機能するにとどまり、上容器の底部付近の湿気の換気性や通気性を確保することができないという不都合があった。
【0013】
(4)小括
以上の従来技術の欠点を纏めたのが
図5である。
図5の吹き出しで示すように、特許文献1および特許文献2に記載の技術では、容器の周壁だけで係合する態様のため、植物と土などの重量を支えるために下容器の周壁の全周で上容器と係合させる必要があり、空気穴を設ける場合はごく小さな面積で設けるしかなく、通気性の確保や湿気の喚起が不十分となる不都合は残ったままであった(・・・欠点Cの未解消)。
また、数少ない、小さな空気穴を設ける程度に留めるしかなく、上容器から漏れだしてくる水分の量を視認することが難しく、水を多く与えすぎて、土や土中の養分が流れ出してくるのを防止することができないという新たな欠点(欠点D)があった(・・・欠点Dの発生)。
【0014】
(5)本発明の目的
そこで、本発明では、上下二分割構造を採用しつつも、容器の側面の周壁部において、空気穴を十分な大きさで複数設けるとともに、上容器に格納する植物や土などの内容物の重量を周壁部だけで支持することとはせずに、容器の中心付近においても上容器に格納する内容物の重量を支持する構造を設けることにより、上容器の下部の孔部から排水された水分や湿気を十分に換気して根腐れを防止するとともに、根に十分な空気を送ることができるプランターを提供することを目的とする。
【0015】
また、周壁部の嵌合構造を工夫することにより、鉛直方向に対して水平方向の安定性を確保するとともに、外観上、あたかも上下二分割構造ではなく一体型であるかのような外観のプランターを提供することを目的とする。
【0016】
(6)補足
なお、特許文献1、2の技術と特許文献3の技術を組み合わせて、植物や土の重さを中央付近で支えつつ周壁部の強度が弱くても済むようにした上で、上容器と下容器の周壁部の嵌合部分の構造を間引いて空気穴を形成するという発想が過去に生まれなかったのは次のような理由によるものと推察している。
【0017】
第1に、プランターなどの鉢植え容器を利用して植物を育成する利用者のニーズだけでは、植物の育成に必要な容器が備えるべき構造、性能ないし機能を十分に把握することができないため、容器のメーカー側のシーズとして、(利用者も気が付かないような)構造、性能ないし機能を生み出す必要があったこと、そのためには、容器のメーカー側が植物の育成に関する深い理解が必要であったことが考えられる。
また、前述のようなシーズを生み出して製品として現実化しようとする際に、容器(構造物)へ外力が加わった際の内力や、変形に対する構造力学および材料力学等における高度な知見や経験、そして、金型の製造技術や加工技術等における高度な知見や経験が必要になることが考えられる。
【0018】
つまり、特許文献1、2の技術と特許文献3の技術を組み合わせて、植物や土の重さを中央付近で支えつつ周壁部の強度が弱くても済むようにした上で、上容器と下容器の周壁部の嵌合部分の構造を間引いて空気穴を形成するという発想を生み出すためには、植物の育成に関する深い洞察力や長年の経験と、構造力学や材料力学等における高度な知見や経験、及び、容器の製造に関する金型や加工技術などの高度な加工・生産技術などが必要であったため、そのような発想には至らなかったものと推察される。
【0019】
このような中で、本発明の開発においては、植物の育成に関する深い知識や経験を持った技術者と、構造力学や材料力学等における高度な知見や経験、及び、容器の製造に関する金型や加工技術などの高度な加工・生産技術を備えた技術者の異分野の混成チームを編成して、鉢植え容器に本来必要となる機能(シーズ)を創出するとともに、当該機能を現実化させるための課題を洗い出し、チームとして課題解決に当たることで本発明のプランターを開発することに成功した。
以下、本発明の内容について説明する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、
底面に水抜き及び通気性確保のための孔部を備えた上容器と、上容器の底面から排水された水分を受ける手段を備えた下容器と、を嵌合して構成する、植物及び土を収容するための、上下2分割構造のプランターであって、
植物及び土を収容した前記上容器の鉛直荷重を支持するために、
前記上容器の底面の中央付近に中央凹部又は中央凸部を備えるとともに、前記下容器の中央付近に中央凸部又は中央凹部を備えて、当該上容器と下容器の中央凸部と中央凹部とを嵌合させることにより、
前記上容器と前記下容器を嵌合させる第1の嵌合手段と、
植物及び土を収容した前記上容器が水平方向に傾くのを支持するために、
少なくとも、前記上容器の周壁部の下部の形状の一部と、前記下容器の周壁部の上部の形状の一部において、相互に略同一のラインを形成する嵌合用ラインを備えることにより、
前記上容器と前記下容器の周壁部分の少なくとも一部において略面一で嵌合させる第2の嵌合手段とを備え、
前記第1の嵌合手段と、前記第2の嵌合手段によって、上容器と下容器の嵌合を行うこと、
を特徴とするプランターである。
このような構成により、まず、容器中央付近の第1の嵌合手段によって、植物や土などの重量の大部分を支えるとともに、容器周壁部に第2の嵌合手段を設けることで、上容器の横方向の安定性をプラスすることが可能となる。
また、容器周壁部の第2の嵌合手段は、上容器と下容器の周壁部の双方に略同一のラインを形成する嵌合用ラインを備えることで実現するので、上容器と下容器を嵌合させたときに、上容器と下容器と同一のラインで嵌合させることができ、美的な外観を提供することができる。
【0021】
第2の発明は、
第1の発明に記載のプランターにおいて、
さらに、前記第2の嵌合手段が、一方の容器の窪んだ領域で形成された周壁凹部と、他方の容器の突起状に形成された周壁凸部とが重なり合うように構成された周壁凹部凸部重合手段によって構成されたこと、
を特徴とするプランターである。
このような構成により、第1の発明である容器中央付近の第1の嵌合手段によって、植物や土などの重量の大部分を中央付近で支えるとともに、第2の嵌合手段において、さらに、周壁凹部凸部重合手段を備えることにより、上容器の下部の周壁部を側方から支えることができ、上容器の横方向の安定性をさらに高めることができる。
【0022】
第3の発明は、
第2の発明に記載のプランターにおいて、
前記第2の嵌合手段における前記周壁凹部凸部重合手段が、周壁部の面で略面一に構成されたこと、
を特徴とするプランターである。
このような構成により、第1又は第2の発明に記載の嵌合用ラインによって上容器と下容器の嵌合部分のラインが同一のラインで嵌合することに加えて、面で見たときにも面一とすることで、上容器と下容器を嵌合させたときに、あたかも一体型の容器であるかのような美的な外観を提供することができる。
【0023】
第4の発明は、
第1~3の発明いずれか一つに記載のプランターにおいて、
前記第2の嵌合手段における前記嵌合用ラインが山型状の形状であること、
を特徴とするプランターである。
嵌合用ラインが山型状の形状であることにより、上容器の重量を分散して均一的に受け止めることが可能となる。
【0024】
第5の発明は、
第1~第3の発明のいずれか1つに記載のプランターにおいて、
さらに、前記上容器の周壁部の下部の形状と、前記下容器の周壁部の上部の形状とが、略面一にならず所定の距離を置く形状となっている空気穴形成用ラインを備え、
前記上容器と前記下容器を嵌合させた後に、前記上容器の周壁部の下部の形状と、前記下容器の周壁部の形状で構成された前記空気穴形成用ラインと、によって所定の空気穴を形成する嵌合後空気穴形成手段を備え、
前記嵌合後空気穴形成手段によって周囲の空間から取り込んだ空気を、前記上容器の底面に設けた通気性確保のための孔部を介して、上容器の内部に導入すること、
を特徴とするプランターである。
【0025】
前記の第1~3に記載の発明によって、容器中央付近の第1の嵌合手段によって、植物や土などの重量の大部分を中央付近で支えるとともに、第2の嵌合手段において、さらに、周壁凹部凸部重合手段を備えることにより、上容器の下部の周壁部を側方から支えることができるので、容器の周壁部において上容器を支える構造の有効長を少なくすることができる。
換言すると、上容器を支えるための構造を削って、空気穴を形成するための嵌合後空気穴形成手段を設けることができ、上容器と下容器を嵌合させたときに、比較的大きな開口部を持つ空気穴を現出させることができるので、上容器の底に延びる植物の根に対する通気性を確保したり、上容器の底から排水された余分な水分による湿気を喚起したりすることが可能となる。
ここで、「前記上容器の周壁部の下部の形状と、前記下容器の周壁部の上部の形状とが、略面一にならず所定の距離を置く形状となっている」とは、後述のように、
図10の上容器100の底部140のラインと下容器200の空気穴形成用ライン240とが所定の距離を置いていて、上容器と下容器を嵌合した後に形成される空気穴に一定の面積を確保できるように構成されていることを意味する。
【0026】
第6の発明は、第5の発明に記載のプランターにおいて、
前記嵌合後空気穴形成手段における前記空気穴形成用ラインが、谷型状の形状であること、
を特徴とするプランターである。
谷型状の形状の空気穴形成用ラインによれば、第1の容器と第2の容器を嵌合させた後に形成される空気穴の有効面積を大きくとることができ、換気性能を十分に確保することができる。
【0027】
第7の発明は、
第1~3に記載の発明のいずれか一つに記載のプランターにおいて、
前記第2の嵌合手段における前記嵌合用ラインが山型状の形状であって、
さらに、前記上容器の周壁部の下部の形状と、前記下容器の周壁部の上部の形状とが、略面一にならず所定の距離を置く形状となっている空気穴形成用ラインを備え、
前記上容器と前記下容器を嵌合させた後に、前記上容器の周壁部の下部の形状と、前記下容器の周壁部の形状で構成された前記空気穴形成用ラインと、によって所定の空気穴を形成する嵌合後空気穴形成手段を備え、
前記嵌合後空気穴形成手段における前記空気穴形成用ラインが、谷型状の形状であることにより、
前記第2の嵌合手段における山型状の前記嵌合用ラインと当該谷型状の空気穴形成用ラインとが滑らかに連続するラインを形成すること、
を特徴とするプランターである。
前記第2の嵌合手段における山型状の前記嵌合用ラインと当該谷型状の空気穴形成用ラインとが滑らかに連続するラインを形成することにより、山型状の形状を有する周壁凸部の裾野が広がったような構成となり強度が増すことで、上容器と下容器の周壁部における嵌合箇所である嵌合用ラインの位置合わせの精度を向上させることができる。
また、金型の製造をしやすくすると共に、山型の嵌合用ラインと谷型の空気穴形成用ラインが相互に反転するSIN波のようなラインを形成し、美的な外観を備えたプランターを提供することができる(
図7参照)。
【0028】
第8の発明は、
第1~第3の発明のいずれか1つに記載のプランターにおいて、
前記第2の嵌合手段における前記嵌合用ラインが、曲線又は角の数が三以上の多角形で構成されること、
を特徴とするプランターである。
【0029】
第9の発明は、
第1~第3の発明のいずれか1つに記載のプランターにおいて、
前記上容器及び前記下容器の断面が円形、楕円形、角の数が三以上の多角形で構成されること、
を特徴とするプランターである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】従来技術を示す図であって、植物や土を格納する容器と、受け皿で構成する場合の一例を示す図である。
【
図2】従来技術を示す図であって、植物や土を格納する上容器と、上容器を全周で支えるための全周係合部を備えた下容器との2分割構造で構成する場合の一例を示す図である。
【
図3】従来技術を示す図であって、植物や土を格納する上容器と、上容器を全周で支えるための全周係合部を備えた下容器との2分割構造で構成する場合の一例を示す図である。
【
図4】従来技術を示す図であって、植物や土を格納する上容器と、中央付近に上容器を支持するための支持用突起を備えた下容器との2分割構造で構成する場合の一例を示す図である。
【
図5】従来技術の不都合な状況を示す図であって、上容器を全周で支えるための全周係合部を備えた下容器との2分割構造で構成する場合の一例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施例を示す図であって、本発明の従来技術に対する優位性の一例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を嵌合させた場合における、本発明の一例を示す斜視図である。
【
図8】本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を分離した場合における、横方向から見た斜視図である。
【
図9】本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を分離した場合における、やや上方から見た斜視図である。
【
図10】本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を分離した場合における、やや下方から見た斜視図である。
【
図11】本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を嵌合させた場合における、やや上方から見た斜視図である。
【
図12】本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を嵌合させた場合において、第2の勘合手段の断面図である。
【
図13】本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を嵌合させた場合における、本発明の第1の嵌合手段と第2の嵌合手段による相乗効果の一例を示す正面図である。 なお、正面図の視点については、
図18にブロック矢印で明示した。
【
図14】本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を分離した場合における、本発明の一例を示す右側面図である。 なお、右側面図の視点については、
図18にブロック矢印で明示した。
【
図15】本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を分離した場合における、本発明の中央凸部と中央凹部による第1の嵌合手段の変形例の一例を示す右側面図である。
【
図16】本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を嵌合させた場合において、本発明の一例を示す右側面図である。
【
図17】本発明の一実施例を示す図であって、
図17(A)は上容器単独の平面図であり、
図17(B)は上容器単独の底面図である。
【
図18】本発明の一実施例を示す図であって、
図18(A)は下容器単独の平面図であり、
図18(B)は下容器単独の底面図である。
【
図19】本発明の一実施例を示す図であって、
図19(A)は、上容器と下容器を嵌合させた場合における平面図であり、
図19(B)は、容器と下容器を嵌合させた場合における底面図である。
【
図20】本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を分離した場合における、周壁凸部及び周壁凹部による周壁凹部凸部重合手段(第2の嵌合手段)の変形例の一例を示す、やや上方から見た斜視図である。
【
図21】本発明の一実施例を示す図であって、
図20の実施例の上容器とした容器を嵌合させた場合における、本発明の一例を示す、やや上方から見た斜視図である。
【
図22】本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を嵌合させた場合における、正面図である。
【
図23】本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を嵌合させた場合における、嵌合用ライン(第2の嵌合手段)の変形例の一例を示す正面図である。
【
図24】本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を嵌合させた場合における、嵌合用ライン(第2の嵌合手段)の変形例の一例を示す正面図である。
【
図25】本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を嵌合させた場合における、嵌合用ライン(第2の嵌合手段)の変形例の一例を示す正面図である。
【0031】
<用語の説明>
◇上容器とは、植物と土を格納する容器である。上容器の底部分には、水抜き及び通気性確保のための孔が設けられている。
◇下容器とは、上容器の底部分の孔から漏れてきた水分や土砂を受けるための容器である。
◇周壁部とは、上容器又は下容器の外側の周囲の壁のようになっている部分をいう。
◇支持とは、重量物を支えることを意味する。
◇容器に格納される土は、特に限定されないが、植物用の培養土などが用いられ、適宜、水はけを良くするために小石や砂利などが混入されたものが適している。上容器の下部には、大きめの小石や砂利を敷き詰めることが好ましい。
【0032】
◇全周係合部とは、上容器と下容器の2分割構造の容器の係合に際し、容器の周壁部の全周で係合することを意味する。全周で係合するのは、上容器に格納された植物や土の重量を支持するためである。
◇嵌合とは2つの構造体が互いにはまり合うことをいい、係合とは2つの構造体が係わり合っている状態をいう。いずれも、2つの構造体が弱く結合している状態を表す点で共通するが、嵌合は凹部と凸部のように一度嵌合するとある程度抜けにくい意味合いを有するに対し、係合とは、凸部どうしが接している場合も含む嵌合よりもやや弱い結合状態を意味する。
【0033】
◇孔部とは、上容器の底部分に設けられた孔であって、上容器に格納された土から排水された水分を排出するほか、上容器に格納された植物の根の呼吸を促進するための空気を通すための役割を有している。孔と表現したのは、格納した土砂が漏れだしにくいように、比較的小さな孔であることを企図したものであるが、上容器の底に土砂の漏れだし防止用のシートや網などを敷けば、孔部のサイズはどのようにでも調整できる。また、図面に記載された孔部の数や大きさないし形状はあくまで一例であって、任意の数や大きさないし形状を採用することができる。
◇空気穴とは、容器の周壁部に設けられた穴であって、空気を通すための孔を意味するが、水蒸気を通して湿気を換気するための役割も有している。また、他の構成要素によって上容器の重量を支えることができる場合には、空気穴を設ける部分の周辺の強度を下げて、空気穴を大きくとることができる。その場合には、空気を通す通気性、湿気を通す換気性の両機能を強化することができるほか、上容器の底の孔から漏れてくる余分な水分の量を正確に視認することも可能となる。
【0034】
◇中央凹部及び中央凸部は、上容器又は下容器の中央付近に設けられた凹んだ部位と凸状の部位であり、上容器に格納された植物及び土ないし上容器自体の重量を支えるための構造体である。本発明では、主に、上容器の底の中央付近に中央凹部が設けられ、下容器の中央付近に中央凸部が設けられている場合を例に説明するが、逆のパターンであっても構わない。中央凹部及び中央凸部は、上容器を中央付近で支持する機能を有しており、第1の嵌合手段の一要素をなしている。
【0035】
◇周壁凹部と周壁凸部は、上容器又は下容器の周壁部に設けられた周囲に対して凹んだ領域の部位と、凸状の部位であり、上容器に格納された植物及び土ないし上容器自体の重量を支えるための構造体である。周壁凹部と周壁凸部は、両者が重なり合うようにして嵌合ないし係合するので凹部凸部重合手段とも呼び、第2の嵌合手段の一要素をなしている。なお、周壁凹部と周壁凸部は、本発明の図面では、容器の周壁部に均等間隔で6か所設けるようにした図を用意したが、個数はこれに限定されず、大きさなどに応じて適宜変更される。
【0036】
◇嵌合用ラインとは、上容器と下容器の周壁部を嵌合させるためのラインであって、特に、上容器の周壁部の下方に設けられたラインを上容器勘合用ライン、下容器の周壁部の上方に設けられたラインを下容器勘合用ラインと呼ぶ。
両者を区別せずに、上容器勘合用ライン及び下容器勘合用ラインの総称として勘合用ラインと呼ぶこともあるし、上容器と下容器を結合した際において、上容器勘合用ラインと下容器勘合用ラインとが面一で嵌合している箇所を嵌合用ラインと呼ぶこともある。
上容器勘合用ラインと下容器勘合用ラインは略同一のラインで構成され、上容器と下容器を嵌合させた際に、密着して面一で接するように構成されている。勘合用ラインは、上容器を容器の側面から支持する機能を有しており、第2の嵌合手段の一要素をなしている。勘合用ラインは周壁凹部と周壁凸部の一部をなしており、詳細は、
図8、
図20などに図示した。なお、図面では、点線で示している。
【0037】
◇第1の嵌合手段とは、上容器の底付近を中央付近で支持する手段であって、中央凹部及び中央凸部によって構成される。
◇第2の嵌合手段とは、上容器の周壁部を側面から支持する手段であって、勘合用ラインを備えた周壁凹部と、勘合用ラインを備えた周壁凸部によって構成される。
【0038】
◇空気穴形成用ラインとは、下容器の周壁部に設けられたラインであって、上容器の重量を主に中央付近の第1の嵌合手段で支持することにより、下容器の周壁部による第2の嵌合手段の構造物の強度を落とすことができ、ひいては上容器と下容器が嵌合したときに空気穴を形成するための構成要素として設けたものである。上容器と下容器が嵌合して初めて、空気穴として機能することから、嵌合後空気穴形成手段と呼ぶことにする。なお、図面では、一点鎖線で示している。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施例について説明する。
なお、説明中のプランターの各部の構成はあくまで例示であって、他の形状や配置にも適用できる。
【0040】
1.本発明のプランターの構成
1-1.本発明のプランターの概要
図6は、本発明の一実施例を示す図であって、本発明の従来技術に対する優位性の一例を示す図である。
図6では、嵌合用ライン(第2の嵌合手段)130&230(点線部分)を、容器の周囲に等間隔で6個設けた場合の一例を示しているが、嵌合用ライン130&230(点線部分)の数は6個でなくてもよく、例えば3個ないし10数個などであっても構わない。
【0041】
図6によれば、上容器100が中央付近の第1の嵌合手段としての中央凹部と中央凹部120&220によって支持されるとともに、容器の周壁部に構成された第2の嵌合手段としての嵌合用ライン130&230(点線部分)によって側面からも支持されていることが分かる。
また、
図6によれば、下容器に設けられた嵌合後空気穴形成手段としての空気穴形成用ライン240(一点鎖線部分)によって、上容器100と下容器200を嵌合させた後に、比較的大きな空気穴250が形成されることが分かる。
【0042】
このため、本発明によれば、中央付近の第1の嵌合手段と、周壁部の第2の嵌合手段で嵌合させるため、重量の支持を中央付近と周壁部に分散させ、周壁部の係合箇所を適宜間引くことができるので、空気穴形成用ライン240(一点鎖線部分)を複数個所設けることができ、その結果、空気穴250を大きくかつ複数設けることで、通気性の確保や湿気の換気が可能となる。
【0043】
図7は、本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を嵌合させた場合における、本発明の一例を示す斜視図である。
図7においては、立体的な形状をよく表現するために、適宜陰影を施してあり、結合後空気穴形成手段によって形成された空気穴250を通して、内部の様子を伺うことができる。
例えば、多くの水を与えた場合に、上容器100の底部の孔部を通して排水された水分が、下容器200の水受部210(
図7では図示せず、
図9を参照)に溜まる様子や量を確認することができ、必要以上に水を与えることを防止することができる。
【0044】
容器の材質は、プラスチック製のほか、ポリプロピレン製、FRP(繊維強化プラスチック)、GRC(ガラス繊維補強セメント)、木製など、様々な材質を用いることができる。
【0045】
1-2.本発明のプランターの詳細
1-2-1.第1の嵌合手段と第2の嵌合手段の構成(
図8)
(1)第1の嵌合手段と第2の嵌合手段の特徴について
図8は本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を分離した場合における、横方向から見た斜視図である。
下容器200の周壁部には、第2の嵌合手段として、山型状の下容器嵌合用ライン(点線部分)230を備えた周壁凸部232が計6か所設けられている。
他方、上容器100の下方の周壁部には、第2の嵌合手段として、山型状の上容器嵌合用ライン130(点線部分)を備えた周壁凹部132が計6か所設けられている(うち4か所は図示せず)。
【0046】
下容器200の下容器嵌合用ライン230(点線部分)は、上容器100の上容器嵌合用ライン130(点線部分)と略同一のラインを描いており、上容器100と下容器200を組み合わせたときに、面一で接するように構成されている。
また、下容器200の周壁凸部232は、上容器100の周壁凹部132と面で接するように構成されており、両者の凸部と凹部を重ね合わせるように嵌合させるので、凹部凸部重合手段と呼ぶことにする。
この第2の嵌合手段は、下容器200の周壁凸部232が、内側の上容器100の周壁凹部132を押さえるように嵌合するので、外側から上容器100を抱え込むように支持する役割を有している(後掲の
図12、13参照)。
【0047】
また、下容器200の中央付近には、第1の嵌合手段として、突起状の中央凸部220が設けられ、上容器100の下部の中央付近に設けられた中央凹部120(
図8では図示せず、
図10の図示を参照)と嵌合するように構成されている。
この第1の嵌合手段によって、上容器100に格納される土や植物の重量の大部分を支持することができ、前述の第2の嵌合手段によって、外側から上容器を抱え込むように支持することで、水平方向の安定性を確保することができる。
また、第1の嵌合手段によって、上容器100に格納される土や植物の重量の大部分を支持することによって、下容器の周壁部の構造体(周壁凸部232)を比較的薄く構成することを可能とするほか、全周で支える必要がなくなるので、数か所の周壁部の構造体(周壁凸部232)を設ける程度で上容器100を支持することが可能となる。
【0048】
なお、第1の嵌合手段は、上容器100に格納される土や植物の重量の大部分を容器の中央付近で支持することができればよく、このため容器の略中央付近に設けられていれば足りるので、
図8に示すように、上下の容器で1か所の凸部と凹部の組み合わせであってもよいし、中央付近に数か所の凸部と凹部の組み合わせで構成するようにしてもよい。
また、第2の嵌合手段としての、上容器嵌合用ライン130及び周壁凹部132、下容器嵌合用ライン230及び周壁凸部232は、
図8などでは6か所設けられているが、容器の大きさなどに応じて変更することができ、3か所ないし10か所など他の個数であっても構わない。
【0049】
また、周壁凸部232には、上容器100の底部(周壁部の下方)の支持を補強するために、上容器係止部260を設けることもできる。中央凸部220と中央凹部120で構成される第1の嵌合手段で上容器の内容物の重量の大部分を支持するとともに、周壁部において、上容器勘合用ライン130を支持するための嵌合用ライン230を備えた下容器の周壁凸部232によって、上容器を支持するが、さらに上容器係止部260によって上容器の底部を支持することで、上容器の支持を補強することができる。
【0050】
また、下容器200の周壁部には、前述の下容器嵌合用ライン230(点線部分)と連続するように、谷型状の空気穴形成用ライン240(一点鎖線部分)が設けられており、下容器200と上容器100を嵌合させたときに、谷型状の比較的大きな空気穴を形成することを可能とする。上容器100と下容器200を嵌合させたときに空気穴が形成されるので、当該構成を嵌合後空気穴形成手段と呼ぶことにする。
また、第1の嵌合手段によって、上容器100に格納される土や植物の重量の大部分を支持することとし、全周で支える必要がないようにすることにより、空気穴形成用ライン240(一点鎖線部分)を比較的長く取ることができ、嵌合後に形成される空気穴を大きく取ることが可能となる。
【0051】
以上のように、第1の嵌合手段と第2の嵌合手段が相互に補完しあう役割を担っており、容器の中央付近に設けられた第1の嵌合手段が上容器に格納された土や植物の重量の大部分を支持するとともに、容器の周壁部に設けられた第2の嵌合手段によって適宜側方から上容器を支持することによって水平方向の揺れを防止するとともに、容器の周壁部の全周で上容器を支える必要がないように構成することにより、空気穴形成用ライン240を設けて、十分な面積の空気穴を形成することを可能としている。
【0052】
(2)第1の嵌合手段と第2の嵌合手段の位置合わせの精度確保について
下容器200には、嵌合用ライン230を備えた周壁凸部232が設けられているが、当該嵌合用ライン230と上容器100の上容器勘合用ライン130とを面一で嵌合させるためには、次に示す(a)、(b)のような理由により、相当な精度が要求される。
【0053】
(a)下容器の立体的形状に由来する精度確保の困難性
図8~10に示すように、下容器200の外形は、球体の下を切り取ったような略半球状の曲面で構成されており、中央から構造体が放射状に延びて6片の周壁凸部232を形成しており、(周壁凸部232を花びらに喩えた場合)あたかも花びらのように伸びていくような曲面で構成されているので、下容器200の下容器勘合用ライン130を備えた周壁凸部232の位置を、上容器100の上容器勘合用ライン132を備えた周壁凹部132の位置に精度よく嵌合させるためには、構造設計の工夫と、金型製造及び加工の技術が必要となるからである(・・・第2の嵌合手段における3次元的な位置合わせ)。
【0054】
(b)第1の嵌合手段と第2の嵌合手段の両方を加味した精度確保の困難性
また、この第2の嵌合手段は、第1の嵌合手段である、下容器200の中央付近の中央凸部220と上容器100の中央凹部120とが嵌合する際に、同時に嵌合させる必要があり、第1の嵌合手段と第2の嵌合手段の位置合わせという2重の意味で、より高い精度の構造設計と、金型製造及び加工の技術が必要となる。
本発明の開発チームは、上記(a)、(b)のような困難性が一因となって、従来技術において、本発明のような第1の嵌合手段と第2の嵌合手段を利用した嵌合手段を採用する着想を持てなかったのではないかと考えている。
【0055】
このような位置合わせの精度を確保するための工夫の一例としては、例えば、
図8及び後述の
図9に示したように、強度確保ないし精度確保用リブ270を設けて、下容器の中央付近から、周壁凸部232までの構造体の位置合わせの精度を確保することが考えられる。強度確保ないし精度確保用リブ270によれば、花びらに喩えた周壁凸部232が曲面状に外側に広がっていく際の角度を下容器200の底面付近で支持することにより、安定した精度を確保することが可能となるからである。
なお、強度確保ないし精度確保用リブ270の形状については、下容器200の周壁凸部232を上容器100の周壁凹部132と嵌合させる際に、ある程度の柔軟性を確保する必要があるので、所定の配置、厚み、形状を備えていることが求められる。
また、容器200の周壁凸部232を上容器100の周壁凹部132と嵌合させる際に、容器200の中心から周壁凸部232までの長さ(下容器の半径)を、上容器100の中心から周壁凹部132までの長さ(上容器の半径)より僅かに小さくすることで、嵌合の精度を向上させることができるが、そのための構造設計上、又は及び金型設計上の工夫も必要となる。
【0056】
また、
図8に示すように、山型状の下容器嵌合用ライン230と谷型状の空気穴形成用ライン240とが滑らかに連続するラインを形成することにより、山型状の形状を有する周壁凸部の裾野が広がったような構成となり強度が増すことで、上容器と下容器の周壁部における嵌合箇所である嵌合用ラインの位置合わせの精度を向上させることができる。
【0057】
1-2-2.上容器および下容器を内側から見た構成(
図9)
次に、上容器および下容器を内側から見た構成について
図9を用いて説明する。
図9は、本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を分離した場合における、やや上方から見た斜視図である。
(1)上容器の構造
上容器100の第1の勘合手段としての中央凹部120は、容器の内側に向かって窪んだ構造になっていることが分かる。これにより、下容器200の中央凸部220と嵌合して、上容器に格納された重量物である土や植物を中央付近で支持することが可能となる。
【0058】
上容器100の周壁部には、第2の嵌合手段として、略山型状のラインを有する上容器嵌合用ライン(点線部分)130及び、容器の内側に向かって窪んだ構造になっている周壁凹部(周壁凹部凸部重合手段)132が設けられている。
これにより、下容器200の周壁凸部232と嵌合して、側方から上容器を支持することが可能となる。
【0059】
また、上容器100の底部には、孔部111~113が複数設けられており、植物に水を与えた際に、土が吸収できずに余った水分を、下容器に向かって通過(排水)させたり、当該孔部を介して、植物の根に空気を送り込んだりすることができるようになっている。
なお、孔部111~113の形状はあくまで、一例であって、孔の大きさや形状は自由に設定することができる。
【0060】
(2)下容器の構造
下容器200の中央付近には、第1の勘合手段として、中央凸部220が設けられており、上容器の中央凸部120と嵌合して、中央付近で上容器をしっかりと支持することが可能となる。
また、下容器200の周壁部分には、第2の嵌合手段として、略山型状の下容器嵌合用ライン(点線部分)230を有する周壁凸部232が設けられており、上容器100の下部の周壁部の周壁凹部132と嵌合して、側方から上容器を支持することが可能となる。
また、下容器200の底に近い部分は略お椀状の形状を有する水受部210が設けられ、上容器100から漏れてきた水分や土の一部を受け止めることが可能となる。
なお、
図9によれば、下容器200の形状は、周壁凸部232を花びらに喩えて、花のような形状をしているが、この形状に限定されない。また、周壁凸部232の数も、
図9では6個であるが、これに限定されない。
【0061】
1-2-3.上容器および下容器を下側から見た構成(
図10)
次に、上容器および下容器を下側から見た構成について
図10を用いて説明する。
図10は、本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を分離した場合における、やや下方から見た斜視図である。
図9と同様に、第1の勘合手段として、上容器100の中央凹部120と、下容器200の中央凸部220(
図10では図示せず)とが嵌合して、下容器200が上容器100に格納された土や植物などの重量物を支持することが可能となる。
また、第2の嵌合手段として、上容器100の周壁部に設けられた第2の嵌合手段である上容器嵌合用ライン(点線部分)130を備えた周壁凹部132と、下容器200の周壁部に設けられた下容器嵌合用ライン(点線部分)230を備えた周壁凸部232とが嵌合して、上容器を側方から支持することが可能となる。
【0062】
また、下容器200の周壁部には、下容器嵌合用ライン230(点線部分)と滑らかに連続する空気穴形成用ライン240(一点鎖線部分)が設けられており、上容器100と下容器200を嵌合させた後に、上容器の底部140と空気穴形成用ライン240(一点鎖線部分)とで構成される十分な大きさの空気穴を形成して、湿気の換気性や通気性を確保することが可能となる。
【0063】
1-2-4.上容器および下容器を嵌合した構成について(
図11)
次に、上容器および下容器を嵌合させた構成について
図11を用いて説明する。
図11は、本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を嵌合させた場合における、やや上方から見た斜視図である。
図11によれば、上容器100と下容器200とを嵌合させた後に、空気穴形成用ライン240(一点鎖線部分)によって空気穴250が形成される様子が示されている。
また、上容器100の下部の周壁部に構成された第2の嵌合手段である上容器嵌合用ライン130と、下容器200の周壁部に構成された第2の嵌合手段である下容器嵌合用ライン230とが面一で接することで、一つの嵌合用ライン130&230(点線部分)を形成する様子が示されている。
【0064】
1-2-5.第2の嵌合手段としての周壁凹部凸部重合手段について(
図12)
次に、第2の嵌合手段の役割について
図12を用いて説明する。
図12は、本発明の一実施例を示す図であって、上容器100と下容器200を嵌合させた場合において、第2の勘合手段付近のA-A線断面図である(A-A線については
図11参照)。
図12(イ)は、上容器100の周壁凹部132の凹部の深さに対し、下容器200の周壁凸部232の厚みが薄い場合を示す図である。
図12(ロ)は、上容器100の周壁凹部132の凹部の深さに対し、下容器200の周壁凸部232の厚みが同じ場合を示す図であり、上容器100の外側の構成面に対し、下容器200の外側の構成面が面一にある状態を示している。
図12(ハ)は、上容器100の周壁凹部132の凹部の深さに対し、下容器200の周壁凸部232の厚みが大きい場合を示す図である。
【0065】
本発明の第2の嵌合手段としての周壁凹部凸部重合手段は、
図12(イ)~(ハ)のいずれの態様であっても、下容器200の周壁部の周壁凸部232が、上容器100の周壁凹部132と重なり合うようにして嵌合することにより、上容器100を側方から支持することができることが分かる。
なお、
図12(ロ)の構成の場合、上容器嵌合用ライン130と下容器嵌合用ライン230が同一形状のラインを形成するように構成することと相まって、上容器100と下容器200嵌合部の境目が見えなくなり、あたかも上下の容器が一体化しているかのような外観を提供することができる。
【0066】
1-2-6.第2の嵌合手段について(
図13)
次に、第1の嵌合手段と第2の嵌合手段の相乗効果について
図13を用いて説明する。
図13は、本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を嵌合させた場合における、本発明の第1の嵌合手段と第2の嵌合手段による相乗効果の一例を示す正面図である。
なお、
図13において、破線で示した部分は、容器を上から見た場合において、容器の中心を通るラインで容器を切断した場合の断面を示している。
図13によれば、容器に格納した土や植物などの内容物10の重量を、中央付近に設けられた上容器100の中央凹部120と下容器200の中央凸部220とが嵌合することで形成される第1の嵌合手段で支持することが示されている(容器の内容物の重量による鉛直方向の力の向きを表す↓と、鉛直方向の力を受け止める様子を表す↑を参照)。
【0067】
また、同時に、上容器100の周壁部に設けられた周壁凹部132と下容器200の周壁部に設けられた周壁凸部232とが重なり合うように嵌合することで形成される第2の嵌合手段によって、周壁部においても、上容器100を側方から支持することで、水平方向の安定性を確保することが可能となることが分かる(
図13右側の点線内において、容器の内容物の重量による水平方向の力の向きを表す→と、水平方向の力を受け止める様子を表す←、及び容器の内容物の重量による鉛直方向の力の向きを示す↓と、鉛直方向の力を受け止める様子を示す↑を参照)。
このように、本発明によれば、中央付近の第1の嵌合手段と、周壁部の第2の嵌合手段とで嵌合させるため、重量の支持を中央付近と周壁部に分散させるので、周壁部の係合箇所を適宜間引くことができるようになる。これにより、空気穴形成用ライン240(一点鎖線部分)を複数個所設けることができ、その結果として、大きな空気穴を複数設けることで、通気性の確保や湿気の換気が可能となる。
【0068】
1-2-7.第1の嵌合手段と第2の嵌合手段の位置関係について(
図14)
次に、第1の嵌合手段について
図14を用いて説明する。
図14は、本発明の一実施例を示す図であって、上容器100と下容器200を分離した場合における、本発明の一例を示す右側面図である。
右側面図の視点については、
図18にブロック矢印で明示した。
なお、
図14において、破線で示した部分は、容器を上から見た場合において、容器の中心を通るラインで容器を切断した場合の断面を示している。
上容器100の下部の中央付近には中央凹部120(点線部分)が設けられており、下容器200の中央付近に設けられた中央凸部220と嵌合するように構成されている。
また、上容器100の中央凹部120(点線部分)と、下容器200の中央凸部220とが嵌合したとき、上容器100の下方の周壁部に設けられた上容器嵌合用ライン130と下容器200の周壁部に設けられた下容器嵌合用ライン230とが面一で嵌合するように構成されている。
すなわち、中央付近の嵌合と周壁部の嵌合が同期するように、第1の嵌合手段と第2の嵌合手段の位置合わせが行われている。
【0069】
1-2-8.第1の嵌合手段の変形例について(
図15)
次に、第1の嵌合手段の変形例について
図15を用いて説明する。
図15は、本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を分離した場合における、本発明の中央凸部と中央凹部による第1の嵌合手段の変形例の一例を示す右側面図である。
右側面図の視点については、
図18にブロック矢印で明示した。
なお、
図15において、破線で示した部分は、容器を上から見た場合において、容器の中心を通るラインで容器を切断した場合の断面を示している。
上容器100の下方の中央付近には中央凸部122が設けられており、下容器200の中央付近には中央凹部222が設けられており、これらの凸部と凹部が嵌合することで、上容器に格納された土や植物などの重量を支持することができる。
【0070】
図15の中央凹部(下容器に設置)と中央凸部(上容器に設置)は、
図14などの中央凹部(上容器に設置)と中央凸部(下容器に設置)と逆のパターンであるが、容器の中央付近の第1の嵌合手段はいずれか一方が凹部、他方が凸部という関係にあってもよい。
さらに、両方が凸部で構成されて凸部同士が接する構造など、必ずしも両者が相互に嵌合する構成でなくてもよく、中央付近で上容器に格納された土や植物などの重量を支持する構成となっていれば足りる。
【0071】
1-2-9.上容器100と下容器200を嵌合した状態の右側面図(
図16)
次に、上容器100と下容器200を嵌合した状態の右側面図について
図16を用いて説明する。
図16は、本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を嵌合させた場合において、本発明の一例を示す右側面図である。
右側面図の視点については、
図18にブロック矢印で明示した。
図14又は
図15に示したように、上容器100と下容器200とは、第1の嵌合手段である中央付近の中央凸部と中央凹部とが嵌合するとともに、第2の嵌合手段である周壁部の嵌合用ラインを備えた周壁凹部と周壁凸部とが嵌合する構成となっている。
【0072】
そして、上容器100と下容器200とが嵌合した後、上容器嵌合用ライン130と下容器嵌合用ライン230は同じラインを有しているので、あとは
図12に示したように周壁凹部132の深さと周壁凸部232の厚みを略同一になるように調整して上容器と下容器の外面が面一になるようにすれば、両者の嵌合用ラインは渾然一体化して、その境界は視覚上ほぼ見えなくなるように構成することができる。
また、上容器100と下容器200とが嵌合した後、嵌合後空気穴形成手段としての空気穴形成用ライン240によって、初めて空気穴250が形成される。
【0073】
1-2-10.上容器単体の平面図と底面図(
図17)
次に、上容器単体の構成について説明する。
図17は、本発明の一実施例を示す図であって、
図17(A)は上容器単独の平面図であり、
図17(B)は上容器単独の底面図である。
図17(A)(B)によれば、上容器100の中央付近には第1の嵌合手段としての中央凹部120が設けられるとともに、孔部111~113が適宜複数設けられていることが分かる。
【0074】
第1の嵌合手段としての中央凹部120は、下容器200の中央凸部220を受ける役割を担っている。
上下の中央凹部と中央凸部は、逆のパターン、つまり、上容器が凸部、下容器が凹部で構成されていても構わない。
孔部111~113は、上容器100に格納された土から溢れ出た水分を下容器200に通す役割のほか、土に張った植物の根に空気を与えるための通気性確保の役割を担っている。
なお、孔部111~113の形状、数、大きさは適宜変更可能であり、
図17に記載された態様に限定されない。
【0075】
1-2-11.下容器単体の平面図と底面図(
図18)
次に、下容器単体の構成について説明する。
図18は、本発明の一実施例を示す図であって、
図18(A)は下容器単独の平面図であり、
図18(B)は下容器単独の底面図である。
図18(A)(B)によれば、下容器100の中央付近には第1の嵌合手段としての中央凸部220が設けられるとともに、その周囲には、水受部210が設けられていることが分かる。
【0076】
第1の嵌合手段としての下容器200の中央凸部220は、上容器100の中央凹部120を受ける役割を担っている。
上下の中央凹部と中央凸部は、逆のパターン、つまり、上容器が凸部、下容器が凹部で構成されていても構わない。
水受部210は、下容器200の底部分に構成され、上容器100に格納された土から溢れ出た水分やこぼれた土砂を受ける役割を担っており、水分を収容するための適度な容積を有している。
【0077】
1-2-12.上容器100と下容器200を嵌合した状態の平面図と底面図(
図19)
次に、上容器100と下容器200を嵌合した状態の平面図と底面図について説明する。
図19は、本発明の一実施例を示す図であって、
図19(A)は、上容器と下容器を嵌合させた場合における平面図であり、
図19(B)は、容器と下容器を嵌合させた場合における底面図である。
【0078】
図19(A)によれば、上容器100には孔部111~113が設けられ、例えば孔部111を通して、下容器200の水受部210を確認することができ、孔部
111~113を通過した水分や土砂が、下容器200の水受部210によって受ける構造になっていることが分かる。
また、
図19(A)と(B)によれば、下容器200の周壁凸部232が、上容器100の周壁凹部132と重なり合うように嵌合していることが示されている。
【0079】
1-3.その他の変形例
1-3-1.第2の嵌合手段の変形例(
図20、
図21)
次に、第2の嵌合手段である、容器の周壁部の上容器嵌合用ライン130と下容器嵌合用ライン230の構成の変形例について説明する。
図20は、本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を分離した場合における、周壁凸部及び周壁凹部による周壁凹部凸部重合手段(第2の嵌合手段)の変形例の一例を示す、やや上方から見た斜視図である。
【0080】
ここで、
図20と
図8を対比してみると、上容器において、
図8によれば、第2の嵌合手段である上容器嵌合用ライン130を備えた周壁凹部132は、周囲に対して窪んだ凹部として形成されているのに対し、
図20の変形例では、第2の嵌合手段である上容器嵌合用ライン130を備えた周壁凸部134は、凸部として構成されていることが分かる。
【0081】
また、下容器において、
図8によれば、第2の嵌合手段である上容器嵌合用ライン230を備えた周壁凹部232は、凸部として形成されているのに対し、
図20の変形例では、第2の嵌合手段である上容器嵌合用ライン230を備えた周壁凹部234は、周囲に対して窪んだ凹部として構成されていることが分かる。
すなわち、
図20と
図8との対比でみると、両者は、第2の嵌合手段である周壁凹部と周壁凸部の配置が、上下逆になっている。
【0082】
図21は、本発明の一実施例を示す図であって、
図20の実施例の上容器とした容器を嵌合させた場合における、本発明の一例を示す、やや上方から見た斜視図である。
ここで、
図21と
図11を対比してみると、
図11では、第2の嵌合手段である嵌合用ライン130&230は、上下の容器が嵌合した状態で山型状のラインを形成しているのに対し、
図21では、第2の嵌合手段である嵌合用ライン130&230は、上下の容器が嵌合した状態で谷型状のラインを形成していることが分かる。
【0083】
1-3-2.嵌合用ラインの形状の変形例(
図22~25)
図22は、本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を嵌合させた場合における、正面図である。
図14と
図22の関係は、
図22が容器を正面から見た場合の図であるのに対し、
図14は容器を側面から見た場合の図である。
正面図の視点、右側面図の視点については、
図18にブロック矢印で明示した。
ここで、第2の嵌合手段(下容器勘合用ライン230ないし周壁凸部232)が6個で構成されている態様の場合、正面から見たとき、第2の嵌合手段は、中央付近1か所と両端2か所の計3か所に観察される。他方、側面から見たとき、第2の嵌合手段は、中央に対して左右に2か所と、両端に2か所の計4か所に観察される。
【0084】
図23~
図25は、本発明の一実施例を示す図であって、上容器と下容器を嵌合させた場合における、嵌合用ライン(第2の嵌合手段)130&230の変形例の一例を示す正面図である。
正面図の視点については、
図18にブロック矢印で明示した。
図14では、嵌合用ライン(第2の嵌合手段)130&230は、山型の曲線状のラインであるのに対し、
図23では、嵌合用ライン(第2の嵌合手段)130&230が、山型の直線状のラインを形成した場合の例を示している。
【0085】
また、
図24では、嵌合用ライン(第2の嵌合手段)130&230が、8角形の上半分を切り取ったような直線状のラインを形成した場合の例を示している。
また、
図25では、嵌合用ライン(第2の嵌合手段)130&230が、3角形の上半分を切り取ったような直線状のラインを形成した場合の例を示している。
【0086】
1-3-3.容器の断面形状
以上、容器の水平面における断面が略円形である図を用いて説明したが、容器の水平面における断面の形状は、円形のほか、楕円形、又は角の数が三以上の多角形で構成されていても構わない。
【0087】
2.小括
以上のように、本発明によれば、容器中央付近の第1の嵌合手段によって、植物や土などの重量の大部分を支えるとともに、容器周壁部に第2の嵌合手段を設けることで、上容器の横方向の安定性をプラスすることが可能となる。
また、容器周壁部の第2の嵌合手段は、上容器と下容器の周壁部の双方に略同一のラインを形成する嵌合用ラインを備えることで実現するので、上容器と下容器を嵌合させたときに、上容器と下容器と同一のラインで嵌合させることができ、美的な外観を提供することができる。
【0088】
また、容器中央付近の第1の嵌合手段によって、植物や土などの重量の大部分を中央付近で支えるとともに、第2の嵌合手段において、さらに、周壁凹部凸部重合手段を備えることにより、上容器の下部の周壁部を側方から支えることができ、上容器の横方向の安定性をさらに高めることができる。
嵌合用ラインによって上容器と下容器の嵌合部分のラインが同一のラインで嵌合することに加えて、面で見たときにも面一とすることで、上容器と下容器を嵌合させたときに、あたかも一体型の容器であるかのような美的な外観を提供することができる。
【0089】
また、容器中央付近の第1の嵌合手段によって、植物や土などの重量の大部分を中央付近で支えるとともに、第2の嵌合手段において、さらに、周壁凹部凸部重合手段を備えることにより、上容器の下部の周壁部を側方から支えることができるので、容器の周壁部において上容器を支える構造の有効長を少なくすることができる。
換言すると、上容器を支えるための構造を削って、空気穴を形成するための嵌合後空気穴形成手段を設けることができ、上容器と下容器を嵌合させたときに、比較的大きな開口部を持つ空気穴を現出させることができるので、上容器の底に延びる植物の根に対する通気性を確保したり、上容器の底から排水された余分な水分による湿気を換気したりすることが可能となる。
【0090】
また、水を与えたときに、多少染み出してくる程度に水を与えるがよいとされているが、この嵌合後空気穴形成手段によれば、比較的大きな観察窓としても機能するので、余分な水分がこぼれ落ちる様子を観察でき、ちょうどよい水分を与えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明のプランターは、観葉植物の栽培以外にも、野菜の栽培など水分を多く必要とする用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0092】
10 内容物(土など)
100 上容器
111 孔部
112 孔部
113 孔部
120 中央凹部
130 上容器嵌合用ライン
132 周壁凹部
140 底部
200 下容器
210 水受部
220 中央凸部
230 下容器嵌合用ライン
232 周壁凸部
240 空気穴形成用ライン
250 空気穴