(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154723
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20241024BHJP
G06Q 10/08 20240101ALI20241024BHJP
【FI】
G01L5/00 Z
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068711
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】石井 裕充
(72)【発明者】
【氏名】市川 洋光
【テーマコード(参考)】
2F051
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
2F051AA01
2F051AB06
2F051BA07
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】簡易且つ安価にタイヤの荷重を予測する。
【解決手段】ネットワークと通信可能な情報処理装置1であって、制御部を含み、制御部は、車両2の空荷時の重量と、前車両に搭載される荷物の重量とを示す重量情報を取得することと、車両2の進行方向の右側に設けられた複数のタイヤと進行方向の左側に設けられた複数のタイヤとの少なくとも一方の温度情報を取得することと、複数のタイヤの間の温度の比率に基づいて、複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重の比率を算出することと、重量情報と荷重の比率とから、複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重を推定することと、を含む動作を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークと通信可能な情報処理装置であって、制御部を含み、前記制御部は、
車両の空荷時の重量と、前記車両に搭載される荷物の重量とを示す重量情報を取得することと、
前記車両の進行方向の右側に設けられた複数のタイヤと前記進行方向の左側に設けられた複数のタイヤとの少なくとも一方の温度情報を取得することと、
前記複数のタイヤの間の温度の比率に基づいて、前記複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重の比率を算出することと、
前記重量情報と前記荷重の比率とから、前記複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重を推定することと、
を含む動作を実行する、情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、前記動作は、
前記温度情報を、前記複数のタイヤのそれぞれに設けられたセンサから前記ネットワークを介して取得することを含む、情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置において、前記車両につき、
前記車両の積載時と空荷時との切り替わり頻度が所定の定数より小さいことと、
前記複数のタイヤはいずれも単輪であることと、
前記車両は同一地域内を所定の速度よりも低い速度で走行することと、
のうち少なくとも1つの条件が満たされる、情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置において、
前記車両はストラドルキャリアである、情報処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理装置において、
各タイヤにつき温度と荷重とは比例関係に無く、
前記動作は、タイヤの特性からタイヤの荷重と温度との関係を補正して、前記温度の比率から前記荷重の比率を算出することを含む、情報処理装置。
【請求項6】
ネットワークと通信可能な情報処理装置による情報処理方法であって、
車両の空荷時の重量と、前記車両に搭載される荷物の重量とを示す重量情報を取得することと、
前記車両の進行方向の右側に設けられた複数のタイヤと前記進行方向の左側に設けられた複数のタイヤとの少なくとも一方の温度情報を取得することと、
前記複数のタイヤの間の温度の比率に基づいて、前記複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重の比率を算出することと、
前記重量情報と前記荷重の比率とから、前記複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重を推定することと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤの荷重予測方法として、歪センサを用いた方法が知られている(例えば特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の従来技術は汎用的な手法ではあるものの、比較的複雑な計算を要する。また、各タイヤに歪センサを取り付けることは、コスト増につながる場合がある。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本開示の目的は、簡易且つ安価にタイヤの荷重を予測することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態としての情報処理装置は、
〔1〕
ネットワークと通信可能な情報処理装置であって、制御部を含み、前記制御部は、
車両の空荷時の重量と、前記車両に搭載される荷物の重量とを示す重量情報を取得することと、
前記車両の進行方向の右側に設けられた複数のタイヤと前記進行方向の左側に設けられた複数のタイヤとの少なくとも一方の温度情報を取得することと、
前記複数のタイヤの間の温度の比率に基づいて、前記複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重の比率を算出することと、
前記重量情報と前記荷重の比率とから、前記複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重を推定することと、
を含む動作を実行する、情報処理装置、である。
【0007】
本開示の一実施形態としての情報処理装置は、
〔2〕
上記〔1〕に記載の情報処理装置において、前記動作は、
前記温度情報を、前記複数のタイヤのそれぞれに設けられたセンサから前記ネットワークを介して取得することを含む、情報処理装置、である。
【0008】
本開示の一実施形態としての情報処理装置は、
〔3〕
上記〔1〕又は〔2〕に記載の情報処理装置において、前記車両につき、
前記車両の積載時と空荷時との切り替わり頻度が所定の定数より小さいことと、
前記複数のタイヤはいずれも単輪であることと、
前記車両は同一地域内を所定の速度よりも低い速度で走行することと、
のうち少なくとも1つの条件が満たされる、情報処理装置、である。
【0009】
本開示の一実施形態としての情報処理装置は、
〔4〕
上記〔3〕に記載の情報処理装置において、
前記車両はストラドルキャリアである、情報処理装置、である。
【0010】
本開示の一実施形態としての情報処理装置は、
〔5〕
上記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の情報処理装置において、
各タイヤにつき温度と荷重とは比例関係に無く、
前記動作は、タイヤの特性からタイヤの荷重と温度との関係を補正して、前記温度の比率から前記荷重の比率を算出することを含む、情報処理装置、である。
【0011】
本開示の一実施形態としての情報処理方法は、
〔6〕
ネットワークと通信可能な情報処理装置による情報処理方法であって、
車両の空荷時の重量と、前記車両に搭載される荷物の重量とを示す重量情報を取得することと、
前記車両の進行方向の右側に設けられた複数のタイヤと前記進行方向の左側に設けられた複数のタイヤとの少なくとも一方の温度情報を取得することと、
前記複数のタイヤの間の温度の比率に基づいて、前記複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重の比率を算出することと、
前記重量情報と前記荷重の比率とから、前記複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重を推定することと、
を含む情報処理方法、である。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一実施形態によれば、簡易且つ安価にタイヤの荷重を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】第4のタイヤと他のタイヤとの関係を示す図である。
【
図7】第1のタイヤと第3のタイヤとの関係を示す図である。
【
図8】第5のタイヤと他のタイヤとの関係を示す図である。
【
図9】第1のタイヤと第5のタイヤとの関係を示す図である。
【
図10】タイヤの荷重と温度との関係を示す図である。
【
図11】情報処理装置にて実行される動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本実施形態の情報処理システムSの概略図である。情報処理システムSは、ネットワークNWを介して互いに通信可能な情報処理装置1と車両2とを含む。ネットワークNWは、例えば移動体通信網、インターネット、又は固定通信網を含む。
【0015】
図1では説明の簡便のため、情報処理装置1と車両2とは1つずつ図示される。しかし、情報処理装置1と車両2とのそれぞれの数はこれに限られない。例えば、本実施形態の情報処理装置1が実行する処理は、分散配置された複数の情報処理装置1によって実行されてよい。
【0016】
情報処理装置1は、データセンタなどの施設に設置される。情報処理装置1は、クラウドコンピューティングシステム又はその他のコンピューティングシステムに属するサーバなどのコンピュータである。
【0017】
図2を参照して情報処理装置1の内部構成が詳細に説明される。
【0018】
情報処理装置1は、制御部11と通信部12と記憶部13とを含む。情報処理装置1の各構成要素は、例えば専用線を介して互いに通信可能に接続される。
【0019】
制御部11は例えば、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)を含む1つ以上の汎用プロセッサを含む。制御部11は、特定の処理に特化した1つ以上の専用プロセッサを含んでよい。制御部11は、プロセッサを含む代わりに、1つ以上の専用回路を含んでもよい。専用回路は例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってよい。制御部11は、ECU(Electronic Control Unit)を含んでもよい。制御部11は通信部12を介して、任意の情報を送信及び受信する。
【0020】
通信部12は、ネットワークNWに接続するための1つ以上の通信モジュールを含む。通信部12は、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、又は5G(5th Generation)を含む1つ以上の移動体通信規格に対応するモジュールを含んでよい。通信部12は、Bluetooth(登録商標)、AirDrop(登録商標)、IrDA、ZigBee(登録商標)、Felica(登録商標)、又はRFIDを含む1つ以上の近距離通信の規格又は仕様に対応する通信モジュール等を含んでよい。通信部12は、ネットワークNWを介して任意の情報を送信及び受信する。
【0021】
記憶部13は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせが含まれるが、これらに限られない。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは、例えば、EEPROMである。記憶部13は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部13は、制御部11によって分析又は処理された結果の情報を記憶してよい。記憶部13は、情報処理装置1の動作又は制御に関する各種情報等を記憶してよい。記憶部13は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び組み込みソフトウェア等を記憶してよい。記憶部13は情報処理装置1の外部に設けられて、情報処理装置1からアクセスされてよい。記憶部13はタイヤ関連情報DBを含む。
【0022】
車両2の種類は、普通自動車、小型自動車、軽自動車、大型特殊自動車、及び小型特殊自動車のいずれであってもよい。
図1に示されるように、車両2は荷物CTの積み下ろしを行う。
【0023】
以下、情報処理装置1による情報処理方法が詳細に説明される。
【0024】
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、車両2は、港湾で作業を行うストラドルキャリアである。
【0025】
任意の時点で情報処理装置1の制御部11は、車両2の空荷時の重量と、車両2に搭載される荷物の重量とを示す重量情報を取得する。車両2の空荷時の重量は例えば、車両2の車検証情報、又はメーカのカタログから取得されてよい。車両2に搭載される荷物の重量は、あらかじめ登録された情報であってよい。車両2に搭載される荷物は、例えばコンテナとコンテナの内容物との和である。制御部11は、取得された重量情報を、車両2と関連付けて記憶部13に記憶する。ここでは一例として、車両2の空荷時の重量は60トンであり、荷物の重量は15トンである。
【0026】
図3に示されるように、ここでの車両2は、第1のタイヤ21と第2のタイヤ22と第3のタイヤ23と第4のタイヤ24と第5のタイヤ25と第6のタイヤ26と第7のタイヤ27と第8のタイヤ28とを含む。車両2は更に、運転席DSと電源とを含んでよい。複数のタイヤはいずれも単輪である。
【0027】
車両2では、進行方向側のタイヤほど低温であり、低負荷である。このことに関して、
図4の例において、第4のタイヤ24と外気温との差と、他のタイヤと外気温との差との関係が示される。ここでの車両2は左右対称であるため、進行方向の左側のタイヤのみが考慮される。直線23Tに示されるように、第4のタイヤ24と外気温との差がaであるとき、第3のタイヤ23と外気温との差は0.95aである。直線22Tに示されるように、第4のタイヤ24と外気温との差がaであるとき、第2のタイヤ22と外気温との差は0.85aである。直線21Tに示されるように、第4のタイヤ24と外気温との差がaであるとき、第1のタイヤ21と外気温との差は0.7aである。そこで制御部11は、複数のタイヤの間の温度の比率が、各タイヤの荷重の比率に比例するとみなして、各タイヤの荷重の比率を算出する。
【0028】
制御部11は、車両2の進行方向の右側に設けられた複数のタイヤと進行方向の左側に設けられた複数のタイヤとの少なくとも一方の温度情報を取得する。ここでは制御部11は、車両2の進行方向の左側に設けられた第1のタイヤ21、第2のタイヤ22、第3のタイヤ23、及び第4のタイヤ24のそれぞれの温度情報を取得する。温度情報は、各タイヤに設けられた(例えば埋め込まれた又は取り付けられた)センサからネットワークNWを介して取得されてよい。温度情報は、連続データであってよいし、履歴であってもよい。制御部11は記憶部13において、車両2に関連付けて温度情報を記憶する。
【0029】
制御部11は、複数のタイヤの間の温度の比率に基づいて、複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重の比率を算出する。更に制御部11は、重量情報と荷重の比率とから、複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重を推定する。具体的には制御部11は、次の計算を行う。
(車両2全体の合計重量)
=(空荷時の重量60トン)+(荷物の重量15トン)
=75トン
(進行方向片側の4つのタイヤにかかる荷重の合計)=(車両2全体の合計重量)÷2≒37トン
【0030】
制御部11は次のように、取得された温度情報から、各タイヤの間の温度の比率を算出する。
(第1のタイヤ21の温度):(第2のタイヤ22の温度):(第3のタイヤ23の温度):(第4のタイヤ24の温度)
=0.7:0.85:0.95:1.0
【0031】
制御部11は次のように、片側の4つのタイヤにかかる合計荷重37トンを、各タイヤの温度の比率にしたがって比例配分することによって、複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重を推定する。
【0032】
(第1のタイヤ21にかかる荷重)=37トン×0.7÷(0.7+0.85+0.95+1.0)=7.4トン
(第2のタイヤ22にかかる荷重)=37トン×0.85÷(0.7+0.85+0.95+1.0)=9.0トン
(第3のタイヤ23にかかる荷重)=37トン×0.95÷(0.7+0.85+0.95+1.0)=10.0トン
(第4のタイヤ24にかかる荷重)=37トン×1.0÷(0.7+0.85+0.95+1.0)=10.6トン
【0033】
制御部11は、ネットワークNWを介して任意の端末に対して、複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重を示す情報を送信してよい。制御部11は記憶部13において、車両2に関連付けて、複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重を示す情報を記憶する。
【0034】
追加例として制御部11は、タイヤの温度が所定値を超えないように、外気温に応じて連続走行時間の上限を設定してよい。制御部11は、連続走行時間の上限を、車両2の運転者に通知してよい。通知は、車両2、又は、車両2の運転者に操作される端末を介して行われてよい。例えば外気温が0℃であるとき、連続走行時間の上限は無くてよい。外気温が20℃であるとき、連続走行時間の上限は3時間であってよい。外気温が30℃であるとき、連続走行時間の上限は2時間であってよい。
【0035】
追加例として又は代替例として制御部11は、車両2が次の条件の少なくとも1つを満たすことを検出したときに、上記のような荷重推定方法を実行してよい。
・車両2の積載時と空荷時との切り替わり頻度が所定の定数(例えば数分)より小さいこと
・複数のタイヤはいずれも単輪であること(この場合、各タイヤの温まり方又は冷え方に差が少ない)
・車両2は、同一地域内を所定の速度よりも低い速度で走行すること(この場合、外気温の変化がタイヤに与える影響が小さい)
制御部11は、上記条件の少なくとも1つが満たされるか否かを、記憶部13に記憶された登録情報、車両2の位置情報(例えばGPS情報)等から判定してよい。
【0036】
[第2の実施形態]
上記の第1の実施形態では、車両2は港湾ストラドルキャリアである。第2の実施形態では、
図5に示されるように車両2はトラックである。第2の実施形態が以下で説明されるが、第1の実施形態と重複する説明は省略される。
【0037】
図6に示されるように、車両2は第1のタイヤ21、第2のタイヤ22、第3のタイヤ23、第4のタイヤ24、第5のタイヤ25、第6のタイヤ26、第7のタイヤ27、第8のタイヤ28、第9のタイヤ29、第10のタイヤ30、第11のタイヤ31、第12のタイヤ32を含む。ステアリング用に軸61と軸62との2軸が設けられる。駆動用に軸63と軸64との2軸が設けられる。
図6に示されるように、第5のタイヤ25及び第6のタイヤ26は複輪の関係にある。同様に、第7のタイヤ27及び第8のタイヤ28と、第9のタイヤ29及び第10のタイヤ30と、第11のタイヤ31及び第12のタイヤ32とは複輪の関係にある。
【0038】
図7の例において、第1のタイヤ21の温度と、第3のタイヤ23の温度との関係が示される。直線23Tに示されるように、第1のタイヤ21の温度がaであるとき、第3のタイヤ23の温度もaである。この例は、車両2の積載時と空荷時との両方に適用される。
【0039】
図7の例から導出される比率は次の通りである。
(第1のタイヤ21の温度):(第3のタイヤ23の温度)=1:1
【0040】
図8の例において、第5のタイヤ25の温度と、他のタイヤの温度との関係が示される。直線26T及び30Tに示されるように、第5のタイヤ25の温度がaであるとき、第6のタイヤ26と第10のタイヤ30との温度は1.1aである。直線25T及び29Tに示されるように、第5のタイヤ25の温度がaであるとき、第5のタイヤ25と第9のタイヤ9との温度もaである。この例は、車両2の積載時と空荷時との両方に適用される。
【0041】
図8の例から導出される比率は次の通りである。
(第5のタイヤ25の温度):(第6のタイヤ26の温度):(第9のタイヤ29の温度):(第10のタイヤ30の温度)
=1.0:1.1:1.0:1.1
【0042】
図9の例において、第1のタイヤ21の温度と、第5のタイヤ25の温度との関係が示される。直線25TAに示されるように、第1のタイヤ21の温度がaであるとき、積載時の第5のタイヤ25の温度は0.9aである。直線25TBに示されるように、第1のタイヤ21の温度がaであるとき、空荷時の第5のタイヤ25の温度は0.6aである。
【0043】
図9の例から導出される比率は次の通りである。
[積載時]
(第1のタイヤ21の温度):(第5のタイヤ25の温度)=1.0:0.9
[空荷時]
(第1のタイヤ21の温度):(第5のタイヤ25の温度)=1.0:0.6
【0044】
空荷時につき、
図7乃至
図9から導出される温度の比率は次の通りである。
(第1のタイヤ21の温度):(第3のタイヤ23の温度):(第5のタイヤ25の温度):(第6のタイヤ26の温度):(第9のタイヤ29の温度):(第10のタイヤ30の温度)
=1.0:1.0:0.6:0.66:0.6:0.66
【0045】
上記を変形すると、次の比率が導出される。
(第1のタイヤ21の温度):(第3のタイヤ23の温度):(第5のタイヤ25の温度と第6のタイヤ26の温度との合計):(第9のタイヤ29の温度と第10のタイヤ30の温度との合計)
=1.0:1.0:1.3(正確には1.26):1.3(正確には1.26)
【0046】
空荷時につき、車検証情報等から、荷重の比率が次のように導出される。
(第1のタイヤ21の荷重):(第3のタイヤ23の荷重):(第5のタイヤ25の荷重と第6のタイヤ26の荷重との合計):(第9のタイヤ29の荷重と第10のタイヤ30の荷重との合計)
=3.2トン:3.2トン:2.9トン:2.9トン
=1.0:1.0:0.9:0.9
【0047】
上記のように、空荷時につき、温度(すなわち転がり抵抗値)と荷重とは比例関係(すなわちリニア)に無い。すなわち、荷重と転がり抵抗値とが比例しない。そこで制御部11は、
図10に示されるように、タイヤの特性から、荷重と温度との関係を補正してよい。制御部11は、補正後の関係を用いて、温度の比率から荷重の比率を算出し、算出結果に基づいて、各タイヤにかかる荷重を推定してよい。追加例として制御部11は、駆動輪の加速分を用いて更なる補正を行ってよい。
【0048】
積載時につき、
図7乃至
図9から導出される比率は次の通りである。
(第1のタイヤ21の温度):(第3のタイヤ23の温度):(第5のタイヤ25の温度):(第6のタイヤ26の温度):(第9のタイヤ29の温度):(第10のタイヤ30の温度)
=1.0:1.0:0.9:0.99:0.9:0.99
【0049】
上記を変形すると、次の比率が導出される。
(第1のタイヤ21の温度):(第3のタイヤ23の温度):(第5のタイヤ25の温度と第6のタイヤ26の温度との合計):(第9のタイヤ29の温度と第10のタイヤ30の温度との合計)
=1.0:1.0:1.9(正確には1.89):1.9(正確には1.89)
【0050】
積載時につき、車検証情報等から、荷重の比率が次のように導出される。
(第1のタイヤ21の荷重):(第3のタイヤ23の荷重):(第5のタイヤ25の荷重と第6のタイヤ26の荷重との合計):(第9のタイヤ29の荷重と第10のタイヤ30の荷重との合計)
=4.5トン:4.5トン:8.0トン:8.0トン
=1.0:1.0:1.8:1.8
【0051】
制御部11は積載時についても、
図10に示されるように、タイヤの特性に基づいて荷重の比率と転がり抵抗値との関係を補正してよい。制御部11は、補正後の関係を用いて、各タイヤにかかる荷重を推定する。
【0052】
図11のフローチャートを参照して、情報処理装置1の制御部11による情報処理方法が説明される。
【0053】
ステップS1にて制御部11は、車両2の空荷時の重量と、車両2に搭載される荷物の重量とを示す重量情報を取得する。ステップS2にて制御部11は、車両2の進行方向の右側に設けられた複数のタイヤと進行方向の左側に設けられた複数のタイヤとの少なくとも一方の温度情報を取得する。ステップS2はステップS1より前に実行されてよい。
【0054】
ステップS3にて制御部11は、複数のタイヤの間の温度の比率に基づいて、複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重の比率を算出する。ステップS4にて制御部11は、重量情報と荷重の比率とから、複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重を推定する。
【0055】
以上述べたように本実施形態によれば、情報処理装置1の制御部11は、車両2の空荷時の重量と、車両2に搭載される荷物の重量とを示す重量情報を取得することと、車両2の進行方向の右側に設けられた複数のタイヤと進行方向の左側に設けられた複数のタイヤとの少なくとも一方の温度情報を取得することと、複数のタイヤの間の温度の比率に基づいて、複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重の比率を算出することと、重量情報と荷重の比率とから、複数のタイヤのそれぞれにかかる荷重を推定することと、を含む動作を実行する。この構成により情報処理装置1は、各タイヤの温度情報から各タイヤにかかる荷重を簡易且つ安価に予測することができる。
【0056】
また本実施形態によれば、制御部11の動作は、温度情報を、複数のタイヤのそれぞれに設けられたセンサからネットワークを介して取得することを含む。この構成により情報処理装置1は、各タイヤの温度情報を容易に取得することができる。
【0057】
また本実施形態によれば、車両2につき、車両2の積載時と空荷時との切り替わり頻度が所定の定数より小さいことと、複数のタイヤはいずれも単輪であることと、車両2は同一地域内を所定の速度よりも低い速度で走行することと、のうち少なくとも1つの条件が満たされる。車両2はストラドルキャリアである。この構成により情報処理装置1は、荷重の推定精度を一層向上させることができる。
【0058】
また本実施形態によれば、各タイヤにつき温度と荷重とは比例関係に無く、制御部11の動作は、タイヤの特性からタイヤの荷重と温度との関係を補正して、温度の比率から荷重の比率を算出することを含む。この構成により情報処理装置1は、荷重の推定精度を一層向上させることができる。
【0059】
本開示が諸図面及び実施例に基づき説明されるが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲での変更が可能である。例えば、各手段又は各ステップに含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段又はステップを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0060】
例えば、上記の実施形態において、情報処理装置1の機能又は処理の全部又は一部を実行するプログラムは、コンピュータで読取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読取り可能な記録媒体は、非一時的なコンピュータ読取可能な媒体を含み、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、又は半導体メモリである。プログラムの流通は、例えば、プログラムを記録したDVD(Digital Versatile Disc)又はCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記録媒体を販売、譲渡、又は貸与することによって行われる。またプログラムの流通は、プログラムを任意のサーバのストレージに格納しておき、任意のサーバから他のコンピュータにプログラムを送信することにより行ってもよい。またプログラムはプログラムプロダクトとして提供されてもよい。本開示は、プロセッサが実行可能なプログラムとしても実現可能である。
【0061】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
持続可能な社会の実現に向けて、SDGsが提唱されている。本発明の一実施形態は「No.9_産業と技術革新の基盤を作ろう」などに貢献する技術となり得ると考えられる。
【符号の説明】
【0062】
1 情報処理装置