(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154726
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】作業内容表示システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20241024BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068716
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087000
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 淳一
(72)【発明者】
【氏名】砂子 祐也
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】検査作業で不適合と判定された場合に、不適合を解消するための修正作業の作業内容を示す作業指示を表示する。
【解決手段】製品の生産に必要な作業である複数の標準作業を記憶する標準作業記憶手段と、不適合の解消に必要な作業である修正作業を記憶する修正作業記憶手段と、標準作業記憶手段に記憶された標準作業と修正作業記憶手段に記憶された修正作業とを表示可能な表示手段と、検査作業における適合または不適合を示す検査結果を取得する取得手段と、標準作業記憶手段に記憶された標準作業の内容を示す情報を作業の順に表示手段に表示するように制御するとともに、取得手段が不適合の検査結果を取得したときに、標準作業記憶手段に記憶された標準作業の内容を示す情報に代えて、該取得した不適合に対応する修正作業記憶手段に記憶された修正作業の内容を示す情報を表示手段に表示するように制御する表示制御手段とを有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者に作業内容を表示する作業内容表示システムであって、
製品の生産に必要な作業である複数の標準作業のそれぞれの内容を示す情報を記憶する標準作業記憶手段と、
前記標準作業記憶手段に記憶された標準作業に含まれる検査作業の検査結果において不適合と判定された場合に、該不適合の解消に必要な作業である修正作業の内容を示す情報を記憶する修正作業記憶手段と、
少なくとも前記標準作業記憶手段に記憶された標準作業の内容を示す情報と前記修正作業記憶手段に記憶された修正作業の内容を示す情報とを表示可能な表示手段と、
前記標準作業記憶手段に記憶された標準作業に含まれる検査作業における適合または不適合を示す検査結果を取得する取得手段と、
前記標準作業記憶手段に記憶された標準作業の内容を示す情報を作業の順に前記表示手段に表示するように制御するとともに、前記取得手段が不適合の検査結果を取得したときに、前記標準作業記憶手段に記憶された標準作業の内容を示す情報に代えて、該取得した不適合に対応する前記修正作業記憶手段に記憶された修正作業の内容を示す情報を前記表示手段に表示するように制御する表示制御手段と
を有することを特徴とする作業内容表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の作業内容表示システムにおいて、
前記表示制御手段は、前記取得手段が不適合の検査結果を取得したときに、前記標準作業記憶手段に記憶された標準作業の内容を示す情報に代えて、該取得した不適合に対応する前記修正作業記憶手段に記憶された修正作業の内容を示す情報を前記表示手段に表示するように制御した後に、該取得した不適合にかかる検査作業の内容を示す情報を前記表示手段に表示するように制御する
ことを特徴とする作業内容表示システム。
【請求項3】
請求項2に記載の作業内容表示システムにおいて、
前記表示制御手段は、前記取得手段が取得した不適合に対応する修正作業の内容を示す情報の表示と該取得した不適合にかかる検査作業の内容の表示とを、前記取得手段により適合の検査結果が取得されるまで、前記表示手段が繰り返し表示するように制御する
ことを特徴とする作業内容表示システム。
【請求項4】
請求項3に記載の作業内容表示システムにおいて、さらに、
前記取得手段により適合の検査結果が取得されるまでに、前記取得手段が取得した不適合に対応する修正作業の内容を示す情報の表示と該取得した不適合にかかる検査作業の内容の表示とを繰り返した回数を計数する反復回数計数手段と
を有し、
前記表示制御手段は、前記反復回数計数手段が計数した回数を、前記表示手段に表示するように制御する
ことを特徴とする作業内容表示システム。
【請求項5】
請求項1に記載の作業内容表示システムにおいて、さらに、
標準作業に含まれる全ての作業の内容を表示する表示動作が完了した回数である完了回数を計数する完了回数計数手段と、
前記完了回数計数手段により計数された完了回数に基づき、該表示動作中に不適合の検査結果を取得しなかった表示動作の回数が完了回数に占める割合を算出する算出手段と
を有し、
前記表示制御手段は、前記算出手段が算出した割合を、前記表示手段に表示するように制御する
ことを特徴とする作業内容表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業内容表示システムに関する。さらに詳細には、本発明は、生産現場において作業者に作業内容を表示する際に用いて好適な作業内容表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、製造現場において作業者に作業内容を表示する作業内容表示システムとしては、例えば、特開2004-272538号公報に開示されているような製造工程管理システムが知られている。
【0003】
この特開2004-272538号公報に開示された従来の製造工程管理システムは、製造現場において作業者に対して作業図画面を表示するシステムであって、検査作業で不適合(検査不合格)と判定された場合に、作業の中断画面が表示され、不適合の修正内容を記入すると、続きの作業図画面に遷移するように構成されていた。
【0004】
しかしながら、上記において説明した従来の作業内容表示システムにおいては、検査作業で不適合と判定された場合に行うべき作業である不適合を解消するための修正作業の作業指示が表示されないため、作業者がどのように修正作業を行えばよいかわからない場合があるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の技術に対する上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、検査作業で不適合と判定された場合に、不適合を解消するための修正作業の作業内容を示す作業指示を表示するようにした作業内容表示システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明による作業内容表示システムは、作業者に作業内容を表示する作業内容表示システムであって、製品の生産に必要な作業である複数の標準作業のそれぞれの内容を示す情報を記憶する標準作業記憶手段と、上記標準作業記憶手段に記憶された標準作業に含まれる検査作業の検査結果において不適合と判定された場合に、該不適合の解消に必要な作業である修正作業の内容を示す情報を記憶する修正作業記憶手段と、少なくとも上記標準作業記憶手段に記憶された標準作業の内容を示す情報と上記修正作業記憶手段に記憶された修正作業の内容を示す情報とを表示可能な表示手段と、上記標準作業記憶手段に記憶された標準作業に含まれる検査作業における適合または不適合を示す検査結果を取得する取得手段と、上記標準作業記憶手段に記憶された標準作業の内容を示す情報を作業の順に上記表示手段に表示するように制御するとともに、上記取得手段が不適合の検査結果を取得したときに、上記標準作業記憶手段に記憶された標準作業の内容を示す情報に代えて、該取得した不適合に対応する上記修正作業記憶手段に記憶された修正作業の内容を示す情報を上記表示手段に表示するように制御する表示制御手段とを有するようにしたものである。
【0008】
従って、上記した本発明による作業内容表示システムによれば、検査作業で不適合の判定がなされた場合には、当該不適合を修正するための作業指示が表示されるので、作業者は予め決められた修正作業を確実に実施することができるようになる。
【0009】
また、本発明による作業内容表示システムは、上記した本発明による作業内容表示システムにおいて、上記表示制御手段は、上記取得手段が不適合の検査結果を取得したときに、上記標準作業記憶手段に記憶された標準作業の内容を示す情報に代えて、該取得した不適合に対応する上記修正作業記憶手段に記憶された修正作業の内容を示す情報を上記表示手段に表示するように制御した後に、該取得した不適合にかかる検査作業の内容を示す情報を上記表示手段に表示するように制御するようにしたものである。
【0010】
従って、上記した本発明による作業内容表示システムによれば、作業者に対して、修正作業の後に再度検査作業を実施することを指示することができるようになる。
【0011】
また、本発明による作業内容表示システムは、上記した本発明による作業内容表示システムにおいて、上記表示制御手段は、上記取得手段が取得した不適合に対応する修正作業の内容を示す情報の表示と該取得した不適合にかかる検査作業の内容の表示とを、上記取得手段により適合の検査結果が取得されるまで、上記表示手段が繰り返し表示するように制御するようにしたものである。
【0012】
従って、上記した本発明による作業内容表示システムによれば、作業者に対して、不適合が解消されるまで、修正作業と検査作業とを繰り返すように指示することができるようになる。
【0013】
また、本発明による作業内容表示システムは、上記した本発明による作業内容表示システムにおいて、さらに、上記取得手段により適合の検査結果が取得されるまでに、上記取得手段が取得した不適合に対応する修正作業の内容を示す情報の表示と該取得した不適合にかかる検査作業の内容の表示とを繰り返した回数を計数する反復回数計数手段とを有し、上記表示制御手段は、上記反復回数計数手段が計数した回数を、上記表示手段に表示するように制御するようにしたものである。
【0014】
従って、上記した本発明による作業内容表示システムによれば、不適合を解消するまでに必要となった修正作業の繰り返し回数を可視化することができるようになる。
【0015】
また、本発明による作業内容表示システムは、上記した本発明による作業内容表示システムにおいて、さらに、標準作業に含まれる全ての作業の内容を表示する表示動作が完了した回数である完了回数を計数する完了回数計数手段と、上記完了回数計数手段により計数された完了回数に基づき、該表示動作中に不適合の検査結果を取得しなかった表示動作の回数が完了回数に占める割合を算出する算出手段とを有し、上記表示制御手段は、上記算出手段が算出した割合を、上記表示手段に表示するように制御するようにしたものである。
【0016】
従って、上記した本発明による作業内容表示システムによれば、作業の直行率を算出することができので、作業手順の良し悪しを判断することができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上説明したように構成されているので、検査作業で不適合と判定された場合に、不適合を解消するための修正作業の作業内容を示す作業指示を表示することができるようになるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態の一例による作業内容表示システムを概念的に示すブロック構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す作業内容表示システムにおける端末、部品管理機器群および検査機器群の具体的な構成の一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す作業内容表示システムにおけるサーバーの機能的構成を示すブロック構成説明図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す作業内容表示システムにおける動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図1に示す作業内容表示システムにおける端末の表示部に表示される標準作業の指示画面の一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す作業内容表示システムにおける端末の表示部に表示される検査作業の指示画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による作業内容表示システムの実施の形態の一例を詳細に説明することとする。
【0020】
(I) 本発明による作業内容表示システムの構成の説明
図1には、本発明の実施の形態の一例による作業内容表示システムを概念的に示すブロック構成図があらわされている。
【0021】
図2には、
図1に示す作業内容表示システムにおける端末、部品管理機器群および検査機器群の具体的な構成の一例を示す説明図があらわされている。
【0022】
図1に示す作業内容表示システム1は、製造用の3次元CADシステム(製造用3D-CAD)10と、ワークステーションやパーソナルコンピューターなどにより構成されるサーバー12と、ワークステーションやパーソナルコンピューターなどにより構成されるn個(「n」は、正の整数である。なお、「n」は,例えば、作業者数である。)の端末14-1,14-2,14-3,・・・,14-nと、これら端末14-1~14-nにそれぞれ対応して配設されたn個の作業用機器群16-1,16-2,16-3,・・・,16-nとを有して構成されている。
【0023】
ここで、製造用3D-CAD10は、CRTやLCDなどにより構成される表示部10aと、キーボードやマウスなどにより構成される入力部10bとを有して構成されている。製造用3D-CAD10には、作業者による組み立て作業などにより製造される製品の設計データ(部品図や組立図などの3D画像データを含む。)が、製品の機種毎に入力される。そして、製造用3D-CAD10は、入力された設計データに基づいて、作業者が行うべき作業内容を表す作業指示や、作業者が行うべき検査の検査項目などの情報からなるデータベースを構築してサーバー12へ出力する。
【0024】
同様に、サーバー12は、CRTやLCDなどにより構成される表示部12aと、キーボードやマウスなどにより構成される入力部12bとを有して構成されている。サーバー12は、物理サーバーであってもよいし、仮想サーバーであってもよい。
【0025】
なお、作業内容表示システム1においては、各作業者はそれぞれ所定の作業場所を割り当てられており、端末14-1~14-nならびに作業用機器群16-1~16-nは、各作業者毎に割り当てられたそれぞれの作業場所に1ユニットずつ配設されているものとする。即ち、作業者数と作業場所の数とは一致しているものとする(n=作業者数=作業場所数)。
【0026】
作業内容表示システム1において、製造用3D-CAD10とサーバー12とが直接に接続され、サーバー12と端末14-1~14-nとは互いにネットワーク40を介して接続されている。なお、ネットワーク40としては、例えば、工場内におけるローカルな環境に構築されたネットワークであるLAN(ローカルエリアネットワーク)を用いることができる。
【0027】
各作業用機器群16-1~16-nは、それぞれ対応する端末14-1~14-nと直接に接続されている。
【0028】
これら端末14-1~14-nはそれぞれ、CRTやLCDなどにより構成される表示部142と、キーボードやマウスなどにより構成される入力部144と、音声を外部に放音するためのアンプやスピーカーなどを備えたサウンドシステム(図示せず。)とを有して構成されている。
【0029】
端末14-1~14-nの表示部142には、標準作業(後述する。)の内容を示す情報や修正作業(後述する。)の内容を示す情報などが表示される。また、作業者が行うべき標準作業や修正作業の内容を、動画やサウンドシステムを介して音声で指示することも可能である。
【0030】
ここで、「標準作業」とは、作業者が行うべき製品の生産に必要な作業であり、全ての作業者は標準作業を行うことになる。この標準作業には、各工程の作業終了後などに行うべき検査作業も含まれる。
【0031】
また、「修正作業」とは、作業者による検査作業において、検査結果が不適合(検査不合格)と判定された場合に、当該不適合を解消するために作業者が行う必要のある作業である。
【0032】
一方、作業用機器群16-1~16-nは、作業者による製品の組み立て作業などに用いられる部品(投入部品)の使用を指示するとともに(なお、「部品」には、「消耗部品」も含まれる。)、当該指示により作業者が当該投入部品を取りにいったか否かを監視するための部品管理機器群18と、作業者による製品の組み立て作業ならびに作業者の組み立て作業により得られた製品を検査するための各種の検査機器よりなる検査機器群20と、作業者による製品の組み立て作業などに用いられる工具の使用を指示するとともに、当該指示により作業者が工具を取りにいったか否かを監視するための工具管理機器群22と、作業者により操作される押しボタン24とを有して構築されている。
【0033】
部品管理機器群18は、製品を組み立てる際に使用するビスやファスナーなどの各種の部品をそれぞれの種類毎に区分けして収容するボックス182(ボックス182は、組み立てに必要とする部品の種類数だけ配設されている。)と、ボックス182の前面開口部を形成する左側壁部と右側壁部とのうちの右側壁部の前面側に配設されたインジケーター(図示を省略した。)と、左側壁部の前面開口部側の内面に配設された光電センサの発光部(図示を省略した。)と、右側壁部の前面開口部側の内面に配設されるとともに発光部から照射される光線を受光する光電センサの受光部(図示を省略した。)とを有して構成されている。上記したボックス182に配設されたインジケーターは、例えば、発光ダイオード(LED)などにより構成されており、端末14-1~14-nからの作業指示に応じて点灯または消灯して、作業者に組み立て作業において必要な部品を報知するものである。部品管理機器群18は、ボックス182に配設された受光部による受光の有無に応じて、作業者の手がボックス182内に進入したか否か(作業者が投入部品を取りにいったか否か)を判定する。
【0034】
検査機器群20は、作業者が検査作業を行う際に用いる機器群である。検査機器群20は、例えば、作業者が組み立てた製品の寸法を測定したり、あるいは組み立て時における締め付けトルクを測定したりするための各種の測定機器(例えば、荷重測定用機器、寸法測定用機器、形状測定用機器などである。)や、作業者が組み立てた製品を目視により確認した状態を入力するための入力装置などを含むものであり、任意のものを使用することができる。
【0035】
工具管理機器群22は、製品を組み立てる際に使用する電気ドライバなどの各種の工具をそれぞれの種類毎に区分けして収容するボックス222(ボックス222は、組み立てに必要とする工具の種類数だけ配設されている。)と、ボックス222の前面開口部を形成する左側壁部と右側壁部とのうちの右側壁部の前面側に配設されたインジケーター(図示を省略した。)と、左側壁部の前面開口部側の内面に配設された光電センサの発光部(図示を省略した。)と、右側壁部の前面開口部側の内面に配設されるとともに発光部から照射される光線を受光する光電センサの受光部(図示を省略した。)とを有して構成されている。上記したボックス222に配設されたインジケーターは、例えば、発光ダイオード(LED)などにより構成されており、端末14-1~14-nからの作業指示に応じて点灯または消灯して、作業者に組み立て作業において必要な工具を報知するものである。工具管理機器群22は、ボックス222に配設された受光部による受光の有無に応じて、作業者の手がボックス222内に進入したか否か(作業者が工具を取りにいったか否か)を判定する。
【0036】
押しボタン24は、作業者が所定のタイミングで操作することにより、組み立て作業において所定の作業段階の終了などを通知するものである。
【0037】
(II) 本発明の実施の形態の一例による作業内容表示システムにおけるサーバーの機能的構成の説明
図3には、
図1に示す作業内容表示システムにおけるサーバーの機能的構成を示すブロック構成説明図があらわされている。
【0038】
サーバー12は、標準作業記憶部12-1と、修正作業記憶部12-2と、取得部12-3と、表示制御部12-4と、反復回数計数部12-5と、完了回数計数部12-6と、算出部12-7とを有して構成されている。
【0039】
より詳細には、標準作業記憶部12-1は、製品の生産に必要な作業である複数の標準作業のそれぞれの内容を示す情報を記憶している。
【0040】
修正作業記憶部12-2は、標準作業に含まれる検査作業において、検査結果が不適合(検査不合格)と判定された場合に、その不適合の解消に必要な作業である修正作業のそれぞれの内容を示す情報を記憶している。修正作業は、製品の生産において常に必要な作業ではなく、検査結果が不適合と判定された場合に必要となる作業である。
【0041】
取得部12-3は、作業者が検査機器群20を用いて行った検査作業の検査結果を端末14-1~14-nを介して取得する。検査結果は、不適合(検査不合格)または適合(検査合格)のいずれかである。なお、取得部12-3は、作業者による目視の検査作業の検査結果を端末14-1~14nを介して取得してもよい。
【0042】
表示制御部12-4は、端末14-1~14-nの表示部142に表示する情報を選択し、選択した情報を表示するように表示部142を制御する。例えば、表示制御部12-4は、標準作業の内容を示す情報を作業の順に表示部142に表示するように制御するとともに、取得部12-3により不適合の検査結果を取得した場合には、当該取得した不適合の解消に必要な修正作業の内容を示す情報を修正作業の順に表示部142に表示するように制御する。
【0043】
反復回数計数部12-5は、検査結果が不適合となってから、不適合が解消したとの検査結果、即ち、適合(検査合格)との検査結果が取得されるまでの間に、取得部12-3が取得した不適合に対応する修正作業の内容を示す情報の表示と検査作業の内容の表示とを表示部142が繰り返した回数を計数して記録する。
【0044】
完了回数計数部12-6は、標準作業に含まれる全ての作業の内容を表示する表示動作が完了した回数である完了回数を計数して記録する。
【0045】
算出部12-7は、標準作業に含まれる全ての作業の内容を表示する表示動作中に、不適合の検査結果を取得しなかった表示動作の回数が完了回数に占める割合を算出して記録する。
【0046】
(III) 本発明の実施の形態の一例による作業内容表示システムにおける動作の説明
図4には、
図1に示す作業内容表示システムにおける動作の一例を示すフローチャートがあらわされている。
【0047】
図5には、
図1に示す作業内容表示システムにおける端末の表示部に表示される標準作業の指示画面の一例を示す説明図があらわされている。
【0048】
図6には、
図1に示す作業内容表示システムにおける端末の表示部に表示される検査作業の指示画面の一例を示す説明図があらわされている。
【0049】
以上の構成において、作業内容表示システム1においては、特開2004-272538号公報に開示された技術内容と同様な処理が行われ、製造現場で作業者が実施した工程データや検査データなどの管理が行われるものであるが、こうした処理については公知の技術を適用することができるため詳細な説明は省略し、以下においては、本発明の実施に関連する技術内容についてのみ説明するものとする。
【0050】
即ち、作業内容表示システム1においては、サーバー12の表示制御部12-4の制御により、端末14-1~14-nの表示部142には、検査作業を含む標準作業の内容を示す情報が作業の順に表示される。
【0051】
表示部142における検査作業の表示に伴い、作業者が目視あるいは検査機器群20を用いて行った検査作業の検査結果として、取得部12-3が不適合の検査結果を取得した場合には、表示制御部12-4の制御により、表示部142には、当該取得した不適合の解消に必要な修正作業の内容を示す情報が修正作業の順に表示される。
【0052】
以下に、
図4に示すフローチャートを参照しながら上記した処理について具体的に説明する。
【0053】
この
図4に示す動作例においては、標準作業として「作業1」、「作業2」、「作業3」、「検査作業1」、「作業4」の順番に各作業を行うことが、標準作業記憶部12-1に記憶されているものとする。なお、「作業」および「検査作業」の数や順序は、これに限定されない。
【0054】
また、
図4に示す動作例においては、修正作業として、「検査作業1」の検査結果が不適合の場合に、「修正作業1」、「修正作業2」の順番に修正作業を行うことが、修正作業記憶部12-2に記憶されているものとする。なお、「修正作業」の数はこれに限定されず、検査作業が複数ある場合には、各検査作業に対応した「修正作業」が修正作業記憶部12-2に記憶されていてもよい。
【0055】
図4に示す動作例の標準作業が開始されると、表示制御部12-4は、端末14-1~14-nの表示部142に、「作業1」(ステップS402)、「作業2」(ステップS404)、「作業3」(ステップS406)、「検査作業1」(ステップS408)の順番に、検査作業を含む標準作業の内容を示す情報を端末14-1~14-nの表示部142に表示する。
【0056】
ここで、
図5には、標準作業における「作業1」、「作業2」、「作業3」、「作業4」として、端末14-1~14-nの表示部142に表示される標準作業の指示画面の一例が示されている。作業内容表示システム1においては、
図5に示すように、作業指示画面には、作業指示
図900、動画ボタン902、図面ボタン904およびテキストボタン906が配置されている。作業者が動画ボタン902を押すと、表示部142に組み立ての様子をあらわす動画が表示されて閲覧でき、作業者が図面ボタン904を押すと、表示部142に作業に関連する図面が表示されて閲覧でき、作業者がテキストボタン906を押すと、組み立て手順をあらわす文章が表示されて閲覧できる。なお、修正作業では、
図5と同様な作業指示画面において、修正作業用の作業指示
図900が表示されることになる。
【0057】
さらに、作業指示画面に作業進捗欄908が設けられていて、作業者は、作業進捗欄908に配置されている作業の進捗状況を示す作業進捗バー910を視認することにより、自らの作業の進捗を確認することができる。また、作業進捗欄908には、使用する部品や工具を示す部品/工具リスト912も表示される。
【0058】
また、
図6には、標準作業における「検査作業1」として、端末14-1~14-nの表示部142に表示される検査作業の作業指示画面の一例が示されている。作業内容表示システム1においては、
図6に示すように、作業指示画面に検査作業指示
図1000、OKボタン1002とNGボタン1004とが配置されている。作業者は、検査結果が適合(OK:検査合格)であればOKボタン1002を押し、検査結果が不適合(NG:検査不合格)であればNGボタン1004を押す。作業者がOKボタン1002を押したか、あるいは、NGボタン1004を押したかの情報は端末14-1~14-nを介して取得部12-3へ送られ、取得部12-3は、検査結果として、適合(OK:検査合格)または不適合(NG:検査不合格)のいずれかを取得する。検査機器群20を用いた検査作業では、取得部12-3は、検査機器群20から取得された数値やテキストが検査判定条件を満たすか否かを判定し、適合(OK:検査合格)または不適合(NG:検査不合格)のいずれかを取得してもよい。
【0059】
ここで、「検査作業1」(ステップS408)の検査結果として、取得部12-3が適合(OK:検査合格)を取得した場合には、表示制御部12-4は、「作業4」(ステップS410)を表示部142に表示して、標準作業は終了する。
【0060】
一方、「検査作業1」(ステップS408)の検査結果として、取得部12-3が不適合(NG:検査不合格)を取得した場合には、表示制御部12-4は、「修正作業1」(ステップS412)、「修正作業2」(ステップS414)の順番に、修正作業の内容を示す情報を端末14-1~14-nの表示部142に表示する。
【0061】
その後に、表示制御部12-4は、「修正作業1」、「修正作業2」を完了すると、「検査作業1」(ステップS408)の内容を示す情報を端末14-1~14-nの表示部142に再度表示する。
【0062】
2回目の「検査作業1」(ステップS408)の検査結果として、取得部12-3が適合(OK:検査合格)を取得した場合には、表示制御部12-4は、「作業4」(ステップS410)を表示部142に表示して、標準作業は終了する。
【0063】
一方、2回目の「検査作業1」(ステップS408)の検査結果として、取得部12-3が不適合(NG:検査不合格)を取得した場合には、表示制御部12-4は、「修正作業1」(ステップS412)、「修正作業2」(ステップS414)の順番に、修正作業の内容を示す情報を端末14-1~14-nの表示部142に再度表示する。
【0064】
即ち、表示制御部12-4は、、「検査作業1」(ステップS408)の検査結果として取得部12-3が適合(OK:検査合格)を取得するまで、「修正作業1」(ステップS412)、「修正作業2」(ステップS414)の順番に、修正作業の内容を示す情報を端末14-1~14-nの表示部142に繰り返し表示する。
【0065】
作業内容表示システム1においては、検査結果の不適合に伴う修正作業の作業実績も記録される。
【0066】
具体的には、サーバー12の反復回数計数部12-5は、検査結果が不適合となってから、不適合が解消したとの検査結果、即ち、適合との検査結果が取得されるまでの間に、不適合に対応する修正作業の内容を示す情報の表示と検査作業の内容を示す表示とを、表示部142が繰り返した回数を計数して記録している。
図4の例では、反復回数計数部12-5は、ステップS408、ステップS412、ステップS414からなる一連のステップ群を繰り返した回数を計数して記録している。
【0067】
また、サーバー12の完了回数計数部12-6は、標準作業に含まれる全ての作業の内容を表示する表示動作が完了した回数である完了回数を計数して記録している。
図4の例では、フローが終了した累積回数を完了回数として計数して記録している。サーバー12の算出部12-7は、標準作業に含まれる全ての作業の内容を表示する表示動作中に、不適合の検査結果を取得しなかった表示動作の回数が完了回数に占める割合を算出して記録している。
図4の例では、算出部12-7は、「検査作業1」(ステップS408)の検査結果が不適合(NG:検査不合格)とならなかったフローの数が完了回数に占める割合を算出して記録している。
【0068】
即ち、算出部12-7においては、修正作業を経ることなしに標準作業を完了させることができた割合を示す直行率(直行率=検査作業で不適合とされなかった製品の数/生産が完了した製品の数)が算出される。直行率が高いと不適合となりにくい作業手順であることがわかり、直行率が低いと不適合となりやすい作業手順であることがわかるため、、直行率が低い場合には作業工程を見直す必要があることを認知することができるようになる。なお、検査作業が複数ある場合には、検査作業毎に直行率を算出するようにしてもよいし、全検査作業における直行率を算出するようにしてもよい。
【0069】
そして、表示制御部12-4は、反復回数計数部12-5が記録した繰り返した回数や、完了回数計数部12-6が記録した完了回数や、算出部12-7が算出した直行率などを、表示部142に表示するように制御する。
【0070】
(IV) 本発明の実施の形態の一例による作業内容表示システム1における作用効果の説明
上記において説明したように、作業内容表示システム1によれば、検査作業で不適合とされた場合に、当該不適合を解消するための修正作業の指示画面が表示されるため、作業者はどのように不適合を解消したらよいかを容易に知ることができる。
【0071】
また、作業内容表示システム1によれば、不適合が解消されるまで修正作業の指示画面を繰り返し表示することができる。
【0072】
さらに、作業内容表示システム1によれば、不適合が解消されて適合となるまでに、修正作業の指示画面と検査作業の指示画面の表示とを繰り返した回数を記録したり、直行率を算出したりできるので、作業手順の改善の気づきを得ることができる。
【0073】
(V) その他の実施の形態および変形例の説明
上記した実施の形態は例示に過ぎないものであり、本発明は他の種々の形態で実施することができる。即ち、本発明は、上記した各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。
【0074】
例えば、上記した実施の形態は、以下の(V-1)乃至(V-6)に示すように変形するようにしてもよい。
【0075】
(V-1) 上記した実施の形態においては、LANによりネットワーク40を構築する例について説明したが、これに限られるものではないことは勿論であり、ネットワーク40としてインターネットを用いてもよい。
【0076】
(V-2) 上記した実施の形態においては、作業用機器群16が端末14-1~14-nに直接に接続されているものとしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、作業用機器群16がネットワークに接続されるようにしてもよい。
【0077】
(V-3) 上記した実施の形態においては、端末14-1~14-nは各作業者毎に1台配設するようにしているが、これに限られることなしに、複数の作業者が1台の端末4-1~14-nを共有するようにしてもよい。
【0078】
(V-4) 上記した実施の形態においては、端末14-1~14-nは各作業場所毎に1台配設するようにしているが、これに限られることなしに、複数の作業場所において1台の端末を共有するように配設してもよい。
【0079】
(V-5) 上記した実施の形態においては、図面を参照しながらサーバー12の表示部12aや端末14-1~14-nの表示部142の表示態様について説明したが、これらの表示態様を一例に過ぎないものであり、種々の態様で表示してよいことは勿論である。
【0080】
(V-6) 上記した実施の形態ならびに上記した(V-1)乃至(V-5)に示す各種の他の実施の形態や変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、生産現場において作業者に作業内容を表示する際に用いることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 作業内容表示システム
10 製造用の3次元CADシステム(製造用3D-CAD)
10a 表示部
10b 入力部
12 サーバー
12a 表示部
12b 入力部
12-1 標準作業記憶部(標準作業記憶手段)
12-2 修正作業記憶部(修正作業記憶手段)
12-3 取得部(取得手段)
12-4 表示制御部(表示制御手段)
12-5 反復回数計数部(反復回数計数手段)
12-6 完了回数計数部(完了回数計数手段)
12-7 算出部(算出手段)
14-1,14-2,14-3,・・・,14-n 端末
16-1,16-2,16-3,・・・,16-n 作業用機器群
18 部品管理機器群
20 検査機器群
22 工具管理機器群
24 押しボタン
40 ネットワーク
42 工作機械
142 表示部
144 入力部
182 ボックス
222 ボックス
900 作業指示図
902 動画ボタン
904 図面ボタン
906 テキストボタン
908 作業進捗欄
910 作業進捗バー
912 部品/工具リスト
1000 検査作業指示図
1002 OKボタン
1004 NGボタン