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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154727
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
G03G15/20 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068720
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】板垣 裕介
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA14
2H033AA23
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA25
2H033BA32
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB18
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB39
2H033BE00
2H033BE03
(57)【要約】
【課題】定着ベルトの回転軸線方向における端部がたとえ削れても、定着ベルトの削り粉が定着ベルトの内面と保持部材における保持部との間に入り込んで定着ベルト及び/又は定着ベルトの内面と接触する部材との摺動抵抗になることを抑制することができる定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着装置12は、定着ベルト31と、一対の保持部材411,412(41)と、定着パッド34と、を備え、一対の保持部材411,412(41)は、保持部401,401と、規制部402,402と、を有し、保持部401,401は、定着ベルト31の内面31aを保持し、規制部402,402は、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおける移動を規制し、保持部401,401は、外周面401aの回転軸線方向Wにおける規制部402,402側において定着ベルト31の内面31aと接しない空隙SPが形成される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転される無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの回転軸線方向における両端部を保持する一対の保持部材と、前記定着ベルトの内面と摺接する定着パッドと、を備えた定着装置であって、
前記一対の保持部材は、前記定着ベルトの内面を保持する保持部と、前記定着ベルトの回転軸線方向における移動を規制する規制部と、を有し、
前記保持部は、外周面の前記回転軸線方向における前記規制部側において前記定着ベルトの端面が前記規制部に接触している状態で前記定着ベルトの前記内面と接しない空隙が形成される構成とされている、ことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記保持部には、前記回転軸線方向において保持部本体の前記規制部側に前記保持部本体の外径よりも小さい外径の小径部が設けられ、
前記空隙は、前記小径部の外周面と前記定着ベルトの前記内面との間の空間により構成される、ことを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項2に記載の定着装置であって、
前記保持部本体と前記小径部との間には、外径が前記小径部から前記保持部本体に向けて次第に拡大する傾斜部が設けられており、
前記空隙は、前記小径部の前記外周面及び前記傾斜部の傾斜面と前記定着ベルトの前記内面との間の空間により構成される、ことを特徴とする定着装置。
【請求項4】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記定着パッドは、前記保持部の前記空隙を形成する空隙形成領域とは前記回転軸線方向において重複しない、ことを特徴とする定着装置。
【請求項5】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記保持部の前記空隙を形成する空隙形成領域には、前記定着ベルトの径方向に貫通する貫通孔が設けられている、ことを特徴とする定着装置。
【請求項6】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記保持部には、外周面の前記回転軸線方向における前記規制部側において前記回転軸線方向に延びる溝部が設けられており、前記空隙は、前記溝部の底部と前記定着ベルトの内面との間の空間により構成される、ことを特徴とする定着装置。
【請求項7】
請求項6に記載の定着装置であって、
前記規制部には、前記溝部に連通して前記回転軸線方向に貫通する貫通孔が設けられている、ことを特徴とする定着装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までの何れか1つに記載の定着装置を備えた、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、定着装置、及び、複写機、複合機、プリンター、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転される無端状の定着ベルトと、定着ベルトの回転軸線方向における両端部を支持する一対の保持部材と、定着ベルトの内側に設けられて定着ベルトの内面と摺接する定着パッドと、を備えた定着装置においては、つぎのような不都合がある。
【0003】
図13は、従来の定着装置12Xにおいて定着ベルト31の端面311が保持部材41Xの規制部402Xに接触して削れた削り粉F~Fの様子を模式的に示す断面図である。なお、図13において、符号34は定着パッドを示している。
【0004】
図13に示すように、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおける片寄りによって、定着ベルト31の端面311と、保持部材41Xの規制部402Xとが接触し、定着ベルト31の端面311が削れてしまうことがある。そうすると、定着ベルト31の削り粉F~Fは潤滑剤と混ざりあい、定着ベルト31の内面31aと保持部材41Xにおける保持部401Xとの間に入り込んで定着ベルト31及び/又は定着ベルト31の内面31aと接触する部材(例えば定着パッド34)との摺動抵抗になり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-180326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この点に関し、特許文献1には、寄り止めガイド(保持部材)の規制面と当接する面よりも端部側であって、ローラ部材の軸方向において、ローラ部材が規制面と当接している状態において寄り止めガイドの端部よりも内側に溝部を有する構成が開示されている。
【0007】
特許文献1に記載の構成では、寄り止めガイドの外周面と定着ベルトの内面との間の構成は従来の構成と同じであり、定着ベルトの削り粉の発生に伴う不都合を解消するこができない。
【0008】
そこで、本開示は、定着ベルトの回転軸線方向における端部がたとえ削れても、定着ベルトの削り粉が定着ベルトの内面と保持部材における保持部との間に入り込んで定着ベルト及び/又は定着ベルトの内面と接触する部材との摺動抵抗になることを抑制することができる定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本開示に係る定着装置は、回転される無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの回転軸線方向における両端部を保持する一対の保持部材と、前記定着ベルトの内面と摺接する定着パッドと、を備えた定着装置であって、前記一対の保持部材は、前記定着ベルトの内面を保持する保持部と、前記定着ベルトの回転軸線方向における移動を規制する規制部と、を有し、前記保持部は、外周面の前記回転軸線方向における前記規制部側において前記定着ベルトの端面が前記規制部に接触している状態で前記定着ベルトの内面と接しない空隙が形成される構成とされている、ことを特徴とする。
【0010】
また、本開示に係る画像形成装置は、前記本発明に係る定着装置を備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示によると、定着ベルトの回転軸線方向における端部がたとえ削れても、定着ベルトの削り粉が定着ベルトの内面と保持部材における保持部との間に入り込んで定着ベルト及び/又は定着ベルトの内面と接触する部材との摺動抵抗になることを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に係る定着装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
図2A図1に示す画像形成装置における定着装置の斜視図である。
図2B図2Aに示すA-A線に沿った断面図である。
図3A】本実施の形態に係る定着装置の定着ベルトの回転軸線方向における一方側の端部部分を正面側から視た斜視図である。
図3B】本実施の形態に係る定着装置の定着ベルトの回転軸線方向における他方側の端部部分を背面側から視た斜視図である。
図4】定着ベルトが何れか一方の保持部材及び何れか他方の保持部材に支持されている様子を正面側から視た斜視図である。
図5A】定着装置における何れか一方の保持部材の一例を正面側から視た斜視図である。
図5B】定着装置における何れか他方の保持部材の一例を正面側から視た斜視図である。
図6】定着装置において定着ベルトの端面が一対の保持部材の一例の規制部に接触して削れた削り粉の様子を模式的に示す断面図である。
図7A】一対の保持部材の他の例のうちの何れか一方の保持部材の斜視図である。
図7B】一対の保持部材の他の例のうちの何れか一方の保持部材の側面図である。
図7C】一対の保持部材の他の例のうちの何れか一方の保持部材の底面図である。
図8】定着装置において定着ベルトの端面が一対の保持部材の他の例の規制部に接触して削れた削り粉の様子を模式的に示す断面図である。
図9A】定着装置における何れか一方の保持部材のさらに他の例を正面側から視た斜視図である。
図9B】定着装置における何れか他方の保持部材のさらに他の例を正面側から視た斜視図である。
図10A】一対の保持部材のさらに他の例のうちの何れか一方の保持部材を背面側から視た斜視図である。
図10B】一対の保持部材のさらに他の例のうちの何れか一方の保持部材の側面図である。
図10C】一対の保持部材のさらに他の例のうちの何れか一方の保持部材の底面図である。
図11A】一対の保持部材のさらに他の例のうちの何れか一方の保持部材を背面側から視た斜視図である。
図11B】一対の保持部材のさらに他の例のうちの何れか一方の保持部材の側面図である。
図11C】一対の保持部材のさらに他の例のうちの何れか一方の保持部材を正面側から視た斜視図である。
図12A】定着装置における何れか一方の保持部材のさらに他の例を正面側から視た斜視図である。
図12B】定着装置における何れか他方の保持部材のさらに他の例を正面側から視た斜視図である。
図13】従来の定着装置において定着ベルトの端面が保持部材の規制部に接触して削れた削り粉の様子を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0014】
[画像形成装置]
図1は、本実施の形態に係る定着装置12を備えた画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置100は、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能及びプリンター機能を有する複合機であり、画像読取装置102によって読み取られた原稿Gの画像を外部に送信する。また、画像形成装置100は、画像読取装置102にて読み取った原稿Gの画像又は外部から受信した画像をカラー若しくは単色で記録用紙等のシートPに画像を形成する。画像形成装置100は、モノクロ画像形成装置であってもよい。また、画像形成装置100は、他の形態のカラー画像形成装置であってもよい。
【0016】
画像読取部130の上側には、画像読取部130に対して開閉自在に支持された原稿送り装置160(自動原稿搬送装置)が設けられている。画像読取装置102は、原稿送り装置160にて搬送された原稿Gを読み取る。原稿送り装置160は、原稿Gを載置する原稿載置トレイ161と、排出された原稿Gを積載する原稿排出トレイ162と、を備えている。原稿送り装置160は、原稿載置トレイ161に載置された1枚又は複数枚の原稿Gを画像読取部130における原稿読取部130b上に1枚ずつ順に搬送し、原稿排出トレイ162に排出する。また、画像読取部130には、原稿Gを載置する原稿載置台130aが設けられている。画像読取装置102は、原稿載置台130a上に載置された原稿Gを読み取る。画像形成装置100は、原稿送り装置160が開かれると、画像読取部130の上方の原稿載置台130aが開放され、原稿Gを手置きで置くことができるようになっている。画像読取部130は、走査光学系130cを原稿読取部130bの下方の読取位置に位置させた状態で原稿送り装置160にて搬送される原稿Gを読み取るか又は走査光学系130cを走査して原稿載置台130aに載置された原稿Gを読み取って画像データを生成する。
【0017】
画像形成装置本体101は、光走査装置1、現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4、帯電器5、中間転写ベルト装置70、2次転写装置11、定着装置12、シート搬送路S、給紙カセット18、シート排出トレイ141を備えている。
【0018】
画像形成装置100では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、又は、単色(例えば、ブラック)を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。画像形成装置100の画像形成部50には、4種類のトナー像を形成するための現像装置2、感光体ドラム3、ドラムクリーニング装置4及び
帯電器5が4つずつ設けられ、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ及びイエローに対応付けられ、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0019】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させる。光走査装置1は、感光体ドラム3の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置2は、感光体ドラム3の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム3の表面にトナー像を形成する。ドラムクリーニング装置4は、感光体ドラム3の表面の残留トナーを除去及び回収する。上述した一連の動作によって、各感光体ドラム3の表面に各色のトナー像が形成される。
【0020】
中間転写ベルト装置70は、中間転写ローラ6、無端状の中間転写ベルト71、中間転写駆動ローラ72、中間転写従動ローラ73及びクリーニング装置9を備えている。中間転写ローラ6は、各色に応じた4種類のトナー像を形成するようにそれぞれ4つずつ中間転写ベルト71の内側に設けられている。中間転写ローラ6は、感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像を周回移動方向Cへ周回移動する中間転写ベルト71に転写する。
【0021】
中間転写ベルト71は、中間転写駆動ローラ72及び中間転写従動ローラ73に張架されている。画像形成装置100では、各感光体ドラム3の表面に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト71の表面に順次転写して重ね合わせて、中間転写ベルト71の表面にカラーのトナー像を形成する。
【0022】
2次転写装置11は、2次転写ローラ11aと中間転写ベルト71との間に転写ニップ部TNを形成しており、シート搬送路Sを通じて搬送されてきたシートPを転写ニップ部TNに挟み込んで搬送する。シートPは、転写ニップ部TNを通過する際に、中間転写ベルト71の表面のトナー像が2次転写装置11にて転写されて定着装置12に搬送される。クリーニング装置9は、シートPに転写されずに中間転写ベルト71の表面に残った廃トナーを除去及び回収する。
【0023】
定着装置12は、シートPを挟んで回転する定着ベルト31及び加圧ローラ32を備えている。定着装置12は、定着ベルト31及び加圧ローラ32の間にトナー像が転写されたシートPを挟み込んで加熱及び加圧し、トナー像をシートPに定着させる。なお、図1においては図示を省略しているが、定着装置12は、定着ベルト31及び加圧ローラ32以外の構成部材を有している。定着装置12の詳細については、後述する。
【0024】
給紙カセット18は、画像形成に使用するシートPを蓄積しておくためのカセットであり、光走査装置1の下側に設けられている。シートPは、ピックアップローラ16によって給紙カセット18から引き出されて、シート搬送路Sに搬送される。シート搬送路Sに搬送されたシートPは、2次転写装置11や定着装置12を経由し、排出ローラ17に搬送され、排出部140におけるシート排出トレイ141に排出される。シート搬送路Sには、搬送ローラ13、レジストローラ14及び排出ローラ17が配置されている。搬送ローラ13は、シートPの搬送を促す。レジストローラ14は、シートPを一旦停止させて、シートPの先端を揃える。レジストローラ14は、一旦停止したシートPを中間転写ベルト71上のトナー像のタイミングに合わせて搬送する。
【0025】
なお、図1では、給紙カセット18が1つとされているがこれに限定されず、複数の給紙カセット18を設けた構成とし、それぞれに異なる種類のシートPを積載してもよい。
【0026】
また、画像形成装置100は、シートPの表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、シートPを排出ローラ17からシート反転経路Srに逆方向に搬送する。画像形成装置100は、逆方向に搬送されたシートPの表裏を反転し、レジストローラ14に再度導く。また、画像形成装置100は、レジストローラ14に導かれたシートPを表面と同様にして裏面に画像形成し、シート排出トレイ141に搬出する。
【0027】
[定着装置]
図2Aは、図1に示す画像形成装置100における定着装置12の斜視図である。図2Bは、図2Aに示すA-A線に沿った断面図である。
【0028】
定着装置12は、支持部材33、定着パッド34、熱源36、反射部材37(この例では反射板)、温度検知部38(この例ではサーモパイル)、剥離板39及びサーモスタット40をさらに備えている。支持部材33、定着パッド34、熱源36及び反射部材37は、定着ベルト31の内側に設けられている。
【0029】
定着ベルト31は、無端状(環状)のフレキシブルなベルトである。定着ベルト31は、シートPの搬送方向Hに直交する直交方向に沿った回転軸線α回りに回転可能とされている。
【0030】
定着ベルト31としては、所定の厚み(例えば30μm~100μm程度)のニッケル等の金属、又は、ポリイミド(PI)の基体上に所定厚み(例えば100μm~300μm程度)の弾性層(例えばシリコーンゴム層)を形成し、さらにその上に厚み(例えば20μm~30μm程度)の離型層(例えばフッ素樹脂層)を形成したもの、具体的には、シリコーンゴム上層にPFAのチューブを設けたものや、フッ素樹脂を塗布したものを例示できる。この例では、定着ベルト31は、厚み40μmのニッケルからなる基体にシリコーンゴムを設け、さらにシリコーンゴム上層にPFAのチューブを設けたものであり、全体の厚みが300μmのものとされている。定着ベルト31の内径は、この例では、30mmとされている。但し、これらの具体的な寸法に限定されるものではない。
【0031】
定着パッド34は、例えば、樹脂により構成されており、定着ベルト31の回転軸線方向Wに延びる長板状に形成されている。定着パッド34は、定着パッド本体340と、定着パッド本体340の定着ベルト31に摺接する側の面に設けられた摺動シート341と、を備えている。定着パッド34としては、耐熱性を有する樹脂材料であることが好ましく、例えば、液晶ポリマー(LCP)やPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)といった耐熱性を有する耐熱性樹脂材料を用いることができる。
【0032】
支持部材33は、定着パッド34を支持する部材である。支持部材33は、回転軸線方向Wにおける両端部が定着装置本体12a(本体フレーム)に固定されている。支持部材33の少なくとも熱源36側の面には、反射部材37が設けられている。
【0033】
熱源36は、定着ベルト31を加熱するための部材であって、定着ベルト31の回転軸線方向Wに延びている。熱源36は、例えば、ハロゲンランプ等のランプヒータとすることができる。定着ベルト31は、熱源36により、所定の定着温度(例えば160℃~250℃、この例では160℃)に加熱される。従って、定着ベルト31だけでなく、摺動シート341等も上記温度に対して耐熱性を有している。
【0034】
摺動シート341には、定着ベルト31との摩擦力を低減するために潤滑剤が含侵されていてもよい。潤滑剤としては、耐熱性があり、潤滑性のある材料であることが好ましく、代表的には、摺動オイルを例示できる。摺動オイルとしては、例えば、シリコーンオイルや、フッ素グリースや、フッ素オイルを挙げることができる。
【0035】
反射部材37は、支持部材33の少なくとも熱源36側の面を覆うように配置されおり、この例では、薄板状の金属部材で形成されている。これにより、定着ベルト31を効率よく加熱することができる。反射部材37は、支持部材33に固定されている。
【0036】
加圧ローラ32は、定着ベルト31を挟んで定着パッド34と対向する位置に配置される。加圧ローラ32は、定着ベルト31の回転軸線αに平行な回転軸線を中心に回転し、定着ベルト31と平行に延びている。加圧ローラ32は、定着パッド34に向けて定着ベルト31を押圧することで、定着ベルト31との間に定着ニップ部FNを形成する。加圧ローラ32は、例えば、アルミニウム等の金属によって形成される円筒状の芯材の表面をゴム等の弾性材によって覆われたローラ部材で構成することができる。加圧ローラ32の外径は、具体的な寸法には限定されないが、この例では、30mmとされている。
【0037】
加圧ローラ32には、モータ等の駆動源(図示せず)からの駆動力が、ギア等の駆動伝達機構(図示せず)を介して伝達される。加圧ローラ32は、駆動源からの駆動力を受けて回転駆動される。定着ベルト31は、加圧ローラ32の回転駆動に伴い、加圧ローラ32の第2回転方向R2とは逆方向の第1回転方向R1に従動回転する。つまり、加圧ローラ32は、定着ベルト31の表面と当接することにより定着ニップ部FNを形成し、定着ニップ部FNを介して定着ベルト31に駆動力を伝達することにより、定着ベルト31を従動回転させる。
【0038】
温度検知部38は、定着ベルト31の表面温度を検知する。定着装置12では、温度検知部38にて検出した温度により、定着ベルト31が定着温度(この例では160℃)になるように熱源36の温度制御が行われる。この例では、温度検知部38は、画像形成装置本体101(本体フレーム)(図1参照)に固定されている。温度検知部38は、定着ベルト31の表面温度を非接触で検知する。
【0039】
剥離板39は、定着ベルト31の第1回転方向R1において定着ニップ部FNよりも下流側の近傍に配置され、定着ベルト31に対するシートPの巻き付きを防止する。
【0040】
サーモスタット40は、熱源36が異常加熱したときに熱源36への電力供給を遮断する。詳しくは、サーモスタット40は、熱源36に電力を供給する電力線(図示せず)に電気的に接続されており、熱源36への電力供給を直接遮断するようになっている。サーモスタット40は、定着装置本体12a(本体フレーム)に固定されている。サーモスタット40は、所定の反応温度(作動温度、定格温度)になると、作動して熱源36への電力供給を遮断する。
【0041】
図3A及び図3Bは、それぞれ、本実施の形態に係る定着装置12の定着ベルト31の回転軸線方向Wにおける一方側W1及び他方側W2の端部部分を正面側及び背面側から視た斜視図である。図4は、定着ベルト31が何れか一方の保持部材411及び何れか他方の保持部材412に支持されている様子を正面側から視た斜視図である。また、図5A及び図5Bは、それぞれ、定着装置12における何れか一方の保持部材411の一例及び何れか他方の保持部材412の一例を正面側から視た斜視図である。
【0042】
図3Aから図5Bに示すように、定着装置12は、一対の保持部材411,412(41)(ベルトガイド部材)と、一対の保持部材411,412(41)の外周面401a上に回転軸線α(図2B参照)回りに回転可能に設けられる定着ベルト31と、を備えている。一対の保持部材411,412(41)は、定着装置本体12a(本体フレーム)(図2B参照)に固定されている。
【0043】
一対の保持部材411,412(41)は、定着ベルト31の内面31aの回転軸線方向Wにおける両端部を保持している。一対の保持部材411,412(41)のうち、何れか一方の保持部材411は定着ベルト31の内面31aの回転軸線方向Wにおける一方側W1(前側、操作側)の端部を保持し、何れか他方の保持部材412は定着ベルト31の内面31aの回転軸線方向Wにおける他方側W2(後側)の端部を保持している。
【0044】
図5A及び図5Bに示すように、一対の保持部材411,412(41)は、それぞれ、保持部401,401と、保持部401,401に連接された規制部402,402と、を有している。保持部401,401は、外周面401aにおいて定着ベルト31の内面31aを保持する。保持部401,401は、周方向Rの一部を切り欠いた円弧形状の円弧形状部とされている。保持部401,401の形状としては、180度以上の円弧形状、より好ましくは260度以上の円弧形状を例示でき、この例では、260度程度の円弧形状とされている。規制部402,402は、保持部401,401の回転軸線方向Wにおける外側の端部から回転軸線方向Wの外側に延設し、かつ、保持部401,401の外周面401aに対して径方向Vの外方に突出している。規制部402,402は、定着ベルト31の端面311,311(図3A図3B参照)に対向する壁面402a,402aを有している。
【0045】
一対の保持部材411,412(41)の材料としては、耐熱性を有する樹脂材料であることが好ましく、例えば、液晶ポリマー(LCP)といった耐熱性を有する耐熱性樹脂材料を用いることができる。その中でも摺動性の高い摺動グレードを用いることが好ましい。
【0046】
(本実施の形態について)
図6は、定着装置12において定着ベルト31の端面311が一対の保持部材411,412(41)の一例の規制部402に接触して削れた削り粉F~Fの様子を模式的に示す断面図である。なお、何れか一方の保持部材411及び何れか他方の保持部材412は実質的に同様の構成であることから、図6では、何れか一方の保持部材411及び何れか他方の保持部材412を1つの図で示している。このことは、後述する図8についても同様である。
【0047】
定着装置12は、回転される無端状の定着ベルト31と、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおける両端部を保持する一対の保持部材411,412(41)と、定着ベルト31の内側に設けられて定着ベルト31の内面31aと摺接する定着パッド34と、を備えている。一対の保持部材411,412(41)は、保持部401,401と、規制部402,402と、を有している。保持部401,401は、定着ベルト31の内面31aを保持する。規制部402,402は、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおける移動を規制する。保持部401,401は、外周面401aの回転軸線方向Wにおける規制部402,402側において定着ベルト31の端面311が規制部402に接触している状態で定着ベルト31の内面31aと接しない空隙SPが形成される構成とされている。
【0048】
本実施の形態によれば、図6に示すように、定着ベルト31の回転軸線方向Wにおける片寄りによって、定着ベルト31の端面311と、一対の保持部材411,412(41)の規制部402とが接触し、定着ベルト31の端面311がたとえ削れてしまっても、保持部401の外周面401aの回転軸線方向Wにおける規制部402側に、定着ベルト31の内面31aと接しない空隙SPが形成されているので、定着ベルト31の削り粉F~Fを定着ベルト31の内面31aから空隙SPに逃すことができる。これにより、定着ベルト31の削り粉F~Fが定着ベルト31の内面31aと保持部材411,412(41)における保持部401との間に入り込んで定着ベルト31及び/又は定着ベルト31の内面31aと接触する部材(例えば定着パッド34)との摺動抵抗になることを抑制することができる。
【0049】
<第1実施形態>
本実施の形態において、保持部401には、回転軸線方向Wにおいて保持部本体4011の規制部402側に保持部本体4011の外径φaよりも小さい外径φbの小径部4012が設けられている。詳しくは、保持部本体4011及び小径部4012は、回転軸線方向Wから視て円弧状に形成されている。空隙SPは、小径部4012の外周面4012aと定着ベルト31の内面31aとの間の空間により構成される。ここで、空隙SPの径方向Vにおける距離hは、具体的な寸法には限定されないが、定着ベルト31が回転可能に保持できる程度かつ削り粉F~Fを溜めおける程度の寸法であるため、定着ベルト31の外径寸法にも影響されるが、本実施の形態では、例えば、1mm~2mm程度とすることができる。
【0050】
この構成では、保持部401に小径部4012を設けるといった簡単な構成で空隙SPを形成するための構成を容易に実現させることができる。
【0051】
<第2実施形態>
本実施の形態において、保持部本体4011と小径部4012との間には、外径φcが小径部4012から保持部本体4011に向けて次第に拡大する傾斜部4013が設けられている。詳しくは、傾斜部4013は、回転軸線方向Wから視て円弧状に形成されている。空隙SPは、小径部4012の外周面4012a及び傾斜部4013の傾斜面4013aと定着ベルト31の内面31aとの間の空間により構成される。
【0052】
この構成では、保持部本体4011と小径部4012との間に傾斜部4013が設けられているので、定着ベルト31の内面31aから空隙SPに逃された定着ベルト31の削り粉F~Fを傾斜面4013aにより定着ベルト31の回転軸線方向Wにおける内側への移動を阻止することができる。これにより、定着ベルト31の削り粉F~Fが定着ベルト31の内面31aと保持部401との間に入り込んで定着ベルト31及び/又は定着ベルト31の内面31aと接触する部材との摺動抵抗になることをさらに抑制することができる。
【0053】
<第3実施形態>
ところで、定着ベルト31の削り粉F~Fが、定着ベルト31と、定着ベルト31の内面31aに摺接する定着パッド34との間に滞留し、定着ベルト31の回転負荷が増大することがある。このことは、定着ベルト31のベルト基材として金属(具体的にはニッケル)を用いる場合に、ニッケル粉が定着ベルト31の削り粉F~Fに混ざることで、或いは/さらに、定着ベルト31に付着する潤滑剤(具体的にはシリコーンオイル)が定着ベルト31の削り粉F~Fに混ざることで、顕著となる。
【0054】
この点、本実施の形態において、定着パッド34は、図6に示すように、保持部401の空隙SPを形成する空隙形成領域βとは回転軸線方向Wにおいて重複しない。換言すれば、定着パッド34は、回転軸線方向Wにおいて空隙形成領域β(小径部4012及び傾斜部4013)よりも内側に位置している。但し、定着パッド34は、少なくとも画像が形成される領域である画像形成領域(印刷領域)と回転軸線方向Wにおいて重複する。
【0055】
この構成では、定着パッド34が定着ベルト31の削り粉F~Fが存在し得る空隙形成領域βとは回転軸線方向Wにおいて重複しないので、定着ベルト31と定着パッド34との間に削り粉F~Fが滞留することを回避でき、定着ベルト31の回転負荷の増大を確実に防止することができる。
【0056】
<第4実施形態>
ところで、空隙SPにおいて定着ベルト31の削り粉F~Fが許容量を超えて溜まると、定着ベルト31の削り粉F~Fが定着ベルト31の内面31aと保持部401との間の空隙形成領域βよりも回転軸線方向Wにおける内側に入り込んでしまうことが考えられる。
【0057】
この点、本実施の形態に係る一対の保持部材411,412(41)は、次のような構成とされている。
【0058】
図7Aから図7Cは、それぞれ、一対の保持部材411,412(41)の他の例のうちの何れか一方の保持部材411の斜視図、側面図及び底面図である。図8は、定着装置12において定着ベルト31の端面311が一対の保持部材411,412(41)の他の例の規制部402に接触して削れた削り粉F~Fの様子を模式的に示す断面図である。なお、何れか一方の保持部材411及び何れか他方の保持部材412は実質的に同様の構成であることから、図7Aから図7Cでは、何れか一方の保持部材411に代表させて示している。このことは、後述する図10Aから図11Cについても同様である。
【0059】
図7Aから図8に示すように、保持部401の空隙形成領域βには、定着ベルト31の径方向Vに貫通する1又は複数(この例では複数)の貫通孔401b~401bが設けられている。
【0060】
この構成では、空隙SPにおいて貫通孔401b~401bを通って定着ベルト31の削り粉F~Fを径方向Vにおける内側に逃すことができ、これにより、定着ベルト31の削り粉F~Fが定着ベルト31の内面31aと保持部401との間の空隙形成領域βよりも回転軸線方向Wにおける内側に入り込んでしまうことを抑制することができる。しかも、削り粉F~Fを貫通孔401b~401bから下方に落下させることができ、これにより、削り粉F~Fが空隙SPに溜まることを回避することができる。
【0061】
詳しくは、1又は複数の貫通孔401b~401bは、空隙形成領域β〔この例では小径部4012及び/又は傾斜部4013(この例では小径部4012)〕において周方向Rに延びた1又は複数(この例では2つ)の貫通孔401b1,401b1を含んでいる。複数の貫通孔401b~401bは、本例のように、周方向Rに一列に並設されていてもよいし、或いは/さらに、回転軸線方向Wに複数列に並設されていてもよい。また、複数の貫通孔401b~401bは、規制部402の壁面402aに連接する1つ又は複数(この例では1つ)の貫通孔401b2を含んでいる。こうすうことで、規制部402の壁面402aにおいて定着ベルト31の端面311で削れた削り粉F~Fを確実に確保することができる。また、1又は複数の貫通孔401b~401bは、空隙形成領域βにおいて回転軸線方向Wに延びた1又は複数の貫通孔(図示省略)であってもよい。
【0062】
<第5実施形態>
図9A及び図9Bは、それぞれ、定着装置12における何れか一方の保持部材411のさらに他の例及び何れか他方の保持部材412のさらに他の例を正面側から視た斜視図である。
【0063】
本実施の形態において、小径部4012には、外周面4012aから定着ベルト31の径方向Vにおける外側に突出した1又は複数(この例では複数)の突起部4012b~4012bが設けられている、空隙SPは、小径部4012の外周面4012aと定着ベルト31の内面31aとの間の空間により構成される。
【0064】
この構成では、小径部4012の外周面4012aに突起部4012b~4012bを設けるといった簡単な構成で空隙SPを形成するための構成を容易に実現させることができる。
【0065】
詳しくは、突起部4012b~4012bは、定着ベルト31が突起部4012b~4012b上に位置する状態において頂部が定着ベルト31の内面31aに接触するように形成されている。これにより、保持部401の空隙形成領域βにおいて定着ベルト31を確実に保持することができる。この例では、保持部401の空隙形成領域βにおいて突起部4012b~4012bは、周方向R及び回転軸線方向Wに全体に亘って均等に設けられている。これにより、定着ベルト31が突起部4012b~4012b上に位置しても突起部4012b~4012bにおいて定着ベルト31を安定的に保持することができる。突起部4012b~4012bは、頂部が半球形状とされている。これにより、定着ベルト31が突起部4012b~4012b上に移動しても定着ベルト31を突起部4012b~4012b上に確実に位置させることができる。
【0066】
<第6実施形態>
図10Aから図10Cは、それぞれ、一対の保持部材411,412(41)のさらに他の例のうちの何れか一方の保持部材411を背面側から視た斜視図並びに保持部材411の側面図及び保持部材411の底面図である。
【0067】
図10Aから図10Cに示すように、保持部401には、定着ベルト31の径方向Vに貫通する1又は複数(この例では複数)の貫通孔401b~401bが設けられている。空隙SPは、貫通孔401b~401b内の空間により構成される。なお、図10Aから図10Cに示す例では、図7Aから図7Cに示す例において、小径部4012及び傾斜部4013が設けられていない点で異なっている。
【0068】
この構成では、貫通孔401b~401bの空隙SPを通って定着ベルト31の削り粉F~Fを径方向Vにおける内側に逃すことができ、これにより、定着ベルト31の削り粉F~Fが定着ベルト31の内面31aと保持部401との間の空隙形成領域βよりも回転軸線方向Wにおける内側に入り込んでしまうことを抑制することができる。しかも、削り粉F~Fを貫通孔401b~401bから下方に落下させることができ、これにより、削り粉F~Fが空隙SPに溜まることを回避することができる。
【0069】
詳しくは、1又は複数の貫通孔401b~401bは、保持部401において周方向Rに延びた1又は複数(この例では2つ)の貫通孔401b1,401b1を含んでいる。複数の貫通孔401b~401bは、本例のように、周方向Rに一列に並設されていてもよいし、或いは/さらに、回転軸線方向Wに複数列に並設されていてもよい。また、複数の貫通孔401b~401bは、規制部402の壁面402aに連接する1つ又は複数(この例では1つ)の貫通孔401b2を含んでいる。こうすうことで、規制部402の壁面402aにおいて定着ベルト31の端面311で削れた削り粉F~Fを確実に確保することができる。また、1又は複数の貫通孔401b~401bは、保持部401において回転軸線方向Wに延びた1又は複数の貫通孔(図示省略)であってもよい。
【0070】
<第7実施形態>
図11Aから図11Cは、それぞれ、一対の保持部材411,412(41)のさらに他の例のうちの何れか一方の保持部材411を背面側から視た斜視図並びに保持部材411の側面図及び保持部材411を正面側から視た斜視図である。
【0071】
本実施の形態において、保持部401には、外周面401aの回転軸線方向Wにおける規制部402側において回転軸線方向Wに延びる1又は複数(この例では複数)の溝部401c~401cが設けられている。空隙SPは、溝部401c~401cの底部401c1と定着ベルト31の内面31aとの間の空間により構成される。本例のように、保持部401に複数の溝部401c~401cが設けられる場合、周方向Rに均等に設けることができる。また、保持部401に1つの溝部401cが設けられる場合には、例えば、保持部401の周方向Rにおける中央部に設けることができる。
【0072】
この構成では、空隙SPにおいて溝部401c~401cを通って定着ベルト31の削り粉F~Fを回転軸線方向Wにおける外側に退避させることができ、これにより、定着ベルト31の削り粉F~Fが定着ベルト31の内面31aと保持部401との間の空隙形成領域β(図11A図11B参照)よりも回転軸線方向Wにおける内側に入り込んでしまうことを抑制することができる。
【0073】
詳しくは、規制部402には、溝部401c~401cに連通して回転軸線方向Wに貫通する貫通孔401c2~401c2(図11C参照)が設けられている。こうすることで、削り粉F~Fを溝部401c~401cから規制部402における貫通孔401c2~401c2を通って下方に落下させることができ、これにより、削り粉F~Fが空隙SPに溜まることを回避することができる。この例では、溝部401c~401cは、規制部402に被っている。すなわち、溝部401c~401cは、規制部402の壁面402aに連接している。こうすることで、規制部402の壁面402aにおいて定着ベルト31の端面311で削れた削り粉F~Fを確実に確保することができる。
【0074】
<第8実施形態>
図12A及び図12Bは、それぞれ、定着装置12における何れか一方の保持部材411のさらに他の例及び何れか他方の保持部材412のさらに他の例を正面側から視た斜視図である。
【0075】
本実施の形態において、保持部401には、外周面401aの回転軸線方向Wにおける規制部402側において外周面401aから定着ベルト31の径方向Vにおける内側に窪んだ1又は複数(この例では複数)の窪み部401d~401dが設けられている。空隙SPは、窪み部401d~401dの底部401d1と定着ベルト31の内面31aとの間の空間により構成される。
【0076】
この構成では、保持部401の外周面401aに窪み部401d~401dを設けるといった簡単な構成で空隙SPを形成するための構成を容易に実現させることができる。
【0077】
詳しくは、規制部402に最も近い窪み部401d~401dは、規制部402に被っている(図12B参照)。すなわち、規制部402に最も近い窪み部401d~401dは、規制部402の壁面402aに連接している。こうすることで、規制部402の壁面402aにおいて定着ベルト31の端面311で削れた削り粉F~Fを確実に確保することができる。この例では、窪み部401d~401dは、外周面401aの回転軸線方向Wにおける規制部402側において周方向R及び回転軸線方向Wに全体に亘って均等に設けられている。これにより、定着ベルト31が窪み部401d~401d上に位置しても窪み部401d~401dにおいて定着ベルト31を安定的に保持することができる。また、窪み部401d~401dは、平面視で円形状に形成されている。これにより、定着ベルト31が窪み部401d~401d上に移動しても定着ベルト31を窪み部401d~401d上に確実に位置させることができる。
【0078】
本開示は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、係る実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0079】
100 画像形成装置
12 定着装置
12a 定着装置本体(本体フレーム)
31 定着ベルト
311 端面
31a 内面
32 加圧ローラ
33 支持部材
34 定着パッド
340 定着パッド本体
341 摺動シート
36 熱源
37 反射部材
401 保持部
4011 保持部本体
4012 小径部
4012a 外周面
4012b 突起部
4013 傾斜部
4013a 傾斜面
401a 外周面
401b 貫通孔
401b1 貫通孔
401b2 貫通孔
401c 溝部
401c1 底部
401c2 貫通孔
401d 窪み部
401d1 底部
402 規制部
402a 壁面
41 一対の保持部材
411 何れか一方の保持部材
412 何れか他方の保持部材
F 削り粉
FN 定着ニップ部
H 搬送方向
P シート
R 周方向
R1 第1回転方向
R2 第2回転方向
SP 空隙
V 径方向
W 回転軸線方向
W1 一方側
W2 他方側
h 距離
α 回転軸線
β 空隙形成領域
φa 外径
φb 外径
φc 外径
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13