(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154728
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】サイドシールおよびそれを用いた直動案内装置
(51)【国際特許分類】
F16C 33/78 20060101AFI20241024BHJP
F16C 29/06 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F16C33/78 D
F16C29/06
F16C33/78 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068723
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 幸介
【テーマコード(参考)】
3J104
3J216
【Fターム(参考)】
3J104AA03
3J104AA23
3J104AA36
3J104AA65
3J104AA69
3J104AA74
3J104AA76
3J104BA63
3J104DA04
3J216AA02
3J216AA16
3J216AB01
3J216AB31
3J216BA30
3J216CB18
3J216CB19
3J216CC02
3J216CC14
3J216CC33
3J216DA01
3J216DA11
(57)【要約】
【課題】簡易な構成および簡易な作業により、サイドシールの異物排除機能の低下を抑制する。
【解決手段】直動案内装置1の案内レール3に相対移動可能に跨架されるスライダ本体21の移動方向端面に接合されるサイドシール50であって、弾性材料から構成されるサイドシール本体51と、サイドシール本体51の一面に取り付けられる押し付け部材10と、を備え、サイドシール本体51は、案内レール3に対し摺接するリップ部52が、押し付け部材10の縁部11よりも案内レール3の側に突出し、押し付け部材10をサイドシール本体51の側に押し付けることにより、少なくともサイドシール本体51のリップ部52が変形して案内レール3の側に延びるように構成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直動案内装置の案内レールに相対移動可能に跨架されるスライダ本体の移動方向端面に接合されるサイドシールであって、
弾性材料から構成されるサイドシール本体と、
前記サイドシール本体の一面に取り付けられる押し付け部材と、
を備え、
前記サイドシール本体は、前記案内レールに対し摺接するリップ部が、前記押し付け部材の縁部よりも前記案内レールの側に突出し、
前記押し付け部材を前記サイドシール本体の側に押し付けることにより、少なくとも前記サイドシール本体のリップ部が変形して前記案内レールの側に延びるように構成される、
サイドシール。
【請求項2】
前記リップ部は、前記サイドシールから前記押し付け部材の側に屈曲した形状を呈し、
前記押し付け部材による押し付け時に、前記縁部が前記リップ部を前記サイドシール本体の側に押し付ける、
請求項1に記載のサイドシール。
【請求項3】
前記リップ部の断面が、前記押し付け部材に向かって接近するように傾斜する第1傾斜面および第2傾斜面を含み、
前記第1傾斜面は、前記縁部に接触するとともに前記第2傾斜面よりも前記押し付け部材の側に存在し、
前記第2傾斜面の前記押し付け部材に向かう傾斜角度は、前記第1傾斜面の傾斜角度より大きく、
前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、前記リップ部の先端で連結する、
請求項2に記載のサイドシール。
【請求項4】
一対の前記サイドシールをそれぞれのサイドシール本体が密着するように重ね合わせて構成される、
請求項1から3のいずれか1項に記載のサイドシール。
【請求項5】
前記押し付け部材および前記サイドシール本体を連通する取付ねじ挿通孔が形成され、
前記押し付け部材の側から、前記取付ねじ挿通孔に係合可能な取付ねじを締め付けることにより、少なくとも前記リップ部を変形させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載のサイドシール。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載のサイドシールを備える直動案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドシールおよびそれを用いた直動案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直動案内装置は、軸方向に延びる案内レールと、案内レールに相対移動可能に跨架されたスライダと、を備え、案内レール及びスライダに形成された転動体転動溝間を循環する複数の転動体(ボール)を介して、スライダが案内レール上を軸方向に相対移動する。このような直動案内装置は、各種生産設備の直線移動機構に多用されている。
【0003】
また、直動案内装置には、スライダの移動方向両端側に防塵用のサイドシールが取り付けられている。サイドシールは、一般的に、案内レールに摺接するリップ部を有する。リップ部は、案内レールとスライダとの間を塞ぎ、ごみ、埃、塵などの異物がスライダの内部に侵入するのを防止する役割、すなわち異物排除機能を有する。
【0004】
リップ部は、スライダの移動時に、案内レールに接触しながら摺動する。このような摺動が繰り返されると、リップ部は摩耗し、案内レールとリップ部の間に隙間が生じてしまい、防塵機能を含む異物排除機能が低下するおそれがある。
【0005】
特許文献1は、スライダとガイドレールとの間の高シール性能を長期にわたって保つことができるシール構造を備えた直動案内ユニットを開示している。ガイドレールにまたがって摺動するスライダの端面に取り付けられるゴム製のエンドシールは、ガイドレールとの接触面にリップ部を一体に設け、スライダに取り付ける取り付け面とは反対側に凹部を形成している。リップ部が凹部底面よりもスライダ側に位置する関係にするとともに、このエンドシールの凹部にオイルを含浸したワイパーシールと、ワイパーシールを支えるための封止プレートを組み込み、凹部に組み込んだワイパーシールの外側にスクレーパを沿わせ、このスクレーパと凹部底面との間で、ワイパーシール及び封止プレートを挟持させる。
【0006】
特許文献2は、直動案内装置において、固定されたスライダを案内レールの長手方向一端から嵌め入れ易くするサイドシールを開示している。サイドシールを構成する本体のリップ部は、案内レールの長手方向に沿って連続する第一先端部および第二先端部を有する。第二先端部は第一先端部より反スライダ側に存在する。第一先端部は、長手方向に沿ってスライダ側から反スライダ側に向かうに連れて案内レールに徐々に近づく進出部であり、第二先端部は、長手方向に沿ってスライダ側から反スライダ側Hに向かうに連れて案内レールから徐々に離れる逃げ部である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-236192号公報
【特許文献2】特開2017-215003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載の直動案内ユニットにおいては、オイルを含有させたワイパーシールが配置されているため、リップ部を保護することができるが、オイルが枯渇した場合は摩耗が不可避的に発生する。したがって、オイルの枯渇によるリップ部の摩耗を防止するためには、ワイパーシールの交換等が必要となる。また、オイルが枯渇した状態で使用を続けると、リップ部の摩耗が生じ、エンドシールの交換等が必要となり、いずれの場合も、このような交換作業は、コストの増加、作業性の低下を招くことになり得る。
【0009】
また、特許文献2に開示のサイドシールにおいては、リップ部の摩耗による防塵機能低下を防ぐことは困難であり、サイドシールの交換により防塵機能低下を防ぐ必要があるため、上記のようなコストの増加、作業性の低下を招くことになり得る。また、このような構造は、異物が原因による摩耗には対応が困難である。
【0010】
本発明は、簡易な構成および簡易な作業により、防塵機能の低下を抑制し得るサイドシールおよびそれを用いた直動案内装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 直動案内装置の案内レールに相対移動可能に跨架されるスライダ本体の移動方向端面に接合されるサイドシールであって、
弾性材料から構成されるサイドシール本体と、
前記サイドシール本体の一面に取り付けられる押し付け部材と、
を備え、
前記サイドシール本体は、前記案内レールに対し摺接するリップ部が、前記押し付け部材の縁部よりも前記案内レールの側に突出し、
前記押し付け部材を前記サイドシール本体の側に押し付けることにより、少なくとも前記サイドシール本体のリップ部が変形して前記案内レールの側に延びるように構成される、
サイドシール。
(2) 前記リップ部は、前記サイドシールから前記押し付け部材の側に屈曲した形状を呈し、
前記押し付け部材による押し付け時に、前記縁部が前記リップ部を前記サイドシール本体の側に押し付ける、
(1)に記載のサイドシール。
(3) 前記リップ部の断面が、前記押し付け部材に向かって接近するように傾斜する第1傾斜面および第2傾斜面を含み、
前記第1傾斜面は、前記縁部に接触するとともに前記第2傾斜面よりも前記押し付け部材の側に存在し、
前記第2傾斜面の前記押し付け部材に向かう傾斜角度は、前記第1傾斜面の傾斜角度より大きく、
前記第1傾斜面および前記第2傾斜面は、前記リップ部の先端で連結する、
(2)に記載のサイドシール。
(4) 一対の前記サイドシールをそれぞれのサイドシール本体が密着するように重ね合わせて構成される、
(1)から(3)のいずれか1つに記載のサイドシール。
(5) 前記押し付け部材および前記サイドシール本体を連通する取付ねじ挿通孔が形成され、
前記押し付け部材の側から、前記取付ねじ挿通孔に係合可能な取付ねじを締め付けることにより、少なくとも前記リップ部を変形させる、
(1)から(4)のいずれか1つに記載のサイドシール。
(6) (1)から(5)のいずれか1つに記載のサイドシールを備える直動案内装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構成および簡易な作業により、サイドシールの異物排除機能の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る直動案内装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す直動案内装置に取り付けられた一実施形態のサイドシールを示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のB-B線に沿った矢視図、(c)は(b)のC領域の拡大図である。
【
図3】
図3は、他の実施形態のサイドシールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るサイドシールおよび直動案内装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施することができる。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る直動案内装置1を示す斜視図である。直動案内装置1は、一方向に延びる案内レール3と、案内レール3を跨ぐように取り付けられ、この案内レール3に対して軸方向に移動可能な断面C字状のスライダ20と、を備えている。なお、本実施形態において、前後方向とは、スライダ20が案内レール3に沿って移動する方向を表し、左右方向とは、案内レール3に取り付けられたスライダ20の幅方向を表す。
【0016】
案内レール3は金属製で、その左右側面3bには、レール側転動溝5が案内レール3の軸方向に沿って二条ずつ形成されている。案内レール3は案内レール3の高さ方向に貫通する複数のレール取付孔4を有しており、これらのレール取付孔4には、案内レール3を不図示の被取付面に固定する不図示のレール固定用ボルトが挿入される。
【0017】
スライダ20は、案内レール3の左右両側に袖部を有するスライダ本体21と、スライダ本体21の前後方向の両端部に装着された一対のエンドキャップ30,30と、これらのエンドキャップ30,30内に一組ずつ組み込まれた不図示のリターンガイドと、案内レール3とエンドキャップ30,30との間の隙間をシールする一対のサイドシール50,50と、を備える。また、エンドキャップ30には、スライダ20の内にグリース等を供給するためのグリースニップル6が取付けられている。
【0018】
スライダ本体21の前後両端にそれぞれ接合されるエンドキャップ30は、例えば、合成樹脂材の射出成形品であって、スライダ本体21と同様に断面C字状に形成されている。エンドキャップ30及びサイドシール50には、複数の取付ねじ挿通孔58(
図2(b)、
図3参照)が設けられ、取付ねじ挿通孔58に挿通された取付ねじ35により、エンドキャップ30がサイドシール50とともにスライダ本体21の端面に締結される。また、スライダ本体21の上面には、スライダ20にテーブル等の被駆動体を固定するボルトを挿通させるねじ挿通孔25が設けられている。
【0019】
サイドシール50は、エンドキャップ30とともに、直動案内装置1の案内レール3に相対移動可能に跨架されるスライダ本体21の移動方向端面に接合される。サイドシール50は、案内レール3とスライダ20との間を塞ぎ、ごみ、埃、塵などの異物がスライダ20の内部に侵入するのを防止する役割を果たす。
【0020】
図2は、
図1に示す直動案内装置1に取り付けられた一実施形態のサイドシール50を示す図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のB-B線に沿った矢視図、(c)は(b)のC領域の拡大図である。サイドシール50は、弾性材料から構成されるサイドシール本体51と、サイドシール本体51の一面に取り付けられる押し付け部材10と、を備える。
【0021】
サイドシール本体51はサイドシール50の主たる機能を担う部分である。サイドシール本体51は、スライダ本体21と実質的に同等の正面形状を備えた、リップ部52と芯金部53とで構成されている。リップ部52は、ゴム、樹脂などの弾性変形可能な弾性材料から構成される。芯金部53は、サイドシール本体51及びリップ部52を補強する為のものであり、例えば、金属又は硬質の樹脂から構成される。芯金部53は、案内レールとの間に所定の隙間を有し、その隙間にリップ部52が一体に形成されている。また、芯金部53には、サイドシール50をエンドキャップ30へ固定する為の取付穴58Bと、グリースニップル6をエンドキャップ30に取り付けるための挿通穴59Bが形成されている。サイドシール本体51の案内レール3に対向するリップ部52は、スライダ20の移動を妨げない程度のレベルで案内レール3の表面に接触している。すなわち、サイドシール本体51のリップ部52は、案内レール3に対し摺接しており、スライダ20の移動時に、案内レール3に接触しながら摺動する。また、リップ部52は、押し付け部材10の縁部11よりも案内レール3の側に突出している。
【0022】
押し付け部材10は、サイドシール本体51と類似の正面形状を備えた板状の部材であり、サイドシール本体51より強度の高い材料により構成されている。押し付け部材10は、大きな異物を排除する機能も期待されており、このような異物を排除できる強度を有することが望ましい。また、押しつけ部材10には、芯金部53の取付穴58Bに連通するように、取付穴58Aが形成されているとともに、芯金部53の挿通穴59Bに連通するように、上端部が解放した挿通穴59Aが形成されている。押し付け部材10は、たとえば金属によって構成される。
【0023】
押し付け部材10の主たる機能は、ユーザが押し付け部材10自身をサイドシール本体51およびスライダ本体21の側に押し付けることにより、弾性材料から構成されたサイドシール本体51を変形させることである。この押し付けにより、サイドシール本体51は、基本的に全面が拡大するように変形するが、少なくともリップ部52が変形して案内レール3の側に延びるような構成を有している。
【0024】
ユーザにより押し付け部材10を押し付ける方法は、種々の態様を含む。本実施形態において、ユーザは、押し付け部材10の挿通孔58A、サイドシール本体51の挿通孔58B、取付ねじ35を用いて押し付けを行う。すなわち、押し付け部材10の挿通孔58Aとサイドシール本体51の挿通孔58Bは、連通して一つの取付ねじ挿通孔58を形成し、取付ねじ35はこの取付ねじ挿通孔58に係合可能である。
【0025】
リップ部52の先端が摩耗して、サイドシール本体51と案内レール3との間に隙間が生じた際には、ユーザが、取付ねじ35を取付ねじ挿通孔58に配置し、押し付け部材10の側からドライバなどの治具を用いて取付ねじ35を締め付ける。締付けが進むに従い、押し付け部材10はサイドシール本体51をスライダ本体21の側に押圧されるため、サイドシール本体51は、全面が拡大するように変形する。特にサイドシール本体51のリップ部52は、変形して案内レール3の側に延びる。
【0026】
図2(c)を用いて、リップ部52の変形の詳細を説明する。リップ部52は、サイドシール本体51から、押し付け部材10の側に屈曲した形状を呈しており、押し付け部材10による押し付け時に、押し付け部材10の縁部11がリップ部52をサイドシール本体51の側に押し付ける構成をとっている。
【0027】
具体的に、リップ部52の断面は、押し付け部材10に向かって接近するように傾斜する第1傾斜面54および第2傾斜面55を含んでいる。第1傾斜面54は、縁部11に接触するとともに第2傾斜面55よりも押し付け部材10の側に存在している。第2傾斜面55の押し付け部材10に向かう傾斜角度θ2が、第1傾斜面54の傾斜角度θ1より大きいため、第1傾斜面54および第2傾斜面55は、厚さT1の小さい先端56で連結する。
【0028】
矢印Aで示す押し付け部材10の押し付け(ユーザによる取付ねじ35の締め付け)により、縁部11がリップ部52を押し付け、リップ部52は矢印Bで示すように変形する。矢印Bの変形は、押し付け部材10とは逆方向へのリップ部52の傾斜移動(スライダ本体21側への傾斜移動)を伴うとともに、傾斜角度θ1および傾斜角度θ2の減少をもたらす。この結果、リップ部52は、案内レール3の側に延びることになる。
【0029】
サイドシール本体51のリップ部52は、スライダ20の移動時に、案内レール3に接触しながら摺動する。このような摺動が繰り返されると、リップ部52は摩耗し、シール代が失われて防塵機能を含む異物排除機能(シール性能)が低下するおそれがある。特にリップ部52の先端56が案内レール3から離れてしまうと、異物排除機能が低下する可能性が高くなる。
【0030】
本実施形態によれば、矢印Aで示す押し付け部材10の押し付けという簡易な構成および簡易な作業により、リップ部52は矢印Bで示すように変形し、リップ部52は、案内レール3の側に延びることになる。よって、一旦、リップ部52が摩耗しても、本作業により、リップ部52によるシール代を復活させることができる。たとえば、摩耗によりリップ部52の先端が案内レール3から完全に離れてしまっても、本作業により、リップ部52の先端56が再び案内レール3に接触して隙間を無くし、リップ部52によるシール代が生み出されて、シール性能を復活させることができる。したがって、サイドシール50の異物排除機能の低下を抑制することが可能になるとともに、スライダ本体21から潤滑剤が排出されることを抑制することができ、円滑な摺動性を確保することができる。
【0031】
リップ部52の形状は特に限定されないが、
図2(c)の場合、リップ部52の先端56の厚さT1がサイドシール本体51の厚さT2より小さい(T1<T2)ことが好ましい。先端56の厚さT1は、たとえば、サイドシール本体51の厚さT2の1/10程度に設定することがより好ましい。
【0032】
図3は、他の実施形態のサイドシール50の断面図である。本実施形態においては、2枚のサイドシール50が背中合わせに貼り合わされている。すなわち、一対のサイドシール50,50が、それぞれのサイドシール本体51同士が密着するように重ね合わされている。
【0033】
矢印Aで示す押し付け部材10の押し付け(ユーザによる取付ねじ35の締め付け)により、縁部11がリップ部52を押し付け、リップ部52は矢印Bで示すように変形する。本実施形態においては、スライダ本体21から見て外側のサイドシール50のリップ部52(
図3の左側のリップ部)および内側のサイドシール50のリップ部52(
図3の右側のリップ部)は、矢印Bで示すように互いに接近するように変形する。
【0034】
このような構成において、スライダ本体21から見て内側のサイドシール50は、スライダ本体21に潤滑剤を供給した後でもスライダ本体から潤滑剤が排出されることを抑制し、潤滑剤をスライダ本体21の内部に長期間にわたって維持することが可能となる。一方、外側のサイドシール50は、異物排除機能を長期間にわたって維持することが可能となる。その結果、より一層円滑な摺動性を確保することができる。
【0035】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0036】
1 直動案内装置
3 案内レール
3b 左右側面
5 レール側転動溝
10 押し付け部材
11 縁部
20 スライダ
21 スライダ本体
30 エンドキャップ
35 取付ねじ
50 サイドシール
51 サイドシール本体
52 リップ部
53 芯金部
54 第1傾斜面
55 第2傾斜面
56 先端
58 取付ねじ挿通孔
58A 押し付け部材の挿通孔
58B サイドシール本体の挿通孔